(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記光透過性基板が、前記第1の接合部材及び前記第2の接合部材を用いて前記第1の接続用電極及び前記第2の接続用電極と前記配線パターンとの接続を形成する温度に対して、耐熱性を有することを特徴とする請求項2に記載の発光装置。
前記第2の半導体層の側面から前記発光素子の積層方向と垂直な方向に延伸し、前記第2の半導体層と前記第2の接続用電極とを電気的に接続する第2の引き出し電極を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の発光装置。
前記第1の接続用電極及び前記第2の接続用電極と前記光透過性基板との界面が、前記発光素子からの出射光を反射するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の発光装置。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。また、以下に示す実施形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、この発明の技術的思想は、構成部品の形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。この発明の実施形態は、請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
【0011】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態に係る発光装置は、
図1に示すように、支持基板10と、第1の半導体層21の上方に第2の半導体層23を配置した積層構造を有し、支持基板10の上に配置された発光素子20と、発光素子20の上方に配置された光透過性基板70と、第1の半導体層21と電気的に接続する第1の接続用電極41と、第2の半導体層23と電気的に接続する第2の接続用電極42とを備える。
【0012】
第1の接続用電極41は、支持基板10の第1の側面101上から、発光素子20の側面上を経て、光透過性基板70の第1の側面701上に亘って、連続的に配置されている。第2の接続用電極42は、第1の接続用電極41と離間して、支持基板10の第2の側面102上から、発光素子20の側面上を経て、光透過性基板70の第2の側面702上に亘って、連続的に配置されている。以下において、第1の接続用電極41と第2の接続用電極42を総称して、「接続用電極」という。詳細は後述するが、
図1に示した発光装置は、支持基板10及び光透過性基板70に向いた側面と対向する接続用電極の側面を介して、発光装置を取り付けた実装基板に配置された配線パターンと電気的に接続される。
【0013】
図1に示した発光装置では、発光素子20に電流を供給する接続用電極が、発光装置の側面に配置されている。そして、発光素子20の下方には、第1の接続用電極41と第2の接続用電極42とに挟まれて支持基板10が配置されている。平面視で、発光素子20の下面の全体が、支持基板10に覆われている。
【0014】
発光素子20は、第1導電型の第1の半導体層21と第2導電型の第2の半導体層23を有する積層構造である。第1導電型と第2導電型とは互いに反対導電型である。即ち、第1導電型がP型であれば、第2導電型はN型であり、第1導電型がN型であれば、第2導電型はP型である。以下では、第1導電型がP型であり、第2導電型がN型である場合を例示的に説明する。例えば、発光素子20は、第1の半導体層21をP型クラッド層、第2の半導体層23をN型クラッド層とするLED素子である。
図1に示した例では、第1の半導体層21、発光層22、第2の半導体層23が積層されたダブルヘテロ構造を発光素子20に使用している。
【0015】
第1の接続用電極41から第1の半導体層21に正孔が供給され、第2の接続用電極42から第2の半導体層23に電子が供給される。そして、発光層22に、第1の半導体層21から正孔が注入され、第2の半導体層23から電子が注入される。注入された正孔と電子が発光層22で再結合することにより、発光層22で光が発生する。
【0016】
