【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題は、本発明によれば請求項1に記載のセンサ構造素子により達成される。有利な構成は、さらなる請求項から読み取り可能である。
【0007】
本発明のセンサ構造素子は、第1センサ素子を具備するが、この第1センサ素子は、MEMSセンサとして、例えば、チップとして設計されて形成されている。通常応力に敏感なMEMSセンサは、機械的張力から切り離されて、筐体の空洞により形成された中空空間中に配置されている。
【0008】
第2センサ素子は、ASICとして、すなわち、集積回路と能動センサ面とを備えたチップとして形成されている。第2センサ素子は、蓋の上、中または下に配置されていて、これにより、筐体空洞すなわちセンサ構造素子用の中空空間が閉鎖されている。
【0009】
センサ構造素子は、電気外側接点を有し、これらは筐体の外側面に配置されている。筐体自体は、底面部材と、枠形状で形成された壁部材と、蓋とを有し、これらが、共になって上述の中空空間全体を取り囲む。
【0010】
筐体中でセンサ機能を可能にするために、筐体内に配置されている第1センサ素子から、および、妥当な場合には第2センサ素子からも周辺の空気へのアクセスが必要である。そのために、中空空間ないし筐体は、蓋、底面または壁部材中に少なくとも1つの開口を有する。
【0011】
双方のセンサ素子が空間的に非常に近くにあることにより、双方のセンサ機能、すなわち、双方の物理的パラメータの測定は、同じ場所で行われうる。この点は、とりわけ、計測値が互いに依存性を有する特定のパラメータの組み合わせにとって有利であり、その結果、計測は、空間的および時間的に短い間隔で、近くに隣接するセンサ素子を用いて精確に行うことが可能になる。
【0012】
筐体の内側にまたは筐体に接する位置に双方のセンサ素子を配置することにより、死容積がわずかしか発生せず、その結果、双方のセンサ素子の応答時間が確実に短くなる。さらに第2センサ素子用の筐体を節約できるので、双方のセンサ機能が、最小の外側寸法を有するセンサ構造素子によって利用可能にもなる。
【0013】
本発明のある実施形態では、MEMSセンサが、張力なしにバネ接点部材上に取り付けられていて、このバネ接点部材は、一方では、MEMSセンサの接触面を、底面部材の内側面上にある内側接続部と接続し、他方では、張力なしに筐体の内側にMEMSセンサを取り付けることが可能になる。さらに、弾性をもって引っ掛けることにより、MEMSセンサは、機械的な負荷に対して、例えば衝撃に対して良好に保護されている。迅速なまたは激しい温度変化もバネ接点部材により相殺可能で、その結果、MEMSセンサは、外気温に依存せず、誤りなしに動作可能となる。したがって、応力の問題は、この瞬間に達成可能なセンサ分解能が、ナノメータ以下の範囲での膜の歪みに相当するという理由のみがゆえに顧慮すべきである。例えば弾力性のない基板上でのバンプ接続の場合に得られるように、過剰に弾力性のない取り付けでは、はんだバンプを介して、例えば柔らかい接着剤およびワイヤボンディング接続部を介した場合よりも、ずっと大きい力がセンサチップとして形成されたセンサ素子に伝えられる。これにより、MEMSチップが、張力に対して敏感に反応する。これが本発明では回避される。
【0014】
バネ接点部材は、長い板バネとして形成可能であり、これは、その一端で、筐体底面に、他端でこの底面から離れてMEMSセンサと接続されている。このバネ接点部材は、一度または複数回、角度をつけられ、曲げられ、または螺旋形状でも形成可能である。
【0015】
センサ構造素子は、少なくとも1つのASICを有し、これは、第2センサ素子のセンサ機能を支援し、出力値を生成する。第2センサは、完全にまたはASIC上または中に実現可能である。その後、ASICは、この場合、大きさの比率に応じて、任意選択的に蓋または底面側に格納可能である。
【0016】
ASICは、とりわけフリップチップ技術で取り付けられている。ある構成では、このASICは、第1センサ素子のセンサ機能を支援するためにも利用可能で、この素子のためにも出力値を生成可能である。半導体構造素子の内側に集積することにより、センサ構造素子のために必要な体積をさらに最小限にすることができる。双方のセンサ素子のために1つの半導体構造素子のみを使用する場合、すなわち1つのASICのみを使用する場合、ASICの様々な回路を、双方のセンサ素子のために共通に利用可能である。これにより、さらなる相乗効果が生じる。
【0017】
ある実施形態では、第1センサ素子がMEMS圧力センサとして形成されている。
本発明のある実施形態では、第2センサ素子は湿度センサとして形成されている
本発明のある実施形態では、第2センサ素子は温度センサとして形成されている。
【0018】
