【実施例】
【0028】
[第1実施例]
(1)構成
本発明に係る第1実施例である車両用機能性成分の保管供給装置1(以下、単に「保管供給装置1」という。)の断面図を
図1A〜
図1Cに示した。
図1Aは機能性成分fを密閉して保管する状態(第2ポジション)を示し、
図1Bは機能性成分fを車外(大気中)へ排出する状態を示し、
図1Cは機能性成分fを車室内へ放出する装置(機能性成分の放出装置/図略)へ、その機能性成分fを供給する状態(第1ポジション)を示している。なお、便宜上、
図1Aに矢印で示す方向を、上下方向または左右方向とする。また、共通した部材には、同名称、同符号または類似符号を付して、適宜、それらに関する詳細な説明を省略した。これらの点は他の実施例でも同様である。
【0029】
保管供給装置1は、方筒状の筐体11(本体)と、その筐体11の内筒に摺動可能に嵌入されたスティック状のスライドバルブ12(弁体)と、機能性成分f(液体)が充填された直方体状の容器からなるカートリッジ13(貯蔵体)と、スライドバルブ12を筐体11に対して直線的に往復動させるソレノイドバルブ(駆動源/図略)と、ソレノイドバルブを制御するECU(図略)とからなる。
【0030】
筐体11は、上壁11aの中央左側に上下方向に貫通して放出装置に連通する導出ポート111(第1ポート)を有し、下壁11bの右側に車室外へ連通する排出ポート112(第2ポート)と、その左側に外気を導入する外気ポート113(第3ポート)と、排出ポート112と外気ポート113の間で導出ポート111と同軸上にあり下壁11bを上下方向に貫通してカートリッジ13に連通する主ポート114を有する。
【0031】
スライドバルブ12は、中央右側に上下方向に貫通した主通路121(第1連通路)と、主通路121の左側に下面に開口した凹状溝からなる副通路122(第2連通路)を有する。
【0032】
カートリッジ13は、機能性成分fを長期間安定して保存できるガスバリア性に優れた樹脂製の容器からなる。カートリッジ13は、その上面側の略中央に、筐体11の主ポート114へ連通する接続ポート134を有する。この接続ポート134を介して、カートリッジ13は筐体11の下壁11bに固定される。さらにカートリッジ13には、外気をカートリッジ13内へ導入する外気導入管14が上下方向に嵌挿されている。この外気導入管14の上端開孔は、スライドバルブ12の副通路122を介して、筐体11の外気ポート113に接続され得る。
【0033】
(2)作用
先ず、
図1Aに示すように、スライドバルブ12が右端側(閉位置/第2ポジション)にあるとき、スライドバルブ12は筐体11の導出ポート111、排出ポート112および外気ポート113を全て閉塞している。このためカートリッジ13は密閉状態となり、機能性成分fは漏出等することなくカートリッジ13内に安定的に保管された状態となる。
【0034】
次に、
図1Bに示すように、スライドバルブ12が筐体11の内壁面に摺接しつつ左方へ移動する途中(中間位置)にあるとき、スライドバルブ12は筐体11の導出ポート111および外気ポート113を閉塞しつつ、排出ポート112と主ポート114を副通路122を介して連通させる。このとき、振動や高温等に曝されてカートリッジ13内で高濃度または高圧となった機能性成分f(気体)が、接続ポート134、主ポート114および排出ポート112を通じて車室外へ排出される。こうしてカートリッジ13内の機能性成分fは、放出装置への供給前に、濃度や圧力が所定範囲内となる安定状態とされる。
【0035】
さらに、
図1Cに示すように、スライドバルブ12が筐体11の内壁面に摺接しつつ左端側(開位置/第1ポジション)へ移動すると、スライドバルブ12は筐体11の排出ポート112を閉塞しつつ、導出ポート111と主ポート114を主通路121を介して連通させると共に、外気ポート113と外気導入管14を副通路122を介して連通させる。これにより、安定状態にある機能性成分fが接続ポート134、主ポート114、主通路121および導出ポート111を通じて、放出装置へ供給される。また、外気ポート113と副通路122を通じて、外気導入管14の下端開孔からカートリッジ13内へ外気が導入されるため、機能性成分fは継続的に放出装置の安定供給される。
