(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記履歴取得部は、前記所定の期間における前記蓄電素子の電圧及び電流の少なくとも一方を示す情報である第一情報と前記蓄電素子の使用期間を示す情報とを含む情報を前記充放電履歴として取得し、
前記パターンデータ生成部は、前記第一情報から得られる前記蓄電素子の状態量を示す第二情報と前記使用期間を示す情報との関係を用いて、前記パターンデータを生成する
請求項1に記載の運転状態推定装置。
前記寿命推定部は、前記パターンデータ生成部が生成したパターンデータと、前記所定の期間における前記蓄電素子の容量低下率とを用いて、前記蓄電素子の寿命を推定する
請求項7に記載の運転状態推定装置。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態に係る蓄電素子の運転状態推定装置及び当該運転状態推定装置を備える蓄電システムについて説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも本発明の好ましい一具体例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、本発明の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、より好ましい形態を構成する任意の構成要素として説明される。
【0032】
まず、蓄電システム10の構成について、説明する。
【0033】
図1は、本発明の実施の形態に係る運転状態推定装置100を備える蓄電システム10の外観図である。
【0034】
同図に示すように、蓄電システム10は、複数(同図では5個)の運転状態推定装置100と、複数(同図では5個)の蓄電素子200と、複数の運転状態推定装置100及び複数の蓄電素子200を収容する収容ケース300とを備えている。つまり、1つの蓄電素子200に対応して、1つの運転状態推定装置100が配置されている。
【0035】
運転状態推定装置100は、それぞれ蓄電素子200の上方に配置され、蓄電素子200の運転状態を推定する回路を搭載した平板状の回路基板である。具体的には、1つの運転状態推定装置100は、1つの蓄電素子200に接続されており、当該1つの蓄電素子200から情報を取得して、当該1つの蓄電素子200の運転状態を推定する。
【0036】
なお、ここでは、運転状態推定装置100は、それぞれの蓄電素子200の上方に配置されているが、運転状態推定装置100はどこに配置されていてもよい。また、運転状態推定装置100の形状も特に限定されない。
【0037】
また、運転状態推定装置100の個数は5個に限定されず、他の複数個数または1個であってもよい。つまり、複数の蓄電素子200に対応して、1つの運転状態推定装置100が配置されていてもよいし、1つの蓄電素子200に対応して、複数の運転状態推定装置100が配置されていてもよい。つまり、いくつの蓄電素子200にいくつの運転状態推定装置100が接続されている構成でもかまわない。この運転状態推定装置100の詳細な機能構成の説明については、後述する。
【0038】
蓄電素子200は、電気を充電し、また、電気を放電することのできる二次電池であり、より具体的には、リチウムイオン二次電池などの非水電解質二次電池である。また、同図では5個の矩形状の蓄電素子200が直列に配置されて組電池を構成している。なお、蓄電素子200の個数は5個に限定されず、他の複数個数または1個であってもよい。また蓄電素子200の形状も特に限定されない。
【0039】
蓄電素子200は、アルミニウムやアルミニウム合金などからなる長尺帯状の正極基材箔上に正極活物質層が形成された正極と、銅や銅合金などからなる長尺帯状の負極基材箔上に負極活物質層が形成された負極とを有している。ここで、正極活物質層に用いられる正極活物質、または負極活物質層に用いられる負極活物質としては、リチウムイオンを吸蔵放出可能な正極活物質または負極活物質であれば、適宜公知の材料を使用できる。
【0040】
ここで、蓄電素子200は、正極活物質として層状構造のリチウム遷移金属酸化物を含むリチウムイオン二次電池であるのが好ましい。具体的には、正極活物質として、LiNi
1/3Co
1/3Mn
1/3O
2など、Li
1+xM
1−yO
2(MはFe、Ni、Mn、Co等から選択される1種または2種以上の遷移金属元素、0≦x<1/3、0≦y<1/3)等の層状構造のリチウム遷移金属酸化物等を用いるのが好ましい。なお、当該正極活物質として、LiMn
2O
4やLiMn
1.5Ni
0.5O
4等のスピネル型リチウムマンガン酸化物や、LiFePO
4等のオリビン型正極活物質等と、上記層状構造のリチウム遷移金属酸化物とを混合して用いてもよい。
【0041】
また、負極活物質としては、例えば、リチウム金属、リチウム合金(リチウム−ケイ素、リチウム−アルミニウム、リチウム−鉛、リチウム−錫、リチウム−アルミニウム−錫、リチウム−ガリウム、及びウッド合金等のリチウム金属含有合金)の他、リチウムを吸蔵・放出可能な合金、炭素材料(例えば黒鉛、難黒鉛化炭素、易黒鉛化炭素、低温焼成炭素、非晶質カーボン等)、ケイ素酸化物、金属酸化物、リチウム金属酸化物(Li
4Ti
5O
12等)、ポリリン酸化合物、あるいは、一般にコンバージョン負極と呼ばれる、Co
3O
4やFe
2P等の、遷移金属と第14族乃至第16族元素との化合物などが挙げられる。
【0042】
なお、蓄電素子200は、非水電解質二次電池には限定されず、非水電解質二次電池以外の二次電池であってもよいし、キャパシタであってもよい。
【0043】
次に、運転状態推定装置100の詳細な機能構成について、説明する。
【0044】
図2は、本発明の実施の形態に係る運転状態推定装置100の機能的な構成を示すブロック図である。
【0045】
運転状態推定装置100は、蓄電素子200の運転状態を推定する装置である。同図に示すように、運転状態推定装置100は、検出部110、履歴取得部120、パターンデータ生成部130、寿命推定部140、通信部150、第一記憶部160及び第二記憶部170を備えている。
