特許第6264760号(P6264760)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6264760
(24)【登録日】2018年1月5日
(45)【発行日】2018年1月24日
(54)【発明の名称】実装方法及び実装装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/60 20060101AFI20180115BHJP
   H05K 13/04 20060101ALI20180115BHJP
   H05K 13/08 20060101ALI20180115BHJP
【FI】
   H01L21/60 311T
   H05K13/04 B
   H05K13/04 M
   H05K13/08 P
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-137977(P2013-137977)
(22)【出願日】2013年7月1日
(65)【公開番号】特開2014-30007(P2014-30007A)
(43)【公開日】2014年2月13日
【審査請求日】2016年5月19日
(31)【優先権主張番号】特願2012-152846(P2012-152846)
(32)【優先日】2012年7月6日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100096943
【弁理士】
【氏名又は名称】臼井 伸一
(74)【代理人】
【識別番号】100101498
【弁理士】
【氏名又は名称】越智 隆夫
(74)【代理人】
【識別番号】100106183
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 弘司
(74)【代理人】
【識別番号】100128668
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 正巳
(72)【発明者】
【氏名】水野 亨
(72)【発明者】
【氏名】三浦 昭彦
(72)【発明者】
【氏名】池田 浩
(72)【発明者】
【氏名】宮腰 敏暢
【審査官】 小川 将之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−041006(JP,A)
【文献】 特開平11−330109(JP,A)
【文献】 特開2010−135534(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/60
H05K 13/04
H05K 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
実装ノズルに保持された電子部品を回路基板に実装する方法であって、
前記回路基板を撮像する工程と、
前記回路基板に実装された前記電子部品を撮像する工程と、
前記撮像された画像から前記回路基板に配置された第一の特定位置を識別する工程と、
前記電子部品における対向する一対の角部を検出し、前記一対の角部の位置情報に基づく第二の特定位置を識別する工程と、
前記回路基板に配置された前記第一の特定位置を検出して前記第一の特定位置に基づいた前記回路基板上で基準となる回路基板基準位置情報を算出する工程と、
前記電子部品における前記第二の特定位置を検出して前記電子部品における基準となる電子部品基準情報を算出する工程と、
前記回路基板基準位置情報と前記電子部品基準情報とに基づいて、前記回路基板と前記電子部品との相対的な実装位置のズレ量を算出する工程と、
算出された前記ズレ量に基づいて第二の電子部品を前記回路基板に実装する際の実装位置がオフセットされる工程と、を有し、
前記実装位置がオフセットされる工程において、前記ズレ量が閾値よりも大きい場合には前記ズレ量に基づいて実装位置がオフセットされ、前記ズレ量が前記閾値以下の場合が所定回数続いた場合には前記閾値以下のズレ量の平均値に基づいて前記実装位置がオフセットされることを特徴とする実装方法。
【請求項2】
前記回路基板及び前記電子部品を撮像する工程は、次に前記回路基板に実装される電子部品が前記実装ノズルに保持された状態を確認する工程と平行して行われることと特徴とする請求項1に記載の実装方法。
【請求項3】
前記回路基板基準位置情報は前記電子部品を実装する位置における基準点であり、前記電子部品基準情報は前記電子部品の平面視における基準点であることを特徴とする請求項1又は2に記載の実装方法。
【請求項4】
