(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態(以下、「実施形態」と称する。)について詳細に説明する。実施形態の説明の全体を通して同じ要素には同じ番号を付している。
【0014】
(実施形態1)
本発明の荷物積載用敷台の実施形態1であるパレットの全体構成を
図1、
図2に基づいて説明する。まず、
図1に示すように、パレット10は、複数の荷物11からなる荷物集合体12を積載するものであり、平面形状が四角形状(この例では、正方形状)に形成される。
図1では、パレット10を介して荷物集合体12を複数段(ここでは、2段)積み上げる例を示しており、各荷物集合体12は、互いに交差する紐状の結束部材13,15によってパレット10に結束される。すなわち、結束部材13は、パレット10の一方の対辺間を結ぶ方向に沿って荷物集合体12の上端面12aを通り、荷物集合体12の一側から他側に延びる。一方、結束部材15は、パレット10の他方の対辺間を結ぶ方向に沿って荷物集合体12の上端面12aを通り、荷物集合体12の一側から他側に延びる。ここでは、結束部材13,15は、それぞれ3本設けられ、合計の6本の結束部材13,15によって、荷物集合体12がパレット10に結束される。
【0015】
図2に示すように、荷物集合体12は、定められた積み付けパターンでパレット10に並べられる同一形状の複数(この例では、6個)の荷物11によって構成される。荷物11は上下非対称の形状であるが、個々の荷物11において上下方向の向きを適宜設定することにより、荷物集合体12の下端部12bと上端部12cは、略同一の外形形状に形成される。なお、この例では、鋳造品(例えば、エンジンを構成する金属製のクランクケースなど)である荷物11を示すが、荷物11の種類、個数、形状、配置は、格別に限定されるものではなく、任意である。
【0016】
パレット10は、中空成形(例えば、筒状のパリソンを膨らませて成形するブロー成形など)により成形された合成樹脂製の成形体であって、上壁(この明細書で上板と称する場合がある)20、下壁(この明細書で下板と称する場合がある)30および周壁(この明細書で側壁と称する場合がある)40を有する。また、パレット10には、上壁(上板)20と下壁(下板)30を連結する複数の連結リブ50a,50bが設けられる。なお、パレット10の成形に用いる合成樹脂は、ポリプロピレンやポリエチレン等のポリオレフィン系樹脂を含む各種の樹脂材料から選択可能である。
【0017】
次に、パレット10の各部の構成を
図2〜
図4に基づいて説明する。
図2に示すように、周壁(側壁)40は、上壁(上板)20の外周と下壁(下板)30の外周を繋ぐ4個の側壁41からなる。この例では、パレット10を成形する成形金型の分割位置が周壁(側壁)40の高さ方向の中央位置に設定されており、周壁(側壁)40の高さ方向の中央位置には、環状のパーティングラインPLが形成される。また、対向する1対の側壁41のそれぞれは、フォークリフトの左右のフォーク42(
図1参照)を側方から挿入させる1対のフォーク挿入口43を備える。このフォーク挿入口43よりも内側の空間は、フォーク挿入空間45を形成する。
【0018】
上壁(上板)20は、荷物集合体12が積載される四角形状(この例では、正方形状)の積載面であり、上凹部21と、この上凹部21を囲う最上面22とを有する。上凹部21は、荷物集合体12の下端部12bの外形形状に合わせて下壁(下板)30側に凹むと共に荷物集合体12の下端部12bに嵌合可能である。上凹部21は、周縁23と、この周縁23の下端に形成される底面25とを有する。周縁23および底面25は、平面形状が四角形状(この例では、長方形状)に形成されており、周縁23は、4つの段差面23a,23bによって構成される。4つの段差面23a,23bのうちフォーク挿入方向に対向する1対の段差面23aは、直線状に形成され、フォーク挿入方向に対して直交する方向に対向する1対の段差面23bは、後述する複数の湾曲部26(
図4参照)によって略波形に形成される。
【0019】
底面25のうちフォーク挿入空間45の直上には、下壁(下板)30側に凹む補強用凹部27が設けられる。補強用凹部27は、フォーク挿入方向に対して直交する方向に延び、且つ、フォーク挿入方向に沿って複数設けられる。
【0020】
