特許第6264557号(P6264557)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6264557
(24)【登録日】2018年1月5日
(45)【発行日】2018年1月24日
(54)【発明の名称】上下循環型の搬送台車利用搬送装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 47/52 20060101AFI20180115BHJP
   B65G 35/08 20060101ALI20180115BHJP
   B61B 13/12 20060101ALI20180115BHJP
【FI】
   B65G47/52 E
   B65G35/08 Z
   B61B13/12 F
【請求項の数】2
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-68076(P2014-68076)
(22)【出願日】2014年3月28日
(65)【公開番号】特開2015-189556(P2015-189556A)
(43)【公開日】2015年11月2日
【審査請求日】2016年2月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003643
【氏名又は名称】株式会社ダイフク
(74)【代理人】
【識別番号】100154014
【弁理士】
【氏名又は名称】正木 裕士
(74)【代理人】
【識別番号】100154520
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 祐子
(74)【代理人】
【識別番号】100069578
【弁理士】
【氏名又は名称】藤川 忠司
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 孝晴
【審査官】 岡崎 克彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−327129(JP,A)
【文献】 特開平08−282834(JP,A)
【文献】 特開昭63−252817(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 47/52
B61B 13/12
B65G 35/06−35/08
B65G 37/00
B65G 47/56−47/62
B65G 47/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送台車の上側搬送用走行経路の端部と下側戻し用走行経路の端部とが上下に重なるように配設され、上下両走行経路の端部間で搬送台車を昇降移載させる搬送台車昇降装置が設けられ、前記搬送台車昇降装置によって支持される搬送台車を含めて当該搬送台車昇降装置の上側を覆う水平路面部と、上側搬送用走行経路のある側とは反対側で、前記水平路面部と床面とを接続する傾斜路面部とから成る車両移動用の床材が架設され、この車両移動用の床材の前記水平路面部上と上側搬送用走行経路の端部上に位置する搬送台車上との間で被搬送車両が自走により乗り移り可能に構成された搬送台車利用の搬送装置において、
上側搬送用走行経路には、前後に隣り合う搬送台車どうしが互いに当接する突合せ状態で搬送台車を定速移動させるための搬送台車駆動手段が併設され、前記搬送台車昇降装置の内、上側搬送用走行経路の入り口側の搬送台車昇降装置には、当該搬送台車昇降装置上の搬送台車と上側搬送用走行経路の入り口側端部上の搬送台車との間の空間を解消するための高速送出し手段が併設され、この高速送出し手段によって上側搬送用走行経路に送り込まれて前記搬送台車駆動手段によって定速移動を開始した搬送台車上に、車両移動用の床材の前記水平路面部上から被搬送車両が自走により乗り移り可能に構成された、搬送台車利用の搬送装置。
【請求項2】
