(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、水に難溶性の油剤であるステロールエステルを含み、かつ、透明性、安定性、泡立ち、すすぎ性、使用感(すすぎ時および/または使用後)、およびエモリエント性に優れた組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、特定のモノ脂肪酸グリセリルとヒドロキシアルコールを必須成分とすることにより、ステロールエステルを洗浄料に可溶化させることができることを見出し、透明で安定性に優れ、泡立ちがよく、洗浄後の皮膚や毛髪にステロールエステルが残留することにより皮膚や毛髪が柔らかになるという優れたエモリエント性を示し、加えて、驚くべきことに、優れたすすぎ性を有し、さらさらとした使用感を有する組成物を提供できることを見出した。
【0007】
即ち、本発明は以下の態様を含む。
[1]
(A)ステロールエステル、
(B)(B1)C
8−22アシル基を有するN−アシルアミノ酸またはその塩、および(B2)ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸またはその塩、から選ばれる1以上のアニオン性界面活性剤、
(C)ベタイン型両性界面活性剤、
(D)モノC
8−14脂肪酸グリセリル、
(E)C
5−6ヒドロキシアルコール、ならびに
(F)水
を含有し、pHが4.0〜8.0の範囲である組成物。
[2](A)が、N−アシルアミノ酸ステロールエステルである、[1]に記載の組成物。
[3](A)が、式(1):
【化1】
(式中、
Xは、水素原子、C
8−38脂肪族アルコールのエステル生成残基、またはステロールのエステル生成残基を示し、
R
1は、水素原子またはC
1−6アルキル基を示し、
COR
2は、C
8−22アシル基を示し、
R
3は、水素原子、または−COOY(式中、Yは、水素原子、C
8−38脂肪族アルコールのエステル生成残基、またはステロールのエステル生成残基を示す)で示される基を示し、
nは1または2を示す。
但し、R
3が水素原子のとき、Xはステロールのエステル生成残基であり、R
3が−COOYで示される基のとき、XまたはYの少なくとも一方がステロールのエステル生成残基である。)
で示されるN−アシルアミノ酸ステロールエステルである、[1]または[2]に記載の組成物。
[4]ステロールのエステル生成残基がフィトステロールまたはコレステロールのエステル生成残基であり、COR
2がラウロイル基またはミリストイル基であり、かつnが2である、[3]に記載の組成物。
[5]ステロールのエステル生成残基がフィトステロールのエステル生成残基であり、COR
2がラウロイル基であり、かつnが2である、[3]に記載の組成物。
[6](A)が、N−ミリストイル−N−メチル−β−アラニンフィトステリル、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(コレステリル/ベヘニル/2−オクチルドデシル)、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(フィトステリル/ベヘニル/2−オクチルドデシル)、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(コレステリル/2−オクチルドデシル)、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(フィトステリル/2−オクチルドデシル)またはN−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(フィトステリル/ベヘニル/2−オクチルドデシル/イソステアリル)である、[1]〜[4]のいずれか1項に記載の組成物。
[7](A)が、脂肪酸ステロールエステルである、[1]に記載の組成物。
[8](A)が、酪酸フィトステリル、ノナン酸フィトステリル、ステアリン酸コレステリル、イソステアリン酸コレステリル、イソステアリン酸フィトステリル、ヒドロキシステアリン酸コレステリル、ヒドロキシステアリン酸フィトステリル、カプリル/カプリン酸フィトステリル、リノール酸フィトステリル、リノレン酸フィトステリル、リシノール酸フィトステリル、オレイン酸コレステリル、オレイン酸フィトステリル、オレイン酸ジヒドロコレステリル、分岐脂肪酸(C
12−31)フィトステリル、フィトステリルカノラ油脂肪酸グリセリズ、フィトステリルナタネグリセリズ、ホホバ油脂肪酸フィトステリル、マカデミアナッツ油脂肪酸フィトステリル、マカデミアナッツ油脂肪酸コレステリル、マカデミアナッツ油脂肪酸ジヒドロコレステリル、ヒマワリ種子油脂肪酸フィトステリル、コメヌカ油脂肪酸フィトステリル、ダイマージリノール酸(フィトステリル/イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル)、ダイマージリノール酸ダイマージリノレイルビス(ベヘニル/イソステアリル/フィトステリル)、ダイマージリノール酸(フィトステリル/ベヘニル)およびダイマージリノール酸ジ(イソステアリル/フィトステリル)から選択される、[1]または[7]に記載の組成物。
[9](B1)が、式(2):
【化2】
(式中、
R
4COは、C
8−22アシル基を示し、
R
5は水素原子またはC
1−6アルキル基を示し、
R
6は水素原子、ヒドロキシ基で置換されていてもよいC
1−6アルキル基、またはカルボキシル基を示し、
mは0〜2の整数を示す。)
で表されるN−アシルアミノ酸またはその塩である[1]〜[8]のいずれか1項に記載の組成物。
[10](C)が、式(4):
【化3】
(式中、
R
8COはC
8−24アシル基を示し、R
9、R
10はそれぞれ独立して、水素原子またはC
1−6アルキル基を示し
qは2〜4の整数を示し、
rは1〜3の整数を示す。)
で表されるアミドベタイン型両性界面活性剤である[1]〜[9]のいずれか1項に記載の組成物。
[11](D)が、モノカプリル酸グリセリルである[1]〜[10]のいずれか1項に記載の組成物。
[12](E)が、2−ヒドロキシ−1−ペンタノールである[1]〜[11]のいずれか1項に記載の組成物。
[13](A)を(A)〜(F)の全量に対して0.02〜5質量%含有する、[1]〜[12]のいずれか1項に記載の組成物。
[14](B)を(A)〜(F)の全量に対して2〜35質量%含有する、[1]〜[13]のいずれか1項に記載の組成物。
[15](C)を(A)〜(F)の全量に対して0.2〜20質量%含有する、[1]〜[14]のいずれか1項に記載の組成物。
