(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6264764
(24)【登録日】2018年1月5日
(45)【発行日】2018年1月24日
(54)【発明の名称】衝撃吸収袋体及びそれを用いた防護柵
(51)【国際特許分類】
E01F 7/04 20060101AFI20180115BHJP
【FI】
E01F7/04
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-148205(P2013-148205)
(22)【出願日】2013年7月17日
(65)【公開番号】特開2015-21241(P2015-21241A)
(43)【公開日】2015年2月2日
【審査請求日】2016年3月29日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】593066634
【氏名又は名称】海和テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085291
【弁理士】
【氏名又は名称】鳥巣 実
(74)【代理人】
【識別番号】100117798
【弁理士】
【氏名又は名称】中嶋 慎一
(74)【代理人】
【識別番号】100166899
【弁理士】
【氏名又は名称】鳥巣 慶太
(72)【発明者】
【氏名】小坂 康之
【審査官】
神尾 寧
(56)【参考文献】
【文献】
特開平11−140829(JP,A)
【文献】
特開2002−362480(JP,A)
【文献】
特開平10−121420(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01F 7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
落石などの落下物である衝突対象物の運動エネルギを吸収する衝撃吸収袋体であって、
発泡スチロールからなる板状の衝撃吸収材が布袋内に収納されてなるものであり、
前記布袋は、外側面または内側面の一部どうしを重ねて接触させ、その接触状態を維持するように縫合糸状材にて縫合している縫合部分を備え、前記衝撃吸収材に対応する形状であり、
前記縫合糸状材は、前記衝突対象物の衝突時に前記布袋が破れるのに先立って切断されるように前記布袋を織成している織糸よりも強度が劣るものであることを特徴とする衝撃吸収袋体。
【請求項2】
前記縫合部分が形成されている面以外の面を、前記衝突対象物を衝突させる部分としている請求項1記載の衝撃吸収袋体。
【請求項3】
前記布袋は、外側に別の布袋が設けられ、
前記別の布袋も、外側面または内側面の一部どうしを重ねて接触させ、その接触状態を維持するように縫合糸状材にて縫合している縫合部分を備えるものである請求項1または2に記載の衝撃吸収袋体。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1つに記載の衝撃吸収袋体を複数個並べ、落石などの衝突対象物の運動エネルギを吸収する防護柵であって、
前記衝撃吸収袋体が互いに離れず一定の位置関係を保持するように結合手段にて結合されていることを特徴とする防護柵。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれか1つに記載の衝撃吸収袋体を複数個平行に並べ、落石などの衝突対象物の運動エネルギを吸収する防護柵であって、
前記衝撃吸収袋体は、複数個ごとに結束具で結合されて一体化された複数のユニットとされていることを特徴とする防護柵。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衝突した衝突対象物の運動エネルギを吸収する衝撃吸収袋体及びそれを用いた防護柵に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、たとえば、落石、土砂崩れ、雪崩などの落下物(衝突対象物)がある場所に、防護柵として機能させるべく、布袋内に土砂が充填された土嚢を並べて設置することが行われている。
【0003】
そのような土嚢は、布袋内に土砂が充填され、その充填口を紐などの結束具で閉じているだけであるので、落下物などが衝突しても、緩衝効果が十分でなく、緩衝効果をより高めたいという要求がある。
【0004】
