(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記原水投入口と前記循環流路の出口である循環液投入口とは前記反応槽に開口され、前記原水投入口と前記循環液投入口とは近接して配置されている請求項1に記載の窒素除去装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の処理方法においては、一部の被処理水が隔壁の上方の空間の液相部を介して嫌気性処理領域から好気性処理領域へ流入することがあった。このように、被処理水が十分に嫌気性処理領域に滞留することなく好気性処理領域に移動することで、窒素除去が不十分になるという課題があった。
【0007】
この発明は、より安定した窒素除去を可能とする窒素除去装置、及び窒素除去装置の改造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第一の態様によれば、窒素除去装置は、好気性処理領域と嫌気性処理領域とを有し、有機性窒素化合物を含有する被処理水の生物学的脱窒を行う単一槽からなる反応槽と、前記反応槽へ前記被処理水を供給する原水供給管と、前記反応槽の液相部を前記好気性処理領域と前記嫌気性処理領域とに区画する隔壁と、前記反応槽に形成された前記原水供給管の出口である原水投入口と、前記隔壁上の前記原水投入口から
前記反応槽の長さ及び幅からなる平面上の直線距離及び高さ方向の直線距離において可能な限り離れた位置に設けられて前記嫌気性処理領域と前記好気性処理領域とを連通させる連通口と、前記好気性処理領域から前記嫌気性処理領域の最上流部へ前記被処理水を循環させる循環流路と、を有する。
【0009】
このような構成によれば、隔壁によって反応槽の液相部が嫌気性処理領域と好気性処理領域とに区画され、嫌気性処理領域と好気性処理領域とを連通させる連通口が原水投入口から可能な限り離れた位置に設けられている。これにより、原水投入口から投入された被処理水の脱窒に要する十分な滞留時間を確保することができ、より安定した窒素除去を行うことができる。
【0010】
上記窒素除去装置において、前記原水投入口と前記循環流路の出口である循環液投入口とは前記反応槽に開口され、前記原水投入口と前記循環液投入口とは近接して配置されていてよい。
【0011】
このような構成によれば、被処理水に含まれるBOD成分と循環液に含まれる亜硝酸性・硝酸性窒素成分とがより接触するため、窒素除去の効率を向上させることができる。
【0012】
上記窒素除去装置において、前記連通口は、前記隔壁の下
端に設けられていてよい。
【0013】
このような構成によれば、被処理水の液面近傍において、嫌気性処理領域の被処理水が好気性処理領域に流入することを防止することができる。
【0015】
本発明の第二の態様によれば、窒素除去装置の改造方法は、有機性窒素化合物を含有する被処理水の生物学的脱窒における嫌気性処理と好気性処理とを行う単一槽からなる反応槽と、前記反応槽へ前記被処理水を供給する原水供給管と、前記反応槽に形成された前記原水供給管の出口である原水投入口と、前記反応槽から前記被処理水を排出する排出管と、前記排出管から前記反応槽へ前記被処理水を循環させる循環流路と、を有する窒素除去装置の改造方法であって、前記反応槽の液相部を好気性処理領域と嫌気性処理領域とに区画する隔壁であって、前記原水投入口から
前記反応槽の長さ及び幅からなる平面上の直線距離及び高さ方向の直線距離において可能な限り離れた位置に設けられて前記嫌気性処理領域と前記好気性処理領域とを連通させる連通口を有する隔壁を形成する工程と、前記循環流路の出口を前記嫌気性処理領域の最上流部へ移動させる工程と、を含む。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、隔壁によって反応槽の液相部が嫌気性処理領域と好気性処理領域とに区画され、嫌気性処理領域と好気性処理領域とを連通させる連通口が原水投入口から可能な限り離れた位置に設けられている。これにより、原水投入口から投入された被処理水の脱窒に要する十分な滞留時間を確保することができ、より安定した窒素除去を行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(第一実施形態)
