特許第6265002号(P6265002)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6265002-ボイラシステム 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6265002
(24)【登録日】2018年1月5日
(45)【発行日】2018年1月24日
(54)【発明の名称】ボイラシステム
(51)【国際特許分類】
   F22D 11/00 20060101AFI20180115BHJP
【FI】
   F22D11/00 H
   F22D11/00 L
【請求項の数】3
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2014-69630(P2014-69630)
(22)【出願日】2014年3月28日
(65)【公開番号】特開2015-190719(P2015-190719A)
(43)【公開日】2015年11月2日
【審査請求日】2016年12月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000175272
【氏名又は名称】三浦工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100145713
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 竜太
(72)【発明者】
【氏名】畑中 宏之
(72)【発明者】
【氏名】大久保 智浩
(72)【発明者】
【氏名】上永 和弘
(72)【発明者】
【氏名】長井 孝治
(72)【発明者】
【氏名】明日 純也
(72)【発明者】
【氏名】後藤 雅志
【審査官】 宮崎 賢司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−009887(JP,A)
【文献】 特開2013−205006(JP,A)
【文献】 実開昭60−189702(JP,U)
【文献】 特開2003−014207(JP,A)
【文献】 特公昭62−056401(JP,B1)
【文献】 特開昭59−229182(JP,A)
【文献】 特開昭56−120991(JP,A)
【文献】 特開2015−190742(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F22D 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蒸気を生成して負荷機器に供給するボイラと、
前記負荷機器が蒸気を使用することによって凝縮して生じたドレンを大気に開放することなく回収するドレンタンクと、
前記負荷機器と前記ドレンタンクとを接続するドレン回収ラインと、
前記ドレン回収ラインに配置され該ドレン回収ラインの流路を開閉させるドレン回収弁と、
前記ドレンタンクと前記ボイラとを接続し前記ドレンタンクに収容されたドレンを前記ボイラに供給するドレン供給ラインと、
大気開放され、前記ボイラに供給する補給水を貯留するオープンタンクと、
前記ドレン回収ラインにおけるドレン回収弁の上流側と前記オープンタンクとを接続するドレン逃がしラインと、
前記ドレン逃がしラインに配置され該ドレン逃がしラインの流路を開閉させるドレン逃がし弁と、
前記ドレン逃がしラインにおける前記ドレン逃がし弁の下流側に配置され、前記ドレン逃がし弁を閉止した状態の前記ドレン回収ラインの圧力と前記ドレン逃がし弁を開放した状態の前記ドレン回収ラインの圧力との差が所定の圧力差以下となるようにドレンの流量を流通させる流量調整部と、を備えるボイラシステム。
【請求項2】
前記流量調整部は、流量調整弁により構成される請求項1に記載のボイラシステム。
【請求項3】
前記流量調整部は、オリフィスにより構成される請求項1に記載のボイラシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボイラシステムに関する。