特許第6264449号(P6264449)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6264449
(24)【登録日】2018年1月5日
(45)【発行日】2018年1月24日
(54)【発明の名称】組電池、およびそれを備えた車両
(51)【国際特許分類】
   H01M 2/10 20060101AFI20180115BHJP
   H01M 10/647 20140101ALI20180115BHJP
   H01M 10/625 20140101ALI20180115BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20180115BHJP
   H01M 10/6557 20140101ALI20180115BHJP
   H01M 10/6561 20140101ALI20180115BHJP
【FI】
   H01M2/10 S
   H01M2/10 E
   H01M10/647
   H01M10/625
   H01M10/613
   H01M10/6557
   H01M10/6561
【請求項の数】8
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-514728(P2016-514728)
(86)(22)【出願日】2015年4月24日
(86)【国際出願番号】JP2015002225
(87)【国際公開番号】WO2015162938
(87)【国際公開日】20151029
【審査請求日】2016年8月10日
(31)【優先権主張番号】特願2014-91017(P2014-91017)
(32)【優先日】2014年4月25日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001889
【氏名又は名称】三洋電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104732
【弁理士】
【氏名又は名称】徳田 佳昭
(74)【代理人】
【識別番号】100116078
【弁理士】
【氏名又は名称】西田 浩希
(72)【発明者】
【氏名】岡田 渉
【審査官】 佐藤 知絵
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−014962(JP,A)
【文献】 特開2012−146657(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/084290(WO,A1)
【文献】 欧州特許出願公開第02495786(EP,A1)
【文献】 特開2008−166191(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/080338(WO,A1)
【文献】 特開2012−064355(JP,A)
【文献】 特開2014−035971(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 2/10
H01M 10/613
H01M 10/625
H01M 10/647
H01M 10/6557
H01M 10/6561
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対のエンドプレートと、
前記一対のエンドプレートの間にセパレータを介して積層された複数の角形電池と、を備えた組電池であって、
前記角形電池は、底面、一対の大面積側面及び一対の小面積側面を有し、
前記セパレータは、本体部と、前記本体部の幅方向の両端に設けられた一対の側壁部を有し、
前記本体部は隣り合う二つの前記角形電池の間に配置され、
前記本体部は、上方から下方に交互に設けられた縦方向に延びる垂直部と横方向に延びる水平部を有し、前記垂直部の端部は前記水平部の端部に接続されており、
前記本体部の一方の面と前記角形電池の間には熱交換気体が通過する第1の通路が設けられており、
前記本体部の他方の面と前記角形電池の間には熱交換気体が通過する第2の通路が設けられており、
前記第1の通路と前記第2の通路が上方から下方に交互に設けられており、
前記側壁部は、隣り合う二つの前記角形電池のそれぞれの前記小面積側面と対向するように配置され、
前記側壁部には、縦方向に並ぶ複数の開が設けられ、
前記複数の開口により、前記第1の通路及び前記第2の通路が露出されると共に
一つの前記開口から前記第1の通路又は前記第2の通路が露出し、上方から下方にかけて前記第1の通路が露出する前記開口と前記第2の通路が露出する前記開口が交互に設けられている組電池。
【請求項2】
前記水平部の縦方向の厚みが、前記垂直部の横方向の厚みよりも大きい請求項1に記載の組電池。
【請求項3】
