(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明について具現化した実施形態を説明する。なお、本発明の趣旨に合致する限り、他の実施形態も本発明の範疇に含まれることは言うまでもない。また、本明細書において「〜」を用いて特定される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値の範囲として含むものとする。また、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。また、下記の実施形態は、互いに好適に組み合わせられる。
【0013】
(導電性微粒子) 本発明の導電性微粒子は、所謂コアシェルタイプの粒子であり、導電性物質を含む核体と、核体を被覆し、この核体とは異なる導電性物質からなり、少なくとも一部が最外層を構成する被覆層とを具備する。被覆層は、核体の少なくとも一部を被覆していればよいが、より優れた導電特性を得るためには、被覆率が高い方が好ましい。導電特性を良好に保つ観点からは、被覆層による平均被覆率を60%以上とすることが好ましく、70%以上とすることがより好ましく、80%以上とすることがさらに好ましい。なお、本明細書における平均被覆率は、後述する実施例と同様の方法により求めた値をいう。
【0014】
導電性微粒子は、核体と被覆層のみから構成されていてもよいが、他の層を含んでいてもよい。例えば、核体と被覆層の間の接合を強固にする中間層、接合層等をはじめとする層が形成されていてもよい。また、核体、被覆層、他の層は、それぞれ独立に単一種類で構成されていてもよいし、複数種類で構成されていてもよい。また、核体、被覆層において、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、導電性物質以外の他の物質が混練されていてもよい。
【0015】
本発明の導電性微粒子は、下記式(1)から求められる円径度係数の平均値が0.15以上、0.4以下であり、かつ、外縁形状に、切れ込みおよび分岐葉の少なくとも一方が複数形成されているものである。
【数2】
【0016】
上記式(1)の円径度係数により、導電性微粒子の外縁の凹凸度合(起伏度合)を把握することができる。真球は円径度係数が1となり、凹凸形状の増大に従って円径度係数が低下する。即ち、円径度係数は、0より大きく1以下となる。本明細書における円径度係数は、Mac-View Ver.4(マウンテック社)の解析ソフトを用いて、導電性微粒子の電子顕微鏡画像(千倍〜1万倍程度)を読み込み、手動認識モードで導電性粒子を約20個選択した。葉状や鱗片状の粒子を選択する際は、粒子同士が重なっていない粒子形状全体が確認できるものであって、観察視点から平面板が垂直になる角度のものを抽出して選択した。粒子基準データは、投影面積円相当径、分布は体積分布の設定として、円径度係数と円形係数を算出し、20個の平均値を求めた。上記数式(1)において面積は、二次元に投影した時の外周を形成する線の内部の面積を平板面とし、この平板面を二次元に投影したときの導電性微粒子の外周を周囲長の長さとする。
【0017】
上記数式(1)から求められる円径度係数の平均値を0.15以上、0.4以下とし、かつ、外縁形状に切れ込みおよび分岐葉の少なくとも一方が複数形成されているものを用いたコアシェルタイプの導電性微粒子を用いることにより、コストダウンが可能で、導電特性に優れ、かつ、薄膜化が可能となる。円径度係数の
平均値の下限値は、絶縁層への導電フィラーの突き抜け防止の観点か
ら、0.20以上とすることがさらに好ましい。また、円径度係数の
平均値の上限値は、導電層のシート抵抗の観点か
ら、0.3以下とすることがさらに好ましい。上記円径度係数の平均値、円形係数の平均値は、1cm
2あたりに定義する粒子が約10個以上存在することが好ましい。
【0018】
なお、
図3に示すような樹枝状の導電性微粒子の円径度係数は、概ね0.11以下であり、鱗片状の導電性微粒子の円径度係数は、0.4越え、0.5以下程度である。
【0019】
本発明の導電性微粒子は、以下の数式(2)より求められる円らしさを表す円形係数の平均値が2以上、5以下であることが好ましい。
【数3】
ここで、最大直径は、選択粒子の最大長の長さである。円形係数を前述の範囲とすることにより、導電性がより向上するという効果が得られる。絶縁層への導電フィラーの突き抜け防止の観点から、円形係数のより好ましい上限値は、4.5以下であり、さらに好ましくは4.0以下である。また、導電層のシート抵抗の観点から、円形係数のより好ましい下限値は、2以上であり、さらに好ましくは2.4以上である。円形係数により微粒子全体の形状が円に近いか否かがわかる(数値が小さいほど円に近い)。なお、円形係数は、円径度係数で使用した解析ソフト(Mac-View Ver.4)を使用した形状係数3である。
【0020】
本発明の導電性微粒子は、換言すると、鱗片葉および分岐葉の少なくとも一方を複数有する葉状導電性微粒子である。