また、上凹部21の底面25の、たとえば補強用凹部27が形成されていない領域において、複数の凸部28が散在されて形成されている。これら凸部28は、その上面が最上面22とほぼ面一となるように形成されている。また、凸部28の周縁は、縦断面視において、鉛直方向に沿って形成される段差面で構成されている。そして、これら凸部28は、上凹部21内に荷物11が載置された場合に、一の荷物11と該一の荷物11と隣接して配置される他の荷物11の間(隙間)に位置づけられるように形成されている。また、これら凸部28は、各荷物11の底面に凹部(図示せず)が形成されている場合、該凹部内に位置付けられるように形成されている。このように形成された凸部28は、各荷物11において、隣接する他の荷物11との間においても位置決めを確保することができる効果を奏する。
【0021】
図3に示すように、上壁(上板)20の最上面22は、上壁(上板)20の外周に沿う四角形状(この例では、長方形状)で且つ環状の面であって、水平方向に沿って形成される面(設置面16と平行な面)で構成される。
【0022】
上凹部21の周縁23を構成する各段差面23a,23bは、縦断面視で鉛直方向に沿って形成される面(設置面16に対して垂直な面)で形成される。底面25は、平面形状が長方形状の面であって、水平方向に沿って形成される面(設置面16と平行な面)で形成される。上凹部21の周縁23の深さ(段差面23a,23bの高さ)h1は、荷物集合体12の下端部12bの高さh2と同等または若干大きく設定され、周縁23の幅w1は、荷物集合体12の下端部12bの幅w2と同等または若干大きく設定される。以上の構成により、上凹部21では、パレット10に荷物集合体12を積載したとき、荷物集合体12の下端面12dが底面25に支持されると共に、荷物集合体12の下端部12bが周縁23に嵌合する。
【0023】
一方、下壁(下板)30は、上壁(上板)20の下方に中空部17を介して設けられる四角形状(この例では、正方形状)の接地面であり、下凹部31と、この下凹部31を囲う最下面32とを有する。下凹部31は、荷物集合体12の上端部12cの外形形状に合わせて上壁(上板)20側に凹むと共に荷物集合体12の上端部12cに嵌合可能である。下凹部31は、周縁33と、この周縁33の上端に形成される天井面35とを有する。周縁33および天井面35は、平面形状が四角形状(この例では、長方形状)に形成されており、周縁33は、4つの段差面33a,33bによって構成される。4つの段差面33a,33bのうちフォーク挿入方向に対向する1対の段差面33aは、直線状に形成され、フォーク挿入方向に対して直交する方向に対向する1対の段差面33bは、後述する複数の湾曲部36(
図4参照)によって略波形に形成される。
【0024】
下壁(下板)30の最下面32は、下壁(下板)30の外周に沿う四角形状(この例では、長方形状)で且つ環状の面であって、水平方向に沿って形成される面(設置面16と平行な面)で構成される。
【0025】
下凹部31の周縁23を構成する各段差面33a,33bは、縦断面視において鉛直方向に沿って形成される面(設置面16に対して垂直な面)で形成される。天井面35は、平面形状が長方形状の面であって、水平方向に沿って形成される面(設置面16と平行な面)で形成される。下凹部31の周縁33の深さ(段差面33a,33bの高さ)h3は、荷物集合体12の上端部12cの高さh4と同等または若干大きく設定され、周縁33の幅w3は、荷物集合体12の上端部12cの幅w4と同等または若干大きく設定される。以上の構成により、下凹部31では、荷物集合体12の上にパレット10を載せたとき、荷物集合体12の上端面12aに天井面35が支持されると共に、荷物集合体12の上端部12cに周縁33が嵌合する。
【0026】
また、天井面35のうちフォーク挿入空間45(
図2参照)の直下には、上壁(上板)20側に凹む補強用凹部(図示省略)が設けられる。この補強用凹部は、補強用凹部27(
図2参照)と同様に、フォーク挿入方向に対して直交する方向に延び、且つ、フォーク挿入方向に沿って複数設けられる。また、この天井面35においても、
図2において示した凸部28と同様の機能を有する凸部(図示せず)が形成されている。
【0027】
以上、上凹部21および下凹部31のそれぞれの構成を説明したが、パーティングラインPLを対称軸として、パレット10を上下対称形状としてもよい。この場合、上凹部21および下凹部31は、上下方向において対称に形成されるため、上凹部21の周縁23の深さh1および幅w1は、下凹部31の周縁33の深さh3および幅w3と同じ大きさとなる。
【0028】
次に、連結リブ50a,50bの構成を
図2、
図4に基づいて説明する。
図2に示すように、連結リブ50a,50bは、左右のフォーク挿入空間45の間に等間隔で且つ千鳥状に配置される連結リブ50aと、左右のフォーク挿入空間45よりも外側位置においてフォーク挿入方向に沿って等間隔に並ぶ複数(この例では、10個)の連結リブ50bとによって構成される。なお、連結リブ50aと連結リブ50bとは、基本的な構成が同じであるため、ここでは、連結リブ50bの構成について説明し、連結リブ50aの説明は省略する。
