(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第一の回転体または前記第三の回転体には、前記第一の弾性部と前記第二の弾性部と前記動吸振器とを収容した収容室が設けられた、請求項1または2に記載のダンパ。
前記第三の回転体は、前記回転軸の軸方向で前記動吸振器と並べられた第一の部分と、前記第一の部分と接続され、前記動吸振器の前記径方向の外側に位置した第二の部分と、を有した、請求項1ないし3のいずれか一項に記載のダンパ。
前記回転軸回りに回転可能に設けられ、前記第一の回転体と前記第二の回転体との間に介在し、前記第一の回転体と前記第二の回転体とが相対的に回転した場合、摩擦抵抗を発生させる第三の介在部材と、
前記回転軸回りに回転可能に設けられ、前記第二の回転体と前記第三の回転体との間に介在し、前記第二の回転体と前記第三の回転体とが相対的に回転した場合、摩擦抵抗を発生させる第四の介在部材と、
前記第一の回転体および第二の回転体のいずれかと、前記第三の介在部材と、を相互に押し付け、前記第二の回転体および前記第三の回転体のいずれかと、前記第四の介在部材と、を相互に押し付ける第三の弾性部と、
を備え、
前記第一の回転体または前記第三の回転体には、前記第一の弾性部と前記第二の弾性部とを収容した収容室が設けられ、
前記転動体は、前記収容室の外側に設けられ、
前記収容室には、開口部が設けられ、
前記第三の介在部材と前記第四の介在部材と前記第三の弾性部とは、前記開口部を閉じた閉部に含まれる、請求項1または2に記載のダンパ。
前記第一の回転体と前記第二の回転体との間に介在し、前記第二の回転体を前記径方向に支持する第五の介在部材を備えた、請求項1ないし6のいずれか一項に記載のダンパ。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、実施形態について詳細に説明する。なお、以下の複数の実施形態には、同様の構成要素が含まれている。よって、以下では、それら同様の構成要素には共通の符号を付与するとともに、重複する説明を省略する。
【0014】
[第1の実施形態]
図1に示すように、本実施形態のダンパ1(トルク変動吸収装置)は、一例として、車両の駆動系において、動力源と受動部(従動部)との間に設けられる。詳細には、ダンパ1は、動力源の出力軸2(結合対象物)と、受動部の入力軸3(結合対象物)との間に設けられて、出力軸2と入力軸3との間で動力を伝達する。ダンパ1は、例えば出力軸2と入力軸3との間の捩れによって生じるトルク変動や捩り振動を吸収(減衰、抑制)する。ダンパ1は、出力軸2および入力軸3とともに、動力伝達経路を構成する。動力源は、例えばエンジンやモータ等であり、受動部は、例えば変速機やトランスアクスル等である。なお、動力源としては、エンジンとモータとの両方を備えたハイブリット式のものであってもよい。
【0015】
ダンパ1の回転軸Ax(回転中心)は、ダンパ1に含まれる回転物(回転体4〜6や、弾性部7,8、動吸振器9、ヒステリシス部10)の回転軸である。また、回転軸Axは、出力軸2および入力軸3の回転軸と略一致している。なお、以下の説明では、特に言及しない限り、軸方向は回転軸Axの軸方向、径方向は回転軸Axの径方向、周方向は回転軸Axの周方向を示すものとする。また、以下の詳細な説明では、便宜上、軸方向のエンジン側(
図1での左側)を軸方向の一方側とし、軸方向の変速機側(
図1での右側)を軸方向の他方側とする。また、図中、軸方向の一方側を矢印Xで示し、径方向の外側を矢印Rで示す。また、以下では、駆動源の駆動力によってダンパ1が回転する場合の方向を正回転方向と称し、図中に正回転方向を矢印Fで示す。
【0016】
ダンパ1は、一例として、三つ(複数)の回転体4〜6(質量体、はずみ質量体、慣性体)と、弾性部7,8と、動吸振器9と、ヒステリシス部10と、を備える。
【0017】
回転体4〜6は、動力伝達経路において直列に連結されている。回転体4〜6は、回転軸Ax回りに回転可能である。回転体4は、出力軸2に結合され、出力軸2と一体に回転可能である。すなわち、回転体4には、外部から回転駆動力が入力される。回転体6は、入力軸3に結合され、入力軸3と一体に回転可能である。回転体5は、回転体4と回転体6との間に設けられ、弾性部7,8を介して回転体4,6と連結されている。本実施形態では、回転体4が第一の回転体に相当し、回転体5が第二の回転体に相当し、回転体6が第三の回転体に相当する。
【0018】
弾性部7と弾性部8とは、直列に連結されている。弾性部7は、回転体4と回転体5との間に介在している。弾性部7は、回転体4と回転体5との相対回転により弾性変形する。弾性部7は、弾性変形によって回転体4と回転体5との間のトルク変動を吸収する。一方、弾性部8は、回転体5と回転体6との間に介在している。弾性部8は、回転体5と回転体6との相対回転により弾性変形する。弾性部8は、弾性変形によって回転体5と回転体6との間のトルク変動を吸収する。本実施形態では、弾性部7が第一の弾性部に相当し、弾性部8が第二の弾性部に相当する。
【0019】
ヒステリシス部10は、回転体5を介して回転体4と回転体6との間に介在している。ヒステリシス部10は、摩擦によるヒステリシストルクによって、回転体4〜6の振動、すなわち出力軸2と入力軸3との間の振動を低減する。
【0020】