上側搬送用走行経路の出口側の搬送台車昇降装置には、上側搬送用走行経路での搬送台車の定速移動速度よりも高速で搬送台車を上側搬送用走行経路から引き込む高速引込み手段が併設され、この高速引込み手段によって上側搬送用走行経路から搬送台車昇降装置に引き込まれる前の、前記搬送台車駆動手段によって定速移動している搬送台車上から、車両移動用の床材の前記水平路面部上に、被搬送車両が自走により乗り移り可能に構成された、請求項1に記載の搬送台車利用の搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送台車の上側搬送用走行経路の端部と下側戻し用走行経路の端部とが上下に重なるように配設され、上下両走行経路の端部間で搬送台車を昇降移載させる搬送台車昇降装置が設けられた上下循環型の搬送台車利用搬送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の搬送台車利用搬送装置では、特許文献1にも示されるように、上側搬送用走行経路の入り口側端部と下側戻し用走行経路の出口側端部とが上下に重なるように配設されている場合、搬送台車上への被搬送物の移載は、搬送台車昇降装置によって上側搬送用走行経路に接続する上昇限高さまで上げられた空の搬送台車上に対して行われ、上側搬送用走行経路の出口側端部と下側戻し用走行経路の入り口側端部とが上下に重なるように配設されている場合、搬送台車上からの被搬送物の取り出し移載は、搬送台車昇降装置によって上側搬送用走行経路に接続する上昇限高さで支持されている搬送台車から行われるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5−162839号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような従来の構成において、被搬送物として、自走可能な被搬送車両を取り扱う場合、搬送台車昇降装置で支持されている搬送台車上に被搬送車両を乗り込ませるため、又は搬送台車昇降装置で支持されている搬送台車上から被搬送車両を退出させるための床材、具体的には、搬送台車昇降装置で支持されている搬送台車と同一レベルの乗り移り用水平路面部と、当該乗り移り用水平路面と床面との間をつなぐ傾斜路面部とを備えた被搬送車両の進入路形成床材や退出路形成床材を設けなければならない。従って、上側搬送用走行経路の端部に隣接して設置された搬送台車昇降装置の更に外側に、被搬送車両の進入路形成床材や退出路形成床材の架設のために大きなスペースが必要になる。
【0005】
又、搬送台車昇降装置によって昇降せしめられる搬送台車と上側搬送用走行経路の端部上の搬送台車との間には、搬送台車走行方向の空間が必要である。而して、上側搬送用走行経路において、前後に隣り合う搬送台車どうしが互いに突き合う連続状態で全ての搬送台車を定速(低速)移動させながら、積載された被搬送車両に対する各種作業が行えるように構成する場合、上側搬送用走行経路の入り口側では前記空間を無くすために、搬送台車昇降装置から搬送台車を高速で上側搬送用走行経路に送り出し、上側搬送用走行経路の出口側では前記空間を確保するために、上側搬送用走行経路から搬送台車昇降装置へ搬送台車を高速で引き込む必要がある。従って、上記の従来の構成では、極短い距離といえども高速移動する搬送台車上に被搬送車両が積載されていることになり、高速送出し手段又は高速引込み手段に係る負荷が大きくなるだけでなく、被搬送車両の揺れなど、その高速移動の影響を受けるというデメリットを伴うことになる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記のような従来の問題点を解消することのできる摩擦駆動の搬送装置を提案するものであって、本発明に係る摩擦駆動の搬送装置は、後述する実施例との関係を理解し易くするために、当該実施例の説明において使用した参照符号を括弧付きで付して示すと、搬送台車(1)の上側搬送用走行経路(2)の端部と下側戻し用走行経路(3)の端部とが上下に重なるように配設され、上下両走行経路(2,3)の端部間で搬送台車(1)を昇降移載させる搬送台車昇降装置(4/5)が設けられ、前記搬送台車昇降装置(4/5)によって支持される搬送台車(1)を含めて当該搬送台車昇降装置(4/5)の上側を覆う水平路面部(6/9)と、上側搬送用走行経路(2)のある側とは反対側で、前記水平路面部(6/9)と床面とを接続する傾斜路面部(7/10)とから成る車両移動用の床材(8/11)が架設され、この車両移動用の床材(8/11)の前記水平路面部(6/9)上と上側搬送用走行経路(2)の端部上に位置する搬送台車(1)上との間で被搬送車両(W)が自走により乗り移り可能に構成された搬送台車利用の搬送装置において、