一つの前記開口から、前記本体部の一方の面側に位置する前記角形電池の前記小面積側面と、前記本体部の他方の面側に位置する前記角形電池の前記小面積側面が露出している請求項1または2に記載の組電池。
【請求項4】
バインドバーを備え、
前記バインドバーは、一方端が前記一対のエンドプレートの一方に接続され、他方端が前記一対のエンドプレートの他方に接続され、
前記バインドバーは、前記組電池の側面に配置されている請求項1〜のいずれかに記載の組電池。
【請求項5】
前記セパレータは、前記本体部の下端部に底部を有し、
前記底部は前記角形電池の底部と対向するように配置され、
前記底部は前記本体部の一方の面側において、底部第1領域及び底部第2領域を有し、前記底部第1領域は、前記底部第2領域よりも上方に位置し、前記底部第1領域は、前記セパレータに隣接する別の前記セパレータの前記底部第2領域の上面側に配置され、前記底部第2領域は、前記セパレータに隣接する別の前記セパレータの前記底部第1領域の下面側に配置される請求項1〜のいずれかに記載の組電池。
【請求項6】
前記角形電池の積層方向における前記本体部から前記底部第2領域の端部までの距離は、前記角形電池の積層方向における前記本体部から前記底部第1領域の端部までの距離よりも大きい請求項に記載の組電池。
【請求項7】
前記角形電池の積層方向における前記底部第2領域の端部は、前記本体部からの距離が徐々に小さくなる傾斜部を有する請求項に記載の組電池。
【請求項8】
請求項1〜のいずれかに記載の組電池を備えた車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の角形電池をセパレータを介して積層した組電池、およびそれを備えた車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電力を駆動源とするハイブリッド自動車や電気自動車等において、複数の角形電池が直列または並列に接続された組電池が用いられている。
【0003】
組電池において、隣り合う角形電池の間にはセパレータが配置される。このセパレータは、角形電池同士が直接接触することを防止する役割を有する。また、セパレータに凹凸を設け、角形電池とセパレータの間に冷却気体が流れる通路を形成することにより、角形電池が発熱した場合にこの通路に冷却気体を流し角形電池を冷却することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013−004523号公報
【0005】
上記特許文献1では、セルバリア(セパレータ)のベース部に突出部を設け、セルバリアとバッテリセルの間に熱交換媒体が通過する通路を設けることが開示されている。また、セルバリアがフランジ部を有し、このフランジ部に開口部を形成することが開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ハイブリッド自動車や電気自動車等に用いられる車両用の組電池では、事故等により車両が破損し組電池に強い衝撃が加わったとしても、組電池が破損し角形電池に異常が生じることを防止する必要がある。本発明は、角形電池の冷却性能を維持し、且つ高い信頼性を有する組電池を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様の組電池によれば、一対のエンドプレートと、前記一対のエンドプレートの間にセパレータを介して積層された複数の角形電池と、を備えた組電池であって、
前記角形電池は、底面、一対の大面積側面及び一対の小面積側面を有し、前記セパレータは、本体部と、前記本体部の幅方向の両端に設けられた一対の側壁部を有し、前記本体部は隣り合う二つの前記角形電池の間に配置され、
前記本体部は、上方から下方に交互に設けられた縦方向に延びる垂直部と横方向に延びる水平部を有し、前記垂直部の端部は前記水平部の端部に接続されており、
前記本体部の一方の面と前記角形電池の間には熱交換気体が通過する第1の通路が設けられており、前記本体部の他方の面と前記角形電池の間には熱交換気体が通過する第2の流路が設けられており、前記第1の通路と前記第2の通路が上方から下方に交互に設けられており、
前記側壁部は、隣り合う二つの前記角形電池のそれぞれの前記小面積側面と対向するように配置され、前記側壁部は開口を有し、前記開口により前記第1の通路及び前記第2の通路の少なくとも一方が露出している組電池が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様の組電池においては、角形電池の小面積側面をセパレータの側壁部で覆
うことが可能となる。したがって、車両等の事故により組電池に強い衝撃が加わった場合でも、角形電池に直接衝撃が加わることを防止できる。また、車両等の事故により組電池を構成する部品や車両を構成する部品が角形電池の小面積側面を損傷・破壊させ角形電池に異常を生じさせることを効果的に防止できる。