動吸振器9は、回転体5に設けられている。動吸振器9は、回転体4(出力軸2)と回転体6(入力軸3)との間に発生する捩り振動を抑制する。
【0021】
以下、ダンパ1の各部を
図2,3を参照して詳細に説明する。なお、
図2では、一部の部材が省略されている。
【0022】
回転体4は、軸方向に相互に間隔をあけて位置した一対の壁部4a,4bと、壁部4aと壁部4bとに亘って設けられた亘部4cと、を有する。壁部4a,4bは、回転軸Ax回りに環状に構成されている。壁部4a,4bは、径方向に沿って広がっている。壁部4bは、壁部4aの軸方向の他方側に位置している。壁部4bは、壁部4aの外周部を覆っている。亘部4cは、壁部4aの外縁部(径方向外側の端部)と壁部4bの外縁部とに亘って設けられて、回転軸Ax回りに環状に構成されている。壁部4a,4bおよび亘部4cは、例えば、金属材料によって構成される。また、本実施形態では、壁部4aがフライホイール(外部回転体)を介して出力軸2に結合されており、回転体4は出力軸2と一体に回転する。
【0023】
また、回転体4には、壁部4a,4bおよび亘部4cに囲まれた収容室4d(空間)が設けられている。すなわち、収容室4dは、壁部4aと壁部4bとの間に設けられている。この収容室4d内に、弾性部7,8が収容されている。また、壁部4aには、周方向で弾性部7,8と重なる支持部4a1(部分)が設けられている。支持部4a1は、軸方向の他方側の面が突状となるように構成されている。つまり、支持部4a1は、壁部4b(収容室4d内、軸方向の他方側)に向かって突出した形状を有している。また、壁部4bには、周方向で弾性部7,8と重なる支持部4b1(部分)が設けられている。支持部4b1は、軸方向の一方側の面が突状となるように構成されている。つまり、支持部4b1は、壁部4a(収容室4d内、軸方向の一方側)に向かって突出した形状を有している。支持部4a1と支持部4b1とは、軸方向に間隔をあけて、軸方向に重ねられている(対向している)。支持部4a1と支持部4b1とは、それぞれ周方向に間隔をあけて複数(一例として、二つ)設けられている。支持部4a1と支持部4b1とは、支持部4eを構成している。すなわち、本実施形態では、回転体4には、周方向に相互に間隔をあけて位置した複数(一例として、二つ)の支持部4eが設けられている。複数の支持部4eは、収容室4dを、周方向に並べられた複数(一例として、二つ)の収容領域4d1(部分、空間)に区画(分割)している。各収容領域4d1には、弾性部7,8が収容されている。
【0024】
また、回転体4は、一例として、複数の部品によって構成されている。本実施形態では、回転体4は、プレート21〜23(部材)を有する。プレート21は、支持部4a1を含む壁部4aの一部と、亘部4cの一部と、を含む。プレート22は、支持部4b1を含む壁部4bと、亘部4cの一部と、を含む。プレート23は壁部4aの一部を含む。プレート21,22は、それらの外端部が相互に重ねられて、それらの外端部が相互に溶接等によって結合されている。また、プレート23は、プレート21の軸方向の他方側でプレート21に重ねられた状態で、リベット等の結合具27によってプレート21に結合されている。プレート23は、プレート21よりも小径である。また、プレート21,23は、フライホイールにボルト等の結合具によって共締めされている。このように、本実施形態では、プレート21,23がフライホイールにボルト等の結合具によって共締めされているので、プレート21,23を共締めしない構成に比べて、部品点数を削減しやすい。また、回転体4には、ギヤ25が設けられている。ギヤ25は、プレート21における亘部4cに、例えば溶接等によって結合されている。ギヤ25は、エンジン用のスタータに連結される。
【0025】
回転体5は、回転軸Ax回りの環状に構成された壁部5aと、壁部5aから径方向外側に突出した突出部5b(支持部)と、を有する。壁部5aは、外縁部が収容室4d内に位置し、内縁部(径方向内側の端部)が収容室4d外に位置している。突出部5bは、周方向に間隔をあけて複数(一例として二つ)設けられている。突出部5bは、回転体4の収容領域4d1内に位置している。突出部5bは、回転体4の各収容領域4d1に一つずつ入れられている。本実施形態では、一例として、回転体5は、一つのプレートによって構成されている。また、壁部5aの内縁部には、動吸振器9が設けられている。回転体5は、ヒステリシス部10を介して回転体4,6に連結されている。
【0026】
回転体6は、筒部6aと、筒部6aから径方向外側に延出した壁部6bと、壁部6bから軸方向の一方側に延出した壁部6cと、壁部6cから径方向外側に延出した壁部6dと、を有する。筒部6aおよび壁部6b〜6dは、回転軸Ax回りに環状に構成されている。また、回転体6は、壁部6cの外縁部から径方向外側に突出した突出部6e(支持部)を有している。突出部6eは、周方向に間隔をあけて複数(一例として二つ)設けられている。突出部6eは、回転体4の収容室4d内に位置している。突出部6eは、軸方向で、支持部4a1と支持部4b1との間に位置している(
図3)。突出部6eは、支持部4a1と支持部4b1とに、軸方向に間隔をあけて重ねられている。また、本実施形態では、回転体6は、一つのプレートによって構成されている。
【0027】
