(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
フィルムロールから引き出されたフィルムの先端を上プレート、下プレートで掛止保持し、該掛止保持されているフィルムを掴んで所定位置までにフィードし、該フィードしたフィルムにより被包装物を包装する包装装置において、
前記上プレートを回動させる回転軸を有し、
前記上プレートは、前記回転軸により回動し、且つ、該上プレートと前記下プレートによるフィルムを掛止保持する状態において、前記回転軸よりもフィルム送り出し方向の下流側に、その先端が位置し、
前記回転軸は、フィルム先端を掛止保持するために、前記上プレートを前記下プレートに対向させる第1の位置と、前記第1の位置から離間した第2の位置へと回動自在に構成され、且つ、該回転軸は、前記第1の位置において、前記上プレートの先端よりもフィルム送り出し方向の上流側に位置し、
前記下プレートは、第1の位置にて、前記上プレートと協働して前記フィルム先端を保持可能であり、前記上プレートが第1の位置から離間する際に、前記下プレートを前記上プレートの回動範囲から退避させる機構を有し、
前記下プレートを前記上プレートの回動範囲から退避させる、前記上プレートと前記下プレートの連動機構を有することを特徴とする包装装置。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施形態に係る包装装置の一例を、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る包装装置100の一例を示す外観斜視図である。
図2は包装装置100の表示操作パネル72が上方に位置した状態(フィルムロール交換時)の一例を示す外観斜視図。
図3は包装装置100の一例を示す縦断側面図である。
図4は包装装置の要部の一例を示す斜視図である。
図5は包装装置のフィルム交換時の動作の一例を示す図である。詳細には、
図5(a)はフィルム2を上プレートUPに取り付ける動作の一例を示す図、
図5(b)は上プレートUPと下プレートDPによりフィルム2を掛止する動作の一例を示す図である。
【0012】
本発明の実施形態に係る包装装置100は、筐体としての装置機枠3の正面(前部)に設けられた搬入部101、装置機枠3内に設けられた搬送部102、装置機枠3内に設けられたフィルム引出部(フィルム引出機構)103、装置機枠3の上面に設けられた包装部104、被包装物Wを取り出す取出部105、取出部105より前面側に設けられたヒーター106、包装装置100の上部に設けられた可動式の表示操作パネル72、などを有する。表示操作パネル72は、操作部67や表示部70などを有する。表示部70の背面側の装置機枠3の内部に、フィルムロールeを収容するフィルムロール収容部Eが設けられている。フィルムロール収容部Eの上方には蓋部3dが設けられている。
【0013】
また、装置機枠3は、下部3aに搬送部102などが設けられ、中間部3bにフィルム引出部103、包装部104、取出部105などが設けられ、上部3cに表示操作パネル72、フィルムロール収容部Eなどが配置されている。フィルムロール収容部Eは、包装部104より上方に形成され、装置機枠3内に、フィルムロールセット軸110を有するフィルムロール保持部Hにより着脱自在に保持されたフィルムロールeを収容する。
【0014】
また、フィルムロール収容部Eは、背面側および両側面側が装置機枠3の板部材、又はビニール部材で覆われ、上面側が板部材で形成された蓋部3dにより覆われている。また、フィルムロールeの交換時、可動式の表示操作パネル72が操作者などの操作により上方に移動した場合、フィルムロール収容部Eの前面側に、フィルムロールeを交換可能な大きさの開口部Epが形成される。
【0015】
搬入部101には、被包装物W(商品)が載置される。搬入部101は、計量部5と、計量部5に接続された被包装物載置台ATと、を有する。計量部5は、被包装物載置台ATに載置された被包装物Wの計量を行う。
【0016】
