(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
容器本体と、注出口と、前記容器本体内の液体を加熱する加熱手段と、前記容器本体の上方に設けられる蓋体と、前記注出口の反対側に設けられる取手を有する液体加熱容器であって、
前記蓋体は、前記容器本体内で発生する蒸気を回収する別体で且つ上ケースおよび下ケースを有する蒸気回収ユニットを有し、
前記蒸気回収ユニットは、前記取手側に前記取手方向に向かって開口する蒸気導入口を、前記注出口側に排水孔を、内部の前記排水孔より前記取手側に迂回通路を有し、
前記排水孔まわりの底面は、前記排水孔に向かって下方に傾斜することを特徴とする液体加熱容器。
【実施例】
【0016】
図1及び
図2に電気ケトル全体の斜視図及び断面図を示し、
図3及び
図4に
図2の要部拡大断面図を示す。なお、以下においては液体加熱容器として電気ケトルを用いて説明する。電気ケトルの注出口側を前方側とし、注出口と反対の取手側を後方側とし、前後方向に直交する方向を左右方向とする。
【0017】
液体加熱容器である電気ケトルSは、容器本体20、外ケース25、底ケース30、蓋体40及び電源台33を有する。なお、電気ケトルSは、容器本体20と外ケース25とを有する2重構造のものとして説明するが、外ケース25がない1重構造のものでもよい。
【0018】
容器本体20は、水等を入れる内ケースでもあり、上方が開口した筒状のステンレス製部材で、その上部には外方へ若干張り出した環状のフランジ21を有し、その下面には、加熱手段であるヒーター盤22及びソケット23を有する。
【0019】
前記外ケース25は、容器本体20の外方に隙間を有して位置する筒状の樹脂製の部材であり、その前方側には外方に向かって先細り形状の注出口26を有し、注出口26と反対側の後方側には後記する蓋体40の後方側に形成される第1蓋蒸気開口62及び第2蓋蒸気開口63のそれぞれに対向する第1ケース蒸気開口25b及び第2ケース蒸気開口25c(
図6参照)を有する。
【0020】
そして、外ケース25の後方側には、第1ケース蒸気開口25b及び第2ケース蒸気開口25cを覆う形態で取手27が設けられる。取手27は、取手本体27aと取手本体27aを後方側からカバーするカバー部材27bを有し、組付後では形成される内部空間に電線28及び後記のスイッチ収納ケース70等が配設される。
【0021】
前記取手本体27aの前方側、即ちカバー部材27bと反対側の壁面27cには、第1取手蒸気開口27d及び第2取手蒸気開口27eが設けられ、取手27が取付けられると、第1蓋蒸気開口62と第1ケース蒸気開口25bと第1取手蒸気開口27dとは一直線上に並び、第2蓋蒸気開口63に嵌入する蒸気回収ユニット80の蒸気導入口83aと第2ケース蒸気開口25cと第2取手蒸気開口27eとは一直線上に並ぶ。
【0022】
取手27は、その下端を図示しない係止片と係止溝による係止で係合し、その上端をビス29(
図3参照)によりビス止めする。なお、外ケース25の上方に肩部材を一体または別体で設け、その肩部材に取手27を設けてもよい。
【0023】
外ケース25は、その表面に色ないし模様等を施すことができるためデザイン性が向上する。また、外ケース25と容器本体20との間には断熱空間が形成されるため、外ケース25が熱くならず安全性が高まる。
【0024】
前記底ケース30は、外ケース25の下方に位置する樹脂製の皿状部材であり、その底部には電源台33の接続端子34が挿入する中央開口31を有するとともに、該中央開口31の外側には図示しない複数のビス穴を有する。
【0025】
外ケース25の上部内周部に形成される環状の内周段部25aに容器本体20のフランジ21を載置する形態で外ケース25内に容器本体20を収納し、底ケース30の上端部を外ケース25の下端部に嵌合する。
【0026】
そして、前記ビス穴に下方からビスを挿入し、そのビスを容器本体20の底部に取付けられるソケット23に螺合することにより、容器本体20と外ケース25と底ケース30とを同時に固定する。
【0027】
