(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
着用者の腹部側に位置する前身頃(1),着用者の背部側に位置する後身頃(2),及び前記前身頃(1)と前記後身頃(2)の間に位置する股下部(3)に,長手方向に区分された吸収性本体(10)と,
前記吸収性本体(10)の肌対向面側において,前記吸収性本体(10)の幅方向の左右両側に配設されたサイドシート(20)と,
前記サイドシート(20)に対し,前記長手方向に沿った伸長状態で固定された一又は複数の弾性伸縮部材(30)と,を備える
吸収性物品であって,
前記サイドシート(20)は,
複数のシート層が重なった重畳部(21)を有し,
前記重畳部(21)は,
前記長手方向に沿って延びる固定線(23)と,
前記固定線(23)よりも前記幅方向の内側において,前記吸収性本体(10)に接合されていない部分を含む起立部(24)と,
前記固定線(23)よりも前記幅方向の外側において,前記吸収性本体(10)の肌対向面に接合された固定部(25)と,を有し,
前記起立部(24)に,前記弾性伸縮部材(30)が固定されており,
前記重畳部(21)の前記起立部(24)は,
前記長手方向及び前記幅方向に間隔を置いて設けられた複数の楕円状の第1エンボス(40)によって前記複数のシート層が接合された,前記長手方向に延びる第1接合領域(41)を有し,
前記重畳部(21)の前記固定部(25)は,
前記長手方向及び前記幅方向に間隔を置いて設けられた複数の正円状の第2エンボス(50)によって前記複数のシート層が接合された,前記長手方向に延びる第2接合領域(51)を有し,
前記第1接合領域(41)は,前記吸収性本体(10)に固定されておらず,前記弾性伸縮部材(30)が収縮したときに起立するものであり,
前記第2接合領域(51)は,前記吸収性本体(10)に固定されており,
前記第2エンボス(50)の面積は,前記第1エンボス(40)の面積よりも小さく,
前記第2接合領域(51)における前記第2エンボス(50)の密度は,前記第1接合領域(41)における前記第1エンボス(40)の密度よりも高い
吸収性物品。
前記第1接合領域(41)における前記第1エンボス(40)の密度を100%としたときに,前記第2接合領域(51)における前記第2エンボス(50)の密度は200%以上である
請求項1に記載の吸収性物品。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで,特許文献3に記載の吸収性物品では,エンボス加工が施されたサイドシートの重畳部を起立させて立体ギャザーを形成している。他方で,この従来の吸収性物品においては,サイドシートの起立部以外の部分では,シート層は重畳していない。すなわちサイドシートが立ち上がっていない部分においては,複数のシート層がエンボス加工によって接合されたものではなかった。
【0007】
しかしながら,従来の吸収性物品のように,サイドシートの起立部にのみ接合用のエンボス加工を施した場合,そのサイドシートによって形成される立体ギャザーにコシや張りが出にくいという懸念があった。つまり,サイドシートの重畳部を起立させて,この起立部にエンボス加工を施すと,エンボスが形成された部分では繊維密度が高まって強度が大きくなる。しかし,サイドシートの非起立部において,シート層が重なっていなかったり,シート層同士がエンボス加工によって接合されていないと,この非起立部では繊維密度が低く強度が小さくなる。このようにサイドシートの起立部と非起立部とで強度にバラつきが生じると,立体ギャザーにコシや張りが出にくくなると考えられる。その結果,従来の吸収性物品は,立体ギャザーと着用者の肌と密着しにくかったり,立体ギャザーに綺麗な皺が形成されにくいとされていた。また,立体ギャザーにコシや張りを出すために,サイドシートの起立部に形成するエンボスの密度を高めて,サイドシート全体の繊維密度を高めることも考えられる。しかし,サイドシートの起立部のエンボスの密度を高めると,立体ギャザーの通気性が損なわれるおそれがあった。このため,現在では,サイドシートの起立部にエンボス加工を施して縒れを防止する場合に,立体ギャザーの通気性を維持しつつ,立体ギャザーのコシや張りを高めることのできる技術が求められている。
【0008】
また,従来の技術では,エンボスロールとアンビルローラの間にサイドシートの起立部を挟み込んで,この起立部を強く押圧しながらシート層同士を融着させて,複数のエンボスを形成することとしている。しかしながら,凹凸面を持つエンボスロール等を用いて,サイドシートの起立部のように比較的限定された領域にのみエンボスを施すこととすると,サイドシートに加わる圧力(線圧)が局所的に高まる場合がある。ここで,サイドシートへの圧力(線圧)が高まると,サイドシートの起立部に穴が開いてしまい,適切に起立部を形成するシート層同士を融着させることができなくなるという問題があった。つまり,ここにいうエンボスとは,シート部材に形成される溝(凹部)であり,シート部材を貫通した穴を開けることは求められていない。このため,現在では,サイドシートの起立部にエンボス加工を施す場合に,この起立部に穴が開くことを防止することのできる技術が求められている。