[16](D)を(A)〜(F)の全量に対して0.1〜10質量%含有する、[1]〜[15]のいずれか1項に記載の組成物。
[17](E)を(A)〜(F)の全量に対して0.1〜10質量%含有する、[1]〜[16]のいずれか1項に記載の組成物。
[18](A)の質量/(D)の質量が、0.002〜5.0である[1]〜[17]のいずれか1項に記載の組成物。
[19](A)の質量/(E)の質量が、0.002〜5.0である[1]〜[18]のいずれか1項に記載の組成物。
[20](A)の質量/((D)の質量+(E)の質量)が、0.001〜2.5である[1]〜[19]のいずれか1項に記載の組成物。
[21]((D)の質量+(E)の質量)/((B)の質量+(C)の質量)が、0.003〜5.0である[1]〜[20]のいずれか1項に記載の組成物。
[22]皮膚または毛髪用液体洗浄料である、[1]〜[21]のいずれか1項に記載の組成物。
[23]モノC
8−14脂肪酸グリセリルおよびC
5−6ヒドロキシアルコールを混合することを特徴とする、ステロールエステル、界面活性剤及び水を含有する組成物の安定化方法。
[24]モノC
8−14脂肪酸グリセリルおよびC
5−6ヒドロキシアルコールを混合することを特徴とする、界面活性剤及び水を含有する組成物へのステロールエステルの可溶化方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明により、優れたスキンケアおよびヘアケア効果を有するステロールエステルを、透明性を損なうことなく高濃度に溶解することができ、しかも安定性、泡立ち、すすぎ性、使用感(すすぎ時および/または使用後)およびエモリエント性に優れた組成物を提供することが可能となった。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[A成分:ステロールエステル]
ステロールエステルは、ステロールをアシルアミノ酸でエステル化して得られるN−アシルアミノ酸ステロールエステル、またはステロールを脂肪酸でエステル化して得られる脂肪酸ステロールエステル等が挙げられる。
【0010】
ステロールとしては、カンペステロール、カンペスタノール、ブラシカステロール、22−デヒドロカンペステロール、スチグマステロール、スチグマスタノール、22−ジヒドロスピナステロール、22−デヒドロスチグマスタノール、7−デヒドロスチグマステロール、シトステロール、チルカロール、オイホール、フコステロール、イソフコステロール、コジステロール、クリオナステロール、ポリフェラステロール、クレロステロール、22−デヒドロクレロステロール、フンギステロール、コンドリラステロール、アベナステロール、ベルノステロール、ポリナスタノール等のフィトステロール;コレステロール、ジヒドロコレステロール、コレスタノール、コプロスタノール、エピコプロステロール、エピコプロスタノール、22−デヒドロコレステロール、デスモステロール、24−メチレンコレステロール、ラノステロール、24,25−ジヒドロラノステロ−ル、ノルラノステロ−ル、スピナステロール、ジヒドロアグノステロール、アグノステロール、ロフェノール、ラトステロール等の動物性ステロール;デヒドロエルゴステロール、22,23−ジヒドロエルゴステロール、エピステロール、アスコステロール、フェコステロール等の菌類性ステロール等、ならびにこれらの水添物およびこれらの配合物等が挙げられる。植物から抽出等によって得られるステロールの混合物を用いても良い。
ステロールとしては、フィトステロール、ラノステロール、コレステロールまたはジヒドロコレステロールが好ましく、フィトステロールがより好ましい。シトステロール、スチグマステロール、カンペステロールおよびブラシカステロールを含むフィトステロールを用いることがより好ましい。
シトステロール、スチグマステロール、カンペステロールおよびブラシカステロールの比、シトステロール:スチグマステロール:カンペステロール:ブラシカステロールが25〜65:10〜45:5〜30:0.01〜10であることが好ましく、35〜55:20〜35:10〜25:0.1〜8であることがより好ましい。
【0011】
アシルアミノ酸のアミノ酸としては、グリシン、N−メチルグリシン、アラニン、β−アラニン、N−メチル−β−アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、トレオニン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、シスチン、システイン、メチオニン、プロリン、ヒドロキシプロリン、アスパラギン、アスパラギン酸、グルタミン、グルタミン酸、アルギニン、ヒスチジン、リシン等が挙げられる。なかでもアラニン、β−アラニン、N−メチル−β−アラニン、グルタミン酸が好ましく、N−メチル−β−アラニン、グルタミン酸がより好ましく、グルタミン酸がさらにより好ましい。
【0012】
ステロールエステルは、好ましくは、N−アシルアミノ酸ステロールエステルであり、中でも、式(1)で示されるN−アシルアミノ酸ステロールエステルが特に好ましい。
【0014】
(式中、
Xは、水素原子、C
8−38脂肪族アルコールのエステル生成残基、またはステロールのエステル生成残基を示し、
R
1は、水素原子またはC
1−6アルキル基を示し、
COR
2は、C
8−22アシル基を示し、
R
3は、水素原子、または−COOY(式中、Yは、水素原子、C
8−38脂肪族アルコールのエステル生成残基、またはステロールのエステル生成残基を示す)で示される基を示し、
nは1または2を示す。
但し、R
3が水素原子のとき、Xはステロールのエステル生成残基であり、R
3が−COOYで示される基のとき、XまたはYの少なくとも一方がステロールのエステル生成残基である。)
【0015】
XまたはYで示される「C
8−38脂肪族アルコールのエステル生成残基」における「C
8−38脂肪族アルコール」としては、天然または合成の、直鎖または分岐鎖の、飽和または不飽和の、一価のC
8−38脂肪族アルコールであり、カプリルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、アラキジニルアルコール、ベヘニルアルコール等の直鎖飽和アルコール;2−ヘキシルデシルアルコール、2−オクチルドデシルアルコール、イソステアリルアルコール、デシルテトラデシルアルコール等の分岐鎖飽和アルコール;オレイルアルコール、リノレイルアルコール等の直鎖不飽和アルコール;等が挙げられる。
XまたはYで示される「C
8−38脂肪族アルコールのエステル生成残基」における「C
8−38脂肪族アルコール」は、好ましくは、C
8−30脂肪族アルコール(好ましくはC