【0046】
また、第一記憶部160は、所定の期間における充放電履歴等を記憶するための不揮発性メモリの記憶領域であり、第一記憶部160には、充放電履歴データ160a及びパターンデータ160bが記憶されている。また、第二記憶部170は、蓄電素子200の寿命試験結果から得られた試験データを記憶している不揮発性メモリの記憶領域であり、第二記憶部170には、試験データ170aが記憶されている。
【0047】
ここで、不揮発性メモリとは、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、磁気記憶装置、光ディスクなどの無電源記録媒体であり、読み書き可能な非一時的な記録媒体である。また、不揮発性メモリとして、紙テープなどの紙媒体に印字した記録媒体も含まれる。
【0048】
なお、第一記憶部160及び第二記憶部170は、1つの不揮発性メモリに記憶されている異なる記憶領域であってもよいし、それぞれが異なる不揮発性メモリに記憶されている記憶領域であってもかまわない。
【0049】
検出部110は、蓄電素子200に接続され、蓄電素子200から充放電履歴を検出する。つまり、検出部110は、検出部110が載置されている蓄電素子200の電極端子に、リード線などの配線によって電気的に接続されている。そして、検出部110は、所定の期間において、当該配線を介して、蓄電素子200から充放電履歴を検出する。
【0050】
具体的には、検出部110は、蓄電素子200の状態を常に監視しておき、蓄電素子200の状態に所定の変化が見られた都度、充放電履歴を検出する。例えば、検出部110は、蓄電素子200の電圧の変化を監視し、電圧の差が現在の電圧の1%を超えた場合に、蓄電素子200が充放電を行ったとみなして、充放電履歴を検出する。この場合、例えば、検出部110は、蓄電素子200の電圧の変化が1%を超えた都度、充放電履歴を検出していく。つまり、検出部110は、蓄電素子200の電圧の変化が1%のサンプリング周期で、充放電履歴を検出する。
【0051】
なお、充放電履歴の検出のタイミングは上記に限定されず、また、検出部110は、蓄電素子200の使用期間が1秒のサンプリング周期で充放電履歴を検出するなど、どのようなサンプリング周期を用いてもかまわない。
【0052】
また、充放電履歴とは、蓄電素子200の過去の運転履歴であり、蓄電素子200が充電または放電を行った期間(使用期間)を示す情報、当該使用期間において蓄電素子200が行った充電または放電に関する情報などを含む情報である。
【0053】
具体的には、蓄電素子200の使用期間を示す情報とは、蓄電素子200が充電または放電を行った時点を示す情報である日付(年月日)及び時刻、または、蓄電素子200が使用された累積使用期間などを含む情報である。
【0054】
ここで、累積使用期間とは、蓄電素子200の使用期間の累積値であり、具体的には、蓄電素子200の使用開始時点から所定の時点までの間に、蓄電素子200が使用された期間を積算した合計期間を示している。例えば、蓄電素子200が断続的に使用されていた場合には、累積使用期間は、蓄電素子200が使用されていなかった不使用期間を差し引いた期間を示す。なお、当該不使用期間の差し引き方は厳密でなくともよく、蓄電素子200の使用開始時点から所定の時点までの当該不使用期間も含めた全期間を累積使用期間としてもよい。また、累積使用期間の単位としては、時間(時、分、秒)またはサイクル(充放電回数)が好ましいが、月や日など期間を表す単位であればどのようなものでもかまわない。
【0055】
また、蓄電素子200が行った充電または放電に関する情報とは、蓄電素子200が行った充電または放電時の電圧、電流、温度及び電池状態などを示す情報であり、検出部110によって蓄電素子200が充電または放電を行ったとみなされた場合に検出される。
【0056】
ここで、温度とは、蓄電素子200の温度であり、検出部110は、蓄電素子200の容器や電極端子に温度計を設けて蓄電素子200の温度を計測してもよいし、蓄電素子200の周囲の温度を温度計によって計測してもよい。また、検出部110は、蓄電素子200が使用されている地域の温度(外気温)を取得することにしてもよい。
【0057】
また、電池状態とは、充電状態、放電状態、待機状態(充電も放電もしていない状態)など、蓄電素子200がどのような状態にあるかを示す情報である。なお、蓄電素子200の電圧または電流を示す情報から、当該電池状態が推認される場合には、当該電池状態を示す情報は不要である。
【0058】
そして、検出部110は、検出した充放電履歴を、第一記憶部160に記憶されている充放電履歴データ160aに書き込む。
【0059】
図3は、本発明の実施の形態に係る充放電履歴データ160aの一例を示す図である。
【0060】
充放電履歴データ160aは、所定の期間における蓄電素子200の過去の運転履歴である充放電履歴を示すデータの集まりである。つまり、同図に示すように、充放電履歴データ160aは、「日付」と「時刻」と「使用期間」と「電圧」と「電流」と「SOC」と「温度」と「電池状態」とが対応付けられたデータテーブルである。
【0061】
ここで、「日付」及び「時刻」には、蓄電素子200が充電または放電を行った時点を示す情報である日付(年月日)及び時刻が記憶され、「使用期間」には、蓄電素子200が使用された累積使用期間を示す値が記憶される。つまり、検出部110は、タイマなどから時間を計測して、当該日付(年月日)、時刻及び累積使用期間を取得(検出)し、「日付」、「時刻」及び「使用期間」に書き込む。なお、検出部110は、「日付」及び「時刻」に記憶されている情報を用いて当該累積使用期間を算出し、「使用期間」に書き込むことにしてもよい。
【0062】
また、「電圧」、「電流」、「温度」及び「電池状態」には、蓄電素子200が行った充電または放電に関する情報として、蓄電素子200が行った充電または放電時の電圧、電流、温度及び電池状態を示す情報が記憶される。つまり、検出部110は、蓄電素子200の電圧、電流、温度及び電池状態を取得(検出)し、「電圧」、「電流」、「温度」及び「電池状態」に書き込む。
