特許第6264260号(P6264260)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6264260
(24)【登録日】2018年1月5日
(45)【発行日】2018年1月24日
(54)【発明の名称】弁開閉時期制御装置
(51)【国際特許分類】
   F01L 1/356 20060101AFI20180115BHJP
【FI】
   F01L1/356 E
【請求項の数】6
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-222260(P2014-222260)
(22)【出願日】2014年10月31日
(65)【公開番号】特開2016-89664(P2016-89664A)
(43)【公開日】2016年5月23日
【審査請求日】2017年1月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】アイシン精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】山川 芳明
(72)【発明者】
【氏名】小林 昌樹
【審査官】 二之湯 正俊
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第07025023(US,B2)
【文献】 特開2010−249031(JP,A)
【文献】 特開2012−036768(JP,A)
【文献】 特開2012−163050(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01L 1/356
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関のクランクシャフトと同期回転する駆動側回転体と、
前記駆動側回転体の軸芯と同軸上に配置され、前記内燃機関の弁開閉用のカムシャフトにボルトで固定された状態で前記カムシャフトと一体回転する従動側回転体と、
前記駆動側回転体と前記従動側回転体との間に区画形成される流体圧室と、
作動流体の給排により、前記駆動側回転体に対する前記従動側回転体の相対回転位相が、最進角位相と最遅角位相との間の中間ロック位相に拘束されるロック状態と、前記拘束が解除されたアンロック状態とが選択的に切替えられる中間ロック機構と、
前記中間ロック機構に対して作動流体を流通させるロック流路と、
前記ボルトの内部に配置されるスプールを有し、前記流体圧室及び前記中間ロック機構に対する作動流体の給排を制御する電磁弁と
ンプから供給される作動流体を前記ボルトの内部を当該ボルトの軸芯方向に沿って流通させる供給流路と備え
前記ボルトは、前記カムシャフトに螺合される第一部材と、当該第一部材の外表面に沿って配置される筒状の第二部材とで構成され、
前記第二部材は、外表面に環状溝が区画形成されており、
前記第二部材の内表面及び前記第一部材の外表面の少なくともいずれか一方に前記供給流路が形成されており、
前記ロック流路は、前記第一部材の径方向に区画形成された第一流路と、前記第一部材と前記第二部材とを前記径方向に貫通形成された第二流路とを有し、
前記第一流路の少なくとも一部と前記第二流路の少なくとも一部とが、前記軸芯と直交する同一平面内に位置しており、
前記第一流路は、前記供給流路に接続され、
前記第二流路は、前記環状溝に接続され、前記環状溝を通流する作動流体を前記中間ロック機構に流通させている弁開閉時期制御装置。
【請求項2】
前記第一流路の中心軸と前記第二流路の中心軸とが、前記軸芯と直交する同一平面内に位置している請求項1に記載の弁開閉時期制御装置。
【請求項3】
前記第二部材は、前記第一部材に前記軸芯方向に沿って圧入される請求項1または2に記載の弁開閉時期制御装置。
【請求項4】
前記第二部材のうち、少なくとも前記カムシャフトとは前記軸芯方向における反対側の端部が前記第一部材に圧入され、
前記第一流路および前記第二流路は、前記流体圧室に作動流体を給排する流路よりも前記カムシャフトとは前記軸芯方向における反対側に配置されている請求項3に記載の弁開閉時期制御装置。
【請求項5】
前記第二部材のうち、前記流体圧室に作動流体を給排する流路よりも前記カムシャフトとは前記軸芯方向における反対側の部位のみ前記第一部材に圧入されている請求項4に記載の弁開閉時期制御装置。
【請求項6】
