特許第6265035号(P6265035)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6265035
(24)【登録日】2018年1月5日
(45)【発行日】2018年1月24日
(54)【発明の名称】通気弁装置
(51)【国際特許分類】
   F16K 24/06 20060101AFI20180115BHJP
   E03C 1/295 20060101ALI20180115BHJP
   E03C 1/12 20060101ALI20180115BHJP
   F16K 24/00 20060101ALI20180115BHJP
【FI】
   F16K24/06 C
   E03C1/295
   E03C1/12 Z
   F16K24/00 G
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-93825(P2014-93825)
(22)【出願日】2014年4月30日
(65)【公開番号】特開2015-209960(P2015-209960A)
(43)【公開日】2015年11月24日
【審査請求日】2017年1月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000128968
【氏名又は名称】株式会社オンダ製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】林 延彦
(72)【発明者】
【氏名】亀谷 徹
【審査官】 正木 裕也
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−103549(JP,A)
【文献】 実開昭50−149925(JP,U)
【文献】 実開昭52−8749(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 21/04−24/06
E03C 1/12− 1/33
F16K 15/00−15/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部と連通する弁口を有する漏斗状の弁座を設けた通気弁本体と、該通気弁本体から延出され、排水管から分岐された通気管に接続される連結筒部と、前記弁座に着座させる弁体と、前記弁座上に被せて弁室を形成する蓋体とを備えた通気弁装置であって、
前記弁体は、一端部を弁座と蓋体との間に挟着するとともに、他端部に切欠き部を設けてその切欠き部に臨む開閉部を形成し、弁室内に負圧が生じたとき開閉部が開口して外気を流入させるように構成したことを特徴とする通気弁装置。
【請求項2】
前記弁体は、一体的に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の通気弁装置。
【請求項3】
前記弁体の切欠き部は、3箇所又は4箇所に設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の通気弁装置。
【請求項4】
前記弁体の切欠き部は、周方向に等間隔で設けられていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の通気弁装置。
【請求項5】
前記弁体の開閉部を他の部分より薄い薄肉部としたことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の通気弁装置。
【請求項6】
前記弁体の切欠き部間の中間部に薄肉部を形成するとともに、前記弁座の弁口を弁体の薄肉部に対向するように形成し、弁室内に正圧が生じたとき弁体の薄肉部が外方へ膨出すると同時に開閉部が開口して弁室内のガスを外部へ排気するように構成したことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の通気弁装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば建築物の排水管内を排水が急激に流れ、排水管内が負圧状態に到ったとき、その負圧により弁座に支持された弁体が開弁動作して排水管内に外気(空気)を吸い込んで負圧状態を解消するための通気弁装置に関する。
【背景技術】
【0002】
建築物に設けられた排水管には、化粧室、台所、風呂等の排水設備が接続されている。これらの排水設備には、臭気が排水管内を上昇するのを防止するために、それぞれ排水トラップが設けられている。しかし、排水管内を排水が満液状態で急激に流れる等すると、その上流側で排水管内が負圧となり、排水トラップの封水が吸引されて流れ出し、臭気が排水管内から部屋に流れ込むおそれがある。このため、排水管に連通する通気管を排水管から分岐することにより設け、その通気管の開口部に通気弁が設けられ、排水管内の負圧状態を解消するようになっている。