【0063】
また、「SOC」には、蓄電素子200が行った充電または放電時の蓄電素子200のSOC(State Of Charge:充電状態)を示す情報が記憶される。当該SOCは、蓄電素子200の状態量を示す情報として後述のパターンデータ生成部130によって算出され、「SOC」に書き込まれる。パターンデータ生成部130が当該SOCを算出する処理の説明については、後述する。
【0064】
図2に戻り、履歴取得部120は、所定の期間における蓄電素子200の充放電履歴を取得する。つまり、履歴取得部120は、検出部110が検出した充放電履歴を取得する。具体的には、履歴取得部120は、所定の期間における蓄電素子200の電圧及び電流の少なくとも一方を示す情報である第一情報と蓄電素子200の使用期間を示す情報とを含む情報を充放電履歴として取得する。さらに具体的には、履歴取得部120は、所定の期間における当該第一情報と蓄電素子200の温度を示す情報と使用期間を示す情報とを含む情報を充放電履歴として取得する。
【0065】
つまり、履歴取得部120は、第一記憶部160の充放電履歴データ160aに記憶されている充放電履歴を読み出すことで、当該充放電履歴を取得する。ここで、履歴取得部120が取得する充放電履歴は、上述の通り、所定の期間における蓄電素子200の電圧及び電流の少なくとも一方を示す第一情報と、蓄電素子200の温度を示す情報と、蓄電素子200の使用期間を示す情報とを含む情報である。
【0066】
具体的には、履歴取得部120は、充放電履歴データ160aに書き込まれている「電圧」、「電流」、「温度」及び「使用期間」の欄のデータのうち、所定の期間における電圧及び電流の少なくとも一方を示すデータである第一情報と、当該所定の期間における温度と、当該所定の期間における使用期間とを取得する。
【0067】
ここで、所定の期間とは、後述のパターンデータ生成部130がパターンデータを生成する期間であり、本実施の形態では、蓄電素子200の使用開始時点から現時点までの期間である。なお、当該所定の期間は、上記の期間に限定されず、開始時点は、蓄電素子200が使用を開始されて一定期間経過した時点であってもよいし、終了時点は、現時点から一定期間前の時点であってもかまわない。
【0068】
パターンデータ生成部130は、パターンデータを生成し、取得する。つまり、パターンデータ生成部130は、履歴取得部120が取得した充放電履歴を用いて、当該所定の期間における蓄電素子200の状態量の変化を示すデータのうち繰り返し行われた変化を示すデータをパターン化することで得られるパターンデータを生成する。具体的には、パターンデータ生成部130は、上記の第一情報から蓄電素子200の状態量を示す第二情報を算出し、パターンデータを生成する。また、パターンデータ生成部130は、生成したパターンデータを取得する取得部としての機能も有している。
【0069】
つまり、パターンデータ生成部130は、上記の所定の期間における蓄電素子200の電圧及び電流の少なくとも一方を示す第一情報を用いて、蓄電素子200の状態量を示す第二情報を算出する。
【0070】
ここで、蓄電素子200の状態量とは、蓄電素子200の状態を示す数値であり、例えば、蓄電素子200の電圧や電流、または、蓄電素子200の充放電状態を示す充放電電気量などである。なお、本実施の形態では、蓄電素子200の状態量とは、蓄電素子200の充放電電気量であり、蓄電素子200の状態量を示す第二情報とは、蓄電素子200のSOCである。
【0071】
つまり、パターンデータ生成部130は、例えば、SOCとOCV(Open Circuit Voltage:開回路電圧)との関係を示すSOC−OCV特性を用いて、蓄電素子200の電圧値からSOCを推定することで、SOCを算出する。また、パターンデータ生成部130は、充放電電流を積算してSOCを推定する電流積算法を用いて、蓄電素子200の電流値からSOCを算出することにしてもよい。
【0072】
そして、パターンデータ生成部130は、上記の第一情報から得られる蓄電素子200の状態量である充放電電気量を示す第二情報(SOC)と蓄電素子200の使用期間を示す情報との関係を用いて、パターンデータを生成する。具体的には、パターンデータ生成部130は、当該第二情報(SOC)と蓄電素子200の温度を示す情報と使用期間を示す情報との関係を用いて、パターンデータを生成する。
【0073】
図4は、本発明の実施の形態に係るパターンデータ生成部130が生成するパターンデータの一例を示す図である。
【0074】
パターンデータは、蓄電素子200の運転パターンを示すデータである。具体的には、パターンデータは、蓄電素子200のSOCと蓄電素子200の温度と蓄電素子200の使用期間との関係を示すデータの集まりであり、例えばグラフ化した場合には、同図に示すように、グラフP1及びP2のように示される。つまり、グラフP1は、蓄電素子200のSOCと使用期間との関係を示すグラフであり、グラフP2は、蓄電素子200の温度と使用期間との関係を示すグラフである。
【0075】
ここで、パターンデータは、所定の期間における蓄電素子200の状態量である充放電電気量の変化(SOCの変化)を示すデータのうち繰り返し行われた変化を示すデータをパターン化することで得られるデータである。つまり、所定の期間において、グラフP1及びP2のような変化が繰り返し行われた場合に、当該グラフP1及びP2のような変化を示すデータがパターンデータとして生成される。
【0076】
例えば、平日は毎日、当該グラフP1及びP2のような変化で充放電が繰り返されるのであれば、当該グラフP1及びP2で示されるデータが、平日のパターンデータとして生成される。また、同様に、休日についても、パターンデータが生成される。なお、パターンデータの生成には、全く同じ充放電が繰り返される(全く同じグラフP1及びP2の形になる)必要はなく、一定のずれは許容される。このずれ量は、ユーザの設定などにより適宜定められる。
【0077】