本発明のさらなる実施形態では、第2センサ素子が、湿度および温度をほぼ同時に測定するように形成されている。その場合、センサ構造素子は3つのセンサ機能を有し、3つのパラメータについての相応の計測値を並列的に供給することができる。これらの双方の機能は、1つの共通の能動センサ面上で実現され、この場合、このセンサ面上で、妥当な場合には、2つの独立した計測素子が、2つのセンサ機能のために形成されていて、これらは、例えば、温度を測定するための抵抗路と、コンデンサ(これは、このコンデンサの誘電体として利用される材料の、湿度に依存する誘電定数を測定する)とである。温度センサは、半導体効果をベースにした温度センサも可能で、したがって、ASICの内側の表面下に実現可能である。
【0019】
圧力および湿度の双方のパラメータを精確に計測するために、第1センサ素子の近くでの精確な温度計測も必須であり、これは、集積されているがゆえに、一度実現されるのみで良い。
【0020】
ある好適な実施形態では、筐体の蓋は導体基板として形成されていて、この中に、集積された相互接続部が実現されている。相互接続部は、第2センサ素子と接続されている。ASICは、さらに底面部材の下面にある外側接点と接続されている。この電気的接続は、導体基板を介して行われ、その後、壁部材の内側で伸び、最後に底面部材を貫通して電気外側接点へと導かれる。
【0021】
電気接続は、異なる筐体部品中で予め製造されていて、個々の部品を取り付ける際にないし筐体の中空空間を閉じる際に、電気的に互いに接触される。この接触は、はんだ付けにより行われうる。しかし、この電気的および機械的接続を、導電性接着剤の使用により生成することも可能である。
【0022】
ある実施形態では、センサ構造素子は、上方に配置されている蓋中に開口を有する。第2センサ素子の能動センサ面は、この開口の下方で配置されていて、その結果、能動センサ面は、自由でほぼ妨げられることなく周辺の空気へアクセスする。この点は、第2センサ素子が、現時点でのないし正確な計測値を供給するために、特に良好で迅速な空気交換を頼っているので、有利である。
【0023】
ある実施形態では、蓋の開口が、下からないし内側から閉鎖されるように、第2センサ素子が配置され、取り付けられている。これは、第2センサ素子が接着剤を用いて下から蓋上に接着されていることにより行われうる。第2センサ素子を、下方で蓋に対して距離をとって固定し、続いて、第2センサ素子の上面と蓋の下面との間の空間を、少なくとも第2センサ素子の縁に沿って、アンダーフィルを充填しおよび密閉することも可能である。
【0024】
第2センサ素子と蓋との間の間隔は、例えば電気的な接続素子を介して生成可能であり、これは、バンプまたははんだ接合部として形成されている。双方の場合で、密閉部、したがって、接着剤またはアンダーフィルは、能動センサ面にはこれらが付着しないであり続けるように、塗布されている。液体状で加工可能なアンダーフィルの場合は、この点は、アンダーフィルが、毛細管力により蓋と第2センサ素子との間の中間空間中に拡散されるが、開口の下方では、すなわち能動センサ面の上方では存在しないように塗布され、その結果、確実に能動センサ面にはアンダーフィルが付着しないであり続けうる。接着剤を使用する場合には、接着剤が構造化されてASICないし第2センサ素子上に塗布される。接着剤を蓋の下面に塗布することも可能である。
【0025】
接着の場合には、ASICと導体基板との電気接続は、ボンディングワイヤにより製造される。電気的な異方性を有する導電性接着剤を採用することも可能であり、この接着剤は最も短い路で接着剤層を通って垂直にのみ電気を通すことが可能である。
【0026】
ある実施形態では、筐体はブシュを有し、このブシュが、筐体の内側ないし中空空間を、筐体の外側の周辺と接続する。これにより、MEMSセンサが周辺と確実に直接接続することができる。均圧は、小さい開口において、および、内側空間であるにもかかわらず、非常に迅速に行われる。周辺へのアクセスにより、センサ構造素子の周辺における物理的なパラメータの測定も、中空空間の内側での測定により可能になる。
【0027】
有利であるのは、圧力センサとして形成された第1センサ素子が、適切な保護方策(例えば、長く薄い管の形態での開口の形成、間に配置されている膜または疎水性のフィルターなど)を備えて、センサ構造素子の周辺で、湿度から保護されている場合である。このために、相対的に流動断面が小さい場合でも、および、上述の素子の追加的な流動抵抗がある場合でも、均圧が十分に迅速に行われうることは非常に合っている。
【0028】
ブシュは、筐体の蓋、底面部材または壁部材を通って導かれる孔でありえる。
ある実施形態では、蓋と壁部材との間にブシュが形成され、これによって周辺との空気交換、および、したがって中空空間の内部での周辺パラメータの測定がすでに可能になるように、蓋は、壁部材上に距離をとって固定されている。
【0029】
本発明のある実施形態では、開口を1つのみまたはブシュを1つのみ設け、このブシュを介して、双方のセンサ素子が筐体の周辺と接続されていることが可能である。
【0030】
本発明のある実施形態では、底面部材も同様に導体基板として形成されている。この導体基板は、内側に置かれた金属部面を少なくとも1つ有し、この金属部面が、ヴィアを介して、底面部材の内側にある内側接続面と、および、底面部材の下面にある電気外側接点と接続されている。