【0029】
図4(a)および(b)に示すように、連結リブ50bは、上凹部21および下凹部31のそれぞれの段差面23b,33bに沿って配置される。この例では、荷物集合体12の下端部12bの外形線12eと重なる位置に連結リブ50bが設けられており、段差面23b,33bには、連結リブ50bの外側を迂回するように半円状に湾曲した湾曲部26,36が形成される。連結リブ50bは、上壁(上板)20側から下壁(下板)30側に凹む筒状の上リブ51と、下壁(下板)30側から上壁(上板)20側に凹む筒状の下リブ52とを有する。
【0030】
上リブ51は、上壁(上板)20の一部であって、底面25に開口部51aを有すると共に下方に向けて先細る円錐台状に形成される。この例では、上リブ51の内側半部が荷物集合体12の外形線12eよりも底面25側に位置し、上リブ51の外側半部が荷物集合体12の外形線12eよりも最上面22側に位置している。また、上リブ51の円形状の先端面51bは、パーティングラインPLと略同じ高さに位置する。
【0031】
下リブ52は、下壁(下板)30の一部であって、天井面35に開口部52aを有すると共に上方に向けて先細る円錐台状に形成される。この例では、下リブ52の内側半部が天井面35側に位置し、下リブ52の外側半部が最下面32側に位置している。また、下リブ52の円形状の先端面52bは、パーティングラインPLと略同じ高さに位置する。
【0032】
連結リブ50bでは、上リブ51および下リブ52の先端面51b,52b同士を突き合わせて溶着してなる連結壁53が形成される。このように構成される上リブ51、下リブ52および連結壁53は、例えば、ブロー成形において、上壁(上板)20を成形する金型成形面に凸部を設ける共に、下壁(下板)30を成形する金型成形面に凸部を設け、これらの凸部同士を型締め時に近接させることで得ることができる。
【0033】
また、パレット10の成形には、ベース金型の成形面側に各種ブロックが任意の位置に配置可能であり、形状の異なる様々なパレット10を成形できる金型(例えば、特開2011−25696号公報に記載されるブロー成形用金型)を用いることが好適である。このような成形金型を用いることにより、荷物集合体12の形状に応じて、上凹部21や下凹部31などの形状が異なる様々なパレット10を迅速かつ容易に成形することができる。
【0034】
以上、説明したパレット10の作用・効果について述べる。
パレット10によれば、荷物集合体12の下端部12bを上壁(上板)20の上凹部21に嵌合させた状態で、パレット10に荷物集合体12を積載できるので、パレット10が傾いたり振動したりする場合であっても、パレット10上における荷物集合体12の平面的な移動を規制して、パレット10に積載された荷物集合体12の位置ずれを防止することができる。例えば、
図5に示すように、比較的大きな傾斜角θ(例えば、45°程度)でパレット10および荷物集合体12が傾いた場合であっても、荷物集合体12がパレット10から滑り落ちることを防止することができる。上凹部21の周縁23の深さh1との関係においては、上壁(上板)20の最上面22から荷物11の重心Gまでの高さPが上凹部21の段差面23aを含む面から重心Gまでの距離Qより小さくなるように上凹部21の深さh1を設定することで、パレット10の傾斜角θを45°とした場合であっても荷物11がパレット10から脱落して滑り落ちたり、転げ落ちたりすることを防止することができる。つまり、上凹部21の深さh1は(P−Q)より大きくなるように設定することが好ましい。一方で、上凹部21の深さh1を大きく設定するとパレット10の上壁(上板)20と下壁(下板)30との距離が小さくなり強度が低下することとなる。このため、上凹部21の深さh1は30mm以下、好ましくは20mm以下の範囲で設定することが好ましい。
【0035】
また、
図6に示すように、パレット10を介して荷物集合体12を複数段積み上げる際、2段目以上のパレット10では、パレット10の下凹部31に下段の荷物集合体12の上端部12cを嵌合させることにより、荷物集合体12を安定的に複数段積み上げることができる。
【0036】
また、上凹部21では、鉛直方向に沿って形成される段差面23a,23bが荷物集合体12の下端部12bの側端を受けるので、より安定的に荷物集合体12を上凹部21に嵌合させることができる。一方、下凹部31においても、鉛直方向に沿って形成される段差面33a,33bが荷物集合体12の上端部12cの側端を受けるので、下段の荷物集合体12の上端部12cに下凹部31をより安定的に嵌合させることができる。