このように、パターンデータ生成部130は、当該所定の期間において、複数のパターンデータを生成する。なお、1つの充放電パターンしかない場合には、パターンデータ生成部130は、1つのパターンデータしか生成しないことにしてもよい。
【0078】
そして、パターンデータ生成部130は、生成したパターンデータを第一記憶部160に記憶されているパターンデータ160bに書き込む。なお、パターンデータ生成部130は、パターンデータを、グラフP1及びP2のようなグラフの形でパターンデータ160bに書き込むことにしてもよいし、当該グラフを生成するためのデータの集まり(データテーブル)の形でパターンデータ160bに書き込むことにしてもよい。
【0079】
さらに、パターンデータ生成部130は、パターンデータを生成するために用いた履歴取得部120が取得した充放電履歴を、第一記憶部160の充放電履歴データ160aから消去する。つまり、当該充放電履歴は、パターンデータによってパターン化されているため、充放電履歴データ160aに保存し続けておく必要がなく、充放電履歴データ160aから消去することができる。
【0080】
図2に戻り、寿命推定部140は、パターンデータ生成部130が生成したパターンデータを用いて、蓄電素子200の寿命を推定する。具体的には、寿命推定部140は、蓄電素子200の寿命試験結果から得られた試験データと、パターンデータ生成部130が生成したパターンデータとを照合することにより、上記の所定の期間における蓄電素子200の容量低下率を推定して、蓄電素子200の寿命を推定する。
【0081】
図5A〜
図5Cは、本発明の実施の形態に係る寿命推定部140が蓄電素子200の寿命の推定に用いる試験データの一例を示す図である。
【0082】
当該試験データは、蓄電素子200の寿命試験結果から得られた試験データであって、パターンデータ生成部130が生成したパターンデータに応じた試験条件に対応する容量低下(容量低下量または容量低下率)を示す試験データである。例えば、当該試験データをグラフ化した場合には、
図5A〜
図5Cのグラフのように示される。
【0083】
そして、当該試験データは、第二記憶部170の試験データ170aに予め記憶されている。つまり、当該試験データは、
図5A〜
図5Cに示すようなグラフの形で試験データ170aに書き込まれているか、または、当該グラフを生成するためのデータの集まり(データテーブル)の形で試験データ170aに書き込まれている。
【0084】
ここで、
図5Aに示されたグラフは、例えば20℃で蓄電素子200の充放電を繰り返した場合の寿命試験結果から得られたサイクル劣化における蓄電素子200の容量低下量を示すグラフである。また、
図5Bに示されたグラフは、蓄電素子200を例えば10℃、SOC90%で放置した場合の寿命試験結果から得られた放置劣化における蓄電素子200の容量低下量を示すグラフである。また、
図5Cに示されたグラフは、蓄電素子200を例えば10℃、SOC20%で放置した場合の寿命試験結果から得られた放置劣化における蓄電素子200の容量低下量を示すグラフである。なお、上記のグラフは、蓄電素子200の容量低下率を示すグラフであってもよい。
【0085】
つまり、パターンデータ生成部130が生成したパターンデータに、20℃における充放電、10℃及びSOC90%における放置、及び、10℃及びSOC20%における放置が含まれている場合には、これらの試験データを用いることができる。具体的には、寿命推定部140は、
図5A〜
図5Cに示された20℃におけるサイクル劣化、10℃及びSOC90%における放置劣化、及び、10℃及びSOC20%における放置劣化などの試験データを用いて、蓄電素子200の容量低下量(または容量低下率)を推定する。
【0086】
さらに具体的には、寿命推定部140は、所定の期間において、パターンデータ生成部130が生成したパターンデータが繰り返された回数を、
図5A〜
図5Cから算出される蓄電素子200の容量低下量に乗じるなどして、所定の期間における蓄電素子200の容量低下量(または容量低下率)を算出する。
【0087】
以上のように、第二記憶部170の試験データ170aには、様々な条件下での試験データが事前に書き込まれており、寿命推定部140は、試験データ170aから、パターンデータ生成部130が生成したパターンデータに応じた試験条件に対応する容量低下量(または容量低下率)を示す試験データを読み出す。そして、寿命推定部140は、当該試験データと、パターンデータ生成部130が生成したパターンデータとを照合することにより、上記の所定の期間における蓄電素子200の容量低下量(または容量低下率)を推定する。
【0088】
また、寿命推定部140は、パターンデータ生成部130が生成したパターンデータと、上記の所定の期間における蓄電素子200の容量低下量(または容量低下率)とを用いて、蓄電素子200の寿命を推定する。
【0089】
図2に戻り、通信部150は、外部機器とデータの送受信を行うための処理部である。具体的には、通信部150は、赤外線通信、インターネット、無線LAN(Local Area Network)、Wi−Fi、Bluetooth(登録商標)、Zigbee(登録商標)、RFID(Radio Frequency IDentification)、バーコード、QRコード(登録商標)などを用いて通信を行うことができる処理部である。
【0090】
例えば、通信部150は、パターンデータ生成部130が生成したパターンデータや、寿命推定部140が推定した蓄電素子200の寿命などを外部機器へ送信したり、外部機器から試験データを受信して試験データ170aに記憶させたりする。
【0091】
次に、運転状態推定装置100が蓄電素子200の運転状態を推定する処理について、詳細に説明する。
【0092】
図6は、本発明の実施の形態に係る運転状態推定装置100が蓄電素子200の運転状態を推定する処理の一例を示すフローチャートである。
【0093】
まず、同図に示すように、履歴取得部120は、所定の期間における蓄電素子200の充放電履歴を取得する(S102)。この履歴取得部120が蓄電素子200の充放電履歴を取得する処理の詳細な説明については、後述する。
【0094】
