(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6264712
(24)【登録日】2018年1月5日
(45)【発行日】2018年1月24日
(54)【発明の名称】焼却灰冷却装置
(51)【国際特許分類】
F23J 1/00 20060101AFI20180115BHJP
【FI】
F23J1/00 C
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-170304(P2014-170304)
(22)【出願日】2014年8月25日
(65)【公開番号】特開2016-44905(P2016-44905A)
(43)【公開日】2016年4月4日
【審査請求日】2016年9月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004123
【氏名又は名称】JFEエンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100084180
【弁理士】
【氏名又は名称】藤岡 徹
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 康裕
(72)【発明者】
【氏名】中川 知紀
(72)【発明者】
【氏名】小俣 孝二
(72)【発明者】
【氏名】狩野 真也
【審査官】
渡邉 聡
(56)【参考文献】
【文献】
特開平01−230914(JP,A)
【文献】
英国特許出願公開第00275496(GB,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23J 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
焼却炉からの焼却灰を受けて該焼却灰を冷却する冷却水が貯留される貯留槽と、冷却焼却灰を押し出して槽外へ排出する押出機とを備えた焼却灰冷却装置において、
貯留槽は、上方から焼却灰の落下投入を受ける上部開口と、冷却焼却灰を排出するために、槽内の冷却水の水面よりも上方位置に設けられた排出口とを有し、
押出機は、上記排出口へ向け槽底部に沿って冷却焼却灰を押し出すように往復動する押出し部材を有し、
貯留槽は、槽底部が開閉部材で開閉自在とされている槽底部排出口を有しており、
槽底部排出口に設けられた開閉部材は、槽底部で直接もしくは間接に支持されている軸体まわりに回動自在であり、該軸体は槽底部排出口の前方に位置している、
ことを特徴とする焼却灰冷却装置。
【請求項2】
焼却灰冷却装置は、槽底部排出口から落下する冷却焼却灰を貯留槽の下方で受ける受け部材と、該受け部材上の冷却焼却灰を所定排出位置まで押し出す第二押出し部材が設けられた第二押出機とをさらに有していることとする請求項1に記載の焼却灰冷却装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、焼却炉から排出される焼却灰を冷却水で冷却する焼却灰冷却装置に関する。
【背景技術】
【0002】
焼却炉から排出される焼却灰は、冷却水を貯留する貯留槽を有する冷却装置によって冷却される。貯留槽は、焼却灰の落下投入を受ける上部開口と、冷却後の冷却焼却灰を排出する排出口を貯留槽の上部に有している。貯留槽の槽底部は、上部開口の下方位置で最深となっていて、上記排出口に向け上向き傾斜している。貯留槽内には押出装置が設けられていて該押出装置の押出し部材が冷却水中の冷却焼却灰を、槽底部に沿って上記排出口へ押し出すように、往復移動する。
【0003】
このような焼却灰冷却装置においては、焼却灰の受入れ容積を大きく確保するために、上記押出し部材の移動方向での貯留槽への焼却灰の落下位置と排出口の位置との間の距離は比較的長く設定されているので、通常、押出し部材の最先進位置は、上記排出口よりもかなり手前位置となっている。しかし、焼却炉からの焼却灰が上部開口を経て連続的あるいは継続的に落下投入されている定常運転時には、冷却後の焼却灰は、押出し部材により押される冷却焼却灰がそれよりも前方の冷却焼却灰を押圧することとなり、該押出し部材が排出口の位置まで移動しなくとも冷却焼却灰は前方の冷却焼却灰から順次排出口より排出されるようになる。
【0004】
