(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6264617
(24)【登録日】2018年1月5日
(45)【発行日】2018年1月24日
(54)【発明の名称】傾斜アームを備えた顕微鏡用フロアスタンド
(51)【国際特許分類】
G02B 21/24 20060101AFI20180115BHJP
A61B 90/00 20160101ALI20180115BHJP
【FI】
G02B21/24
A61B19/00
【請求項の数】8
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2014-537307(P2014-537307)
(86)(22)【出願日】2012年10月19日
(65)【公表番号】特表2014-535076(P2014-535076A)
(43)【公表日】2014年12月25日
(86)【国際出願番号】US2012061113
(87)【国際公開番号】WO2013059654
(87)【国際公開日】20130425
【審査請求日】2015年8月10日
(31)【優先権主張番号】13/279,046
(32)【優先日】2011年10月21日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508185074
【氏名又は名称】アルコン リサーチ, リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100081422
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 光雄
(74)【代理人】
【識別番号】100084146
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 宏
(74)【代理人】
【識別番号】100118625
【弁理士】
【氏名又は名称】大畠 康
(74)【代理人】
【識別番号】100144200
【弁理士】
【氏名又は名称】奥西 祐之
(72)【発明者】
【氏名】ジョナサン・マイケル・バトラー
(72)【発明者】
【氏名】ロバート・トロイ・ヒューレット
(72)【発明者】
【氏名】ロバート・ジェフリー・ヒューレット
(72)【発明者】
【氏名】ロバート・マッコイ・ヒューレット
【審査官】
越河 勉
(56)【参考文献】
【文献】
特開2005−245721(JP,A)
【文献】
特開2005−201965(JP,A)
【文献】
特開2006−015155(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2003/0230698(US,A1)
【文献】
登録実用新案第3078065(JP,U)
【文献】
特開2006−305156(JP,A)
【文献】
欧州特許第01721581(EP,B1)
【文献】
米国特許出願公開第2006/0291044(US,A1)
【文献】
特開2006−230691(JP,A)
【文献】
特開2005−204898(JP,A)
【文献】
特開2005−192813(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2006/0029902(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2011/0031357(US,A1)
【文献】
米国特許第06398172(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 21/00,21/06−21/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
傾斜アームを備えた顕微鏡用フロアスタンドであって、
a.心柱に連結されており、床を動き回る手段を含む、台座、
b.上端、下端、および柱長手方向軸線を備えた、支柱であって、前記下端が前記心柱の先端に連結されており、前記上端が、横方向アームの第1の端部に連結され、前記横方向アームの第1の端部から下方に伸びており、前記柱長手方向軸線が前記支柱の前記下端の中央部から前記支柱の重心へ延びた線分を含んでいる、支柱、
c.前記第1の端部、第2の端部、および実質的に前記床に平行なアーム長手方向軸線を備えた、前記横方向アームであって、前記柱長手方向軸線が約50〜70度(両端の角度を含む)の間の角度で前記アーム長手方向軸線と交差している、横方向アーム、ならびに
d.ピボット端部および取り付け位置端部を備えた、関節アームであって、前記ピボット端部が前記横方向アームの第2の端部に連結されており、前記取り付け位置端部が顕微鏡を取り付ける手段を備えている、関節アーム、
を含んでおり、
前記横方向アームが、前記アーム長手方向軸線の周りで自由回転可能であり、
前記支柱が、少なくとも2つの長手方向部分に曲げられている、フロアスタンド。
【請求項2】
前記横方向アームおよび前記支柱が一体構造である、請求項1に記載のフロアスタンド。
【請求項3】
前記横方向アームが直線状である、請求項1に記載のフロアスタンド。
【請求項4】