上側搬送用走行経路(2)には、前後に隣り合う搬送台車(1)どうしが互いに当接する突合せ状態で搬送台車(1)を定速移動させるための搬送台車駆動手段(摩擦駆動定速送込み手段(12)、摩擦駆動定速送出し手段(13))が併設され、前記搬送台車昇降装置(4/5)の内、上側搬送用走行経路(2)の入り口側の搬送台車昇降装置(4)には、当該搬送台車昇降装置(4)上の搬送台車(1)と上側搬送用走行経路(2)の入り口側端部上の搬送台車(1)との間の空間を解消するための高速送出し手段(摩擦駆動高速引込み送出し手段(16))が併設され、この高速送出し手段によって上側搬送用走行経路(2)に送り込まれて前記搬送台車駆動手段によって定速移動を開始した搬送台車(1)上に、車両移動用の床材(8)の前記水平路面部(6)上から被搬送車両(W)が自走により乗り移り可能にな構成になっている。
【発明の効果】
【0007】
上記本発明の構成によれば、上側搬送用走行経路の端部に隣接して設置された搬送台車昇降装置の外側には、車両移動用の床材の内、傾斜路面部だけが配設されることになるので、水平路面部と傾斜路面部とから成る車両移動用の床材の全体を配設しなければならない場合と比較して、搬送台車昇降装置の外側に必要なスペースが小さくなる。特に、上側搬送用走行経路の入り口に高速送出しされた後の定速走行開始後の搬送台車上に対して、車両移動用の床材の水平路面部上から被搬送車両を乗り移りさせることが出来る。又、上側搬送用走行経路(2)の出口側の搬送台車昇降装置(5)には、上側搬送用走行経路(2)での搬送台車(1)の定速移動速度よりも高速で搬送台車(1)を上側搬送用走行経路(2)から引き込む高速引込み手段(摩擦駆動高速引込み送出し手段(17))を併設し、この高速送込み手段によって上側搬送用走行経路(2)から搬送台車昇降装置(5)に引き込まれる前の、前記搬送台車駆動手段によって定速移動している搬送台車(1)上から、車両移動用の床材(11)の前記水平路面部(9)上に、被搬送車両(W)を自走により乗り移り可能に構成するときは、上側搬送用走行経路の出口から高速引き出しされる前の定速走行状態の搬送台車上から、車両移動用の床材の水平路面部上へ被搬送車両を乗り移りさせることが出来る。従って、搬送台車昇降装置によって昇降せしめられる搬送台車や、当該搬送台車昇降装置と上側搬送用走行経路の端部との間で高速引込み又は高速送り出しされる搬送台車に、被搬送車両が積載されている場合と比較して、上側搬送用走行経路と搬送台車昇降装置との間で搬送台車を高速引込み又は高速引出しを行う駆動手段に掛かる負荷が小さくなると共に、被搬送車両に揺れなどの影響を与えることが少なくなる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本発明に係る摩擦駆動の搬送装置を利用して構成された台車上下循環型搬送装置における走行経路の中間を省略した概略側面図である。
図2図2は、上側の搬送用走行経路を説明する概略平面図である。
図3図3は、下側の戻し用走行経路を説明する概略平面図である。
図4図4は、上下両走行経路の入口部に配設される摩擦駆動手段と搬送台車を示す平面図であって、搬送台車の左右半分の床材を省いた図である。
図5図5Aは、搬送台車の側面図、図5Bは、組み立て完成前の搬送台車を示す縦断正面図、図5Cは、組み立て完成後の搬送台車を示す縦断正面図である。
図6図6Aは、上側の搬送用走行経路の入口部での横断立面図であり、図6Bは、上下両走行経路の中間位置での横断立面図である。