また、筒部6aの内周面には、スプライン6a1が設けられている。このスプライン6a1に入力軸3が結合されており、回転体6は、入力軸3と一体に回転する。また、壁部6bには、孔6b1が設けられている。孔6b1は、軸方向に壁部6bを貫通している。孔6b1は、プレート21,23とフライホイールとを結合するボルト等の結合具の通過を許容する。また、この孔6b1の径方向内側に、スプライン6a1が位置している。
【0028】
また、回転体6と回転体4との間には、スラスト部材26が介在している。スラスト部材26は、壁部6dと壁部4aとの間に介在している。スラスト部材26は、弾性部7,8の径方向内側に位置している。スラスト部材26は、プレート21とプレート23とに亘った段差部に設けられている。スラスト部材26は、プレート23に結合されている。スラスト部材26は、回転体6に対して周方向に相対的に摺動可能(スライド可能)である。スラスト部材26と回転体6とが相対的に摺動(回転)することで、スラスト部材26と回転体6との間に摩擦抵抗が発生する。すなわち、スラスト部材26は、回転体4と回転体6とが相対的に回転した場合、摩擦抵抗を発生させる。なお、スラスト部材26は、回転体4に対して周方向に相対的に摺動(回転)してもよいし、回転体4と回転体6とに対して周方向に相対的に摺動(回転)してもよい。また、スラスト部材26は、径方向でも、回転体4と回転体6との間に介在しており、回転体4と回転体6との相対回転を許容する滑り軸受(ブッシュ)として機能する。回転体4は、スラスト部材26を介して、回転体6を、回転軸Ax回りに回転可能に支持している。スラスト部材26は、第一の介在部材に相当する。
【0029】
弾性部7は、回転体4と回転体5との間に介在した複数の弾性部材31を有する。複数の弾性部材31は、周方向で直列に連結されている。回転体4と回転体5との間で、トルク(回転)は、弾性部材31を介して伝達される。回転体5は、弾性部材31が伸縮可能な範囲(所定の角度範囲)内で、回転体4に対して相対的に回転することができる。本実施形態では、弾性部7は、二つ(複数)設けられている。
【0030】
弾性部材31は、本実施形態では、一例として、周方向の接線方向に沿って縮む(弾性的に変形する、伸縮する)圧縮ばねとして機能する。弾性部材31は、一例として、コイルスプリングである。詳細には、弾性部材31は、スプリングの巻回軸が直線状である所謂ストレート形状のコイルスプリングである。コイルスプリング(弾性部材31)の巻回軸は周方向の接線方向に略沿っている。本実施形態では、弾性部材31は、収容室4dに収容されており、各収容領域4d1に、複数(一例として三つ)の弾性部材31が入れられている。各収容領域4d1内の複数の弾性部材31は、支持部4eと、この支持部4eにおける正回転方向での前方に位置する突出部5bとの間に介在している。収容領域4d1内の複数の弾性部材31は、支持部材32(支持部、保持部、保持部材、シート、リテーナ)を介して周方向に直列に連結されている。また、収容領域4d1内で直列に連結された複数の弾性部材31は、一対の支持部材33に周方向で挟まれて、支持部材33に支持されている。すなわち、支持部4eおよび突出部5bは、支持部材33を介して弾性部材31を支持する。支持部材32,33は、一例としては、弾性部材31をより安定的に支持したり、弾性部材31をより安定的に弾性変形させたり(伸縮させたり)、弾性部材31と回転体4,5,6との直接的な接触を抑制したり、といった機能を有することができる。支持部材32,33は、収容室4d内を周方向に沿って移動可能に、回転体4に支持されている。支持部材32,33は、一例として、合成樹脂材料によって構成されている。
【0031】
以上のとおり、弾性部材31および支持部材32,33は、支持部4eと突出部5bとに挟まれている。そして、弾性部材31は、回転体4側の入力トルクと回転体5側の負荷トルクとの差に応じて伸縮する。すなわち、本実施形態では、一例として、回転体4と回転体5との間にトルク変動(トルク差の変動)が生じた場合に、弾性部材31が弾性的に縮むことで、トルク変動に応じた回転エネルギが弾性エネルギに変換されて弾性部材31に一時的に蓄えられる。弾性部材31に一時的に蓄えられた弾性エネルギは、弾性部材31が弾性的に伸びることで、回転エネルギ(トルク)に変換される。
【0032】
弾性部8は、回転体5と回転体6との間に介在した複数の弾性部材41を有する。複数の弾性部材41は、周方向で直列に連結されている。回転体5と回転体6との間で、トルク(回転)は、弾性部材41を介して伝達される。回転体6は、弾性部材41が伸縮可能な範囲(所定の角度範囲)内で、回転体4に対して相対的に回転することができる。本実施形態では、弾性部8は、二つ(複数)設けられている。本実施形態では、弾性部7と弾性部8とは、周方向に沿って一列に配置されている。また、弾性部7と弾性部8とは、周方向で交互に位置している。
【0033】