【0036】
なお、機能性成分fの蒸気圧が小さい(機能性成分fが揮発し難い)場合などは、外気導入管14からカートリッジ13内へ外気を加圧、送気して積極的に導入してもよい。このとき、外気導入管14から供給される外気は、機能性成分fの搬送ガスともなる。
【0037】
外気導入管14からカートリッジ13内への外気の導入形態は種々考えられる。例えば、
図2A(a)に示すように、機能性成分fの液体中に、外気導入管141の下端開孔から外気を圧送してバブリングさせ、機能性成分fの揮発を促進してもよい。さらに、
図2A(b)に示すように、外気導入管142の下端開孔付近に焼結材等からなる多孔質体152を設け、この多孔質体152の表面から放出される細かな気泡によりバブリングさせてもよい。また、機能性成分fが揮発性に優れる場合なら、外気導入管143の下端開孔をカートリッジ13の上方空間に配置して、そこに滞留しているヘッドスペースガスが接続ポート134および主ポート114へ流入し易いようにするだけでもよい。
【0038】
ちなみに、機能性成分fは、液体状態でカートリッジ13に収容(保存)されている場合に限らず、
図2B(d)、(e)に示すように多孔質体154、155に添着または吸着等させた状態でカートリッジ13内に収容されていてもよい。その際、
図2B(d)に示すように、外気導入管144の下端開孔を多孔質体154の下面側に配置すると、その外気導入管144から導入された外気が多孔質体154内を通過して、多孔質体154に添着等している機能性成分fの揮発が促進される。また、高揮発性の機能性成分fを多孔質体155に添着させている場合なら、
図2A(c)の場合と同様に、外気導入管145の下端開孔をカートリッジ13の上方空間に配置して、そこに滞留しているヘッドスペースガスが接続ポート134および主ポート114へ流入し易いようにするだけでもよい。
【0039】
[第2実施例]
(1)構成
本発明に係る第2実施例である車両用機能性成分の保管供給装置2を
図3(a)〜(c)に示した。
図3(a)は平面図であり、
図3(b)は同図(a)に示すA−A断面図であり、
図3(c)は同図(a)に示すB−B断面図である。なお、
図3は、機能性成分fを放出装置へ供給する場合(弁体が第1ポジションにあるとき)を代表的に示している。
【0040】
保管供給装置2は、上円板21aと下円板21bと車室外へ連通する排出ポート212(第2ポート)と外気を導入する外気ポート213(第3ポート)とを備える枠体21(本体)と、上円板21aと下円板21bに摺動可能に挟持された円板状のディスクバルブ22(弁体)と、機能性成分f(液体)が充填された有底円筒状の容体23と、ディスクバルブ22を枠体21に対して所定角度内で回転往復動させるモータ機構(駆動源/図略)と、モータ機構を制御するECU(図略)とからなる。なお、上円板21aおよび下円板21bとディスクバルブ22とは回転軸29により摺動可能に結合されている。具体的にいうと、回転軸29は上円板21aと下円板21bにより枢支され、ディスクバルブ22は回転軸29と一体的に回転し、モータ機構は回転軸29を介してディスクバルブ22を回転させる。
【0041】
枠体21の上円板21aには、半径方向中央内側寄りで上下方向に貫通して放出装置に連通する導出ポート211(第1ポート)が形成されている。下円板21bには、半径方向中央外側寄りで上下方向に貫通して容体23に連通する主ポート214と副ポート215を有する。主ポート214と副ポート215は、周方向に所定角度分ずらした位置に配置されている。
【0042】
ディスクバルブ22は、半径方向の中央付近で半径方向に延在し、上下方向に貫通した環状の主通路221(第1連通路)と、半径方向の外周側で半径方向に延在し、上下方向に貫通すると共に外周端が開溝した副通路222(第2連通路)を有する。なお、主通路221と副通路222の周方向の位相差は、主ポート214と副ポート215の周方向の位相差に対応している。