前記電源台33は、底ケース30の下方に位置する断面逆皿状の樹脂製の部材であり、電気ケトルSを安定した状態で支持する。電源台33内にはその中央に円柱状の接続端子34が立設する形態で有する。そして、電源台33の上に電気ケトルSを乗せて電源台33の図示しないプラグをコンセントに差し込み、取手27に設けられる押動スイッチ75を押し下げると接続端子34を介してヒーター盤22に通電される。
【0028】
前記蓋体40は、蓋カバー41、内蓋42及び蓋本体50を有し、外ケース25に対し着脱自在にされる部材である。蓋カバー41は、蓋本体50の上方を覆う平面視略円形で縦断面円弧状の樹脂部材であり、その上面には、蓋体40と外ケース25との結合及び解除を行うための2個の開閉レバー44が配置される2個の略矩形状のレバー開口44aと、後記弁部材58を開閉するための押圧ボタン45が配置される円形のボタン開口45aを有する。
【0029】
前記内蓋42は、蓋本体50の下面に当接され、環状のシールパッキン46で挟持される平面視円形で縦断面底の浅い皿状のステンレス部材であり、複数のビス穴及び複数の開口42aを有しており、図示しないビスで蓋本体50に下方からビス止めされ、ビス止め後は、蓋本体50の下面との間に後記下部室54を形成し、容器本体20内で発生する蒸気は複数の開口42aより下部室54に浸入する。
【0030】
なお、シールパッキン46は、蓋本体50の下方外周面に嵌合され、蓋体40が外ケース25の上部開口を閉蓋すると、容器本体20内の内容物をシールする。
【0031】
前記蓋本体50は、下方寄りに略水平な区画壁51、外周に上下方向の外周壁52を有し、その上下に上方が開口した大きな空間の上部室53と、下方が開口した小さな空間の下部室54を形成する。そして上部室53には、2個の開閉レバー44と、1個の押圧ボタン45が配置される。
【0032】
2個の開閉レバー44は、共に指で押圧する把持部44bと把持部44bの外方に形成される係止片44c(
図5参照)を有し、図示しないスプリングを介して対向して配置されるもので、常時はお互い離れる方向に付勢され、係止片44cを外ケース25の係止溝25d(
図6参照)に嵌合して蓋体40を閉蓋する。
【0033】
また、押圧ボタン45は、弁部材58の上端部にスプリング受60及びスプリング55を介して当接し、上方から押されると下動し、図示しないストッパ機構により、下動した位置で停止され、再度押されると停止が解除されてスプリング55の作用により上動する公知のものである。そして、上部室53には蒸気が浸入しないようにされている。
【0034】
前記下部室54は、容器本体20で発生する蒸気が侵入する空間で、その前方側には、平面視円形の垂直壁56が垂下している。垂直壁56の高さは、下部室54を形成する外周壁52より短くその下端は下部室54内に位置し、その下端には弁部材58のシールパッキン59が当接する。
【0035】
図4A(A)に示すように、円形の垂直壁56内には、垂直壁56と同じ高さのコ字状垂直壁56aが設けられ、垂直壁56の一部とコ字状垂直壁56aとで内部空間56bが形成される。さらに、内部空間56bの上面を形成する区画壁51には後記する蒸気回収ユニットの排水孔85aが連通する非円形の排水開口56cが設けられる。
【0036】
垂直壁56の下端に弁部材58のシールパッキン59が当接すると、内部に注出空間である後方側の一部が欠けた略ドーナツ状の注出通路57を形成する。この注出通路57はその前方側で注出口26に連通する。
【0037】
図4A(B)に示すように、シールパッキン59の上面は、幅狭部分59aと幅広部分59bを有し、幅狭部分59aは垂直壁56の下端部に当接して内部に注出通路57を形成し、幅広部分59bは垂直壁56の一部とコ字状垂直壁56aとの下端部に当接して内部に内部空間56bを形成して排水開口56cを閉鎖する。このようにシールパッキン59は2箇所を同時に開閉する。
【0038】
また、垂直壁56の中央には、上部室53から下部室54方向にくぼむとともに、スプリング55の下端を支持するドーナツ状の凹嵌部61を有する。
【0039】