請求項1乃至の何れか一項に記載の実装方法における各工程を制御装置に実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項5】
電子部品を回路基板に実装する装置であって、
前記電子部品を保持して前記回路基板に実装する実装ユニットと、
前記回路基板を保持する基板ステージと、
前記実装ユニットと前記基板ステージとの位置関係を相対的に変化させる相対位置変更機構と、
前記電子部品と前記回路基板との少なくとも何れかを撮像する基板カメラと、
前記基板カメラが撮像した画像から前記回路基板に配置された第一の特定位置と、前記電子部品の対向する一対の角部の位置情報に基づいて第二の特定位置を識別する画像識別部と、
前記第一の特定位置と前記第二の特定位置とに基づいて前記回路基板と前記電子部品との相対的な実装位置のズレ量を算出する手段と、を有し、
前記相対位置変更機構は前記画像識別部によって識別された前記第一の特定位置及び前記第二の特定位置に基づいて前記実装ユニットと前記基板ステージとの少なくとも何れかを駆動し、
前記相対位置変更機構は、前記算出されたズレ量が閾値よりも大きい場合には前記算出されたズレ量を用いて前記実装ユニットと前記基板ステージとの少なくとも何れかを駆動し、前記算出されたズレ量が前記閾値以下の場合が所定回数続いた場合には前記所定回数算出された前記ズレ量の平均値に基づいて前記実装ユニットと前記基板ステージとの少なくとも何れかを駆動することを特徴とする実装装置。
【請求項6】
前記基板カメラは、前記回路基板において前記電子部品が実装される領域を一画像に撮像し得る画角を有することを特徴とする請求項に記載の実装装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品を回路基板に装着する、いわゆる電子部品の実装を行う方法及び装置に関する。より詳細には、バンプ(凸部電極)を備えたフリップチップと呼ばれるIC等のチップを回路基板に装着する際に好適に用いられる実装方法及び実装装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子装置の小型化に伴って、回路基板上に、より高密度に電子部品を実装することが求められている。こういった要望に応えるために、実装時における位置精度の高精度化と同時に、部品間隔の挟矮化(挟ピッチ化)が進められている。また、新たな形態として、多層化された基板に設けられたキャビティに電子部品を実装する例も増えてきている。
【0003】
このような電子部品の実装工程においては、従来、回路基板上に電子部品を実装する際の位置精度を高める方法として、画像処理技術が用いられていた。具体的には、予め回路基板をカメラ等で撮像して得られた映像を画像処理することによって電子部品の実装位置を確定し、同時に供給された電子部品についても同様の処理を通じてその配置を確定し、相互に比較して相対的な位置ずれを求めている。より詳細には、供給位置に配置された電子部品は、取り出しノズルによって取り出され、上下反転された後に実装ノズルによって把持され、その後カメラ等によって把持状態が観察されて、実装ノズルとの位置ずれが求められる。実際の実装処理では、先に求められたこれらの位置ずれを勘案した上で実装ノズルによる実装が為されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−103923号公報
【特許文献2】特開2005−294778号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
IC等のチップを基板に実装する場合、チップを保持する実装ヘッドがチップを基板上の所定位置に接触させ、実装ヘッドを介して当該チップに超音波振動を与えることによって、チップと基板との接続が為される。隣接するチップとの間隔は、実際には実装時の位置ズレ等を考慮してある程度の許容幅を有して初期の設計値が定められている。しかし、上述の如く挟ピッチ化が進められたことに伴い、この許容幅を充分に確保すること自体が困難となり、これまで許されていた実装時の位置ズレが認められなくなりつつある。このため、先述した特許文献1或いは2に示される方法によってこの狭ピッチ化の要求に対処することが困難となりつつあり、より実装精度を高められる実装方法、及び当該方法を実行し得る実装装置の確立が求められている。
【0006】