【0009】
また、本発明の一態様の組電池においては、セパレータと角形電池の間に熱交換気体が流れる通路が形成されており、セパレータの側壁部に設けられた開口により通路が露出している。したがって、通路内に熱交換気体を流入させることができ、角形電池を効率的に冷却することができる。さらに、セパレータの本体部が垂直部と水平部が交互に設けられたコルゲート状部を有するため、本体部の両面に凸部を設ける形態のセパレータを用いる場合(図12参照)に比べ、熱交換気体が流れる通路の幅(セパレータの本体部と角形電池の大面積側面の間の距離)を大きくすることが可能となる。これにより、熱交換気体が通路にスムーズに流れ込み、通路内をスムーズに流れるようになるため、より効率的に角形電池を冷却することが可能となる。よって、本発明の一態様の組電池は、高い角形電池の冷却性能を有し、且つ高い信頼性を有する組電池となる。なお、本願において「縦方向」とは、角形電池の底面に対して垂直な方向を意味し、「横方向」とは、角形電池の底面に平行な方向を意味する。
【0010】
本願において、側壁部に設けられる開口は一つでもよく、複数でもよい。側壁部に設けられる開口が一つの場合、この一つの開口から第1の通路及び第2の通路が露出するようにする。但し、側壁部に複数の開口が設けられる形態がより好ましい。この場合、一つの開口から第1の通路及び第2の通路が露出するようにしてもよい。あるいは、一つの開口から第1の通路又は第2の通路が露出するようにし、第1の通路が露出する開口と、第2の通路が露出する開口をそれぞれ設けてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態に係る組電池に用いられる角形電池の斜視図である。
図2】実施形態に係る組電池の斜視図である。
図3図3Aは実施形態に係る組電池の側面図であり、図3Bは実施形態に係る組電池の平面図である。
図4】実施形態に係る組電池に用いられるセパレータの斜視図である。
図5図5Aはセパレータの正面図であり、図5Bは左側の側面図であり、図5Cは右側の側面図である。
図6図6A図5AにおけるVI−VI線に沿った断面図であり、図6Bは、図6Aの拡大図である。
図7図3BにおけるVII−VII線に沿った断面図である。
図8図7におけるVIII部分の拡大図である。
図9図9A図8におけるIXA−IXA線に沿った断面図であり、図9B図8におけるIXB−IXB線に沿った断面図である。
図10図3AにおけるX部分の拡大図である。
図11図11A図5AのXI−XI線に沿った断面図であり、図11B図5Aにおける底部近傍の拡大図である。
図12】本体部の両面に凸部が形成されたセパレータを示す図である。
図13図9Bの開口近傍の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に本発明の実施形態を図面を用いて詳細に説明する。ただし、以下に示す実施形態は、本発明の技術思想を理解するために例示するものであって、本発明をこの実施形態に特定することを意図するものではない。
【0013】
図1は、実施形態に係る組電池10に用いられる角形電池1の斜視図である。角形電池1は、アルミニウム等からなる金属製の角形外装体2の内部に正極板及び負極板を有する電極体を電解質とともに収納している。角形外装体2は、一対の大面積側面2a、一対の小面積側面2b、及び底部2cを有する角形の有底筒状である。角形外装体2の開口は、封口板3により封止されている。封口板3には正極端子4及び負極端子5がそれぞれ設けられている。正極端子4は正極板に電気的に接続されており、負極端子5は負極板に電気的に接続されている。正極端子4と封口板3の間、負極端子5と封口板3の間にはそれぞれ樹脂製の絶縁部材6、7が介在している。封口板3には、角形外装体2の内部の圧力が所定値以上となったときに破断し、角形外装体2の内部のガスを外部に排出するガス排出弁8が設けられている。また、電解液を注液するための注液孔が設けられており、注液後、この注液孔は封止栓9により封止される。なお、角形電池1としては、リチウムイオン二次電池等の非水電解質二次電池を用いることが好ましい。
【0014】
図2図3A及び図3Bに示すように、組電池10では一対のエンドプレート11の間に複数の角形電池1がセパレータ12を介して積層されている。一対のエンドプレート11にはそれぞれバインドバー13が接続され、一対のエンドプレート11及びバインドバー13により、積層された複数の角形電池1が拘束された状態とされる。バインドバー13の本体部13aは組電池の側面に配置されている。バインドバー13の本体部13aには開口13cが設けられている。隣接する角形電池1の正極端子4と負極端子5がバスバー14により電気的に接続されている。隣接する角形電池1同士は、それぞれの大面積側面2aがセパレータ12を介して対向するように配置される。セパレータ12は本体部12aを有し、この本体部12aが隣接する二つの角形電池1の間に配置される。したがって、本体部12aの一方の面が一方の角形電池1の大面積側面2aと対向し、本体部12aの他方の面が他方の角形電池1の大面積側面2aと対向する。