搬送部102は、搬送台Cと、搬送台Cを駆動する駆動機構Dと、を有する。駆動機構Dは、装置機枠3内の下部に設けられ、搬送台Cを水平方向および垂直方向に移動自在に支持している。
【0017】
フィルム引出部103は、フィルムロールeのフィルム2の先端を掴んで、水平方向に包装部104の所定位置まで引き出すとともに、フィルム2を緊張させた状態で保持する前グリッパーFと、フィルム2の後端を掴んで緊張させた状態で保持する後グリッパーGと、前グリッパーFをタイミングベルト413を介して前後方向に駆動するモータ410と、後グリッパーGをタイミングベルト414を介して前後方向に駆動するモータ411と、フィルム2をカットするカッターKと、などを有する。
【0018】
包装部104では、前グリッパーFと、後グリッパーGと、左右グリッパー(不図示)とがフィルム2を所定量だけ緊張した状態で保持し、駆動機構Dが搬送台C上の被包装物Wを突き上げて、被包装物Wの上面をフィルム2で覆わせ、前後折込み装置の折込み板15および左右折込み装置の折込み板20によりフィルム2の端部を被包装物Wの底部に折込む。
【0019】
取出部105は、フィルム2により包装された被包装物Wを取り出す箇所である。
ヒーター106は、取出部105より前側の板状部材に備えられ、通電により加熱可能に構成されている。このヒーター106に被包装物Wを包むフィルム2の折込み代が押し当てられることにより、被包装物1の底部のヒートシールが行われる。
【0020】
操作部67は、操作キー、タッチパネルなどの操作入力装置である。
表示部70は、包装処理に関する画面、メッセージ、記憶部に記憶されている各種データなどを適宜表示する。
【0021】
図5に示したフィルム挟持部A(フィルム先端保持部)は、櫛歯状に形成された上下一対の上プレートUP,下プレートDPを、ロールセット部の下側で且つ包装部の後方において、フィルム引出し機構により水平に引き出されるフィルム2の引出しレベル面(引出しレベル高さ位置)に、フィルム2の先端を挿入介在し得る程度の間隙をおいて、平行に対向させた状態で配設することで構成される。
【0022】
下プレートDPは、例えば、装置機枠3の両側幅方向に亘る長さにて平面矩形状に形成され、包装部方向に向けるその前縁に連続凹凸形状のフィルム掛止部8を形成して、包装部104の前記後方位置に配設されている。上プレートUPは、下プレートDPとの間にフィルム2先端を挿入介在し得る程度の適宜の間隙をおいて対向位置させる同じく平面矩形状に形成されて連続凹凸形状のフィルム掛止部9を前縁に形成した挟持辺部10と、この挟持辺部10の後縁から略直角に屈曲されて該挟持辺部10を下プレートDP上の対向位置からロールセット部付近の位置(ロールセット部の下方位置近傍)へと移動し得る長さに連設形成された連設辺部11とから略L字型に形成され、該連設辺部11の上端を後述する回動機構12の回転軸13に固着支持させて、この回動機構12の操作により挟持辺部10を下プレートDP上に、フィルム2先端を挿入介在させた状態でセット保持し得る間隙をおいて平行に対向位置させる様に構成してある。
【0023】
そして、
図10に示したように、挟持辺部10のフィルム接触面10a(フィルム掛止部9の表面)にフィルム2の密着性を高めてフィルム2先端が不用意に外れない様にする処理を施す。また、フィルム接触面10aの反対側の面(フィルム掛止部9の裏面、すなわち、上側のフィルム挟持面)は、これとは反対に表面を粗削りしてフィルム2との密着性を低めている。これに対して、下プレートDPの上面、すなわち下側のフィルム挟持面には、フィルム2の密着性を高める処理を施す。なお、密着性を高める処理としては鏡面仕上げ加工、クロムメッキ加工等が挙げられる。
【0024】
又、上側フィルム挟持部A−1の各フィルム掛止部9の突出基部は、包装する被包装物Wの大きさに合わせて使い分けられるフィルム幅(サイズ)に応じてその先端幅方向縁を巻き付けるための切欠け14を備える。
【0025】