次に、焼却炉が一時的に休炉状態に入ると、焼却灰冷却装置は、焼却灰の落下投入を受けなくなるので、押出し部材が最前位置にもたらした状態で、押出し部材はその前方から排出口にかけて堆積している冷却焼却灰を押圧することができなくなり、この最前位置と排出口との間の広い範囲で、冷却焼却灰が槽底部に残留することになる。この残留冷却焼却灰は長期間放置されていると固結してしまい、装置の操業再開に障害となる。
【0005】
そこで、特許文献1では、貯留槽から水を抜いた後に、該貯留槽の側壁に設けられた点検口を開口して押出し部材(プッシャ)の前面に介在物と、さらにL字状の掃除具を配した後、押出し部材を作動させて、上記介在物を介し掃除具に押圧力を与える動作を複数回繰り返すことで、該掃除具により残留冷却焼却灰を排出することとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−144321
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1の装置では、介在物や掃除具を別途用意し保管しておかなくてはならないこと、介在物や掃除具の挿入・抜出は作業効率が非常に悪く、これらの作業を装置周囲の限られた空間で行わなければならないこと、さらには、上記掃除具が排出口近傍にまで移動したとしても、掃除具と排出口との間には少なからず、冷却焼却灰が残存してしまうこと等、改善が求められていた。
【0008】
本発明は、かかる事情に鑑み、作業が簡単で、介在物や掃除具等の部材を準備・保管しておかずとも、良好に冷却焼却灰を排出できる焼却灰冷却装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る焼却灰冷却装置は、焼却炉からの焼却灰を受けて該焼却灰を冷却する冷却水が貯留される貯留槽と、冷却焼却灰を押し出して槽外へ排出する押出機とを備えている。
【0010】
かかる焼却灰冷却装置において、本発明では、貯留槽は、上方から焼却灰の落下投入を受ける上部開口と、冷却焼却灰を排出するために、槽内の冷却水の水面よりも上方位置に設けられた排出口とを有し、押出機は、上記排出口へ向け槽底部に沿って冷却焼却灰を押し出すように往復動する押出し部材を有し、貯留槽は、槽底部が開閉部材で開閉自在とされている槽底部排出口を有して
おり、槽底部排出口に設けられた開閉部材は、槽底部で直接もしくは間接に支持されている軸体まわりに回動自在であり、該軸体は槽底部排出口の前方に位置していることを特徴としている。ここで、本発明では排出口に向かう方向を前方といい、逆方向を後方という。
【0011】
このような構成の本発明の焼却灰冷却装置にあっては、定常操業時には、槽底部排出口は閉位置にある槽底部の開閉部材によって閉塞されていて、上部開口から落下投入された焼却灰は槽内の冷却水により冷却され、冷却焼却灰は前方へ移動する押出し部材により押し出されて槽底部の面上を排出口に向けて前方かつ上方へ移動する。押出し部材は、上記排出口の位置まで前進しなくても、例えば、槽底部排出口の手前開口縁の位置などの途中位置まで前進するだけで、排出口寄りに位置する前方の冷却焼却灰は押出し部材寄りに位置する後方の冷却焼却灰を介して押出し部材により前方へ押されて上記排出口に到達して該排出口から槽外へ落下する。排出口から落下した冷却焼却灰は、例えば、コンベア等の搬送手段により次工程が行われる処理設備まで搬出される。
【0012】
次に、焼却炉から焼却灰冷却装置への焼却灰の供給が停止して、該焼却灰冷却装置の操業を停止するには、槽内の冷却水を槽外へ排出する。
【0013】
押出し部材が最前位置にあっても、この最前位置と排出口の位置までの範囲には冷却焼却灰が排出口から排出されずに槽底部に残留している。通常、押出し部材の最前位置は槽底部排出口の後縁近傍あるいはそれより後方である。
【0014】
次に、冷却水の槽外への排出後に、槽底部の開閉部材を開位置にもたらし槽底部排出口を開口する。その結果、開閉部材上の残留冷却焼却灰は該開閉部材上を滑落する。押出し部材が上記槽底部排出口の後縁位置よりも後方に位置しているときには、押出し部材を上記槽底部排出口の後縁の位置まで前進させて、上記槽底部排出口の後縁と押出し部材との間の残留冷却焼却灰は上記槽底部排出口から落下し、適宜処理される。
【0015】