【0015】
図4図5A〜C、図6A及び図6Bに示すように、セパレータ12は本体部12a、側壁部12b、底部12c、及び上壁部12dを有する。
【0016】
セパレータ12の本体部12aは、コルゲート状部を有し、縦方向に延びる垂直部12aと横方向に延びる水平部12aが上方から下方にかけて交互に形成されている部分を有する。垂直部12aは略長方形であり、その長辺が本体部12aの幅方向に延びるように配置される。そして、垂直部12aは角形電池1の大面積側面2aと直接あるいは絶縁シート等を介して接するように配置される。水平部12aは上方に位置する垂直部12aと下方に位置する垂直部12aを繋ぐよう設けられている。垂直部12aの下端部に水平部12aの一方の端部が接続され、水平部12aの他方の端部に下方に位置する垂直部12aの上端部が接続されている。これにより、本体部12aの一方の面には、本体部12aの幅方向に延びる凹部18が間隔をおいて複数設けられることになる。そして、凹部18により本体部12aと角形電池1の間に本体部12aの幅方向に延びる隙間が形成され、この隙間が熱交換媒気体の通路16となる。凹部18により隙間が形成される領域と、本体部12aと角形電池1が接し隙間が形成されない領域が、上方から下方にかけて交互に形成される。本体部12aの他方の面においても、本体部12aの幅方向に延びる凹部18が間隔をおいて複数設けられていることになる。ここで、本体部12aの他方の面における凹部18は、本体部12aの一方の面において本体部12aと角形電池1が接し隙間が形成されない領域に対応する領域に形成される。
【0017】
図7及び図8に示すように、本体部12aの一方の面側に形成される熱交換気体の通路(第1の通路16a)と、本体部12aの他方の面側に形成される熱交換気体の通路(第2の通路16b)が、上方から下方にかけて交互に形成されることになる。
【0018】
セパレータ12の本体部12aがこのような形状を有すると、角形電池1同士の間隔が
同じ場合、図12に示すように本体部12aの両面に凸部20を設ける場合よりも各通路16の幅(本体部12aと角形電池1の大面積側面2aの間の距離)を大きくすることができる。これにより、通路16に熱交換気体が流れ込み易くなる。また、通路16内で熱交換気体が流れ易くなる。したがって、角形電池1をより効率的に冷却できる。また、第1の通路16aと第2の通路16bが、上方から下方にかけて交互に形成されることにより、角形電池1の両面を均一に冷却することができる。
【0019】
なお、図6Bに示すように、水平部12aの縦方向の厚みT2は、垂直部12aの横方向の厚みT1よりも大きいことが好ましい。これにより、通路16の幅を広くすることができると共に本体部12aの強度を高くすることが可能となる。角形電池1が充放電により膨張し、セパレータ12を押圧しても、セパレータ12が大きく変形し、熱交換気体の通路16が潰れることを確実に防止できる。また、本体部12aの幅方向の端部には、本体部開口17が形成されている。本体部開口17が形成されていると、通路16内に熱交換気体がスムーズに流れ込み、圧力損出を低減することができる。
【0020】
図4及び図5に示すように、セパレータ12の本体部12aの幅方向の両端には、一対の側壁部12bが形成されている。側壁部12bは、角形電池1の積層方向に延びるように配置される。側壁部12bは、角形電池1の積層方向において、本体部12aから一方へ突出する第1領域12bと、本体部12aから他方へ突出する第2領域12bを有する。第1領域12bは、本体部12aの一方の面側に位置する角形電池1(第1の角形電池)の小面積側面2bと対向するように配置される。また、第2領域12bは、本体部12aの他方の面側に位置する角形電池1(第2の角形電池)の小面積側面2bと対向するように配置される。セパレータ12の側壁部12bの端部は、隣接するセパレータ12の側壁部12bの端部と接するようにすることが好ましい。セパレータ12の側壁部12bは、本体部12aと同一の材質からなり、セパレータ12の側壁部12bにおいて隣接するセパレータ12の端部と接する部分も本体部12aを構成する材質と同一の材質とすることが好ましい。
【0021】
セパレータ12の側壁部12bには、開口15が設けられている。この開口15は、第1領域12bと第2領域12bの両方に跨るように形成される。開口15は、側壁部12bの外側と通路16を繋ぐように形成される。図9A及び図9Bに示すように、本体部12aの幅方向における一方端側の側壁部12bに設けられた開口15、通路16aないし16b、及び本体部12aの幅方向における他方端の側壁部12bに設けられた開口15が繋がるように形成される。これにより、一方の開口15から通路16内に熱交換気体を流入させ、他方の開口15から熱交換気体を排出できる。