図5に示したように、上プレートUPの連設辺部11における直角部(垂直部)の背後に、ガイドローラー115が設けられている。このガイドローラー115は、フィルムロールeからフィルム2を引き出してその先端をフィルム挟持部Aにセット保持させる際に、フィルム2が連設辺部11に触れない様に、そしてフィルム挟持部Aにセット保持された先端がフィルム引出し機構に掴持されてフィルム2が包装部に引き出される際に、フィルム2が連設辺部11に触れることなくスムーズに包装部へと引き出される様にこれらの案内を行なう。
【0026】
回動機構12は、上プレートUPを、下プレートDP上の対向位置からロールセット部の下方位置へと回動させ、そして該下方位置から下プレートDP上の対向位置へと回動させて戻す操作を行なうものである。回動機構12は、上プレートUPの連設辺部11の上端を固着支持する回転軸13を包装部104両側に立設した両起立枠間に亘り回動自在に横架し、この回転軸13の一端突出部に歯車315を固着備えると共に、この歯車315に噛合連繋させる歯部を有し、該歯車315を介して回転軸13を回転させる操作レバー16を前記起立枠の外側に前後スライド自在に装着する。この操作レバー16を手前側に引っ張る操作を行なうことにより、上プレートUPを下プレートDP上の対向位置からロールセット部の下方位置へと回動させて当該位置に挟持辺部10を位置させ、そして操作レバー16を後側に押す操作を行なうことにより、ロールセット部の下方位置から下プレートDP上の対向位置へと回動させて当該位置に挟持辺部10を戻す様に構成してある。
【0027】
操作レバー16は、適宜の長さを有する帯板状に形成され、その長辺一側縁(下辺縁)に歯車315に噛合させる歯部を備え、その前端側途中に後述するストッパー片17に衝合係止させる係止部16aを設けるとともに、その端部には操作時に作業者が掴む掴持杆16bを突設備えてなる。
杆支え18は、歯車315を固着支持させた回転軸13の突端に一端を軸着せしめて起立枠の外面に装着する。杆支え18は、操作レバー16の歯車315に対する噛合状態が外れない様に該操作レバー16を前後スライド自在に支えるもので、その他端側に歯車315から歯部が外れない様に操作レバー16の長辺他側縁(上辺縁)を保持する転動ローラー19を軸止備えている(
図4参照)。
【0028】
そして、操作レバー16は歯部を歯車315に噛合させた状態で該歯車315と杆支え18の転動ローラー19との間に嵌入されることで、起立枠の外側に前後スライド自在に装着される。即ち、操作レバー16を手前側に引っ張る操作を行なうことにより、上プレートUPを回転軸13を支点に上方(時計方向)へ回動させて、フィルム2の先端を掛止させる挟持辺部10を下プレートDP上の対向位置からロールセット部の下方に位置させることができる。そして、操作レバー16を後側に押す操作を行なうことにより、上プレートUPを回転軸13を支点に下方(反時計方向)へ回動させてフィルム2の先端を掛止させた挟持辺部10を、ロールセット部B付近の位置から下プレートDP上の対向位置に戻すことができる。
【0029】
包装装置100は、上プレートUPを回転可能に支持する回転軸13に巻回させた状態で一端を起立枠に取り付けたバネ材(不図示)を有していてもよい。このバネ材は、上プレートUPをロールセット部B付近の位置(ロールセット部Bの下方位置近傍)から下プレートDP上の対向位置へと回動させて下プレートDP(下側フィルム挟持部A−2)上に挟持辺部10を戻す上記操作を行なった際に、上プレートUPの挟持辺部10が下プレートDP上に戻るその手前(直前)で上プレートUPの動きを受け止めることで、作業者に上プレートUPの挟持辺部10が下プレートDPに近づいたことを知らせる役目を果たす。
【0030】
そして、その受け止め位置から操作レバー16により上プレートUPが更に回動されて、挟持辺部10を下プレートDP上の対向位置に戻す操作が行なわれることで、上プレートUPを上方(時計方向)に回動するバネ力が作用する様に構成されている。即ち、挟持辺部10を下プレートDP上に戻す上記操作を行なった後に、操作レバー16の係止部16aをストッパー片17に係止させる操作を行なうことで、回転軸13及び歯車315を介して操作レバー16に作用するバネ材(不図示)による操作レバー16の前進方向(包装機の前面方向)の動きをストッパー片17と保持部材21とにより受け止め、それにより挟持辺部10を下プレートDP上の対向位置(所定位置)に位置させて、その位置決め状態を保つ。即ち、フィルム2の先端を上プレートUPの挟持辺部10と下プレートDP(下側フィルム挟持部A−2)との間に挿入介在せしめたセット状態を保つ。
