特許第6264511号(P6264511)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6264511
(24)【登録日】2018年1月5日
(45)【発行日】2018年1月24日
(54)【発明の名称】細胞培養装置
(51)【国際特許分類】
   C12M 1/00 20060101AFI20180115BHJP
【FI】
   C12M1/00 C
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-534629(P2017-534629)
(86)(22)【出願日】2017年1月24日
(86)【国際出願番号】JP2017002247
(87)【国際公開番号】WO2017135097
(87)【国際公開日】20170810
【審査請求日】2017年6月26日
(31)【優先権主張番号】特願2016-18818(P2016-18818)
(32)【優先日】2016年2月3日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000005821
【氏名又は名称】パナソニック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104732
【弁理士】
【氏名又は名称】徳田 佳昭
(74)【代理人】
【識別番号】100116078
【弁理士】
【氏名又は名称】西田 浩希
(72)【発明者】
【氏名】安藤 健
(72)【発明者】
【氏名】廣瀬 俊典
(72)【発明者】
【氏名】柴田 徳啓
(72)【発明者】
【氏名】中嶋 久人
(72)【発明者】
【氏名】山内 敏明
【審査官】 伊藤 良子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−247261(JP,A)
【文献】 特開2007−330144(JP,A)
【文献】 特開2015−069441(JP,A)
【文献】 特開2016−013097(JP,A)
【文献】 特開2012−170358(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0070631(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0274798(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12M 1/00−3/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明蓋付の培養容器の中で細胞を培養するインキュベータ部と、
前記培養容器を前記インキュベータ部へ搬送する搬送部と、
前記細胞の培養に関するタスクを設定するタスク設定部と、
前記培養容器の前記透明蓋に付された管理情報を取得する管理情報取得部と、
前記管理情報取得部により取得された前記管理情報を記憶する記憶部と、を備え、
前記管理情報取得部は、前記培養容器の前記透明蓋に付された前記管理情報を撮影し、前記管理情報が撮影された画像のうち前記透明蓋の面積の50%分を中央部から除いた領域に対して文字認識処理を行って文字情報を抽出し、
前記記憶部は、前記画像に対応付けて前記文字情報を記憶し、
前記タスク設定部は、
前記タスクの実施対象となる複数の培養容器から選択された培養容器の前記管理情報を前記記憶部から読み出し、前記管理情報を表示部に表示させ
細胞培養装置。
【請求項2】
前記タスク設定部は、前記管理情報に基づいて、選択対象となる培養容器の絞り込みを行う、
請求項1に記載の細胞培養装置。
【請求項3】
前記管理情報取得部は、前記培養容器に付された前記管理情報を撮影し、
前記記憶部は、前記管理情報が撮影された画像を記憶し、
前記タスク設定部は、前記画像を前記表示部に表示させる、
請求項1に記載の細胞培養装置。
【請求項4】
前記培養容器には、前記管理情報を含む識別タグが付されており、
前記管理情報取得部は、前記識別タグを読み取って前記管理情報を抽出する、
請求項1に記載の細胞培養装置。
【請求項5】
前記管理情報取得部で認識された前記管理情報から前記細胞培養装置を使用している使用者を特定し、前記培養容器を前記インキュベータ部に保管する際に、前記使用者ごとに保管する、
請求項1に記載の細胞培養装置。
【請求項6】
前記培養容器を前記細胞培養装置に入庫するときに、前記入庫の前までの培養工程を記録している動画像を前記管理情報に関連付けて保存する、
請求項1に記載の細胞培養装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、自動的に細胞を培養する細胞培養装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動的に細胞を培養する細胞培養装置は、再生医療分野や創薬分野において、細胞を大量に培養し、細胞の品質を一定化するために用いられる。培養された細胞は、例えば、再生医療分野では人体に戻され、創薬分野では薬の効用や副作用の試験に用いられる。よって、細胞培養装置で培養される細胞の品質は大変重要となる。
