特許第6264319号(P6264319)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6264319
(24)【登録日】2018年1月5日
(45)【発行日】2018年1月24日
(54)【発明の名称】洗車機および洗車方法
(51)【国際特許分類】
   B60S 3/06 20060101AFI20180115BHJP
【FI】
   B60S3/06
【請求項の数】8
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2015-69125(P2015-69125)
(22)【出願日】2015年3月30日
(65)【公開番号】特開2016-188029(P2016-188029A)
(43)【公開日】2016年11月4日
【審査請求日】2017年2月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003643
【氏名又は名称】株式会社ダイフク
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】特許業務法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石田 伸浩
【審査官】 粟倉 裕二
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−156991(JP,A)
【文献】 特開2003−276576(JP,A)
【文献】 特開2003−312453(JP,A)
【文献】 特開2007−038883(JP,A)
【文献】 特開2004−122955(JP,A)
【文献】 米国特許第07438075(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60S 3/00−06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被洗浄車両を跨ぐ門型の洗車機本体と、被洗浄車両を跨ぐ本体架台に配管部と噴射ノズルを備えた液剤噴射走行体を具備して高発泡液剤散布操作を含む所定の操作を行う散布装置と、を有し、被洗浄車両と前記散布装置を前後方向に相対移動させながら被洗浄車両に高発泡液剤を散布し、被洗浄車両と洗車機本体を前後方向に相対移動させながら被洗浄車両の洗車を行う洗車機であって、
前記液剤噴射走行体は洗車機本体を跨いで前後方向に移動可能に構成され、
前記散布装置が所定の操作を実行する時は、前記液剤噴射走行体が被洗浄車両を跨いで前後方向に移動して所定の操作を実行し、
前記散布装置が所定の操作を実行しない時は、前記液剤噴射走行体は前記噴射ノズルが洗車機本体の上部に在る位置に移動し、洗車機本体が移動する際には洗車機本体と共に移動することを特徴とする洗車機。
【請求項2】
洗車機本体に前記噴射ノズルから滴り落ちる高発泡液剤を貯留する天板を設けたことを特徴とする請求項1に記載の洗車機。
【請求項3】
前記散布装置は、前記噴射ノズルから洗浄水を高圧で噴射する高圧スプレー手段を備えて、高圧泡濯ぎ操作を実行可能とされ、高圧泡濯ぎ操作を実施した後は、前記散布装置は洗車機本体を跨ぐ位置に移動して洗車機本体と共に移動することを特徴とする請求項1または2に記載の洗車機。
【請求項4】
洗車機本体と前記散布装置とが共に待機位置にあるときは、前記噴射ノズルは洗車機本体の上部に位置していることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の洗車機。
【請求項5】
洗車機本体と前記散布装置とが共に洗車完了位置にあるときは、前記噴射ノズルは洗車機本体の上部に位置していることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の洗車機。
【請求項6】
被洗浄車両を跨ぐ門型の洗車機本体と、被洗浄車両および洗車機本体を跨ぐ本体架台に配管部と噴射ノズルを備えた液剤噴射走行体を具備して高発泡液剤散布操作を含む所定の操作を行う散布装置と、を有し、被洗浄車両と散布装置を前後方向に相対移動させながら被洗浄車両に高発泡液剤を散布する高発泡液剤散布操作と、被洗浄車両と洗車機本体を前後方向に相対移動させながら被洗浄車両の洗車を行う洗車操作と、を実行する洗車機の洗車方法であって、
前記液剤噴射走行体は洗車機本体を跨いで前後方向に移動可能に構成され、
前記散布装置が所定の操作を実行する時は、前記液剤噴射走行体が被洗浄車両を跨いで前後方向に移動して所定の操作を実行し、
前記散布装置が所定の操作を実行しない時には、前記散布装置を前記噴射ノズルが洗車機本体の上部に在る位置に移動して洗車機本体と共に移動させながら、洗車機本体を用いた洗車操作を実行することを特徴とする洗車方法。
【請求項7】
前記散布装置は、噴射ノズルから洗浄水を高圧で噴射する高圧泡濯ぎ操作を実行可能とされ、高圧泡濯ぎ操作を実施した後は、前記散布装置は洗車機本体を跨ぐ位置に移動して洗車機本体と共に移動することを特徴とする請求項6に記載の洗車方法。
【請求項8】