【0043】
容体23もカートリッジ13と同様に、機能性成分fを長期間安定して保存できるガスバリア性に優れた樹脂製からなるが、その上部開口は、上述した主ポート214と副ポート215を有する下円板21bにより閉蓋されている。なお、本実施例では、枠体21とディスクバルブ22と容体23が一体的となってカートリッジを構成している場合を示したが、カートリッジ13と同様に容体23のみをカートリッジとして交換できるようにしてもよい。
【0044】
(2)作用
ディスクバルブ22が
図3に示す位置(開位置/第1ポジション)にあるとき、ディスクバルブ22は排出ポート212を閉塞しつつ、導出ポート211と主ポート214を主通路221を介して連通させると共に、外気ポート213と副ポート215を副通路222を介して連通させる。外気ポート213と副通路222を通じて副ポート215から容体23へ外気が導入されるため、機能性成分fは主ポート214、主通路221および導出ポート211を通じて放出装置へ安定供給される。
【0045】
また、ディスクバルブ22が上記の開位置に至る前で、その副通路222と枠体21の排出ポート212が同位相となる位置(中間位置)にあるとき、ディスクバルブ22は枠体21の導出ポート211および外気ポート213を閉塞しつつ、排出ポート212と主ポート214を副通路222を介して連通させる。
【0046】
このとき、振動や高温等に曝されて容体23内で高濃度または高圧となった機能性成分f(気体)が、主ポート214および排出ポート212を通じて車室外へ排出される。これにより容体23内の機能性成分fは濃度や圧力が安定な状態となる。この状態でディスクバルブ22が上述した開位置へ移行することにより、導出ポート211を通じて機能性成分fが放出装置へ安定的に供給される。
【0047】
さらに、ディスクバルブ22が右回りに回転して副通路222と主ポート214が重畳しない位置(閉位置/第2ポジション)にくると、ディスクバルブ22は枠体21の導出ポート211、排出ポート212および外気ポート213を全て閉塞する。このため容体23は密閉状態となり、機能性成分fは漏出等することなく容体23内に安定的に保管される。
【0048】
[第3実施例]
(1)構成
本発明に係る第3実施例である車両用機能性成分の保管供給装置3を
図4(a)、(b)に示した。
図4(a)はその平面図であり、
図3(b)は同図(a)に示すA−A断面図である。
図4は、機能性成分fを放出装置へ供給する場合(弁体が第1ポジションにあるとき)を代表的に示している。
【0049】
保管供給装置3は、保管供給装置2の変形例であり、その基本的な構成や動作は保管供給装置2と同様であるが、ディスクバルブ32の開閉動作により、種類(特性)の異なる機能性成分f1と機能性成分f2の保管と供給を一度に取り扱えるようにしている。具体的な構成は次の通りである。
【0050】
上円板31aと下円板31bと車室外へ連通する排出ポート3121、3122(第2ポート)と外気を導入する外気ポート3131、3132(第3ポート)とを備える枠体31(本体)と、上円板31aと下円板31bに摺動可能に挟持された円板状のディスクバルブ32(弁体)と、機能性成分f1(液体)と機能性成分f2がそれぞれ有底半円筒状の容室331、332に充填されており全体として有底円筒状をした容体33と、ディスクバルブ32を枠体31に対して所定角度内で回転往復動させるモータ機構(駆動源/図略)と、モータ機構を制御するECU(図略)とからなる。なお、上円板31aおよび下円板31bとディスクバルブ32とは回転軸39により摺動可能に結合されている。具体的にいうと、回転軸39は上円板31aと下円板31bにより枢支され、ディスクバルブ32は回転軸39と一体的に回転し、モータ機構は回転軸39を介してディスクバルブ32を回転させる。
【0051】