【0003】
細胞の品質を管理する技術として例えば特許文献1には、培養工程ごとに、顕微鏡を用いて培養容器の底面に接着した細胞の増殖状態や、培養容器の底面と細胞の接着状態を観察することで細胞の品質管理を行い、さらに、培養工程で行われる培地交換や継代などの培養操作の作業管理を行う技術が開示されている。
【0004】
近年、培養技術、薬液(培養液)およびロボット技術の発達に伴い、細胞培養装置で培養できる細胞の種類は増えてきている。しかし、細胞の培養工程の全てを自動化するには至っていない。例えば、人工多能性幹細胞(induced Pluripotent Stem cell:iPS細胞)の培養の場合、体細胞へ複数の遺伝子を導入する導入工程やその後の初期工程については、自動化することは難しく、人手による作業が必要である。一方で、それらの工程より後の工程(例えば、iPS細胞の未分化状態を維持する培養工程)は、自動化されている。このような場合、人手により培養作業を行う人手培養から、細胞培養装置により培養作業を行う自動培養への変更が生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2012/127879号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の技術を含む従来の細胞培養装置では、自動化された工程内の細胞の品質管理や作業管理に関しては考慮されているが、人手培養から自動培養に変更するときの細胞の品質管理や作業管理は十分に考慮されていない。結果として、人手培養から自動培養に変更する際、人手培養のときの管理情報が自動培養に間違って引き継がれてしまうおそれがある。
【0007】
本開示の目的は、上記問題を解決し、人手培養から自動培養に変更する際に、人手培養のときの管理情報を自動培養に正確に引き継ぐことができる細胞培養装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一態様に係る細胞培養装置は、インキュベータ部と、搬送部と、タスク設定部と、管理情報取得部と、記憶部と、を備える。インキュベータ部は、培養容器の中で細胞を培養する。搬送部は、培養容器をインキュベータ部へ搬送する。タスク設定部は、細胞の培養に関するタスクを設定する。管理情報取得部は、培養容器に付された管理情報を取得する。記憶部は、管理情報取得部により取得された管理情報を記憶する。タスク設定部は、タスクの実施対象となる複数の培養容器から選択された培養容器の管理情報を記憶部から読み出し、管理情報を表示部に表示させる。
【発明の効果】
【0009】
本開示の一態様に係る細胞培養装置によれば、人手培養から自動培養に変更する際に、人手培養のときの管理情報を自動培養に正確に引き継ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実施の形態に係る細胞培養装置の構成例を示す図である。
図2図2は、実施の形態に係る培養容器の上面に付された管理情報の一例を示す図である。
図3図3は、実施の形態に係るインキュベータ部内における培養容器の保存状態の一例を示す図である。
図4図4は、実施の形態に係るディスプレイに表示される容器選択画面の一例を示す図である。
図5図5は、実施の形態に係る細胞培養装置における動作例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、各図面において同じ構成要素には同じ符号を付しており、それらの説明を省略する場合もある。また、各図面は、理解しやすくするために、それぞれの構成要素を主体として、模式的に示している。
【0012】
まず、図1を用いて、実施の形態に係る細胞培養装置100の構成について説明する。図1は、実施の形態に係る細胞培養装置100の構成例を示す図である。
【0013】
図1に示すように、細胞培養装置100は、入庫部110、撮像部111、搬送部112、インキュベータ部113、記憶部114、タスク設定部115を備える。以下、各部について説明する。
【0014】
入庫部110は、培養容器101が配置される場所である。ここで、培養容器101は、例えばディッシュやウェルプレートなどのプラスティック製の容器である。この培養容器101の中で、細胞が培養される。培養容器101は、人手により入庫部110に配置される。
【0015】
撮像部111(管理情報取得部の一例)は、入庫部110に配置された培養容器101の外観を撮影する。撮影のタイミングは、搬送部112が、入庫部110に配置された培養容器101をインキュベータ部113へ搬送する前である。また、撮影される培養容器101の外観には、培養容器101の中で培養する細胞の管理情報が示される。
【0016】
ここで、図2を用いて、管理情報について説明する。図2は、実施の形態に係る培養容器101(図1参照)の上面に付された管理情報の一例を示す図である。
【0017】