前記第一部材の周方向に対する前記第二部材の移動を阻止する固定部材が、前記第一部材および前記第二部材に亘って設けられている請求項1または2に記載の弁開閉時期制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関のクランクシャフトと同期回転する駆動側回転体に対する従動側回転体の相対回転位相を制御する弁開閉時期制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、エンジンの始動性を高めるべく、相対回転位相を最進角位相と最遅角位相との間の中間ロック位相に拘束する弁開閉時期制御装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1の弁開閉時期制御装置は、従動側回転体を内燃機関のカムシャフトにボルトで固定し、該ボルトの内部にスプールを配置して電磁弁を構成している。複数の環状溝が形成されたスプールが駆動側回転体の軸芯方向に移動することで、ロック流路を介して中間ロック機構への作動流体の供給が行われる。
【0004】
ロック流路は、ポンプから供給された作動流体を軸芯方向に沿う従動側回転体の内部に流通させる供給流路と接続され、作動流体をスプールに向かって流通させる第一流路と、スプールと中間ロック機構との間に作動流体を流通させる第二流路とを有している。この第一流路と第二流路とは、ボルトの径方向に沿って貫通形成され、軸芯方向に対して異なる位置に配置されている。
【0005】
中間ロック機構に作動流体を供給する場合には、スプールの環状溝を介して第一流路と第二流路とを連通させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2012−149600号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、一般的に、弁開閉時期制御装置は内燃機関のカムシャフトの端部に接続されるため、内燃機関のコンパクト化を図る上で軸芯方向の寸法を小さくすることが望まれている。しかしながら、特許文献1の弁開閉時期制御装置にあっては、作動流体を供給する第一流路を、スプールと中間ロック機構との間で作動流体を流通させる第二流路に対して、軸芯方向の異なる位置に設けている。このため、装置の軸芯方向の寸法が大きくなってしまい改善の余地があった。
【0008】
そこで、本発明の目的は、中間ロック機構への作動流体の供給流路を合理的に構成して、コンパクトな弁開閉時期制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る弁開閉時期制御装置の特徴構成は、内燃機関のクランクシャフトと同期回転する駆動側回転体と、前記駆動側回転体の軸芯と同軸上に配置され、前記内燃機関の弁開閉用のカムシャフトにボルトで固定された状態で前記カムシャフトと一体回転する従動側回転体と、前記駆動側回転体と前記従動側回転体との間に区画形成される流体圧室と、作動流体の給排により、前記駆動側回転体に対する前記従動側回転体の相対回転位相が、最進角位相と最遅角位相との間の中間ロック位相に拘束されるロック状態と、前記拘束が解除されたアンロック状態とが選択的に切替えられる中間ロック機構と、前記中間ロック機構に対して作動流体を流通させるロック流路と、前記ボルトの内部に配置されるスプールを有し、前記流体圧室及び前記中間ロック機構に対する作動流体の給排を制御する電磁弁と、ポンプから供給される作動流体を前記ボルトの内部を当該ボルトの軸芯方向に沿って流通させる供給流路と、を備え、前記ボルトは、前記カムシャフトに螺合される第一部材と、当該第一部材の外表面に沿って配置される筒状の第二部材とで構成され、前記第二部材は、外表面に環状溝が区画形成されており、前記第二部材の内表面及び前記第一部材の外表面の少なくともいずれか一方に前記供給流路が形成されており、前記ロック流路は、前記第一部材の径方向に区画形成された第一流路と、前記第一部材と前記第二部材とを前記径方向に貫通形成された第二流路とを有し、前記第一流路の少なくとも一部と前記第二流路の少なくとも一部とが、前記軸芯と直交する同一平面内に位置しており、前記第一流路は、前記供給流路に接続され、前記第二流路は、前記環状溝に接続され、前記環状溝を通流する作動流体を前記中間ロック機構に流通させている点にある。
【0010】
本構成によると、従動側回転体は、ボルトを螺合してカムシャフトに固定されるので、従動側回転体に形成されるロック流路と、ボルトに形成されるロック流路との接続の位置決めが困難である。このため、一般的に、従動側回転体とボルトとの境界に環状溝が形成されている。特許文献1記載のように、供給流路を軸芯方向に沿う従動側回転体の内部に形成した場合、作動流体をスプールに向かって流通させる第一流路とスプールと中間ロック機構との間に作動流体を流通させる第二流路とが該環状溝で合流しないように、第一流路と第二流路とを軸芯方向に対して異なる位置に配置させる必要がある。
【0011】
一方、本構成では、ポンプから供給された作動流体が流通する供給流路を、ボルトの内部に軸芯方向に沿って形成している。つまり、供給流路を、従動側回転体とボルトとの境界の環状溝に連通させない構成としているので、供給流路とスプールとの間に配置される第一流路の少なくとも一部と、スプールと中間ロック機構との間に作動流体を流通させる第二流路の少なくとも一部とを、軸芯に直交する同一平面内に設ける構成を採用し得た。よって、装置の軸長を短縮することができ、コンパクト化が図られる。