【0003】
この種の通気弁として例えば排水用通気弁が特許文献1に開示されている。すなわち、この排水用通気弁は、通気管に接続される接続管と、その接続管の上部を漏斗状に傾斜した環壁と、環壁の上部に被せられて内部に弁室を形成する弁箱とを備えている。前記環壁には外部と連通する弁口を設け、該弁口の弁室側に弁座を設けるとともに、弁座の上部に支点を有し、スイング開閉自在な弁体が弁座に着座するように構成されている。
【0004】
そして、常には弁体が弁座に密着し、排水管内が負圧状態に到ったとき、弁体が弁座から離間して外気を吸入し、通気管内の負圧を解消して、排水トラップが良好に機能するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−103549号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記特許文献1に記載されている従来構成の排水用通気弁においては、弁体が弁座の上部に支点を有し、その下部がスイングして開口するように構成されている。すなわち、弁室内が負圧に到ったとき、弁体はその下端縁全体が一様に持ち上げられて開口するようになっている。このため、弁体の肉厚が厚い場合や、弁体が弾力性に乏しいような場合には、弁体の開弁動作が遅れたり、弁体の開弁が円滑に行われなかったりして、弁体の機能が十分に発揮されない場合があるという問題があった。
【0007】
そこで本発明の目的とするところは、弁体の開弁動作を速やかにし、弁体の機能を良好に発揮することができる通気弁装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、請求項1に係る発明の通気弁装置は、外部と連通する弁口を有する漏斗状の弁座を設けた通気弁本体と、該通気弁本体から延出され、排水管から分岐された通気管に接続される連結筒部と、前記弁座に着座させる弁体と、前記弁座上に被せて弁室を形成する蓋体とを備えた通気弁装置であって、前記弁体は、一端部を弁座と蓋体との間に挟着するとともに、他端部に切欠き部を設けてその切欠き部に臨む開閉部を形成し、弁室内に負圧が生じたとき開閉部が開口して外気を流入させるように構成したことを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明の通気弁装置は、請求項1に係る発明において、前記弁体は、一体的に形成されていることを特徴とする。
請求項3に記載の発明の通気弁装置は、請求項1又は請求項2に係る発明において、前記弁体の切欠き部は、3箇所又は4箇所に設けられていることを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載の発明の通気弁装置は、請求項1から請求項3のいずれか一項に係る発明において、前記弁体の切欠き部は、周方向に等間隔で設けられていることを特徴とする。
【0011】
請求項5に記載の発明の通気弁装置は、請求項1から請求項4のいずれか1項に係る発明において、前記弁体の開閉部を他の部分より薄い薄肉部としたことを特徴とする。
請求項6に記載の発明の通気弁装置は、請求項1から請求項4のいずれか一項に係る発明において、前記弁体の切欠き部間の中間部に薄肉部を形成するとともに、前記弁座の弁口を弁体の薄肉部に対向するように形成し、弁室内に正圧が生じたとき弁体の薄肉部が外方へ膨出すると同時に開閉部が開口して弁室内のガスを外部へ排気するように構成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の通気弁装置によれば、弁体の開弁動作を速やかにし、弁体の機能を良好に発揮することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】第1実施形態の通気弁装置において、通気管に接続される通気弁装置を示す分解斜視図。
図2】通気弁装置を示す断面図。
図3】(a)は通気弁装置の弁体を示す平面図、(b)は弁体を示す側面図。
図4】通気弁装置の蓋体を示す斜視図。
図5】通気弁本体を示す平面図。
図6】蓋体を取り除いた状態の通気弁装置を示す斜視図。
図7】通気弁装置の作用を示す斜視図。
図8】第2実施形態の通気弁装置において、通気弁本体を示す平面図。
図9】通気弁装置の弁体を示す平面図。
図10】蓋体を取り除いた状態の通気弁装置を示す斜視図。
図11】通気弁装置の作用を示す斜視図。
図12】本発明の別例の通気弁装置を示す断面図。
図13】本発明のさらなる別例の通気弁装置を示し、(a)は弁座を示す断面図、(b)は弁体を示す断面図。
図14】弁体を弁座に組付ける途中の状態を示す断面図。示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態を図1図7に従って詳細に説明する。