12−24脂肪族アルコール、より好ましくはC
16−20脂肪族アルコール)でかつ融点が25℃以上のものであり、好適な具体例としては、2−ヘキシルデシルアルコール、2−オクチルドデシルアルコール、イソステアリルアルコール、デシルテトラデシルアルコール等の分岐鎖飽和アルコール;オレイルアルコール、リノレイルアルコール等の直鎖不飽和アルコールが挙げられる。中でも、2−ヘキシルデシルアルコール、2−オクチルドデシルアルコールまたはデシルテトラデシルアルコールが好ましく、2−オクチルドデシルアルコールがより好ましい。
別の態様として、XまたはYで示される「C
8−38脂肪族アルコールのエステル生成残基」における「C
8−38脂肪族アルコール」は、好ましくは、飽和C
12−38脂肪族アルコール(好ましくはC
12−24脂肪族アルコール、より好ましくはC
16−22脂肪族アルコール)でかつ融点が25℃未満のものである。
好適な具体例としては、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール等が挙げられる。中でも、ステアリルアルコールまたはベヘニルアルコールが好ましく、ベヘニルアルコールがより好ましい。
【0016】
XまたはYで示される「ステロールのエステル生成残基」における「ステロール」としては、前述のステロールが挙げられる。中でも、フィトステロール、ラノステロール、コレステロールまたはジヒドロコレステロールが好ましく、フィトステロールまたはコレステロールがさらに好ましく、フィトステロールがより好ましい。シトステロール、スチグマステロール、カンペステロールおよびブラシカステロールを含むフィトステロールを用いることがより好ましい。
シトステロール、スチグマステロール、カンペステロールおよびブラシカステロールの比、シトステロール:スチグマステロール:カンペステロール:ブラシカステロールが25〜65:10〜45:5〜30:0.01〜10であることが好ましく、35〜55:20〜35:10〜25:0.1〜8であることがより好ましい。
【0017】
R
3としては、−COOYで示される基が好ましい。
【0018】
COR
2で示される「C
8−22アシル基」としては、例えば、直鎖または分岐鎖の、飽和または不飽和のC
8−22脂肪酸より誘導されるアシル基が挙げられ、オクタノイル、ノナノイル、デカノイル、ウンデカノイル、ラウロイル、ミリストイル、パルミトイル、ステアロイル、オレオイル、リノレイル等が挙げられる。単一組成の脂肪酸より誘導されるアシル基のほか、ヤシ油脂肪酸、ヒマシ油脂肪酸、オリーブ油脂肪酸、パーム油脂肪酸等の天然より得られる混合脂肪酸、あるいは合成により得られる脂肪酸(分岐脂肪酸を含む)より誘導されるアシル基であっても良い。中でも、ラウロイル、ミリストイル、パルミトイルまたはステアロイルが好ましく、ラウロイル、ミリストイルがより好ましく、ラウロイルが特に好ましい。
すなわち、COR
2中のR
2は、直鎖または分岐鎖の、飽和または不飽和のC
7−21の炭化水素基を表す。C
7−21の炭化水素基としては、C
7−21アルキル基、またはC
7−21アルケニル基が挙げられる。
【0019】
「C
7−21アルキル基」としては、例えば、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル(ラウリル)、トリデシル、テトラデシル(ミリスチル)、ペンタデシル、ヘキサデシル(パルミチル、セチル)、ヘプタデシル、オクタデシル(ステアリル)、ノナデシル、イコシル(アラキジニル)等が挙げられる。中でも、炭素原子数11〜13のアルキル基が好ましい。
【0020】
「C
7−21アルケニル基」としては、直鎖または分岐鎖のいずれでもよく、例えば、1−ヘプテニル、1−オクテニル、1−ノネニル、1−デセニル、1−ウンデセニル、1−ドデセニル、1−トリデセニル、1−テトラデセニル、1−ペンタデセニル、1−ヘキサデセニル、1−ヘプタデセニル、1−オクタデセニル、1−ノナデセニル、1−イコセニル、1−ヘンイコセニル等が挙げられる。中でも、炭素原子数11〜13のアルケニル基が好ましい。
【0021】
R
1で示される「C
1−6アルキル基」としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、1−エチルプロピル、ヘキシル、イソヘキシル、1,1−ジメチルブチル、2,2−ジメチルブチル、3,3−ジメチルブチル、2−エチルブチル等が挙げられる。中でも、メチル、エチルが好ましい。
R
1としては、水素原子が好ましい。
【0022】
nは1または2を示す。nが1かつR
3が−COOYの場合、N−アシルアミノ酸ステロールエステルは、N−アシルアスパラギン酸ステロールエステルになり、nが2かつR
3が−COOYの場合、N−アシルグルタミン酸ステロールエステルとなる。nが2かつR
3が−COOYの場合、すなわちN−アシルグルタミン酸ステロールエステルが好ましい。なお、アミノ酸は光学活性体又はラセミ体のいずれであってもよい。
【0023】
なお、本発明において、N−アシルアミノ酸ステロールエステルは、2種以上の混合物であってもよい。
【0024】
N−アシルアミノ酸ステロールエステルとしては、N−ミリストイル−N−メチル−β−アラニンフィトステリル、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(コレステリル/ベヘニル/2−オクチルドデシル)、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(フィトステリル/ベヘニル/2−オクチルドデシル)、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(コレステリル/2−オクチルドデシル)、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(フィトステリル/2−オクチルドデシル)またはN−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(フィトステリル/ベヘニル/2−オクチルドデシル/イソステアリル)が好ましく、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(コレステリル/ベヘニル/2−オクチルドデシル)、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(フィトステリル/ベヘニル/2−オクチルドデシル)、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(コレステリル/2−オクチルドデシル)またはN−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(フィトステリル/2−オクチルドデシル)がより好ましく、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(フィトステリル/ベヘニル/2−オクチルドデシル)またはN−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(フィトステリル/2−オクチルドデシル)が好ましく、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(フィトステリル/2−オクチルドデシル)がより好ましい。