【0009】
そこで,本発明は,立体ギャザーを形成するサイドシートの起立部にエンボス加工を施すにあたり,この起立部のコシや張りを高めるとともに,この起立部に不必要な穴が開くことを防止するための技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の発明者は,従来の問題点の解決手段について鋭意検討した結果,サイドシートのシート層が重なる重畳部を,吸収性本体から立ち上がる起立部と吸収性本体に固定される固定部とに分けて,この起立部と固定部の両方にエンボス加工を施すこととした。このように,サイドシートの重畳部の固定部にもエンボス加工を施しておくことで,サイドシートの起立部の根元部分の強度が向上し,この起立部のコシや張りを高めることができる。さらに,サイドシートの起立部と同時に固定部にもエンボス加工を施すようにすることで,エンボスロールからサイドシートに加えられる圧力(線圧)を分散させることができるため,この起立部に不必要な穴が開いてしまう事態を効果的に回避できる。そして,本発明者は,上記知見に基づけば,従来技術の課題を解決できることに想到し,本発明を完成させた。具体的に説明すると,本発明は以下の構成・工程を有する。
【0011】
本発明の第1の側面は,吸収性物品に関する。
本発明の吸収性物品は,吸収性本体10と,左右一対のサイドシート20と,一又は複数の弾性伸縮部材30と,を備える。吸収性本体10は,着用者の腹部側に位置する前身頃1,着用者の背部側に位置する後身頃2,及び前身頃1と後身頃2の間に位置する股下部3に,長手方向に区分される。サイドシート20は,吸収性本体10の肌対向面側において,吸収性本体10の幅方向の左右両側に配設されたシート部材である。弾性伸縮部材30は,各サイドシート20に対し,長手方向に沿った伸長状態で固定されている。
また,サイドシート20は,複数のシート層が重なった重畳部21を有する。
この重畳部21は,固定線23と,起立部24と,固定部25とを有する。固定線23は,長手方向に沿って延びる直線であり,起立部24と固定部25の境界線に相当する。起立部24は,固定線23よりも幅方向の内側において,吸収性本体10に接合されていない部分を含む領域である。また,固定部25は,固定線23よりも幅方向の外側において,吸収性本体10の肌対向面に接合された領域である。起立部24に,弾性伸縮部材30が固定されている。
重畳部21の起立部24は,長手方向及び幅方向に間隔を置いて設けられた複数の第1エンボス40によって複数のシート層が接合された,長手方向に延びる第1接合領域41を有する。
重畳部21の固定部25は,長手方向及び幅方向に間隔を置いて設けられた複数の第2エンボス50によって複数のシート層が接合された,長手方向に延びる第2接合領域51を有する。
第1接合領域41の少なくとも一部は,吸収性本体10に固定されておらず,弾性伸縮部材30が収縮したときに起立する。また,第2接合領域51の少なくとも一部は,吸収性本体10に固定されている。
【0012】
上記構成のように,本発明において,サイドシート20は,シート層が重なった重畳部21を有し,この重畳部21のうち,吸収性本体10から立ち上がる起立部24だけでなく,吸収性本体10に固定される固定部25にもエンボス加工が施されている。起立部24に形成された第1エンボス40は,この起立部24を構成する複数のシート層を接合するために必要なものであるが,固定部25に形成された第2エンボス50は本来的には必要とされないものである。これに対し,本発明では,あえて固定部25にも第2エンボス50を形成し,この第2接合領域51を吸収性本体10に固定する。これにより,サイドシート20の起立部24のうち,特に根元部分の強度が向上するため,この立体ギャザーを形成する起立部24のコシや張りを高めることができると考えられる。これにより,立体ギャザーが着用者の肌と密着しにくくなり,さらに立体ギャザーに綺麗な皺が形成され易くなる。また,サイドシート20の起立部24と同時に固定部25にもエンボス加工を施すようにすることで,例えばエンボスロールによってサイドシート20に加えられる圧力(線圧)を分散させることができる。つまり,エンボスロールに形成された突起部によってサイドシート20を押圧してエンボスを付与することとなるが,サイドシート20に同時に接触する突起部の数を増やすことで,この突起部によってサイドシート20に加えられる圧力を分散させる。これにより,サイドシート20の起立部24に不必要な穴が開いてしまう事態を効果的に回避できる。
【0013】
本発明において,第2接合領域51における第2エンボス50の密度は,第1接合領域41における第1エンボス40の密度よりも高いことが好ましい。例えば,第1接合領域41における第1エンボス40の密度を100%としたときに,第2接合領域51における第2エンボス50の密度は200%以上であることが好ましい。なお,ここにいうエンボスの密度とは,単位面積当たりのエンボスの個数を意味する。
【0014】