【0031】
ストッパー片17は、上プレートUPの挟持辺部10を下プレートDP上の対向位置に戻す上記操作を行なった位置で操作レバー16を下方に移動させることによりその一端側の係止部16aが衝合掛止し得る起立板の外側に取り付ける。そして、保持部材21は、上記操作時においては操作レバー16を遊嵌状に挿入内在し得る形状に形成せしめて、操作レバー16の係止部16aをストッパー片17に衝合係止させた際に歯車315を挟んだ位置で操作レバー16の上辺縁が衝合係止し得る起立板の外面に取り付けるものである(
図4参照)。操作レバー16を手前側にスライド操作した際に前記保持部材21から抜け外れない様にその後端に抜け止め片22を設けてもよい。
【0032】
そして、フィルムセット構造を具備した本実施例の包装装置によれば、操作レバー16を手前側に引っ張るが如く操作することにより、上プレートUPは回転軸13を支点に上方へ回動せしめ、挟持辺部10をフィルムロールeの後方に位置させる。そして、フィルムロールeのフィルム2先端を両手で掴んで、その先端が挟持辺部10のフィルム掛止部9に掛かるまでフィルムロールeからフィルム2を引き出した後、フィルム2の先端をフィルム掛止部9の鏡面仕上げ等により密着性を高めたフィルム接触面10aに当接させ、且つ、両側フィルム縁を巻き付けて掛止させる(
図5参照)。
【0033】
これにより、フィルム2の先端はフィルム接触面10aに密着せしめた状態で掛止されることから外れるおそれはない。その後、操作レバー16を後側に押すが如く操作することにより、上プレートUPはフィルムロールeからフィルム2を引き出しながら回転軸13を支点に下方へ回動せしめてフィルム2先端が引っ掛けられている挟持辺部10を下プレートDP上に対向位置させて下プレートDP(下側フィルム挟持部A−2)との間にフィルム2先端縁を挿入介在させる。この時、バネ(不図示)が作用して操作レバー16の係止部16aをストッパー片17に衝合掛止させる如く操作レバー16を下方に下げることで挟持辺部10を下プレートDP上に定着保持することができる。それにより、包装部104のフィルム挟持部Aへのフィルム2先端のセットが完了となる。
【0034】
なお、上下のフィルム挟持部A−1,A−2でフィルム2の先端部が挟持されている時、前記の如く、上側のフィルム挟持面はフィルム2との密着性が低められ、下側のフィルム挟持面はフィルム2との密着性が高められた状態で、フィルム2が挟持されている。
【0035】
このため、フィルム挟持部Aの先端部上方に配設されているフィルム切断機構(カッターK)によってフィルム2が切断された場合に、フィルム2の先端部は、下側フィルム挟持面に密着された状態で保持される。そして、フィルム引出機構でフィルム2の先端を掴持して引出す際、その掴持面の位置を下側フィルム挟持面より若干上側となるように構成することで、フィルム引出時には、フィルム2は密着性の低い上側フィルム挟持面のみに接触するようにして、フィルム2の引出しを抵抗なく行なえるようにしている。
【0036】
尚、上記した実施例においては、上側フィルム挟持部A−1を回動可能に支持する回転軸13を、包装装置の前面側から操作可能な位置に配設された操作レバー16の作業者による手動操作によって回動させて、上プレートUPを移動させる構成を採用しているが、上プレートUP(上側フィルム挟持部A−1)を回動させる具体的な構成については実施例詳述の構成形態に限定されない。例えばモータ等の駆動手段により上側フィルム挟持部A−1の回動を自動的に行なうことも考えられる。この場合には駆動手段の起動スイッチを装置の前面側から操作可能な位置に配設する。また、フィルムとの密着性を高める処理としては、鏡面仕上げ加工、クロムメッキ加工の他、金属箔を貼り付ける、などが考えられるが、コストや密着性を考慮すると鏡面仕上げ加工が好ましい。
【0037】