【0025】
なお、本明細書において、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(フィトステリル/2−オクチルドデシル)と記載した場合、N−ラウロイル−L−グルタミン酸の2つのカルボキシル基が、フィトステロール、またはフィトステロールおよび2−オクチルドデシルアルコールとエステル形成している化合物を含む混合物を示す。即ち、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジフィトステリルエステル、N−ラウロイル−L−グルタミン酸γ−フィトステリル−α−2−オクチルドデシルエステル、およびN−ラウロイル−L−グルタミン酸α−フィトステリル−γ−2−オクチルドデシルエステルを含む。
また、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(フィトステリル/ベヘニル/2−オクチルドデシル)と記載した場合、N−ラウロイル−L−グルタミン酸の2つのカルボキシル基が、フィトステロール、フィトステロールおよびベヘニルアルコール、またはフィトステロールおよび2−オクチルドデシルアルコールとエステル形成している化合物を含む混合物を示す。即ち、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジフィトステリルエステル、N−ラウロイル−L−グルタミン酸γ−フィトステリル−α−2−オクチルドデシルエステル、N−ラウロイル−L−グルタミン酸α−フィトステリル−γ−2−オクチルドデシルエステルおよびN−ラウロイル−L−グルタミン酸γ−フィトステリル−α−ベヘニルエステルおよびN−ラウロイル−L−グルタミン酸α−フィトステリル−γ−ベヘニルエステルを含む。
すなわち上記N−ラウロイル−L−グルタミン酸ステロールエステルは、N−ラウロイル−L−グルタミン酸の2つのカルボキシル基が、フィトステロール(コレステロール)またはフィトステロール(コレステロール)およびC
8−38脂肪族アルコールとエステル形成している化合物を含む混合物である。
【0026】
ステロールエステルとしては、ステロールと脂肪酸でエステル化した脂肪酸ステロールエステルを用いることもでき、脂肪酸としては、酪酸、吉草酸、カプロン酸、カプリル酸、ノナン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、ステアリン酸、ヒドロキシステアリン酸、イソステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、リシノール酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、ネルボン酸等の、直鎖または分岐鎖の、飽和または不飽和のC
4−31脂肪酸の1種または2種以上が挙げられる。これらは、天然の動植物油由来の脂肪酸でもよく、例えば、ヒマシ油脂肪酸、脱水ヒマシ油脂肪酸、マカデミアナッツ油脂肪酸、ヤシ油脂肪酸、ピーナッツ油脂肪酸、魚油脂肪酸、菜種油脂肪酸(カノラ油脂肪酸)、ハイブリッドヒマワリ油脂肪酸、ヒマワリ油脂肪酸、ヒマワリ種子油脂肪酸、パーム油脂肪酸、綿実油脂肪酸、大豆油脂肪酸、サフラワー油脂肪酸、小麦胚芽油脂肪酸、コメヌカ油脂肪酸、ゴマ油脂肪酸、コーン油脂肪酸、月見草種子油脂肪酸、ラノリン脂肪酸、非ヒドロキシラノリン脂肪酸、ヒドロキシラノリン脂肪酸、乳脂肪脂肪酸等が挙げられる。これらの脂肪酸は、水素添加がされていてもよい。また、不飽和脂肪酸の分子間重合反応によって得られる二塩基酸であるダイマー酸(例えばダイマージリノール酸)であってもよい。この中でも、酪酸、ノナン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、ヒドロキシステアリン酸、カプリル酸、カプリン酸、リシノール酸、オレイン酸、マカデミアナッツ油脂肪酸、ヒマワリ種子油脂肪酸、コメヌカ油脂肪酸、またはダイマージリノール酸が好ましく、マカデミアナッツ油脂肪酸またはダイマージリノール酸がより好ましく、ダイマージリノール酸がより好ましい。
【0027】
ステロールと脂肪酸でエステル化した脂肪酸ステロールエステルとしては、例えば、酪酸フィトステリル、ノナン酸フィトステリル、ステアリン酸コレステリル、イソステアリン酸コレステリル、イソステアリン酸フィトステリル、ヒドロキシステアリン酸コレステリル、ヒドロキシステアリン酸フィトステリル、カプリル/カプリン酸フィトステリル、リノール酸フィトステリル、リノレン酸フィトステリル、リシノール酸フィトステリル、オレイン酸コレステリル、オレイン酸フィトステリル、オレイン酸ジヒドロコレステリル、分岐脂肪酸(C
12−31)フィトステリル、フィトステリルカノラ油脂肪酸グリセリズ、フィトステリルナタネグリセリズ、ホホバ油脂肪酸フィトステリル、マカデミアナッツ油脂肪酸フィトステリル、マカデミアナッツ油脂肪酸コレステリル、マカデミアナッツ油脂肪酸ジヒドロコレステリル、ヒマワリ種子油脂肪酸フィトステリル、コメヌカ油脂肪酸フィトステリル、ダイマージリノール酸(フィトステリル/イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル)、ダイマージリノール酸ダイマージリノレイルビス(ベヘニル/イソステアリル/フィトステリル)、ダイマージリノール酸(フィトステリル/ベヘニル)およびダイマージリノール酸ジ(イソステアリル/フィトステリル)等が挙げられる。好ましくはマカデミアナッツ油脂肪酸フィトステリル、ダイマージリノール酸(フィトステリル/イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル)、ダイマージリノール酸ダイマージリノレイルビス(ベヘニル/イソステアリル/フィトステリル)、ダイマージリノール酸(フィトステリル/ベヘニル)およびダイマージリノール酸ジ(イソステアリル/フィトステリル)が挙げられる。