次に、パターンデータ生成部130は、履歴取得部120が取得した充放電履歴を用いて、当該所定の期間におけるパターンデータを生成する(S104)。このパターンデータ生成部130がパターンデータを生成する処理の詳細な説明については、後述する。
【0095】
次に、寿命推定部140は、パターンデータ生成部130が生成したパターンデータを用いて、蓄電素子200の寿命を推定する(S106)。この寿命推定部140が蓄電素子200の寿命を推定する処理の詳細な説明については、後述する。
【0096】
以上により、運転状態推定装置100が蓄電素子200の運転状態を推定する処理は、終了する。
【0097】
次に、履歴取得部120が蓄電素子200の充放電履歴を取得する処理(
図6のS102)について、詳細に説明する。
【0098】
図7は、本発明の実施の形態に係る履歴取得部120が蓄電素子200の充放電履歴を取得する処理の一例を示すフローチャートである。
【0099】
同図に示すように、まず、検出部110は、蓄電素子200から充放電履歴を検出する(S202)。具体的には、検出部110は、蓄電素子200が充電または放電を行った日付(年月日)及び時刻を検出し、蓄電素子200の使用期間を算出する。また、検出部110は、蓄電素子200が行った充電または放電時の電圧、電流、温度及び電池状態などを検出する。
【0100】
そして、検出部110は、検出した充放電履歴を、第一記憶部160に記憶させる(S204)。具体的には、検出部110は、検出した充放電履歴を、第一記憶部160に記憶されている充放電履歴データ160aに書き込む。つまり、検出部110は、蓄電素子200が充電または放電を行った日付(年月日)及び時刻、蓄電素子200の使用期間、蓄電素子200が行った充電または放電時の電圧、電流、温度及び電池状態などを充放電履歴データ160aに書き込む。
【0101】
そして、履歴取得部120は、検出部110が検出した充放電履歴を第一記憶部160から読み出すことで取得する(S206)。具体的には、履歴取得部120は、第一記憶部160の充放電履歴データ160aに記憶されている充放電履歴を読み出すことで、当該充放電履歴を取得する。つまり、履歴取得部120は、充放電履歴データ160aから、所定の期間における蓄電素子200の電圧及び電流の少なくとも一方を示す第一情報と、蓄電素子200の温度と、蓄電素子200の使用期間を示す情報とを読み出し、これらの情報を含む情報を充放電履歴として取得する。
【0102】
以上により、履歴取得部120が蓄電素子200の充放電履歴を取得する処理(
図6のS102)は、終了する。
【0103】
次に、パターンデータ生成部130がパターンデータを生成する処理(
図6のS104)について、詳細に説明する。
【0104】
図8は、本発明の実施の形態に係るパターンデータ生成部130がパターンデータを生成する処理の一例を示すフローチャートである。
【0105】
同図に示すように、まず、パターンデータ生成部130は、蓄電素子200の状態量を示す情報と蓄電素子200の使用期間を示す情報との関係を用いて、パターンデータを生成する(S302)。具体的には、パターンデータ生成部130は、当該第一情報から得られる蓄電素子200の状態量である充放電電気量を示す第二情報(SOC)と、蓄電素子200の温度を示す情報と、蓄電素子200の使用期間を示す情報との関係を用いて、パターンデータを生成する。
【0106】
つまり、パターンデータ生成部130は、履歴取得部120が取得した充放電履歴を用いて、当該所定の期間における蓄電素子200の状態量である充放電電気量の変化を示すデータのうち繰り返し行われた変化を示すデータをパターン化することで得られるパターンデータを生成する。
【0107】
そして、パターンデータ生成部130は、生成したパターンデータを第一記憶部160に記憶されているパターンデータ160bに書き込む(S304)。
【0108】
そして、パターンデータ生成部130は、パターンデータを生成するために用いた充放電履歴を、第一記憶部160の充放電履歴データ160aから消去する(S306)。
【0109】
以上により、パターンデータ生成部130がパターンデータを生成する処理(
図6のS104)は、終了する。
【0110】
次に、寿命推定部140が蓄電素子200の寿命を推定する処理(
図6のS106)について、詳細に説明する。
【0111】
図9は、本発明の実施の形態に係る寿命推定部140が蓄電素子200の寿命を推定する処理の一例を示すフローチャートである。また、
図10は、本発明の実施の形態に係る寿命推定部140が蓄電素子200の容量低下率を推定する処理を説明するための図である。また、
図11は、本発明の実施の形態に係る寿命推定部140が蓄電素子200の寿命を推定する処理を説明するための図である。
【0112】
まず、
図9に示すように、寿命推定部140は、蓄電素子200の寿命試験結果から得られた試験データと、パターンデータ生成部130が生成したパターンデータとを照合することにより、所定の期間における蓄電素子200の容量低下率を推定する(S402)。
【0113】
具体的には、寿命推定部140は、試験データ170aから、パターンデータ生成部130が生成したパターンデータに応じた試験条件に対応する容量低下量(または容量低下率)を示す試験データを読み出す。そして、寿命推定部140は、当該試験データと、パターンデータ生成部130が生成したパターンデータとを照合することにより、
図10に示すように、所定の期間における蓄電素子200の容量低下量(または容量低下率)を推定する。
【0114】
そして、寿命推定部140は、パターンデータ生成部130が生成したパターンデータと、所定の期間における蓄電素子200の容量低下量(または容量低下率)とを用いて、蓄電素子200の寿命を推定する(S404)。
【0115】
具体的には、
図11に示すように、寿命推定部140は、所定の期間(T0〜T1)における蓄電素子200の容量低下量(または容量低下率)を用いて、所定の期間(T0〜T1)における蓄電素子200の容量維持率を示すグラフQ1を推定する。そして、寿命推定部140は、パターンデータ生成部130が生成したパターンデータと、蓄電素子200の容量維持率を示すグラフQ1とから、蓄電素子200の寿命を示すグラフQ2〜Q4を推定する。
