(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記受電機器が前記送電装置からの送電を受けている間に、前記受電状態が前記受電状態送信手段から前記受電状態受信手段に無線により転送されることを特徴とする請求項2に記載のワイヤレス給電システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、電池の寿命を数年とした場合には、例えば、通信頻度が数十秒に1回程度となるなど、電池の寿命を考慮するとデータの更新周期を短くしたい場合に対処できない。また、本来、無線フィールド機器は、例えば、鉄塔の上方や洋上のプラットフォームなど、人が頻繁に立ち入ることや接近することが困難な箇所へ設置する場合にこそ、有線機器に対して優位性があり、電池交換が必要となると無線フィールド機器を用いるメリットが損なわれる。このため、電池交換が不要であり、天候等に影響されることなく安定的で充分な送電を可能とするシステムが望まれる。
【0005】
本発明の目的は、受電機器の電池交換が不要であり、安定的に送電が可能なワイヤレス給電システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のワイヤレス給電システムは、送電装置から受電機器に向けて無線による送電を行うワイヤレス給電システムにおいて、前記送電装置は、前記送電装置からの送電の方向を制御する方向制御手段と、前記受電機器における受電状態を、前記方向制御手段により制御される送電の方向と対応付けた情報として記憶する記憶手段と、を備え、前記送電装置からの送電の方向は、前記記憶手段に記憶された前記情報に基づいて制御されることを特徴とする。
このワイヤレス給電システムによれば、受電機器における受電状態を、送電の方向と対応付けた情報に基づいて送電の方向を制御するので、受電機器の電池交換が不要であり、かつ安定的な送電が可能となる。
【0007】
前記受電機器は、当該受電機器の前記受電状態を前記送電装置に向けて無線送信する受電状態送信手段を備え、前記送電装置は、前記受電状態送信手段により無線送信された前記受電状態を受信する受電状態受信手段を備えてもよい。
【0008】
前記受電機器が前記送電装置からの送電を受けている間に、前記受電状態が前記受電状態送信手段から前記受電状態受信手段に無線により転送されてもよい。
【0009】
前記送電装置は複数のアンテナを備え、前記方向制御手段は、前記複数のアンテナから放射される電波の位相を制御することにより送電の方向を制御してもよい。
【0010】
前記送電装置は耐圧防爆構造のケースに収容され、前記ケースに、前記複数のアンテナから放射される電波を透過する領域を設けてもよい。
【0011】
前記ケースは円柱形状とされ、前記ケースにおける円柱形状の平面を前記領域として使用してもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明のワイヤレス給電システムによれば、受電機器における受電状態を、送電の方向と対応付けた情報に基づいて送電の方向を制御するので、受電機器の電池交換が不要であり、かつ安定的な送電が可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明によるワイヤレス給電システムの実施形態について説明する。
【0015】
図1は、本実施形態のワイヤレス給電システムの構成を示す平面図である。
【0016】
図1に示すように、本実施形態のワイヤレス給電システムは、プラントや設備の一領域に配置される無線フィールド機器1A,1B,1Cと、無線フィールド機器1A,1B,1Cにそれぞれ接続される受電アンテナ2,2,2と、受電アンテナ2,2,2に向けて無線による送電を行う送電装置3と、送電装置3に接続される無線システム機器10と、を備える。
【0017】
無線フィールド機器1A,1B,1Cおよび無線システム機器10は、それぞれデータ通信用アンテナ11を備え、データ通信用アンテナ11を介して互いに無線によるデータ通信を行うことができる。なお、
図1では、3台の無線フィールド機器が図示されているが、その台数は任意である。また、送電装置を複数使用することもできる。
【0018】
図2は、送電装置3の構成を示すブロック図である。
【0019】