本発明は、上記状況に鑑みて為されたものであり、基板に対するチップの実装時の位置精度をより向上し得る実装方法、及び当該方法を実行可能な実装装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明に係る実装方法は、実装ノズルに保持された電子部品を回路基板に実装する方法であって、回路基板を撮像する工程と、回路基板に実装された電子部品を撮像する工程と、撮像された画像から回路基板に配置された第一の特定位置を識別する工程と、電子部品における対向する一対の角部を検出し、一対の角部の位置情報に基づく第二の特定位置を識別する工程と、回路基板に配置された第一の特定位置を検出して第一の特定位置に基づいた回路基板上で基準となる回路基板基準位置情報を算出する工程と、電子部品における第二の特定位置を検出して電子部品における基準となる電子部品基準情報を算出する工程と、回路基板基準位置情報と電子部品基準情報とに基づいて、回路基板と電子部品との相対的な実装位置のズレ量を算出する工程と、算出されたズレ量に基づいて第二の電子部品を回路基板に実装する際の実装位置がオフセットされる工程と、を有し、実装位置がオフセットされる工程において、ズレ量が閾値よりも大きい場合にはズレ量に基づいて実装位置がオフセットされ、ズレ量が閾値以下の場合が所定回数続いた場合には閾値以下のズレ量の平均値に基づいて前記実装位置がオフセットされることを特徴とする。
【0008】
なお、上述した実装方法において、回路基板及び電子部品を撮像する工程は、次に回路基板に実装される電子部品が実装ノズルに保持された状態を確認する工程と平行して行われることが好ましい。また、回路基板基準位置情報は電子部品を実装する位置における基準点であり、電子部品基準情報は電子部品の平面視における基準点であることがより好ましい。更に、本発明は、これら実装方法における各工程を制御装置に実行させることを特徴とするプログラムも包含する。
【0009】
また、上記課題を解決するために、本発明に係る実装装置は、電子部品を回路基板に実装する装置であって、電子部品を保持して回路基板に実装する実装ユニットと、回路基板を保持する基板ステージと、実装ユニットと基板ステージとの位置関係を相対的に変化させる相対位置変更機構と、電子部品と回路基板との少なくとも何れかを撮像する基板カメラと、基板カメラが撮像した画像から回路基板に配置された第一の特定位置と、前記電子部品の対向する一対の角部の位置情報に基づいて第二の特定位置を識別する画像識別部と、第一の特定位置と第二の特定位置とに基づいて回路基板と電子部品との相対的な実装位置のズレ量を算出する手段と、を有し、相対位置変更機構は画像識別部によって識別された第一の特定位置及び第二の特定位置に基づいて実装ユニットと基板ステージとの少なくとも何れかを駆動し、相対位置変更機構は、算出されたズレ量が閾値よりも大きい場合には算出されたズレ量を用いて実装ユニットと基板ステージとの少なくとも何れかを駆動し、算出されたズレ量が閾値以下の場合が所定回数続いた場合には所定回数算出されたズレ量の平均値に基づいて実装ユニットと基板ステージとの少なくとも何れかを駆動することを特徴とする。なお、該実装装置において、基板カメラは、回路基板において電子部品が実装される領域を一画像に撮像し得る画角を有することが好ましい
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、基板に対するチップを実装する際に、従来技術では困難であった位置精度の達成を可能とし、より狭ピッチでの実装工程を実施することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態に係る実装装置における主要部構成を簡略化して示す図である。
図2】本発明の一実施形態に係る実装装置の概略構成を示す図である。
図3】実装されたチップを基板と共に撮像する際の各構成の位置関係を模式的に示す図である。
図4】基板カメラによって得られた画像の模式図である。
図5】実装されたチップについての位置ズレ量を算出する工程を説明する図である。
図6】本発明の一実施形態に係る実装方法について、チップの実装位置のズレ量を算出する工程のフローチャートである。
図7】本発明の一実施形態に係る実装方法を実行するための構成を機能ブロックとして示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明の実施例について図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る実装装置における主要部の概略構成について、また図2は、当該装置の概略構成を簡略化して示している。図2に示すように、本装置は、回路基板等を支持する基板テーブル10、電子部品を支持する部品供給テーブル20、取り出しノズルを支持する部品取り込み部30、実装ノズルを支持する実装部50とから構成される。なお、以下の説明において、電子部品は実施形態に合わせてチップと称し、回路基板は基板と称する。