弾性部材41は、本実施形態では、一例として、周方向の接線方向に沿って縮む(弾性的に変形する、伸縮する)圧縮ばねとして機能する。弾性部材41は、一例として、コイルスプリングである。詳細には、弾性部材41は、弾性部材31と同様に、ストレート形状のコイルスプリングである。コイルスプリング(弾性部材41)の巻回軸は周方向の接線方向に略沿っている。本実施形態では、弾性部材41は、収容室4dに収容されており、各収容領域4d1に、複数(一例として二つ)の弾性部材41が入れられている。各収容領域4d1内の複数の弾性部材41は、突出部5bと、この突出部5bにおける正回転方向での前方に位置する突出部6eとの間に介在している。収容領域4d1内の複数の弾性部材41は、支持部材42(支持部、保持部、保持部材、シート、リテーナ)を介して周方向に直列に連結されている。また、収容領域4d1内で直列に連結された複数の弾性部材41は、一対の支持部材43に周方向で挟まれて、支持部材43に支持されている。すなわち、突出部5bおよび突出部6eは、支持部材43を介して弾性部材41を支持する。支持部材42,43は、一例としては、弾性部材41をより安定的に支持したり、弾性部材41をより安定的に弾性変形させたり(伸縮させたり)、弾性部材41と回転体4,5,6との直接的な接触を抑制したり、といった機能を有することができる。支持部材42,43は、収容室4d内を周方向に沿って移動可能に、回転体4に支持されている。支持部材42,43は、一例として、合成樹脂材料によって構成されている。また、本実施形態では、一例として、弾性部材41および支持部材42,43の構成は、それぞれ弾性部材31および支持部材32,33と同じである。なお、弾性部材31,41は、ストレート形状のコイルスプリングを周方向に沿って湾曲させて組み付けたものや、コイルの巻回軸が周方向に沿って湾曲したアークスプリング、外形が扁平状の扁平コイルスプリング等であってもよい。また、弾性部7,8は、弾性部材31,41を一つだけ有した構成であってもよい。
【0034】
以上のとおり、弾性部材41および支持部材42,43は、突出部5bと突出部6eとに挟まれている。そして、弾性部材41は、回転体5側の入力トルクと回転体6側の負荷トルクとの差に応じて伸縮する。すなわち、本実施形態では、一例として、回転体5と回転体6との間にトルク変動(トルク差の変動)が生じた場合に、弾性部材41が弾性的に縮むことで、トルク変動に応じた回転エネルギが弾性エネルギに変換されて弾性部材41に一時的に蓄えられる。弾性部材41に一時的に蓄えられた弾性エネルギは、弾性部材41が弾性的に伸びることで、回転エネルギ(トルク)に変換される。
【0035】
ヒステリシス部10は、回転体5の壁部5aを挟んだ一対のスラスト部材51,52と、スラスト部材52を付勢する弾性部材53と、を有している。
【0036】
スラスト部材51,52は、回転軸Ax回りの環状に構成されている。スラスト部材51,52は、径方向で弾性部材31,41(弾性部7,8)の内側に位置している。スラスト部材51は、回転体4と回転体5との間に介在している。スラスト部材51は、回転体4の壁部4bに結合されて、回転体4と一体に回転する。すなわち、スラスト部材51は、回転軸Ax回りに回転可能に設けられている。一方、スラスト部材52は、回転体6の壁部6dに結合されて、回転体6と一体に回転する。すなわち、スラスト部材52は、回転軸Ax回りに回転可能に設けられている。また、スラスト部材52は、軸方向に移動可能に壁部6dに結合されている。弾性部材53は、一例として、皿ばねである。弾性部材53は、回転体6の壁部6dとスラスト部材52との間に介在している。弾性部材53は、壁部6dに支持されて、回転体6と一体に回転する。すなわち、弾性部材53は、回転軸Ax回りに回転可能に設けられている。弾性部材53は、弾性力によってスラスト部材52を壁部5a(スラスト部材51、壁部4b)に向けて付勢する。これにより、弾性部材53は、回転体4(壁部4b)および回転体5(壁部5a)と、スラスト部材51と、を相互に押し付け、回転体5(壁部5a)とスラスト部材52とを相互に押し付ける。この弾性部材53の弾性力によって、一対のスラスト部材51,52が、回転体5に圧接している。このとき、一対のスラスト部材51,52は、回転体5に対して周方向に相対的に摺動可能である。本実施形態では、回転体4と回転体5とが相対的に回転した場合、スラスト部材51が回転体5との間に摩擦抵抗を発生させ、回転体5と回転体6とが相対的に回転した場合、スラスト部材52が回転体5との間に摩擦抵抗を発生させる。ヒステリシス部10は、一対のスラスト部材51,52と回転体5との間に発生する摩擦抵抗によるヒステリシストルクによって、回転体4〜6の振動を低減する。また、弾性部材53は、スラスト部材26のヒステリシス機能(摩擦抵抗発生)のための皿ばねとしても機能している。スラスト部材51は、第三の介在部材に相当し、スラスト部材52は、第四の介在部材に相当し、弾性部材53は、第三の弾性部に相当する。
【0037】
動吸振器9は、遠心振り子式のものである。動吸振器9は、複数の転動体61(ローラ、質量体、錘)と、転動体61を支持した支持部62と、を有する。動吸振器9は、回転する際の複数の転動体61の慣性によって、捩り振動を抑制する。
【0038】
転動体61は、弾性部7と弾性部8との径方向の内側に位置し、回転体5に対して転動可能に設けられている。転動体61は、収容室4dの外側に設けられている。転動体61は、回転軸Axと平行な回転軸Axr(回転中心、転動中心)回りに回転可能である。
【0039】