上記構成のように,固定部25に形成される第2エンボス50の密度を,起立部24に形成される第1エンボス40の密度よりも高くすることで,立体ギャザーのコシや張りを効果的に高めると共に,立体ギャザーの起立部24の通気性を維持することができる。つまり,起立部24の第1エンボス40の密度を高くすると,サイドシート20の繊維密度が高まり,結果として立体ギャザーの通気性が損なわれることが懸念される。このため,起立部24の第1エンボス40の密度をなるべく低く抑えつつ,この起立部24のコシや張りを強くすることが求められる。この点,上記構成のように,第2エンボス50の密度を高めることで,起立部24に形成される第1エンボス40の密度をなるべく低く抑えつつも,立体ギャザーのコシや張りを強くすることができる。さらに,あえて,第2エンボス50の密度を第1エンボス40の密度よりも高くすることで,この第1エンボス40を形成する際に付加される圧力を第2エンボス50へと効果的に分散できるため,ほぼ確実にサイドシート20の起立部24に穴が形成されるのを回避できる。
【0015】
本発明において,第2エンボス50の面積は第1エンボス40の面積よりも小さいことが好ましい。
【0016】
上記構成のように,第2エンボス50の面積を小さくしつつ高い密度で形成することにより,立体ギャザーのコシや張りを強くするという効果や,エンボス加工時の圧力を分散させるという効果をさらに向上させることができる。
【0017】
本発明の第2の側面は,吸収性物品の製造方法に関する。第2の側面に係る製造方法は,基本的に,第1の側面に係る吸収性物品の製造方法に関するものである。
本発明の製造方法では,まず,サイドシート20に対し,複数のシート層が重なった重畳部21を形成する。また,この重畳部21に,長手方向に沿った伸長状態で,弾性伸縮部材30を取り付ける。また,重畳部21に対し,長手方向及び幅方向に間隔を置いて複数の第1エンボス40を形成して複数のシート層を接合すると同時に,長手方向及び幅方向に間隔を置いて複数の第2エンボス50を形成して複数のシート層を接合する。また,吸収性本体10を用意する。そして,吸収性本体の幅方向の左右両側の肌対向面側にサイドシート20を固定する際に,第1エンボス40が形成された第1接合領域41の少なくとも一部を吸収性本体10に固定しない。対して,第2エンボス50が形成された第2接合領域51の少なくとも一部を吸収性本体10に固定する。
【0018】
上記のように,起立部24に対して第1エンボス40を形成すると同時に,固定部25に対しても第2エンボス50を形成することで,第1エンボス40に加わる圧力を第2エンボス50へと分散させることができるため,起立部24に穴が開くのを防止できる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば,立体ギャザーを形成するサイドシートの起立部にエンボス加工を施すにあたり,この起立部のコシや張りを高めるとともに,この起立部に不必要な穴が開くことを防止できる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下,図面を用いて本発明を実施するための形態について説明する。本発明は,以下に説明する形態に限定されるものではなく,以下の形態から当業者が自明な範囲で適宜変更したものも含む。
【0022】
本願明細書において,「長手方向」とは,吸収性物品の前身頃と後身頃とを結ぶ方向を意味する。また,「幅方向」とは,長手方向に平面的に直交する方向を意味する。本願の図において,「長手方向」はY軸で示され,「幅方向」はX軸で示されている。
本願明細書において,「肌対向面」とは,吸収性物品の着用時において,着用者の肌に向かい合う面を意味する。また,「肌非対向面」とは,吸収性物品の着用時において,着用者の肌に向かい合わない面,すなわち肌対向面の反対側の面を意味する。
本願明細書において,「A〜B」とは,「A以上B以下」であることを意味する。
【0023】
図1は,本発明に係る吸収性物品100の一例を示している。
図1に示された例において,吸収性物品100は,テープ型の使い捨ておむつである。テープ型の使い捨ておむつは,後身頃の両側部に取り付けられたファスニングテープを前身頃に止め付けることにより装着されるタイプの使い捨ておむつである。以下では,テープ型の使い捨ておむつを例に挙げて,本発明の吸収性物品について詳しく説明する。ただし,本発明は,テープ型の使い捨ておむつに限定されるものではない。例えば,本発明は,パンツ型の使い捨ておむつや,尿取りパッド,吸収パッド,又は生理用ナプキンなどのように,排泄された体液を吸収保持することを目的として,着用者の股下に装着される吸収性物品に広く適用することができる。
【0024】
まず,
図1及び
図2を参照して,本発明の吸収性物品100の基本構成について説明する。
図1は,吸収性物品100の例を示した展開図である。また,
図2は,
図1のA−A線における断面図を示している。
【0025】
図1に示されるように,吸収性物品100は,長手方向において,着用者の腹部に接する前身頃1と,着用者の背部に接する後身頃2と,前身頃1と後身頃2の間に位置し着用者の股下に接する股下部3とに区分される。また,