図1に、本発明に係る導電性微粒子の一例を示す電子顕微鏡像を示す。同図の例においては、核体として銅粉を、被覆層として銀を用いたものである。同図に示すように、導電性微粒子は、その外縁形状に切れ込みおよび分岐葉の少なくとも一方が複数形成されている。言い換えると、鱗片葉、分岐葉またはこれに類する形状が複数形成されている。以下、本発明の導電性微粒子を「葉状の導電性微粒子」ともいう。
【0021】
導電性微粒子の厚さは、0.1〜2μmが好ましく、0.2〜1μmがより好ましい。厚さが0.1〜2μmの範囲になることで導電性シートの導電性を維持しつつ、より薄く製造できる。なお、当該厚さは、電子顕微鏡で千倍〜5万倍程度に拡大した画像を元に得たものであり、ここでいう「厚さ」は、電子顕微鏡の1万倍画像で、異なる粒子を約10〜20個を測定し、その平均値を使用した。
【0022】
また、導電性微粒子の平均粒子径(D50)は1〜100μmが好ましい。平均粒子径(D50)が1〜100μmの範囲内にあることで導電性がより向上し、さらに、例えば樹脂と配合して導電性樹脂組成物を製造した場合に、その溶液安定性をより向上できる。導電性微粒子の平均粒子径(D50)は、3μm以上がより好ましく、50μm以下がより好ましい。なお、平均粒子径(D50)とは、レーザー回折・散乱法粒度分布測定装置LS 13 320(ベックマン・コールター社製)を使用し、トルネードドライパウダーサンプルモジュールにて、各導電性微粒子を測定して得た数値であり、粒子の積算値が50%である粒度の直径の平均粒径である。なお、屈折率の設定は1.6とした。
また、導電性微粒子を導電性シートの形態にした際の平均粒子径(D50)の測定方法は、円径度係数を測定する方法と同じ条件で、導電性微粒子をSEM観察し、画像解析ソフトMac-View Ver.4(マウンテック社)にて、粒子基準データは、投影面積円相当径、分布は体積分布の設定として、平均粒子径(D50)を求める。
【0023】
核体は、導電性微粒子のコア部として機能する。核体は、導電特性を向上させる観点から導電性物質のみから構成することが好ましいが、非導電性物質が含まれていてもよい。核体の原料は、これらを満たすものであれば特に限定されないが、導電性金属、導電性カーボンまたは導電性樹脂等が例示できる。導電性金属は、例えば、金、白金、銅、ニッケル、アルミニウム、鉄、またはその合金
等が挙げられるが、価格と導電性の面から銅が好ましい。また、導電性カーボンは、例えば、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、ファーネスブラック、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、グラファイトおよびグラフェンなどが好ましい。また、導電性樹脂の場合は、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)、ポリアセチレンおよびポリチオフェン等が好ましい。核体は、それ自身が導電性を有することが好ましい。
【0024】
被覆層は、核体とは異なる導電性物質からなるものである。被覆層に用いることができる導電性物質は、核体で挙げた物質が例示できる。その中でも、導電特性が高い物質を使用することが本発明の目的に合致する。具体的には、金、白金または銀が好ましく、中でも銀がより好ましい。なお、現在の技術では、金属以外の導電性物質、例えば導電性樹脂等は導電性が低いが、今後技術が進歩して導電性が向上すれば、導電性樹脂等も被覆層として好適である。コスト削減と導電特性の向上を両立させる観点から、被覆層において導電特性が優れる導電性物質を、核体においてコスト的に有利な導電性物質を用いることが好ましい。なお、核体と被覆層の層間に導電性の中間層を設けることもできる。
【0025】
被覆層は、核体100重量部に対して1〜40重量部の割合で被覆することが好ましく、5〜30重量部がより好ましく、5〜20重量部がさらに好ましい。1〜40重量部の範囲内の被覆層を用いることにより、被覆層として用いる導電性物質の使用量を削減しつつ、導電特性を引き出すことができる。例えば、核体として銅を用い、被覆層として銀を用いた場合に、導電特性を維持ながら、導電性微粒子の価格を効果的に低減できる。
【0026】
本発明の導電性微粒子によれば、円径度係数の平均値を上記範囲とし、かつ、外縁形状に切れ込みおよび分岐葉の少なくともいずれかを含ませる葉状の導電性微粒子とすることにより、導電特性が優れたものになることがわかった。これは、凹凸や起伏がほとんどないフレーク状(鱗状)の導電性微粒子よりも粒子の凹凸を増やし、かつ、粒子の外縁形状に切れ込みおよび分岐葉の少なくともいずれかを含ませる葉状形状とすることで、シート状にした際に、導電性微粒子の接触点を増大させることができたことによるものと考察している。また、樹枝状の導電性微粒子によれば薄膜化が難しいという問題があったが、本発明に係る導電性微粒子によれば、容易に薄膜化できる。これは、樹枝状よりも平坦化されているためである。さらに、核体と被覆層とで異なる導電性物質を用いるので、材料選択肢を増やし、コストダウンを達成できる。