下部室54には、樹脂製で縦断面逆T字状の弁部材58が配設される。弁部材58は弁本体58a及び弁棒58bを有する一体成形部材である。弁本体58aは、平面視円形の部材であり、その外周部には環状のシールパッキン59が嵌合される。
【0040】
弁棒58bは、弁本体58aの上面中央に立設し、弁部材58が下部室54に配置されるとドーナツ状の凹嵌部61の中央を通って上部室53に進入し、その上端は、押圧ボタン45が上方に載置するスプリング受60の下面に当接する。
【0041】
弁部材58は、通常時、スプリング55の作用により上動されており、弁本体58aの外周に嵌合されるシールパッキン59の上面は垂直壁56及びコ字状垂直壁56aの下端に当接し、容器本体20内と注出通路57とを遮断し、内部空間56bを閉鎖するが、押圧ボタン45が押し下げられる注出時には弁部材58は下動し、容器本体20内と注出通路57、及び蒸気回収ユニット内と注出通路57とを連通する。
【0042】
前記下部室54の後方側の外周壁52には、
図5に示すように下部室54と外部とを連通する円形の第1蓋蒸気開口62と、第1蓋蒸気開口62の直上に逆台形状の第2蓋蒸気開口63を有する。そして、第2蓋蒸気開口63には、後記する蒸気回収ユニット80の後端部の張出部83の後端面83bが嵌合する。なお、この後端面83bは、第2蓋蒸気開口63より若干小さい相似形でその中央には蒸気導入口83aを有する。
【0043】
前記取手27の取手本体27aとカバー部材27bとにより形成される内部空間には、電線28の他にスイッチ収納ケース70が設けられる。スイッチ収納ケース70内には、スイッチ支持台71が収納される。
【0044】
スイッチ収納ケース70内にスイッチ支持台71が収納されるとスイッチ支持台71の後方側半分は、取手本体27aとカバー部材27bとにより形成される内部空間に連通するが、前方側半分は、後方側半分に対して図示しないシール材により水密状態とされ、蒸気が後方側に流出しないようにされる。
【0045】
スイッチ支持台71の前方側半分とスイッチ収納ケース70との間にケース上部空間72及びケース下部空間73を形成する。なお、ケース上部空間72とケース下部空間73とは、スイッチ支持台71の左右側において連通している。
【0046】
スイッチ支持台71の後方側には図示しない接続端子を有し、電線28と接続される。また、スイッチ収納ケース70の上方には、押動スイッチ75が揺動自在に軸支され、押動スイッチ75を下方に押すと、スイッチがオンし、押動スイッチ75内の表示灯76が点灯する。
【0047】
前記スイッチ支持台71の前方側半分の底面は略20度の傾斜面71aとされ、その傾斜面71aには沸騰検知手段に相当する蒸気を感知して通電をオフする薄い板状のバイメタルスイッチ74が設けられる。
【0048】
前記スイッチ収納ケース70の前方には、
図8に示すようなパッキン67が嵌合される。パッキン67は、前方側に2個の長さの短い筒状部68と、後方側に略皿状の本体部69を有する一体のもので、筒状部68には第1パッキン開口68a及び第2パッキン開口68bを有し、本体部69は筒状部68側が略円弧状の壁面で、反対側が開口され、その開口の全外周端には図示しない嵌合溝が形成される。
【0049】
そして、スイッチ収納ケース70の前端部に本体部69の嵌合溝を嵌合して
図8に示すスイッチ収納ケースユニットを形成する。その結果、スイッチ支持台71の前方側半分とスイッチ収納ケース70とで形成される空間と、本体部69内の空間との間に蒸気通路になるケース上部空間72とケース下部空間73とが形成される。
【0050】
前記スイッチ収納ケースユニットを、取手本体27aの後方側からパッキン67を前にして前方側に押し込む。すると、筒状部68の下方の第1パッキン開口68aは、第1取手蒸気開口27d及び第1ケース蒸気開口25bとを通り、第1パッキン開口68aの先端は、第1ケース蒸気開口25bの内側に突出する。また、筒状部68の上方の第2パッキン開口68bは、第2取手蒸気開口27e及び第2ケース蒸気開口25cとを通り、第2パッキン開口68bの先端は、第2ケース蒸気開口25cの内側に突出する。その状態を