図2の断面図に示されるように,吸収性物品100は,吸収性本体10と,左右一対のサイドシート20と,を備えている。吸収性本体10は,トップシート11と,バックシート12と,これらのシート11,12の間に介在する吸収体13とを含む。また,一対のサイドシート20により,吸収性本体10の幅方向の左右両側に,一対の立体ギャザーが形成される。なお,
図2では,吸収性物品の構造を分り易くするために各シート部材に厚みを持たせているが,実際の各シート部材は極めて薄いシート状の部材である。
【0026】
まず,吸収性本体10の構造について説明する。吸収性本体10を構成するトップシート11は,着用者の股下部の肌に直接接し,尿などの液体を吸収体13へ透過させるための部材である。このため,トップシート11は,柔軟性が高い液透過性材料で構成される。また,トップシート11は,吸収体13の肌対向面を被覆するように配置される。トップシート11を構成する液透過性材料の例は,織布,不織布,又は多孔性フィルムである。また,トップシート11としては,例えばポリプロピレンやポリエチレン,ポリエステル,ナイロンのような熱可塑性樹脂の繊維を親水化処理してさらに不織布にしたものを用いることとしてもよい。
【0027】
バックシート12は,トップシート11を透過して吸収体13に吸収された液体が,おむつの外側へ漏出することを防止するための部材である。このため,バックシート12は,液不透過性材料によって構成される。また,バックシート12は,吸収体13の底面からの液漏れを防止するため,吸収体13の肌非対向面を被覆している。また,
図2に示されるように,バックシート12は,トップシート11よりも幅広に形成されており,バックシート12の左右両端部は,トップシート11の左右両側縁よりも外側に延出していることが好ましい。バックシート12を構成する不透過材料の例は,ポリエチレン樹脂からなる液不透過性のフィルムである。特に,バックシート12としては,液不透過性を維持しつつ通気性を確保するために,0.1〜4μmの微細な孔が複数形成された微多孔性ポリエチレンフィルムを用いることが好ましい。
【0028】
吸収体13は,尿などの液体を吸収し,吸収した液体を保持するための部材である。吸収体13は,液透過性のトップシート11と,液不透過性のバックシート12の間に配置される。吸収体13は,公知の吸収性材料により構成することができる。吸収性材料としては,例えば,フラッフパルプ,高吸水性ポリマー,又は親水性シートを用いることとしてもよい。また,吸収性材料には,フラッフパルプ,高吸水性ポリマー,又は親水性シートのうち1種類を単独で用いてもよいし,2種類以上を併用することとしてもよい。吸収性材料は,通常,単層又は複数層のマット状に形成して用いられる。
図2に示されるように,吸収体13の周囲においては,トップシート11とバックシート12が互いに接合されている。これにより,吸収体13は,トップシート11とバックシート12の接合部によって周囲を囲われたものとなる。
【0029】
続いて,立体ギャザーを形成するための構造について説明する。
図1及び
図2に示されるように,吸収性本体10の肌対向面側の幅方向左右両側には,長手方向の全体に亘って,一対のサイドシート20が重ね合わされている。一対のサイドシート20は,吸収体13の両側縁に沿って起立して,尿の横漏れを防止する立体ギャザーを形成するためのシート部材である。例えば,サイドシート20を構成するシート部材としては,撥水性と通気性を有するシート部材を採用することが好ましい。サイドシート20としては,例えば,カードエンボスやスパンボンド等の製法により得られた不織布シートを使用することができ,特に防水性及び通気性が高いSMSやSMMS等の不織布シートを用いることが好ましい。
【0030】
図1及び
図2に示されるように,一対のサイドシート20は,それぞれ,固定線23と,起立部24と,固定部25とを有する。サイドシート20の固定線23は,長手方向に沿って真っ直ぐに延びた直線状に形成されており,起立部24と固定部25の間の境界線となっている。また,
図2に示されるように,サイドシート20の固定線23は,トップシート11の肌対向面上に形成されていることが好ましい。
【0031】
サイドシート20の固定部25は,固定線23よりも幅方向の外側に位置する領域である。この固定部25において,サイドシート20は,吸収性本体10の肌対向面上に全面的に接合されている。
図2に示されるように,固定部25において,サイドシート20は,トップシート11の肌対向面上に接合されていることが好ましい。また,
図2に示されるように,バックシート12の左右両端部がトップシート11から延出している場合,サイドシート20は,固定部25において,バックシート12の肌対向面上にも接合されていることが好ましい。このように,サイドシート20を,トップシート11とバックシート12の両方に対して接合することで,サイドシート20が吸収性本体10から剥がれにくくなる。
【0032】
サイドシート20の起立部24は,固定線23よりも幅方向の内側に位置する領域である。この起立部24は,長手方向に見て,長手方向の前後両端側に位置する固定部分24aと,これらの間に位置する自由部分24bとに区分されている。前後両端の固定部分24aにおいて,サイドシート20は,吸収性本体10(トップシート11)の肌対向面上に接合されている。なお,