【0028】
本発明の組成物には、ステロールエステルを1種以上含有させることができる。
【0029】
本発明の組成物中、(A)の含量は、特に制限はないが、(A)〜(F)の全量に対して0.02〜5質量%が好ましい。下限値は、0.05質量%がより好ましく、0.07質量%がより好ましく、0.1質量%がより好ましい。上限値は、3質量%がより好ましく、2.5質量%がより好ましく、2質量%がより好ましく、1質量%がより好ましい。
【0030】
[B成分:アニオン性界面活性剤]
本発明の(B)は、(B1)C
8−22アシル基を有するN−アシルアミノ酸またはその塩、および(B2)ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸またはその塩から選ばれる1以上のアニオン性界面活性剤である。
【0031】
(B1)のC
8−22アシル基を有するN−アシルアミノ酸は、例えば、アミノ酸と脂肪酸ハライドとのショッテンバウマン反応により得ることができる。
【0032】
アミノ酸としては、グリシン、N−メチルグリシン、アラニン、β−アラニン、N−メチル−β−アラニン、スレオニン、グルタミン酸、アスパラギン酸等が使用できる。これらのアミノ酸はL体、D体又はDL体の何れでも良く、また、これらから選ばれる2種以上の混合体であっても良い。液体洗浄料への配合が容易であり、使用感が良いという観点で、グリシン、N−メチルグリシン、アラニン、N−メチル−β−アラニン、スレオニン、グルタミン酸が好ましい。
【0033】
C
8−22アシル基を有するN−アシルアミノ酸は、好ましくは、式(2)で表される化合物である。
【0035】
式中、
R
4COは、C
8−22アシル基を示し、
R
5は水素原子またはC
1−6アルキル基を示し、
R
6は水素原子、ヒドロキシ基で置換されていてもよいC
1−6アルキル基、またはカルボキシル基を示し、
mは0〜2の整数を示す。
【0036】
C
8−22アシル基を有するN−アシルアミノ酸における「C
8−22アシル基」、およびR
4COで示される「C
8−22アシル基」としては、炭素原子数8〜22の飽和又は不飽和脂肪酸より誘導される、直鎖または分岐鎖のものを使用できる。例えば、脂肪酸としては、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、パルミチン酸、オレイン酸、リノール酸、ベヘン酸、ヤシ油脂肪酸、パーム脂肪酸、硬化牛脂脂肪酸等が挙げられる。これらのうち1種類を使用しても良いし、上記群から選ばれる2種以上を混合して使用しても構わない。特に、泡立ち、泡質が良いという観点から、ヤシ油脂肪酸、ラウリン酸、ミリスチン酸が好ましい。
すなわち、R
4CO中のR
4は、直鎖または分岐鎖の、飽和または不飽和のC
7−21の炭化水素基を表す。C
7−21の炭化水素基としては、C
7−21アルキル基、またはC
7−21アルケニル基が挙げられる。
【0037】
「C
7−21アルキル基」としては、例えば、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル(ラウリル)、トリデシル、テトラデシル(ミリスチル)、ペンタデシル、ヘキサデシル(パルミチル、セチル)、ヘプタデシル、オクタデシル(ステアリル)、ノナデシル、イコシル(アラキジニル)等が挙げられる。中でも、炭素原子数11〜13のアルキル基が好ましい。
「C
7−21アルケニル基」としては、直鎖または分岐鎖のいずれでもよく、例えば、1−ヘプテニル、1−オクテニル、1−ノネニル、1−デセニル、1−ウンデセニル、1−ドデセニル、1−トリデセニル、1−テトラデセニル、1−ペンタデセニル、1−ヘキサデセニル、1−ヘプタデセニル、1−オクタデセニル、1−ノナデセニル、1−イコセニル、1−ヘンイコセニル等が挙げられる。中でも、炭素原子数11〜13のアルケニル基が好ましい。
【0038】
R
5で示される「C
1−6アルキル基」としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、1−エチルプロピル、ヘキシル、イソヘキシル、1,1−ジメチルブチル、2,2−ジメチルブチル、3,3−ジメチルブチル、2−エチルブチル等が挙げられる。中でも、メチル、エチルが好ましく、エチルが好ましい。
R
5としては、水素原子が好ましい。
【0039】
R
6で示される「C
1−6アルキル基」としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、1−エチルプロピル、ヘキシル、イソヘキシル、1,1−ジメチルブチル、2,2−ジメチルブチル、3,3−ジメチルブチル、2−エチルブチル等が挙げられる。中でも、メチル、エチルが好ましい。ヒドロキシ基で置換された「C
1−6アルキル基」としては、2−ヒドロキシエチル等が挙げられる。
R
6としては、水素原子、メチル、2−ヒドロキシエチルが好ましい。
【0040】
(B2)のポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸としては、特に制限はないが、式(3)で表されるポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸が好ましい。
【0042】
式中、
R
7はC
8−24アルキル基を示し
pは0.5≦p≦8を示す。
【0043】
R
7で示される「C
8−24アルキル基」としては、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル(ラウリル)、トリデシル、テトラデシル(ミリスチル)、ペンタデシル、ヘキサデシル(パルミチル、セチル)、ヘプタデシル、オクタデシル(ステアリル)、ノナデシル、イコシル(アラキジニル)、ドコシル(ベヘニル)、トリコシル、テトラコシル等が挙げられる。
【0044】
pはエチレンオキサイドの平均付加数であり0.5≦p≦8である。pの下限値は1.0が好ましく、1.5がより好ましく、2.0がより好ましい。上限値は7.0が好ましく、5.0がより好ましく、4.0がより好ましく、3.5がより好ましく、3.0がより好ましい。
【0045】
(B1)のC