枠体31の上円板31aには、半径方向中央内側寄りで上下方向に貫通して放出装置に連通する導出ポート3111、3112(第1ポート)が形成されている。下円板31bには、半径方向中央外側寄りで上下方向に貫通して容室331、332にそれぞれ連通する主ポート3141、3142と副ポート3151、3152を有する。主ポート3141、3142と副ポート3151、3152は、それぞれ周方向に所定角度分ずらして配置されている。
【0052】
ディスクバルブ32は、半径方向の中央付近で半径方向に延在して上下方向に貫通した環状の主通路3211、3212(第1連通路)と、半径方向の外周側で半径方向に延在し、上下方向に貫通して外周端が開溝した副通路3221、3222(第2連通路)を有する。なお、主通路3211、3212と副通路3221、3222の周方向の位相差は、それぞれ、主ポート3141、3142と副ポート3151、3152の周方向の位相差に対応している。
【0053】
容体33は、主ポート3141、3142と副ポート3151、3152を有する下円板31bにより上部開口が閉蓋されており、容室331の機能性成分f1と容室332の機能性成分f2とが混合しないようになっている。
【0054】
ディスクバルブ32の回転によって、機能性成分f1、f2はそれぞれ、放出装置へ供給されたり、容室331、332に密閉保存される。このときの動作は、保管供給装置2の場合と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0055】
[第4実施例]
(1)構成
本発明に係る第4実施例である車両用機能性成分の保管供給装置4の断面図を
図5A〜
図5Cに示した。保管供給装置4は、保管供給装置1のスライドバルブ12とカートリッジ13を一体化した変形例である。
図5Aは機能性成分fを密閉して保管する状態(第2ポジション)を示し、
図5Bは機能性成分fを車外(大気中)へ排出する状態を示し、
図5Cは機能性成分fを放出装置へ供給する状態(第1ポジション)を示している。
【0056】
保管供給装置4は、方筒状の筐体41(本体)と、その筐体41の内筒に摺動可能に嵌入されると共に機能性成分fが添着された多孔質体43を内包する方筒状のスライドバルブ42(弁体)と、スライドバルブ42を筐体41に対して直線的に往復動させるソレノイドバルブ(駆動源/図略)と、ソレノイドバルブを制御するECU(図略)とからなる。
【0057】
筐体41は、上壁41aの中央左側に上下方向に貫通して放出装置に連通する導出ポート411(第1ポート)と、その右側に車室外へ連通する排出ポート412(第2ポート)とを有し、下壁41bの右側に外気を導入する外気ポート413(第3ポート)を有する。
【0058】
スライドバルブ42は、中央側上面を貫通した主開口421(第1連通路)と、右側下面を貫通した副開口422(第2連通路)を有する。スライドバルブ42は、機能性成分fを添着された多孔質体43の容体を兼ね、それ自体が交換可能なカートリッジを構成する。なお、スライドバルブ42内の機能性成分fは、スライドバルブ42の往復動によって振動を受けるが、多孔質体43に添着されているため、他の実施例の場合と同様に安定的に供給と保存がなされる。
【0059】
(2)作用
先ず、
図5Aに示すように、スライドバルブ42が右端側(閉位置/第2ポジション)にあるとき、スライドバルブ42は筐体41の導出ポート411、排出ポート412および外気ポート413を全て閉塞している。このためスライドバルブ42は密閉状態となり、そこに内包されている機能性成分fは漏出等することなく安定的に保管された状態となる。
【0060】
次に、
図5Bに示すように、スライドバルブ42が筐体41の内壁面に摺接しつつ左方へ移動する途中(中間位置)にあるとき、スライドバルブ42は筐体41の導出ポート411および外気ポート413を閉塞しつつ、排出ポート412と主開口421を連通させる。このとき、振動や高温等に曝されてスライドバルブ42内で高濃度または高圧となった機能性成分f(気体)が主開口421および排出ポート412を通じて車室外へ排出される。こうしてスライドバルブ42内の機能性成分fは、放出装置への供給前に、濃度や圧力が所定範囲内となる安定状態とされる。