【0022】
なお、一つの開口15により、第1の角形電池の小面積側壁2bと第2の角形電池の小面積側壁2bの両方が露出するようにすることが好ましい。気体が広い空間から狭い空間に流れ込むとき、気体の流速が変化する。そして、気体が流れる流路の断面積の変化が急になるほど、気体の流速が大きく変化し、気体がスムーズに流れ難くなる可能性がある。これに対し、一つの開口15により、第1の角形電池の小面積側壁2bと第2の角形電池の小面積側壁2bの両方が露出する形態であると、図13に示すように、開口15から通路16にかけて熱交換気体の流路の断面積を徐々に小さくすることができる。したがって、このような形態であると、気体の流速が大きく変化することなく、熱交換気体がスムーズに流れるようになる。また、図13に示すように、角形電池1の角形外装体2において、大面積側面2aと小面積側面2bを繋ぐ部分にR部が形成されていることが好ましい。これにより、開口15から通路16にかけて熱交換気体の流路の断面積をよりスムーズに変化させることができる。
【0023】
側壁部12bには複数の開口15が縦方向に一列に配列される。そして、図10に示す
ように、第1の通路16aに繋がる開口15と、第2の通路16bに繋がる開口15が、上方から下方にかけて交互に配列される。これにより、角形電池1をより均一に冷却することが可能となる。
【0024】
開口15の縁部には、R部が設けられていることが好ましい。これにより、通路16内に熱溶媒気体が流入しやすくなる。また、隣接する開口15同士を隔てる区画壁19は、その奥行きの厚みが、縦方向の厚みよりも大きいことが好ましい。これにより、通路16の断面積を大きくするとともに、セパレータ12の強度を高く保つことが可能となる。
【0025】
バインドバー13は、組電池10の側面に配置されることが好ましい。また、バインドバー13は、本体部13aと、本体部13aの上端部と下端部にそれぞれ形成された折れ曲がり部13bを有することが好ましい。本体部13aは組電池10の側面に対向するように配置され、本体部13aの上端部に形成された折れ曲がり部13bが組電池10の上面に配置され、本体部13aの下端部に形成された折れ曲がり部13bが組電池10の下面に配置される。但し、折れ曲がり部13bは、本体部13aの上端部のみに設けるようにしても良い。バインドバー13が組電池10の側面に配置された形態では、バインドバー13に外側から角形電池1の小面積側面2bの方向に圧力が加わった場合、バインドバー13が変形し角形電池1の小面積側面2bに接触する虞がある。そして、通常、角形外装体2及びバインドバー13はそれぞれ金属製であるため、バインドバー13が複数の角形電池1の小面積側面2bに接触すると、バインドバー13を介して複数の角形電池1の角形外装体2同士が短絡する虞がある。しかしながら、実施形態に係る組電池10においては、セパレータ12が側壁部12bを有し、且つ側壁部12bに開口15を設け、熱交換気体が開口15を通じて通路16に流れ込む形態とすることで、通路16内へ熱交換気体が流れ込み易くしたままで、角形電池1の小面積側面2bのより多くの部分を側壁部12bで覆うことが可能となる。よって、角形電池1の冷却効率を低下させることなく、バインドバー13を介する短絡が防止された信頼性の高い組電池となる。なお、セパレータ12の側壁部12bの高さは、角形電池1の小面積側面2bの高さよりも大きくすることが好ましい。そして、角形電池1の小面積側面2bの面積の60%以上、より好ましくは70%以上がセパレータ12の側壁部12bに覆われていることが好ましい。また、バインドバー13の折れ曲がり部13bは、セパレータ12に当接するように配置することが好ましい。
【0026】
図4図11A及び図11Bに示すように、セパレータ12は底部12cを有することが好ましい。底部12cは、本体部12aの下端に形成され、角形電池1の積層方向に延びるように形成される。底部12cは角形電池1の底面2cと対向するように配置される。本体部12aの一方の面側において、本体部12aの幅方向の一方側に底部第1領域12cが設けられ、他方側に底部第2領域12cが設けられる。図11Bに示すように、底部第1領域12cは、底部第2領域12cよりも僅かに上方に位置する。また、角形電池1の積層方向において、本体部12aから底部第2領域12cの端部12eまでの距離L2は、本体部12aから底部第1領域12cの端部12eまでの距離L1よりも大きい。これにより、組電池の状態となったとき、セパレータ12の底部第1領域12cの下面側に、隣接する他のセパレータの底部第2領域12cが配置され、一方のセパレータ12の底部第1領域12cと他方のセパレータ12の底部第2領域12cが重なるように配置される。また、セパレータ12の底部第2領域12cの上面側に、隣接する他のセパレータの底部第1領域12cが配置され、一方のセパレータ12の底部第2領域12cと他方のセパレータ12の底部第1領域12cが重なるように配置される。このように、隣接するセパレータの底部12c同士がお互いに嵌合するように接続される。