尚、包装装置100は、不図示の制御装置により各構成要素が統括的に制御され、所定の包装処理を行う。制御装置は、例えば、CPU、ROM、RAM、操作部、各種モータ、各種センサ、などを有する。
【0038】
図6は本発明の実施形態に係る包装装置100の上プレートUPや下プレートDP等の動作の一例を示す図(上プレートUPが最下位置(第1の位置)よりも上方に位置する状態)である。
図7は包装装置100の上プレートUPが最下位置(第1の位置)の近傍に位置する状態を示す図である。
図8は包装装置100の上プレートUPが最下位置(第1の位置)に位置する状態を示す図である。
【0039】
図6、
図7、
図8に示したように、包装装置100は、フィルムロールe、上プレートUP、上プレートUPを回動させる回転軸13、下プレートDP、などを有する。また、包装装置100は、上プレートUPと下プレートDPの連動機構200を有する。フィルムロールeは、回転軸13よりもフィルム送り出し方向の下流側に設けられている。
【0040】
<上プレートUP>
上プレートUPは、回転軸13により回動するように構成されている。また、上プレートUPは、上プレートUPと下プレートDPによるフィルム2を掛止保持する状態において、回転軸13よりもフィルム送り出し方向の下流側に、その先端が位置するように構成されている。
【0041】
<回転軸13>
回転軸13は、フィルム先端を掛止保持するために、上プレートUPを下プレートDPに対向させる第1の位置と、第1の位置から離間した第2の位置へと回動自在に構成されている。また、この回転軸13は、第1の位置において、上プレートUPの先端よりもフィルム送り出し方向の上流側に位置するように構成されている(
図8参照)。
尚、回転軸13の近傍には、フィルム2と回転軸13との接触を防止するロッド13cが設けられている。このロッド13cの表面には、フィルム2との摩擦抵抗を小さくする表面処理が施されている。このロッド13cは回転自在に構成されていてもよい。
【0042】
<下プレートDP>
下プレートDPは、上プレートUPと下プレートDPとが対向する第1の位置にて、上プレートUPと協働してフィルム先端を保持可能であり、上プレートUPが第1の位置から離間する際に、下プレートDPの先端が上プレートUPに対して第1の位置から離間する方向へ移動自在となるように構成されている。
また、下プレートDPの先端部は、第1の位置において、回転軸13よりもフィルム送り出し方向の下流側に配置されている。
【0043】
<連動機構200>
連動機構200は、上プレートUPを第2の位置に移動させる場合、下プレートDPを上プレートUPの回動範囲から退避させるように構成されている。
【0044】
連動機構200は、詳細には、上プレートUPに直接又は他の部材を介して間接的に設けられた押圧部UR(ローラー)と、上プレートUPの押圧部URにより押圧される位置に配置された第1リンク201と、下プレートDPに接続された第2リンク202と、第1リンク201および第2リンク202との間に設けられた第3リンク203と、を有する。
また、包装装置100は、押圧部URによる押圧、および、付勢手段(後述)による付勢により、下プレートDPを上プレートUPの回動範囲から退避可能なリンク機構を有する。このリンク機構は、上述した第1のリンク201、第2のリンク202、第3のリンクなどを有する。
【0045】
<第1リンク201>
第1リンク201は、一方の端部が包装装置100の筐体部に軸受211により回転自在に軸支され、他方の端部が第3リンク203の第1リンク側端部に第1連結ピン221を介して連結されている。第1リンク201の上部には、上プレートUPに直接又は間接的に設けられた押圧部URに当接可能な当接部201aが設けられている。
【0046】
<第2リンク202>
第2リンク202は、略中央部が包装装置100の筐体部に軸受212により回転自在に軸支され、その軸受212よりもフィルム送り方向の下流側に下プレートDPが接続され、軸受212よりもフィルム送り方向の上流側の端部が第3リンク203の第2リンク側端部に第2連結ピン222を介して連結されている。