【0012】
また、本構成のようにボルトを少なくとも2部材で構成した場合、ボルトを1部材で構成して流路形成する場合に比べ、例えば各部材の合わせ面に供給流路を形成できるため加工が容易である。
【0013】
このように、中間ロック機構への作動流体の供給流路を合理的に構成して、コンパクトな弁開閉時期制御装置を提供することができた。
【0014】
他の特徴構成は、前記第一流路の中心軸と前記第二流路の中心軸とが、前記軸芯と直交する同一平面内に位置している点にある。
【0015】
他の特徴構成は、前記第二部材は、前記第一部材に前記軸芯方向に沿って圧入される点にある。
【0016】
本構成のように第二部材を第一部材に圧入すれば、双方が強固に結合され、従動側回転体の回転に伴う両部材の位置ズレを防止することができる。
【0017】
他の特徴構成は、前記第一部材に対して、少なくとも前記第二部材の前記カムシャフトとは前記軸芯方向における反対側の端部が圧入され、前記第一流路および前記第二流路は、前記流体圧室に作動流体を給排する流路よりも前記カムシャフトとは前記軸芯方向における反対側に配置されている点にある。
【0018】
中間ロック機構は、ロック部材をロック凹部に係脱させて構成するのが一般的であり、両部材の係合部位やロック部材の可動領域に異物が滞留し易い。その結果、中間ロック機構の制御精度が低下してしまう。一方、ボルトを互いに圧入して構成される2部材とした場合、圧入の際に両部材が摺接して異物(削り粉)が発生し、この異物が中間ロック機構に侵入して滞留するおそれがある。しかしながら、本構成のように、流体圧室に作動流体を給排する流路よりもカムシャフトとは軸芯方向における反対側にロック流路を配置することで、ボルトを構成する両部材の摺接によって発生する異物が圧入方向の手前側(カムシャフト側)に放出される。その結果、中間ロック機構に対する異物の侵入を抑制し、中間ロック機構の制御性を低下させることがない。
【0019】
他の特徴構成は、前記第二部材のうち、前記流体圧室に作動流体を給排する流路よりも前記カムシャフトとは前記軸芯方向における反対側の部位のみ前記第一部材に圧入されている点にある。
【0020】
本構成のように、圧入部位の範囲を小さくすることで異物(削り粉)の発生を抑制することができる。
【0021】
ところで、弁開閉時期制御装置が流体圧室の給排を遮断する相対回転位相の保持モードであるとき、各構成部品間の微小な隙間を介して、流体圧室から外部に作動流体が漏れ出し易い。この場合、相対回転位相がバタついて適切に保持することができないおそれがある。しかしながら、本構成では、流体圧室に給排する流路が位置する第一部材と第二部材との間は圧入しないので、両部材の間には微小な隙間ができる。その結果、供給流路に存在する作動流体を、該隙間を介して流体圧室に侵入させることができる。よって、流体圧室の作動流体の不足を補い、相対回転位相のバタつきを抑制することができる。
【0022】
他の特徴構成は、前記第一部材の周方向に対する前記第二部材の移動を阻止する固定部材が、前記第一部材および前記第二部材に亘って設けられている点にある。
【0023】
本構成のように、従動側回転体の回転に伴う第一部材の周方向に対する第二部材の位置ズレを固定部材で防止する構成とすれば、第二部材を中間嵌めやゆるみ嵌めによって第一部材に装着することができる。よって、両部材を圧入する場合に比べ、両部材の摺接に伴う削り粉の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】第1実施形態に係る弁開閉時期制御装置の縦断面図である。
図2図1のII−II線断面図である。
図3】OCVの作動による、各流路におけるオイルの流通状態を表す図である。
図4図3のW1におけるOCVの作動状態を表す拡大断面図である。
図5図3のW2におけるOCVの作動状態を表す拡大断面図である。
図6図3のW3におけるOCVの作動状態を表す拡大断面図である。
図7図3のW4におけるOCVの作動状態を表す拡大断面図である。
図8図3のW5におけるOCVの作動状態を表す拡大断面図である。
図9】ボルトの縦断面図である。
図10図9のX−X線断面図である。
図11】ボルトの圧入状態を示す分解斜視図である。
図12】第2実施形態に係るボルトの縦断面図である。
図13】第3実施形態に係る軸芯方向から見たボルトの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に、本発明に係る弁開閉時期制御装置の実施形態について、図面に基づいて説明する。第1実施形態では、内燃機関(以下、「エンジンE」と言う。)における吸気弁103側に弁開閉時期制御装置10を適用した実施例として説明する。ただし、以下の実施形態に限定されることなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。