図4に示すように、転動体61は、軸方向の一対の端面61a,61bと、端面61aと端面61bとに亘って設けられた亘面61c(周面)と、を有している。端面61aは、軸方向の一方側に向いた面であり、端面61bは、軸方向の他方側に向いた面である。亘面61cは、回転軸Axr回りの環状に構成されている。亘面61cには、回転軸Axrに向かって凹んだ凹部61d(溝部)が設けられている。凹部61dは、回転軸Axr回りの環状に構成されている。また、亘面61cは、凹部61dの軸方向の一方側に位置した面61eと、凹部61dの軸方向の他方側に位置した面61fと、を有する。面61e,61fは、転動体61の最外周面を構成している。また、凹部61dには、凹部61dの底面を構成して軸方向に延在する面61gと、面61gから径方向外側に延出した一対の面61hと、が設けられている。転動体61は、一例として、複数の部材の組み合わせによって構成されうる。また、一例として、面61hは、合成樹脂材料によって構成されうる。これにより、転動体61と支持体の後述するガイド部5cとの摺動抵抗が低減される。本実施形態では、面61hは、端面61a,61bよりも摩擦係数が低い。
【0040】
支持部62は、回転体5に設けられたガイド部5cと、回転体6に設けられた規制部材63と、を有している。このガイド部5cと規制部材63との間に複数の転動体61が設けられている。転動体61は、周方向に沿って略一定の間隔(回転軸Ax回りの角度間隔)で位置している。
【0041】
ガイド部5cは、回転体5に一体形成されている。ガイド部5cは、壁部5aの内縁部に設けられている。ガイド部5cは、回転軸Ax回りの環状に構成されている。ガイド部5cの内縁部は、転動体61の凹部61dに入れられている。ガイド部5c(壁部5a)の軸方向の幅は、凹部61dの軸方向の幅よりも小さい。すなわち、一対の面61hの少なくとも一方とガイド部5cとの間に、軸方向の隙間がある。これにより、転動体61とガイド部5c(壁部5a)との間の摩擦を低減することができる。また、ガイド部5cは、当該ガイド部5cに面61hが当接した状態の転動体61を、軸方向に支持する。また、ガイド部5cは、面61gと当接するガイド面5c2を有している。ガイド面5c2は、
図2に示すように、径方向外側に凹んだ(引っ込んだ)凹部5c3(凹面、凹曲面)と、径方向内側に突出した(出っ張った)凸部5c4(凸面、凸曲面)と、を有している。凹部5c3および凸部5c4は、略一定の間隔(回転軸Ax回りの角度間隔)で周方向に互い違いに配置されている。また、凹部5c3および凸部5c4は、いずれも、回転軸Axの軸方向に沿った曲面として構成されている。また、凹部5c3と凸部5c4とは滑らかに連続している。凹部5c3および凸部5c4は、転動体61の面61gと接触する面である。
【0042】
ここで、動吸振器9は、回転軸Ax回りに回転する。よって、転動体61は、遠心力を受けて、ガイド部5cに押し付けられる。詳細には、面61gがガイド面5c2に押し付けられる。転動体61は、回転変動(加速あるいは減速、角加速度の変化)に伴って、凹部5c3または凸部5c4上を、すなわち凹部5c3または凸部5c4に接触した状態で、転動することができる。
【0043】
また、規制部材63は、回転体6と転動体61との間に介在する。規制部材61は、回転体6に結合されている。規制部材63は、回転軸Ax回りの環状に構成されている。規制部材63は、
図4に示すように、壁部63aと壁部63bとを有している。壁部63a,63bは、回転軸Ax回りの環状に構成されている。壁部63aは、壁部6cの径方向外側の面に重ねられている。壁部63aは、転動体61の面61eと径方向で対向している。すなわち、壁部63aは、径方向で壁部6cと転動体61との間に位置している。壁部63bは、壁部6dの軸方向の他方側の面に重ねられて、転動体61の端面61aと対向している。すなわち、壁部63bは、軸方向で壁部6dと転動体61との間に位置している。壁部63bと端面61aとの間には、隙間が設けられている。
【0044】
壁部63aは、遠心力を受けていない状態であって当該壁部63aに面61eが当接した状態の転動体61を、径方向に支持する。これにより、壁部63aは、転動体61がガイド部5cから脱落するのを規制する。すなわち、回転体6は、規制部材63を介して、転動体61を支持する。転動体61は、遠心力によってガイド部5cに押し付けられている場合には、規制部材63から離間している。規制部材63は、一例として、回転体5と別部材で設けられて、回転体5に結合されている。規制部材63は、例えば合成樹脂材料によって構成される。規制部材63が合成樹脂材料によって構成されることにより、転動体61の面61eが壁部63aに当たった場合に発生する音を小さくすることができる。規制部材63は、第二の介在部材に相当する。
【0045】
また、本実施形態では、
図2に示した収容室4d内に、グリース(図示せず)が入れられている。収容室4d内に収容された部材(弾性部材31,41、支持部材32,33,42,43等)は、少なくともそれらの外縁部がグリースに浸かっている。これにより、収容室4d内に収容された部材(弾性部材31,41、支持部材32,33,42,43等)と収容室4dを規定する壁部4a,4bおよび亘部4cとが直接接触するのが抑制されるので、収容室4d内に収容された部材(弾性部材31,41、支持部材32,33,42,43等)や壁部4a,4bおよび亘部4cの摩耗が抑制される。また、グリースは、粘性によって収容室4d内に留まることが可能である。これにより、収容室4d外へのグリースの漏出が抑制される。また、本実施形態では、収容室4dにおける内周側の開口部4d2(壁部4aと壁部4bとの間)が、スラスト部材26,51,52、弾性部材53、および壁部5a,6dによって閉じられている(シールされている)。すなわち、スラスト部材26,51,52、弾性部材53、および壁部5a,6dは、開口部4d2を閉じた閉部65(シール部)を構成している。これにより、例えば、大きな衝撃力がダンパ1に加わった場合でも、収容室4d外へのグリースの漏出が抑制される。よって、転動体61にグリースが付着することが抑制される。