【0037】
また、パレット10を合成樹脂により中空成形したので、パレット10の軽量化を図ることができる。
【0038】
また、上凹部21および下凹部31を上下方向において対称に形成すれば、パレット10を上下反転させて使用することができる。これにより、荷物集合体12をパレット10に積載する際、パレット10の上下方向の向きを確認する必要がなくなり、使い勝手のよいパレット10を提供することができる。
【0039】
さらに、使用していない複数のパレット10を積み重ねる際、水平方向に沿って形成される上壁(上板)20の最上面22および下壁(下板)30の最下面32が重なる。このため、略鉛直方向に沿って個々のパレット10を積み上げることができ、使用していない複数のパレット10を安定的に積み重ねておくことができる。
【0040】
加えて、上凹部21および下凹部31のそれぞれの周縁23,33に沿って複数の連結リブ50bを配置したので、複数の連結リブ50bにより、上凹部21および下凹部31のそれぞれの周縁23,33の剛性が高まる。これにより、荷物集合体12の平面的な移動を、剛性の高い周縁23,33によって、より確実に規制することができる。
【0041】
次に、実施形態1の変更例を
図7、
図8に基づいて説明する。なお、前述したパレット10と共通する要素には同じ符号を付して、重複する説明を省略することとする。
【0042】
図7に示すように、変更例に係るパレット10Bでは、上リブ51の開口部51aに向けて突出する保持部材60を連結壁53に設け、荷物集合体12の一側から上端面12a(
図8参照)を通って荷物集合体12の他側に渡される紐状の結束部材15Bを保持部材60に保持させる。例えば、連結壁53に貫通穴61を設け、輪状部62を備える保持部材60(例えば、いわゆる丸カンボルトなど)を貫通穴61に上リブ51側から通し、通した保持部材60を下リブ52側から固定部材63(ナットなど)で連結壁53に固定する。そして、連結壁53に固定した保持部材60の輪状部62に結束部材15Bを通して結び付ける。なお、保持部材60を固定する連結リブ50bは、格別に限定されるものではなく、複数の連結リブ50bから任意に選択可能である。
【0043】
この変更例に係るパレット10Bによれば、
図8に示すように、パレット10Bに荷物集合体12を結束する結束部材15Bを、荷物集合体12の下端部12bに近い位置から荷物集合体12の上端面12aに延ばすことができる。すなわち、荷物集合体12の側面12fに沿って、結束部材15Bを略鉛直方向に延ばすことができる。
【0044】
これに対して、
図1に示されるパレット10のように、周壁(側壁)40から荷物集合体12の上端面12aに向けて結束部材15を延ばした場合、荷物集合体12の側面12fと結束部材15が離れるため、荷物集合体12の仕様や取り扱いによっては、結束部材15による荷崩れ防止の効果が弱くなるおそれがある。
【0045】
この点、パレット10Bでは、荷物集合体12の側面12fに結束部材15Bを近接させることができるので、結束部材15Bによる荷崩れ防止の効果を最大限に発揮させることができる。
【0046】
(実施形態2)
図9(a)は、本発明の荷物積載用敷台の実施形態2である仕切板を示す斜視図であり、
図9(b)は、
図9(a)のb−b線における断面図である。
【0047】
図9(a)、(b)に示す仕切板70は、たとえば、筒状のパリソンを膨らませて成形するブロー成形によって形成される合成樹脂製からなっている。合成樹脂材としては、たとえば、ポリプロピレンやポリエチレン等のポリオレフィン系樹脂を含む各種の樹脂材料から選択できる。
【0048】
図9(a)、(b)において、仕切板70は、矩形状のほぼ平坦板で構成されている。仕切板70は、ブロー成形によって形成されることによって、図中上側には上板71を、図中下側には下板72を有し、上板71と下板72の周縁は側壁73によって繋げられている。なお、側壁73には、高さ方向の中央位置に周方向に沿ったパーティングラインPLが形成されている。
【0049】