8−22アシル基を有するN−アシルアミノ酸および(B2)のポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸の塩としては特に限定されず、例えば、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属、アルミニウム、亜鉛などとの無機塩、あるいはアンモニア、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の有機アミンや、アルギニン、リジン等の塩基性アミノ酸等との有機塩が挙げられる。これらのうち一種類を使用しても良いし、上記群から選ばれる2種以上を混合して使用しても構わない。入手の容易性、取り扱い性等の観点から、アルカリ金属塩又は有機アミン塩、塩基性アミノ酸塩が好ましく、ナトリウム塩、カリウム塩、トリエタノールアミン塩、アルギニン塩が特に好ましい。
【0046】
(B1)のC
8−22アシル基を有するN−アシルアミノ酸またはその塩としては、ココイルグルタミン酸ナトリウム(ヤシ油脂肪酸アシルグルタミン酸ナトリウム)、ラウロイルグルタミン酸ナトリウム、ココイルグルタミン酸TEA(ヤシ油脂肪酸アシルグルタミン酸トリエタノールアミン塩)、が挙げられる。なかでもココイルグルタミン酸ナトリウムが好ましい。
【0047】
(B2)のポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸またはその塩としては、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸アンモニウムが好ましく、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム(ラウレス硫酸ナトリウム)がより好ましい。
【0048】
本発明の組成物中、(B)は、特に制限はないが、(A)〜(F)の全量に対して、2〜35質量%で使用されることが好ましい。2質量%以上の場合、泡立ちがより良好となり、35質量%以下の場合、組成物の流動性がより好適となり、ハンドリング性により優れる。十分な洗浄力と幅広い温度領域にわたって適度な粘度特性を有する組成物を得られるという観点で、3〜25質量%が好ましく、5〜20質量%がさらに好ましい。
【0049】
[C成分:ベタイン型両性界面活性剤]
本発明に用いられる(C)ベタイン型両性界面活性剤としては、特に制限はないが、具体的には酢酸ベタイン型両性界面活性剤、アミドベタイン型両性界面活性剤、スルホベタイン型両性界面活性剤、ホスホベタイン型両性界面活性剤、イミダゾリニウムベタイン型両性界面活性剤などを使用することができる。ベタイン型両性界面活性剤の好ましい例として、式(4)で表されるアミドベタイン型両性界面活性剤をあげることができる。
【0051】
式中、
R
8COはC
8−24アシル基を示し、R
9、R
10はそれぞれ独立して、水素原子、C
1−6アルキル基を示し
qは2〜4の整数を示し、
rは1〜3の整数を示す。
【0052】
R
8COで示される「C
8−24アシル基」としては、飽和又は不飽和脂肪酸より誘導される、直鎖または分岐鎖のものを使用できる。例えば、脂肪酸としては、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、リノール酸、ベヘン酸、アラキドン酸、ヤシ油脂肪酸、パーム脂肪酸、硬化牛脂脂肪酸等が挙げられる。これらのうち一種類を使用しても良いし、上記群から選ばれる2種以上を混合して使用しても構わない。特に、泡立ち、泡質が良いという観点から、ヤシ油脂肪酸、ラウリン酸、ミリスチン酸が好ましい。
すなわち、R
8CO中のR
8は、直鎖または分岐鎖の、飽和または不飽和のC
7−23の炭化水素基を表す。C
7−23の炭化水素基としては、C
7−23アルキル基、またはC
7−23アルケニル基が挙げられる。
「C
7−23アルキル基」としては、例えば、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル(ラウリル)、トリデシル、テトラデシル(ミリスチル)、ペンタデシル、ヘキサデシル(パルミチル、セチル)、ヘプタデシル、オクタデシル(ステアリル)、ノナデシル、イコシル(アラキジニル)、ドコシル(ベヘニル)、トリコシル等が挙げられる。中でも、炭素原子数11〜13のアルキル基が好ましい。
「C
7−23アルケニル基」としては、直鎖または分岐鎖のいずれでもよく、例えば、1−ヘプテニル、1−オクテニル、1−ノネニル、1−デセニル、1−ウンデセニル、1−ドデセニル、1−トリデセニル、1−テトラデセニル、1−ペンタデセニル、1−ヘキサデセニル、1−ヘプタデセニル、1−オクタデセニル、1−ノナデセニル、1−イコセニル、1−ヘンイコセニル、1−ドコセニル、1−トリドコセニル等が挙げられる。中でも、炭素原子数11〜13のアルケニル基が好ましい。
【0053】
R
9、R
10で示される「C
1−6アルキル基」としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、1−エチルプロピル、ヘキシル、イソヘキシル、1,1−ジメチルブチル、2,2−ジメチルブチル、3,3−ジメチルブチル、2−エチルブチル等が挙げられる。中でも、メチル、エチルが好ましく、メチルが好ましい。
【0054】
qは2〜4の整数を示し、好ましくは3である。
【0055】
rは1〜3の整数を示す。好ましくは1である。
【0056】
(C)の好ましい例としては、ラウリン酸アミドプロピルベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン(コカミドプロピルベタイン)、ミリスチン酸アミドプロピルベタインが挙げられる。泡立ち、および組成物の安定性の観点から、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタインが特に好ましい。
【0057】
本発明の組成物中、(C)は、特に制限はないが、(A)〜(F)の全量に対して、0.2〜20質量%で使用されることが好ましい。0.2質量%以上の場合、泡立ちがより早くなり、20質量%以下の場合、より泡保持が良好となる。速泡性、泡量、泡もちのバランスの良さという点で、0.5〜15質量%が好ましく、1.0〜10質量%がさらに好ましい。
【0058】
[D成分:モノC
8−14脂肪酸グリセリル]
本発明に用いられる(D)モノC
8−14脂肪酸グリセリルとしては、具体的には、モノカプリル酸グリセリル、モノカプリン酸グリセリル、モノラウリン酸グリセリル、モノミリスチン酸グリセリルが挙げられる。これらのうち1種類を使用しても良いし、上記群から選ばれる2種以上を混合して使用しても構わない。モノカプリル酸グリセリルが特に好ましい。
【0059】
本発明の組成物中、(D)は、特に制限はないが、(A)〜(F)の全量に対して、0.1〜10質量%で使用されることが好ましい。0.1質量%以上の場合、より泡立ちが良好となり、10質量%以下の場合、より安定性が増す。低温から高温まで組成物の透明性が安定的に保持されるという点で、0.5〜8質量%が好ましく、1〜5質量%がさらに好ましい。