かくして、残留冷却焼却灰が槽底部排出口から排出された後に、槽内の掃除あるいは整備作業が行われ、この作業後に、開閉部材が閉位置にもたらされてから冷却水が槽内に導入されて、次の定常操業に備える。
【0016】
本発明において、上記軸体を槽底部排出口の前方に位置させること
としているので、開閉部材の下部に冷却焼却灰が堆積している場合でも開閉部材の開動作により、堆積焼却灰をコンベア等の搬送手段に向けて排出可能となり、軸体、ひいては開閉部材の円滑な動作が確保される。
【0017】
本発明において、焼却灰冷却装置は、槽底部排出口から落下する冷却焼却灰を貯留槽の下方で受ける受け部材と、該受け部材上の冷却焼却灰を所定排出位置まで押し出す第二押出し部材が設けられた第二押出機とをさらに有していることが好ましい。こうすることで、上記受け部材上の冷却焼却灰を、定常操業時に既述の排出口から落下した冷却焼却灰と一緒に、上記搬送手段で搬出することが可能となる。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、以上のように、焼却灰を受けて冷却する冷却水が貯留されている貯留槽に槽底部排出口を設け、該槽底部排出口を開閉する開閉部材を取り付けると共に、冷却水中の冷却焼却灰を押出す押出機を有しているので、操業停止の際には、槽内から冷却水を排出した後に、上記開閉部材を開けるだけで大半の残留冷却焼却灰は上記槽底部排出口から落下し、さらに残留している冷却焼却灰も、押出し部材の前進移動により完全に槽底部排出口から落下排出される。かくして、きわめて簡単な構成であるにもかかわらず、従来のように介在物や清掃具等を槽内に導入配置したり、清掃後に再び取り出す等の作業を行わず、清掃作業を容易にかつ短時間で行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の一実施形態装置を縦断面図として示す概要構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付図面にもとづき、本発明の一実施形態としての概要焼却灰冷却装置について説明する。
【0021】
図1に示される本実施形態では、焼却灰冷却装置1は、冷却水Wを貯留する貯留槽10と、冷却水Wで冷却された冷却焼却灰Aを槽外に排出する押出機20と、貯留槽10に設けられた槽底部排出口11を開閉するための開閉部材17と、定常操業時に貯留槽10から排出される冷却焼却灰Aを次の処理工程が行われる処理設備まで搬送する搬送手段としてのコンベア40と、さらには、操業停止の際に槽底部排出口11から落下した冷却焼却灰Aを上記コンベア40へ移行させる第二押出機50とを備えている。
【0022】
貯留槽10は、下方に凸弯曲した板部材で形成される槽底部12と、紙面に直角な方向(以下、「槽幅方向」という)での上記槽底部12の両側端から立ち上がり紙面に平行な平板部をもつ側壁部13と、上記槽底部12の長手方向(図にて左右方向)で右端から立ち上がり両方の側壁部13の右端同士を連結している端壁部14と、上記側壁部13そして端壁部14の上端を覆う上壁部15とを有している。
【0023】
上記貯留槽10は、上述のごとく槽底部12が下方に凸弯曲していて、該槽底部12は、図にて左端が右端における端壁部14の高さ方向略中間位置に及ぶ高さに位置している。上記槽底部12の左端より上方は、右端における端壁部14に対応する端壁部が設けられておらずに開口していて排出口16を形成している。したがって、貯留槽10内には、上記槽底部12、槽幅方向で対向する二つの側壁部13、そして端壁部14により形成される空間に、上記排出口16の下端より少し低い位置を水面高さとして冷却水Wが貯留される。
【0024】
上記槽底部12は、左端側に向け上り勾配となっている左側域に既出の槽底部排出口11が形成されており、該槽底部排出口11は、槽底部12の下面側に開閉部材17が設けられていて、定常操業時には水密状態で閉塞されている。
【0025】
かかる開閉部材17については、再度後述する。上記貯留槽10は、少なくとも右端側と左端側において槽幅方向での両方の側端位置となる四箇所で上記槽底部12から下方に延びる支持脚18により、設置床面F上から所定の高さを確保して支持されている。
【0026】