【0116】
つまり、寿命推定部140は、将来(T1〜T2)の蓄電素子200の運転パターン1〜3を外部機器から取得し、当該運転パターン1〜3に応じた蓄電素子200の寿命を示すグラフQ2〜Q4を推定する。なお、寿命推定部140は、過去(T0〜T1)の蓄電素子200の運転履歴から、将来(T1〜T2)の蓄電素子200の運転パターンを予測し、蓄電素子200の寿命(容量維持率)を推定することにしてもよい。
【0117】
以上により、寿命推定部140が蓄電素子200の寿命を推定する処理(
図6のS106)は、終了する。
【0118】
以上のように、本発明の実施の形態に係る運転状態推定装置100によれば、蓄電素子200の充放電履歴を用いて、蓄電素子200の充放電電気量の変化がパターン化されたパターンデータを生成する。つまり、運転状態推定装置100が、メモリに蓄積されている過去の充放電履歴をパターン化することで、パターン化された充放電履歴はメモリに保存しておく必要がなくなる。このため、運転状態推定装置100によれば、メモリに蓄積する情報量を低減することができる。
【0119】
また、運転状態推定装置100は、蓄電素子200の電圧及び電流の少なくとも一方を示す情報である第一情報から得られる蓄電素子200の状態量(充放電電気量)を示す第二情報と蓄電素子200の使用期間との関係を用いて、パターンデータを生成する。つまり、運転状態推定装置100は、蓄電素子200の電圧または電流と使用期間とからパターンデータを生成することができる。このため、運転状態推定装置100は、容易に、パターンデータを生成することができる。
【0120】
また、運転状態推定装置100は、第二情報と蓄電素子200の温度と使用期間との関係を用いて、パターンデータを生成する。つまり、運転状態推定装置100は、蓄電素子200の温度をさらに用いて、パターンデータを生成する。このため、運転状態推定装置100は、蓄電素子200の温度変化による影響も考慮して、精度良く、パターンデータを生成することができる。
【0121】
また、運転状態推定装置100は、メモリから充放電履歴を取得してパターンデータを生成し、当該パターンデータをメモリに書き込むとともに、取得した充放電履歴をメモリから消去する。つまり、メモリに蓄積されている過去の充放電履歴をパターン化することで、パターン化された充放電履歴はメモリに保存しておく必要がなくなるため、運転状態推定装置100は、当該充放電履歴をメモリから消去する。これにより、運転状態推定装置100によれば、メモリに蓄積する情報量を低減することができる。
【0122】
また、運転状態推定装置100は、蓄電素子200から充放電履歴を検出することにより、当該充放電履歴を取得する。このため、運転状態推定装置100は、外部機器から充放電履歴を取得するような必要がなく、自ら充放電履歴を検出することで、当該充放電履歴を取得することができる。
【0123】
また、運転状態推定装置100は、パターンデータを用いて、蓄電素子200の寿命を推定する。このため、運転状態推定装置100は、過去の履歴をパターン化したデータを用いることで、複雑なデータ処理を行うような必要がなく、簡易に、蓄電素子200の寿命を推定することができる。
【0124】
また、運転状態推定装置100は、過去の履歴に基づいて推定を行うことにより、推定したい時点の蓄電素子200に対して何らかの測定手段を講じてデータ(インピーダンス、容量、入出力特性等)を取得することなく、蓄電素子200の寿命を推定することができる。
【0125】
また、運転状態推定装置100は、事前に記憶されている試験データと、パターンデータとを照合することにより、所定の期間における蓄電素子200の容量低下率を推定する。これにより、運転状態推定装置100は、蓄電素子200の性能が精度良く評価された試験データを用いて所定の期間における蓄電素子200の容量低下率を推定することで、精度良く、所定の期間経過時点での蓄電素子200の性能を把握することができる。
【0126】
また、運転状態推定装置100は、パターンデータと、所定の期間における蓄電素子200の容量低下率とを用いて、蓄電素子200の寿命を推定する。これにより、運転状態推定装置100は、過去の履歴を用いて、将来の蓄電素子200の使用態様に応じた容量低下率を推定することができるため、精度良く、蓄電素子200の寿命を推定することができる。
【0127】
(変形例1)
次に、本発明の実施の形態の変形例1について説明する。
図12は、本発明の実施の形態の変形例1に係る第一運転状態推定装置101及び第二運転状態推定装置102の機能的な構成を示すブロック図である。
【0128】
同図に示すように、第一運転状態推定装置101は、上記実施の形態における運転状態推定装置100が有していた検出部110、履歴取得部120、パターンデータ生成部130及び第一記憶部160を備えており、また、通信部150に代えて第一通信部151を備えている。
【0129】
また、第二運転状態推定装置102は、上記実施の形態における運転状態推定装置100が有していた寿命推定部140及び第二記憶部170を備えており、また、通信部150に代えて、第二通信部152を備えている。
【0130】
ここで、第一通信部151及び第二通信部152は、上記実施の形態における運転状態推定装置100が有していた通信部150と同様に、赤外線通信やインターネットなどの外部機器とデータの送受信を行うための処理部であり、互いにデータの送受信を行う。例えば、第一通信部151は、第二通信部152に、パターンデータ生成部130が生成したパターンデータを送信し、第二通信部152は、第一通信部151から当該パターンデータを受信する。
【0131】
つまり、第二通信部152は、当該パターンデータを取得する取得部としての機能を有している。具体的には、第二通信部152は、所定の期間における蓄電素子200の状態量(充放電電気量)の変化を示すデータのうち繰り返し行われた変化を示すデータをパターン化することで得られるパターンデータを取得する。そして、寿命推定部140は、第二通信部152が取得したパターンデータを用いて、蓄電素子200の寿命を推定する。