【0027】
このような構成によると、結露等により組電池が配置される床面に水が生じた場合でも
、結露水がセパレータ12同士の隙間を通って角形電池1の底面側に浸入することを防止できる。このため、角形電池1の角形外装体2を絶縁フィルム等で覆わなくても、結露水を介した角形電池1の角形外装体2間の短絡を防止できる。なお、底部第2領域12cのうち、端部12eから本体部12aの方向に距離L2の1/3以上の領域、より好ましくは4/10以上の領域が、他のセパレータ12の底部第1領域12cと重なるようにすることが好ましい。これにより、結露水の浸入をより効果的に防止できる。
【0028】
なお、角形電池1の積層方向における底部第2領域12cの端部には、本体部12aからの距離が徐々に小さくなる傾斜部12fが設けられている。これにより、隣接するセパレータ12同士が、それぞれの傾斜部12f同士が接触するように接続されるため、組電池の組み立て時に引っかかりがなくスムーズに接続できる。例えば、傾斜部12fが形成されておらず端部が本体部12aに対して垂直方向に延びる形状の場合、セパレータ12の底部12c同士が、組電池の組み立て時に引っかかりスムーズに接続できない虞がある。
【0029】
図11Aに示されるように、セパレータ12の底部12cは平面視で、本体部12aの幅方向の中心部を対称中心Cとして点対称となる形状を有していることが好ましい。本体部12aの一方の面側には、底部第1領域12cと底部第2領域12cが形成されている。そして、本体部12aの他方の面側にも、底部第1領域12cと底部第2領域12cが形成されている。本体部12aの一方の面側に位置する底部第1領域12cは、本体部12aを介して、他方の面側に位置する底部第2領域12cと対向するように形成される。また、本体部12aの一方の面側に位置する底部第2領域12cは、本体部12aを介して、他方の面側に位置する底部第1領域12cと対向するように形成される。これにより、隣接するセパレータ12の底部12c同士が容易に嵌合する。
【0030】
図4に示されるように、セパレータ12は本体部2aの上端に上部壁12dを有する。この上部壁12dは角形電池1の封口板3と対向するように配置される。上部壁12dにおいて、正極端子4、負極端子5及びガス排出弁8と対向する位置には開口や切り欠きが設けられている。なお、スペーサ12においてガス排出弁8に対向する位置及びその周辺に上部壁12dを設けないようにしてもよい。
【0031】
[その他]
セパレータの材質は特に限定されないが、電気絶縁性を有することが好ましく。特に樹脂製であることが好ましい。セパレータは、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリアミド(PA)、ポリカーボネート(PC)、ポリプロピレン(PP)等からなることが特に好ましい。角形外装体が金属製である場合、角形外装体の外面を樹脂フィルム等で覆うようにしてもよい。したがって、本発明において角形外装体の小面積側面とセパレータの側壁部は直接対向する必要はなく、角形外装体の小面積側面とセパレータの側壁部が樹脂フィルム等を介して対向するようにしてもよい。熱交換気体の種類は特に限定されないが、空気を用いることが好ましい。また、熱交換気体として冷却気体を流す代わりに、暖かい気体を通路に流し角形電池1を加熱することもできる。この場合、本発明によると角形電池1を効率的に加熱することが可能となる。本願に記載の組電池は、車両に用いられることが特に好ましい。
【符号の説明】
【0032】
1…角形電池
2…角形外装体 2a…大面積側面 2b…小面積側面 2c…底面
3…封口板 4…正極端子 5…負極端子 6…絶縁部材
7…絶縁部材 8…ガス排出弁 9…封止栓 10…組電池 11…エンドプレート
12…セパレータ
12a…本体部 12a…垂直部 12a…水平部
12b…側壁部 12b…第1領域 12b…第2領域
12c…底部
12c…底部第1領域 12c…底部第2領域 12d…上部壁
12f…傾斜部
13…バインドバー
13a…本体部 13b…折れ曲がり部 13c…開口
14…バスバー 15…開口
16…通路 16a…第1の通路 16b…第2の通路
17…本体部開口 18…凹部 19…区画壁
20…凸部
図1
図2
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