図1及び図2に示すように、通気弁装置10を構成する通気弁本体11は合成樹脂により形成され、該通気弁本体11には上方ほど拡径する逆円錐台状をなす筒状の弁座12が設けられている。この弁座12の上端部にはフランジ部13が設けられ、該フランジ部13の外面には係合凸部14が複数箇所(第1実施形態では3箇所)に形成されている。
【0015】
前記弁座12の下部には円筒状の連結筒部15が延出されるとともに、その内側には連結筒部15より短い小径筒部16が一体的に形成されている。そして、連結筒部15の内側に排水管から分岐された通気管17が嵌入され、その通気管17の先端部が連結筒部15と小径筒部16との間の環状凹部18に挿入されるように構成されている。そして、通気管17の外周面と連結筒部15の内周面との間に塗布される接着剤が通気弁本体11内へ入り込まないようになっている。
【0016】
なお、図2の二点鎖線に示すように、通気管17が連結筒部15の外側に嵌挿される場合には、連結筒部15の外周面が上部ほど拡径するテーパ状に形成されていることから、通気管17はその内径が連結筒部15の外径にほぼ一致する深さまで挿入されるようになっている。この場合、連結筒部15の内側に小径筒部16を設け、環状凹部18を形成したことにより、通気管17内面を伝う虫が弁座12内に入り込むことを抑制することができる。
【0017】
図2及び図5に示すように、前記弁座12の内周面下部には、複数の縦長の仕切突条19が設けられている。この仕切突条19は、前記弁座12外周面に設けられた係合凸部14の位置に対応するように突設されている。また、弁座12には縦長四角形状をなす多数の弁口20が周方向に一定間隔をおいて外部と連通するように開口されている。なお、弁口20は、内面側が広く、外面側が狭くなるテーパ状に形成されている。
【0018】
図1及び図2に示すように、前記弁座12上には、合成ゴム等の弾性材料で一体的に形成された弁体21が着座している。すなわち、前記弁座12の弁口20間は支持リブ22となり、その支持リブ22上に弁体21が着座している。弁体21は上方ほど拡径するように逆円錐台状をなす筒状に形成され、その上端部にはフランジ23が設けられるとともに、フランジ23の外周縁には折り返し部24が設けられている。この弁体21のフランジ23及び折り返し部24が前記弁座12のフランジ部13に係合するように構成されている。弁体21を形成する合成ゴムとしては、例えばエチレン・プロピレン・ジエン共重合ゴム(EPDM)、シリコーンゴム等が用いられる。
【0019】
図3(a)、(b)に示すように、前記弁体21の下端部には、縦長四角形状に切欠かれた切欠き部25が周方向に等間隔をおいて3箇所に形成されている。そして、図6に示すように、弁体21が弁座12に着座した状態で、弁体21の切欠き部25から弁座12の仕切突条19が突出するように構成され、弁体21が弁座12に対して位置決めされている。
【0020】
前記切欠き部25に臨む弁体21の隅部には、後述する弁室26内に負圧が生じたとき開口して外気を流入するための開閉部27が設けられている。図7に示すように、この開閉部27はその下端縁と切欠き部25側の側端縁が自由端縁となっていることから、弁室26内の負圧により開閉部27の下端縁と側端縁がめくれ上がり、弁体21が開弁しやすくなっている。この開弁状態では、弁体21の開閉部27は、その下端縁と側端縁の交点から斜め45°方向の断面が弓なりの円弧状に形成される。また、弁室26内の負圧が解消されたときには、弁体21の開閉部27は弁体21の弾性力により閉弁し、弁座12に押し付けられるため、閉弁機能を向上させることができる。
【0021】
この開閉部27は、常には弁座12に密接して閉弁し、弁室26内の負圧時のみ図7に示すように開弁するように構成されている。前記弁体21の切欠き部25及び弁座12の仕切突条19は、弁体21の閉弁機能と開弁機能をバランス良く発揮するために3箇所又は4箇所に設けられることが好ましい。弁体21の切欠き部25及び弁座12の仕切突条19が2箇所では弁体21の開弁機能又は閉弁機能が弁室26内の負圧度に十分に対応できないおそれがあり、5箇所以上では通気弁装置10の構成が複雑になるとともに、弁体21の開閉部27が過剰に形成される傾向を示す。
【0022】
前記弁体21は閉弁機能と開弁機能を良好に発揮するために、その厚さは0.5〜2.0mmであることが好ましく、0.7〜1.5mmであることがさらに好ましい。弁体21の厚さが0.5mmより薄い場合には、弁体21の閉弁機能を十分に発揮することができないときがあり、不用意に開弁して臭気が外部へ漏れるおそれがある。その一方、弁体21の厚さが2.0mmより厚い場合には、開弁機能を良好に発揮できないときが生じ、弁室26内の負圧時に開弁されないと通気管17内の負圧が解消されず、排水トラップが機能しなくなるおそれがある。