【0026】
〔全体構成〕
図1に示すように、弁開閉時期制御装置10は、エンジンEのクランクシャフトCと同期回転するハウジング1(駆動側回転体の一例)と、ハウジング1の内側でハウジング1の軸芯Xと同軸上に配置され、エンジンEの弁開閉用のカムシャフト101にボルトBで固定された状態でカムシャフト101と一体回転する内部ロータ2(従動側回転体の一例)とを備えている。カムシャフト101は、エンジンEの吸気弁103の開閉を制御するカム104の回転軸であり、内部ロータ2およびボルトBと同期回転する。
【0027】
ボルトBのカムシャフト101に近い側の端部には雄ねじ5bが形成されている。ハウジング1と内部ロータ2を組み合わせた状態でボルトBを中心に挿通し、ボルトBの雄ねじ5bとカムシャフト101の雌ねじ101aとを螺合する。その結果、ボルトBがカムシャフト101に対して固定されると共に、内部ロータ2とカムシャフト101も固定される。
【0028】
図9図11に示すように、ボルトBは、カムシャフト101に螺合される第一部材5と、第一部材5の外表面に沿って配置される筒状の第二部材6とで構成される。本実施形態では、第二部材6の内表面の周方向および軸芯X方向に沿った全域が、第一部材5の外表面に圧入されている。
【0029】
図11に示すように、第一部材5の雄ねじ5bの側から、第二部材6を第一部材5に挿入し、第一部材5の外表面に沿って圧入する。このとき、第一部材5の周方向において、後述するロック流路45の第一流路5gと第二流路45aとの間に、軸芯X方向に沿った凸部を形成し、この凸部を第二部材6の軸芯X方向に沿って形成された溝部と位置合わせしながら圧入しても良い。これによって、第一部材5に対する第二部材6の圧入作業が容易なものとなる。なお、第一部材5の凸部や第二部材6の溝部に代えて、第一部材5に溝部を形成し、第二部材6に凸部を形成しても良い。
【0030】
第一部材5に対して第二部材6が圧入されるので、両部材5,6が強固に固定され、内部ロータ2の回転に伴う両部材5,6の位置ズレを防止することができる。なお、本実施形態では、第二部材6の内表面の軸芯X方向に沿った全域を第一部材5に圧入しているが、第二部材6の内表面の軸芯X方向に沿った一部を、第一部材5に圧入しても良い。
【0031】
図1に示すように、ハウジング1は、カムシャフト101が接続される側とは反対側に配置されるフロントプレート11と、内部ロータ2に外装される外部ロータ12と、タイミングスプロケット15を有し、カムシャフト101が接続される側に配置されるリヤプレート13とを締結ボルト16により組み付けて構成される。また、図2に示すように、内部ロータ2と外部ロータ12との間に区画される流体圧室4が形成される。内部ロータ2と外部ロータ12とは、軸芯Xを中心にして相対回転自在に構成されている。
【0032】
ハウジング1とカムシャフト101との間に軸芯Xを中心とする回転方向に付勢力を作用させる戻しばね70を備えている。この戻しばね70は、ハウジング1に対する内部ロータ2の相対回転位相(以下、単に「相対回転位相」とも言う。)が最遅角にある状態から進角側の所定の相対回転位相に達するまで付勢力を作用させる。なお、戻しばね70は、ハウジング1と内部ロータ2との間に配置されていてもよい。
【0033】
クランクシャフトCが回転駆動すると、動力伝達部材102を介してタイミングスプロケット15にその回転駆動力が伝達され、ハウジング1が図2に示す回転方向Sに回転駆動する。ハウジング1の回転駆動に伴い、内部ロータ2が回転方向Sに回転駆動してカムシャフト101が回転し、カムシャフト101に設けられたカム104がエンジンEの吸気弁103を押し下げて開弁させる。
【0034】
図2に示すように、外部ロータ12に、径方向内側に突出する3個の突出部14を回転方向Sに沿って互いに離間させて形成することにより、内部ロータ2と外部ロータ12との間に流体圧室4が形成されている。また、内部ロータ2の外周面のうち流体圧室4に面する部分に、外部ロータ12の内周面に当接する突出部21が形成されている。突出部21によって、流体圧室4は進角室41と遅角室42とに分割されている。なお、本実施形態においては、流体圧室4が3箇所となるよう構成されているが、これに限られるものではない。
【0035】
進角室41及び遅角室42にはオイル(作動流体の一例)が供給、排出され、又はその給排が遮断されることにより、相対回転位相を進角方向又は遅角方向へ変化させ、あるいは、任意の位相に保持する。進角方向とは、進角室41の容積が大きくなる方向であり、図2に矢印S1で示す方向である。遅角方向とは、遅角室42の容積が大きくなる方向であり、図2に矢印S2で示す方向である。突出部21が進角方向S1の移動端又はその近傍に達した状態での相対回転位相を最進角位相と称し、突出部21が遅角方向S2の移動端又はその近傍に達した状態での相対回転位相を最遅角位相と称する。