図6に示す。
【0051】
そして、蓋体40を閉蓋すると、蓋体40の第1蓋蒸気開口62の外側外周には第1パッキン開口68aの先端が当接して、第1蓋蒸気開口62をシールし、第2蓋蒸気開口63が嵌合する蒸気回収ユニット80の蒸気導入口83aの外側外周には第2パッキン開口68bの先端が当接して、蒸気導入口83aをシールする。
【0052】
その結果、容器本体20内は、第1蓋蒸気開口62及び第1パッキン開口68aを介して、取手27内の上方のケース下部空間73及びケース上部空間72に連通し、さらにケース上部空間72は、第2パッキン開口68b及び蒸気導入口83aを介して、蓋体40内の蒸気回収ユニット80内に連通する。
【0053】
そして、容器本体20内で発生する蒸気は、
図3で矢印で示すように第1蓋蒸気開口62、第1パッキン開口68a、ケース下部空間73、ケース上部空間72、第2パッキン開口68b及び蒸気導入口83aの順で流れる。
【0054】
蒸気が第1パッキン開口68aからケース下部空間73に水平に流れ込むと、蒸気は斜め上方に上昇する。ケース下部空間73では、略20度傾斜したスイッチ支持台71の傾斜面71aにバイメタルスイッチ74が設けられており、ケース下部空間73に浸入した蒸気の大部分は直接バイメタルスイッチ74に当たる。
【0055】
バイメタルスイッチ74が蒸気を検知すると、押動スイッチ75がオフする。その結果、少量の蒸気であってもバイメタルスイッチ74で適切に検知することができるようになる。その結果、消費電力が低減する。
【0056】
バイメタルスイッチ74に直接当たった蒸気は、スイッチ支持台71の前方及び左右の隙間を通ってケース上部空間72に出、蒸気導入口83aから蒸気回収ユニット80内に導入される。このように蒸気経路は1経路であり、且つバイメタルスイッチ74を取手27の上方に設けることにより全体の経路長を短くできる。そのため、容器本体20内で発生する全蒸気がバイメタルスイッチ74に早期に流れるため、沸騰初期の少ない蒸気での検知が可能になる。
【0057】
蓋体40の上部室53の押圧ボタン45の後方側には、
図9に示すように蒸気回収ユニット80が水平に配置される。なお、蒸気回収ユニット80は、蓋カバー41との間及び上部室53との間に空気層である上部空間80a及び下部空間80bを有しており、容器本体20の熱の伝達を防止するとともに、蓋カバー41が熱くなり火傷する恐れを低減している。
【0058】
蒸気回収ユニット80は、略前方後円状の樹脂製部材であり、上ケース81及び下ケース82からなる。上ケース81及び下ケース82は、ほぼ同形であり、後方側に張出部83を有し、前方側に蒸気回収部84及び排水部85を有し、右側方にバイパス部86を有する。
【0059】
また、上ケース81の外周部の下端には、全周に亘る長さの短いリブ81aと、中央に矩形状の開口を有する複数の開口係止片81bが垂下し、下ケース82の外周部の上端には、全周に亘る環状溝82aと、突起状の突条係止片82bが垂下しており、環状溝82a内にシールパッキン82d(
図12参照)を介在した環状溝82a内にリブ81aを嵌入し、環状溝82aと突起状の突条係止片82bとを係止することにより、上ケース81と下ケース82とを組み立て、蒸気回収ユニット80が形成される。
【0060】
上ケース81及び下ケース82はそれぞれ同じ位置にビスボス81c及び82cを有しており、ビスボス81c及び82cに図示しないビスを挿入することにより蒸気回収ユニット80を蓋本体50に固定する。なお、上ケース81及び下ケース82は超音波溶着や振動溶着により結合してもよい。
【0061】
上ケース81及び下ケース82の内部については、
図10の下ケース82を用いて説明する。前記張出部83は、後方側に形成される部分で、平面視略矩形状で、側面視前方側に向かって若干傾斜している。そして、その傾斜面を後方側から見た後端面83bの形状は上述したように逆台形状で、その中央には蒸気導入口83aを有し、蒸気を蒸気回収ユニット80内に導入する。
【0062】