洗車機本体と前記散布装置とが共に待機位置にあるときは、前記噴射ノズルは洗車機本体の上部に位置し、洗車機本体と前記散布装置とが共に洗車完了位置にあるときは、前記噴射ノズルは洗車機本体の上部に位置していることを特徴とする請求項6または7に記載の洗車方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば給油所に設置され洗車に使用される洗車機に関し、特に、門型の洗車機本体に加えて高発泡液剤を散布する散布装置を備えた洗車機および当該洗車機の洗車方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、洗車に使用される洗車機としては、給油所などに設置されて、被洗浄車両と洗車機本体を前後方向に相対移動させながら、被洗浄車両に貯液タンクに貯留された液剤や洗浄水を噴射し、ブラッシングして洗車を行う構成とされる門型洗車機が知られている。
【0003】
また、洗車性能を向上させ、見る人に実際に良好に洗車していることが強調できるように、門型の洗車機本体に加えて、高発泡液剤を散布する散布装置を備えた洗車設備が既に知られている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【0004】
特許文献1および特許文献2に記載の洗車設備は、共に、往復走行移動する門型の洗車機本体と、洗車機本体とは別に往復走行移動する処理装置(散布装置)を備えた構成であり、処理装置の支持構造体(本体架台)は洗車機本体を跨ぐ高さ位置に設置され、洗車機本体の走行移動を阻害しないように構成されている。
【0005】
そのために、所定の洗車位置に停車している被洗浄車両に対して、処理装置(散布装置)と洗車機本体とが連続して被洗浄車両を跨いで走行移動可能になり、処理装置(散布装置)が備える複数の噴射ノズルから高発泡液剤を一斉に散布して被洗浄車両の外面を高発泡液剤で一様に被覆した後に続いて、洗車機本体による洗車操作を実行できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第5229638号公報
【特許文献2】特許第5229639号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
処理装置を介して行う高発泡液剤の散布は、洗車機本体によるブラッシング洗浄の前に行う。そのために、ブラッシング洗浄が終わり水洗いをして乾燥させた後の被洗浄車両の外面に高発泡液剤が落下して付着することは好ましくない。
【0008】
しかしながら、特許文献1および特許文献2に記載の洗車設備が備える処理装置(散布装置)は、被洗浄車両を跨ぐ高さ位置に複数の噴射ノズルをそなえているので、洗車完了後の被洗浄車両の上に処理装置が位置する場合には、高発泡液剤を散布する噴射ノズルから滴り落ちる高発泡液剤が被洗浄車両の外面に落下して付着して問題となる。
【0009】
洗車機を設置するスペースが広く、高発泡液剤を散布した後の処理装置が洗車位置から遠く離れた位置に退避できる場合には、噴射ノズルから高発泡液剤が滴り落ちても被洗浄車両の外面に落下して付着する問題は生じないが、通路上に落下して汚してしまい問題となる。
【0010】
そこで、洗車機本体に加えて、高発泡液剤を散布する散布装置を備えた洗車機を用いて洗車を行う場合には、洗車が完了した被洗浄車両の外面や通路上に高発泡液剤が落下しない構成であることが望ましく、たとえ、噴射ノズルから高発泡液剤が滴り落ちても、被洗浄車両の外面には付着しないことが望ましい。
【0011】
本発明は、上記問題点に鑑み、洗車機本体と高発泡液剤を散布する散布装置を備えた洗車機において、高発泡液剤を噴射する噴射ノズルから滴り落ちる高発泡液剤が洗車完了後の被洗浄車両の外面に落下しないようにできる洗車機および洗車方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために本発明は、被洗浄車両を跨ぐ門型の洗車機本体と、被洗浄車両を跨ぐ本体架台に配管部と噴射ノズルを備えた液剤噴射走行体を具備して高発泡液剤散布操作を含む所定の操作を行う散布装置と、を有し、被洗浄車両と前記散布装置を前後方向に相対移動させながら被洗浄車両に高発泡液剤を散布し、被洗浄車両と洗車機本体を前後方向に相対移動させながら被洗浄車両の洗車を行う洗車機であって、前記液剤噴射走行体は洗車機本体を跨いで前後方向に移動可能に構成され、前記散布装置が所定の操作を実行する時は、前記液剤噴射走行体が被洗浄車両を跨いで前後方向に移動して所定の操作を実行し、前記散布装置が所定の操作を実行しない時は、前記液剤噴射走行体は前記噴射ノズルが洗車機本体の上部に在る位置に移動し、洗車機本体が移動する際には洗車機本体と共に移動することを特徴としている。
【0013】
この構成によると、高発泡液剤散布操作などの所定の操作を実行しない時は、液剤噴射走行体は洗車機本体を跨ぐ位置に移動して洗車機本体と共に移動するので、噴射ノズルから高発泡液剤が滴り落ちても、高発泡液剤は洗車機本体の天井に落下して、被洗浄車両には落下しない。そのために、高発泡液剤が洗車完了後の被洗浄車両の外面に落下しないようにできる洗車機を得ることができる。
【0014】
また本発明は、上記構成の洗車機において、洗車機本体に前記噴射ノズルから滴り落ちる高発泡液剤を貯留する天板を設けたことを特徴としている。この構成によると、洗車機本体に落下する高発泡液剤を洗車機本体の天板部に貯留できるので、高発泡液剤が洗車機本体から通路や周辺に漏れ出すのを抑制できる。
【0015】
また本発明は、上記構成の洗車機において、前記散布装置は、前記噴射ノズルから洗浄水を高圧で噴射する高圧スプレー手段を備えて、高圧泡濯ぎ操作を実行可能とされ、高圧泡濯ぎ操作を実施した後は、前記散布装置は洗車機本体を跨ぐ位置に移動して洗車機本体と共に移動することを特徴としている。この構成によると、高圧泡濯ぎ操作を実施した後で、噴射ノズルから洗浄水が滴り落ちても、洗浄水は洗車機本体の天井に落下して、被洗浄車両や通路には落下しない。