また、そのような土砂に代えて、古タイヤの粉砕チップや発泡スチロールの粉砕チップを、布袋やゴム袋などの布袋内に封止して用いることで、均一な緩衝効果を得られる保護構造物も提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−221720号公報(段落0016および
図4)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記特許文献1記載のものでは、布袋内に、土砂ではなく、古タイヤの粉砕チップや発泡スチロールの粉砕チップを封止して用いるので、古タイヤの粉砕チップや発泡スチロールの粉砕チップを大量に製造する必要がある。
【0007】
発明者は、そのような粉砕チップを用いることなく、発泡スチロールからなる板状の衝撃吸収材が布袋内に収納されてなる構成とし、かつ布袋の構造を工夫することで、緩衝効果を高められることに着想し、本発明をなしたものである。
【0008】
そこで、本発明は、緩衝効果を高め、落石、土砂崩れ、雪崩れなどによる落下物
である衝突対象物の運動エネルギを効率よく吸収することができる衝撃吸収袋体及びそれを用いた防護柵を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の発明は、落石などの
落下物である衝突対象物の運動エネルギを吸収する衝撃吸収袋体であって、発泡スチロールからなる板状の衝撃吸収材が布袋内に収納されてなるものであり、前記布袋は、外側面または内側面の一部どうしを重ねて接触させ、その接触状態を維持するように縫合糸状材にて縫合している縫合部分を備え、前記衝撃吸収材に対応する形状であり、前記縫合糸状材は、
前記衝突対象物の衝突時に前記布袋が破れるのに先立って切断されるように前記布袋を織成している織糸よりも強度が劣るものであることを特徴とする。ここで、縫合糸状材とは、布袋を縫製できるもので、糸、紐などの糸状材が用いられる。
【0010】
このようにすれば、衝突対象物(例えば、落石などの落下物)が衝突すると、その際の衝突対象物の運動エネルギによって、衝突対象物が布袋内の衝撃吸収材を変形させたり破壊したりする。この衝撃吸収材を変形・破壊させるために衝突対象物が持つ運動エネルギが消費される。また、衝撃吸収材の変形や破壊により、衝撃吸収材が広がろうとし、布袋を、縫合部分がなく内容積が大きい、縫合前の袋形状に戻そうとする。この布袋をもとの袋形状に戻そうとすることで、縫合部分を形成している縫合糸状材が切断され、その縫合糸状材を切断するために衝突対象物が持つ運動エネルギが消費される。このように、衝突対象物の運動エネルギの消費が、衝撃吸収材(発泡スチロール)の変形だけでなく、縫合糸状材の切断によっても行われるので、衝突対象物は衝突により周辺に移動することなく、その衝撃吸収材と衝突した場所付近に留まる。
【0012】
また、布袋が破損する前に、前記縫合糸状材が切断されるので、衝突対象物の運動エネルギを、布袋を破ることなく、吸収することができる。
【0013】
請求項
2に記載のように、前記縫合部分が形成されている面以外の面を、前記衝突対象物を衝突させる部分とすることが望ましい。ここで、前記縫合部分は、前記衝撃吸収材の一面に対応する側の一部分あるいは複数部分に形成するようにしてもよいし、全周にわたって形成するようにしてもよい。
【0014】
このようにすれば、衝突対象物を、縫合がない部分に衝突させるので、衝撃吸収材の変形前に縫合糸状材が切断されるという事態が発生することがなく、衝撃吸収材の変形によるエネルギ吸収と縫合糸状材の切断によるエネルギ吸収を両立させることができる。衝撃吸収材と縫合糸状材とを利用した、効果的なエネルギ吸収を実現することができる。
【0015】
請求項
3に記載のように、前記布袋は、外側に別の布袋が設けられ、前記別の布袋も、外側面または内側面の一部どうしを重ねて接触させ、その接触状態を維持するように縫合糸状材にて縫合している縫合部分を備えるものとすることができる。
【0016】
このようにすれば、縫合部分の総長さ(エネルギ吸収をする縫合糸状材の総長さに対応する)を長くすることができ、運動エネルギの消費量を高めることができる。
【0017】
請求項
4の発明は、請求項1〜
3のいずれか1つに記載の衝撃吸収袋体を複数個並べ、落石などの衝突対象物の運動エネルギを吸収する防護柵であって、前記衝撃吸収袋体が互いに離れず一定の位置関係を保持するように結合手段にて結合されていることを特徴とする。