発光素子20は、第2の半導体層23の主面を光取り出し面としている。発光素子20の出射光は、第2の半導体層23の上方に配置された光透過性基板70を透過して、発光装置から出力光Lとして出力される。光透過性基板70は、発光素子20の封止材及び発光装置のレンズとして機能する。
【0017】
発光素子20の第1の半導体層21と第1の接続用電極41とを接続する第1の引き出し電極51が、第1の半導体層21の下面と電気的に接続されている。なお、第1の半導体層21の下面には、反射金属層30が配置されており、第1の引き出し電極51は、反射金属層30を介して、第1の半導体層21と電気的に接続している。第1の引き出し電極51は、発光素子20の積層方向と垂直な方向に延伸して、発光素子20の側面上に配置された第1の接続用電極41に接続する。
【0018】
発光素子20から第1の半導体層21の方向に進行した出射光は、反射金属層30の表面において反射する。即ち、反射金属層30によって、光取り出し面とは逆方向に進行する発光素子20の出射光を、光取り出し面に向けて反射させることができる。このため、出力光Lの輝度を向上することができる。反射金属層30には、発光素子20の出射光に対する反射率が高く、且つ、第1の半導体層21とオーミック接触の可能な導電性材料が使用される。例えば、銀パラジウム合金などの銀系合金などの白色系の金属膜が、反射金属層30の材料に好適に使用される。
【0019】
発光素子20の第2の半導体層23と第2の接続用電極42とを接続する第2の引き出し電極52が、第2の半導体層23の下面と電気的に接続されている。
図1に示すように、第2の半導体層23は、平面視で第1の半導体層21及び発光層22の配置されていない領域まで水平方向に延伸する領域(以下において、「延伸領域」という。)を有する。第2の引き出し電極52は、第2の半導体層23の延伸領域の下面に接続している。第2の引き出し電極52は、発光素子20の積層方向と垂直な方向に延伸して、発光素子20の側面上に配置された第2の接続用電極42に接続する。
【0020】
なお、発光素子20の側面及び下面を覆って配置された保護膜60によって、発光素子20、接続用電極、第1の引き出し電極51及び第2の引き出し電極52が絶縁分離されている。保護膜60には、例えば酸化シリコン膜や窒化シリコン膜などが使用される。保護膜60は、外部から発光素子20への水分の浸入の抑制や、発光装置の機械的強度の向上に寄与する。
【0021】
図2に、
図1のII−II方向に沿った断面の平面図を示す。発光装置は矩形状であり、第1の接続用電極41が配置された側面と第2の接続用電極42が配置された側面とは対向する。
【0022】
図3に、
図1のIII−III方向に沿った平面図を示す。第1の引き出し電極51と第2の引き出し電極52は、支持基板10によって分離されている。
【0023】
図4に、
図1に示した発光装置を実装基板90に取り付けた例を示す。
図4に示すように、支持基板10及び光透過性基板70に向いた第1の側面411と対向する第1の接続用電極41の第2の側面412に、第1の接合部材81が配置されている。また、支持基板10及び光透過性基板70に向いた第1の側面421と対向する第2の接続用電極42の第2の側面422に、第2の接合部材82が配置されている。そして、第1の接合部材81の下面が実装基板90に配置された第1の配線パターン91に接続され、第2の接合部材82の下面が実装基板90に配置された第2の配線パターン92に接続されている。第1の接合部材81及び第2の接合部材82(以下において「接合部材」と総称する。)には、導電性を有する材料が使用される。例えば、接合部材に半田を使用した半田接続によって、発光装置が実装基板90に接続される。
【0024】
図1に示した発光装置はCSPを適用した構造であり、光取り出し面の方向に発光素子20からの光を遮蔽する物がないため、発光装置の発光効率が向上する。また、
図4に示したように、電極間を接続する電気配線にワイヤボンディングを使用しないため、ワイヤの断線やワイヤを介しての短絡などの不具合を抑制することができる。したがって、発光装置の信頼性が向上する。
【0025】
図5に、CSPを適用した比較例の発光装置を、実装基板90に取り付けた例を示す。