図2に示すように、送電装置3は送電のためのマイクロ波を発生させるマイクロ波発生装置31と、マイクロ波発生装置31に電力を供給する電源32と、マイクロ波発生装置31により発生したマイクロ波を出力する送電アンテナ4,4,・・・と、送電アンテナ4,4,・・・に与えられるマイクロ波の位相をそれぞれ変化させる移相器34,34,・・・と、無線システム機器10に接続されるとともに、マイクロ波発生装置31および移相器34,34,・・・を制御する制御部35と、後述する受電情報を記憶する記憶部36と、を具備する。
【0020】
本実施形態では、送電のためのマイクロ波の周波数を、無線フィールド機器1A,1B,1Cおよび無線システム機器10間におけるデータ通信とは異なる周波数としている。これにより、送電とデータ通信とを同時に実行することが可能である。例えば、データ通信の周波数を2.45GHz、送電のためのマイクロ波の周波数を5.77GHzとすることができる。
【0021】
図3は、送電装置3の実装例を示す図であり、
図3(a)は正面図、
図3(b)は側面図である。
【0022】
図3(a)および
図3(b)に示すように、送電装置3は、平板状の基板42(
図3(b))上に形成されたパッチアンテナ41,41,・・・と、基板42を収容するアルミダイカスト製の円筒状部材43と、円筒状部材43に嵌め込まれる耐圧ガラス44と、円筒状部材43に取り付けられた脚部45と、を備える。円筒状部材43および耐圧ガラス44などにより耐圧防爆構造のケースが構成され、少なくとも内部にパッチアンテナ41,41,・・・と、基板42とが収容される。パッチアンテナ41,41,・・・からのマイクロ波は耐圧ガラス44を透過して放射される。
【0023】
隣接するパッチアンテナ41間の間隔は、放射されるマイクロ波の波長をλとすると、0.5λ〜1.0λとされる。
図3(a)では、16個のパッチアンテナ41,41,・・・を設ける例を示しているが、その数は任意に選択できる。
【0024】
なお、円筒状部材43および耐圧ガラス44により形成される耐圧防爆構造のケースの内部に、送電装置3(
図2)の全体またはその一部を適宜収容することができる。
【0025】
耐圧防爆構造を得るために、円筒状部材43は例えば7mm程度の厚みの板材により、耐圧ガラス44は例えば10mm程度の厚みのガラス板により、それぞれ形成することができる。
【0026】
送電アンテナ4,4,・・・(
図2)は、パッチアンテナ41,41,・・・によるフェーズドアレイとして構成され、パッチアンテナ41,41,・・・のそれぞれは、送電アンテナ4,4,・・・に振り分けられる。送電アンテナ4,4,・・・により放射されるマイクロ波の位相を移相器34,34,34によって変化させることによりマイクロ波の放射方向を細かく制御することができる。例えば、すべての送電アンテナ4,4,・・・から放射されるマイクロ波の位相が揃っていれば基板42の面の法線方向にマイクロ波が放射され、位相をずらすことにより、上記法線方向から角度をもった方向にマイクロ波の放射方向を変化させることができる。マイクロ波の放射方向は左右、上下の両方向で変化させることができる。
図1では、マイクロ波の放射方向を無線フィールド機器1Aの方向へ振った状態での放射範囲を実線により、マイクロ波の放射方向を無線フィールド機器1Cの方向へ振った状態での放射範囲を点線により、それぞれ例示している。
【0027】
送電アンテナ4,4,・・・の指向性は、送電出力、受電アンテナ2の利得、受電アンテナ2が受けたマイクロ波の電力を充電の電力に変換する際の効率、送電アンテナ4,4,・・・から無線フィールド機器1A,1B,1Cまでの距離等に応じて適宜選択されるが、例えば、25〜30dBi程度とすることができる。
【0028】
また、例えば、日本国内の電波防護基準5mW/cm
2(6分間平均値)に準拠させることなどを目的として、間欠送電を行うようにしてもよい。
【0029】
なお、位相の制御によりマイクロ波の放射方向を変化させる技術は公知であるため、その詳細説明は省略する。
【0030】
本実施形態では、パッチアンテナ41,41,・・・によるフェーズドアレイを構成し、位相を制御することによりマイクロ波の放射方向を変化させているので、機械的な回転機構等が不要となり、本質的に防爆構造を得られやすくなる。また、回転機構を備える場合と比較して装置のコンパクト化を図ることができるため、装置を耐圧ケースに収容して耐圧防爆構造を得る際のコストを軽減することができる。また、回転機構を備える装置を耐圧防爆構造のケースに収容する場合には、ケースの材質として、広い放射方向についてマイクロ波を透過する材質を用いる必要があり、ケースの作成が困難になるという問題もある。この点に関し、送電装置3では、パッチアンテナ41,41,・・・と、耐圧ガラス44とを互いに接近させて配置しているため、耐圧ガラス44の面積を抑制でき、他の大部分を強度や密閉性が容易に確保できる金属などにより形成できる。