図2に示すように、人手により培養作業を行う場合、培養工程において管理すべき管理情報が培養容器101(図1参照)の上面の蓋部等に手書きなどにより示される。管理情報は、例えば、図2に示すように、培養を開始した日付の情報(図2に示す「2015.9.27」)、培養者の情報(図2に示す「Ando」)、細胞の種類の情報(図2に示す「hiPS」)、細胞株の名称の情報(図2に示す「253G1」)、細胞の継代数の情報(図2に示す「P18」)、培養容器101のコーティング剤の種類の情報(図2示す「Matrigel」)、培地の種類の情報(図2に示す「E8」)を含む。なお、管理情報に含まれる情報は、図2に示す情報に限定されない。
【0018】
以上、管理情報について説明した。以下、図1の説明に戻る。
【0019】
撮像部111は、例えば、図2に示す培養容器101の上面の外観を撮影し、その画像(写真)を記憶部114に記憶させる。
【0020】
搬送部112は、入庫部110に配置された培養容器101を撮像部111へ搬送し、撮影後、撮像部111からインキュベータ部113へ搬送する。また、搬送部112は、インキュベータ部113から培養容器101の中の培養液の吸引や吐出を行う作業部(図示略)へ培養容器101を搬送する。また、搬送部112は、ピペットチップを装着した状態で冷蔵庫(図示略)からヒータ部(図示略)へ薬液を搬送する。また、搬送部112は、ヒータ部から作業部へ薬液を搬送する。また、搬送部112は、作業部から廃液部(図示略)に薬液を搬送する。このように、搬送部112は、培養容器101、薬液、ピペットチップ、薬液を保存するチューブなどを搬送する。
【0021】
インキュベータ部113は、所定の環境下において、培養容器101の中で細胞を培養する。インキュベータ部113内では、搬送部112によって搬送された培養容器101が所定の環境(例えば、CO2濃度が5%、温度が37度)で保存されている。また、インキュベータ部113内における培養容器101の保存位置(培養容器101がインキュベータ部113内のどの位置に保存されているか)は、細胞培養装置100により以下のように管理されている。
【0022】
図3を用いて、インキュベータ部113内における培養容器101の保存位置の管理について説明する。図3は、実施の形態に係るインキュベータ部113内における培養容器101の保存状態の一例を示す図である。
【0023】
例えば、図3に示すように、インキュベータ部113の内部には、セル状に区切られた複数の保存位置が存在する。培養容器101(図1参照)は、各保存位置に1つずつ保存される。そして、例えば、図3に示す培養容器Aについては、培養容器Aの保存位置が3列目の2段目である旨を示す保存位置情報が管理されることとなる。保存位置情報は、記憶部114(図1参照)に記憶される。
【0024】
記憶部114において、保存位置情報には、撮像部111(図1参照)により撮影された培養容器101の外観画像(管理情報の画像)が関連付けられる。また、保存位置情報には、培養容器101が入庫された日時を示す入庫日時情報、細胞培養装置100の機械的動作に関する動作情報(例えば、薬液の吐出量や吐出速度などを示す情報)、実施済みまたは実施予定のタスク(詳細は後述)を示すタスク情報、培養中の細胞の増殖状態を撮影した細胞状態画像、細胞培養装置100内の環境を示す環境情報(例えば、温湿度、クリーン度などを示す情報)、細胞の培養方法を示す培養方法情報なども関連付けられる。これらの情報は、培養容器101の外観画像に含まれる各種情報(図2参照)とともに、管理情報ということができる。また、これらの情報は、タスク設定部115(図1参照)により記憶部114から適宜読み出され、後述する容器選択画面に表示される。
【0025】
上述した保存位置情報は、搬送部112(図1参照)による培養容器101の搬送動作に使用される。例えば、搬送部112は、タスクが設定された培養容器101をインキュベータ部113から取り出し、その後、その培養容器101を再度インキュベータ部113へ搬送する場合、保存位置情報に示される保存位置に培養容器101を配置する。これにより、培養容器101は、同じ保存位置に保存されることになる。
【0026】
記憶部114は、撮像部111により撮影された培養容器101の外観画像と、保存場所情報と、外観画像に含まれる管理情報以外の情報(例えば、上述した入庫日時情報やタスク情報等)とを関連付けて記憶する。
【0027】
タスク設定部115は、実施予定のタスクを設定する。タスクは、例えば、培地交換作業、継代作業、観察作業、出庫作業などがある。
【0028】
例えば、タスク設定部115は、選択可能なタスクの一覧を示すタスク選択画面(図示略)を、ディスプレイ116(表示部の一例、図1参照)に表示させる。なお、図1の例では、ディスプレイ116は、タスク設定部115に備えられる構成としたが、タスク設定部115の外部または細胞培養装置100の外部に備えられてもよい。
【0029】
そして、タスク設定部115は、タスク選択画面において使用者が所望のタスクを選択すると、記憶部114から上述した各種情報を読み出し、読み出した情報を含む容器選択画面をディスプレイ116に表示させる。
【0030】