【0013】
基板テーブル10は、真空吸着等によって実際に基板を支持する基板ステージ11、図中矢印で示すX方向に基板ステージ11を駆動するX軸駆動モータ13、Y方向に基板ステージ11を駆動するY軸駆動モータ15、および後述する実装ノズルに保持された電子部品の姿勢等を認識するための部品認識カメラ17を有している。なお、本実施形態において、部品認識カメラ17は、後述する実装部基台59に固定されている。
【0014】
部品供給テーブル20は、部品が載置されるテーブル21、テーブル21をXY方向に駆動する不図示の駆動モータ、及びテーブル21をXY平面上にて回転駆動する回転駆動用モータ23を有している。テーブル21上には、例えばフリップチップ等の電子部品が敷き詰められたウエハの形状と略等しい形状を有する部品載置用の供給基板が、真空吸着等によって固定される。これら電子部品は、部品載置用の供給基板上に単に載せられているだけであり、当該供給基板上から容易に取り出すことが可能である。
【0015】
部品取り込み部30は、上下反転用の回転軸31によって回動可能に支持された取り出しノズル33、及び回転軸31及び取り出しノズル33を昇降駆動させる取り出しノズル昇降用モータ35を有している。これらは、取り込み部ユニット39として一体化されており、不図示の駆動モータによってX軸方向に駆動可能となるように、取り込み部基台37により支持されている。また、部品取り込み部30は、さらに供給部品認識用のカメラ41およびプリアラインメントカメラ43を有しており、これらは取り出しノズル33等からなるユニット39とは独立して基台37に固定、支持されている。
【0016】
プリアラインメントカメラ43は、取り出しノズル33に保持されたチップを撮像する。これにより得られた映像に対しては、画像処理が施され、チップを保持した際の基準位置あるいは基準姿勢からのズレ量が求められる。ズレは、X方向、Y方向、および角度θとして求められる。これらズレ量の算出は不図示の制御装置において為され、当該制御装置はプリアラインメントカメラ43と共にズレ量検出手段を構成する。
【0017】
実装部50は、例えば超音波を用いて電子部品を回路基板に対して実装可能な機能を有する実装ノズル51、XY平面に対して垂直な軸を中心として実装ノズル51を回転駆動するためのθ回転モータ53、及び実装ノズル51とモータ53とを昇降させる実装ノズル昇降用モータ55を有している。これらは実装ユニット57として一体化されており、不図示の駆動用モータによってY軸方向に駆動可能となるように、実装部基台59により支持されている。なお、実装ユニット57には、実装ノズル51、θ回転モータ53、及び昇降用モータ55と一体化されるように基板マーク認識用カメラ61が固定、支持されている。
【0018】
なお、上述のX軸方向、Y軸方向に対する各構成の駆動は、各々の駆動用モータに直結したボールネジ軸とガイドリール等からなる組み合わせによって為されている。従って、これら構成に関しての説明はここでは省略する。また、これら構成は公知であり、また要求される停止精度および駆動速度に応じて、他の公知構成と適宜変更されることが望ましい。また、本実施例においては取り出しノズルがX軸方向、搭載ノズルがY軸方向に移動することとしているが、取り出しノズルがY軸方向、搭載ノズルがX軸方向に移動することとなっていても良い。
【0019】
ここで、本実施形態においては、この基板マーク認識用カメラ61を基板カメラとし、該基板カメラ61によって基板1及び基板1に実装された状態にあるチップ2を一画像として撮像可能としている。この撮像時の各構成の位置関係について図3に模式的に示す。前述したように、従来はチップ2を各々のノズルによって保持した段階でその保持姿勢を確認し、基板1に付記された基板パターン1aとの関係から実装位置を特定していた。しかしながら、当該様式では今後の高密度実装に対応することが困難と考えられる。このため、本発明では基板1に実装されたチップ2を基板カメラ61によって実際に撮像し、当該チップ2と基板パターン1aとを同時に撮像することによって実装位置精度或いは位置ズレを求め、これを次のチップ2の実装時にフィードバックすることによって実装位置の好適化を図ることとしている。
【0020】