図5に示した発光装置は、上部に凹部が設けられた支持基板10Aと、支持基板10Aの凹部内に配置された発光素子20と、発光素子20の上方に配置された光透過性基板70とを備える。即ち、発光素子20の下面及び側面は、支持基板10によって囲まれている。
【0026】
図5に示す発光装置では、第1のピラー電極41Aが、支持基板10Aの下部を貫通して、支持基板10Aの凹部内で反射金属層30を介して第1の半導体層21に接続する。また、第2のピラー電極42Aが、第1のピラー電極41Aの支持基板10Aを貫通する位置と離間した位置で支持基板10Aの下部を貫通して、支持基板10Aの凹部内で第2の半導体層23の延伸領域と接続している。支持基板10Aの凹部の内部の残余の領域には、保護膜60が配置されている。
【0027】
図5に示すように、第1のピラー電極41Aの下面と実装基板90の第1の配線パターン91とが、第1の接合部材81によって接続されている。また、第2のピラー電極42Aの下面と実装基板90の第2の配線パターン92とが、第2の接合部材82によって接続されている。
【0028】
図5に示した比較例の発光装置では、第1のピラー電極41A及び第2のピラー電極42Aを発光素子20の下方に配置するため、発光装置の実装基板90と接続する面積が小さく、接合部材が薄くなる。このため、接合部材に半田を使用した場合に、半田接続の強度が低下したり、半田接続時のセルフアライメント効果が不十分なために発光装置の位置ずれが生じたりする。
【0029】
これに対し、
図4に示した構成では、接続用電極が、発光装置の2つの側面の略全面にそれぞれ配置されている。このように、接続する部分が発光装置の側面であるため、十分な量の接合部材によって発光装置と実装基板90とが接続される。これにより、発光装置と実装基板90との接続強度が増大して、安定して取り付け固定することができる。更に、製品組立時の接合部材の量を増加できるため、接合部材の不足による断線不良を防止でき、製品の信頼性を向上させることができる。
【0030】
特に、接合部材に半田を使用した場合は、接合部材の表面積が広いため、半田からのフラックス成分の抜けが良く、ボイドの発生が少ないため、接続強度が増大する。また、十分な量の半田が使用されることにより、半田接続時のセルフアライメント効果によって、発光装置の位置ずれを抑制できる。
【0031】
更に、
図1に示した発光装置では、接続用電極を発光装置の側面に配置するため、
図5の比較例と異なり、ピラー電極が不要である。このため、発光装置の小型化が可能である。
【0032】
なお、
図4に示すように、光透過性基板70の側面においても、接合部材によって発光装置が実装基板90に接続される。このため、光透過性基板70は、接合部材を用いて接続用電極と実装基板90の配線パターンとの接続を形成する温度に対して、耐熱性を有している必要がある。例えば、接合部材に半田を用いた半田接続の場合に、半田接続での熱処理の温度以上の耐熱性が、光透過性基板70に必要である。このため、例えば、光透過性基板70にガラス基板が好適に使用される。これに対し、耐熱温度が200℃以下と低い樹脂では、半田接続による組立時において、樹脂劣化等の不具合が生じるおそれがある。
【0033】
また、発光素子20の光取り出し側の略全面をガラス基板で覆うことによって、耐熱性を向上させるとともに、発光装置の機械的強度を向上させることができる。例えば、樹脂よりも弾性係数が高いガラス基板を光透過性基板70に使用することによって、樹脂基板を光透過性基板70に使用した場合に比べて、機械的強度を向上させることができる。また、シリコーン樹脂の耐熱性が150℃程度であるのに対し、ガラス基板の耐熱性は400℃以上である。このため、ガラス基板を光透過性基板70に使用することにより、発光装置の耐熱性を飛躍的に向上させることができる。
【0034】