前記蒸気回収部84は、導入した蒸気の全てを結露水にする部分で、第1迂回通路壁84a、第2迂回通路壁84b、第3迂回通路壁84c及び第4迂回通路壁84dを有し、各通路壁間に蒸気が流れる蒸気通路87を形成する。なお、符号88aは他のビスボスであり、上ケース81側から図示しないビスを挿入してビス止めする。また、88bは迂回板であり、蒸気を迂回させる。
【0063】
第1迂回通路壁84aは、左側から右側に向かって設けられる壁で、その左側の上流端近傍が円弧状で残りが直線状であり、右側の下流側が前方側、即ち注出口26側に傾斜している。そして、上流端である円弧状の先端と左側の外周壁89との間には隙間84aaを有する。この隙間84aaは蒸気が素通りしない程度の狭い隙間とされる。そのため、蒸気は第1迂回通路壁84aに沿って右側の下流側に至り、第2迂回通路壁84bに向かう。このように上流端近傍を円弧状にすることにより、蒸気の回り込みを良好にする。その結果、蒸気の速度が速まり結露効果が向上する。
【0064】
第2迂回通路壁84bは、右側から左側に向かって設けられる壁で、その略中央にビスボス82cを有し、その右側の上流端近傍が円弧状で残りが直線状であり、左側の下流側が前方側、即ち注出口26側に傾斜している。そして、上流端である円弧状の先端と右側の外周壁89との間には隙間84bbを有する。この隙間84bbは蒸気が素通りしない程度の狭い隙間とされる。そのため、蒸気は第2迂回通路壁84bに沿って左側の下流側に至り、第3迂回通路壁84cに向かう。このように上流端近傍を円弧状にすることにより、蒸気の回り込みを良好にする。その結果、蒸気の速度が速まり結露効果が向上する。
【0065】
第3迂回通路壁84cは、左側から右側に向かって設けられる壁で、その左側の上流端近傍が円弧状で残りが直線状であり、右側の下流側が前方側、即ち注出口26側に傾斜している。そして、上流端である円弧状の先端と左側の外周壁89との間には隙間84ccを有する。この隙間84ccは蒸気が素通りしない程度の狭い隙間とされる。そのため、蒸気は第3迂回通路壁84cに沿って右側の下流側に至り、第4迂回通路壁84dに向かう。このように上流端近傍を円弧状にすることにより、蒸気の回り込みを良好にする。その結果、蒸気の速度が速まり結露効果が向上する。
【0066】
第4迂回通路壁84dは、右側から左側に向かって設けられる壁で、その右側の上流端はバイパス通路壁86aと一体になり、左側の下流側が前方側、即ち注出口26側に傾斜している。そのため、蒸気は第4迂回通路壁84dに沿って左側の下流側に至り、排水部85に向かう。
【0067】
このように、第1迂回通路壁84a、第2迂回通路壁84b、第3迂回通路壁84c及び第4迂回通路壁84dの全ては、下流側が前方側、即ち注出口26側に傾斜しているとともに、ジグザク状の蒸気通路87を形成しており、蒸気の結露水への変換を容易にするとともに、発生する結露水は容易に排水部85に集められる。
【0068】
前記排水部85は、蒸気レスとなって発生する結露水を集めて排水する部分であり、第4迂回通路壁84dと外周壁89との間の注出口26側に形成され、その中央には上下方向に開口する排水孔85aを有する。また、排水部85のまわりの底面は、
図12で矢印で示すように、排水孔85aに向かって下方に傾斜しており、結露水の排水孔85aへの流れを良好にする。
【0069】
前記バイパス部86は、蒸気レスとなった蒸気の圧力を外部に放出する部分であり、右側の外周壁89に沿って形成されるバイパス通路壁86aと右側の外周壁89との間にバイパス通路90を形成する。
【0070】
そして、その上流側は排水部85の右側方に連通し、その下流側は張出部83近傍まで伸びている。そして、その下流側は張出部83とは遮断されるとともに、最下端の位置の上ケース81に設けられる排気口91に連通する。この結果、圧力はこの排気口91より上部室53を介して外部に放出される。
【0071】
上ケース81と下ケース82とを一体にした蒸気回収ユニット80を蓋本体50の上部室53に上部空間80a及び下部空間80bを有して取付けると、張出部83の後端が蓋本体50の第2蓋蒸気開口63に嵌入し、後端面83bの蒸気導入口83aは第2パッキン開口68bの先端に当接する。