【0046】
以上説明したように、本実施形態では、動吸振器9の転動体61が回転軸Axの径方向で弾性部7と弾性部8との内側に位置している。したがって、一例として、本実施形態によれば、転動体61が軸方向で弾性部7や弾性部8と並べられた構成に比べて、ダンパ1の軸方向の小型化がしやすい。
【0047】
また、本実施形態では、弾性部7と弾性部8との少なくとも一方(一例として、両方)は、回転軸Axの周方向で直列に連結された複数の弾性部材31,41を有した。したがって、一例として、本実施形態によれば、弾性部材として、スプリングの巻回軸が直線状である所謂ストレート形状のコイルスプリングを用いやすい。なお、弾性部7と弾性部8との一方が、弾性部材31または弾性部材41を一つだけ有する構成であってもよい。
【0048】
また、本実施形態では、回転体4は、スラスト部材26を介して、回転体6を支持し、回転体6は、規制部材63を介して、転動体61を支持する。したがって、一例として、本実施形態によれば、回転体4が、回転体6を支持する支持部材として機能するとともに、回転体6が、転動体61を支持する支持部材として機能するので、回転体6や転動体61の支持構造を比較的簡素な構成にしやすい。
【0049】
また、本実施形態では、スラスト部材51とスラスト部材52と弾性部材53とは、収容室4dの開口部4d2を閉じた閉部65に含まれる。したがって、本実施形態によれば、摩擦抵抗を発生させるための部材(スラスト部材51、スラスト部材52、弾性部材53)が、収容室4dの開口部4d2を閉じる部材としても機能するので、ダンパ1を比較的簡素な構成で実現することができる。
【0050】
なお、本実施形態では、収容室4dが回転体4(第一の回転体)に設けられた例を説明したが、これに限るものではなく、収容室4dは、回転体6(第三の回転体)に設けられてもよい。この場合、回転体4の構成と回転体6の構成を相互に置き換えればよい。別の観点から説明すると、回転体6を出力軸2に結合し、回転体4を入力軸3に結合させる構成とすればよい。この場合、回転体6が第一の回転体に相当し、回転体4が第三の回転体に相当する。
【0051】
また、本実施形態では、ヒステリシス部10において、弾性部材53が、スラスト部材52と回転体6との間に設けられた例を説明したが、これに限るものではない。弾性部材53は、スラスト部材51と回転体4との間や、スラスト部材51と回転体5との間、スラスト部材52と回転体5との間に設けられてもよい。すなわち、弾性部材53は、回転体4および回転体5のいずれかと、スラスト部材51と、を相互に押し付け、回転体5および回転体6のいずれかと、スラスト部材52と、を相互に押し付けるように設けられていればよい。また、スラスト部材51は、回転体4と回転体5とのいずれかと相対回転して、回転体4と回転体5とのいずれかとの間で摩擦抵抗を発生させるように設けられてよい。また、スラスト部材52は、回転体5と回転体6とのいずれかと相対回転して、回転体5と回転体6とのいずれかとの間で摩擦抵抗を発生させるように設けられてよい。
【0052】
[第2の実施形態]
本実施形態のダンパ1Aは、
図5に示すように、収容室4dに、弾性部7と弾性部8(
図5では図示せず)とともに、動吸振器9が収容されている点が第1の実施形態に対して主に異なる。
【0053】
また、本実施形態では、回転体6は、筒部6aと、壁部6bと、突出部6e(第二の部分)と、を有する。本実施形態の壁部6bは、筒部6aから径方向外側に延出して、収容室4d内に入っている。壁部6bは、回転軸Ax回りに環状に構成されている。この壁部6bの外縁部に突出部6eが接続されている。壁部6bは、軸方向で動吸振器9と並べられた部分6b2(第一の部分)を含む。また、突出部6eは、動吸振器9の径方向の外側に位置している。壁部6bの部分6b2と壁部4aとの間に転動体61が位置している。転動体61と、壁部6bおよび壁部4aとの間には隙間が設けられている。
【0054】
また、本実施形態では、回転体5は、壁部5a、突出部5b、およびガイド部5cの他に、壁部5dを有する。壁部5dは、壁部5aの径方向内側に位置して、壁部5aと離間している。壁部5dは、第1の実施形態の規制部材63に対応するものである。壁部5dは、連結部材(図示せず)によって、壁部5aに結合されている。この壁部5dと壁部5a間に、複数の転動体61が転動可能に設けられている。壁部5dは、回転軸Ax回りの環状に構成されている。壁部5dは、凹部61dに入れられている。壁部5dは、遠心力を受けていない状態であって当該壁部5dに面61gが当接した状態の転動体61を、径方向に支持し、転動体61が壁部5aから脱落するのを規制する。また、転動体61は、遠心力によって壁部5aに押し付けられている場合には、壁部5dから離間している。また、凹部61dの軸方向の幅よりも、軸方向の壁部5a,5dの幅の方が小さい。すなわち、一対の面61hの少なくとも一方と、壁部5aおよび壁部5dとの間に、軸方向の隙間がある。これにより、転動体61と回転体5との間の摩擦を低減することができる。また、壁部5a,5dは、当該壁部5a,5dに面61hが当接した状態の転動体61を、軸方向に支持する。これにより、転動体61の軸方向の位置決めがされる。本実施形態では、壁部5aと壁部5dとが、支持部62を構成している。