【0047】
<第3リンク203>
第3リンク203は、一方の端部が第1リンク202に第1連結ピン221を介して連結され、他方の端部が第2リンクに第2連結ピン222を介して連結されている。
【0048】
<付勢手段240>
付勢手段240は、バネなどにより構成されており、第3リンク203または第1リンク201を、第2リンク202に対して反対方向に付勢する。本実施形態では、付勢手段240としてのバネの上端部が包装装置100の筐体部に固定され、バネの下端部が第3リンク203の端部(第1リンク側端部)付近に接続されている。また、この付勢手段240は、第1リンク201および第3リンク203の上限位置を規定する機能も有する。
尚、第1リンク201および第3リンク203の上限位置を規定する規制手段250を、付勢手段240と別体で設けてもよい。
【0049】
本実施形態では、第1リンク201の下限位置を規定する規制部材252を、第1リンク201の下方に設けている。
【0050】
<動作>
次に、上述した包装装置100の連動機構200の動作の一例を説明する。
【0051】
例えば、操作レバー16を手前側に引っ張る操作を行なった場合、上プレートUPに直接または間接的に設けられた押圧部UR(ローラー)で第1リンク201を押圧していない状態となり、付勢手段240の付勢力により、第1リンク201、第3リンク203、第2リンク202が所定方向に移動して、下プレートDPの先端が上プレートUPに対して第1の位置から離間する方向へ移動する(
図6参照)。
【0052】
例えば、操作レバー16を装置奥側に押し込む操作を行なった場合、上プレートUPの押圧部URにより第1リンク201を、付勢手段240による付勢方向に対して反対方向に押圧し、第1リンク201、第3リンク203、第2リンク202が所定方向に移動して、下プレートDPが上プレートUPと協働してフィルム2の先端を保持する第1の位置に位置する(
図7、
図8参照)。
【0053】
<変形例>
図9は、本発明の実施形態に係る包装装置100の変形例を示す図である。詳細には、
図9(a)は後グリッパーGと下プレートDPが離間している状態を示す図、
図9(b)は後グリッパーGと下プレートDPが当接した状態を示す図、
図9(c)は後グリッパーGと下プレートDPが重なっている状態を示す図である。
【0054】
本発明の実施形態に係る包装装置100は、下プレートDPの先端部が下方に下がった状態(第2の位置)で、後グリッパーGが後方に移動して、下プレートDPの先端部と後グリッパーGが衝突した場合であっても、下プレートDPや後グリッパーGが破損することを防止する破損防止機構を有していてもよい。以下、この破損防止機構に関し、詳細に説明する。
【0055】
前グリッパーFは、フィルムの送り出し方向の下流側の端部を挟持し、装置前後方向に移動自在に構成されている。後グリッパーGは、フィルムの送り出し方向の上流側の端部を挟持し、装置前後方向に移動自在に構成されている。
【0056】
下プレートDPは、その先端部に上方に屈曲した屈曲部DPvを有する。
後グリッパーGは、下プレートDPの屈曲部DPvに当接可能な傾斜部Gvを有する。
【0057】
上記後グリッパーGが下プレートDPと衝突時、後グリッパーGの傾斜部Gvにより、下プレートDPの先端部を第1の位置方向(上方)に移動させるように構成されている。
【0058】
このように、下プレートDPの先端部が下方に下がった状態(第2の位置)で、後グリッパーGが後方に移動した場合であっても、後グリッパーGの傾斜部Gvにより、下プレートDPの先端部を第1の位置方向(上方)に移動させるので、下プレートDPや後グリッパーGの破損を防止することができる。
【0059】
以上、説明したように、本発明の実施形態に係る包装装置100は、フィルムロールeから引き出されたフィルム2の先端を上プレートUP、下プレートDPで掛止保持し、該掛止保持されているフィルム2を前グリッパーF、後グリッパーGで掴んで所定位置までにフィードし、該フィードしたフィルム2により被包装物Wを包装する。この包装装置100は、上プレートUPを回動させる回転軸13を有する。フィルムロールeは、回転軸13よりもフィルム送り出し方向の下流側に設けられている。