次に、実際に基板カメラ61によって得られた画像の模式図である図4及び位置確認を行う工程を説明する図である図5を参照して本発明における位置ズレの算出方法について説明する。図4に示すように、基板パターン1aは実装されたチップ2の周囲、本実施形態では四隅に配置されている。なお、同図中において二点鎖線にて囲まれた領域は、基板カメラ61にて撮像される領域を示している。得られた画像に対して、次に適当な処理を行って図5に示す各位置の検出を行う。実際に行われる処理をフローチャートとして示す図6参照し、当該処理について説明する。
【0021】
まず、ステップS1において撮像領域に対するXY軸の設定を行う。例えば本実施形態の如く矩形状のチップ2の場合、一方の側辺をX軸と平行となるように又隣接する他方の側辺をY軸と平行となるように設定することが好ましい。XY軸の設定後、ステップS2において画像中よりチップを挟んで対峙する一対の基板パターン1aを検出し、ステップS3においてこれら基板パターン1aに基づいて基板パターン1aにおける基板基準点1b及び基板基準線1cを算出する。これら基板基準点1b及び基板基準線1cは、基板パターン1aに基づいて特定される本来チップ2が実装された場合に該チップ2を平面視した場合の基準点が存在すべき位置と該チップ2の回路基板に対する平面視内での傾きに関するものであって、本発明における回路基板基準位置情報に対応している。次にステップS4においてチップ2における対向する一対の角部2aを検出し、ステップS5においてこれら角部2aに基づいてチップ2におけるチップ基準点2b及びチップ基準線2cを算出する。このチップ基準点2b及びチップ基準線2cは、実際のチップの配置及び平面視内での傾きであって、本発明における電子部品基準情報に対応している。
【0022】
このようにして得られた基板基準点1bとチップ基準点2bとにおけるXY方向の各々のズレ量A及びBを、ステップS6にて算出する。当該ズレ量は基板1とチップ2との間の相対的な実装装置のズレ量に当たる。算出されてズレ量はステップS7において閾値と比較される。この閾値は予め設計上許容されるズレ量に基づいて設定されており、これ以上のズレ量が存在する場合、実装に使用が出る可能性があると判断されて直ちに実装位置のオフセット操作がステップS10において為される。閾値以下の場合と判断された場合には、ステップS8において所定のn回の測定が為されているか否かが判定される。上述したズレ量はXY方向でのズレに関するが、基板基準線1c及びチップ基準線2cとの間でも設定されたXY軸に関する傾き角θに関して同様にθ方向のズレ量として算出される。従って、フローチャートにおけるズレ量及び閾値に関してはこのθ方向のズレ量も含まれる。
【0023】
n回に達していない場合にはステップS2にフローが戻り、他のチップ2に対してズレ量の測定が実行される。n回の測定が終了すると、得られたズレ量の平均値をステップS9で算出し、得られたズレ量に基づいて実際の実装時のオフセット量が決定される。当該オフセット量に応じたオフセット操作がステップS10にて実行され、以降の本発明における第二の電子部品に対応するチップ2の実装時に該ズレ量の反映が為される。該オフセット操作は、実装部50を構成する種々の駆動機構及び基板テーブル10に付随する駆動機構からなる相対位置変更機構によって実行される。当該相対位置変更機構は、実際には実装ユニット57と基板ステージ11との少なくとも一方を駆動する。
【0024】
実装工程においては、各ノズルの停止誤差、ノズルによる保持位置の誤差、接合時の操作による位置ズレ等が積算されて実際の実装誤差となる。これらは各々の実装操作時において常に特定の方向に作用するとは決まっておらず、各々異なって作用することも考えられる。本実施形態の如く複数回実装に関してズレ量の平均値を求めることにより、実装誤差を傾向として把握、数値化することを可能とし、これをフィードバックすることが可能となる。
【0025】
なお、本実施形態では基板パターン1aとチップ2との基準点及び基準線のズレ量を求めることとしているが、本発明はこれに限定されない。例えば、基準点或いは基準線のいずれかのみについてズレ量を求めることとしても良く、隣接する基板パターン1aを結んで得られる直線と、隣接するチップ角部2aとを結んで得られる直線との平行度よりチップ2の回転ズレを求め、これを加味することとしても良い。また、基準点を求めるために基板パターン1a及びチップ角部2aを特定位置として用いているが、画像処理上基板1或いはチップ2における特定点として認識可能な位置であれば当該基板パターン1a或いは角部2aに限定されない。例えば、基板パターン1aに変えて基板1に対して孔を形成する態様とすることも可能である。また、角部2aに変えて、特定のパターンを形成しておくこととしても良い。