【0031】
ある実施形態では、第2センサ素子は、蓋の下面に取り付けられていて、箔でもって蓋の方に向かって密閉されている。この箔は、この場合、内側から見ると第2センサ素子の上方に塗布されていて、第2センサ素子の周囲を全面で蓋と共に断絶する。
【0032】
ある実施形態では、筐体は開口を有し、この開口は、第2センサ素子の上方で、蓋を通って導かれている。第2センサ素子は、下方で蓋に対して、これに対して距離をとって取り付けられていて、例えば、はんだ接点を介して取り付けられていて、その結果、蓋と第2センサ素子との間の間隙は維持される。この間隙を介して、中空空間への空気の流入が起こり、これにより、第2センサ素子への空気の流入も起こり、これにより、第1センサ機能のためのさらなる開口またはブシュが余分になる。逆に、ブシュが、第1センサ素子の領域で、とりわけ底面部材を通って設けられ、このようにして、第1および第2センサ素子についての、筐体の内側への共通の空気流入を形成することも可能である。
【0033】
第1センサ素子も、従来の方法で底面部材に固定可能であり、例えば、例えばフリップチップ設計での直接的なはんだ付けにより固定可能である、第1センサ素子を、内側で底面部材上に接着し、ボンディングワイヤを用いて、底面部材の相応の内側接続面と接続することも可能である。
【0034】
開口を第2センサ素子の上方に設けることも可能であり、この開口は、内側空間に対して密閉されていて、追加的に、蓋を通る1つの開口を第1センサ素子用に第2センサ素子の横で設ける。これにより、双方のセンサ素子の湿度に対する異なる感度を、それぞれに依存せず正当に評価することが可能となる。このようにして、第2センサ素子について、外気に対して可能な限り露出するアクセスを生じさせることができ、迅速で、歪みのない空気湿度の計測が可能になる。圧力センサないし第1センサ素子は、逆に、上ですでに例示的に説明した方策を用いて、湿度に対して保護可能である。
【0035】
さらなる実施形態では、第2センサ素子が蓋中に埋め込まれていて、これは、例えばラミネートにより行われることができ、第2センサ素子は、この場合、ラミネート層のうちの1つと共にラミネートされる。能動センサ面への開口は、後の時点で形成されるか、または、構造化されたラミネート箔の形態として、予め空けられている。
【0036】
蓋中に統合された第2センサ素子への開口は、下からないし中空空間から設けられうる。しかし、この開口を上方に向かって直接周辺に対して設けることも可能である。
【0037】
個々の筐体部品は、互いに依存せず様々な材料から製造可能である。好適であるのは、導体基板の製造にも採用される材料、とりわけ有機ラミネートまたはセラミック製の多層構造素子である。底面部材および壁部材は、1つにまとめて製造可能である。しかし、底面部材および壁部材を切り離して製造し、これに続いて初めて、互いに電気的および機械的に接続することも可能である。蓋部材は、好ましくは別に製造される。
【0038】
筐体部品の生産は、好ましくは多面取りプリントパネルで行われうるが、この際、複数の筐体部品を、大面積の加工品から並列的に加工可能である。可能であるのは、例えば、複数の底面部材および好ましくは壁部材も、大面積の第1加工品上で実現し、第2加工品上に対応する蓋を並列的に予め製造する。双方の加工品上に、その後、それぞれセンサ素子を相応の箇所に載置し、または、この中にラミネートして入れ、そして電気的に接触させる。続いて、双方の加工品を、電気的および機械的に互いに接続し、妥当な場合には密閉する。
【0039】
続いて、双方の加工品により接続されたセンサ構造素子を個々に分ける。これは、例えば鋸切断によりまたはこれ以外の各切り離し方法により行われうる。好ましくは少なくとも1つの加工品中に予め作られた切り取り線を生成可能で、この箇所で、加工品が、それぞれ他方の加工品と接続される前に、すでに少なくとも部分的に切り離され、その結果、個々に分ける工程がより確実に行われうるようにする。
【0040】
あるいは、すでに個々に分けられ、および妥当な場合には機能を試験した蓋を、まだ結合状態にある底面部材上に載置することができる。個々に分けるのは、製造が完成した後である。この方法の利点は、個々に分けられた際には中空空間がすでに閉じているという点である。
【0041】
以下に、本発明を、実施形態およびこれに関連する図に基づいて、より詳細に説明する。これらの図は、少なくとも部分的に概略図であるのみで、正確な尺度で説明されているのではなく、絶対的な尺度でも相対的な尺度でも読み取ることはできない。個々の部分は、明瞭であるように、拡大提示の可能性がある。等しい部分または作用が等しい部分には同じ参照符号が付されている。等しい部分または作用が等しい部分が実際に変更されることなく、したがって、複数の図中で明確に認識可能に存在している場合、参照符号は、記された部分が最初に現れた1つまたは複数の図から読み取り可能である。より良くわかるように、合致する参照符号は省略している場合がある。