【0016】
また本発明は、上記構成の洗車機において、洗車機本体と前記散布装置とが共に待機位置にあるときは、前記噴射ノズルは洗車機本体の上部に位置していることを特徴としている。この構成によると、洗車開始前に不用意に高発泡液剤を散布しても、洗車機本体の天井に落下して、被洗浄車両や通路には落下しないようにできる。
【0017】
また本発明は、上記構成の洗車機において、洗車機本体と前記散布装置とが共に洗車完了位置にあるときは、前記噴射ノズルは洗車機本体の上部に位置していることを特徴としている。この構成によると、洗車完了後に、噴射ノズルから高発泡液剤が滴り落ちたり、洗浄水が滴り落ちたりしても、洗車機本体の天井に落下して、被洗浄車両や通路には落下しないようにできる。
【0018】
また本発明は、被洗浄車両を跨ぐ門型の洗車機本体と、被洗浄車両および洗車機本体を跨ぐ本体架台に配管部と噴射ノズルを備えた液剤噴射走行体を具備して高発泡液剤散布操作を含む所定の操作を行う散布装置と、を有し、被洗浄車両と散布装置を前後方向に相対移動させながら被洗浄車両に高発泡液剤を散布する高発泡液剤散布操作と、被洗浄車両と洗車機本体を前後方向に相対移動させながら被洗浄車両の洗車を行う洗車操作と、を実行する洗車機の洗車方法であって、前記液剤噴射走行体は洗車機本体を跨いで前後方向に移動可能に構成され、前記散布装置が所定の操作を実行する時は、前記液剤噴射走行体が被洗浄車両を跨いで前後方向に移動して所定の操作を実行し、前記散布装置が所定の操作を実行しない時には、前記散布装置を前記噴射ノズルが洗車機本体の上部に在る位置に移動して洗車機本体と共に移動させながら、洗車機本体を用いた洗車操作を実行することを特徴としている。
【0019】
この構成によると、所定の操作、例えば、高発泡液剤散布操作を実施しない時は、散布装置は洗車機本体を跨ぐ位置に移動して洗車機本体と共に走行移動するので、噴射ノズルから高発泡液剤が滴り落ちても、高発泡液剤は洗車機本体の天井に落下して、被洗浄車両には落下しない。そのために、高発泡液剤が洗車完了後の被洗浄車両の外面に落下しないようにできる洗車方法を得ることができる。
【0020】
また本発明は、上記構成の洗車方法において、前記散布装置は、噴射ノズルから洗浄水を高圧で噴射する高圧泡濯ぎ操作を実行可能とされ、高圧泡濯ぎ操作を実施した後は、前記散布装置は洗車機本体を跨ぐ位置に移動して洗車機本体と共に移動することを特徴としている。この構成によると、高圧泡濯ぎ操作を実施した後で、噴射ノズルから洗浄水が滴り落ちても、洗浄水は洗車機本体の天井に落下して、被洗浄車両や通路には落下しない洗車方法となる。
【0021】
また本発明は、上記構成の洗車方法において、洗車機本体と散布装置とが共に待機位置にあるときは、噴射ノズルは洗車機本体の上部に位置し、洗車機本体と散布装置とが共に洗車完了位置にあるときは、噴射ノズルは洗車機本体の上部に位置していることを特徴としている。この構成によると、洗車開始前に不用意に高発泡液剤を散布しても、洗車機本体の天井に落下して、被洗浄車両や通路には落下せず、洗車完了後に、噴射ノズルから高発泡液剤が滴り落ちたり、高圧スプレーから洗浄水が滴り落ちたりしても、洗車機本体の天井に落下して、被洗浄車両や通路には落下しない洗車方法を構築できる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、洗車機本体と高発泡液剤を散布する散布装置を備えた洗車機において、散布装置を用いて行う所定の操作を実施しない時は、散布装置は噴射ノズルが洗車機本体の上部に在る位置に移動して洗車機本体と共に走行移動する構成としたので、高発泡液剤散布操作の後は、高発泡液剤を噴射する噴射ノズルから滴り落ちる高発泡液剤が洗車完了後の被洗浄車両の外面に落下しないようにできる洗車機および洗車方法を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明に係る洗車機の全体構成を示す概略側面図である。
図2】本発明に係る洗車機の全体構成を示す概略正面図である。
図3】散布装置の動きを説明する概略平面図である。
図4】本発明に係る洗車操作中の洗車機本体と噴射ノズルの位置関係を示す概略説明図である。
図5】本発明に係る洗車操作中の洗車機本体と噴射ノズルの位置関係を示す概略説明図である。
図6】本発明に係る洗車操作中の洗車機本体と噴射ノズルの位置関係を示す概略説明図である。
図7】従来の洗車機の全体構成を示す概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に本発明の実施形態を図面を参照して説明する。また、同一構成部材については同一の符号を用い、詳細な説明は適宜省略する。
【0025】
まず、本実施形態に係る洗車機WAの全体構成について図1図2を用いて説明する。図1は洗車機WAの全体構成を示す概略側面図であり、図2は概略正面図である。図2に示すように本実施形態に係る洗車機WAは、被洗浄車両CAを跨ぐ門型の洗車機本体1と、被洗浄車両CAを跨ぐ本体架台31に配管部44と噴射ノズル43を備えた液剤噴射走行体40を具備して高発泡液剤散布操作を含む所定の操作を行う散布装置30と、を有しており、被洗浄車両CAと散布装置30を前後方向に相対移動させながら被洗浄車両CAに高発泡液剤を散布する高発泡液剤散布操作と、被洗浄車両CAと洗車機本体1を前後方向に相対移動させながら被洗浄車両CAの洗車を行う洗車操作とを実行する。