【0072】
また、排水部85の排気口91は、図示しない環状パッキンを介して、区画壁51に形成される排水開口56cを囲む形態で当接する。
【0073】
その結果、容器本体20内で発生する蒸気は、第1蓋蒸気開口62、第1パッキン開口68a、ケース下部空間73、ケース上部空間72、第2パッキン開口68b及び蒸気導入口83aを介して蒸気回収ユニット80内に浸入する。
【0074】
蒸気回収ユニット80内に浸入した蒸気は、
図12で破線で示すように流れ、途中で全て結露水になる。そして、圧力は実線で示すようにバイパス通路90を経て排気口91より外部に放出される。残った結露水は、排水孔85a方向に集められる。
【0075】
注出時、電気ケトルSが前方に傾けられ、弁部材58が押し下げられると、シールパッキン59の幅広部分59bによって閉鎖されていた内部空間56bが注出通路57に連通するため、蒸気回収ユニット80内の結露水は排水孔85aより注出通路57に排出され、湯とともに注出口26より外部に排出される。
【0076】
なお、注出時、蒸気回収ユニット80内には蒸気導入口83aを介して容器本体20内の負圧が作用するため、排気口91から空気を導入する。この空気はバイパス通路90を通って蒸気回収ユニット80内を流れ、蒸気回収ユニット80を冷却する。そのため、続いて湯を沸かす場合の蒸気回収ユニット80での蒸気回収を良好にする。
【0077】
このように空気を導入する排気口91を排水孔85aより後方側である取手27側に設けることにより蒸気回収ユニット80の冷却効果を高めることができる。
【0078】
図13に蒸気回収ユニット80の結露水の排出構造が異なる例を示す。この例は、排水孔85aを常時注出通路57に連通するものである。なお、既に説明したものと同じものは同じ符号を付して説明は省略する。
【0079】
蒸気回収ユニット80は、ほぼ全ての構成は上述したものと同じである。相違は、
図4A(A)で示すコ字状垂直壁56aと(B)で示す幅広部分59bがなく、蒸気回収ユニット80の排水孔85aが常時注出通路57に連通する点である。
【0080】
また、このような構造であると、圧力が抜ける経路は、排水孔85aと排気口91の2箇所になること、排気口91は注出時の空気導入のために必要であるが、蒸気回収部84になく、この蒸気回収部84を冷却する効果は低いことをも踏まえて排気口91を閉鎖するか、或いは排気口91及びバイパス部86を廃止する。
図13では排気口91を閉鎖した例を示す。
【0081】
ところで、排気口91等を廃止すると、注出時に蒸気回収ユニット80内に空気が導入しなくなって結露水の排出が良好に行われなくなる。そのため新たに外気導入口95を設ける。
【0082】
この外気導入口95は、蒸気回収部84に外気が導入されればどの位置でもよいが、この例では、第2迂回通路壁84bと第3迂回通路壁84cとの間の蒸気通路87に連通するように上ケース81に設ける(
図10参照)。なお、下ケース82では
図12に丸破線で示す位置になる。
【0083】
そして、この外気導入口95の内側には、常時は外気導入口95を閉鎖し、注出時に蒸気回収ユニット80内が負圧になると開放して蒸気回収ユニット80内に空気を取り込む図示しない板状の逆止弁が設けられる。
【0084】
このような構造であれば、注出時のみではなく、電気ケトルSを前方側に傾けたり、或いは単に蓋体40のみを前方側に傾けることにより、蒸気回収ユニット80内の結露水を排出することができる。また、外気導入口95を排水孔85aより後方側の蒸気回収部84に設けることにより蒸気回収ユニット80の冷却効果をより高めることができる。
【0085】
なお、ユーザーが蓋体40を取り外し、注出口26側が上になるように置くと、蒸気回収ユニット80内に残った結露水を、各迂回通路壁と外周壁89との隙間84aa、84bb及び84ccを通して蒸気導入口83aから排出することができる。
【0086】
本願発明は、前記実施例の構成に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜設計変更可能である。