【0036】
図2に示すように、内部ロータ2には、進角室41に連通する進角流路43と、遅角室42に連通する遅角流路44と、後述する中間ロック機構8に対してオイルを流通させるロック流路45と、中間ロック機構8から外部へ排出されるオイルが流通するロック排出流路46とが形成されている。図1に示すように、この弁開閉時期制御装置10では、エンジンEのオイルパン7に貯留されるオイルを用いて進角室41、遅角室42、中間ロック機構8に給排される。
【0037】
〔中間ロック機構〕
本実施形態における弁開閉時期制御装置10は、相対回転位相を最進角位相と最遅角位相との間にある中間ロック位相Lに拘束する中間ロック機構8を備えている。エンジン始動直後の油圧が安定しない状況で相対回転位相が中間ロック位相Lに拘束されることによって、エンジンEの安定的な回転を実現することができる。
【0038】
図2に示すように、中間ロック機構8は、第1ロック部材81と、第1スプリング82と、第2ロック部材83と、第2スプリング84と、第1凹部85と、第2凹部86により構成される。
【0039】
ロック部材81,83はプレート状の部材で構成され、軸芯Xに平行な姿勢で内部ロータ2の方向に向けて接近、離間できるように外部ロータ12に対し移動自在に支持されている。なお、ロック部材81,83は、軸芯Xに垂直な姿勢でフロントプレート11又はリヤプレート13に接近、離間する構成であっても良い。また、中間ロック機構8は2つに限定されず、1つ又は3つ以上設けても良い。
【0040】
凹部85,86は、周方向で浅い溝と深い溝とが連続して形成されている。図2に示すように、凹部85,86にオイルがない状態における中間ロック位相Lでは、第1スプリング82の付勢力により第1ロック部材81が第1凹部85の深い溝の進角方向S1の端部に当接して、内部ロータ2の遅角方向S2への変化を規制する。また、第2スプリング84の付勢力により第2ロック部材83が第2凹部86の深い溝の遅角方向S2の端部に当接して、内部ロータ2の進角方向S1への変化を規制する。これがロック状態である。
【0041】
ロック流路45は、第1凹部85の深い溝と第2凹部86の深い溝のそれぞれの底面に接続されている。ロック状態にあるときにオイルがロック流路45を流通して凹部85,86に供給されると、ロック部材81,83はオイルの油圧を受ける。この油圧がスプリング82,84の付勢力を上回るとロック部材81,83は凹部85,86から離間し、アンロック状態となる。
【0042】
ロック排出流路46も、凹部85,86の深い溝のそれぞれの底面に接続されている。ロック排出流路46は、中間ロック機構8にオイルを供給するための流路ではなく、外部へオイルを排出するための流路である。
【0043】
〔電磁弁〕
図1に示すように、本実施形態においては、OCV51(オイルコントロールバルブ:電磁弁の一例)が、ボルトBの内部で且つ軸芯Xと同軸上に配置されている。OCV51は、スプール52と、スプール52を付勢する第1スプリング53aと、スプール52を駆動する電磁ソレノイド54とを備えて構成される。なお、電磁ソレノイド54については、公知の技術であるので詳細な説明を省略する。
【0044】
スプール52は、ボルトBの内部に形成された断面円形の孔である収容空間5aに収容されており、収容空間5aの内部で軸芯Xの方向に沿って摺動可能である。スプール52は、軸芯Xの方向に沿った断面円形の有底穴である主排出流路52bを有している。
【0045】
電磁ソレノイド54に給電すると、電磁ソレノイド54に設けられたプッシュピン54aが、スプール52の端部52aを押圧する。その結果、スプール52は第1スプリング53aの付勢力に抗してカムシャフト101の方向に摺動する。OCV51は、電磁ソレノイド54への給電量を0から最大まで変化させることにより、スプール52の位置調節ができるよう構成されている。電磁ソレノイド54への給電量は、不図示のECU(電子制御ユニット)によって制御される。
【0046】
OCV51は、スプール52の位置に応じて進角室41及び遅角室42へのオイルの供給、排出、保持を切り換えると共に、中間ロック機構8へのオイルの供給、排出を切り換える。
【0047】
〔油路構成〕
図1に示すように、オイルパン7に貯留されているオイルは、クランクシャフトCの回転駆動力が伝達されることにより駆動する機械式のポンプPによって汲み上げられる。次いで、ボルトBの内部である第二部材6の内表面に、軸芯Xの方向に沿って凹状に形成される供給流路61を流通する。そして、供給流路61を流通したオイルは、進角流路43、遅角流路44、ロック流路45に供給される。
【0048】