【0023】
前記開閉部27には、弁体21の他の部分より薄く形成された正面三角形状の薄肉部28が設けられている。開閉部27を薄肉部28で形成することにより、弁室26内が負圧状態に移行するに伴って弁体21を容易に変形させて円滑に開弁させることができる。この薄肉部28の厚さは、弁体21の他の部分より若干薄く形成されておればよく、具体的な厚さは弁体21の材質、形状等に応じて適宜設定される。
【0024】
図2及び図4に示すように、弁座12上には弁体21のフランジ23が挟着されるように蓋体29が被嵌され、内部に弁室26を形成するようになっている。この蓋体29は有蓋円筒状をなし、その内周面には係合凹部30が周方向に等間隔をおいて3箇所に形成されている。そして、蓋体29が弁座12上に被嵌されたとき、蓋体29の係合凹部30に弁座12の係合凸部14が係合し、蓋体29が弁座12上に固定されるようになっている。なお、蓋体29内周面の係合凹部30が設けられた周方向の位置に対応して、蓋体29外周面には目印31が突設され、係合凹部30の位置を外部から視認できるように構成されている。
【0025】
以上のように構成された第1実施形態の通気弁装置10について作用を説明する。
さて、図6に示すように、排水設備が使用され、排水管内を排水が通常の状態で流れる場合には、弁室26内は外気と同じ常圧に保たれることから、弁体21の開閉部27は弁座12上に接して支持され、通気弁は閉弁状態となっている。従って、各排水設備における排水トラップの封水が流れ出すことはなく、臭気が外部へ漏れるおそれはない。
【0026】
このとき、弁体21は弾性材料である合成ゴムで形成されていることから、その開閉部27は弁座12上に密接され、閉弁機能が良好に発現される。
図7に示すように、例えば排水設備の使用により排水管内を排水が満液状態で急激に流れる場合には、排水管の上流側で負圧が生じ、弁室26内が減圧状態に到ることから、弁体21の開閉部27がその隅部からめくれ上がり、弁座12から離間して開口部が形成され、通気弁は開弁状態となる。このため、図7の矢印に示すように、外気が弁座12の弁口20から弁体21の開閉部27を経て弁室26内へ吸い込まれ、その外気は連結筒部15から通気管17を経て排水管へと流れる。
【0027】
このとき、弁体21の開閉部27は弁体21の下端部の切欠き部25に臨む隅部に設けられ、弁体21の下端部の一部である隅部に位置する開閉部27のみがその下端縁及び側端縁から開弁するように構成されていることから、弁体21の開弁性が高められる。一方、従来の弁体は、その下部全体がスイングして開弁するように構成されている。このため、第1実施形態の弁体21は、従来の弁体に比べて開弁動作を弁室26内の減圧度の変化に追従して速やかに行うことができ、弁体21の機能発現に優れている。
【0028】
加えて、弁体21の開閉部27が他の部分より薄い薄肉部28で形成され、変形しやすくなっていることから、開閉部27は弁室26内の減圧度に応じて一層速やかに開弁することができる。
【0029】
従って、排水管内の減圧状態が解消され、各排水トラップの封水に影響を及ぼすことはなく、臭気の漏出が抑えられる。その後、排水管内が常圧に戻ると、弁室26内も常圧に戻って、弁体21の開閉部27は弁体21の弾性力により下降して弁座12上に戻って密接し、通気弁が閉弁され、外部への臭気の漏出が抑えられる。この場合、開閉部27が弁体21の隅部に設けられ、弁体21の弾性力が強く働くことから、弁体21の閉弁性が高められる。一方、従来の弁体は弁座と蓋体との挟着部分を支点にして開閉することから、第1実施形態の弁体21に比べて弁体の弾性力が十分に働かない。
【0030】
以上の第1実施形態によって発揮される効果について、以下にまとめて記載する。
(1)この第1実施形態の通気弁装置10においては、弁体21はその一端部が弁座12と蓋体29との間に挟着されるとともに、他端部に切欠き部25を設けてその切欠き部25に臨むような開閉部27が形成されている。このため、弁室26内に負圧が生じたとき、弁体21の開閉部27が開口しやすく、その開閉部27から外気が弁室26内へ迅速に流入する。
【0031】
従って、第1実施形態の通気弁装置10によれば、弁体21の開弁動作を速やかにし、弁体21の機能を良好に発揮することができるという効果を奏する。
(2)前記弁体21は一体的に形成されている。従って、弁体21の構成を簡易にすることができるとともに、弁体21の製造を容易に行うことができ、かつ弁座12に対する弁体21の組付けを簡単に行うことができる。
【0032】
(3)前記弁体21の切欠き部25は、3箇所又は4箇所に設けられることが好ましい。この場合には、弁体21の開弁機能と閉弁機能をバランス良く発揮することができる。