【0061】
さらに、
図5Cに示すように、スライドバルブ42が筐体41の内壁面に摺接しつつ左端側(開位置/第1ポジション)へ移動すると、スライドバルブ42は筐体41の排出ポート412を閉塞しつつ、導出ポート411と主開口421を連通させると共に、外気ポート413と副開口422を連通させる。これにより、安定状態にある機能性成分fが主開口421および導出ポート411を通じて、放出装置へ供給される。また、外気ポート413と副開口422を通じてスライドバルブ42内へ外気が導入されるため、機能性成分fは継続的に放出装置の安定供給される。
【0062】
[第5実施例]
(1)構成
本発明に係る第5実施例である車両用機能性成分の保管供給装置5の断面図を
図6A〜
図6Cに示した。保管供給装置5は、保管供給装置4のスライドバルブ42をロータリーバルブ52とした変形例である。
図6Aは機能性成分fを密閉して保管する状態(第2ポジション)を示し、
図6Bは機能性成分fを車外(大気中)へ排出する状態を示し、
図6Cは機能性成分fを放出装置へ供給する状態(第1ポジション)を示している。
【0063】
保管供給装置5は、円筒状の筐体51(本体)と、その筐体51の内筒に摺動可能に嵌入されると共に機能性成分fが添着された多孔質体53を内包する円筒状のロータリーバルブ52(弁体)と、ロータリーバルブ52を筐体51に対して、その延在軸周りに往復回動させるモータ機構(駆動源/図略)と、それを制御するECU(図略)とからなる。
【0064】
筐体51は、上方周壁51aの中央左側に上下方向に貫通して放出装置に連通する導出ポート511(第1ポート)と、その右側に車室外へ連通する排出ポート512(第2ポート)とを有し、下方周壁51bの右側に外気を導入する外気ポート513(第3ポート)を有する。
【0065】
ロータリーバルブ52は、中央付近の周側面を周方向に沿って貫通した主開口521(第1連通路)と、中央右方の周側面を貫通した副開口522(第2連通路)を有する。ロータリーバルブ52も、スライドバルブ42と同様に、機能性成分fを添着された多孔質体53の容体を兼ね、それ自体が交換可能なカートリッジを構成する。
【0066】
(2)作用
先ず、ロータリーバルブ52が
図6Aに示すような位置(閉位置/第2ポジション)にあるとき、ロータリーバルブ52は筐体51の導出ポート511、排出ポート512および外気ポート513を全て閉塞している。このためロータリーバルブ52は密閉状態となり、そこに内包されている機能性成分fは漏出等することなく安定的に保管された状態となる。
【0067】
次に、
図6Bに示すように、ロータリーバルブ52が筐体51の内周壁面に摺接しつつ所定の角度範囲内で回転した位置(中間位置)にあるとき、ロータリーバルブ52は筐体51の導出ポート511および外気ポート513を閉塞しつつ、排出ポート512と副開口522を連通させる。このとき、振動や高温等に曝されてロータリーバルブ52内で高濃度または高圧となった機能性成分f(気体)が副開口522と排出ポート512を通じて車室外へ排出される。これによりロータリーバルブ52内の機能性成分fは、放出装置への供給前に、濃度や圧力が所定範囲内となる安定状態とされる。
【0068】
さらに、
図6Cに示すように、ロータリーバルブ52が筐体51の内周壁面に摺接しつつ所定の角度位置(開位置/第1ポジション)まで回転すると、ロータリーバルブ52は筐体51の排出ポート512を閉塞しつつ、導出ポート511と主開口521を連通させると共に、外気ポート513と副開口522を連通させる。これにより、安定状態にある機能性成分fが主開口521および導出ポート511を通じて、放出装置へ供給される。また、外気ポート513と副開口522を通じてロータリーバルブ52内へ外気が導入されるため、機能性成分fは継続的に放出装置の安定供給される。