上板71には、この上板71の上に配置される荷物(図示せず)の下端部が当接されるようになっており、該荷物の下端部とその外形形状に合わせた開口からなる上凹部71Aを有するようになっている。上凹部71Aは、上板71の周辺を除く中央部に形成され、これにより、上板71の周辺には、該上凹部71Aを囲むようにして最上面71Bが形成されるようになる。この最上面71Bは、水平方向に沿って形成される面となっている。上凹部71Aと最上面71Bの周縁である境界は、断面視において、垂直方向に沿った段差面となっている。また、上凹部71Aの領域内には、複数の凸部71Cが散在されて形成され、これらの凸部71Cの上面は、上板71の周辺の該最上面71Bと高さが等しく形成され、上板71の上に配置される荷物(図示せず)が複数ある場合に、各荷物の隙間に位置付けられるように形成されている。また、凸部71Cは、各荷物11の底面に凹部(図示せず)が形成されている場合、該凹部内に位置付けられるように形成されている。
【0050】
同様に、下板72には、この下板72の下に配置される荷物(図示せず)の上端部が当接されるようになっており、該荷物の上端部とその外形形状に合わせた開口からなる下凹部72A(
図9(b)参照)を有するようになっている。下凹部72Aと上凹部71Aとは、たとえば、上下方向において対称に形成されている。このため、下凹部72Aは、下板72の周辺を除く中央部に形成され、これにより、下板72の周辺には、該下凹部72Aを囲むようにして最下面72B(
図9(b)参照)が形成されるようになる。この最下面72Bは水平方向に沿って形成される面となっている。下凹部72Aと最下面72Bの周縁である境界は、断面視において、垂直方向に沿った段差面となっている。また、下凹面72Aの領域内にも、該最下面72Bと同じ高さを有する凸部72Cが複数散在されて形成され、これらの凸部72Cは、下板72の下に配置される荷物(図示せず)が複数ある場合に、各荷物の隙間に位置付けられるようになっている。また、凸部72Cは、各荷物11の上面に凹部(図示せず)が形成されている場合、該凹部内に位置付けられるように形成されている。
【0051】
なお、
図9(b)に示すように、たとえばブロー成形により形成される仕切板は、上板71に形成される最上面71B、凸部71Cと下板72に形成される最下面72B、凸部72Cの間に、中空部74が形成され、これにより、上板71と下板72は二重板構造として形成されている。
【0052】
図10は、たとえば2個の上述した仕切板70を用い、2段に配置させた荷物11の積載構造を示した断面図である。各荷物11はたとえば鋳造物(たとえば、エンジンを構成する金属製のクランクケース等)からなり、1段目、および2段目のそれぞれにおいて、たとえば6個配列されている。なお、以下の説明において、各段の複数の荷物11を荷物集合体12と称する場合がある。なお、
図10では、各仕切板70の凸部(
図9中、符号71C、72Cで示す)を省略して示している。
【0053】
図10において、1段目の荷物集合体12は、その下端部12bが設置面16に載置された第1仕切板70(符号70Aで示す)の上板71に当接され、第1仕切板70上に配置されている。また、1段目の荷物集合体12の上端部12tは、第2仕切板70(符号70Bで示す)が載置され、該第2仕切板70Bの下板72に当接されている。2段目の荷物集合体12は、その下端部12bが第2仕切板70Bの上板71に当接されて、該第2仕切板70B上に配置されている。
【0054】
なお、
図10では、第1仕切板70Aを用いた積載構造を示したが、この第1仕切板70Aを無くし、第2仕切板70Bのみを用いた積載構造としてもよいことはもちろんである。また、この例では、鋳造物である荷物11を示したが、荷物11の種類、個数、形状、配置は、特に限定されることはなく、任意であってもよいことはもちろんである。
【0055】
図11は、
図10に示した1段目の荷物集合体12、第2仕切板70B、2段目の荷物集合体12を取り出して示した分解斜視図(第1仕切板70Aは省略)である。
図11に示すように、仕切板70Bの上板71に形成された上凹部71Aには、2段目の荷物集合体12の下端部12bが嵌合可能に配置されるようになっている。これにより、仕切板70Bの上板71に配置された2段目の荷物集合体12は仕切板70Bの上板71の上凹部71Aと最上面71Bとの間の段差部71Pによって平面方向の移動が規制され、該仕切板70B上において位置ずれが生じることなく配置されるようになる。なお、
図11では、
図9で説明した上凹部71Aの領域内の凸部71Cの一部は省略して示している。
【0056】
同様に、
図11では図示されていないが、仕切板70の下板72に形成された下凹部72A(
図9(b)参照)には、1段目の荷物集合体12の上端部12tが嵌合可能に配置されるようになっている。これにより、仕切板70の下板72に配置された1段目の荷物集合体12は仕切板70の下板72の下凹部72Aと最下面72Bとの間の段差部72Pによって平面方向の移動が規制され、該仕切板70下において位置ずれが生じることなく配置されるようになる。