【0026】
液剤噴射走行体40は洗車機本体1を跨いで前後方向に移動可能に構成され、散布装置30を介して行う高発泡液剤散布操作を含む所定の操作を実行した後は、液剤噴射走行体40は噴射ノズル43が洗車機本体1の上部に在る位置に移動して洗車機本体1と共に走行移動するようにしている。
【0027】
この構成であれば、高発泡液剤散布操作を含む所定の操作を実行しない時は、液剤噴射走行体40は洗車機本体1を跨ぐ位置に移動して洗車機本体1と共に走行移動するので、噴射ノズル43から高発泡液剤が滴り落ちても、高発泡液剤は洗車機本体1の天井に落下して、被洗浄車両CAには落下しない。そのために、高発泡液剤が洗車完了後の被洗浄車両CAの外面に落下しないようにできる洗車機WAを得ることができる。
【0028】
次に、洗車機本体1と散布装置30の具体的な構成について順に説明する。まず、図2図7を用いて洗車機本体1について説明する。図7は従来構成の洗車機本体1のみを備える洗車機WBを示す。本実施形態に係る洗車機WAはこの洗車機本体1に散布装置30を備えた構成であって、洗車機本体1は同様な構成でよいので、この図7を用いて洗車機本体1の詳細な構成について説明する。
【0029】
図2に示すように、洗車機本体1は左右の対向する2つのスタンド部90の上端を連結する天井部91を有して門型に形成される。また、図7に示すように洗車機本体1の進入経路上にはリモートパネル7Aが配される。被洗浄車両CAはリモートパネル7Aの面前で停車し、リモートパネル7Aの操作によって洗車の受け付け等を行う。
【0030】
洗車機本体1の底面には地面に設けられた左右一対のレール2上に配される車輪3が設けられる。これにより、洗車機本体1はレール2上を走行して被洗浄車両CAに対して前後に相対移動するように立設される。
【0031】
洗車機本体1には被洗浄車両CAをブラッシングする複数の回転するブラシを設けている。ブラシはトップブラシ4、サイドブラシ5及びロッカーブラシ6から成っている。トップブラシ4は被洗浄車両CAの上面をブラッシングして洗浄し、布(織布、編布、不織布等)や樹脂繊維から成るブラシ体を放射状に固着して形成される。
【0032】
サイドブラシ5は左右一対設けられ、被洗浄車両CAの両側面と前後面に摺動して被洗浄車両CAを洗浄する。ロッカーブラシ6は左右一対設けられ、被洗浄車両CAのタイヤを含む側面下部を洗浄する。サイドブラシ5及びロッカーブラシ6もトップブラシ4と同様の回転軸及びブラシ体を有している。
【0033】
洗車機本体1の一方の側方には洗剤やワックス等の各種液剤を貯液する複数の貯液タンク(不図示)を収納するタンク収納部17が配される。タンク収納部17の上方には市水及び各貯液タンクからの液剤を電磁弁等を介して分配する分配配管部18が設けられる。分配配管部18には第1、第2浄水ノズル11、13、第1、第2洗剤ノズル12、15、撥水コートノズル14、ワックスノズル16が導出される。洗車機本体1の後方には洗浄液や高圧空気を供給する供給部(不図示)が設けられ、分配配管部18に接続される。洗浄液は市水だけでなく、洗剤やワックス等の各種液剤と混合されてもよい。
【0034】
第1、第2浄水ノズル11、13は洗車機本体1の手前側及び奥側にそれぞれ配され、被洗浄車両CAに対して市水を噴射する。第1、第2洗剤ノズル12、15は洗車機本体1の手前側及び奥側にそれぞれ配され、被洗浄車両CAに対して洗剤を噴射する。撥水コートノズル14は洗車機本体1の奥側に配され、被洗浄車両CAに対して撥水コート剤を噴射する。ワックスノズル16は洗車機本体1の奥側に配され、被洗浄車両CAに対してワックスを噴射する。
【0035】
また、洗車機本体1には被洗浄車両CAを乾燥させる送風ノズルとしてトップ送風ノズル21とサイド送風ノズル22とを設けている。洗車機本体1の手前側上部にはトップ送風ノズル21が設けられ、両側方にサイド送風ノズル22が設けられる。トップ送風ノズル21及びサイド送風ノズル22はブロワ20からの送風を被洗浄車両CAに対して吹き付けて乾燥させる。
【0036】
洗車機本体1の前面上部には車両センサ8が設けられている。車両センサ8は光電センサや超音波センサ等から成り、洗車機本体1に進入する被洗浄車両CAを検知し車体の幅方向突出した装備品も検知する。また、洗車機本体1の入り口部には、被洗浄車両CAの車形を検知する車形検知センサ9を設けている。この車形検知センサ9は、透過式光電センサからなるエリアセンサであって、洗車機本体1の一方の側部の上下方向に投光器を併設し、これらの投光器に対向する他方の側部の上下方向に受光器を併設することで、洗浄位置に進入してくる被洗浄車両の車形を検知して、その先端部と後端部およびボンネット高さや車高を検知する。
【0037】
洗車機本体1の一方の側方の前面には本体パネル7が配される。本体パネル7はリモートパネル7Aと同様の操作ボタンを備え、被洗浄車両CAから降車したユーザー等の操作により洗車の受け付けや洗車条件の設定を行う。リモートパネル7Aと本体パネル7は、共に洗車機本体1が備える制御部に電気的に接続されており、リモートパネル7Aに設定された洗車条件、または、本体パネル7に設定された洗車条件より、洗車機を駆動可能にしている。
【0038】