【0132】
このように、第一運転状態推定装置101は、所定の期間におけるパターンデータを生成し、第二運転状態推定装置102は、当該パターンデータを用いて、蓄電素子200の寿命を推定する。
【0133】
以上のように、本変形例に係る第一運転状態推定装置101及び第二運転状態推定装置102は、上記実施の形態における運転状態推定装置100が有する機能を分離したものであり、上記実施の形態と同様の効果を奏することができる。
【0134】
(変形例2)
次に、本発明の実施の形態の変形例2について説明する。
図13は、本発明の実施の形態の変形例2に係る第一運転状態推定装置103及び第二運転状態推定装置104の機能的な構成を示すブロック図である。
【0135】
同図に示すように、第一運転状態推定装置103は、上記実施の形態における運転状態推定装置100が有していた検出部110を備えており、また、通信部150及び第一記憶部160に代えて第一通信部153及び第一記憶部161を備えている。また、第一記憶部161には、充放電履歴データ161aが記憶されている。
【0136】
また、第二運転状態推定装置104は、上記実施の形態における運転状態推定装置100が有していた履歴取得部120、パターンデータ生成部130、寿命推定部140及び第二記憶部170を備えており、また、通信部150及び第一記憶部160に代えて、第二通信部154及び第一記憶部162を備えている。また、第一記憶部162には、充放電履歴データ162a及びパターンデータ162bが記憶されている。
【0137】
ここで、第一通信部153及び第二通信部154は、上記実施の形態における運転状態推定装置100が有していた通信部150と同様に、赤外線通信やインターネットなどの外部機器とデータの送受信を行うための処理部であり、互いにデータの送受信を行う。
【0138】
つまり、第一運転状態推定装置103において、第一通信部153は、第二通信部154に、検出部110が検出して充放電履歴データ161aに書き込んだ充放電履歴を送信する。
【0139】
また、第一通信部153は、第二通信部154に送信した充放電履歴を、第一記憶部161の充放電履歴データ161aから消去する。つまり、当該充放電履歴は、第二運転状態推定装置104でパターンデータによってパターン化されているため、充放電履歴データ161aに保存し続けておく必要がなく、充放電履歴データ161aから消去することができる。
【0140】
そして、第二運転状態推定装置104において、第二通信部154は、第一通信部153から当該充放電履歴を受信して、受信した当該充放電履歴を充放電履歴データ162aに書き込む。これによって、履歴取得部120は、第一運転状態推定装置103の検出部110が検出した充放電履歴を取得することができる。
【0141】
また、パターンデータ生成部130は、パターンデータを生成するために用いた履歴取得部120が取得した充放電履歴を、第一記憶部162の充放電履歴データ162aから消去する。つまり、当該充放電履歴は、パターンデータによってパターン化されているため、充放電履歴データ162aに保存し続けておく必要がなく、充放電履歴データ162aから消去することができる。
【0142】
なお、第一記憶部161に記憶されている充放電履歴データ161aと、第一記憶部162に記憶されている充放電履歴データ162aとは、上記実施の形態における第一記憶部160に記憶されている充放電履歴データ160aと同様の構成を有するため、詳細な説明は省略する。また、第一記憶部162に記憶されているパターンデータ162bについても、上記実施の形態における第一記憶部160に記憶されているパターンデータ160bと同様の構成を有するため、詳細な説明は省略する。
【0143】
これにより、第一運転状態推定装置103は、所定の期間における充放電履歴を検出し、第二運転状態推定装置104は、当該充放電履歴を用いて、パターンデータを生成し、蓄電素子200の寿命を推定する。
【0144】
ここで、第二運転状態推定装置104の履歴取得部120が蓄電素子200の充放電履歴を取得する処理(
図6のS102)について、詳細に説明する。
【0145】
図14は、本発明の実施の形態の変形例2に係る履歴取得部120が蓄電素子200の充放電履歴を取得する処理の一例を示すフローチャートである。
【0146】
同図に示すように、まず、第二通信部154は、充放電履歴を外部機器から受信する(S502)。具体的には、第二通信部154は、第一運転状態推定装置103の第一通信部153から、充放電履歴を受信する。ここで、受信する充放電履歴は、上記実施の形態と同様に、蓄電素子200が充電または放電を行った日付(年月日)及び時刻、蓄電素子200の使用期間、蓄電素子200が行った充電または放電時の電圧、電流、温度及び電池状態などである。
【0147】
そして、第二通信部154は、受信した当該充放電履歴を第一記憶部162に記憶させる(S504)。具体的には、第二通信部154は、受信した当該充放電履歴を、第一記憶部162に記憶されている充放電履歴データ162aに書き込む。
【0148】
そして、履歴取得部120は、充放電履歴を第一記憶部162から読み出す(S506)。具体的には、履歴取得部120は、第二通信部154が受信した充放電履歴を、第一記憶部162に記憶されている充放電履歴データ162aから読み出すことで、取得する。
【0149】
つまり、履歴取得部120は、上記実施の形態と同様に、充放電履歴データ162aから、所定の期間における蓄電素子200の電圧及び電流の少なくとも一方を示す情報である第一情報と、蓄電素子200の温度を示す情報と、蓄電素子200の使用期間を示す情報とを読み出し、これらの情報を含む情報を充放電履歴として取得する。
【0150】