ここで、図4を用いて、容器選択画面の一例について説明する。図4は、実施の形態に係るディスプレイ116(図1参照)に表示される容器選択画面の一例を示す図である。図4に示す容器選択画面は、例えば、使用者により出庫作業が選択された場合に表示されるものであるが、その他のタスク(例えば、培地交換作業、継代作業、観察作業等)が選択された場合にも同様の容器選択画面が表示される。
【0031】
図4に示すように、容器選択画面には、容器一覧情報200と詳細情報201が表示される。容器一覧情報200は、出庫作業の対象となりうる培養容器101(インキュベータ部113(図1参照)に保存されているもの、図1参照)ごとに、管理者、入庫日時、実施済みのタスク名、培養容器の種類などの情報を含む。詳細情報201は、インキュベータ部113における培養容器101の保存位置、入庫時に使用者が入力したコメント、入庫時に撮像部111(図1参照)により撮影された培養容器101の外観画像(図4では「管理情報」と図示している)などの情報を含む。
【0032】
例えば、使用者が、容器一覧情報200に含まれる培養容器101の中から所望の培養容器101を選択する操作を行うと、選択された培養容器101に関する詳細情報201(保存位置、コメント、外観画像)が表示される。なお、詳細情報201は、図4に示すものに限定されない。
【0033】
よって、使用者は、培養容器101を選択する際に、培養容器101の培養細胞に関する管理情報を培養容器101の外観画像により確認することができる。従って、タスク設定時において培養容器101の選択の間違いを少なくすることができる。
【0034】
次に、図5を用いて、本実施の形態の細胞培養装置100の動作例について説明する。図5は、実施の形態に係る細胞培養装置100における動作例を示す図である。詳しくは、培養容器101が細胞培養装置100に入庫され、その培養容器101に対してタスクが実施されるプロセスを示す図である。
【0035】
まず、入庫部110は、培養容器101が入庫部110にセットされたことを検出する(ステップS101)。
【0036】
次に、搬送部112は、セットされた培養容器101を入庫部110から撮像部111へ搬送する(ステップS102)。
【0037】
次に、撮像部111は、培養容器101の外観(管理情報が付された部分)を撮影し、撮影した外観画像を記憶部114に記憶させる(ステップS103)。
【0038】
次に、搬送部112は、培養容器101を撮像部111からインキュベータ部113の所定の保存位置へ搬送する(ステップS104)。
【0039】
次に、タスク設定部115は、選択されたタスクに関する容器選択画面をディスプレイ116に表示する(ステップS105)。なお、ここでのタスクは、上述したとおり、容器選択画面の表示に先だってディスプレイ116に表示されるタスク選択画面において選択されたものである。
【0040】
次に、タスク設定部115は、選択された培養容器101の外観画像をディスプレイ116に表示する(ステップS106)。この外観画像には、管理情報が含まれる。また、外観画像のほか、培養容器101の保存位置やコメントなどもディスプレイ116に表示される。使用者は、ディスプレイ116に表示されるこれらの情報を参考にして、タスクを実施する培養容器101を決定する。
【0041】
次に、タスク設定部115は、選択された実施予定のタスクを示すタスク情報に対して、選択された培養容器101の外観画像、選択された培養容器101の保存位置情報、選択された培養容器101において実施済みのタスクを示すタスク情報などを関連付け、記憶部114に記憶させる(ステップS107)。
【0042】
そして、選択されたタスクの実施後、タスク設定部115は、ステップS107で関連付けを行った各種情報(例えば、外観画像、保存位置情報、タスク情報等)に対して、タスク中の細胞培養装置100内にある機械要素(例えば、薬液吸引用のポンプなど)が行う動作に関する動作情報(薬液の吐出量や吐出速度などを示す情報)などを関連付け、記憶部114に記憶させる(ステップS108)。なお、ここで関連付けられる情報は、動作情報に限定されず、上述した入庫日時情報、環境情報、細胞状態画像、培養方法情報などを含んでもよい。
【0043】
以上説明したように、本実施の形態の細胞培養装置100は、インキュベータ部113と、搬送部112と、タスク設定部115と、管理情報取得部である撮像部111と、記憶部114と、を備える。インキュベータ部113は、培養容器101の中で細胞を培養する。搬送部112は、培養容器101をインキュベータ部113へ搬送する。タスク設定部115は、細胞の培養に関するタスクを設定する。管理情報取得部である撮像部111は、培養容器101に付された管理情報を取得する。記憶部114は、管理情報取得部である撮像部111により取得された管理情報を記憶する。タスク設定部115は、タスクの実施対象となる複数の培養容器101から選択された培養容器101の管理情報を記憶部114から読み出し、管理情報をディスプレイ116に表示させる。
【0044】