洗車条件の設定としてはシャンプー、ワックス掛け、撥水コート等を水洗いに追加するボタン(押しボタン式、タッチパネル式)が本体パネル7及びリモートパネル7Aに設けられる。また、高級なシャンプー、高級なワックス(例えば、艶出しコーティング)、高級な撥水コート、特殊なコート等を行うボタンも設けられている。さらに、フロントガード有り、フェンダーポール有り、ドアミラー有り、リヤワイパー有り、該当装備品無し等の装備品設定ボタンが設けられている。
【0039】
本実施形態に係る洗車機WAは、上記構成の洗車機本体1に加えて高発泡液剤散布操作を含む所定の操作を実行する散布装置30を備える。例えば、散布装置30を介して高発泡液剤を散布して、被洗浄車両CAの表面を高発泡液剤の泡で覆うことにより、その後のブラッシング洗浄する洗車性能を向上し、ショー的効果も発揮する。すなわち、従来構成の洗車機本体1に加えて散布装置30を併設することにより、洗車性能を向上させ、見る人に実際に良好に洗車していることが強調できるようになる。
【0040】
次に、図1図3を用いて本実施形態に係る散布装置30について説明する。
【0041】
散布装置30は、本体架台31と、配管部44と噴射ノズル43を備えて所定の操作を実行する液剤噴射走行体40と、を具備する。本体架台31は、基部32、支柱33、上部梁34を有し、洗車機本体1を跨ぐように設置される。すなわち、洗車機本体1が走行するレール2の外側の洗車機本1を囲む4箇所に基部32と支柱33を配設し、この4本の支柱33を連結するように上部梁34を設置している。
【0042】
散布装置30が行う所定の操作とは、例えば、高発泡液剤散布操作であって、噴射ノズル43は、被洗浄車両CAの外面全体に高発泡液剤を均一に散布できるように、それぞれが所定の適当な角度に傾斜して設置される複数の噴射ノズル43a〜43fを備えている。また、所定の操作は高圧泡濯ぎ操作を含むことが好ましい。すなわち、散布装置30は、噴射ノズル43から洗浄水を高圧で噴射する高圧スプレー手段を備えて、高圧泡濯ぎ操作(高圧スプレー操作)を実行可能とされることが好ましい。
【0043】
また、高発泡液剤散布操作や高圧泡濯ぎ操作以外の操作を含む構成でもよい。そのために、噴射ノズル43の構成や設置個数は特には限定されず、それぞれの噴射ノズル43a〜43fから高発泡液剤の散布と高圧スプレー操作が可能な構成でもよく、高発泡液剤の散布と高圧スプレー操作を個別に行う別々のノズルをそれぞれ設ける構成でもよい。
【0044】
液剤噴射走行体40は、左側の前後2本の支柱33、33の上部、右側の前後2本の支柱33、33にそれぞれ取り付けられるガイドレール35、35に架け渡されて、駆動軸41の両端に走行輪42を装着しており、図示しない駆動源を介して起動軸41を回転駆動させることによって、ガイドレール35に沿って、図1の矢印D2方向に移動可能に構成される。
【0045】
液剤噴射走行体40には、走行輪42の前方側と後方側にそれぞれガイドローラGRを設けてガイドレール35に沿って移動する姿勢を安定させることが好ましい。また、液剤噴射走行体40には高発泡液剤や洗浄水などを送給するための配管部44が設けられる。配管部44は垂直屈曲部45を介して垂直下方に屈曲して、配管部44が有する分配ホースから複数の噴射ノズル43(43a〜43f)に高発泡液剤や洗浄水などを送給可能とされ、被洗浄車両CAに高発泡液剤を散布することや洗浄水を噴射する(高圧スプレー操作する)ことが可能な構成である。
【0046】
すなわち、液剤噴射走行体40は、被洗浄車両CAを跨いで、被洗浄車両CAの前後方向に移動しながら、被洗浄車両CAに向けて高発泡液剤を散布することができる。また、高圧スプレーすることにより高発泡液剤の泡を洗い流す(泡灌ぎする)ことも可能な構成とされる。従って、液剤噴射走行体40(散布装置30)は、高発泡液剤散布操作や高圧スプレー操作などの所定の操作を行うことが可能に構成される。
【0047】
次に図3を用いて配管部44の一例について説明する。
【0048】
配管部44は、所定濃度に希釈され圧縮エアーを混合して生成される高発泡液剤を送給するホースや洗浄水に圧縮エアーを混合して生成される高圧洗浄水を送給するホース、および、これらの高発泡液剤や高圧洗浄水を各噴射ノズルに分配する分配ホースを含む。また、液剤を送給する液剤ホース、洗浄水を送給する洗浄水ホース、圧縮エアーを送給するエアーホースなどを含み、これらを混合して高発泡液剤や高圧洗浄水を生成する混合部に接続され、混合部から所定の高発泡液剤や高圧洗浄水を各噴射ノズルに送給する構成であってもよい。
【0049】
例えば、配管部44は、第1配管部44aと第2配管部44bを備えており、第1配管部44aと第2配管部44bとは屈曲部(第2屈曲部46)を介して屈曲可能に連結されている。第1配管部44aは第1屈曲部47を経て軸支部48に連結される。第2配管部44bは前述した垂直屈曲部45に連結される。
【0050】
液剤噴射走行体40が略中央に位置しているときは、第1配管部44aと第2配管部44bとが鋭角に屈曲した配管部44Bとなり、液剤噴射走行体40が図の左端に移動したときには、第1配管部44aと第2配管部44bとがほぼ直線状となる配管部44Aとなる。また、液剤噴射走行体40が図の右端に移動したときには、第1配管部44aと第2配管部44bとがほぼ直角に屈曲する配管部44Cとなる。
【0051】
このように、第1配管部44aと第2配管部44bとの屈曲姿勢が変わることにより、液剤噴射走行体40が図の左端から右端まで距離L1移動したときに、垂直屈曲部45は移動ラインCLに沿って垂直屈曲部45aから垂直屈曲部45bまで移動する。