図7図7Aは、下側の戻し用走行経路の入口部での横断立面図であり、図7Bは、上下両走行経路の両端部に配設される搬送台車昇降装置を示す横断立面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1に示す台車上下循環型の搬送装置は、搬送台車1の走行経路として、上側搬送用走行経路2と下側戻し用走行経路3とを備え、上下両走行経路2,3の両端には、上下両走行経路2,3間で搬送台車1を乗り移りさせるための搬送台車昇降装置4,5が配設されている。又、上側搬送用走行経路2の入り口側には、搬送台車昇降装置4の上側をカバーする水平路面部6と、この水平路面部6の始端部に接続された昇り傾斜路面部7とから成る車両進入路形成床材8が架設され、上側搬送用走行経路2の出口側には、搬送台車昇降装置5の上側をカバーする水平路面部9と、この水平路面部9の終端部に接続された下り傾斜路面部10とから成る車両退出路形成床材11が架設されている。
【0010】
図2に示すように、上側搬送用走行経路2の入り口には、搬送台車昇降装置4から送り出された搬送台車1を引き継いで搬送用走行経路2内へ定速(一定低速、以下同じ)で送り込む摩擦駆動定速送込み手段12が併設され、当該搬送用走行経路2の出口には、搬送台車1を定速で搬送台車昇降装置5へ送り出す摩擦駆動定速送出し手段13が併設されている。又、図3に示すように、下側戻し用走行経路3の入り口には、搬送台車昇降装置5から送り出された搬送台車1を引き継いで戻し用走行経路3内へ定速で送り込む摩擦駆動定速送込み手段14が併設され、当該戻し用走行経路3の出口には、搬送台車1を定速で搬送台車昇降装置4へ送り出す摩擦駆動定速送出し手段15が併設されている。
【0011】
図2及び図3に示すように、上側搬送用走行経路2の入り口側の搬送台車昇降装置4には、下側戻し用走行経路3の出口の摩擦駆動定速送出し手段15によって送り出される搬送台車1を高速(前記定速よりも一定高速、以下同じ)で当該搬送台車昇降装置4内に引き込む作用と、この搬送台車昇降装置4内の搬送台車1を上側搬送用走行経路2の入り口に高速で送り込む作用とを選択的に行える摩擦駆動高速引込み送出し手段16が併設され、上側搬送用走行経路2の出口側の搬送台車昇降装置5には、上側搬送用走行経路2の出口の摩擦駆動定速送出し手段13によって送り出される搬送台車1を高速で当該搬送台車昇降装置5内に引き込む作用と、この搬送台車昇降装置5内の搬送台車1を下側戻し用走行経路3の入り口に高速で送り込む作用とを選択的に行える摩擦駆動高速引込み送出し手段17が併設されている。
【0012】
更に、上側搬送用走行経路2の摩擦駆動定速送込み手段12と摩擦駆動定速送出し手段13との間及び、下側戻し用走行経路3の摩擦駆動定速送込み手段14と摩擦駆動定速送出し手段15との間には、搬送台車1の走行経路を規制するガイド手段18,19が併設されている。このガイド手段18,19は、図6Bにも示すように、搬送台車1を左右両側から挟むようにそれぞれ垂直支軸により軸支されたガイドローラー18a,19aから構成されたもので、当該ガイドローラー18a,19aは、1台の搬送台車1の全長よりも十分短い間隔で走行経路に沿って等間隔おきに配列されている。
【0013】
上記摩擦駆動定速送込み手段12,14及び摩擦駆動定速送出し手段13,15には、図6A及び図7Aに示すように、搬送台車1を左右両側から挟む左右一対のローラー20と、この左右一対のローラー20の少なくとも一方を駆動するモーター21とから成る摩擦駆動手段22が利用されるが、図示の実施例では、搬送台車1の側面にスプリング力で圧接するローラー20と当該ローラー20を回転駆動するモーター21とから成る同一構造の左右一対の摩擦駆動ユニット22a,22bによって前記摩擦駆動手段22が構成されている。この構成では、左右一対のモーター駆動のローラー20が何れもスプリング力で搬送台車1の側面に圧接する。
【0014】
摩擦駆動定速送出し手段13,15は、上下各走行経路2,3の終端において1台の搬送台車1を搬送台車昇降装置4,5に向かって定速で送り出すものであるから、1つの摩擦駆動手段22(左右一対の摩擦駆動ユニット22a,22b)によって構成されているが、摩擦駆動定速送込み手段12,14は、上下各走行経路2,3内の多数台の搬送台車1の全体を推進させなければならず、その負荷は非常に大きい。従って、これら摩擦駆動定速送込み手段12,14は、図2図4に示すように、複数の摩擦駆動手段22を搬送台車1の全長より十分に短い間隔で走行経路方向に並設し、駆動対象の搬送台車2を複数の摩擦駆動手段22によって推進させることが出来るようにしている。この場合の摩擦駆動手段22の走行経路方向の具体的な間隔については、後述する。又、実施例の構成では、搬送台車1を左右両側から挟む摩擦駆動ローラー20がスプリング力で搬送台車1の左右両側面に圧接されるものであるから、これら摩擦駆動ユニット22a,22bだけでは搬送台車1の走行経路を正確に規制することが出来ない。従って、図4にも示すように、摩擦駆動定速送込み手段12,14には、前記ガイド手段18,19と同様に、1台の搬送台車1をその走行方向の複数個所において左右両側から挟む複数組のガイドローラー23aから成るガイド手段23を組み合わせている。