【0027】
なお、本願発明の導電性微粒子は、コアシェルタイプのものであるが、単一の導電性物質において、上記円径度係数、外縁形状を満足する粒子を製造した場合においても、優れた導電特性および薄膜化を達成できる。従って、銀等の価格が低下した場合、コストダウンの課題を解決できれば、単一の導電性物質においても有用である。また、銅を用いると、酸化により導電特性が低下するという問題があるが、酸化防止技術の開発により導電特性が良好に維持できれば、単一の導電性物質においても有用である。
【0028】
(導電性微粒子の製造方法) 本発明の導電性微粒子の製造方法は、導電性物質を含む核体と、この核体を被覆し、当該核体とは異なる導電性物質からなり、少なくとも一部が最外層を構成する被覆層とを具備する導電性微粒子の製造方法である。より詳細には、導電性を有する樹枝状微粒子と、樹枝状微粒子に衝突させることにより、当該樹枝状微粒子を変形させるための固体媒体とを用意する工程と、樹枝状微粒子と固体媒体を密閉容器内で衝突させることにより当該樹枝状微粒子を下記数式(1)から求められる円径度係数が0.15以上、0.4以下であり、かつ、外縁形状に切れ込みおよび分岐葉の少なくとも一方が複数形成されるように変形させる工程と、を備えるものである。
【数4】
以下、本発明の導電性微粒子の製造方法を具現化するために、好適な一例を説明する。但し、以下の製造方法によって限定されるものではなく、種々の製造方法が可能である。
【0029】
本発明の導電性微粒子の製造方法は、導電性を有する樹枝状微粒子と、この樹枝状微粒子に衝突させることにより、当該樹枝状微粒子を変形させるための固体媒体とを用意する工程(ステップ1)と、樹枝状微粒子と固体媒体を密閉容器内で衝突させることにより当該樹枝状微粒子を変形させる工程(ステップ2)とを備える。
【0030】
ステップ1において、樹枝状粒子は、
図3に示すような所謂樹枝状(デンドライト状)の導電特性を有する粒子を用意する。樹枝状粒子は、核体と被覆層を具備してなる葉状の導電性微粒子の前駆体である非葉状の導電性微粒子を好適に用いることができる。また、核体のみからなる樹枝状粒子でもよい。この場合には、ステップ2の処理後に、ステップ3として核体に被覆層を設ける工程を行う。
【0031】
ステップ1における固体媒体は、樹枝状微粒子に衝突させることにより、樹枝状微粒子を数式(1)から求められる円径度係数が0.15以上、0.4以下であり、かつ、外縁形状に、切れ込みおよび分岐葉の少なくとも一方が複数形成されている導電性微粒子が得られるものであれば特に限定されない。
【0032】
固体媒体は、スチールなどの金属、ガラス、ジルコニア、アルミナ、プラスチック、チタニアおよびゼラミック等の素材が好ましい。また、密閉容器は、ボールミル、サンドミル等公知の分散機、または粉砕機などを使用できる。また固体媒体の形状は、球状、楕円状など凹凸が少ない形状が好ましい。固体媒体のサイズは、例えば、0.1〜3mm程度である。また、固体媒体の比重は、例えば、1.0〜10.0程度である。
【0033】
ステップ2として、樹枝状微粒子と固体媒体とを密閉容器内に投入し、樹枝状微粒子と固体媒体とを衝突させる。樹枝状微粒子に固体媒体が衝突することにより、樹枝状微粒子が変形し、例えば、
図1に示すような葉状の導電性微粒子を得ることができる。導電性微粒子の製造時には、樹脂の存在下で固体媒体を衝突させてもよい。これにより、導電性微粒子の製造と同時に後述する導電性樹脂組成物を製造することができる。ステップ2の衝突させるための分散時間や衝突条件は、上記特性の導電性微粒子が得られる条件であれば特に限定されない。例えば、分散時間を10分〜60分とすることができる。
【0034】
導電性微粒子を製造するときに、導電性微粒子に添加するものとして、増粘剤、分散剤、重金属不活性化剤等を使用できる。増粘剤を使用することで微粒子が過度に沈降することを抑制できる。増粘剤は、例えばシリカ系化合物、ポリカルボン酸系化合物、ポリウレタン系化合物、ウレア系化合物およびポリアマイド系等が挙げられる。分散剤を使用すること
で導電性微粒子の分散性をより向上できる。分散剤は、例えばカルボン酸やリン酸基から成る酸性分散剤、又はアミン基を含む塩基性分散剤、酸塩基で中和されている塩タイプの分散剤が挙げられる。
【0035】
重金属不活性化剤を使用することで、不純物として金属イオンが混入した場合でも、導電性が阻害されにくくなる。重金属不活性化剤としては、例えば、アセチルアセトン、カルボキシベンゾトリアゾール系化合物、ヒンダードフェノール系化合物、ヒドラジン系化合物、チオカルバメート系化合物、サルチル酸系イミダゾールおよびチアジアゾール系化合物等が挙げられる。また、化学式(1)で表される単位を有する化合物「以下、「化合物A」とも称する」が好ましい例として挙げられる。
【0036】