【0018】
このようにすれば、衝突対象物が衝突する、複数の衝撃吸収袋体それぞれにおいて、布袋内の衝撃吸収材が大きく変形したり破壊したりすることで、布袋及び衝撃吸収材を含めて全体が変形し、その変形により縫合糸状材が切断される。このような衝撃吸収材の変形や縫合糸状材の切断により、衝突対象物の運動エネルギが吸収され、防護柵の、衝突対象物を受け止める防護機能が発揮される。
【0019】
請求項
5の発明は、請求項1〜
3のいずれか1つに記載の衝撃吸収袋体を複数個平行に並べ、落石などの衝突対象物の運動エネルギを吸収する防護柵であって、前記衝撃吸収袋体は、複数個ごとに結束具で結合されて一体化された複数のユニットとされていることを特徴とする。
【0020】
このようにすれば、ユニットを構成する複数個の衝撃吸収袋体に運動エネルギが分散して吸収されることになり、効率のよいエネルギ吸収が実現される。
【発明の効果】
【0021】
本発明は、上記のように構成したので、衝突対象物(例えば、落石などの落下物)が衝突することにより、衝撃吸収材の変形(あるいは破壊)、および縫合糸状材の切断によって前記衝突対象物の運動エネルギを効率よく吸収することが可能となり、衝突対象物を、衝撃吸収袋体付近に停止させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】(a)(b)はそれぞれ本発明の衝撃吸収袋体の一実施の形態を示す概略正面図及び概略平面図である。
【
図2】(a)〜(d)はそれぞれ衝撃吸収の原理の説明図である。
【
図3】前記衝撃吸収袋体を用いた防護柵の一実施の形態を示す説明図である。
【
図4】前記衝撃吸収袋体を用いた防護柵の他の実施の形態を示す説明図である。
【
図5】(a)(b)はそれぞれ、衝撃吸収袋体についての他の実施の形態を示す概略正面図及び概略平面図である。
【
図6】衝撃吸収袋体について、さらに別の実施の形態の説明図である。
【
図7】衝撃吸収袋体について、さらに別の実施の形態の説明図である。
【
図8】衝撃吸収袋体について、さらに別の実施の形態の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態を図面に沿って説明する。
【0024】
図1(a)(b)は本発明の衝撃吸収袋体の一実施の形態を示す概略正面図及び概略平面図である。
【0025】
図1(a)(b)に示すように、衝撃吸収袋体1は、板状の衝撃吸収材2(例えば、発泡スチロールの矩形板)が、縦長で筒状の布袋3(例えば、麻などの天然繊維製あるいはポリエチレンなどの合成繊維製)内に収納されたもので、全体として略直方体形状をしている。
【0026】
布袋3は、それの外側面3aの一部どうしを重ねて接触させ、縫合糸状材としての縫合糸4にて、外側面3aの一部どうしの接触状態を維持するように接触部分の周囲が縫合されている。なお、
図1に示す実施の形態では、左右側面に沿って延びている2つの、直線状の縫合部分M1,M2を有する構造としているが、その延びている方向や数は特に制限されない。また、外側面3aの一部どうしを重ねて接触させているが、内側面の一部どうしを重ねて接触させて縫合するようにしてもよい。また、各縫合部分M1,M2は、連続している必要はなく、間欠的や部分的であってもよいし、さらに1列である必要はなく、複数列であってもよい。
【0027】
このように一部が縫合された状態の布袋3内には、収納口を通じて衝撃吸収材2が収納される。この布袋3の収納口は、衝撃吸収材2の収納後、具体的に図示していないが、周知の土嚢と同様に紐などの結束具を用いて閉じたり、縫合したりすることで、衝撃吸収材2を布袋3の内部に閉じ込めた衝撃吸収袋体1とされる。この状態では略直方体形状となる。そして、布袋3の内側面と衝撃吸収材2の外側面との間には、ほとんど隙間が生じないようになっている。
【0028】
そして、2つの縫合部分M1,M2を形成している外側面以外の外側面が、衝突対象物を衝突させる部分とされる。これにより、衝突対象物が、縫合部分M1,M2に直接衝突し、その衝突により、衝撃吸収材2が変形・破壊をしないうちに、縫合糸4が切断されてしまうのが回避される。
【0029】