より詳細には、負荷機器から排出されるドレンを、大気に開放することなく回収してボイラに給水するクローズドタイプのボイラシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ボイラによって生成された蒸気を負荷機器に供給し、負荷機器において熱源として使用された蒸気が凝縮して発生するドレンを、耐圧性を有する密閉型のドレンタンクに高温・高圧の状態で回収して、再度ボイラに給水するクローズドタイプのボイラシステムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013−205006号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようなボイラシステムでは、ドレンタンクに貯留されたドレンの量が増加した場合に、負荷機器で発生したドレンをドレンタンクに回収せず大気開放されたオープンタンク側に逃すドレン逃がしラインが設けられる。このドレン逃がしラインの流路は、ドレンをドレンタンクに回収する場合には閉止されており、ドレンタンクの水位が所定の閾値を超えた場合に開放される。
【0005】
しかしながら、ドレン逃がしラインからドレンを逃がす場合には、閉止され冷えた状態の流路にドレン及びこのドレンから生じたフラッシュ蒸気が一気に供給されるため、ドレン逃がしラインに振動や異音が発生してしまう。
【0006】
従って、本発明は、ドレンの流通に伴って発生する振動や異音を低減できるボイラシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、蒸気を生成して負荷機器に供給するボイラと、前記負荷機器が蒸気を使用することによって凝縮して生じたドレンを大気に開放することなく回収するドレンタンクと、前記負荷機器と前記ドレンタンクとを接続するドレン回収ラインと、前記ドレン回収ラインに配置され該ドレン回収ラインの流路を開閉させるドレン回収弁と、前記ドレンタンクと前記ボイラとを接続し前記ドレンタンクに収容されたドレンを前記ボイラに供給するドレン供給ラインと、大気開放され、前記ボイラに供給する補給水を貯留するオープンタンクと、前記ドレン回収ラインにおけるドレン回収弁の上流側と前記オープンタンクとを接続するドレン逃がしラインと、前記ドレン逃がしラインに配置され該ドレン逃がしラインの流路を開閉させるドレン逃がし弁と、前記ドレン逃がしラインにおけるドレン逃がし弁の下流側に配置され所定の流量の流体を流通させる流量調整部と、を備えるボイラシステムに関する。
【0008】
また、前記流量調整部は、流量調整弁により構成されることが好ましい。
【0009】
また、前記流量調整部は、オリフィスにより構成されることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明のボイラシステムによれば、ドレンの流通に伴って発生する振動や異音を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態に係るボイラシステムの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明のボイラシステムの好ましい一実施形態について、図面を参照しながら説明する。
本実施形態のボイラシステム1は、図1に示すように、ボイラ装置10と、ドレンタンク20と、オープンタンク30と、制御装置100と、を備える。また、ボイラシステム1は、これらの機器を接続し、蒸気又は水が流通する複数のラインを備える。具体的には、ボイラシステム1は、ラインとして、第1蒸気供給ラインL1と、ドレン回収ラインL2と、ドレン供給ラインL3と、第2蒸気供給ラインL4と、フラッシュ蒸気ラインL5と、補給水ラインL6と、ドレン返送ラインL7と、ドレン逃がしラインL8と、を備える。
【0013】
ボイラ装置10は、図1に示すように、貫流ボイラ11と、この貫流ボイラ11で生成された蒸気が集合される蒸気ヘッダ12と、貫流ボイラ11と蒸気ヘッダ12とを連結する連結管13と、を備える。
【0014】
貫流ボイラ11は、内部に供給された給水を燃焼ガスにより加熱して蒸気を生成する。本実施形態では、貫流ボイラ11(複数の水管)には、後述のドレンタンク20に回収されたドレンが給水として供給される。
【0015】
図1に示すように、貫流ボイラ11で生成された蒸気は、連結管13を通って蒸気ヘッダ12に供給される。蒸気ヘッダ12は、貫流ボイラ11で生成された蒸気を貯留し、負荷機器40に供給する。
負荷機器40は、貫流ボイラ11で生成された蒸気を熱源として利用し、加熱対象物との間で熱交換を行う。
【0016】
ドレンタンク20は、耐圧性を有する圧力容器により構成される。このドレンタンク20は、貫流ボイラ11により生成された蒸気が負荷機器40で利用されることで凝縮して生じたドレンを高温高圧の状態で回収する。ドレンタンク20には、ドレンタンク20に回収されたドレンの水位を検出する水位センサ25が配置される。