以上のように、本変形例に係る第一運転状態推定装置103及び第二運転状態推定装置104は、上記実施の形態における運転状態推定装置100が有する機能を分離したものであり、上記実施の形態と同様の効果を奏することができる。特に、本変形例に係る第二運転状態推定装置104によれば、充放電履歴を外部機器から受信することにより、当該充放電履歴を取得する。このため、第二運転状態推定装置104は、自ら充放電履歴を検出するような必要がなく、外部機器から充放電履歴を受信することにより、当該充放電履歴を取得することができる。
【0151】
(変形例3)
次に、本発明の実施の形態の変形例3について説明する。
図15は、本発明の実施の形態の変形例3に係る運転状態推定装置105の機能的な構成を示すブロック図である。具体的には、同図は、運転状態推定装置の最小の構成を示すブロック図である。
【0152】
同図に示すように、運転状態推定装置105は、上記実施の形態における運転状態推定装置100が有していた履歴取得部120及びパターンデータ生成部130を備えていればよい。そして、運転状態推定装置105は、外部の検出部110及び第一記憶部160などとやり取りすることで、充放電履歴を取得して、パターンデータを生成する。
【0153】
以上のように、本発明の実施の形態の変形例3に係る運転状態推定装置105によっても、上記実施の形態と同様の効果を奏することができる。
【0154】
以上、本発明の実施の形態及びその変形例に係る運転状態推定装置及び蓄電システムについて説明したが、本発明は、この実施の形態及びその変形例に限定されるものではない。つまり、今回開示された実施の形態及びその変形例は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【0155】
例えば、上記実施の形態及びその変形例では、履歴取得部120は、所定の期間における第一情報と蓄電素子200の温度を示す情報と使用期間を示す情報とを含む情報を充放電履歴として取得することとした。しかし、履歴取得部120が取得する充放電履歴には、蓄電素子200の温度を示す情報は含まれていなくともよい。つまり、履歴取得部120は、蓄電素子200の電圧及び電流の少なくとも一方を示す情報である第一情報と蓄電素子200の使用期間を示す情報とを含む情報を充放電履歴として取得する。そして、パターンデータ生成部130は、第一情報から得られる蓄電素子200の状態量(充放電電気量)を示す第二情報と使用期間を示す情報との関係を用いて、パターンデータを生成する。この場合、検出部110は、蓄電素子200が行った充電または放電に関する情報として、蓄電素子200の温度を示す情報を検出することなく、蓄電素子200の電圧及び電流の少なくとも一方を示す情報しか検出しないことにしてもかまわない。
【0156】
また、上記実施の形態及びその変形例では、蓄電素子200の使用期間を用いて、蓄電素子200の運転状態を推定することとした。しかし、蓄電素子200が車に搭載されている電池である場合には、蓄電素子200の使用期間に代えて、当該車の走行距離を用いることにしてもよい。つまり、充放電履歴データ160aに当該車の走行距離を書き込むようにして、当該走行距離を用いて蓄電素子200の運転状態を推定することにしてもかまわない。
【0157】
また、上記実施の形態及びその変形例では、パターンデータ生成部130は、蓄電素子200の充放電電気量を示す第二情報としてSOCを算出し、パターンデータを生成することとした。しかし、パターンデータ生成部130は、蓄電素子200の電圧や電流などを当該第二情報として、パターンデータを生成することにしてもよい。
【0158】
また、本発明に係る運転状態推定装置が備える処理部は、典型的には、集積回路であるLSI(Large Scale Integration)として実現される。つまり、例えば
図16に示すように、本発明は、検出部110、履歴取得部120、パターンデータ生成部130、寿命推定部140及び通信部150を備える集積回路106として実現される。
図16は、本発明の実施の形態に係る運転状態推定装置を集積回路で実現する構成を示すブロック図である。
【0159】
なお、集積回路106が備える各処理部は、個別に1チップ化されても良いし、一部または全てを含むように1チップ化されても良い。ここでは、LSIとしたが、集積度の違いにより、IC、システムLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIと呼称されることもある。
【0160】
また、集積回路化の手法はLSIに限るものではなく、専用回路または汎用プロセッサで実現してもよい。LSI製造後に、プログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)や、LSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用しても良い。
【0161】
さらには、半導体技術の進歩または派生する別技術によりLSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、当然、その技術を用いて機能ブロックの集積化を行ってもよい。バイオ技術の適応等が可能性としてあり得る。
【0162】
また、本発明は、このような運転状態推定装置として実現することができるだけでなく、運転状態推定装置が行う特徴的な処理をステップとする運転状態推定方法としても実現することができる。
【0163】
また、本発明は、運転状態推定方法に含まれる特徴的な処理をコンピュータに実行させるプログラムとして実現したり、当該プログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な非一時的な記録媒体、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、CD−ROM、MO、DVD、DVD−ROM、DVD−RAM、BD(Blu−ray(登録商標) Disc)、半導体メモリとして実現したりすることもできる。そして、そのようなプログラムは、CD−ROM等の記録媒体及びインターネット等の伝送媒体を介して流通させることができるのは言うまでもない。
【0164】
また、上記実施の形態及び上記変形例を任意に組み合わせて構築される形態も、本発明の範囲内に含まれる。