【0015】
摩擦駆動高速引込み送出し手段16,17は、図2及び図3に示すように、搬送台車昇降装置4,5の上下両走行経路2,3に隣接する側に配設された一組の摩擦駆動ユニット22a,22bから成る摩擦駆動手段22によって構成される。具体的には、上下両搬送用走行経路2,3の出口に隣接する高さの引込み専用の摩擦駆動手段22と、上下両搬送用走行経路2,3の入り口に隣接する高さの送出し専用の摩擦駆動手段22とによって構成することも可能であるが、この実施例では、図7Bに示すように、搬送台車昇降装置4,5が備える、搬送台車1の左右両側辺を支持して昇降する左右一対の昇降台4a,4b/5a,5bに、引込み送出し兼用の1つの摩擦駆動手段22(左右一対の摩擦駆動ユニット22a,22b)を取り付けることによって構成している。
【0016】
搬送台車昇降装置4,5の左右一対の昇降台4a,4b/5a,5bの昇降駆動手段は、各種の機構が従来周知であるから図示省略している。即ち、ワークを下降限高さと上昇限高さとの間で平行昇降移動させる各種リフターにおいて周知のように、左右一対の昇降台4a,4b/5a,5bは、パンタグラフリンク機構や昇降ガイド(ロッドやレールなど)によって垂直平行昇降自在に支持され、この昇降台4a,4b/5a,5bを、上側搬送用走行経路2に対応する上昇限高さと、下側戻し用走行経路3に対応する下降限高さとの間で昇降させる昇降駆動手段として、例えば昇降台4a,4b/5a,5b側のカム従動ローラー(パンタグラフリンク機構利用の場合は、当該パンタグラフリンク機構に軸支される)を支持して、流体圧シリンダーや電動シリンダー、その他のアクチュエーターにより水平に往復駆動されるカムなどが設けられる。
【0017】
搬送台車1は、図4及び図5に示すように、平面視が走行方向に長い長方形の台車本体24、左右二列の車輪25a,25b、左右両側の張出し床部31a,31b、及び左右両側辺の被支持用ローラー26a,26bから構成されている。台車本体24は、その長さ方向(走行方向)の全長に及ぶ長尺の2本の主縦材29a,29bと、これら両主縦材29a,29bどうしを連結一体化する連結フレーム30から構成され、各主縦材29a,29bの外側に張出し床部31a,31bが着脱自在に取り付けられて左右両側に張り出している。尚、連結フレーム30も主縦材29a,29bに対して着脱自在に構成することも可能である。
【0018】
台車本体24の主縦材29a,29bは、左右一対の縦材32a,32b、これら両縦材32a,32bを長さ方向両端と中間適当間隔おきの位置で互いに連結一体化する連結材33、及び両縦材32a,32bの左右両側に張り出すように当該両縦材32a,32bの上に敷設された帯状板34から構成されている。台車本体24の連結フレーム30は、主縦材29a,29bの前記連結材33と同じ位置で当該主縦材29a,29bどうしを互いに連結一体化する複数本の連結材35と、この連結材35上に敷設されて、左右一対の主縦材29a,29b間を塞ぐ台車床材35aから構成されている。張出し床部31a,31bは、搬送台車走行方向と平行な搬送台車1の左右両側辺を形成する、前記主縦材29a,29bの厚さより薄くて台車本体24の全長に及ぶ副縦材36、主縦材29a,29bの外側に着脱自在に取り付けられる帯状取付け板37、主縦材29a,29bの前記連結材33と同じ位置で前記副縦材36と帯状取付け板37とを互いに連結一体化する連結材38、及びこれら副縦材36と連結材38の上に敷設されて、左右一対の主縦材29a,29bと副縦材36との間を塞ぐ台車床材38aによって構成されている。前記縦材32a,32bには溝形鋼などの形鋼、連結材33,35,38及び副縦材36には角鋼管などの形鋼、帯状板34や帯状取付け板37には鋼板、そして台車床材35a,38aには合板などがそれぞれ利用出来る。即ち、搬送台車1は、積載荷重を受ける強度部材としての左右一対の主縦材29a,29bを備えた台車本体24と、この台車本体24よりも厚さが薄くて、作業者の歩行などに耐え得る程度の強度を備えた左右両側の張出し床部31a,31bによって構成されている。