縫合糸4は、布袋3を織成している織糸よりも強度が劣るもので、布袋3が破れるのに先立って切断されるように構成されている。この縫合糸4の切断によっても、落石などの衝突対象物が衝撃吸収袋体1に衝突した際の、前記衝突対象物の運動エネルギが消費される。また、布袋3が破れることがないので、収納されている衝撃吸収材2が周辺に飛び散ることもない。
【0030】
この衝撃吸収袋体1によれば、発泡スチロールである衝撃吸収材2を布袋3内に収納しているだけであるので、軽量で、取扱いが容易である。そして、衝撃吸収袋体1を、
図2(a)に示すように、前記縫合部分が配置されていない外側面を、例えば落石などの落下物Sが落下(移動)してくると予想される方向に向けて設置しておくことで、落下物Sが布袋3に衝突し、
図2(b)に示すように前記面に略直交する方向に荷重を作用させることができる。このとき、衝撃吸収材2が板状であるので、落下物Sと衝突する部分の面積を広く確保でき、衝撃吸収を図る上で有利である。また、前記縫合部分を除く外側面を、例えば落石などの落下物Sが落下(移動)してくると予想される方向に向けて設置しておくことで、衝撃吸収材2が変形する前に縫合糸4が切断されるのが回避され、効率のよい運動エネルギ吸収を実現できる。
【0031】
この衝突により、縫合糸4が切断される前に、
図2(c)に示すように、衝撃吸収材2が布袋3内で変形して、その際の落下物Sの運動エネルギ(落下エネルギ)の一部を吸収して、緩衝効果が発揮される。
落下物Sの運動エネルギが大きい場合には、
図2(d)に示すように、布袋3内の衝撃吸収材2が大きく変形し、あるいは破壊して広がろうとし、布袋3の全体形状を、縫合前のもとの形状に戻そうとする。つまり、衝撃吸収材2が大きく変形したり破壊したりして布袋3を広げ、縫合糸4による縫合により接触している外側面3a,3aが互いに離れる方向に移動させようとする。その移動させようとする力の程度に応じて、縫合糸4が、外側から中心側に向かって徐々に切断され、衝撃吸収袋体1(布袋3)の形状が変化していく。この縫合糸4の切断によって、衝撃吸収材2の変形・破壊によるエネルギ吸収と、縫合糸4の切断によるエネルギ吸収とが相俟って、より一層の緩衝効果が発揮される。これにより、落下物Sは、運動エネルギを吸収され、衝撃吸収袋体1付近に停止し、移動することなく、その場所に留まる。
【0032】
このように、落下物Sの運動エネルギを、衝撃吸収材2の変形・破壊だけでなく、布袋3を縫合する縫合糸4の切断によっても吸収し、落下物Sの運動エネルギを大幅に低減させるので、落下物Sのさらなる、周辺への移動を抑制することができる。
【0033】
一方、前記運動エネルギが小さい場合には、落下物Sが布袋3内の衝撃吸収材2を破壊することなく、内部の衝撃吸収材2について小さな変形が起こるだけで、縫合糸4の切断までには至らず、落下物Sは、衝撃吸収袋体1付近の場所に停止する。
【0034】
衝撃吸収袋体1は、例えば
図3に示すように、道路沿いの崖11の下に複数個並んで設置し、落石、雪崩、崩壊土砂等の防護柵として使用することができる。この衝撃吸収袋体1は、支持柵12によって道路側に移動しないように支持されている。この場合、複数の衝撃吸収袋体1を、拘束バンド、拘束ワイヤなどの結束具(図示せず)で結合して一体化して複数個の衝撃吸収袋体からなるユニットとし、そのユニットを複数個並べて設置するようにすることもできる。ユニットとすることで、ユニットを構成する各袋体1に運動エネルギが分散して吸収されることになり、効率のよいエネルギ吸収が実現される。つまり、ユニットを構成する各袋体1の協働作用で、エネルギ吸収が実現される。また、一体化することで支持柵を用いなくても道路側に移動しない場合には、支持策を省略することも可能である。
【0035】
また、設置している複数の衝撃吸収袋体1全体を網などの被覆材で覆うようにしてもよいし、各衝撃袋体1をワイヤ−、バンド等の結合手段にて支持柵12と結合して支持柵12と一体化するようにしてもよい。ワイヤ−、バンド等の結合手段にて結合しておけば、衝撃吸収袋体1が互いに離れず一定の位置関係を保持するので、衝突により衝撃吸収袋体1が散在することはなく、必要とされる衝撃吸収性能は確保される。
【0036】