支持基板10には、エポキシ樹脂やシリコーン樹脂などの樹脂基板も使用可能である。ただし、樹脂よりも機械的強度の高い材料を支持基板10に使用することが好ましい。例えば、支持基板10にセラミック基板を使用することによって、発光装置のパッケージとしての機械的強度を向上することができる。また、支持基板10をセラミック基板にすることにより、光透過性基板70としてガラス基板を形成する時の温度(400℃以上)に対して、耐熱性を得ることができる。これに対し、耐熱性の低い材料の基板を支持基板10に用いると、支持基板10の耐熱温度が不足して、光透過性基板70としてガラス基板を形成する際に、支持基板10が溶けるおそれがある。このため、支持基板10にセラミック基板を使用することが好ましい。
【0035】
以上に説明したように、本発明の第1の実施形態に係る発光装置では、発光装置の側面に配置された接続用電極において、接合部材によって発光装置と実装基板90とが接続される。このため、接合部材の配置される面積が広く、十分な量の接合部材によって発光装置と実装基板90とが接続される。その結果、発光装置と実装基板90との接続強度が高く、発光装置を実装基板90に安定して取り付けることができる。このため、組み立て時に発光装置が破損する危険性が低下し、発光装置の信頼性を向上させることができる。
【0036】
更に、発光装置の側面において半田などの接合部材を用いて発光装置と実装基板90を接続するために、支持基板10と光透過性基板70を樹脂よりも耐熱性の高い材料にすることが好ましい。これにより、光透過性基板70や支持基板10に樹脂を使用する場合に比べて、発光装置の耐熱性を向上させることができる。また、光透過性基板70にガラス基板などの弾性係数が高い材料を使用し、支持基板10にセラミック基板などの機械的強度の高い材料を使用することによって、発光装置のパッケージとしての機械的強度を向上させることができる。
【0037】
以下に、
図6〜
図13を参照して、本発明の第1の実施形態に係る発光装置の製造方法を説明する。なお、以下に述べる発光装置の製造方法は一例であり、この変形例を含めて、これ以外の種々の製造方法により実現可能であることはもちろんである。
【0038】
まず、
図6に示すように、厚さ700μm程度の半導体基板100上に発光素子20を構成する各層をエピタキシャル成長法などによって形成する。具体的には、N型半導体膜230、発光領域膜220及びP型半導体膜210を半導体基板100上に順次積層する。N型半導体膜230、発光領域膜220及びP型半導体膜210には、窒化ガリウムなどの窒化物系化合物半導体などが使用される。その後、ドライエッチングによってN型半導体膜230、発光領域膜220及びP型半導体膜210をパターニングして、第2の半導体層23、発光層22及び第1の半導体層21を形成する。
【0039】
次に、ドライエッチング法などによって、第1の半導体層21及び発光層22の一部を除去して、第2の半導体層23の一部を露出させる。この露出された部分が、第2の引き出し電極52が接続される延伸領域である。次いで、第1の半導体層21、第2の半導体層23の延伸領域及び発光素子20の露出している部分を覆うように保護膜60を形成する。
【0040】
その後、
図7に示すように、第1の半導体層21の上で保護膜60の開口部を形成し、この開口部で第1の半導体層21と接続するように反射金属層30を形成する。そして、反射金属層30と接続するように、第1の引き出し電極51を形成する。また、第2の半導体層23の延伸領域の上で保護膜60の開口部を形成し、この開口部で第2の半導体層23と接続するように第2の引き出し電極52を形成する。第1の引き出し電極51と第2の引き出し電極52には、金(Au)膜などを使用するが、発光素子20からの出射光を反射する材料を使用することが好ましい。例えば、アルミニウム(Al)膜や銀(Ag)膜を使用してもよい。
【0041】
次いで、
図8に示すように、保護膜60や第1の引き出し電極51及び第2の引き出し電極52を覆って、支持基板10を形成する。例えば、液状にしたセラミック材料を塗布した後に、高温で焼き固めて支持基板10を形成する。
【0042】
その後、
図9に示すように、支持基板10の下面を覆うサポート基板110を形成する。サポート基板110は、発光素子20と支持基板10を重ねた基体の厚みが数十μmしかないため、半導体基板100を削除した後の基体の強度を補強するために形成される。例えば、厚みが1mm程度のシリコン基板やセラミック基板を、サポート基板110として基体に接着する。
【0043】
次いで、