図4図8に示すように、ポンプPから供給されたオイルは、カムシャフト101に形成された第1貫通路47a、カムシャフト101とボルトBとの間の空間である第1環状流路47b、ボルトBに形成された第2貫通路47c、ボルトBに形成された第3貫通路47d、ボルトBの第二部材6に形成された供給流路61の順で流通する。第2貫通路47cにはチェックバルブ48が備えられており、このチェックバルブ48は、第2スプリング53bにより第2貫通路47cを閉じる方向に付勢されている。
【0049】
スプール52には、供給流路61を流通するオイルを、ロック流路45に供給する第1環状溝52cと、進角流路43または遅角流路44に供給する第2環状溝52dとが形成されている。また、スプール52には、進角流路43を流通するオイルを主排出流路52bに排出する第1貫通路52eと、遅角流路44またはロック排出流路46を流通するオイルを主排出流路52bに排出する第2貫通路52fとが形成されている。さらに、主排出流路52bを流通するオイルを弁開閉時期制御装置10の外部に排出する第3貫通路52gが形成されている。
【0050】
進角室41に接続される進角流路43は、ボルトBの第一部材5および第二部材6の径方向に貫通形成された第1貫通路43aと、第1貫通路43aに繋がり内部ロータ2に形成された第2貫通路43bと、を有している。同様に、遅角室42に接続される遅角流路44は、ボルトBの第一部材5および第二部材6の径方向に貫通形成された第1貫通路44aと、第1貫通路44aに繋がり内部ロータ2に形成された第2貫通路44bと、を有している。これら第1貫通路43a,44aは、内部ロータ2との境界部に環状溝が形成されている。また、進角流路43と遅角流路44とは、ボルトBの第一部材5の径方向に貫通形成され、供給流路61と接続される共通の供給貫通路5fを有している。
【0051】
中間ロック機構8に接続されるロック流路45は、供給流路61とスプール52との間の径方向に配置され、供給流路61に接続される第一流路5gを有している。この第一流路5gは、ボルトBの第一部材5に区画形成されている。本実施形態ではボルトBを2部材で構成しているため、ボルトBを1部材で構成して流路形成する場合に比べ、供給流路61や第一流路5gの加工が容易である。また、ロック流路45は、ボルトBの第一部材5および第二部材6の径方向に貫通形成された第二流路45aと、第二流路45aに繋がり内部ロータ2に形成された第三流路45bとを有している。つまり、第一流路5gは、供給流路61から流入するオイルをスプール52に向かって流通させ、第二流路45aは、スプール52と中間ロック機構8との間にオイルを流通させる経路となっている。この第二流路45aには、内部ロータ2との境界部に環状溝が形成されている。
【0052】
中間ロック機構8に接続されるロック排出流路46は、ボルトBの第一部材5および第二部材6の径方向に貫通形成された第1貫通路46aと、第1貫通路46aに繋がり内部ロータ2に形成された第2貫通路46bとにより構成されている。この第1貫通路46aには、内部ロータ2との境界部に環状溝が形成されている。
【0053】
図9図10に示すように、軸芯X方向視において、ロック流路45は、複数の第一流路5gと第二流路45aとが周方向に等間隔で交互に配置されている。つまり、第一流路5gの少なくとも一部と第二流路45aの少なくとも一部とが、軸芯Xと直交する同一平面内に位置している。換言すると、第一流路5gを通過し、軸芯X方向に垂直な方向に沿って延びる第一仮想線と第二流路45aを通過し、軸芯X方向に垂直な方向に沿って延びる第二仮想線とが、軸芯X方向に垂直な方向視において重なっている。よって、第一流路5gと第二流路45aとを軸芯X方向で異なる位置に配置する場合に比べ、弁開閉時期制御装置10の軸長を短縮することができる。なお、第一流路5gの少なくとも一部と第二流路45aの少なくとも一部とが、軸芯Xと直交する同一平面内に位置しているとは、第一流路5gの中心と第二流路45aの中心とが同一平面内に位置している場合だけでなく、第一流路5gと第二流路45aとが軸芯X方向に若干ずれている場合も含む概念である。
【0054】
また、複数の第一流路5gや第二流路45aを設けて流路面積を確保することで、中間ロック機構8からのオイルの排出や供給を迅速に行うことができる。しかも、経路長の異なる第一流路5gと第二流路45aとを同一平面内において等間隔で交互に配置するので、内部ロータ2の回転バランスを安定させることができる。
【0055】
〔OCVの動作〕