化合物Aの添加量は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で限定されないが、後述する導電性樹脂組成物の粘度安定性、導電性シートの抵抗値の経時安定性、電磁波シールドシートの接着力の経時安定性の観点から、導電性微粒子100重量部に対して0.1重量部以上、30重量部以下とすることが好ましい。経時安定性の向上およびコストダウンの観点から0.5重量部以上、15重量部以下がより好ましい。
【化1】
【0037】
化合物Aは、種々の化合物があり特に限定されないが、好ましい例として、例えば、N−サリシロイル−N’−アルデヒドラジン、N,N−ジベンザル(オキザルヒドラジド)、イソフタリック酸ビス(2−フェノキシプロピオニルヒドラジン)、3−(N−サリチロイル)アミノ−1,2,4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル]ヒドラジン、化学式(2)(デカメチレンカルボン酸ジサリチロイルヒドラジド)および化学式(3)(N,N’−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル]ヒドラジン)が例示できる。これらの中でも化学式(2)および化学式(3)の化合物がより好ましい。これらを含むことにより信頼性の高い導電性樹脂組成物を提供できる。添加のタイミングは、導電性微粒子の製造時に限定されず、導電性微粒子製造後の導電性微粒子と樹脂を混合するタイミング、導電性樹脂組成物を製造後等に添加してもよい。
【化2】
【化3】
【0038】
導電性微粒子の一例として、銀コート銅粉の製造例について以下に説明する。
[製造例1] まず、銅粉に銀メッキを施した樹枝状の銀コート銅粉を準備する。この銀コート銅粉を、固体媒体と共に密閉容器に仕込み、密閉容器内で固体媒体を銀コート銅粉に衝突させ、樹枝状の銀コート銅粉を、本願発明の導電性微粒子に変形させる。固体媒体が銀コート銅粉の樹枝部分に衝突することで、本願発明の鱗片葉または分岐葉を有する導電性微粒子が得られる。なお、銀コート銅粉を投入するタイミングで、重金属不活性化剤等の添加剤、又は/及び導電性樹脂組成物に用いる樹脂を投入してもよい。導電性樹脂組成物や添加剤を加えることにより、導電性微粒子の製造と同時に後述する導電性樹脂組成物を製造することも可能である。
【0039】
[製造例2] まず、樹枝状の銅粉を準備する。この銅粉を、固体媒体と共に密閉容器に仕込み、密閉容器内で固体媒体を銅粉に衝突させ、樹枝状の銅粉を、本願発明の導電性微粒子様に変形させる。固体媒体が銅粉の樹枝部分に衝突することで、鱗片葉または分岐葉を有する銅粉が得られる。次いで、得られた鱗片葉または分岐葉を有する銅粉に、めっき処理により銀を被覆させることで、本願発明の鱗片葉または分岐葉を有する導電性微粒子が得られる。
【0040】
(導電性樹脂組成物) 次に、本発明の導電性樹脂組成物について説明する。本発明の導電性樹脂組成物は、本発明の導電性微粒子と樹脂とを含むものである。なお、本発明の導電性樹脂組成物には、本発明の目的を逸脱しない範囲において、本発明の導電性微粒子以外の導電性微粒子を含んでいてもよい。但し、信頼性を向上させる観点からは、本発明の導電性微粒子以外の導電性微粒子は、例えば、樹脂100重量部に対して3重量部以下程度とすることが好ましい。
【0041】
導電性樹脂組成物に使用する樹脂は、熱可塑性樹脂または硬化性樹脂を使用できる。硬化性樹脂は、熱硬化性樹脂または光硬化性樹脂が好ましい。
【0042】
熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィン系樹脂、ビニル系樹脂、スチレン・アクリル系樹脂、ジエン系樹脂、テルペン樹脂、石油樹脂、セルロース系樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリイミド系樹脂、フッ素樹脂などが挙げられる。
【0043】
ポリオレフィン系樹脂は、エチレン、プロピレン、α−オレフィン化合物などのホモポリマーまたはコポリマーが好ましい。具体的には、例えば、ポリエチレンエチレンプロピレンゴム、オレフィン系熱可塑性エラストマー、α−オレフィンポリマー等が挙げられる。
ビニル系樹脂は、酢酸ビニルなどのビニルエステルの重合により得られるポリマーおよびビニルエステルとエチレンなどのオレフィン化合物とのコポリマーが好ましい。具体的には、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体、部分ケン化ポリビニルアルコール等が挙げられる。
【0044】
スチレン・アクリル系樹脂は、スチレンや(メタ)アクリロニトリル、アクリルアミド類、(メタ)アクリル酸エステル、マレイミド類などからなるホモポリマーまたはコポリマーが好ましい。具体的には、例えば、シンジオタクチックポリスチレン、ポリアクリロニトリル、アクリルコポリマー、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体等が挙げられる。