(4)前記弁体21の切欠き部25は、弁体21の周方向に等間隔をおいて設けられている。このため、弁体21の複数の開閉部27による開閉機能を均等に行うことができ、弁体21の機能発現を全体として向上させることができる。
【0033】
(5)前記弁体21の開閉部27を他の部分より薄い薄肉部28とした。このため、弁体21の開閉部27の変形を容易にして、開弁動作及び閉弁動作を弁室26内の圧力に対応して感度良く行うことができる。
【0034】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態を図8図11に従って説明する。なお、この第2実施形態では、主に前記第1実施形態と相違する部分について説明する。
【0035】
図8に示すように、前記弁座12に開口された弁口20の1つは、第1実施形態の弁口20のほぼ3つ分に相当する大きさの大面積の加圧用弁口20aとなっている。図9に示すように、弁体21の切欠き部25間の中間部には、前記弁座12の加圧用弁口20aに対応する位置及び大きさの加圧用薄肉部28aが形成されている。
【0036】
そして、図10に示すように、弁体21を弁座12上に着座させたときには、弁体21の加圧用薄肉部28aが弁座12の加圧用弁口20aに対向して配置される。なお、この第2実施形態では、前記第1実施形態の弁体21の開閉部27に設けられた薄肉部28は設けられていない。
【0037】
さて、図11に示すように、排水設備の使用により排水管内の一部が詰まったりした場合等には、排水管の上流側で正圧が生じ、弁室26内が加圧状態となる。このとき、弁体21の一部には加圧用薄肉部28aが広い面積で設けられるとともに、弁座12にはその加圧用薄肉部28aに対向するように広い面積の加圧用弁口20aが設けられている。
【0038】
このため、弁体21の加圧用薄肉部28aが弁室26内の圧力に応じて外側へ膨出すると同時に、その反動で弁体21の開閉部27がその隅部からめくれ上がって開口し、通気弁は開弁状態となる。その結果、図11の矢印に示すように、加圧状態となった通気管17内のガスが弁室26から弁体21の開閉部27を通って外部へ排気される。従って、通気管17内さらには排水管内の加圧状態が解消されて常圧に戻り、外部への臭気の漏出が抑制される。
【0039】
よって、第2実施形態の通気弁装置10によれば、排水管内が減圧状態に到った場合だけではなく、排水管内が加圧状態に到った場合でも、弁体21は開弁動作を行うことができ、弁体21の機能を一層良好に発揮することができる。
【0040】
なお、前記各実施形態を、次のように変更して具体化することも可能である。
図12に示すように、前記第2実施形態において、弁座12の加圧用弁口20aを省略し、加圧用弁口20aに相当する部分における弁座12の支持リブ22をその下部が外方へ突出する断面略L字状に形成し、該支持リブ22と弁座12上に着座する弁体21との間に膨出用空間部32を形成するように構成してもよい。
【0041】
この場合には、弁室26内が加圧状態に到ると、弁体21の加圧用薄肉部28aが膨出用空間部32内へ膨出すると同時に、その反動で弁体21の開閉部27がその隅部からめくれ上がって開口し、通気弁は開弁状態となる。
【0042】
図13(a)に示すように、漏斗状に形成された弁座12を傾斜角度αに設定し、図13(b)に示すように、漏斗状の弁体21を傾斜角度βに設定し、傾斜角度βが傾斜角度αより大きくなるように構成してもよい(α<β)。この場合には、図14に示すように、弁体21を弁座12に組付ける途中で弁体21の下端部が弁座12に接触し、組付けが完了すると弁体21が弁座12に対して圧接される。従って、弁体21の開閉部27による閉弁機能を高めることができる。
【0043】
・前記弁体21を複数に分割して構成してもよい。例えば、弁体21を切欠き部25の部分で3分割して構成してもよい。
・前記弁体21の開閉部27を薄肉部28で形成するのではなく、開閉部27を形成する材料の硬度をその他の部分の硬度より低硬度にしてもよい。
【0044】
・前記第2実施形態において、弁体21の開閉部27に薄肉部28を形成してもよい。
・前記弁座12に設けられた弁口20を、仕切突条19の近傍のみに設けてもよい。すなわち、弁口20を、弁座12上に着座する弁体21の開閉部27の近傍にのみ設けてもよい。
【0045】
・前記弁体21の開閉部27を形成する薄肉部28の形状を、正面四角形状、正面五角形状等に形成してもよい。
・前記弁座12の弁口20を、外面側が広く、内面側が狭いテーパ状に形成したり、テーパを省略したりしてもよい。
【符号の説明】
【0046】
10…通気弁装置、11…通気弁本体、12…弁座、15…連結筒部、17…通気管、20…弁口、21…弁体、25…切欠き部、26…弁室、27…開閉部、28…薄肉部、29…蓋体。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14