貯留槽10の上壁部15は、右半部では水平上壁15A、左半部では排出口16に向け上り勾配の傾斜上壁15Bを形成し、水平上壁15Aと傾斜上壁15Bとは略V字状断面のくびれ部15Cを経て連結されている。水平上壁15Aは、端壁部14に寄った位置に、後述の押出機20のための窓部15A−1と、焼却炉からの焼却灰が槽内へ落下投入されるために大きく開口する上部開口15A−2が形成されている。上記傾斜上壁15Bは、左右方向の中間位置で若干傾斜角を段状に変えてはいるものの、全体としては、上記長手方向で該傾斜上壁15Bに対応する範囲で槽底部12とほぼ平行に延びており、該傾斜上壁15B、槽底部12そして両側の側壁部13とで、ダクト状をなし、冷却水W中の焼却灰を排出口16へ向け搬出するための搬出路を形成している。
【0027】
上記槽底部12の槽底部排出口11に対して開閉自在に設けられている開閉部材17は、板部材17Aの下面に補強部材としての腕部材17Bが槽幅方向の両端位置に取り付けられており、板部材17Aの上面はほぼ平坦をなしている。上記開閉部材17は、上記腕部材17Bの左端で槽幅方向に延びる軸体19Aの両端部で、槽幅方向で槽外(側壁部13の外側)位置に設けられた軸受部19A−1により回動自在に支持されている。上記軸受部19A−1の位置からは、軸体19Aに取り付けられた開閉駆動体30の一部をなす駆動腕31が右上方向に延びて設けられ、その端部に開閉駆動体30の駆動ロッド32がピン32Aを介して回動自在に取り付けられており、該駆動ロッド32を上下方向に駆動する流体圧シリンダ33がピン33Aを介して床面に対して固定的な支持体34により回動自在に支持されている。
【0028】
押出機20は、押出し部材21と、該押出し部材21と連結ピン22により連結されている回動駆動腕23とを有している。一方、該回動駆動腕23を回動駆動する押出し駆動体35は、槽幅方向で槽外に位置して貯留槽10に固定的に取り付けられた腕状の支持体36Aによりピン36Bを介して支持されている流体圧シリンダ36と、該流体圧シリンダ36により駆動される駆動ロッド37とを有していて、該駆動ロッド37が連結ピン38により回動駆動腕23と連結されている。上記回動駆動腕23は、貯留槽10内に配される押出し部材21に連結される関係上、槽幅方向で槽内、すなわち二つの側壁部13の間に位置し、水平上壁15Aの窓部15A−1から上方に向けて槽外に突出している。
【0029】
押出機20の押出し部材21は、上記連結ピン22に支持され、左端となる前端部が槽底部12に近づくように下方に屈曲されていて前端には下方に向け屈曲された押出し面部21A−1を形成している。該押出し部材21は、図示のように矢印P0方向に往復回動する回動駆動腕23からの駆動力を受けて、槽底部12の上面を摺動しつつ、ストロークP1で前後に往復動する。該ストロークP1の前端位置は、槽底部排出口11の開口後縁近傍である。
【0030】
搬送手段としてのコンベア40は、貯留槽10の排出口16の下方に位置して、紙面に対して直角方向、すなわち槽幅方向に搬送移動するように、床面上に設置されており、冷却焼却灰Aを次工程としての処理を行う設備が設けられている所定位置まで搬送する。
【0031】
貯留槽10の下方には、第二押出機50が設置されている。該第二押出機50は、貯留槽10の槽底部排出口11の下方に位置した傾斜板として形成される受け部材51と、該受け部材51上を往復滑動する第二押出し部材52と、該第二押出し部材52を駆動する駆動体53とを有している。
【0032】
上記受け部材51は、左端に向け下方へ緩く傾斜しており、上方から見て、上記槽底部排出口11を含む範囲にわたりひろがる上面積を有していて、その左端は上記コンベア40の側端近傍上に位置している。
【0033】
上記第二押出し部材52は、先端が下方に向け傾斜するようにされた薄型の逆箱状をなしていて、後端に駆動体53、例えば流体圧シリンダのシリンダ本体53Aにより駆動される駆動ロッド53Bが取り付けられている。かくして、第二押出し部材52は、シリンダ本体53Aの作動により駆動ロッド53Bで駆動されて、開時の槽底部排出口11から受け部材51上に落下した冷却焼却灰を、上記コンベア40に向け前方へ押し出す。
【0034】