【0045】
ジエン系樹脂は、ブタジエンやイソプレン等の共役ジエン化合物のホモポリマーまたはコポリマーおよびそれらの水素添加物が好ましい。具体的には、例えば、スチレン−ブタジエンゴム、スチレン−イソプレンブロックコポリマー等が挙げられる。
テルペン樹脂は、テルペン類からなるポリマーまたはその水素添加物が好ましい。具体的には、例えば、テルペン樹脂、水添テルペン樹脂が挙げられる。
【0046】
石油系樹脂は、ジシクロペンタジエン型石油樹脂、水添石油樹脂が好ましい。
セルロース系樹脂は、セルロースアセテートブチレート樹脂が好ましい。
ポリカーボネート樹脂は、ビスフェノールAポリカーボネートが好ましい。
ポリイミド系樹脂は、熱可塑性ポリイミド、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミック酸型ポリイミド樹脂が好ましい。
【0047】
熱硬化性樹脂は、加熱による架橋反応に利用できる官能基、例えば、水酸基、フェノール性水酸基、メトキシメチル基、カルボキシル基、アミノ基、エポキシ基、オキセタニル基、オキサゾリン基、オキサジン基、アジリジン基、チオール基、イソシアネート基、ブロック化イソシアネート基、ブロック化カルボキシル基、シラノール基などを1分子中に1つ以上有する樹脂であればよく、例えば、アクリル樹脂、マレイン酸樹脂、ポリブタジエン系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、オキセタン樹脂、フェノキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、フェノール系樹脂、アルキド樹脂、アミノ樹脂、ポリ乳酸樹脂、オキサゾリン樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂などが挙げられる。また、本発明における熱硬化性樹脂は、上記の樹脂に加え、必要に応じて上記の官能基と反応し化学的架橋を形成する樹脂または低分子化合物などの所謂「硬化剤」を含むことが好ましい。
【0048】
光硬化性樹脂は、光により架橋反応を起こす不飽和結合を1分子中に1つ以上有する樹脂であればよく、例えば、アクリル樹脂、マレイン酸樹脂、ポリブタジエン系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、オキセタン樹脂、フェノキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、フェノール系樹脂、アルキド樹脂、アミノ樹脂、ポリ乳酸樹脂、オキサゾリン樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂などが挙げられる。
【0049】
導電性樹脂組成物は、樹脂100重量部に対して、導電性微粒子を50〜500重量部配合することが好ましく、100〜400重量部がより好ましい。導電性微粒子を50〜500重量部配合することで導電性がより向上し、導電層をより形成しやすくなる。
【0050】
導電性樹脂組成物は、導電性微粒子と樹脂に加えて、前述した金属不活性化剤、増粘剤等の他に、例えば、分散剤、シランカップリング剤、防錆剤、銅害防止剤、還元剤、酸化防止剤、顔料、染料、粘着付与樹脂、可塑剤、紫外線吸収剤、消泡剤、レベリング調整剤、充填剤、難燃剤などを配合できる。
【0051】
導電性樹脂組成物の製造は、上記のように導電性微粒子を製造する前に樹枝状銀コート粉と樹脂とを同時
に仕込み、固体媒体を衝突させて得ることができる。また、導電性微粒子の製造後に樹脂と混合して得ることもできる。樹脂を分散体に混合する際は、ディスパーマットで分散体を攪拌しながら樹脂を添加する方法が例示できる。
【0052】
(導電性シート) 本発明の導電性シートは、本発明の導電性樹脂組成物から形成してなる導電層を備えたものである。導電性シートの製造方法は、特に限定されないが、一例として、導電性樹脂組成物を剥離性シートに塗工して導電層を形成する方法を例示できる。導電性シートは、導電層の単層のみでもよいが、他の機能層や支持層等の積層体であってもよい。機能層としては、絶縁性、熱伝導性、電磁波吸収性、ハードコート性、水蒸気バリア性、酸素バリア性、低誘電率、高誘電率性、低誘電正接、高誘電正接、耐熱性等を有する層が挙げられる。なお、本発明の導電性シートをプリント配線板分野に使用する場合は、耐熱性の観点から熱硬化性樹脂を含むことが好ましい。
【0053】
本発明の導電性シートは、種々の用途に制限なく利用できるが、好適な例として、異方導電性シート、静電除去シート、グランド接続用シート、メンブレン回路用、導電性ボンディングシート、熱伝導性シート、ジャンパー回路用導電シート等が挙げられる。
【0054】
前記塗工方法は、例えば、グラビアコート方式、キスコート方式、ダイコート方式、リップコート方式、コンマコート方式、ブレード方式、ロールコート方式、ナイフコート方式、スプレーコート方式、バーコート方式、スピコート方式、ディップコート方式等を使用できる