【0019】
左右二列の車輪25a,25bは、各主縦材29a,29bにおける左右一対の縦材32a,32b間で、これら主縦材29a,29bの長さ方向両端と中間適当間隔おきの位置に、主縦材29a,29bの底面から少し下側に突出するように軸支されている。又、左右両側辺の被支持用ローラー26a,26bは、各張出し床部31a,31bにおける副縦材36と、両端の連結材38を除く各連結材38との間の入隅部を利用して、副縦材36の長さ方向適当間隔おきの位置に、水平左右横向きの支軸を介して、張出し床部31a,31bの底面から少し下側に突出するように軸支されている。
【0020】
図1図3に示す搬送装置は、その上側搬送用走行経路2において、自走可能な被搬送車両Wを搬送台車1により搬送するものであるが、この上側搬送用走行経路2と下側戻し用走行経路3では、前後に隣接する搬送台車1どうしが互いに突き合う連続状態に、所要台数の搬送台車1が走行経路全域にわたって配置されている。そして、上側搬送用走行経路2中の各搬送台車1は、図6及び図7に示すように、下側戻し用走行経路3中の各搬送台車1の横巾の中間に位置する左右一対の主縦材29a,29b(帯状板34)によって、車輪25a,25bを介して走行可能に支持されており、その積載荷重を含む全重量が、戻し用走行経路3中の各搬送台車1の主縦材29a,29bと当該主縦材29a,29bに軸支されている車輪25a,25bを介して、戻し用走行経路3を形成する床面、実際には床面上に敷設された帯状板から成る扁平レール45a,45bによって受け止められている。尚、この床面(扁平レール45a,45b)によって形成される下側戻し用走行経路3の入り口と出口は、上側搬送用走行経路2と同様に、搬送台車昇降装置4,5の外側に位置するが、この実施例の搬送台車昇降装置4,5の構成上、下側戻し用走行経路3は、これら搬送台車昇降装置4,5内にまで延長されて、当該搬送台車昇降装置4,5内と下側戻し用走行経路3との間を出入りする搬送台車1の走行路となっている。
【0021】
上下両走行経路2,3中の各搬送台車1は、これら走行経路2,3の入り口に配設されている摩擦駆動定速送込み手段12,14によって前進方向の推進力を受ける最後尾の搬送台車1によって突き押し駆動され、その反動で各搬送台車1が定速以上の速度で前進走行するのを、上下両走行経路2,3の出口に配設されている摩擦駆動定速送出し手段13,15によって阻止されている。従って、上下両走行経路2,3中の各搬送台車1は、前後に隣接する搬送台車1どうしが互いに突き合う連続状態を保って定速で前進走行することになる。このとき各搬送台車1は、図6Bにも示すように、走行経路両側のガイド手段18,19の各ガイドローラー18a,19aによって左右両側から挟まれており、左右横方向の揺れ動きが抑止されている。
【0022】
既に説明したように、摩擦駆動定速送込み手段12,14は、その負荷に見合った大きな推進力を備えたものとするために、摩擦駆動手段22を走行方向に複数台配設して、全体として必要な推進力が得られるように構成しているが、一方、各搬送台車1は、台車本体24の左右一対の主縦材29a,29bには強度部材として十分な強度を持たせる一方、それほどの強度を必要としない張出し床部31a,31bは、素材強度を落として軽量化を図ることになる。このような状況下では、多数の摩擦駆動手段22から受ける左右横方向からの甚大な挟み付け力によって、搬送台車1の左右両側の張出し床部31a,31bに強度面での悪影響が生じることが考えられる。従って、図4に示すように、張出し床部31a,31bにおける連結材38の最大間隔D1(図示例は連結フレーム30における連結材35の最大間隔と同じ)に対して、摩擦駆動定速送込み手段12,14における各摩擦駆動手段22(摩擦駆動ローラー20)の走行方向の間隔D2が等しいか又は大きくなる(但し、連結材38の最大間隔D1の2倍以下となる)ように構成し、走行方向に隣り合う連結材35,38間に2つの摩擦駆動ローラー20が位置しないようにしている。