上記貯留槽10の槽底部12には、ガイド板12Aが垂下して設けられている。該ガイド板12Aは、開時の槽底部排出口11から落下する冷却焼却灰を上記受け部材51へガイドするために設けられており、上記槽底部排出口11の開口後縁の直後方位置で下方に向け延びる上部と、前方、すなわちコンベア40の方に向いた傾斜した下部とを有している。かくして、落下する冷却焼却灰はすべて受け部材51上に落下し、しかもガイド部材の傾斜した下部によりコンベア40に寄った前方位置へと導かれる。該ガイド板12Aは、その補助のために上記下部から後方へ傾斜そして下方へ延びる補強支持板12Bを有している。該補強支持板12Bは、窓部が形成されていて、上記駆動ロッド53Bの貫通を許容している。
【0035】
このように構成される本実施形態装置では、次の要領で、焼却炉の定常操業時には、焼却炉からの焼却灰は冷却された後、槽外へ排出され所定位置へ搬送され、操業停止時には、残留冷却焼却灰が排出された後に清掃あるいは整備される。
【0036】
<定常操業時>
焼却炉の定常操業時には、貯留槽10の開閉部材17は閉位置にあり、貯留槽10には冷却水Wが貯留されている。
【0037】
焼却炉からの焼却灰は、貯留槽10の上部開口15A−2を経て矢印Xで示されるように、落下投入され、冷却水Wにより冷却されて冷却焼却灰Aとなる。押出機20の押出し部材21は
図1にて実線で示される中間位置に対し前後に及びストロークP1で往復動する。焼却灰Aは水中を降下して槽底部12上に堆積する。冷却焼却灰Aは、上記屈曲上板21Aの前端に位置して形成されている押出し面部21A−1よりも前方(図にて左方)で槽底部12上に位置しており、上記押出し部材21の前方への移動によって、上記冷却焼却灰Aは、排出口16寄りの冷却焼却灰が押出し面部21A−1寄りの冷却焼却灰によって押し出されて、排出口16に到達した分だけ、順次排出口16から落下しコンベア40の搬送面にもたらされ搬送される。コンベア40は該冷却焼却灰Aを次工程としての処理を行う設備にもたらす。
【0038】
<操業停止時>
焼却炉の操業停止により、焼却炉から焼却灰の落下投入が長期にわたり行われないとき、あるいは、焼却灰冷却装置の清掃や点検・整備を行いたいときには、焼却灰冷却装置の操業を停止する。
【0039】
焼却灰が貯留槽10へ投入されない状況下では、押出機20の押出し部材21が最前位置まで移動しても、上記押出し面部21A−1と排出口16の間には冷却焼却灰Aが未排出のまま残留してしまうこととなる。
【0040】
本実施形態では、このように残留した冷却焼却灰を次のようにして排出する。
【0041】
先ず、貯留槽10内の冷却水を排水する。しかる後、開閉駆動体30の流体圧シリンダ33を作動させて、駆動ロッド32を下方へ駆動して駆動腕31を軸体19Aを中心として時計方向まわりに回動させることで、開閉部材17を二点鎖線の開位置へもたらす。すなわち、槽底部排出口11は、全開される。その結果、開閉部材17の上面に残留していた冷却焼却灰は、上記槽底部排出口11から落下あるいは開閉部材17上を滑落して、下方に位置する受け部材51上に堆積される。上記槽底部排出口11は、槽幅方向で槽底部12の広い範囲に形成されていても、同方向両端には若干なりと槽底部12の部分が存在しているので、押出し部材21の下端を案内することができ、したがって押出し面部21A−1は、槽底部排出口11の開口後縁よりも前方位置まで移動できるようにストロークP1を設定しておくこともできる。そうすることで、残留冷却焼却灰は上記開口後縁に少量なりとも残留することはない。上記槽底部排出口11から落下する冷却焼却灰は、槽底部12から下方に向け後方へ傾斜するガイド板12Aにより、受け部材51の前部へ落下堆積される。この堆積冷却焼却灰は、流体圧シリンダ53で駆動されて前方へ向け移動する第二押出し部材52により前方へ押し出され、上記コンベア40上へ移される。かくして、この冷却焼却灰も、コンベア40で搬送されて次工程としての処理を行う設備へもたらされる。
【0042】
このようにして、貯留槽10内の冷却焼却灰が槽内に殆ど残留することなく排出された後に、槽内の清掃あるいは整備がなされてから、上記槽底部排出口11が開閉部材17により閉塞され、再び冷却水を貯留して次の焼却灰の受入れに備える。
【符号の説明】
【0043】
1 焼却灰冷却装置
10 貯留槽
11 槽底部排出口
12 槽底部
15A−2 上部開口
17 開閉部材
19A 軸体
20 押出機
21 押出し部材
50 第二押出機
A 冷却焼却灰
W 冷却水