【0057】
仕切板70のたとえば上板71に形成した上凹部71Aは、荷物集合体12の下端部12bを嵌合させるようになっているため、仕切板70が水平状態で配置される場合の荷物集合体12の位置規制の効果とともに、仕切板70をたとえば45°の傾斜角θで配置させた場合でも、荷物集合体12の仕切板70からの滑り落ちを防止できる効果も得ることができる。
【0058】
図12は、仕切板70をたとえば45°の傾斜角θで配置させ、この仕切板70の上板71に荷物集合体12を載置させた状態を示した図である。
図12に示すように、上板71の最上面71Bから荷物11の重心Gまでの高さ(距離)をP、上凹部71Aの段差面71Pから水平方向に前記重心Gの垂線との交差点までの距離をQとした場合、上凹部の深さh1を(P−Q)より大きくなるように設定することで、荷物11が仕切板70から離脱して滑り落ちたり、転げ落ちたりすることを防止することができる。
【0059】
なお、このような仕切板70の成形には、ベース金型の成形面側に各種ブロックが任意の位置に配置可能であり、形状の異なる様々な仕切板70を成形できる金型(たとえば特開2011−25696号公報参照)を用いることが好適である。このような成形金型を用いることにより、荷物集合体12の形状に応じて、上凹部71Aや下凹部72Aなどの形状が異なる様々な仕切板70を迅速かつ容易に成形することができる。
【0060】
以上、実施形態2に示した仕切板70によれば、嵩張ることなく構成され、積載された荷物11の位置ずれを防止でき、これら荷物11を安定に複数段に積み上げることができるようになる。
【0061】
上述の実施形態2の説明では、仕切板70のみを用いて多段に配置された荷物11の積載構造を示したものである。しかし、これに限定されることはなく、パレットと仕切板70を用いて多段に配置された荷物11の積載構造を構成するようにしてもよい。ここで、バレットは、その周壁(側壁)にフォークリフトのフォークが挿入される一対のフォーク挿入口を備えたものとして構成される。このため、パレットと仕切板70を用いて多段に配置された荷物の積載構造は、フォークリフトによって、これら荷物を搬送できるようになっている。
【0062】
図13は、
図10に対応させて描いた図である。
図13において、
図10と比較して異なる構成は、設置面16に載置し、1段目の荷物集合体12を搭載するものとして、前記第1仕切板70Aに代えて実施形態1で示したパレット10を用いていることにある。そして、1段目の荷物集合体12と2段目の荷物集合体12を仕切るものとして、前記仕切板70を用いることは、
図10に示した場合と同様である。この場合の仕切板70の作用・効果は、
図10に示した仕切板70と同じである。
【0063】
また、パレット10としては、
図7に示したように保持部材60を有するものを使用することができる。これにより、
図14に示すように、パレット10の上に搭載された荷物集合体12の上端部に仕切板70を載置させた後に、荷物集合体12をパレット10および仕切板70に固定させるため、該仕切板70を迂回させるようにして張設させた紐状の結束部材15Bの各端部を該輪状部62(
図7参照)に固定できるように構成されている。なお、
図14には、パレット10を荷物集合体12ごと移動させるフォークリフト(図示せず)のフォーク42が図示されている。
【0064】
このようなパレット10の使用方法は、
図14に示した構成に限定されることはなく、パレット10の上に1段目の荷物集合体12を搭載し、第1の仕切板70を介して、2段目の荷物集合体12を積載させ、さらに、2段目の荷物集合体12の上方に第2の仕切板70を載置させた後に、これら荷物集合体12をパレット10、第1の仕切板70および第2の仕切板70に固定させるために、第2の仕切板70を迂回させるようにして張設させた結束部材15Bの各端部を輪状部62に固定できるように構成してもよい。
【0065】
以上、実施形態2に示した仕切板70によれば、嵩張ることなく構成され、積載された荷物11の位置ずれを防止でき、これら荷物11を安定に複数段に積み上げることができるようになる。
【0066】
以上、実施形態を用いて本発明を説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されないことは言うまでもない。上記実施形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。またその様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。