【0060】
[E成分:C
5−6ヒドロキシアルコール]
本発明に用いられる(E)C
5−6ヒドロキシアルコールとしては、具体的には、2−ヒドロキシ−1−ペンタノール、3−ヒドロキシ−3−メチルブタノール、2,2−ジメチル−3−ヒドロキシブタノール、2−ヒドロキシ−1−ヘキサノール、6−ヒドロキシ−1−ヘキサノール等が挙げられる。これらのうち1種類を使用しても良いし、上記群から選ばれる2種以上を混合して使用しても構わない。このうち、2−ヒドロキシ−1−ペンタノール、2−ヒドロキシ−1−ヘキサノール、6−ヒドロキシ−1−ヘキサノールが好ましく、2−ヒドロキシ−1−ペンタノールがさらに好ましい。
【0061】
本発明の組成物中、(E)は、特に制限はないが、(A)〜(F)の全量に対して、0.1〜10質量%で使用されることが好ましく、0.5〜8質量%がより好ましく、1〜5質量%がさらに好ましい。
【0062】
本発明の組成物は、通常pH4〜8であり、4.0〜8.0であることが好ましい。4.5〜7.5が好ましく、4.8〜7.2がより好ましく、5.0〜7.0が特に好ましい。
【0063】
(A)の質量/(D)の質量は、0.002〜5.0であることが好ましい。0.005〜2.0がより好ましく、0.01〜1.5がより好ましく、0.02〜1.0がさらに好ましい。
【0064】
(A)の質量/(E)の質量は、0.002〜5.0であることが好ましい。0.005〜2.0がより好ましく、0.01〜1.5がより好ましく、0.02〜1.0がさらに好ましい。
【0065】
(A)の質量/((D)の質量+(E)の質量)は、0.001〜2.5であることが好ましい。0.003〜1.0がより好ましく、0.005〜0.75がより好ましく、0.01〜0.5がさらに好ましい。
【0066】
((D)の質量+(E)の質量)/((B)の質量+(C)の質量)は、0.003〜5.0が好ましい。0.01〜3.0がより好ましく、0.03〜1.5がより好ましく、0.05〜1.0がさらに好ましい。
【0067】
本発明の組成物は、「透明」であることが好ましい。本明細書において「透明」とは、水相にステロールエステルを乳化させたことによる白濁がないことを意味し、パール化剤や有機または無機の粉体、固形の界面活性剤などの固体成分の分散により白濁していても構わない。
【0068】
本発明の組成物の用途は、特に限定されるものではないが、当該組成物は種々の洗浄料および化粧料(医薬部外品を含む)として提供することができる。例えば、石鹸、洗剤、洗顔料(クリーム状、ぺースト状、液状、ジェル状、エアゾールなど)、ヘアシャンプー、ボディシャンプー、シャワージェルなどの清浄用組成物、歯磨きなどの口腔組成物などが挙げられる。剤形の透明感と皮膚・毛髪へのエモリエント効果をいかすという点で、皮膚または毛髪用液体洗浄料とすることが好ましい。
【0069】
本発明の組成物は、ヒト、ヒト以外の動物〔例えば、ヒト以外の哺乳類(ブタ、ウシ、ウマ、イヌ等の家畜および愛玩動物)、鳥類(シチメンチョウ、ニワトリ等の家禽および愛玩動物)等〕等あらゆる動物に適用することができる。
【0070】
本発明の組成物の製造方法は、特に限定されるものではなく、公知の方法を組み合わせて製造することができる。例えば、全ての原料を秤量し、70〜90℃に加熱して混合溶解した後、撹拌しながら室温まで冷却することにより製造することができる。
【0071】
本発明の組成物には、上述の必須成分の他に通常の化粧料、医薬部外品等に用いられる各種任意成分を、本発明の効果を阻害しない程度に適宜配合することができる。具体的には、油剤、界面活性剤、増粘剤、防腐剤、香料、紫外線吸収剤、保湿剤、生理活性成分、酸化防止剤、抗炎症剤、抗菌剤、制汗剤、キレート剤、中和剤、pH調整剤等の成分であり、具体的用途や剤形態に応じて配合することができる。
【0072】
本発明の別の態様として、モノC
8−14脂肪酸グリセリルおよびC
5−6ヒドロキシアルコールを混合することを特徴とする、ステロールエステル、界面活性剤及び水を含有する組成物の安定化方法が挙げられる。各定義は上記に述べた(A)〜(E)と同様である。
たとえば、(A)ステロールエステル1質量部に対して(B)界面活性剤を1〜150質量部及び(C)界面活性剤を0.5〜75質量部、水100〜1500質量部を加えた組成物に対して、ステロールエステル1質量部に対して(D)モノC
8−14脂肪酸グリセリル1〜50質量部および(E)C
5−6ヒドロキシアルコール1〜50質量部を混合することを特徴とするステロールエステルの安定化、すなわち白濁することなく透明な状態を維持する方法が挙げられる。
【0073】
また別の態様としては、モノC
8−14脂肪酸グリセリルおよびC
5−6ヒドロキシアルコールを混合することを特徴とする、界面活性剤及び水を含有する組成物へのステロールエステルの可溶化方法が挙げられる。各定義は上記に述べた(A)〜(E)と同様である。
具体的には、(A)ステロールエステル1質量部に対して、(B)界面活性剤を1〜150質量部及び(C)界面活性剤を0.5〜75質量部、水100〜1500質量部、(D)モノC
8−14脂肪酸グリセリル1〜50質量部および(E)C
5−6ヒドロキシアルコール1〜50質量部を混合することを特徴とするステロールエステルの可溶化方法が挙げられる。
【実施例】
【0074】
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明は下記の実施例により限定されるものではない。
【0075】
実施例1〜16、比較例1〜13:
後述の表1〜表3記載の配合組成よりなる組成物を、各成分を秤量し、70〜90℃にて混合しながら溶解させ、撹拌しながら室温まで冷却することにより調製し、透明性、安定性、泡立ち、すすぎ性(すすぎのはやさ)、使用感(すすぎ時のきしみのなさ、さらさら感)、エモリエント性(洗浄後の肌の柔らかさ)を、下記の方法により評価した。
【0076】
(透明性 25℃)
組成物を直径約3.5cm、容量50mLの透明ガラス瓶に気泡を含まないように充填し、25℃の部屋に一晩静置した。TimesNewRomanの20ポイントのフォントでアルファベットの文字「A」を黒字で印刷した白い紙を瓶の向こう側に置き、室内の明かりで組成物を通して文字を見て、以下の基準に基づき、透明性を判断した。
◎ 濁り、油の分離が認められず、Aがくっきり見える。
○ 半透明で、Aははっきり見える。油の分離は認められない。
△ 濁りが強く、Aはかすれて見える、又は形が認識できない。
× 油が層状に分離している、または肉眼で分かる大きさの油滴が分散している。
【0077】
(安定性 40℃)