図10に示すように、基体から半導体基板100を削除する。例えば、半導体基板100がシリコン基板である場合には、フッ硝酸を用いたウェットエッチングによって半導体基板100を削除する。半導体基板100がサファイア基板である場合には、レーザリフトオフ法などを使用する。
【0044】
なお、
図11に示すように、半導体基板100の削除により露出した第2の半導体層23の主面に凹凸構造を形成してもよい。このように発光素子20の光取り出し面の表面を粗面化することにより、発光素子20の出射光が散乱され、出力光Lの輝度を向上させることができる。凹凸構造は、例えば、フォトマスクやナノインプリントにより形成したパターンを用いたドライエッチング加工によって形成される。
【0045】
その後、
図12に示すように、第2の半導体層23上に光透過性基板70を形成する。そして、ダイシングによって発光装置を個々に分離する個片化処理の後、
図13に示すように、サポート基板110を除去する。
【0046】
次いで、第1の接続用電極41及び第2の接続用電極を形成する。即ち、支持基板10の第1の側面101上から光透過性基板70の第1の側面701上に亘り、連続的に第1の接続用電極41を形成する。このとき、第1の接続用電極41は、第1の引き出し電極51の端部と接続する。また、支持基板10の第2の側面102上から光透過性基板70の第2の側面702上に亘り、連続的に第2の接続用電極42を形成する。このとき、第2の接続用電極42は、第2の引き出し電極52の端部と接続する。第1の接続用電極41及び第2の接続用電極42は、例えば、Au系メッキによって形成される。第1の接続用電極41及び第2の接続用電極42の厚みは、数十μm程度である。以上により、
図1に示す発光装置が完成する。
【0047】
上記のような本発明の第1の実施形態に係る発光装置の製造方法によれば、発光装置の側面に接続用電極が形成される。そして、この接続用電極の略全面において、接合部材によって発光装置と実装基板90とが接続される。接合部材の配置される面積が広く、十分な量の接合部材によって発光装置と実装基板90とが接続されるため、発光装置を実装基板90に安定して取り付けることができる。
【0048】
なお、支持基板10にセラミック基板を使用することによって、発光素子20の下面の略全面がセラミック基板によって支持される。このため、半導体基板100を削除する工程などにおける製造時の歪みにより発光素子20が破損することを抑制できる。また、製品組み立て時や取り扱い時に発光装置に加わる衝撃によって発光素子20がダメージを受けることを防止できる。このように、支持基板10をセラミック基板にすることによって、発光装置の破損や信頼性の低下を抑制することができる。また、製品組み立て時での半田熱処理などにより発生する熱歪みによるダメージを抑制できる。
【0049】
ところで、
図5に示した比較例の構成では、第1のピラー電極41A及び第2のピラー電極42Aを支持基板10Aの下方に露出させる必要がある。このため、支持基板10を形成した後、研磨処理(バックグラインド)によって支持基板10Aの下面を研磨する。支持基板10Aをセラミック基板にした場合には、この研磨処理が樹脂基板に比べて困難である。しかし、
図1に示した発光装置では、支持基板10の研磨処理が不要である。このため、研磨処理が支持基板10や発光素子20に与えるダメージをなくすことができる。その結果、発光装置の歩留まりの低下や信頼性の低下を抑制できる。
【0050】
また、CSPではない従来のパッケージを使用する発光装置では、半導体基板に半導体層を積層して発光素子20を形成し、半導体基板が支持基板として使用される。これに対し、CSPを適用した発光装置では、発光素子20を形成したウェハに樹脂やセラミック材料を塗布するなどして支持基板10を形成する。このようにウェハ状態でパッケージを形成することによって、低コストで発光装置を製造できる。このため、一般的にウェハレベルパッケージ(WLP)とも呼ばれる。
【0051】
発光素子20に直接に接するように、若しくは、発光素子20に形成された保護膜60と直接に接するように、支持基板10が形成されることが、WLPの構造的特徴である。パッケージが発光素子20と接しているため、発光素子20の機械的強度が補強され、信頼性の高い発光装置を実現できる。また、半導体基板が除去されるため、発光装置の高さを低くできる。更に、半導体基板の除去によって、発光素子20からの光取り出し効率が向上する。