上プレートUPは、回転軸13により回動し、且つ、該上プレートUPと下プレートDPによるフィルム2を掛止保持する状態において、回転軸13よりもフィルム送り出し方向の下流側に、その先端が位置するように構成されている。
回転軸13は、フィルム先端を掛止保持するために、上プレートUPを下プレートDPに対向させる第1の位置と、第1の位置から離間した第2の位置へと回動自在に構成され、且つ、回転軸13は、第1の位置において、上プレートUPのフィルム送り出し方向よりも上流に位置している。
下プレートDPは、第1の位置にて、上プレートUPと協働してフィルム先端を保持可能であり、上プレートUPが第1の位置から離間する際に、下プレートDPを上プレートUPの回動範囲から退避させる機構を有する。
詳細には、下プレートDPは、上プレートUPと協働してフィルム先端を保持する第1の位置と、上プレートUPが離間する移動状態においては、先端が上プレートUPに対して第1の位置から離間する方向へ移動自在となるように構成され、且つ、該下プレートDPは、第1の位置において、回転軸13よりもフィルム送り出し方向の下流側に配置されている。
そして、包装装置100は、上プレートUPを第2の位置に移動させる場合、下プレートDPを上プレートUPの回動範囲から退避させる上プレートUPと下プレートDPの連動機構200を有する。
このため、回転軸13の回転中心がフィルム掛止部の上プレートUPの先端部分よりも包装装置100の奥側(フィルム送り出し方向に対して反対方向)にずれた位置関係であっても、上記連動機構200を設けたことにより、上プレートUPの先端部分が下プレートDPに接触、衝突することを防止することができる。
すなわち、包装装置100の筐体寸法(機長)を大きくすることなく、包装可能寸法の大きい包装装置100を提供することができる。
【0060】
また、本発明の実施形態に係る連動機構200は、上述したように、上プレートUPに直接または他の部材を介して間接的に設けられた押圧部UR(ローラー)と、上プレートUPの押圧部URにより押圧される位置に配置された第1リンク201と、下プレートDPに接続された第2リンク202と、第1リンク201および第2リンク202との間に設けられた第3リンク203と、を有する。
このため、簡単な構造で、上記連動機構200を実現することができる。
【0061】
上記本発明の実施形態に係る包装装置100の効果の一例をまとめると、以下のように記すことができる。
1.包装装置100による包装可能寸法を拡大することができる。
2.包装装置の本体の機構部の寸法を変えずに、フィルムフィード量(最大)を拡大するために、フィルム待機位置をずらしつつ、被包装物W(商品)の包装突き上げ位置を同一にすることができる。
3.包装装置100は、一般的な包装装置の筐体部の寸法範囲内のままで、使用できるフィルム量を増した。
【0062】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこれらの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。
また、上述の各図で示した実施形態は、その目的及び構成等に特に矛盾や問題がない限り、互いの記載内容を組み合わせることが可能である。
また、各図の記載内容はそれぞれ独立した実施形態になり得るものであり、本発明の実施形態は各図を組み合わせた一つの実施形態に限定されるものではない。
【0063】
例えば、上記実施形態の包装装置100は、上プレートUPの動きに連動して、下プレートDPが退避可能な連動機構200を有していたが、このような連動機構200を有していなくともよい。詳細には、包装装置100は、上プレートUPの動きに連動せずに、下プレートDPを退避するような構造を有していてもよい。
具体的には、包装装置100は、上プレートUPの動きに連動せずに、例えば、下プレートを下方へ移動する駆動機構を設けてもよい。こうすることにより、下プレートDPと、上プレートUPとの干渉を簡単な構造で容易に回避することができる。また、包装装置100は、第1の位置で上プレートUPと下プレートDPの平行性を保ちつつ、下プレートDPを上プレートUPから離間するように移動可能な構成を有していてもよい。