複数の部分を備えた前記支柱をさらに含み、前記支柱が各長手方向部分の接合部で撓んでいる、請求項1に記載のフロアスタンド。
【請求項5】
枢動可能に前記横方向アームの前記第2の端部に連結された前記関節アームをさらに含み、前記関節アームを垂直方向、および水平方向に動かすことができる、請求項1に記載のフロアスタンド。
【請求項6】
前記支柱が少なくとも部分的に湾曲した状態である、請求項1に記載のフロアスタンド。
【請求項7】
前記横方向アームが少なくとも部分的に湾曲した状態である、請求項1に記載のフロアスタンド。
【請求項8】
傾斜アームを備えた顕微鏡用フロアスタンドであって、
a.心柱に連結されており、前記床を動き回る手段を含む、台座、
b.下端および上端を備えた中間支持部材であって、前記下端が前記心柱に連結されており、前記上端が関節アームに連結されており、
i.実質的に地面に平行なアーム長手方向軸線を備えた上部であって、前記アーム長手方向軸線が重心を通る上部、
ii.前記下端の中央部から始まり、重心まで続く線分を含む柱長手方向軸線を備えた下部、
iii.約50〜70度(両端の角度を含む)の角度で前記柱長手方向軸線と交差する前記アーム長手方向軸線、
を含む前記中間支持部材、ならびに
c.ピボット端部および取り付け位置端部を備えた関節アームであって、前記ピボット端部が前記中間支持部材の上端に連結され、前記取り付け位置端部が顕微鏡を取り付ける手段を備えた関節アーム、
を含んでおり、
前記上部が、前記アーム長手方向軸線の周りで自由回転可能であり、
前記下部が、少なくとも2つの長手方向部分に曲げられている、フロアスタンド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[優先権主張]
本出願は、2011年10月21日出願の米国非仮特許出願第13/279,046号の継続出願であり、この特許の利益および優先権を主張する。
【0002】
本発明は、一般的には、医用装置のためのスタンドに関する。
【背景技術】
【0003】
外科用顕微鏡に使われるフロアスタンドの背景技術は、医師やその補助者にスタンドまたは医用装置を迂回して動き回るスペースをほとんど与えない。本発明は、狭いまたは込み入った室内に邪魔にならずに適合させることができる外科用顕微鏡のフロアスタンドのニーズに応え、また、同時に、位置決めまたは迂回して動き回るのが容易なように、医師または他の職員に顕微鏡および患者の周りの付加的スペースを提供する。
【発明の概要】
【0004】
一部の態様では、本発明は、心柱、ならびに、上端、下端、および柱長手方向軸線を備えた支柱に連結され、床を動き回る手段を含む台座を備えた傾斜アーム付顕微鏡用フロアスタンドに関し、下端は、心柱の先端に連結され、上端は横方向アームの第1の端部に連結され、上端は横方向アームの第1の端部から下方に伸び、横方向アームは第1の端部および第2の端部を備え、さらに、アーム長手方向軸線は実質的に床に平行で、柱長手方向軸線はアーム長手方向軸線と50〜70度(両端の角度を含む)の角度で交差し、また、関節アームはピボット端部および取り付け位置端部を備え、ピボット端部は横方向アームの第2の端部に連結され、ならびに、取り付け位置端部は顕微鏡を取り付ける手段を備える。
【0005】
別の態様では、本発明は、横方向アームおよび支柱が一体構造であるフロアスタンドに関する。
【0006】
別の態様では、本発明は、支柱が直線状であるフロアスタンドに関する。
【0007】
別の態様では、本発明は、横方向アームが直線状であるフロアスタンドに関する。
【0008】
別の態様では、本発明は、支柱が複数の部分を備え、各部分が直線状で、各部分の接合部で支柱が湾曲したフロアスタンドに関する。
【0009】
別の態様では、本発明は、関節アームが横方向アームに枢動可能に連結されて、それにより、関節アームを垂直方向と水平方向に動かすことができるフロアスタンドに関する。
【0010】
本発明の他の態様および利点は、次の説明および添付の請求項から明らかとなるであろう。下記の図では、異なる図における同じ特徴は、同じ参照番号で示されていることに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図2】本発明の一実施形態ならびに所与の実施形態のアーム長手方向軸線および柱長手方向軸線の側面図を、それらの交差により作られる角度と共に示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、フロアスタンドに取り付けられた手術または検査のための外科用顕微鏡を使いながら、医師およびその補助者が容易に患者に接近できるように設計されているフロアスタンドである。本発明の一実施形態では、支柱2は、台座8から斜めに立ち上がり、横方向アーム4を支持する。台座8は、車輪、キャスター、または床を動き回るいずれかの方法を備える。また、台座8は、垂直方向の心柱