【0023】
図1に示すように、自走可能な被搬送車両Wは、車両進入路形成床材8の水平路面部6上で待機しており、上側搬送用走行経路2の入り口から摩擦駆動定速送込み手段12によって定速での前進走行を開始した搬送台車1上に、搭乗した運転者の運転による自走により乗り移される。このとき被搬送車両Wの左右両側の車輪Waが搬送台車1の左右一対の主縦材29a,29b上(帯状板34上)を転動移動出来るように、被搬送車両Wの左右両側の車輪Wa間の間隔と搬送台車1側の主縦材29a,29b間の間隔とを合わせている。而して、上側搬送用走行経路2の入り口で搬送台車1上に乗り移された被搬送車両Wは、上側搬送用走行経路2上での当該搬送台車1の定速走行の間に、当該搬送台車1上に乗り込んだ作業者によって、或いは自動装置により所定の作業を受けることになる。作業完了の被搬送車両Wは、当該被搬送車両Wを積載している搬送台車1が、上側搬送用走行経路2の出口所定位置に達したとき、搭乗した運転者の運転による自走により、搬送台車1上から車両退出路形成床材11の上を経由してこの搬送装置から退出することになる。尚、図6及び図7Aに示すように、上側搬送用走行経路2の左右両側には、当該上側搬送用走行経路2を定速走行する各搬送台車1の表面とほぼ同一レベルで作業者歩行用の床材46を建屋側に架設しておくことが出来る。
【0024】
上側搬送用走行経路2の出口所定位置で被搬送車両Wを降ろした空の搬送台車1は、搬送用走行経路2の出口の摩擦駆動定速送出し手段13により、この上側搬送用走行経路2の出口に対応する上昇限高さで待機している搬送台車昇降装置5の昇降台5a,5b上に送り出され、当該搬送台車1が摩擦駆動定速送出し手段13から離れると同時に、昇降台5a,5bが備える摩擦駆動高速引込み送出し手段17によって引き継がれ、その高速引込み作用により、直後の搬送台車1から引き離されて昇降台5a,5b上に乗り移ることになる。このとき搬送台車1は、その左右両側辺の走行方向複数の被支持用ローラー26a,26bが昇降台5a,5b上を転動する状態で当該昇降台5a,5b上に支持されて移動する。昇降台5a,5b上に移された搬送台車1は、当該昇降台5a,5bが下降限高さまで下降することにより、下側戻し用走行経路3の入り口に対応する位置まで降ろされる。このとき、車輪25a,25bが着床して、左右両側の被支持用ローラー26a,26bが昇降台5a,5bから少し浮き上がった状態になり、昇降台5a,5bは、搬送台車1を支持しない状態になる。
【0025】
この後、下側戻し用走行経路3の入り口に対応する位置まで降ろされた搬送台車1が、摩擦駆動高速引込み送出し手段17の高速送出し作用により下側戻し用走行経路3の入り口へ送り出される。昇降台5a,5bの上側から搬送台車1が下側戻し用走行経路3へ完全に送り出された後、昇降台5a,5bが再び上昇限高さまで上昇し、上側搬送用走行経路2に接続される。以上の動作が完了する間に、上側搬送用走行経路2上の次の搬送台車1からの被搬送車両Wの退出が完了し、空になった当該搬送台車1が、上側搬送用走行経路2に接続された昇降台5a,5b上に送り出される。
【0026】
一方、下側戻し用走行経路3では、搬送台車昇降装置5から高速で送り出されて摩擦駆動定速送込み手段14による定速送込み作用を受ける所定位置に達した最後尾の搬送台車1が、当該摩擦駆動定速送込み手段14によって定速で前進駆動され、この下側戻し用走行経路3内の全ての搬送台車1を突き押し駆動することになる。従って、この下側戻し用走行経路3内の全ての搬送台車1は、上側搬送用走行経路2内で被搬送車両Wを搬送する搬送台車1とは逆方向に前進走行しながら、上側搬送用走行経路2を走行する各搬送台車1を支持する走行路となっている。
【0027】