【0052】
従って、配管部44が軸支部48、第1屈曲部47、第2屈曲部46、垂直屈曲部45を介して連結される液剤噴射走行体40は、被洗浄車両CAの前後方向に距離L1移動する時に、高発泡液剤や高圧洗浄水を各噴射ノズル43(43a〜43f)から噴射可能に構成される。
【0053】
すなわち、液剤噴射走行体40(散布装置30)は、被洗浄車両CAと散布装置30を前後方向に相対移動させながら被洗浄車両CAに高発泡液剤を散布する高発泡液剤散布操作と、噴射ノズル43から高圧洗浄水を噴射する高圧泡濯ぎ操作(高圧スプレー操作)と、を含む所定の操作を実行可能とされる。また、所定の操作を実施した後は、散布装置30は洗車機本体1を跨ぐ位置に移動して洗車機本体1と共に移動するようにしている。
【0054】
次に、図4図6を用いて本実施形態に係る洗車方法について説明する。図4図6は、いずれもが本発明に係る洗車操作中の洗車機本体と噴射ノズルの位置関係を示す概略説明図である。
【0055】
図4(a)は洗車開始時における初期の待機位置を示している。すなわち、待機位置において噴射ノズル43は洗車機本体1の上部に位置している。従って、噴射ノズル43からの泡漏れや水漏れは、洗車機本体1の天井部にて受け止めて、被洗浄車両CAや通路に落下させない。
【0056】
図4(b)は、高発泡液剤を散布する洗車条件が選択された際に、高発泡液剤を散布する前に高圧洗浄水を噴射して(高圧スプレー)ブラッシング洗浄する様子を示す。すなわち、洗車開始に伴い噴射ノズル43は矢印D2a方向に移動しながら高圧スプレーSP1を実行する(高圧スプレー操作)。噴射ノズル43Aの後から洗車機本体1が矢印D1a方向に移動しながらブラッシング洗浄する(洗車機本体1A)。
【0057】
図4(c)は、洗車機本体1Aによりブラッシング洗浄している最中に、噴射ノズル43が図の右側の移動端部から反転して矢印D2b方向に戻っている状態を示す。噴射ノズル43は洗車機本体1を跨ぐように設置されているので、ブラッシング洗浄している洗車機本体1Aの上部を移動可能である。
【0058】
図4(d)は、矢印D2b方向に移動して被洗浄車両CAを通り越した噴射ノズル43が矢印D2c方向に反転して移動しながら高発泡液剤AW1を散布する様子を示す(高発泡液剤散布操作)。すなわち、被洗浄車両CAに高圧スプレーしてブラッシング洗浄した後から、噴射ノズル43Bを介して高発泡液剤AW1を散布する。
【0059】
図4(e)は、矢印D2c方向に移動しながら高発泡液剤AW1を散布した後、被洗浄車両CAを通り越した噴射ノズル43が矢印D2d方向に反転して移動しながら高発泡液剤AW2を再び散布し(高発泡液剤散布操作)、その後ろから洗車機本体1Aがブラッシング洗浄する様子を示す。すなわち、高圧スプレーしてブラッシング洗浄した後、高発泡液剤AW1の散布を2回(1往復)行い、その後からブラッシング洗浄(泡洗浄)している様子を示す。
【0060】
この高発泡液剤AW1の散布や泡洗浄の制御は洗車機本体1が備える制御部を介して行う。つまり、噴射ノズル43の移動や噴射の制御は、洗車機本体1が備える制御部を介して一体に制御可能に構成されており、洗車機本体1により検知される車両形状や車両位置に応じて、噴射ノズル43の移動や噴射の制御を行うことが可能である。
【0061】
続いて図5(a)に移る。図5(a)は、噴射ノズル43Bが矢印D2d方向に移動しながら高発泡液剤AW2を散布し、その後ろから洗車機本体1Bがブラッシング洗浄する様子を示す。すなわち、この操作が高発泡液剤を用いた泡洗浄操作となる。
【0062】
噴射ノズル43Bからの高発泡液剤AW2の散布を行いながら被洗浄車両CAを通り越したら、噴射ノズル43Bは高発泡液剤AW2の散布を終了して噴射ノズル43に戻る。
【0063】
図5(b)は、泡洗浄が完了して洗車機本体1が図の左端に到達した様子を示す。この位置では、噴射ノズル43は洗車機本体1の上部に位置している。また、泡洗浄が完了した被洗浄車両CAは、その外面に泡が残留している様子を示す。
【0064】
図5(c)は、噴射ノズル43から高圧スプレーを実行して泡濯ぎ(高圧泡濯ぎ操作)し、その後、洗車機本体1を介してワックス掛けや艶出しコーティングを実施する様子を示す。すなわち、高圧スプレーを実行する噴射ノズル43Cを矢印D2e方向に移動させ、その後ろから洗車機本体1Cを矢印D1c方向に移動させながらワックス掛けや艶出しコーティングを実施する(コーティング操作)。
【0065】
図5(d)は、洗車機本体1を介してワックス掛けや艶出しコーティングを実施しているときに、噴射ノズル43が被洗浄車両CAを通り越した後、矢印D2f方向に反転して戻る様子を示す。これは、反転して戻った噴射ノズル43からワックス剤や艶出しコーティング剤を散布して2度掛け(ダブルコーティング)を実施するためである。
【0066】
すなわち、噴射ノズル43からワックス剤や艶出しコーティング剤を散布できる構成の場合には、洗車機本体1を介してワックス剤や艶出しコーティング剤を噴き付ける第1回コーティング操作に加えて、噴射ノズル43からワックス剤や艶出しコーティング剤を散布する第2回コーティング操作を実行できる。
【0067】
図5(e)は、洗車機本体1によるワックス掛けや艶出しコーティング掛けが完了し、矢印D2f方向に移動する噴射ノズル43が被洗浄車両CAを通り越して停止した状態を示す。