【0055】
導電性シートにおける導電層の厚みは、1〜100μmが好ましく、3〜50μmがより好ましい。厚みが1〜100μmの範囲にあることで導電性と、その他の物性を両立しやすくなる。
【0056】
(電磁波シールドシート) 本発明の電磁波シールドシートは、本発明の導電性樹脂組成物から形成してなる導電層と、絶縁層とを備えるものであり、例えば、回路から発生する電磁波のシールドを目的として使用できる。電磁波シールドシートの製造方法は、特に限定されないが、一例として、前述の方法により製造した導電層と絶縁層とを貼り合わせる方法が例示できる。絶縁層としては、予め成形した絶縁性フィルムを用いてもよいし、剥離性シートに絶縁性樹脂組成物を塗工することで絶縁層を形成し、これと剥離性シート付き導電層とを貼り合わせてもよい。または、導電層上に直接絶縁性樹脂組成物を塗工して絶縁層を形成してもよい。
【0057】
絶縁層の厚みは、用途やニーズに応じて変動し得るが、例えばフレキシブルプリント配線板に使用する場合は柔軟性を維持しながら、電磁波シールドシートのシールド効果を高める観点から、2〜10μmとすることが好ましい。また、絶縁層の厚みは、導電層の厚みを100としたときに50〜200の割合であることが好ましい。前記の割合になることで諸物性のバランスが取りやすくなる。
【0058】
絶縁性フィルムの材料は、特に限定されないが、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリフェニレンサルファイドなどのプラスチックフィルムを使用することもできる。また、絶縁性樹脂組成物を成形した被膜であってもよい。
【0059】
絶縁性樹脂組成物は、樹脂を必須成分とするが、この樹脂は、導電層に使用できる樹脂を使用することが好ましい。また、絶縁性樹脂組成物には、樹脂に加えてシランカップリング剤、酸化防止剤、顔料、染料、分散剤、粘着付与樹脂、可塑剤、紫外線吸収剤、消泡剤、レベリング調整剤、充填剤、難燃剤などを配合できる。
【0060】
本発明の電磁波シールドシートは、導電層および絶縁層のほかに、他の層を備えることができる。他の層は、例えば、ハードコート性、熱伝導性、断熱性、電磁波吸収性、水蒸気バリア性、酸素バリア性、低誘電率、高誘電率性、低誘電正接、高誘電正接、耐熱性等を有する層が挙げられる。なお、本発明の電磁波シールドシートをプリント配線板分野に使用する場合は、耐熱性の観点から熱硬化性樹脂を含むことが好ましい。
【0061】
本発明の電磁波シールドシートは、フレキシブルプリント基板、リジッドプリント基板、リジッドフレキシルブル基板等に貼り付けて加熱圧着することで、電磁波シールド層として使用できる。また、電子部品の匡体に直接貼り付けて使用することもできる。本発明の電磁波シールドシートを組み込んだプリント配線板は、例えば、スマートフォンなどの携帯電話、パソコン、タブレット端末、LED照明、有機EL照明、液晶テレビ、有機ELテレビ、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、自動車などの車載部品等に使用することができる。
【0062】
≪実施例≫
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。なお、以下の「部」及び「%」は、それぞれ「重量部」及び「重量%」に基づく値である。
【0063】
表1に原料として用いる非葉状の導電性微粒子を示す。導電性微粒子1〜7の樹枝状銀コート銅粉は三井金属鉱業社製の製品を使用した。また、導電性微粒子8の樹枝状銅粉、導電性微粒子9の球状銀コート銅粉、および導電性微粒子11の鱗片状銀粉は、福田金属箔粉工業社製の製品を使用した。また、導電性微粒子10の鱗片状銀コート銅粉は三井金属鉱業社製の製品を使用した。なお、原料の導電性微粒子の平均粒子径(D50)は、レーザー回折・散乱法粒度分布測定装置LS 13 320(ベックマン・コールター社製)により求めた。
【0065】
<実施例A(導電性微粒子の製造)>
表1に示す非葉状の導電性微粒子1を100部、トルエンを400.0部、増粘剤(日本アエロジル社製AEROSIL R972)を10.0部、および重金属不活性化剤(デカメチレンカルボン酸ジサリチロイルヒドラジド)を1.0部、量り取り、均一となるように混合撹拌した。次いで、これを直径0.5mmのジルコニアビーズと共にアイガーミル(アイガージャパン社製「ミニモデルM−250 MKII」)に投入して分散処理を10分間行った。得られた微粒子をメチルエチルケトンにより5回デカンテーションした。更に、100℃のオーブン内で乾燥することにより実施例Aの葉状の導電性微粒子を得た。実施例Aに係る葉状の導電性微粒子の平均粒子径(D50)、厚み、円径度係数および円形係数を測定した。平均粒子径(D50)、厚みは、前述した方法により求めた。また、円径度係数と円形係数は、以下の方法によりサンプルを作製し、前述した方法により算出した。得られた葉状の導電性微粒子の厚み、平均粒子径(D50)、円径度係数、円形係数および被覆率の値を表2に記載する。