16を備え、その先端に支柱2が強固に取り付けられる。支柱2は、台座8から、撓みや湾曲なしに、斜めに直線状に立ち上げてもよい。あるいは、支柱2は、複数の長軸方向部分に分けて、撓める、または曲げることができるが、これは、支柱2が、全体として、アーム長手方向軸線5と約50〜70度(両端の角度を含む)範囲の角度6で交差する柱長手方向軸線3を持つ限り、同じ発明と見なされる。柱長手方向軸線3は、支柱2の下端の中央部から支柱2の重心へ引いた線分を含む軸として定義される。重心は、次の物理的対象の重心決定用の標準的な式を使って計算される:CM(x、y、z)=Σ(mi*r(x、y、z)i)*(l/M)。式中、CM(x、y、z)は、3次元直交座標空間での重心の位置、miは、所与の個別質量要素、r(x、y、z)iは、3次元直交座標空間での所与の個別の質量要素の位置、およびMは、系中の全個別質量要素の合計質量である。連続系では、これは、積分方程式:CM(x、y、z)=(l/M)*∫(ρ(r)*r(x、y、z)*dV)、になり、式中、CM(x、y、z)は、3次元直交座標空間での重心の位置、Mは、物体の合計質量、r(x、y、z)は、3次元直交座標空間での物体の微分質量要素の位置、ρ(r)は、所与の位置r(x、y、z)での対象の密度、およびdVは、容積の微分である。アーム長手方向軸線5と柱長手方向軸線3との交差位置は、横方向アーム4または支柱2の内側であっても、または外側であってもよい。例えば、「C」の下端で台座8の心柱に連結され、「C」の上端で横方向アーム2に連結されている「C」形の支柱2は、「C」形状支柱2の左上部分を越えて伸びる柱長手方向軸線3を備える。
【0013】
一実施形態では、横方向アーム4は、その第1の端部で支柱2の上端に強固に取り付けられ、その第2の端部は、関節アーム10に連結される。横方向アーム4は、実質的に地面に平行なアーム長手方向軸線5を備える。アーム長手方向軸線5は、横方向アーム4の重心を通る軸として定義され、その周りで、横方向アーム4は、横方向アーム4に加わるねじり力により、自由に回転する。横方向アーム4は、実質的に直線状であってよい。あるいは、横方向アーム4は、複数の長軸方向部分に分けて、撓めるか、または曲げてもよい。これらの実施形態では、横方向アーム4は、実質的に地面に平行なアーム長手方向軸線5を備える構造の部分として定義される。柱長手方向軸線3およびアーム長手方向軸線5の交差により、約50〜70度(両端の角度を含む)の範囲の角度6を生ずる。角度6は、一方側をアーム長手方向軸線5として持ち、2つ目の側を柱長手方向軸線3として持ち、さらに2つの軸の交差点として頂点を持つものとして定義される。角度6は、横方向アーム4および支柱2の間の開放スペースを許容し、それにより、スタンドは、隙間のない、または閉じたスペースの中、例えば、患者の隣の椅子やテーブルに適合でき、また、同時に、医師または他の職員に、患者を検査しながら、自身で迂回して動き回り、位置決めを行える追加の余地を与える。
【0014】
一実施形態では、支柱2および横方向アーム4は、一緒に強固に取り付けられた2つの別々の構造物である。あるいは、別の実施形態では、支柱2および横方向アーム4は、一体構造であるか、または型成形物である。支柱2および横方向アーム4が一体構造の場合は、一実施形態では、横方向アーム4は、残りの構造とは別である場合、実質的に地面に平行な、上記で定義のアーム長手方向軸線5を備えることになる一体構造の上部の横方向部分として定義できる。支柱2は、一体化構造中の残りの部分として定義される。次に、柱長手方向軸線3は、支柱2の下端の中央部から、支柱2として定義される一体化構造の部分の重心を通って引かれた線分を含む軸として定義される。
【0015】
本発明の別の実施形態では、支柱2および横方向アーム4は、組み合わされて、下端および上端を有する単一の中間支持部材を形成する。下端は、堅固に台座8の柱
16に取り付けられ、上端は、関節アーム10に連結される。中間支持部材は、上部および下部を含む。上部は、上端から、地面に平行な軸に沿って上端から最も遠くへ離された中間支持部材の位置へ伸びるものとして定義される。アーム長手方向軸線5は、この実施形態では、実質的に地面に平行な上部の重心を通る軸として定義される。中間支持部材の下部は、中間支持部材の残りの部分として定義される。柱長手方向軸線3は、この実施形態では、中間支持部材の下端の中央部から始まり、下部の重心で終わる線分を含む軸として定義される。柱長手方向軸線3およびアーム長手方向軸線5の交差により形成される角度6は、約50〜70度(両端の角度を含む)の範囲である。
【0016】
一実施形態では、関節アーム10は、横方向アーム4の遊離端または第2の端部に連結され、動きやすさを確保するための追加のスペースを与え、医師が患者に使用する顕微鏡12の全体的位置決めを可能とする。関節アーム10は、横方向アーム4の第2の端部に固定するか、または、枢動可能に横方向アーム4に連結してもよく、その結果、関節アーム10を垂直方向と水平方向に動かすことができる。顕微鏡12は、関節アーム10の装置末端に取り付けられる。
【0017】
あるいは、顕微鏡12は、横方向アーム4の第2の端部に直接取り付けてもよい。
【0018】
本発明は、限られた数の実施形態について記載されてきたが、本開示の利益を受ける当業者なら、本明細書で開示された本発明の範囲から逸脱することなく、他の実施形態を考案できることを理解するであろう。従って、本発明の範囲は、添付請求項によってのみ限定されるべきである。