以下、本発明の第一実施形態の窒素除去装置1について図面を参照して詳細に説明する。本実施形態の窒素除去装置1は、下水処理場などの施設において生物学的脱窒を行う装置である。窒素除去装置1にて処理される被処理水W(し尿E、浄化槽汚泥Sを含む廃水)は、有機性窒素化合物、SS(浮遊物質)、リン分、BOD(生物化学的酸素要求量)、COD(化学的酸素要求量)等を含有している。
【0019】
図1に示すように、本実施形態の窒素除去装置1は、し尿E及び浄化槽汚泥S1が導入される混合槽2と、混合槽2から供給される被処理水W1の原水が導入される反応槽3と、反応槽3から排出される被処理水W2が導入される撹拌槽4と、撹拌槽4から排出される被処理水W3が導入される膜原水槽5と、膜原水槽5から排出される被処理水W4が導入される固液分離装置6と、を有している。
【0020】
混合槽2と、反応槽3とは、原水供給管8を介して接続されている。反応槽3と撹拌槽4とは、排出管9を介して接続されている。
窒素除去装置1は、反応槽3から排出された被処理水W2の一部を循環液Rとして反応槽3に循環させる循環ライン11(循環流路)を有している。循環ライン11は、排出管9から分岐している。若しくは、循環ライン11は、反応槽3の好気性処理領域A2から取り出してもよい。
【0021】
循環ライン11は、好気性処理領域A2へ循環液Rを投入する分岐ライン31を有しており、循環液Rの流量を調整するバルブなどの流量調整装置を設けることができる。なお、分岐ライン31は、好気性処理領域A2側のみならず、嫌気性処理領域A1側に設けてもよい。
また、窒素除去装置1は、固液分離装置6で分離された汚泥S2の少なくとも一部(返送汚泥S3)を反応槽3に返送する返送ライン10を備えている。
【0022】
反応槽3は、隔壁15によって上流側の嫌気性処理領域A1と下流側の好気性処理領域A2とに区画されている。原水供給管8は、反応槽3の嫌気性処理領域A1に接続されている。排出管9は、反応槽3の好気性処理領域A2に接続されている。嫌気性処理領域A1と好気性処理領域A2とは隔壁15に形成されている開口である連通口19によって連通している。
【0023】
混合槽2は、導入されたし尿Eと浄化槽汚泥S1とを混合する槽である。混合槽2には、し尿E及び浄化槽汚泥S1を撹拌する撹拌装置等、し尿E及び浄化槽汚泥S1の混合を促進し均質化を図る装置が設けられていることが好ましい。また、混合槽2の前段には、し尿E、浄化槽汚泥S1に含まれている夾雑物を取り除く前処理装置を設けることが好ましい。
【0024】
反応槽3は、溶存酸素が必要な好気性処理を行う好気性処理領域A2と、溶存酸素が必要でない嫌気性処理を行う嫌気性処理領域A1とを有し、被処理水W1の窒素除去を行う槽である。
反応槽3は、単一構造である反応槽本体13と、曝気装置14と、反応槽本体13の内部に設けられた隔壁15とを有している。反応槽本体13は、単一の槽から構成されている。曝気装置14は、反応槽3の底面に配置されている。
【0025】
図2に示すように、反応槽本体13は、例えば、直方体形状のタンクであり、四面の側壁21、上面22、及び底面23を有している。また、xyz直交座標系におけるx軸方向を長さ、y方向を幅、z方向を高さとする。なお、反応槽本体13の形状は、これに限ることはなく、例えば、上方から見た形状が円形であってもよい。
反応槽3には、混合槽2から導入された被処理水W1が貯留される。被処理水W1の液面Lは、反応槽本体13の底面23から所定の高さを維持するように調整されている。即ち、反応槽3の内部空間は、被処理水W1による液相部Fと、被処理水の液面Lよりも上方の気相部Gに分かれる。
【0026】
隔壁15は、反応槽本体13の内部空間を嫌気性処理領域A1と好気性処理領域A2とに区画する矩形板状の部材である。隔壁15によって区画された好気性処理領域A2は、底面23に設置されている曝気装置14によって、下方から曝気されている。
隔壁15の上端は、被処理水W1の液面Lよりも高くなるように形成されている。即ち、被処理水W1の液面L近傍において、嫌気性処理領域A1の被処理水W1が好気性処理領域A2に流入することはない。
隔壁15の上端と、反応槽本体13の上面22との間には隙間Cが形成されている。即ち、反応槽3の内部空間において、被処理水W1の液面Lよりも上方の空間は、隔壁15によって区画されていない。
【0027】
隔壁15には、嫌気性処理領域A1の被処理水W1を好気性処理領域A2に流入させる連通口19が形成されている。連通口19は、隔壁15の下端、かつ、隔壁15の幅方向の一方側の端部に形成されている。連通口19は、矩形状をなしている。