【0031】
図4は、無線フィールド機器1Aに具備される充電回路を示す回路図である。無線フィールド機器1Bおよび無線フィールド機器1Cにも同様の回路が実装される。
【0032】
図4に示すように、無線フィールド機器1Aには、送電アンテナ4,4,・・・から放射され受電アンテナ2により受信されたマイクロ波を整流して蓄電するためのローパスフィルタ12、ダイオード13、λ/4線路14およびコンデンサ15からなり、蓄電池16を充電する充電回路が設けられている。充電された蓄電池16が機器内部の各回路の電源として機能する。
【0033】
また、無線フィールド機器1Aには、例えば蓄電池16の出力電圧に基づいて蓄電池の現時点での充電量を検出するための充電量検出回路17が設けられ、充電量検出回路17により検出された充電量などの充電状態が通信回路18およびデータ通信用アンテナ11を介して送信される。後述するように、この充電状態は送電装置3における送電の制御に使用される。
【0034】
図5は、受電アンテナ2の実装例を示す図であり、
図5(a)は正面図、
図5(b)は側面図である。
【0035】
図5(a)および
図5(b)に示すように、受電アンテナ2は平板状の基板(不図示)上に形成されたパッチアンテナ21,21,・・・によるアレイと、パッチアンテナ21,21,・・・を収容するアルミダイカスト製のケース22と、パッチアンテナ21,21,・・・の形成面に沿うようにケース22の前面に嵌め込まれる耐圧ガラス23と、パッチアンテナ21,21,・・・により得られる電力を引き出すリード線24と、を具備する。リード線24を介して引き出された電力は、無線フィールド機器1A,1B,1Cのローパスフィルタ12に与えられる(
図4)。
【0036】
ケース22は例えば7mm程度の厚みの板材により、耐圧ガラス23は例えば10mm程度の厚みのガラス板により、それぞれ形成することができる。なお、受電アンテナ2は大きな電力を取り扱うものではないため、本質安全防爆構造とすることができる。
【0037】
受電効率を高めるため、受電アンテナ2は、パッチアンテナ21,21,・・・の形成面が送電装置3に極力正対するように設置される。
【0038】
次に、送電装置3の動作について説明する。
【0039】
図6は送電装置3の動作例を示すフローチャートである。
図6に示す動作は送電装置3の制御部35(
図2)の制御に基づいて実行される。
【0040】
図6のステップS1〜ステップS8は、受電状態を算出して送電装置3の記憶部36(
図2)に格納するための一連の処理を示している。この処理は、無線フィールド機器1A,1B,1Cの設置時や設備の変更時などに、あるいは定期的に、後述する受電情報を更新する際に行われる。
【0041】
図6のステップS1では、送電アンテナ4,4,・・・からのマイクロ波の放射方向を設定する。
【0042】
次に、ステップS2では、ステップS1で設定された方向にマイクロ波が放射されるように移相器34,34,・・・を制御するとともに、マイクロ波発生装置31からマイクロ波を発生させることにより、ステップS1で設定された方向に向けて送電を実行する。
【0043】
次に、ステップS3では、無線フィールド機器1A,1B,1Cから送信されてくる充電状態を無線システム機器10を介して受信する。上記のように、この充電状態は無線フィールド機器1A,1B,1Cに実装された蓄電池16の充電量などを示すデータである。
【0044】
次に、ステップS4では、ステップS1で設定された方向に向けて送電を開始してから一定時間が経過したか否か判断し、判断が肯定されればステップSへ進み、判断が否定されればステップS2へ戻って送電を継続する。
【0045】
ステップS5では、マイクロ波発生装置31の動作を停止させて送電を停止する。
【0046】
次に、ステップS6では、ステップS3において受信された充電状態に基づいて、各無線フィールド機器1A,1B,1Cごとに、上記一定時間の送電による充電量の増加量、すなわち受電量を算出する。
【0047】