また、上述した場合、上プレートUPの第1の位置から第2の位置への回動動作の前に、下プレートDPによる上プレートUPから離間する動作を行うように構成することが好ましい。
【0064】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の実施形態の一部または全部は、以下の付記のように記載される。
[付記1]
フィルムロールから引き出されたフィルムの先端を上プレート、下プレートで掛止保持し、該掛止保持されているフィルムを掴んで所定位置までにフィードし、該フィードしたフィルムにより被包装物を包装する包装装置において、
前記上プレートを回動させる回転軸を有し、
前記フィルムロールは、前記回転軸よりもフィルム送り出し方向の下流側に設けられ、
前記上プレートは、前記回転軸により回動し、且つ、該上プレートと前記下プレートによるフィルムを掛止保持する状態において、前記回転軸より
もフィルム送り出し方向の上流側に、その先端が位置し、
前記回転軸は、フィルム先端を掛止保持するために、前記上プレートを前記下プレートに対向させる第1の位置と、前記第1の位置から離間した第2の位置へと回動自在に構成され、且つ、該回転軸は、前記第1の位置において、前記上プレートの先端部よりもフィルム送り出し方向の下流側に位置し、
前記下プレートは、第1の位置にて、前記上プレートと協働して前記フィルム先端を保持可能であり、前記上プレートが第1の位置から離間する際に、前記下プレートを前記上プレートの回動範囲から退避させる機構を有
し、
前記下プレートを前記上プレートの回動範囲から退避させる、前記上プレートと前記下プレートの連動機構を有することを特徴とする包装装置。
[付記
2]
前記下プレートは、その先端が前記上プレートに対して第1の位置から離間する方向へ移動自在となるように構成され、且つ、該下プレートは、前記第1の位置において、前記回転軸よりもフィルム送り出し方向の
下流側に配置されていることを特徴とする付記
1に記載の包装装置。
[付記
3]
前記上プレートに直接または他の部材を介して間接的に設けられた押圧部(ローラ)と、
前記押圧部による押圧、および、付勢手段による付勢により、前記下プレートを前記上プレートの回動範囲から退避可能なリンク機構と、を有することを特徴とする付記1
または付記
2に記載の包装装置。
[付記
4]
前記連動機構は、
前記上プレートに直接または他の部材を介して間接的に設けられた押圧部(ローラー)と、
前記上プレートの前記押圧部(ローラー)により押圧される位置に配置された第1リンクと、前記下プレートに接続された第2リンクと、前記第1リンクおよび前記第2リンクとの間に設けられた第3リンクと、を有し、
前記第1リンクは、一方の端部が包装装置の筐体部に回転自在に軸支し、他方の端部が前記第3リンク
の第1リンク側端部に第1連結ピンを介して連結され、
前記第2リンクは、略中央部が包装装置の筐体部に軸受により回転自在に軸支され、該軸受よりもフィルム送り方向の上流側に前記下プレートが接続され、前記軸受よりもフィルム送り方向の下流側の端部が前記第3リンクの第2のリンク側端部に第2連結ピンを介して連結され、
前記第3リンクまたは前記第1リンクを、前記第2リンクに対して反対方向に付勢する付勢手段を有し、
前記上プレートの前記押圧部(ローラー)により前記第1リンクを、前記付勢手段による付勢方向に対して反対方向に押圧した場合、前記第1リンク、第3リンク、第2リンクを介して、前記下プレートが、前記上プレートと協働して前記フィルム先端を保持する第1の位置に位置し、
前記上プレートの前記押圧部(ローラー)により前記第1リンクを押圧していない場合、前記付勢手段の付勢力により、前記第1リンク、第3リンク、第2リンクを介して、前記下プレートの先端が前記上プレートに対して第1の位置から離間する方向へ移動するように構成されていることを特徴とする付記1
または付記
2に記載の包装装置。