この場合、衝撃吸収袋体1は、前記衝突対象物が移動してくると予想される方向に、縫合部分M1,M2を除く外側面3aつまり縫合部分が設けられていない外側面を向けて設置される。これにより、前記衝突対象物が衝突すると、布袋3内で、縫合部分M1,M2を開かせるように衝撃吸収材2が大きく変形あるいは破壊し、縫合糸4を切断させる。よって、前記衝突対象物の運動エネルギが大きい場合であっても、縫合糸4が切断されることによって、前記衝突対象物の運動エネルギを吸収できる。ここで、前記衝突対象物が移動してくると予想される方向に、縫合部分M1,M2を除く外側面3aを向けて設置するので、前記衝突対象物との直接的な衝突により、衝撃吸収材2の変形を伴うことなく縫合糸4が切断され、運動エネルギの、不十分な吸収となることを回避するためである。
【0037】
また、
図4に示すように、崖21下に崖21に隣接してトンネル22(通路22a)が設けられているような場所では、トンネル22の天井壁の上側に複数個の衝撃吸収袋体1を並べて設けて、支持柵23にてトンネル上面から外側に移動しないようにしてトンネル22の防護柵として活用することも可能である。この場合には、落石、雪崩、崩壊土砂等の落下物があると、各衝撃吸収袋体1が前記落下物の運動エネルギを吸収し、衝撃を和らげるので、トンネル22の破損・破壊を有効に防止することができる。なお、
図4に示す場合においては、崖21下に設けられる衝撃吸収袋体の衝撃吸収材は、崖21の傾斜形状などに応じて形状が変更され、崖21の傾斜形状に応じて崖21に沿って無理なく設置できるようにしている。
【0038】
本発明は、前記実施の形態に制限されることなく、次のように変更して実施することができる。
【0039】
(i)前記衝撃吸収袋体は、縫合部分の数や縫合部分を設ける部位については特に制限されず、直方体の長手方向に縫合部分を設けることも可能であるし(
図5(a)(b)参照)、1つの縫合部分を有する衝撃吸収袋体とすることもできる。また、前記縫合部分の大きさや数は、設置場所や設置目的、布袋の大きさなどによって、適宜変更することができる。さらに,衝撃吸収材の形状も、矩形の板状に限らず、多角形の板状や円形の板状とすることも可能である。
【0040】
(ii)布袋内に設ける板状の衝撃吸収材は、単数である必要はなく、例えば
図5(a)(b)に示す衝撃吸収袋体1Aのように、衝撃吸収部材2Aを、所定の大きさの複数(例えば2個)の衝撃吸収要素2Aaで構成し、それを布袋3A内に並べて収納するようにすることも可能である。この場合、衝撃吸収要素の形状・大きさは異なっていてもよいし、同じでもよい。
【0041】
(iii)衝撃吸収材を収納する布袋を1枚とすることなく、複数枚とすることも可能である。例えば
図6に示すように、衝撃吸収材2の収納方向に平行である、両側部分に縫合部分M11,M12を設けた布袋3Bに衝撃吸収材2を収納して第1の袋体1Bを形成する。それから、
図7に示すように、第1の袋体1Bの縫合部分M11,M12の延びる方向に直交する方向に延びる、縫合部分M21,M22を設けた布袋3C内に第1の袋体1Bを収納して、布袋3B,3Cが二重構造である衝撃吸収袋体1C(
図8参照)とすることができる。ここで、衝撃吸収材を断面正方形状とすれば、縫合部分の大きさを調整することで、共通の布袋を用いることができ、コストダウンを図る上で有利である。
【0042】
さらに、
図8に示すように、縫合部分M11,M12が延びる方向および縫合部分M21,M22が延びる方向に直交する方向に延びる、縫合部分M31,M32を有する布袋3D内に、衝撃吸収袋体1Bを収納して、布袋3B〜3Dが三重構造である衝撃吸収袋体とすることもでき、さらに用いる布袋の枚数を増やすことも可能である。また、縫合部分が延びる方向は異なっている必要はなく、重複して延びる縫合部分を用いることもできる。さらに、1つの布袋に長さの短い縫合部分を、規則的あるいは無規則的に多数設けることも可能である。
【0043】
(iv)前記衝撃吸収袋体の設置場所は、落下物を受ける崖11下やトンネル22の天井壁の上側などに限らず、衝突対象物の運動エネルギを緩和して、前記衝突対象物の、周辺への移動を抑制する必要がある場所に設けることで、同様な効果が得られる。この場合、前述した衝撃吸収袋体のうち2つ以上を選択して併用することができ、また、それらとは異なる縫合部分を有する衝撃吸収袋体をさらに選択して併用することも可能である。
【符号の説明】
【0044】
1,1A 衝撃吸収袋体
2,2A 衝撃吸収材
2Aa 衝撃吸収要素
3,3A 布袋
3a 外側面
4 縫合糸
11,21 崖
12 支持柵
22 トンネル
22a 通路
S 落下物
M1,M2 縫合部分