これにより、使用者が所望のタスクを選択した後で、そのタスクを実施する培養容器101を選択する際に、培養容器101の管理情報がディスプレイ116に表示される。使用者は、管理情報を参照して培養容器101を選択できるため、培養容器101の選択の間違いを少なくすることができる。したがって、人手培養から自動培養に変更する際に、人手培養のときの管理情報を自動培養に正確に引き継ぐことができる。
【0045】
また、本実施の形態の細胞培養装置100によれば、撮像部111は、培養容器101に付された管理情報を撮影し、記憶部114は、管理情報が撮影された画像を記憶し、タスク設定部115は、画像をディスプレイ116に表示させる。
【0046】
これにより、使用者は、培養容器101に付された管理情報を、画像としてより視覚的に確認することができる。そのため、使用者は、より簡単に、目的とする培養装置101を選択することができる。
【0047】
以上本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0048】
例えば、実施の形態では、撮像部111により撮影された培養容器101の外観画像を記憶する場合を例に挙げて説明したが、これに限定されない。例えば、文字認識部(図示略。管理情報取得部の一例)が外観画像に対して文字認識処理を行うことで管理情報(例えば、培養者、日付、細胞株、継代数、コート材、培地、添加剤などを示す文字情報)を抽出し、その管理情報を外観画像に対応付けて記憶部114に記憶させてもよい。これにより、ステップS108においてタスクに関する情報量を増やすことができ、タスク実施後の細胞培養装置により培養された細胞のトレーサビリティを向上させることができる。なお、文字認識処理のタイミングは、例えば、搬送部112が、入庫部110に配置された培養容器101をインキュベータ部113へ搬送する前である。
【0049】
なお、撮像部111においては、培養容器101に透明蓋が付いていることを特徴としている場合には、当該蓋の面積の50%を中央部から除いた領域から文字認識を行っても良い。これにより細胞培養においては、細胞の種類や培養状態によっては、記載された手書き情報が細胞と見分けられず識別困難になる場合があるが、認識範囲を限定することで、細胞培養においても安定して情報を識別できる。
【0050】
また、文字認識により抽出された管理情報(例えば、図2に示した各情報のうちの少なくとも1つの情報)は、容器選択画面に表示される培養容器101の検索条件として用いられてもよい。例えば、文字認識された培養開始日時が検索条件として用いられる場合、その培養開始日時の情報を含む管理情報に対応する培養容器101を絞り込むことができ、絞り込んだ培養容器101を容器選択画面に表示することができる。これにより、使用者による培養容器101の選択間違いをさらに少なくすることができる。
【0051】
また、例えば、実施の形態では、管理情報が培養容器101の上面の蓋部等に手書きなどにより示される場合を例に挙げたが、管理情報を含む識別タグ、たとえば、バーコードを培養容器101の上面の蓋部等に付してもよい。この場合、細胞培養装置100は、バーコードリーダ(図示略。管理情報取得部の一例)がバーコードを読み取ることで管理情報(例えば、培養者、日付、細胞株、継代数、コート材、培地、添加剤などを示す文字情報)を抽出し、その管理情報を記憶部114に記憶させる。バーコードの読み取りのタイミングは、例えば、搬送部112が、入庫部110に配置された培養容器101をインキュベータ部113へ搬送する前である。このようにして、容器選択画面には、外観画像の代わりに、管理情報がテキスト表示される。これにより、細胞培養装置100は、より正確に管理情報を取得することができる。なお、バーコードに含まれる管理情報の入力は、例えば、人手により行われる。
【0052】
なお、識別タグとしては、バーコードのほかに、たとえば、QRコード(登録商標、以下同様)やIC(Integrated Circuit)チップを用いることができ、それらに対応した管理情報取得部として、それぞれQRコードリーダやICリーダを用いることができる。
【0053】
なお、撮像部111で認識された管理情報から細胞培養装置100を使用している使用者を特定し、培養容器101をインキュベータ部113に保管する際に、使用者ごとに保管してもよい。これにより使用者毎に使用している培養容器101の量がわかるとともに他の使用者の培養容器101を使用してしまうリスクを低減することができる。
【0054】
なお、培養容器101を細胞培養装置100に入庫するときに、当該入庫工程の前までの培養工程を記録している動画像を管理情報に関連付けて保存しても良い。これにより培養容器101に関して更に多くの情報を紐付けることができ、トレーサビリティを向上することができる。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本開示の一態様に係る細胞培養装置は、再生医療や創薬など細胞を用いた治療や検査が必要な領域で有用である。
【符号の説明】
【0056】
100 細胞培養装置
101,A 培養容器
110 入庫部
111 撮像部(管理情報取得部)
112 搬送部
113 インキュベータ部
114 記憶部
115 タスク設定部
116 ディスプレイ(表示部)
図1
図2
図3
図4
図5