【0066】
<円径度係数と円形係数> 測定サンプルとして、後述する電磁波シールドシートの作製方法により、対応する導電性微粒子を用いたサンプルを用意した。そして、SEM用の円柱形の試料台に導電粘着剤を介して、1cm
2のサンプルを固定した。具体的には、電磁波シールドシートの導電層側のセパレーターを剥離し、導電層が上層、絶縁層が下層になるように試料台に固定した。そして、電磁波シールドシートの導電層上
に、白金蒸着を施した。蒸着後、1000倍、加速電圧15kVの条件下で導電性粒子のSEM画像を取得し、上述の方法により解析した。
【0067】
<被覆率> 専用の台に両面粘着テープを貼り、両面粘着テープ上に各金属粒子粉を落とした後エアーで余分な粉を飛ばした。そして、X線光電子分光分析装置(ESCA AXIS-HS、島津製作所社製)にて異なる点を5箇所測定した。そして、解析ソフト(Kratos社製)により被覆層(銀)と核体(銅)のピーク面積から算出される、被覆層(銀)の質量濃度%の平均値を銀の被覆率とした。
【0068】
<実施例B〜K,比較例δ(導電性微粒子の製造)>
非葉状の導電性微粒子の原料およびアイガーミルを用いた分散処理時間を、表2に記載したとおりに変更した以外は、実施例Aと同様の方法により導電性微粒子を製造した。
【0070】
<実施例1〜20、比較例1〜4、参考例1(導電性樹脂組成物の製造)>
表3に示した原料を容器に仕込み、ディスパーで5分間攪拌を行うことで実施例1〜20、比較例1〜4、参考例1の導電性樹脂組成物を得た。
【0071】
なお、ベース樹脂のウレタンは、ポリウレタン樹脂(トーヨーケム社製)、アミドは、ポリアミドイミド樹脂(トーヨーケム社製)、ポリエステルは、縮合型ポリエステル(トーヨーケム社製)と、付加型ポリエステル(トーヨーケム社製)を用いた。ベース樹脂100重量部に対して硬化剤(アジリジン化合物)を10部使用した。
【0073】
<実施例1の導電性シートの製造>
実施例1の導電性樹脂組成物をポリエチレンテレフタレートの剥離性シートに、乾燥厚みが5μmになるようにバーコーターを使用して塗工し、100℃の電気オーブンで2分間乾燥することで導電層を有する導電性シートC1を得た。
【0074】
<実施例1の電磁波シールドシートの製造>
熱硬化性ウレタン樹脂(トーヨーケム社製)をポリエチレンテレフタレートの剥離性シートに、乾燥厚みが5μmになるようにバーコーターを使用して塗工し、100℃の電気オーブンで2分間乾燥することで絶縁層を得た。導電性シートC1の導電層と前記絶縁層を重ね、80℃、2MPaの条件で熱圧着することで電磁波シールドシートE1を得た。
【0075】
<実施例2〜20、比較例1〜4、参考例1の導電性シートの製造>
実施例1の導電性樹脂組成物に代えて実施例2〜20の導電性樹脂組成物を用いた以外は、実施例1と同様の方法により導電性シートC2〜C20を得た。また、実施例1の導電性樹脂組成物に代えて比較例1〜4、参考例1の導電性樹脂組成物を用いた以外は、実施例1と同様の方法により導電性シートC21〜C25を得た。
【0076】
<実施例2〜20、比較例1〜4、参考例1の電磁波シールドシートの製造>
導電性シート
C1に代えて表4に記載した導電性シートを使用した以外は、実施例1と同様に行うことで電磁波シールドシートE2〜E25を得た。
実施例1の導電性樹脂組成物に代えて実施例2〜20の導電性樹脂組成物を用いた以外は、実施例1と同様の方法により電磁波シールドシートE2〜E20を得た。また、実施例1の導電性樹脂組成物に代えて比較例1〜4、参考例1の導電性樹脂組成物を用いた以外は、実施例1と同様の方法により電磁波シールドシートE21〜E25を得た。
【表4】
【0077】
<接続抵抗値の測定>
縦25mm、横25mmにカットした導電性シート10を用意し、横25mm、縦100mm、厚み0.5mmのステンレス板11の端部に固定し80℃、2MPaの条件で熱圧着することで仮接着した。その後、剥離性シートを剥がし、同じ大きさのステンレス板12を上記同様に重ねた上で、再度80℃、2MPaの条件で熱圧着することで仮接着した。これを150℃、2MPaの条件で30分間熱圧着を行うことで
図4に示す接続抵抗値測定用のテストピースを得た。このテストピースを使用して三菱化学アナリテック社製「ロレスターGP」のBSPプローブを
図4のように、ステンレス板11の
B側およびステンレス板12の
A側に接触させることにより接続抵抗値を測定した。評価基準は以下の通りである。
A:1.0×10
-3未満
B:1.0×10
-3以上、1.0×10
-2未満
C:1.0×10
-2以上、1.0×10
-1未満
D:1.0×10
-1以上
【0078】
<表面抵抗値の測定>
得られた電磁波シールドシートの導電層の表面抵抗値を三菱化学アナリテック社製「ロレスタGP」の四探針プローブを用いて測定した。評価基準は以下の通りである。