【0017】
オープンタンク30は、大気に開放されている。このオープンタンク30は、貫流ボイラ11に供給される補給水を貯留する。また、オープンタンク30には、ドレンタンク20においてドレンから発生したフラッシュ蒸気、及び後述するドレン逃がしラインL8を流通するドレンが導入される。
【0018】
第1蒸気供給ラインL1は、蒸気ヘッダ12と負荷機器40とを接続し、貫流ボイラ11で生成された蒸気を負荷機器40に供給する。
ドレン回収ラインL2は、負荷機器40とドレンタンク20とを接続し、負荷機器40で発生したドレンをドレンタンク20に供給する。このドレン回収ラインL2には、スチームトラップ21、逆止弁22、ドレン回収弁23、及び圧力センサ24が配置される。スチームトラップ21は、ドレン回収ラインL2における負荷機器40の下流側に配置され、負荷機器40において発生したドレンを排出し、かつ、蒸気の排出を防ぐ。逆止弁22は、スチームトラップ21の下流側に配置され、ドレン回収ラインL2においてドレンが負荷機器40側に逆流することを防ぐ。ドレン回収弁23は、ドレン回収ラインL2におけるドレンタンク20との接続部分の近傍に配置される。ドレン回収弁23は、エア駆動バルブにより構成される。ドレン回収弁23は、制御装置100からの制御信号に基いて動作し、ドレン回収ラインL2の流路を開閉させる。圧力センサ24は、ドレン回収ラインL2における逆止弁22とドレン回収弁23との間に配置され、ドレン回収ラインL2の内部のドレンの圧力を測定する。
【0019】
ドレン供給ラインL3は、ドレンタンク20と貫流ボイラ11とを接続し、ドレンタンク20に回収されたドレンを貫流ボイラ11に供給する。ドレン供給ラインL3には、ドレンポンプ31及びドレン供給弁32が配置される。
ドレンポンプ31は、ドレンタンク20から供給されたドレンを昇圧して貫流ボイラ11側に送り出す。ドレン供給弁32は、モータバルブにより構成される。ドレン供給弁32は、制御装置100により開度が調整され、これにより、貫流ボイラ11に供給されるドレンの量が制御される。
【0020】
第2蒸気供給ラインL4は、蒸気ヘッダ12とドレンタンク20とを接続する。この第2蒸気供給ラインL4は、貫流ボイラ11で生成された蒸気をドレンタンク20に供給し、ドレンタンク20の内部の圧力を調節する。第2蒸気供給ラインL4には、圧力調整弁41及びエア駆動バルブ42が配置される。
【0021】
フラッシュ蒸気ラインL5は、ドレンタンク20とオープンタンク30とを接続し、ドレンタンク20で発生したフラッシュ蒸気をオープンタンク30に排出する。このフラッシュ蒸気ラインL5には、圧力調整弁51が配置されている。圧力調整弁51は、ドレンタンク20の内部の圧力が所定の圧力を超えた場合に、フラッシュ蒸気をオープンタンク30側に逃がして、ドレンタンク20の内部の圧力を低下させる。
【0022】
補給水ラインL6は、オープンタンク30とドレンタンク20とを接続し、オープンタンク30に貯留された水をドレンタンク20に供給する。補給水ラインL6には、補給水ポンプ61が配置されている。
【0023】
ドレン返送ラインL7は、ドレン供給ラインL3とドレンタンク20とを接続する。より具体的には、ドレン返送ラインL7の上流側(基端側)の端部は、ドレン供給ラインL3におけるドレンポンプ31とドレン供給弁32との間に接続される。ドレン返送ラインL7の下流側の端部は、ドレンタンク20の上部に接続されるラインと、ドレンタンク20の下部に接続されるラインとに分岐している。ドレンタンク20の上部に接続されるラインには、モータバルブ71が配置され、ドレンタンク20の下部に接続されるラインには、オリフィス72が配置される。
【0024】
ドレン返送ラインL7は、ドレン供給ラインL3を流通するドレンの一部又は全部を、ドレンタンク20に戻す。より詳細には、ドレンタンク20の下部に接続されるラインからは、ドレンタンク20の液相部にドレンが循環され、ドレンタンク20の上部に接続されるラインからは、ドレンタンク20の気相部にドレンが循環される。このドレン返送ラインL7では、液相部に循環されるドレンの流量を、オリフィス72により調整してドレンタンク20に貯留されるドレンの温度を均一化させつつ、気相部に循環させるドレンにより、ドレンタンク20の内部で発生するフラッシュ蒸気を回収している。
【0025】