【0026】
また、本実施形態では、基板カメラ61は実装用ユニット57に固定されており、一のチップ2の保持姿勢を部品認識カメラ17にて撮像する際に、該基板カメラ61により実装済みのチップ2を撮像し、ズレ量を求めることとしている。当該基板カメラ61は実装ユニット57とは独立して配置することも可能である。
【0027】
なお、前述した実施形態では、単一のチップ2と該チップ2の近傍の基板パターン1aが包含される範囲の撮像領域としている。しかし、当該効果をより確実に得る上で、基板カメラ61の撮像範囲はより広範囲であることが好ましい。具体的には、少なくとも実装対象となるチップ2が実装される範囲、より好ましくは基板全域を撮像範囲とし得る画角を有するカメラを用いることが好ましい。これにより、実装位置に関係なく、チップ2各々の実装誤差を常に得ることが可能となる。
【0028】
次に、上述したフローを実行する機能構成について述べる。図7は、フローを実行する制御部を機能構成に基づいてブロック化して示す図である。制御装置100は、画像取得部101、指示入力部103、制御部105、記憶部107、画像処理部110、及び出力部109を有する。画像取得部101は基板カメラ61が撮像した画像を取得する。取得した画像は制御部105に送られ、画像データとして器奥部107に保存されると共に画像処理部110に送られて前述したフローに供される。また、記憶部107は、例示した基準点を求める方法、回転ズレを求める方法等、種々のズレ算出方法が記憶されている。指示入力部103は用いるズレ算出方法、或いは平均を求める際の繰り返し回数nを設定するための指示等を入力する際に用いられる。
【0029】
制御部105から画像処理部110に送られた画像は画像処理部110に配置される座標設定部111、画像識別部113、基準位置算出部115及びズレ量算出部117により画像処理される。座標設定部111は、画像中にXYの座標を重ね合わせる。画像識別部113は、得られた画像中からチップ角部2aと基板パターン1aを各々識別し、設定したXY座標系におけるこれらの座標を検出する。基準位置算出部115はチップ角部2aや基板パターン1aの座標に基づき、基準となる基準点、或いは直線を算出する。ズレ量算出部117は基準位置算出部115により算出されたチップ2における基準と基板1における基準との比較によりこれらのズレ量を算出する。
【0030】
制御部105は得られたズレ量と対応するチップ2とを関連付けて記憶部107に記憶させる。制御部105は更に、ズレ量の算出が指示入力部103によって予め指示された回数nに達するとこれらの平均値を求め、その平均値に基づいて出力部109にこれを送る。出力部109では受け取った平均ズレ量に応じて実装用ユニット57或いは基板ステージ11の移動量を指定する。以上の構成を有することにより、前述したフローが実行される。以上の構成からなる実装装置を用いることにより、従来以上に高密度のチップ実装を行う場合であっても、実装誤差を加味した上で狭ピッチに対応した実装を行うことが可能となる。
【0031】
また、本発明は、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)も構成し、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理も包含される。
【符号の説明】
【0032】
1:基板、 1a:基板パターン、 1b:基板基準点、 1c:基板基準線、 2:チップ、 2a:チップ角部、 2b:チップ基準点、 2c:チップ基準線、 10:基板テーブル、 11:基板ステージ、 13:X軸駆動モータ、 15:Y軸駆動モータ、 17:部品認識カメラ、 20:部品供給テーブル、 21:テーブル、 23:回転駆動用モータ、 30:部品取り込み部、 31:回転軸、 33:取り出しノズル、 35:ノズル昇降用モータ、 37:取り込み部基台、 39:取り込み部ユニット、 41:供給部品認識用カメラ、 43:プリアラインメントカメラ、 50:実装部、 51:搭載ノズル、 53:θ回転モータ、 55:ノズル昇降用モータ、 57:実装用ユニット、 61:基板マーク認識用カメラ(基板カメラ)、 100:制御装置、 101:画像取得部、 103:指示入力部、 105:制御部、 107:記憶部、 109:出力部、 110:画像処理部、 111:座標設定部、 113:画像識別部、 115:基準位置算出部、 117:ズレ量算出部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7