A:1.0未満
B:1.0以上、10.0未満
C:10.0以上、50.0未満
D:50.0以上
【0079】
一方、電磁波シールドシートの絶縁層の表面抵抗値を三菱化学アナリテック社製「ハイレスタUP」のリングプローブURSを用いて測定した。評価基準は以下の通りである。
A:1×10
7以上
B:1×10
7未満、1×10
6以上
C:1×10
6未満、1×10
4以上
D:1×10
4未満
【0080】
<接着力の測定>
幅25mm、長さ70mmの電磁波シールドシートを用意した。導電層と当接する剥離性フィルムを剥がし、露出した導電層に厚さが50μmのポリイミドフィルム(東レ・デュポン社製「カプトン200EN」)を150℃、1.0MPa、30minの条件で圧着することで導電層および絶縁層を硬化させた。電磁波シールドシートを測定のために補強する目的で、50μm厚みの絶縁層と当接する剥離性フィルムを除去し、露出した絶縁層に、ポリウレタンポリウレア系接着剤を使用した接着シートを用いて、ポリイミドフィルム(東レ・デュポン社製「カプトン200EN」)を、150℃、1MPa、30minの条件で圧着した。これらの工程を経て「ポリイミドフィルム/電磁波シールドシート/接着シート/ポリイミドフィルム」のテストピースを得た。このテストピースを23℃、相対湿度50%の雰囲気下、引っ張り速度50mm/min、剥離角度90°で、導電層とポリイミドフィルムとの界面を剥離することにより接着力を測定した。
A:8N/25mm以上
B:8N/25mm未満、6N/25mm以上
C:6N/25mm未満、3N/25mm以上
D:3N/25mm未満
【0082】
[付記]
本明細書は、上記実施形態から把握される以下に示す技術思想の発明も開示する。
(付記1)
導電性の核体を、前記核体とは異なる導電性物質で被覆してなる、複数の、鱗片葉または分岐葉を有する葉状導電性微粒子。
(付記2)
固体媒体が導電性の核体を銀で被覆した樹枝状微粒子に衝突することで、前記樹枝状導電性微粒子が変形して、複数の、鱗片葉または分岐葉を有する葉状の微粒子を得る工程を含むことを特徴とする葉状導電性微粒子の製造方法。
(付記3)
下記数式(1)から求められる円径度係数が0.15以上、0.4以下であり、かつ、外縁形状に切れ込みおよび分岐葉の少なくとも一方が複数形成されている導電性微粒子。
【数6】
(付記4)
導電性物質を含む核体と、
前記核体を被覆し、当該核体とは異なる導電性物質からなり、少なくとも一部が最外層を構成する被覆層とを具備し、
下記数式(1)から求められる円径度係数が0.15以上、0.4以下であり、かつ、外縁形状に切れ込みおよび分岐葉の少なくとも一方が複数形成されている導電性微粒子。
【数7】
(付記5)
前記核体100重量部に対して、前記被覆層が1重量部以上、40重量部以下である付記4記載の導電性微粒子。
(付記6)
厚みが、0.1μm以上、2μm以下である付記4又は5記載の導電性微粒子。
(付記7)
前記被覆層が、銀である付記4〜6いずれかに記載の導電性微粒子。
(付記8)
付記4〜7いずれかに記載の導電性微粒子と、樹脂とを含む、導電性樹脂組成物。
(付記9)
下記化学式(1)で表される単位を有する化合物が配合されている付記4〜8いずれかに記載の導電性樹脂組成物。
【化1】
(付記10)
前記化学式(1)で表される単位を有する化合物は、下記化学式(2)および下記化学式(3)の少なくともいずれかを含む付記9に記載の導電性樹脂組成物。
【化2】
【化3】
(付記11)
付記8〜10いずれかに記載の導電性樹脂組成物から形成してなる導電層を備えた導電性シート。
(付記12)
付記8〜10いずれかに記載の導電性樹脂組成物から形成してなる導電層と、絶縁層とを備えた電磁波シールドシート。
(付記13)
導電性物質を含む核体と、
前記核体を被覆し、当該核体とは異なる導電性物質からなり、少なくとも一部が最外層を構成する被覆層とを具備する導電性微粒子の製造方法であって、
導電性を有する樹枝状微粒子と、前記樹枝状微粒子に衝突させることにより、当該樹枝状微粒子を変形させるための固体媒体とを用意する工程と、
前記樹枝状微粒子と前記固体媒体を密閉容器内で衝突させることにより、当該樹枝状微粒子を下記数式(1)から求められる円径度係数が0.15以上、0.4以下であり、かつ、外縁形状に切れ込みおよび分岐葉の少なくとも一方が複数形成されるように変形させる工程と、を備える導電性微粒子の製造方法。
【数7】
(付記14)
前記樹枝状微粒子は、樹枝状の前記核体に、前記被覆層が被覆されているものである付記13に記載の導電性微粒子の製造方法。
(付記15)
前記樹枝状微粒子は、樹枝状の前記核体を具備し、当該樹枝状微粒子を変形させた後に前記被覆層を前記樹枝状微粒子に被覆させる付記13に記載の導電性微粒子の製造方法。
【0083】
この出願は、2011年3月6日に出願された日本出願特願2012−49680を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。