【0055】
また、本実施形態では、回転体5は、介在部材71(支持部、位置決め部)を介して回転体4に回転可能に支持されている。回転体5は、介在部材71を介して回転体4によって径方向に支持されている。これにより、回転体5の径方向の位置決めがされている(センタリングされている)。介在部材71は、回転軸Ax回りの環状の部材である。介在部材71は、例えば合成樹脂材料によって構成されうる。また、回転体4は、介在部材71が嵌められた(重ねられた)嵌部4hを有する。嵌部4hは、回転軸Ax回りの環状に構成されている。
【0056】
また、本実施形態では、回転体5の内周縁部は、軸方向で、介在部材71と、回転体4に設けられた壁部4g(支持部)との間に位置している。回転体5は、介在部材71または壁部4gに当接することで、介在部材71または壁部4gに軸方向に支持される。壁部4gは、壁部4aから軸方向他方側に突出している。本実形態では、介在部材71および壁部4gは、転動体61の径方向内側に位置している。このように、本実施形態では、転動体61の径方向内側のスペースが介在部材71および壁部4gの配置スペースとして用いられるので、ダンパ1の径方向の小型化がしやすい。
【0057】
また、本実施形態では、ヒステリシス部10は、回転体5を介さずに、回転体4と回転体6との間に設けられている。本実施形態では、スラスト部材51は、壁部4a(プレート23)と壁部6bとの間に設けられている。スラスト部材51は、嵌部4hの径方向内側に位置している。また、スラスト部材52は、壁部4bと壁部6bとの間に設けられている。また、弾性部材53は、壁部4bとスラスト部材52との間に介在し、スラスト部材52を壁部6b(スラスト部材51)に向けて付勢している。
【0058】
また、本実施形態では、収容室4dの開口部4d2は、壁部4g、介在部材71、プレート23およびスラスト部材51によって閉じられている(シールされている)。すなわち、壁部4g、介在部材71、プレート23およびスラスト部材51は、開口部4d2を閉じた閉部65を構成している。このように、本実施形態では、回転体5の軸方向の位置決めをする介在部材71およびプレート23が、シール部を兼ねるので、部品点数を削減しやすい。
【0059】
また、本実施形態では、収容室4dに入れられたグリースは、転動体61の径方向の移動範囲で最も径方向外側に位置した状態の転動体61の径方向外側に設けられている。つまり、転動体61は、グリースに浸かっていない。これにより、転動体61が良好に転動しやすい。
【0060】
以上説明したとおり、本実施形態では、回転体4には、弾性部7と弾性部8と動吸振器9とを収容した収容室4dが設けられた。したがって、本実施形態によれば、弾性部7と弾性部8と動吸振器9とがそれぞれ別の収容室に収容された構成に比べて、弾性部7と弾性部8と動吸振器9とを集約して配置しやすいので、弾性部7と弾性部8と動吸振器9との配置スペースを小さくしやすい。
【0061】
また、本実施形態では、回転体4には、外部から回転駆動力が入力され、回転体6は、軸方向で動吸振器9と並べられた部分6b2と、この部分6b2と接続され、動吸振器9の径方向の外側に位置した突出部6eと、を有する。したがって、一例として、本実施形態によれば、動吸振器9の径方向外側のスペースが突出部6eの配置に用いられるので、ダンパ1の小型化がしやすい。
【0062】
[第3の実施形態]
本実施形態のダンパ1Bは、
図6に示すように、プレート23(
図3参照)に替えて筒部材81(部材)を備えている点等が第1の実施形態に対して異なる。
【0063】
筒部材81は、有段の筒状に構成されている。筒部材81は、回転軸Ax回りの環状に構成されている。筒部材81は、プレート21の軸方向の他方側でプレート21に重ねられた状態で、リベット等の結合具27によってプレート21に結合されている。筒部材81には、凹状の係部81a(切り欠き)が設けられている。
【0064】
また、本実施形態では、スラスト部材26には、突状の係部26a(爪部)が設けられている。係部26aは、筒部材81の係部81aと、周方向に引っ掛かっている。よって、スラスト部材26は、筒部材81(回転体4)と一体に回転する。
【0065】
また、本実施形態では、回転体5の壁部5aには、スラスト部材51の径方向の内側の端部と径方向に重ねられ、スラスト部材51の径方向の内側の端部と当接した部分5fが設けられている。スラスト部材51は、回転体4と回転体5との間に介在し、壁部5aの部分5fと当接した状態で、回転体5を径方向に支持する。これにより、スラスト部材51によって、回転体5の径方向への移動を規制することができる。本実施形態では、スラスト部材51は、第三の介在部材および第五の介在部材に相当する。
【0066】
[第4の実施形態]
本実施形態のダンパ1Cは、