【0052】
<変形例>
発光装置の特性には、発光素子20に加わる応力が大きく影響する。特に、CSPを適用した発光装置は、発光素子20がパッケージ材料と密着する構造であるため、パッケージ材料との線膨張係数との違いや加工時の変形によって、発光素子20に応力が加わりやすい。
【0053】
このため、
図14に示すように、支持基板10に、第1のセラミック層11と、第1のセラミック層11よりも密度が高く、線膨張係数の大きい第2のセラミック層12とを積層した構造を有するセラミック基板を使用してもよい。
図14に示すように、線膨張係数の小さい第1のセラミック層11の上に、発光素子20が配置される。このように、発光素子20を構成する半導体層と線膨張係数の近い第1のセラミック層11を密着させることによって、セラミックを硬化させるときの歪みが緩和され、発光素子20に加わる応力を低下させることができる。また、支持基板10の発光素子20から遠い側を、線膨張係数の大きい第2のセラミック層12にすることによって、支持基板10の反りが抑制され、パッケージ全体としての強度が低下することを防止できる。したがって、
図14に示した構造の支持基板10を使用することによって、信頼性の高い、高効率の発光装置を実現できる。第1のセラミック層11の線膨張係数や弾性係数を低くするには、例えば空孔率を高くする方法などがある。
【0054】
また、光透過性基板70にガラス基板を使用した場合、ガラス基板は弾性係数が高く、線膨張係数が大きく異なるため、発光素子20に大きな応力が発生する。この場合に、第1のセラミック層11の線膨張係数を第2のセラミック層12の線膨張係数よりも小さくすることで、第1のセラミック層11の線膨張係数をガラスに近づけることができ、発光素子20に加わる応力を低下させることができる。
【0055】
(第2の実施形態)
図15に、本発明の第2の実施形態に係る発光装置を示す。
図15に示した発光装置では、第1の半導体層21の下面に接続する第1の引き出し電極51が、支持基板10を貫通している。つまり、第1の引き出し電極51の下面が支持基板10の下方で露出している点が、
図1に示した発光装置と異なる。なお、第1の引き出し電極51が、発光素子20の積層方向と垂直な方向に延伸して第1の接続用電極41に接続する構造は、
図1と同様である。
【0056】
また、
図15に示すように、第2の引き出し電極52は、第2の半導体層23の側面から発光素子20の積層方向と垂直な方向に延伸し、第2の接続用電極42に接続している。つまり、第2の半導体層23に延伸領域が形成されていない。例えば、発光素子20の製造時に使用される半導体基板100の一部を残して、第2の引き出し電極52に利用してもよい。
【0057】
図15に示した発光装置では、発光素子20の光取り出し面と反対側の面の全体がP型の第1の半導体層21であり、第1の半導体層21の下方の全面を覆って第1の引き出し電極51が配置されている。そして、第1の引き出し電極51は、光取り出し面と略同じ面積で、下面が支持基板10の下方で露出している。
【0058】
発光素子20での発熱は、発光層22においてほとんど発生し、主にP側電極から放熱される。例えば、
図5に示した比較例の発光装置では、第1のピラー電極41Aから、発光素子20で発生した熱が放熱される。
【0059】
しかし、
図5に示した発光装置では、第2のピラー電極42Aを接続するために、発光層22及び第1の半導体層21の一部を除去して、第2の半導体層23の延伸領域を形成する。このため、発光素子20の発光に寄与する面積が小さくなって発光効率が低下するとともに、第1の半導体層21の面積が減少し、放熱に寄与する第1のピラー電極41Aの面積が減少する。更に、第1のピラー電極41Aと第2のピラー電極42Aが、発光装置の同一面から取り出されるため、第1のピラー電極41Aの面積を増大させることが困難である。このため、発光素子20からの、放熱が不十分になり、発光効率の低下や信頼性の低下が生じる。
【0060】
これに対し、