【0069】
なお、上述した作用となるように、筐体51の導出ポート511、排出ポート512および外気ポート513の配置と、ロータリーバルブ52の主開口521および副開口522の配置とは整合している。例えば、
図6Bまたは
図6Cに示すように、ロータリーバルブ52の延在軸周りの位相を観ると、筐体51の導出ポート511と排出ポート512は同位相であり、外気ポート513はそれらに対して180°位相がずれており、これらに対応して主開口521と副開口522も延在軸周りの位相が180°ずれている。そして排出ポート512と外気ポート513は、そのいずれか一方だけが副開口522と重畳するように、延在軸方向に関して同位置に配置されている。
【0070】
[第6実施例]
(1)構成
本発明に係る第6実施例である保管供給装置6の断面図を
図7A〜
図7Cに示した。
図7Aは機能性成分fを密閉して保管する状態(第2ポジション)を示し、
図7Bは機能性成分fを車外(大気中)へ排出する状態を示し、
図7Cは機能性成分fを放出装置へ供給する状態(第1ポジション)を示している。保管供給装置6は、保管供給装置1を簡略化した変形例である。
【0071】
保管供給装置6は、方筒状の筐体61(本体)と、その筐体61の内筒に摺動可能に嵌入されたスティック状のスライドバルブ62(弁体)と、機能性成分f(液体)が充填された直方体状のカートリッジ63と、スライドバルブ62を筐体61に対して直線的に往復動させるソレノイドバルブ(駆動源/図略)と、ソレノイドバルブを制御するECU(図略)とからなる。
【0072】
筐体61は、上壁61aの中央左側に上下方向に貫通して放出装置に連通する導出ポート611(第1ポート)と、下壁61bの右側に車室外へ連通する排出ポート612(第2ポート)と、下壁61bを上下方向に貫通してカートリッジ63に連通する主ポート614を有する。スライドバルブ62は、中央付近に貫通した主通路621(第1連通路)を有する。主通路621は上方から下方に向けて拡径(または拡幅)しており、その上端側開孔径は導出ポート611の開孔径と同様であるが、その下端側開孔径は主ポート614の開孔径よりも大きくなっている。
【0073】
機能性成分fが充填されたカートリッジ63は、その上面側の略中央に、筐体611の主ポート614へ連通する接続ポート634を有し、この接続ポート634により筐体611の下壁61bに固定され得る。
【0074】
(2)作用
先ず、
図7Aに示すように、スライドバルブ62が右端側(閉位置/第2ポジション)にあるとき、スライドバルブ62は筐体61の導出ポート611および排出ポート612を閉塞している。このためカートリッジ63は密閉状態となり、機能性成分fは漏出等することなくカートリッジ63内に安定的に保管された状態となる。
【0075】
次に、
図7Bに示すように、スライドバルブ62が筐体61の内壁面に摺接しつつ左方へ移動する途中(中間位置)にあるとき、スライドバルブ62は筐体61の導出ポート611を閉塞しつつ、排出ポート612と主ポート614を下端側開孔が拡幅している主通路621によって連通させる。これにより振動や高温等に曝されてカートリッジ63内で高濃度または高圧となった機能性成分f(気体)は、接続ポート634、主ポート614主通路621および排出ポート612を通じて車室外へ排出されて、放出装置への供給前に、濃度や圧力が所定範囲内となる安定状態とされる。
【0076】
さらに、
図7Cに示すように、スライドバルブ62が筐体61の内壁面に摺接しつつ左端側(開位置/第1ポジション)へ移動すると、スライドバルブ62は筐体61の排出ポート612を閉塞しつつ、導出ポート611と主ポート614を主通路621を介して連通させる。これにより、安定状態にある機能性成分fが接続ポート634、主ポート614、主通路621および導出ポート611を通じて、放出装置へ供給される。機能性成分fが揮発し易い場合等に保管供給装置6が用いられると、装置全体の簡素化や小型化等を図れて好ましい。