図1においては,固定部分24aを分かりやすく示すために,概念的に,この固定部分24aに網掛けを施して示している。他方,固定部分24aの間に位置する自由部分24bにおいて,サイドシート20は,吸収性本体10の肌対向面上に接合されていない。このため,サイドシート20は,起立部24の自由部分24bにおいて,吸収性本体10から離れており,自由に立ち上がることができるようになっている。起立部24の自由部分24bは,立体ギャザーを形成する部分となる。このため,自由部分24bは,長手方向に見て,少なくとも股下部3の全体に亘っており,前身頃1及び後身頃2に到達する長さで形成されていることが好ましい。
【0033】
なお,上述したサイドシート20の固定部25や,起立部24の固定部分24aにおけるシートの接合には,例えば,公知のホットメルト接着剤などを利用することができる。
【0034】
また,
図2に示されるように,サイドシート20は,複数のシート層が重なった重畳部21と,シート層が重ならない単層で構成されている非重畳部22と有している。この重畳部21は,サイドシート20の幅方向の内側に設けられており,サイドシート20の内側の先端部,からサイドシート20の起立部24を通り,サイドシート20の固定部25に至る範囲まで形成されている。他方,非重畳部22は,サイドシート20の幅方向の外側に設けられている。
【0035】
サイドシート20の重畳部21は,シート層が2層以上重なっていればよく,3層以上,又は4層以上であってもよい。また,この重畳部21は,一枚のシート部材を幅方向の内側の先端で折り返して形成してもよいし,別々のシート部材を貼りあわせて形成してもよい。
図2に示された実施形態において,サイドシート20の重畳部21は,幅方向の内側に位置する内側シート層21aと,幅方向の外側に位置する外側シート層21bと,これらの内側シート層21aと外側シート層21bの間に位置する中間シート層23cの3層で構成されている。また,内側シート層21a,外側シート層21b,及び中間シート層23cは,一枚のシート部材を折り返すことによって形成されたものとなっている。
【0036】
図2に示されるように,サイドシート20の重畳部21は,サイドシート20の起立部24全体に亘っていることが好ましく,さらにサイドシート20の固定部25の一部をも形成していている。
図2に示した例では,サイドシート20の起立部24は,その全体が重畳部21となっている。また,サイドシート20の固定部25の一部も,重畳部21によって形成されている。このように,サイドシート20の重畳部21を,固定部25にまで延出させることで,サイドシート20の起立部24の根元付近が補強されるため,起立部24が起立し易くなる。
【0037】
また,サイドシート20の起立部24には,立体ギャザー用の弾性伸縮部材30が一又は複数本取り付けられる。
図1に示されるように,この弾性伸縮部材30は,長手方向に伸長した状態で,サイドシート20の起立部24に固定されている。
図2に示した例のように,弾性伸縮部材30は,サイドシート20の起立部24を構成する内側シート層21aと外側シート層21bの間に介在したものであることが好ましい。弾性伸縮部材30は,糸状弾性ゴム又は平状弾性ゴムなど,公知の弾性伸縮部材を用いることができる。また,弾性伸縮部材30をサイドシート20に固定するときの伸長率は,例えば,260%〜410%,280%〜370%,又は310%〜340%程度であることが好ましい。ここにいう「伸長率」とは,収縮状態(自然状態)の弾性伸縮部材の長さを100%として,伸長状態の弾性伸縮部材の長さの増加分を示した割合である。
【0038】
また,サイドシート20の固定部25は,基本的に,吸収性本体10の肌対向面に対して固定される。具体的には,サイドシート20の固定部25は,トップシート10やバックシート20の肌対向面側に固定される。ただし,図示は省略するが,サイドシート20の固定部25は,吸収性本体10の肌非対向面に固定されていてもよい。
【0039】
図2に示されるように,サイドシート20の起立部24の内側先端付近には,複数の弾性伸縮部材30が存在している。このため,弾性伸縮部材30が収縮すると,サイドシート20の起立部24は,これらの弾性伸縮部材30に引っ張られるようにして,着用者の肌に当接する方向に向かって立ち上がる。このようにして,サイドシート20の起立部24が,着用者が排泄した尿などの液体の横漏れを防止するための立体ギャザーとして機能する。
【0040】
続いて,
図3を参照して,サイドシート20に付与されるエンボスのパターンについて詳しく説明する。
図3は,サイドシート20の平面図と横断面図を並べて示している。なお,
図3に示した点線及び一点鎖線は,サイドシート20のエンボスパターンを説明するための補助線である。
【0041】