【0028】
反応槽本体13には、原水供給管8の出口である原水投入口17が形成されている。即ち、混合槽2において混合された被処理水W1は、原水投入口17から反応槽3に投入される。
被処理水W1は、原水投入口17から反応槽3の嫌気性処理領域A1に投入されて、連通口19を介して好気性処理領域A2に流入し、排出管9から排出される。
【0029】
原水投入口17は、反応槽本体13の嫌気性処理領域A1の側壁21bに形成されている。原水投入口17は、連通口19からxy平面上の直線距離で最も遠い位置に設けられている。換言すれば、隔壁15の連通口19は、原水投入口17から最も離れた位置に設けられている。本実施形態の連通口19は、隔壁15の下端に形成されているため、原水投入口17は、側壁21bの上方に形成されている。即ち、z軸方向においても連通口19は原水投入口17から直線距離で最も遠い位置に設けられている。
【0030】
他の構成要素との干渉等の理由により、原水投入口17を上記した位置に設けることができなければその限りではない。即ち、原水投入口17は、可能な限り、連通口19から直線距離で離れた位置に設ければよい。また、本実施形態の原水投入口17は、隔壁15と直交する側壁21bに形成されているが、これに限ることはなく、隔壁15と平行となるように配置されている側壁21aや、直線距離で可能な限り離れた位置となる嫌気性処理領域A1の上面22に形成してもよい。
排出管9においても連通口19から直線距離で可能な限り離れた位置となるようにすることが望ましい。
【0031】
反応槽本体13には、循環ライン11の出口である循環液投入口18が形成されている。即ち、反応槽3から排出された被処理水W2の一部である循環液Rは、循環液投入口18から反応槽3に投入される。
循環液投入口18は、原水投入口17の近傍に設けられている。原水投入口17と循環液投入口18とは、可能な限り近接して配置されている。循環液投入口18は、原水投入口17と同様に、連通口19から直線距離で最も遠い位置、または可能な限り離れた位置に設けられている。
【0032】
撹拌槽4は、反応槽3で処理しきれず残存した硝酸を除去する槽である。撹拌槽4は、撹拌装置(図示せず)と、撹拌槽4に有機炭素源としてメタノールを添加するメタノール添加ライン12を有している。
【0033】
膜原水槽5は、脱窒槽で処理しきれず残存したアンモニアを、好気雰囲気下で硝化菌により硝酸に変換する槽である。
固液分離装置6は、例えば、UF膜(限外ろ過)、MF膜(精密ろ過)等の膜ユニットを備え、被処理水W4を分離液(処理水T)と分離汚泥とに固液分離する装置である。固液分離装置6によって分離された余剰汚泥S4は、例えば、汚泥の脱水、乾燥、焼却、堆肥化等を行う設備に送られる。余剰汚泥S4の少なくとも一部は、返送汚泥S3として返送ライン10を介して反応槽3に返送される。
【0034】
次に、本実施形態の窒素除去装置1の作用について説明する。
反応槽3に隔壁15が設けられて、好気性処理領域A2において曝気装置14が稼働することにより、好気性処理領域A2においては酸化還元電位(ORP)が正であり、嫌気性処理領域A1においては酸化還元電位が負である。即ち、反応槽3の内部領域が好気雰囲気の好気性処理領域A2と、嫌気雰囲気の嫌気性処理領域A1とに区画される。
【0035】
し尿E及び浄化槽汚泥S1に含まれている夾雑物が前処理装置によって取り除かれた後、混合槽2に導入されて均質化される。均質化された被処理水W1は、原水供給管8を介して反応槽3の嫌気性処理領域A1に連続的に投入される。導入された被処理水W1は、連通口19を介して好気性処理領域A2に流入する。
【0036】
被処理水W1に含まれるアンモニア性窒素は、好気性処理領域A2において、硝酸菌の作用により亜硝酸性窒素又は硝酸性窒素(硝酸)に変換される。硝酸は循環液R(硝化液)として循環ライン11を介して循環する。循環した循環液Rは、嫌気性処理領域A1において、脱窒菌の作用により原水のBOD(電子供与体)を用いて窒素ガスに還元される。
【0037】
上記実施形態によれば、隔壁15によって反応槽3の液相部Fが嫌気性処理領域A1と好気性処理領域A2とに区画され、嫌気性処理領域A1と好気性処理領域A2とを連通させる連通口19が原水投入口17から可能な限り離れた位置に設けられている。これにより、原水投入口17から投入された被処理水W1の脱窒に要する十分な滞留時間を確保することができる。換言すれば、原水投入口17から投入された被処理水W1が脱窒されることなく好気性処理領域A2に流入することを抑制することができ、より安定した窒素除去が可能となる。