組成物を直径約3.5cm、容量50mL透明ガラス瓶に充填し、40℃の恒温槽に一ヶ月間静置した。恒温槽から取りだしてすぐの組成物の透明性を上記の基準に基づき、判断した。
【0078】
(泡立ち)
手のひらに組成物1.0gを載せ、少量の水を加えてもう一方の手で混ぜながら30秒間泡立てたときの泡量を5名のパネラーにより評価した。
4:非常に多い
3:多い
2:普通
1:やや少ない
0:少ない
平均点が3.0以上の場合を◎、2.0以上3.0未満を○、1.0以上2.0未満を△、1.0未満を×とした。
【0079】
(すすぎ性)
組成物1.0gを泡立てて両手全体に広げ、35〜40℃の水道水をシャワーで流す中で両手をもむようにしてすすぎ、ぬめりのとれるはやさを5名のパネラーにより評価した。
4:非常にはやい
3:はやい
2:普通
1:やや遅い
0:遅い
平均点が3.0以上の場合を◎、2.0以上3.0未満を○、1.0以上2.0未満を△、1.0未満を×とした。
【0080】
(使用感(すすぎ時のきしみのなさ))
組成物1.0gを泡立てて両手全体に広げ、35〜40℃の水道水をシャワーで流す中で両手をもむようにして1分間すすいだ後のきしみ感を5名のパネラーにより評価した。
4:全くない
3:ほとんどない
2:弱いきしみ
1:やや強い
0:非常に強い
平均点が3.0以上の場合を◎、2.0以上3.0未満を○、1.0以上2.0未満を△、1.0未満を×とした。
【0081】
(使用感(使用後のさらさら感))
組成物1.0gを泡立てて両手全体に広げ、35〜40℃の水道水をシャワーで流す中で両手をもむようにして1分間すすぎ、タオルで水分をふき取った。乾燥後の肌を5名のパネラーにより評価した。
4:非常にさらさらする
3:ややさらさらする
2:普通
1:さらさら感があまりない
0:さらさら感が全くない
平均点が3.0以上の場合を◎、2.0以上3.0未満を○、1.0以上2.0未満を△、1.0未満を×とした。
【0082】
(エモリエント性(柔らかさ))
組成物1.0gを泡立てて両手全体に広げ、35〜40℃の水道水をシャワーで流す中で両手をもむようにして1分間すすぎ、タオルで水分をふき取った。乾燥後の肌を5名のパネラーにより評価した。
4:つっぱり感がなく、とても柔らかく感じられる
3:柔らかく感じられる
2:普通
1:つっぱり感がややあり、柔らかさがあまり感じられない
0:つっぱり感が強く、柔らかさが感じられない
平均点が3.0以上の場合を◎、2.0以上3.0未満を○、1.0以上2.0未満を△、1.0未満を×とした。
【0083】
【表1】
【0084】
比較例1は(A)成分を含まないため透明性および安定性はよいものの、エモリエント性において劣る。しかし、エモリエント性を期待して(A)成分のみを比較例1の組成に添加した例(比較例2)では、(A)成分は安定に分散せず、透明性および安定性を失い、泡立ちも損なう。これに、さらに(D)成分のみを添加(比較例4)、(E)成分のみを添加(比較例3)しても、十分な安定性を得られないうえ、(A)成分を可溶化できる量が限られるため満足のいくエモリエント性を得ることができなかった。また、高HLBのノニオン界面活性剤を用いて(A)成分を水相に可溶化させても(比較例5)、泡立ちおよびすすぎ性の低下、べたつき感を生じた。
一方、実施例の組成物は、(A)から(E)成分をすべて含むため、透明性がよく、安定性、すすぎ時のきしみのなさ、およびエモリエント性に優れている。さらに、泡立ち、すすぎ性が向上し、乾燥後に優れたさらさら感が得られた。
【0085】
【表2】
【0086】
(E)成分に該当しない、3-ヒドロキシ-1-ブタノール、および/または2-ヒドロキシプロパノールを使用した場合(比較例6、7、8)は透明性、安定性が悪く、全体として満足のいく組成物を得ることができなかった。
またエタノールを用いて(A)成分を水相に可溶化させても(比較例9)、揮発性のある溶媒を用いるために安定性が充分でないうえ、泡立ちが低下し、すすぎ時のきしみが生じ、肌や毛髪へのステロールエステルの残留量が低下して充分なエモリエント効果が得られなかった。
【0087】
【表3】
【0088】
表3の結果より、実施例の組成物は、透明性がよく、安定性、泡立ち、すすぎ性、使用感(すすぎ時および/または使用後)およびエモリエント性に優れていることが示される。
【0089】
以下に本発明の処方例を示す。処方例の組成物は、いずれも、透明性がよく、安定性、泡立ち、すすぎ性、使用感(すすぎ時および/または使用後)およびエモリエント性に優れていることが示される。
【0090】
【表4】
【0091】
【表5】
【0092】
【表6】
【0093】
【表7】
【0094】
【表8】
【0095】
【表9】
【0096】
処方例5のヘアシャンプーはパールがかかって白く見えるが、これはジステアリン酸グリコールが析出しているためであり、ジステアリン酸グリコールを除いた処方は透明である。
【0097】
処方例6の洗顔クリームは白濁しているが、これはラウロイルリシンが分散しているためであり、ラウロイルリシンを除いた処方はいずれも透明である。
【0098】
なお、本発明に使用した材料は以下の通りである。
(A)成分
ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル):味の素社製「エルデュウ」PS−203
ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル/ベヘニル):味の素社製「エルデュウ」PS−304
N−ミリストイル−N−メチル−β−アラニンフィトステリル:味の素社製「エルデュウ」APS−307(N−ミリストイル−N−メチル−β−アラニンフィトステリルとN−ミリストイル−N−メチル−β−アラニンデシルテトラデシルの1:1混合物)
マカデミアナッツ油脂肪酸フィトステリル:日本精化社製YOFCO MAS
ヒドロキシステアリン酸フィトステリル:日光ケミカルズ社製フィトステリルヒドロキシステアレート
(B)成分
ラウレス硫酸ナトリウム:花王社製エマール E−27C
ココイルグルタミン酸ナトリウム:味の素社製「アミソフト」CS−22
(C)成分
コカミドプロピルベタイン:花王社製アンヒトール55B
(D)成分
カプリル酸グリセリル:太陽化学社製サンソフトNo.700P−2
カプリン酸グリセリル:太陽化学社製サンソフトNo.760
ラウリン酸グリセリル:太陽化学社製サンソフトNo.750
(E)成分
2−ヒドロキシ−1−ペンタノール:高級アルコール工業社製ジオールPD
2−ヒドロキシ−1−ヘキサノール:大阪有機化学工業社製KMO−6
6−ヒドロキシ−1−ヘキサノール:メルク社製1,6−ヘキサンジオール
3−ヒドロキシ−3−メチルブタノール:クラレ社製イソプレングリコール