図3には、電磁ソレノイド54へ給電量に応じてスプール52の位置がW1〜W5に変化したときのOCV51の作動構成が示される。図4に示すように、電磁ソレノイド54に給電を行わない場合、第1スプリング53aの付勢力によりスプール52はストッパ55に当接し、最も左方に位置している(図3のW1)。この状態において、供給されたオイルは、第1貫通路47a、第1環状流路47b、第2貫通路47cの順で流通し、油圧が第2スプリング53bの付勢力を上回ると、チェックバルブ48が開弁する。次いでこのオイルは、第3貫通路47d、供給流路61の順で流通し、進角流路43および遅角流路44の供給貫通路5f、ロック流路45の第一流路5gに到達する。第2環状溝52dは進角流路43に連通しているので、オイルが進角室41に供給される。一方、遅角流路44は第2貫通路52fと連通しているので、遅角室42のオイルはドレン状態となる。また、ロック流路45は、第1環状溝52cおよび第1貫通路52eに連通せず、ロック排出流路46は収容空間5aと連通しているので、中間ロック機構8のオイルはドレン状態となる。したがって、中間ロック機構8はロック状態である。
【0056】
図5に示すように、電磁ソレノイド54に給電を行った場合、スプール52はW1の状態よりも少し右方に移動している(図3のW2)。この状態において、ロック流路45は第1環状溝52cに連通しているので、中間ロック機構8にオイルが供給される。このとき、ロック排出流路46は収容空間5aに連通しないので、中間ロック機構8のオイルがロック排出流路46を介して外部に排出されることはない。よって、油圧がスプリング82,84の付勢力を上回ると、ロック部材81,83は凹部85,86からそれぞれ離間し、アンロック状態になる。また、進角流路43と遅角流路44とは、W1の状態と同様であり、オイルが進角室41に供給され、遅角室42のオイルはドレン状態となっている。
【0057】
図6に示すように、電磁ソレノイド54にさらに給電を行った場合、スプール52はW2の状態よりも少し右方に移動している(図3のW3)。このとき、W2の状態と異なるのは、進角流路43と遅角流路44とが、第2環状溝52d、第1貫通路52e、第2貫通路52fのいずれにも連通していない点である。したがって、進角室41および遅角室42に対してオイルの給排が遮断され、内部ロータ2はそのままの相対回転位相を保持し、進角方向S1にも遅角方向S2にも変化しない。これは、「位相保持モード」に相当する。
【0058】
図7に示すように、電磁ソレノイド54にさらに給電を行ってOCV51が図3のW4の状態になった場合、W3の状態と異なるのは、進角流路43が第1貫通路52eに連通し、遅角流路44が第2環状溝52dに連通している点である。その結果、オイルが遅角室42に供給され、進角室41のオイルはドレン状態となる。
【0059】
図8に示すように、電磁ソレノイド54にさらに給電を行ってOCV51が図3のW5の状態になった場合、W4の状態と異なるのは、ロック流路45が第1環状溝52cと非連通となり、ロック排出流路46が第2貫通路52fと連通する点である。つまり、ロック流路45にオイルが供給されることなく、ロック排出流路46からオイルがドレンされる。その結果、中間ロック機構8のオイルは、ロック排出流路46を介してドレン状態となる。つまり、中間ロック機構8は、ロック状態となる。
【0060】
本実施形態では、図11に示すように、ロック流路45が、第一部材5に対して第二部材6が圧入される方向(以下、単に圧入方向Yと言う。)の奥側(カムシャフト101とは軸芯X方向において反対側)に配置されている。つまり、ロック流路45を進角流路43および遅角流路44よりも圧入方向Yの奥側に配置している。このため、第二部材6を第一部材5に圧入する際の両部材5,6の摺接によって発生する異物(削り粉)が、圧入方向Yの手前側に放出される。その結果、中間ロック機構8に対する異物の流入を減少させることができるので、異物の滞留によって誤ロック(ロック解除不良)が発生する確率を低減させることができる。一方、圧入方向Yの手前側に放出された異物は流体圧室4に流入するおそれがあるが、流体圧室4はオイルの給排が頻繁に行われ、且つ室面積が比較的大きいので、異物が速やかに外部に排出され、位相制御の応答性を低下させることがない。
【0061】
以下、別実施形態について説明する。基本構成は、第1実施形態と同様であるため、異なる構成についてのみ図面を用いて説明する。なお、図面の理解を容易にするため、第1実施形態と同じ部材名称及び符号を用いて説明する。
【0062】
[第2実施形態]
図12に示すように、本実施形態では、第二部材6のうち、進角流路43および遅角流路44よりも圧入方向Yの奥側の部位のみ、第一部材5に圧入されている。これにより、圧入範囲を小さくすることで、異物の発生をより一層抑制することができる。なお、第一部材5に対して第二部材6が圧入される部位を、進角流路43および遅角流路44よりも圧入方向Yの手前側(カムシャフト101側)としても良い。
【0063】
ところで、図6に示すように、進角室41および遅角室42に対してオイルの給排が遮断される「位相保持モード」の場合、外部ロータ12とフロントプレート11やリヤプレート13との微小な隙間を介して、流体圧室4のオイルが外部に排出されるおそれがある。この場合、相対回転位相がバタついて、位相保持が適切に行われない。しかしながら、本実施形態では、進角流路43および遅角流路44の周辺における第一部材5と第二部材6との間には微少な隙間が形成されるので、該隙間を介して供給流路61のオイルを流体圧室4に侵入させることができる。よって、流体圧室4のオイルの不足分を補って、相対回転位相のバタつきを抑制することができる。