図7に示すように、回転体5の突出部5bの径方向の外側の端部に、二つの延出部5gが設けられている点が、第1の実施形態に対して異なる。二つの延出部5gは、突出部5bの径方向の外側の端部から、周方向に沿って、相互に反対方向に延出している。延出部5gは、回転体4の亘部4cと支持部材33,43との間に位置している。支持部材33,43は、壁部5aと突出部5bと延出部5gとによって支持される。
【0067】
[第5の実施形態]
本実施形態のダンパ1Dは、
図8に示すように、回転体5の突出部5bの径方向の外側の端部に、二つの延出部5gが設けられている点が、第1の実施形態に対して異なる。二つの延出部5gは、第4の実施形態と同様に、突出部5bの径方向の外側の端部から、周方向に沿って、相互に反対方向に延出している。また、本実施形態では、支持部材33,43(
図2参照)が設けられていない。すなわち、突出部5bに弾性部材31,41が当接している。延出部5gは、回転体4の亘部4cと弾性部材31,41との間に位置している。
【0068】
[第6の実施形態]
本実施形態のダンパ1E(ロックアップダンパ)は、
図9に示すように、トルクコンバータ100に設けられている。
【0069】
トルクコンバータ100は、回転軸Ax回りに回転可能な筐体101を備えている。筐体101の内部には、ポンプインペラ102と、タービンランナ103と、ステータ104と、ダンパ1Eと、が収容されている。また、筐体101の内部には、作動流体(油)が入れられている。すなわち、本実施形態では、ダンパ1Eが作動流体に浸されている。ポンプインペラ102は、筐体101に結合され、筐体101と一体に回転する。タービンランナ103は、タービンハブ105を介して、軸106に結合され、軸106と一体に回転する。軸106のトルク(回転)は、変速機に伝達される。また、ポンプインペラ102とタービンランナ103との間に、ステータ104が介在している。
【0070】
トルクコンバータ100では、動力源からのトルクが筐体101に伝達され、筐体101とポンプインペラ102とが一体に回転する。ポンプインペラ102のトルクは、作動流体を介して、タービンランナ103に伝達され、タービンランナ103が回転する。タービンランナ103が回転することで、タービンハブ105および軸106がタービンランナ103と一体に回転する。
【0071】
ダンパ1Eは、上記各実施形態のダンパ1,1A,1B,1C,1Dと同様に、回転体4〜6、弾性部7,8(
図9では、弾性部8は図示されず)、および動吸振器9等を備えている。
【0072】
回転体4(ロックアップピストン)は、筐体101の軸方向の一方側の壁部101aと対向している。回転体4の壁部101a側の面には、摩擦部材107が設けられている。
回転体4(ロックアップピストン)は、摩擦部材107が壁部101aから離れた位置と、摩擦部材107が壁部101aと接触した位置との間で、軸方向に移動可能に設けられている。また、回転体6は、タービンランナ103およびタービンハブ105と結合されて、タービンランナ103およびタービンハブ105と一体に回転する。
【0073】
トルクコンバータ100では、動力源から筐体101にトルクが伝達されていない場合、摩擦部材107が壁部101aから離間している。動力源から筐体101にトルクが伝達されることで、ポンプインペラ102が回転し始め、ポンプインペラ102の回転速度が速くなると、タービンランナ103が回転し始める。このとき、ポンプインペラ102からタービンランナ103へのトルクの伝達が作動流体を介して行われるので、トルクの伝達損失が発生する。このため、摩擦部材107が壁部101aから離間した状態では、タービンランナ103の回転速度は、ポンプインペラ102の回転速度よりも遅い。
【0074】
トルクコンバータ100では、タービンランナ103の回転速度が規定の回転速度を超えた場合、回転体4と壁部101aとの間の作動流体が排出され、回転体4の壁部101a側の作動流体の圧力と、回転体4の壁部101aとは反対側(タービンランナ103側)の作動流体の圧力と、の間に差圧が生じる。この差圧によって、回転体4が壁部101aに向かって移動し、摩擦部材107が壁部101aに押し付けられ、筐体101のトルクが回転体4に伝達される。これにより、回転体4が筐体101と一体に回転し、筐体101のトルクが、ダンパ1Eを介してタービンランナ103に直接伝達される。よって、駆動源のトルクが高効率でタービンランナ103に伝達されることになる。摩擦部材107が壁部101aに押し付けられる際に、筐体101とタービンランナ103との速度差によって生じるトルク変動(衝撃トルク)は、ダンパ1Eの弾性部7,8によって吸収される。
【0075】
以上、本発明の実施形態を例示したが、上記実施形態はあくまで一例であって、発明の範囲を限定することは意図していない。上記実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、組み合わせ、変更を行うことができる。また、各構成や、形状、表示要素等のスペック(構造、種類、方向、形状、大きさ、長さ、幅、厚さ、高さ、数、配置、位置、材質等)は、適宜に変更して実施することができる。例えば、第三の回転体が、クラッチディスクと係合するフライホイールであってもよい。これにより、マニュアル変速機にクラッチを連結することができる。