下側戻し用走行経路3の出口に達した搬送台車1は、当該戻し用走行経路3の出口の摩擦駆動定速送出し手段15により、下降限高さで待機している搬送台車昇降装置4の昇降台4a,4b上に送り出され、当該搬送台車1が摩擦駆動定速送出し手段15から離れると同時に、昇降台4a,4bが備える摩擦駆動高速引込み送出し手段16によって引き継がれ、その高速引込み作用により直後の搬送台車1から引き離されて、下降限高さの昇降台4a,4b上の位置まで引き込まれる。このとき搬送台車1は、車輪25a,25bを介して床面(扁平レール45a,45b)上を走行し、その左右両側辺の走行方向複数の被支持用ローラー26a,26bは、昇降台4a,4bの少し上を移動し、下降限高さの昇降台4a,4bは、搬送台車1を支持していない。このようにして摩擦駆動高速引込み送出し手段16によって所定位置まで引き込まれた搬送台車1は、昇降台4a,4bの上昇により、左右両側辺の被支持用ローラー26a,26bを介して当該昇降台4a,4bに支持される。そしてこの状態での昇降台4a,4bの上昇限高さまでの上昇により、当該搬送台車1は、上側搬送用走行経路2の入り口に対応する高さまで上げられた後、摩擦駆動高速引込み送出し手段16の高速送出し作用により上側搬送用走行経路2の入り口へ送り出される。空になった昇降台4a,4bは、再び下降限高さまで下降し、下側戻し用走行経路3からの搬送台車1の受け入れに備える。上側搬送用走行経路2の入り口へ送り出された搬送台車1は、当該搬送用走行経路2の入り口の摩擦駆動定速送込み手段12に引き継がれて定速駆動され、この搬送用走行経路2内の全ての搬送台車1を定速で突き押し駆動する状態になると共に、車両進入路形成床材8上で待機していた被搬送車両Wが自走により乗り移されることになる。
【0028】
尚、搬送台車昇降装置4,5の摩擦駆動高速引込み送出し手段16,17によって高速引込み又は高速送出し作用を受ける搬送台車1は、下側戻し用走行経路3のレベルでは車輪25a,25bを介して床面(扁平レール45a,45b)に支持され、上側搬送用走行経路2のレベルでは被支持用ローラー26a,26bを介して昇降台4a,4b/5a,5b上に支持されているだけである。従って、この昇降台4a,4b/5a,5b上の位置での搬送台車1の走行方向を規制するために、図2及び図3に示すように、上下両走行経路2,3に併設されたガイド手段18,19と同様に、搬送台車1の左右両側辺を挟むガイドローラー47a,48aを昇降台4a,4b/5a,5b上に走行方向適当間隔おきに軸支して成るガイド手段47,48を併設しておくことが出来る。
【0029】
又、本発明の実施に際して、搬送台車1の構造や搬送台車昇降装置4,5の構造などは、上記実施例のものに限定されるものではなく、従来周知の各種の構造の搬送台車や搬送台車昇降装置を利用出来る。勿論、上側搬送用走行経路2上の搬送台車1を下側戻し用走行経路3上の搬送台車1で支持させるのではなく、上側搬送用走行経路2上の搬送台車1を支持案内するガイドレールを架設した従来周知のものであっても良い。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明の搬送台車利用の搬送装置は、自動車の組み立てラインなどにおいて、搬送区間の全搬送台車を搬送区間の入り口の摩擦駆動手段により突き押し状態で定速走行させる、上下循環型の搬送装置として活用することが出来る。
【符号の説明】
【0031】
1 搬送台車
2 上側搬送用走行経路
3 下側戻し用走行経路
4,5 搬送台車昇降装置
4a,4b/5a,5b 昇降台
6,9 水平路面部
7 昇り傾斜路面部
8 車両進入路形成床材
10 下り傾斜路面部
11 車両退出路形成床材
12,14 摩擦駆動定速送込み手段
13,15 摩擦駆動定速送出し手段
16,17 摩擦駆動高速引込み送出し手段
18,19,23,47,48 ガイド手段
18a,19a,23a,47a,48a ガイドローラー
20 摩擦駆動ローラー
21 モーター
22 摩擦駆動手段
22a,22b 摩擦駆動ユニット
24 台車本体
25a,25b 車輪
26a,26b 被支持用ローラー
29a,29b 主縦材
30 連結フレーム
31a,31b 張出し床部
32a,32b 縦材
33,35,38 連結材
34 帯状板
35a,38a 台車床材
36 副縦材
37 帯状取付け板
45a,45b 扁平レール
46 床材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7