次に、ステップS7では、ステップS6において算出された受電量を、各無線フィールド機器1A,1B,1Cごとに送電方向、すなわちステップS1で設定された方向と対応付けた受電情報として記憶部36に格納する。
【0048】
次に、ステップS8では、予定されているすべての送電方向について、ステップS2〜ステップS7の処理が終了したか否か判断し、判断が肯定されれば処理を終了し、判断が否定されればステップS1へ戻る。後者の場合には、ステップS1において送電方向を変化させてステップS2〜ステップS7の処理が繰り返される。
【0049】
このように、ステップS1〜ステップS8の処理では、送電装置3からの送電の方向を変えながら一定時間送電を行い、無線フィールド機器1A,1B,1Cにおける充電量の変化量を算出している。この処理において、例えば、上下方向、左右方向のすべてについて送電方向を変化させながら充電量の変化量を算出、記憶することにより、記憶部36には、各無線フィールド機器1A,1B,1Cにおける単位時間当たりの受電量と送電方向とを対応付けた情報が、受電情報として記憶されることになる。これによって、例えば、各無線フィールド機器1A,1B,1Cについて単位時間当たりの受電量が最大となる送電方向を把握することも可能となる。
【0050】
なお、送電方向を一定方向として充電量の変化を計測する時間(ステップS4による判断の基準となる一定時間)は、フィールド機器に使用する充電池16の特性に応じて設定される。
【0051】
次に、
図6のステップS11〜ステップS14は、記憶部36に格納された受電情報を用いて無線フィールド機器1A,1B,1Cに対して送電を行うための一連の処理を示している。この処理は、ステップS1〜ステップS8による受電情報の格納後、常時、実行することができる。
【0052】
図6のステップS11では、無線フィールド機器1A,1B,1Cから送信されてくる充電状態を無線システム機器10を介して受信する。上記のように、この充電状態は無線フィールド機器1A,1B,1Cに実装された蓄電池16の充電量などを示すデータである。
【0053】
次に、ステップS12では、記憶部36から受電情報を取得する。
【0054】
次に、ステップS13では、ステップS11において受信した各無線フィールド機器1A,1B,1Cの充電状態およびステップS12において取得された受電情報に基づいて、送電方向および送電時間を設定する。
【0055】
次に、ステップS14では、ステップS13で設定された方向にマイクロ波が放射されるように移相器34,34,・・・を制御するとともに、マイクロ波発生装置31からマイクロ波を発生させ、ステップS13で設定された方向に向けてステップS13で設定された時間だけ送電を実行し、ステップS11へ戻る。
【0056】
このように、ステップS11〜ステップS14の処理では、現時点における各無線フィールド機器の充電状態と記憶部36に格納された受電情報とに基づいて送電方向および送電時間を設定したうえで、送電を実行している。このため、各無線フィールド機器の充電状態に応じて適切な送電を行うことができ、充電切れを起こすことのない安定した送電を行うことができる。この処理におけるアルゴリズムは任意に選択できるが、例えば、電池残量がなくなりそうな無線フィールド機器が存在する場合、その機器における単位時間当たりの受電量が最大となる送電方向に向けて送電を行うことにより、充電切れを確実に回避することができる。
【0057】
また、ステップS11〜ステップS14の処理を行いながら、各無線フィールド機器の受電情報を受信して、単位時間当たりの受電量を算出、記憶する処理を実行することにより、受電情報を随時更新することもできる。このように、ステップS11〜ステップS14の処理と並行して受電情報を更新することにより、状況の変化に対応したより正確な受電情報を迅速に得ることが可能となる。
【0058】
上記実施形態では、一定時間の充電量の変化に基づいて単位時間当たりの受電量を算出しているが、受電量の算出方法は任意である。例えば、送電を受けている際の各無線フィールド機器におけるマイクロ波の受信強度を測定し、単位時間当たりの受電量に換算してもよい。
【0059】
上記実施形態では、送電装置等を防爆構造としているが、本発明は防爆構造を採らない機器についても適用できる。
【0060】
本発明の適用範囲は上記実施形態に限定されることはない。本発明は、送電装置から受電機器に向けて無線による送電を行うワイヤレス給電システムに対し、広く適用することができる。