図3に示されるように,サイドシート20の起立部24には,複数の第1エンボス40が形成される。第1エンボス40は,サイドシート20の起立部24を構成する複数のシート層(内側シート層21a,外側シート層21b,中間シート層21c)を融着させるための接合点となる。つまり,複数のシート層は,第1エンボス40において加圧及び加熱されることによって互いに融着されて,繊維密度が高まっている。複数の第1エンボス40は,長手方向(Y軸方向)及び幅方向(X軸方向)に所定の間隔を空けて形成されている。複数の第1エンボス40は,基本的に,長手方向に延びる直線上に沿って等間隔で配置されることで列をなしており,この第1エンボス40の列が,幅方向に複数形成されている。本願明細書では,複数の第1エンボス40の列のうち,最も幅方向内側に位置する列から最も幅方向外側に位置する列までの領域を,第1接合領域41と定義している。第1接合領域41は,長手方向に沿って延びる帯状の領域である。第1接合領域41は,サイドシート20の起立部24の長手方向全域に亘っている。
【0042】
図3に示された例において,複数の第1エンボス40は,それぞれ楕円状に形成されている。例えば,楕円状の第1エンボス40は,その最長径Ldが,その最短径Sdに対して,105%〜250%,130%〜220%,又は150%〜200%であることが好ましい。例えば,楕円状の第1エンボス40の最短径Sdは,0.5mm〜2mm程度とすればよい。また,楕円状の第1エンボス40は,その最長径Sdが,長手方向(Y軸)に対して所定角度θで傾いていることが好ましい。例えば,傾斜角度θは,15度〜45度程度とすればよい。また,同じ列に属する第1エンボス40は,交互に線対称の楕円状となっている。つまり,同じ列に属する第1エンボス40は,図中右側に向かって所定角度θ傾くものと図中左側に向かって所定角度θ傾くものとが,交互に並べられている。さらに,隣接する列に属する第1エンボス40は,長手方向に所定間隔ずれて(オフセットされて)いることが好ましい。
図3に示した例では,楕円状の第1エンボス40が,このような基本パターンで並べられている。
【0043】
また,
図3では,長手方向に隣接する第1エンボス40同士の間の長手方向の間隔(最大値)が,符号Y
1で示されている。例えば,間隔Y
1は,3mm〜12mm,5mm〜10mmに設定すればよい。また,
図3では,幅方向に隣接する第1エンボス40同士の間の幅方向の間隔(最大値)が,符号X
1で示されている。例えば,間隔X
1は,2mm〜10mm,4mm〜8mmに設定すればよい。また,
図3では,第1接合領域41の横幅,すなわち,最も幅方向内側に位置する第1エンボス40の列から最も幅方向外側に位置する第1エンボス40の列までの距離が,符号B
1で示されている。例えば,第1接合領域41の横幅B
1は,8mm〜20mm,10mm〜18mmとすればよい。また,第1接合領域41の横幅B
1は,サイドシート20の起立部24全体の横幅に対して,60%〜100%,70〜90%の割合を占めることが好ましい。このように,第1接合領域41は,サイドシート20の起立部24の長手方向及び幅方向のほぼ全域にわたって形成されている。
【0044】
図3に示されるように,本発明では,さらに,サイドシート20の重畳部21のうちの固定部25にも,複数の第2エンボス50が形成されている。第2エンボス50は,サイドシート20の固定部25を構成する複数のシート層(内側シート層21a,外側シート層21b,中間シート層21c)を融着させるための接合点となる。固定部25を構成する複数のシート層は,第2エンボス50において加圧及び加熱されることによって,互いに融着されて,繊維密度が高まっている。複数の第2エンボス50は,長手方向(Y軸方向)及び幅方向(X軸方向)に所定の間隔を空けて形成されている。複数の第2エンボス50は,基本的に,長手方向に延びる直線上に沿って等間隔で配置されることで列をなしており,この第2エンボス50の列が,幅方向に複数形成されている。本願明細書では,複数の第2エンボス50の列のうち,最も幅方向内側に位置する列から最も幅方向外側に位置する列までの領域を,第2接合領域51と定義している。第2接合領域51は,長手方向に沿って延びる帯状の領域である。第2接合領域51は,サイドシート20の固定部25の長手方向全域に亘っている。
【0045】
図3に示された例において,複数の第2エンボス50は,それぞれ正円状に形成されている。ここで,正円状の第2エンボス50は,上述した楕円状の第1エンボス40と比較して,その面積が小さいものであることが好ましい。例えば,正円状の第2エンボス50は,その直径φが0.5mm〜2mmであることが好ましく,この場合,正円状の第2エンボス50の直径φが楕円状の第1エンボス40の最短径Sdと一致する。このため,正円状の第2エンボス50は,楕円状の第1エンボス40よりも面積が小さくなる。また,さらに,隣接する列に属する第2エンボス50は,長手方向に所定間隔ずれて(オフセットされて)いることが好ましい。すなわち,複数の第2エンボス50は,千鳥状に設けられている。
図3に示した例では,正円状の第2エンボス50が,このような基本パターンで並べられている。
【0046】
また,
図3では,長手方向に隣接する第2エンボス50同士の間の長手方向の間隔(最大値)が,符号Y
2で示されている。
図3の例において,第2エンボス50の長手方向の間隔Y
2は,第1エンボス40の長手方向の間隔Y
1よりも短くなる(Y