【0064】
[第3実施形態]
図13に示すように、本実施形態では、第一部材5の周方向に対する第二部材6の移動を阻止するピン63(固定部材の一例)を、第一部材5と第二部材6とに亘って径方向に複数設けている。また、ピン63は、第一部材5の軸芯X方向に対する第二部材6の移動を阻止する機能も有している。このピン63は、ボルトBに形成される流路を干渉しないように、軸芯X方向視において供給流路61どうしの間に形成されている。なお、ピン63の軸芯X方向の位置は、ロック流路45と進角流路43との間の位置でも良いし、進角流路43と遅角流路44との間の位置でも良く、特に限定されない。また、ピン63を複数設けずに、一つであっても良い。
【0065】
本実施形態では、内部ロータ2の回転に伴う第一部材5と第二部材6との位置ズレをピン63によって防止することができる。また、第一部材5の周方向に対する第二部材6の位置決めは、ピン63を挿入するために第一部材5および第二部材6に形成された孔位置を合わせればよいので、組付けが容易である。さらに、ピン63によって第一部材5と第二部材6との相対回転が防止されるので、第二部材6を第一部材5に中間嵌めやゆるみ嵌めによって装着すればよいので、圧入する場合に比べて両部材5,6の摺接に伴う異物の発生を防止することができる。
【0066】
[その他の実施形態]
(1)上述した実施形態では、ボルトBを第一部材5および第二部材6の2部材で構成したが、単一部材や3部材以上に構成しても良い。ボルトBを単一部材で構成した場合、第一部材5の第一流路5gを形成する際、ボルトBの径方向に貫通孔を形成した後、該貫通孔に蓋部材を圧入する等すれば、袋小路の第一流路5gを形成することができる。
(2)第一部材5を構成する金属などの熱膨張係数を、第二部材6を構成する金属などの熱膨張係数よりも大きく構成してもよい。この場合、両部材5,6を、圧入時に異物が発生し難い寸法形状に設定することができると共に、エンジンEの稼働に伴う温度上昇によって第一部材5が第二部材6より膨張するので両部材5,6の嵌合度合いを高めることができる。
(3)上述した実施形態では、図10に示すように、軸芯X方向視において、複数の第一流路5gと第二流路45aとが周方向に等間隔で交互に配置したが、第一流路5gと第二流路45aとを夫々一箇所のみ形成しても良いし、複数の第一流路5gと第二流路45aとを等間隔に形成しなくても良い。
(4)上述した実施形態では、供給流路61を、ボルトBの内部である第二部材6の内表面に対して、軸芯Xの方向に沿う凹状に形成したが、ボルトBの内部である第一部材5の外表面に対して、軸芯Xの方向に沿う凹状に形成しても良いし、第二部材6の内表面および第一部材5の外表面に対して、軸芯Xの方向に沿う凹状に形成しても良い。
(5)上述した実施形態では、ロック流路45と進角流路43および遅角流路44とに対する供給流路61を共通のものとして説明したが、ロック流路45と、進角流路43および遅角流路44とに独立して供給流路61を形成しても良い。また、ポンプPの数量も特に限定されない。
(6)上述の第3実施形態の固定部材を構成するピン63を、第一部材5と第二部材6とに亘って径方向に形成したが、第一部材5と第二部材6とに亘って軸芯X方向に形成しても良い。この場合、ピン63の軸芯X方向の長さを大きく確保することができるので、第一部材5と第二部材6とが安定して固定される。また、ピン63の形状は円柱状や角柱状など特に限定されず、ピン63に代えて例えば固定ボルトで構成するなどどのような形態であっても良い。(7)本発明の弁開閉時期制御装置10は、吸気弁だけでなく排気弁の開閉時期を制御するように構成されるものであっても良い。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明は、内燃機関のクランクシャフトと同期回転する駆動側回転体に対する従動側回転体の相対回転位相を制御する弁開閉時期制御装置に利用可能である。
【符号の説明】
【0068】
1 ハウジング(駆動側回転体)
2 内部ロータ(従動側回転体)
4 流体圧室
45a 第二流路
5 第一部材
5g 第一流路
52 スプール
6 第二部材
61 供給流路
63 ピン(固定部材)
8 中間ロック機構
10 弁開閉時期制御装置
45 ロック流路
51 OCV(電磁弁)
101 カムシャフト
B ボルト
C クランクシャフト
E エンジン(内燃機関)
L 中間ロック位相
P ポンプ
X 軸芯
Y 圧入方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13