【0038】
また、原水投入口17と循環液投入口18とが近接して配置されていることによって、被処理水W1に含まれるBOD成分と循環液Rに含まれる亜硝酸性・硝酸性窒素成分とがより接触するため、窒素除去の効率を向上させることができる。
【0039】
また、被処理水W1の連続的な投入が可能となるため、煩雑な被処理水の間欠投入や、精密な曝気量制御を行う必要がなくなる。
また、反応槽3の気相部Gにおいては、嫌気性処理領域A1と好気性処理領域A2とが連通していることによって、窒素ガスの排気ラインを単純化することができる。即ち、嫌気性処理領域A1と好気性処理領域A2とにそれぞれ排気ラインを設ける必要がなくなる。
【0040】
また、反応槽3に導入されるし尿E及び浄化槽汚泥S1を混合槽2にて混合させることによって、被処理水W1の均質化を図ることができる。また、混合槽2にて、性状が安定しているし尿Eに対して、性状が不安定な浄化槽汚泥S1を予め混合することによって、被処理水W1の性状の変動を抑えることができる。
また、撹拌槽4にメタノール添加ライン12を設けたことによって、反応槽3にて処理されなかった亜硝酸性・硝酸性窒素成分を除去することができる。
また、分岐ライン31を介して好気性処理領域A2に循環液Rを投入することによって、適宜好気性処理領域A2の被処理水W1を冷却することができる。
【0041】
なお、上記実施形態では、隔壁15は、反応槽本体13に固定されているがこれに限ることはなく、隔壁15を可動式とすることもできる。これにより被処理水W1の性状に応じて、好気性処理領域A2と嫌気性処理領域A1の容量を調整することができる。
また、反応槽3内を撹拌(機械式または酸素を含まないガス撹拌)することにより窒素除去の効率を向上させる構造としてもかまわない。
また、上記実施形態では、好気性処理領域A2に曝気装置14を設けることで、好気雰囲気とする構成としたが、これに限ることはなく、好気雰囲気とする構成であればかまわない。
【0042】
次に、窒素除去装置の改造方法について説明する。
本実施形態の窒素除去装置1は、単一槽からなる反応槽を有し、被処理水を間欠投入することにより、単一反応槽内で硝化反応と脱窒反応を行う窒素除去装置(以下、既存の窒素除去装置とも言う)を改造することにより製造することができる。
具体的には、窒素除去装置の改造方法は、単一槽からなる反応槽と、反応槽へ被処理水を供給する原水供給管と、反応槽に形成された原水供給管の出口である原水投入口と、反応槽から被処理水を排出する排出管と、排出管から反応槽へ被処理水を循環させる循環ラインと、を有する窒素除去装置を改造することによって製造することができる。
【0043】
窒素除去装置の改造方法は、既存の隔壁を有さない反応槽に、第一実施形態の窒素除去装置1と同様の隔壁を形成する工程を含む。隔壁は、既存の原水投入口の位置を考慮して形成することが好ましい。即ち、隔壁は、隔壁に形成されている連通口が原水投入口から可能な限り離れるように配置することが好ましい。
また、窒素除去装置の改造方法は、循環ラインの出口を嫌気性処理領域の最上流部へ移動させる工程と流量調整が可能な分岐ラインを追設する工程を含む。嫌気性処理領域の最上流部へ移動させる工程において、循環ラインの出口である循環液投入口と原水投入口とが近接するように配置する。
反応槽(好機性処理領域)からの排出管においても連通口から可能な限り離れるように配置することが好ましい。
当該既存の反応槽に複数の曝気装置が配置されている場合、当該複数の曝気装置のうち、嫌気性処理領域に配置されている曝気装置は、運転を停止するか、又は撤去を行う。
【0044】
また、混合槽は、既存の予備貯留槽などの槽を流用することができる。
図3に示すように、既存の窒素除去装置が、前処理装置25と貯留槽26を介してし尿E、及び浄化槽汚泥S1を導入している場合、既存の予備貯留槽を混合槽2として、前処理装置25と混合槽2とを接続するライン27、及び原水供給管8を新たに設ければよい。
混合槽2に適した槽がない場合等は、
図4に示すように、既存の貯留槽26同士を接続管28を介して接続して、し尿Eと浄化槽汚泥S1とを事前に混合してもよい。
【0045】
上記窒素除去装置の改造方法によれば、既存の窒素除去装置を流用して、被処理水の脱窒に要する十分な滞留時間を確保することができる窒素除去装置とすることができる。