2<Y
1)。例えば,間隔Y
2は,間隔Y
1に対して,10%〜90%,又は20%〜50%であることが好ましい。例えば,間隔Y
2は,1mm〜10mm,2mm〜5mmに設定すればよい。また,
図3では,幅方向に隣接する第2エンボス50同士の間の幅方向の間隔(最大値)が,符号X
2で示されている。
図3の例において,第2エンボス50の幅方向の間隔X
2は,第1エンボス40の幅方向の間隔X
1よりも短くなる(X
2<X
1)。例えば,間隔X
2は,間隔X
1に対して,10%〜90%,又は20%〜50%であることが好ましい。例えば,間隔X
2は,1mm〜10mm,2mm〜5mmに設定すればよい。また,
図3では,第2接合領域51の横幅,すなわち,最も幅方向内側に位置する第2エンボス50の列から最も幅方向外側に位置する第2エンボス50の列までの距離が,符号B
2で示されている。
図3の例において,第2接合領域51の横幅B
2は,第1接合領域41の横幅B
1よりも短くなる(B
2<B
1)。例えば,第2接合領域51の横幅B
2は,第1接合領域41の横幅B
1に対して,50%〜95%,60%〜90%程度となる。例えば,第2接合領域51の横幅B
2は,5mm〜15mm,7mm〜13mmとすればよい。また,第2接合領域51の横幅B
2は,サイドシート20の固定部25のうちの重畳部21の横幅に対して,30%〜100%,40〜90%の割合を占めることが好ましい。
【0047】
上記のとおり,Y
2<Y
1,X
2<X
1の関係を満たすことが好ましい。言い換えると,本発明におけるサイドシート20のエンボスのパターンでは,第2接合領域51における第2エンボス50の密度が,第1接合領域41における第1エンボス40の密度よりも高くなる。ここにいうエンボスの密度とは,単位面積当たりのエンボスの個数を意味する。例えば,
図2に示されるように,一定面積を有する正方形の枠内(点線)に含まれるエンボスの個数は,第2エンボス50の方が,第1エンボス40よりも多くなる。例えば,第2エンボス50の密度は,第1エンボス40の密度に対して,1.5倍〜10倍,2倍〜9倍,又は5倍〜8倍であることが好ましい。例えば,第2エンボス50の密度は,20〜40個/10mm
2とすればよい。これに対して,第1エンボス40の密度は,3〜10個/10mm
2とすればよい。
【0048】
また,第1エンボス領域41の横幅B
1と第2エンボス領域51の横幅B
2は,同程度であるか,第2エンボス領域51の横幅B
2の方が多少狭い程度であることが好ましい。例えば,第2エンボス領域51の横幅B
2は,第1エンボス領域41の横幅B
1に対して,50%〜100%,60%〜100%,又は80%〜100%であることが好ましい。また,第2エンボス領域51の横幅B
2が,第1エンボス領域41の横幅B
1を超えていてもよい。
【0049】
また,
図3では,サイドシート20の固定線23(固定部25と起立部24の境界線)と第2接合領域51との間の間隔を,符号Dで示している。間隔Dは,0mm〜10mmであることが好ましく,0mm〜5mm,又は0mm〜3mmであることが特に好ましい。間隔Dが0mmである場合には,第2接合領域51内に固定線23が形成されている場合も含まれる。このように,サイドシート20の第2接合領域51から固定線23までの距離は近いものであることが好ましい。
【0050】
上記のようにしてサイドシート20に形成された第2接合領域51は,少なくともその一部分が,吸収性本体10に固定される。特に,サイドシート20の第2接合領域51は,その全体が,吸収性本体10の肌対向面(すなわちトップシート11の肌対向面)に固定されていることが好ましい。すなわち,サイドシート20の第2接合領域51は,サイドシート20の固定部25の少なくとも一部を形成することとなる。
【0051】
このように,本発明では,サイドシート20の固定部25にも,第2エンボス50を付与して一定範囲を占める第2接合領域51を形成して,この第2接合領域51を吸収性本体10に固定する。第2エンボス50が付与された箇所においては,サイドシート20の繊維密度が高まるため,この固定部25の強度(曲げ剛性や引張強度)が高まる。これにより,立体ギャザーを構成するサイドシート20の起立部24の根元付近の強度を高めることができる。このため,サイドシート20の起立部24が弾性伸縮部材30によって引っ張られて起立したときに,この起立部24にコシや張りを与えることができると考えられる。これにより,立体ギャザーが着用者の肌と密着しにくくなり,さらに立体ギャザーに綺麗な皺が形成され易くなる。特に,固定部25に形成される第2エンボス50の密度を,起立部24に形成される第1エンボス40の密度よりも高くすることで,立体ギャザーのコシや張りを効果的に高めると共に,立体ギャザーの起立部分の通気性を維持することができる。つまり,起立部24の第1エンボス40の密度を高くすると,サイドシート20の繊維密度が高まり,結果として,立体ギャザーの通気性が損なわれることが懸念される。このため,起立部24の第1エンボス40の密度をなるべく低く抑えつつ,立体ギャザーの起立部分のコシや張りを強くすることが求められる。この点,固定部25に形成される第2エンボス50の密度を高めることで,起立部24の第1エンボス40の密度をなるべく低く抑えつつも,立体ギャザーのコシや張りを強くすることができる。