ドレン逃がしラインL8は、ドレン回収ラインL2とオープンタンク30とを接続する。このドレン逃しラインL8は、ドレンタンク20に回収されるドレンが過剰になる場合に、ドレン回収ラインL2を流通するドレンをオープンタンク30に逃がす。ドレン逃がしラインL8には、ドレン逃がし弁81及び流量調整部としてのオリフィス82が配置される。ドレン逃がし弁81は、エア駆動バルブにより構成される。このドレン逃がし弁81は、制御装置100からの制御信号に基いて動作し、ドレン逃がしラインL8の流路を開閉させる。
【0026】
オリフィス82は、ドレン逃がしラインL8におけるドレン逃がし弁81の下流側に配置される。オリフィス82は、所定の流量の流体(ドレン及び/又はフラッシュ蒸気)を流通させる。本実施形態では、オリフィス82の径は、ドレン回収ラインL2を流通するドレンがドレンタンク20に回収されている状態(ドレン回収弁23が開状態、ドレン逃がし弁81が閉状態)におけるドレン回収ラインL2の圧力P1と、ドレン回収ラインL2を流通するドレンがドレン逃がしラインL8側に流通している状態(ドレン回収弁23が閉状態、ドレン逃がし弁81が開状態)におけるドレン回収ラインL2の圧力P2との差が所定の圧力差(例えば、0.01MPa)以下となる流量で流体を流通させるよう設定される。
【0027】
制御装置100は、制御部としてのCPU及び記憶部としてのメモリを含んで構成され、各種弁の開閉や各種ポンプの動作を制御することで、ボイラシステム1を制御する。本実施形態では、制御装置100は、水位センサ25によって検出されるドレンタンク20の水位に基いて、ドレン回収弁23及びドレン逃がし弁81の開閉を制御する。具体的には、制御装置100は、水位センサ25により検出される水位が所定の閾値以下の場合には、ドレン回収弁23を開放すると共にドレン逃がし弁81を閉止し、ドレン回収ラインL2を流通するドレンをドレンタンク20に回収する。
【0028】
一方、水位センサ25により検出される水位が所定の閾値を超えた場合、制御装置100は、まず、ドレン逃がし弁81を開放し、所定時間(例えば、10秒)経過後、ドレン回収弁23を閉止する。これにより、ドレン回収ラインL2を流通するドレンは、ドレン逃がしラインL8を通ってオープンタンク30に逃がされる。
【0029】
ここで、本実施形態では、ドレン逃がしラインL8におけるドレン逃がし弁81の下流側にオリフィス82を配置している。これにより、ドレン逃がし弁81を開放してドレンをオープンタンク30側に逃がす場合に、オープンタンク30側に流れるドレンの流量を制限できる。よって、ドレン逃がしラインL8を流れるドレンの流量を制限できるので、このドレン逃がしラインL8を流通するドレン及び/又はフラッシュ蒸気により生じる振動や異音を低減できる。
【0030】
また、ドレン逃がし弁81を閉止した状態の圧力P1とドレン逃がし弁81を開放した状態の圧力P2との差が所定の圧力差以下となるようにオリフィス82の径を設定しているので、ドレン逃がし弁81を開放した場合にドレン回収ラインL2の圧力が急激に減少することを防げる。よって、ドレン回収ラインL2を流通するドレンから過剰なフラッシュ蒸気が発生することを防げる。また、ドレン逃がし弁81を開放した後、ドレン回収弁23を閉止するまでの間は、ドレン逃がし弁81及びドレン回収弁23が共に開放された状態となるが、この間にドレンタンク20からドレン逃がしラインL8側に流出するドレン(圧力降下による自己蒸発で蒸気として流出するドレン)の量を低減できる。
【0031】
以上、本発明のボイラシステム1の好ましい一実施形態について説明したが、本発明は、上述した実施形態に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。
例えば、本実施形態では、ボイラシステム1を、一台の貫流ボイラ11により構成したが、これに限らない。即ち、ボイラシステムを、複数台の貫流ボイラを含んで構成してもよい。
【0032】
また、本実施形態では、バルブとしてエア駆動バルブやモータバルブを用いたが、これに限らず、バルブの種類は適宜変更してもよい。
【0033】
また、本実施形態では、流量調整部をオリフィス82により構成したが、これに限らない。即ち、流量調整部を、所定の開度に調整可能な手動の流量調整弁、又は制御装置からの制御信号に基いて開度を調整可能な流量調整弁により構成してもよい。
【符号の説明】
【0034】
1 ボイラシステム
11 貫流ボイラ(ボイラ)
20 ドレンタンク
30 オープンタンク
40 負荷機器
23 ドレン回収弁
81 ドレン逃がし弁
82 オリフィス(流量調整部)
L2 ドレン回収ライン
L3 ドレン供給ライン
L8 ドレン逃がしライン
図1