【0046】
次に、上記窒素除去装置の改造方法を実施する条件について説明する。
上記窒素除去装置の改造は、以下の四つの条件のうちいずれか一つの条件を満たすときに実施することが好ましい。
第一の条件は、被処理水の原水のBOD/T−N比が3以下になった場合である。即ち、被処理水の原水が脱窒に望ましくない性状になった場合である。
第二の条件は、放流される処理水TのT−Nが規制値を満足しにくくなった場合である。即ち、窒素除去装置の性能が要求を満たさなくなった場合である。
第三の条件は、撹拌槽の入口、即ち、反応槽の出口のアンモニア濃度が放流基準値を超える場合である。
第四の条件は、被処理水の原水の総窒素量が、総窒素−MLSS負荷0.05kg−N/kg−MLSS・日を超える場合である。
【0047】
上記条件を設定することによって、既存の窒素除去装置の使用者が、改造を行うか否かを的確に判断することができる。
【0048】
(第二実施形態)
以下、本発明の第二実施形態の窒素除去装置1Bを図面に基づいて説明する。なお、本実施形態では、上述した第一実施形態との相違点を中心に述べ、同様の部分についてはその説明を省略する。
図5に示すように、本実施形態の窒素除去装置1Bは、嫌気性処理領域A1の酸化還元電位(ORP)を測定するORP測定装置29と、好気性処理領域A2のアンモニア濃度を測定するアンモニア濃度測定装置30と、を有している。
また、本実施形態の窒素除去装置1Bは、循環ライン11から分岐して好気性処理領域A2に循環液Rを投入する分岐ライン31を有している。なお、分岐ライン31は、好気性処理領域A2側のみならず、嫌気性処理領域A1側に設けてもよい。
また、本実施形態の窒素除去装置1Bは、嫌気性処理領域A1にメタノールを添加する第二メタノール添加ライン32を有している。
【0049】
図6に示すように、本実施形態の反応槽3Bの隔壁15Bの連通口19Bは、隔壁15Bの上下方向中央近傍に設けられている。原水投入口17及び循環液投入口18は、側壁21の下端近傍に設けられている。
ここで、連通口19Bは、隔壁15Bの下端から隔壁15の上下方向中央近傍の領域に設ける必要がある。これは、連通口19が隔壁15Bの上端近傍に設けられた場合、曝気装置14によって生じる被処理水W1の上方への流れによって、好気性処理領域A2の被処理水W1が嫌気性処理領域A1に流れ易くなるからである。よって、原水投入口17及び循環液投入口18が反応槽3Bの下部に設けられている場合は、連通口19Bを隔壁15Bの上方に形成することなく、上下方向中央近傍に形成する。
【0050】
本実施形態の窒素除去装置1Bは、図示しない制御装置を有している。制御装置は、ORP測定装置29によって測定された酸化還元電位の値に基づいて、曝気風量や、循環液Rの流量を制御することができる。制御装置は、酸化還元電位の値に基づいて良好な嫌気雰囲気か否かを判断し、曝気風量や、循環液Rの流量を調整する制御を行う。曝気風量や、循環液Rの流量を調整しても嫌気性処理領域A1の酸化還元電位の値が負を示さない場合は、嫌気性処理領域A1にメタノールを添加し脱窒を行う。
また、制御装置は、アンモニア濃度測定装置30によって測定されたアンモニア濃度の値に基づいて、曝気風量、循環液Rの流量や、pHを制御することができる。
なお、アンモニア濃度測定装置30の代替として、pHを測定するpH測定装置を設けてもよい。pH測定装置を設けることによって、pHが低くなることによる硝化・脱窒反応の阻害を防止することができる。
【0051】
上記実施形態によれば、測定された酸化還元電位やアンモニア濃度に基づいて、曝気風量や循環液Rの流量等を適切に制御することができる。
また、分岐ライン31を介して好気性処理領域A2に循環液Rを投入することによって、適宜好気性処理領域A2の被処理水W1を冷却することができる。
また、嫌気性処理領域A1の被処理水W1にメタノールを添加することによって、硝酸嫌気性雰囲気を保ち、良好に亜硝酸性・硝酸性窒素成分を除去することができる。
【0052】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、各実施形態における各構成及びそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換、及びその他の変更が可能である。また、本発明は実施形態によって限定されることはなく、クレームの範囲によってのみ限定される。