【0052】
図4は,上記構成のサイドシート20の製造方法の例を模式的に示している。
図4に示されるように,サイドシート20の製造するための装置は,エンボスロール210と,このエンボスロール210に対向するように配置されたアンビルロール220と,を備える。エンボスロール210は,その周面に,エンボスを付与するための複数の突起部211を有する。エンボスロール210の突起部211のパターンは,上述した第1エンボス40のパターンと第2エンボス50のパターンに相当している。また,アンビルロール220の周面は,平坦な面で構成されている。なお,アンビルロール220は,例えば,超音波振動する平坦面を持つ超音波ホーンに置き換えることもできる。
【0053】
図4に示されるように,まず,サイドシート20の一部を折り返して,内側シート層21a,外側シート層21b,及び中間シート層21cが折り重なった重畳部21を形成する。このとき,この内側シート層21aと外側シート層21bの間に,一又は複数の弾性伸縮部材30を伸長状態で挟み込んで固定する。なお,サイドシート20は,この重畳部21以外の部分が,単層で形成された非重畳部22となる。
【0054】
その後,サイドシート20を,エンボスロール210とアンビルロール220の間に導入する。これにより,サイドシート20は,エンボスロール210とアンビルロール220の間に挟み込まれ,突起部211が形成されている箇所において加圧される。このとき,エンボスロール210とアンビルロール220の両方又はいずれか一方を加熱しておき,サイドシート20を加圧すると同時に加熱することとしてもよい。
【0055】
ここで,
図4に示されるように,エンボスロール210とアンビルロール220が,サイドシート20に対して,第1エンボス40と第2エンボス50とを同時に形成する。すなわち,第1エンボス40と第2エンボス50は,一対のエンボスロール210とアンビルロール220によって形成されることとなる。具体的には,エンボスロール210は,
サイドシート20の重畳部21のうち,起立部24となる部分に第1エンボス40のパターンを形成し,これと同時に,固定部25となる部分に第2エンボス50のパターンを形成する。このように,サイドシート20の起立部24と同時に固定部25にもエンボス加工を施すようにすることで,エンボスロール210によってサイドシート20に加えられる圧力(線圧)を分散させることができる。つまり,エンボスロール210に形成された突起部211によってサイドシート20を押圧してエンボスを付与することとなる。このとき,サイドシート20に同時に接触する突起部211の数を増やすことで,この突起部211によってサイドシート20に加えられる圧力を分散させる。これにより,サイドシート20の起立部24に不必要な穴が開いてしまう事態を効果的に回避できる。さらに,第2エンボス50の密度を第1エンボス40の密度よりも高くすることで,この第1エンボス40を形成する際に付加される圧力を第2エンボス50へと効果的に分散できるため,ほぼ確実にサイドシート20の起立部24に穴が形成されるのを回避できる。
【0056】
このようにして製造されたサイドシート20は,その後,吸収性本体10に対して固定される。すなわち,まず,サイドシート20を取り付ける吸収性本体10を用意する。そして,サイドシート20を,吸収性本体10の幅方向の左右両側の肌対向面側に固定する。このとき,サイドシート20の起立部24の少なくとも一部を吸収性本体10に固定せずに,固定部25の全体を吸収性本体10に固定する。このようにして,本発明に係る吸収性物品100を得ることができる。
【0057】
以上,本願明細書では,本発明の内容を表現するために,図面を参照しながら本発明の実施形態の説明を行った。ただし,本発明は,上記実施形態に限定されるものではなく,本願明細書に記載された事項に基づいて当業者が自明な変更形態や改良形態を包含するものである。
【0058】
例えば,サイドシート20は,重畳部21の固定部25に形成された第2エンボス50において,吸収性本体10に対して接合(融着)されていてもよい。この場合,サイドシート20は,吸収性本体10のトップシート11に対して,第2エンボス50において接合される。例えば,サイドシート20の固定部25とトップシート11を重ねた後,上述したエンボスロール等によって,サイドシート20の固定部25とトップシート11を押圧しながら融着させる。これにより,上述した第2エンボス50のパターンに従って,サイドシート20の固定部25とトップシート11が接合されることとなる。特に,第2エンボス50によってサイドシート20の固定部25とトップシート11を接合すると同時に,第1エンボスによってサイドシート20の起立部24のシート層を接合することが好ましい。これにより,サイドシート20がトップシート11に固定された吸収性物品100を効率的に製造することができる。また,このようにして吸収性物品100を製造することで,立体ギャザーの起立部分のコシや張りを良化することができる。