【0068】
続いて図6(a)に移る。図6(a)は、噴射ノズル43Dからワックス剤や艶出しコーティング剤などのコーティング剤CT1の散布を開始した様子を示す(コーティング操作)。
【0069】
噴射ノズル43Dからのコーティング剤CT1の散布が完了すると図6(b)に示す状態となる。この状態から次は乾燥操作が始まる。例えば、洗車機本体1を矢印D1d方向に移動させながら洗車機本体1が備える乾燥手段を介して乾燥用空気を吹き付けて乾燥する。すなわち、乾燥用空気を吹き付けて乾燥操作を実行する洗車機1を洗車機1Dと称する。
【0070】
また、この乾燥操作を1往復行うこともできる。矢印D1d方向に移動する洗車機本体1Dによる1回目の乾燥操作が終了すると、図6(c)に示す状態となる。この状態から逆の矢印D1e方向に洗車機本体1Eを移動して図6(d)に示す2回目の乾燥操作を実行する。
【0071】
また、図6(b)に示す1回目の乾燥操作の際に、洗車機本体1Dにより乾燥用空気を吹き付ける前に噴射ノズル43から水を散布して濯ぎを行うこともできる。すなわち、図6(b)に示すように、洗車機本体1Dを矢印D1d方向に移動させる際に濯ぎ水を散布する噴射ノズル43Eを同時に矢印D2h方向に移動させるとよい。
【0072】
噴射ノズル43Eからの濯ぎ水の散布と洗車機本体1Dによる1回目の乾燥操作が終了すると、図6(c)に示す状態となる。この状態から図6(d)に示す2回目の乾燥操作を実行する際には、所定の操作を行わない噴射ノズル43は洗車機本体1Eの上部に位置した状態を維持しながら、矢印D2j方向に移動させるとよい。
【0073】
また、噴射ノズル43は洗車機本体1(1E)の上部に位置した状態であればよく、洗車機本体1(1E)の上面の前端から後端の間のいずれかに位置しておけばよい。この構成であれば、乾燥中の被洗浄車両CAの外面や、乾燥後の被洗浄車両CAの外面に噴射ノズル43から滴り落ちる液剤や水が落下せず、汚すこともない。
【0074】
この際に、洗車機本体1に噴射ノズル43(43a〜43f)から滴り落ちる高発泡液剤を貯留する天板を設けることが好ましい。この構成であれば、洗車機本体1に落下する高発泡液剤を洗車機本体1の天板部に貯留できるので、高発泡液剤が洗車機本体1から通路や周辺に漏れ出すのを効果的に抑制できる。また、天板に貯留する構成であれば、高発泡液剤の回収操作も容易に行うことが可能になる。
【0075】
上記したように、本実施形態に係る洗車方法は、被洗浄車両CAと散布装置30を前後方向に相対移動させながら被洗浄車両CAに高発泡液剤を噴射する高発泡液剤散布操作と、被洗浄車両CAと洗車機本体1を前後方向に相対移動させながら被洗浄車両CAの洗車を行う洗車操作と、を実行する。また、散布装置30は、高発泡液剤散布操作に加えて噴射ノズル43から洗浄水を高圧で噴射する高圧泡濯ぎ操作を含む所定の操作を実行可能とされ、所定の操作を実施した後は、散布装置30は洗車機本体1を跨ぐ位置に移動して洗車機本体1と共に移動することを特徴としている。この構成であれば、所定の操作を実施した後で、噴射ノズル43から高発泡液剤や洗浄水が滴り落ちても、高発泡液剤や洗浄水は洗車機本体1の天井に落下して、被洗浄車両CAや通路には落下しない洗車方法となる。
【0076】
上記で説明した各工程の図4(a)、図5(b)、図6(c)、図6(d)、図6(e)の各状態において液剤噴射走行体40は噴射ノズル43が洗車機本体1の上部に位置するようにして洗車機本体1を跨ぐ位置にいる。また、図6(d)に示すように、所定の操作を実施した後は、液剤噴射走行体40すなわち散布装置30は洗車機本体1と共に走行移動することが好ましい。
【0077】
従って、所定の操作を実施しない時は、散布装置30は洗車機本体1を跨ぐ位置に移動して洗車機本体1と共に走行移動するので、噴射ノズル43から高発泡液剤が滴り落ちても、高発泡液剤は洗車機本体1の天井に落下して、被洗浄車両CAには落下しない。そのために、高発泡液剤が洗車完了後の被洗浄車両CAの外面に落下しないようにできる洗車方法を得ることができる。
【0078】
また、洗車機本体1と散布装置30とが共に図4(a)に示す待機位置にあるときは、散布装置30の噴射ノズル43は洗車機本体1の上部に位置し、洗車機本体1と散布装置30とが共に図6(e)に示す洗車完了位置にあるときは、散布装置30の噴射ノズル43は洗車機本体1の上部に位置していることが好ましい。この構成であれば、洗車開始前に不用意に高発泡液剤を噴射しても、洗車機本体1の天井に落下して、被洗浄車両CAや通路には落下せず、洗車完了後に、噴射ノズル43から高発泡液剤が滴り落ちたり、高圧スプレー洗浄水が滴り落ちたりしても、洗車機本体1の天井に落下して、被洗浄車両CAや通路には落下しない洗車方法を構築できる。
【0079】
以上、噴射ノズル43が高発泡液剤以外に高圧洗浄水やコーティング剤や濯ぎ水を散布する構成、すなわち、散布装置30が複数の操作を行う構成として説明したが、散布装置30が一つの所定の操作を行う構成であっても、本発明に係る効果を有効に発揮する。例えば、散布装置30が噴射ノズル43を介して高発泡液剤のみを散布する構成であれば、高発泡液剤を散布しない時は、散布装置30は噴射ノズル43が洗車機本体1の上部に位置するようにして洗車機本体1を跨ぐ位置に移動することにより、洗車後の被洗浄車両CAの外面に高発泡液剤を付着させずに良好な洗車仕上がりを提供できる。
【0080】