図15に示す発光装置では、発光素子20で発生した熱が、P型の第1の半導体層21を経由して、支持基板10の下面に下部が露出している第1の引き出し電極51に伝わる。このため、発光素子20で発生した熱が、発光装置から効率的に放出される。したがって、発光効率が向上し、且つ、高い信頼性が得られる。
【0061】
更に、
図15に示す発光装置では、第2の半導体層23に延伸領域を形成しないため、平面視における第1の半導体層21、発光層22及び第2の半導体層23の面積が略同一である。つまり、発光層22の面積が発光素子20の面積と同等であり、同じチップ面積で延伸領域が形成される発光素子20よりも、電流密度を下げることができる。これにより、発光効率の高い、信頼性の高い発光装置が得られる。
【0062】
なお、
図16に示すように、第1の引き出し電極51の下面を、熱伝導性の高い放熱板93と接触させることが好ましい。実装基板90に配置した放熱板93と第1の引き出し電極51を接触させることにより、発光装置の放熱性をより向上させることができる。放熱板93には、例えばCuなどの、支持基板10よりも熱伝導性の高い材料が使用される。
【0063】
(第3の実施形態)
図17に、本発明の第3の実施形態に係る発光装置を示す。
図17に示す発光装置は、支持基板10に光透過性を有する基板を使用する点が、
図1に示した発光装置と異なる。支持基板10には、光透過性基板70と同等の特性の基板を使用可能であり、例えば、ガラス基板が好適に使用される。
【0064】
図17に示す発光装置では、発光素子20の出射光が支持基板10を透過して、発光装置の外部に出力される。つまり、接続用電極が配置された面を除いたすべての面から、出力光Lが出力される。このように、
図17に示した発光装置によれば、フィラメント型の発光装置を実現できる。
【0065】
一方、
図5に示した比較例の発光装置を用いてフィラメント型の発光装置を実現するためには、例えば
図18に示すように、実装基板90の異なる面に、発光装置1をそれぞれ配置する必要がある。
【0066】
これに対し、
図17に示した発光装置では、1つの発光装置によってフィラメント型の発光装置を実現できる。このため、低消費電力で小型の発光装置を実現できる。
図17に示す発光装置を製造するためには、例えば
図8を参照して説明した工程において、低融点ガラスを所定の形状に成形して支持基板10を形成する。
【0067】
(その他の実施形態)
上記のように、本発明は実施形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【0068】
例えば、接続用電極と光透過性基板70との界面を、発光素子20からの出射光を反射するように構成してもよい。これにより、発光装置からの出力光Lの輝度を向上することができる。例えば、
図19に示すように、接続用電極と光透過性基板70との間に、発光素子20からの出射光を反射する光反射膜71、72を配置する。光反射膜71、72には、アルミニウム(Al)膜などの金属膜を使用可能である。或いは、接続用電極と光透過性基板70の屈折率の差を利用して、接続用電極と光透過性基板70との界面で発光素子20からの出射光を反射させるようにしてもよい。
【0069】
このように、本発明はここでは記載していない様々な実施形態等を含むことはもちろんである。したがって、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
支持基板10と、第1の半導体層21の上方に第2の半導体層23を配置した積層構造を有し、支持基板10の上に配置された発光素子20と、発光素子20の上方に配置された光透過性基板70と、支持基板10の第1の側面101上から光透過性基板70の第1の側面701上に亘り連続的に配置され、第1の半導体層21と電気的に接続する第1の接続用電極41と、支持基板10の第2の側面102上から光透過性基板70の第2の側面702上に亘り連続的に配置され、第2の半導体層23と電気的に接続する第2の接続用電極42とを備え、第1の接続用電極41及び第2の接続用電極42の、支持基板10及び光透過性基板70に向いた第1の側面と対向する第2の側面を介して、実装基板と電気的に接続される。