また、散布装置30が噴射ノズル43を介して高発泡液剤に加えて高圧洗浄水や発泡コーティング剤などを散布する複数の所定の操作を実行できる構成であれば、所定の操作を実行しない時は、散布装置30は噴射ノズル43が洗車機本体1の上部に位置するようにして洗車機本体1を跨ぐ位置に移動することにより、洗車後の被洗浄車両CAの外面に高発泡液剤や洗浄水やコーティング剤を付着させずに良好な洗車仕上がりを提供できる。
【0081】
上記したように、本発明に係る洗車方法は、被洗浄車両CAを跨ぐ門型の洗車機本体1と、被洗浄車両CAおよび洗車機本体1を跨ぐ本体架台31に配管部44と噴射ノズル43を具備して所定の操作を行う散布装置30と、を備え、被洗浄車両CAと散布装置30を前後方向に相対移動させながら被洗浄車両CAに高発泡液剤を散布する高発泡液剤散布操作と、被洗浄車両CAと洗車機本体1を前後方向に相対移動させながら被洗浄車両CAの洗車を行う洗車操作とを有する洗車機の洗車方法である。また、被洗浄車両CAを跨ぐ散布装置30を用いて行う所定の操作を実行しない時に、散布装置30を噴射ノズル43が洗車機本体1の上部に位置するようにして洗車機本体1を跨ぐ位置に移動して洗車機本体1と共に走行移動させながら、洗車機本体1を用いた洗車操作を実行することを特徴としている。
【0082】
この構成であれば、高発泡液剤散布操作などの所定の操作を実施しない時は、散布装置30は洗車機本体1を跨ぐ位置に移動して洗車機本体1と共に走行移動するので、噴射ノズル43から高発泡液剤が滴り落ちても、高発泡液剤は洗車機本体1の天井に落下して、被洗浄車両CAには落下しない。そのために、高発泡液剤が洗車完了後の被洗浄車両CAの外面に落下しないようにできる洗車方法を得ることができる。
【0083】
また、散布装置30は、噴射ノズル43から洗浄水を高圧で噴射する高圧泡濯ぎ操作を実行可能とされ、高圧泡濯ぎ操作を実施した後は、散布装置30は洗車機本体1を跨ぐ位置に移動して洗車機本体1と同期して走行移動することが好ましい。この構成であれば、高圧泡濯ぎ操作を実施した後で、噴射ノズル43から洗浄水が滴り落ちても、洗浄水は洗車機本体1の天井に落下して、被洗浄車両CAや通路には落下しない洗車方法となる。
【0084】
また、上記の洗車方法において、洗車機本体1と散布装置30とが共に待機位置にあるときは、散布装置30の噴射ノズル43は洗車機本体1の上部に位置し、洗車機本体1と散布装置30とが共に洗車完了位置にあるときは、散布装置30の噴射ノズル43は洗車機本体1の上部に位置していることが好ましい。この構成であれば、洗車開始前に不用意に高発泡液剤を散布しても、洗車機本体1の天井に落下して、被洗浄車両CAや通路には落下せず、洗車完了後に、噴射ノズル43から高発泡液剤が滴り落ちたり、洗浄水が滴り落ちたりしても、洗車機本体1の天井に落下して、被洗浄車両CAや通路には落下しない洗車方法を構築できる。
【0085】
上記したように、本発明に係る洗車機WAは、被洗浄車両CAを跨ぐ門型の洗車機本体1と、被洗浄車両CAを跨ぐ本体架台31に配管部44と噴射ノズル43を備える液剤噴射走行体40を具備して高発泡液剤散布操作を含む所定の操作を行う散布装置30と、を有し、被洗浄車両CAと散布装置30を前後方向に相対移動させながら被洗浄車両CAに高発泡液剤を散布し、被洗浄車両CAと洗車機本体1を前後方向に相対移動させながら被洗浄車両CAの洗車を行う洗車機WAであって、液剤噴射走行体40は洗車機本体1を跨いで前後方向に移動可能に構成され、散布装置30が所定の操作を実行する時は、前記液剤噴射走行体40が被洗浄車両CAを跨いで前後方向に移動して所定の操作を実行し、散布装置30が所定の操作を実行しない時は、液剤噴射走行体40は噴射ノズル43が洗車機本体1の上部に在る位置に移動し、洗車機本体1が移動する際には洗車機本体1と共に走行移動することを特徴としている。
【0086】
この構成であれば、高発泡液剤散布操作などの所定の操作を実行しない時は、液剤噴射走行体40は洗車機本体1を跨ぐ位置に移動して洗車機本体1と共に走行移動するので、噴射ノズル43から高発泡液剤が滴り落ちても、高発泡液剤は洗車機本体1の天井に落下して、被洗浄車両CAには落下しない。そのために、高発泡液剤が洗車完了後の被洗浄車両CAの外面に落下しないようにできる洗車機WAを得ることができる。
【0087】
上記したように本発明によれば、洗車機本体と高発泡液剤を散布する散布装置を備えた洗車機において、散布装置を用いて行う所定の操作を実施しない時は、散布装置は噴射ノズルが洗車機本体の上部に在る位置に移動して洗車機本体と共に走行移動する構成としたので、噴射ノズルから滴り落ちる高発泡液剤が洗車完了後の被洗浄車両の外面に落下しないようにできる洗車機および洗車方法を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0088】
そのために、本発明に係る洗車機および洗車方法は、給油所などに設置して、多くの利用者が洗車するために、良好な洗車効果やショー的効果が求められる洗車場の洗車機に好適に適用される。
【符号の説明】
【0089】
1(1A〜1E) 洗車機本体
7 本体パネル
7A リモートパネル
30 散布装置
40 液剤噴射走行体
43(43a〜43f、43A〜43E) 噴射ノズル
44(44A〜44C) 配管部
CA 被洗浄車両
WA 洗車機(本発明の)
WB 洗車機(従来の)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7