(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
入射光を電荷に変換する受光部と、電荷を蓄積する電荷蓄積部と、前記電荷を排出する電荷排出部と、前記受光部から前記電荷蓄積部への電荷の転送、及び前記受光部から前記電荷排出部への電荷の転送を制御するゲート電極とを有する光電変換素子と、
対象物に向けた前記受光部の応答時間よりも十分短いパルス幅のパルス光の照射タイミングを制御し、前記照射タイミングを基準にして少なくとも2種類の位相の制御パルス電圧を生成し前記ゲート電極に印加するように制御する制御部と、
前記2種類の位相の制御パルス電圧のそれぞれの印加に伴って前記電荷蓄積部に蓄積された第1及び第2の電荷を、第1及び第2の電気信号としてそれぞれ読み出す電荷読出部と、
前記第1及び第2の電気信号を基に前記対象物までの距離を算出する算出部と、
を備える距離計測装置。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しつつ本発明に係る距離計測装置の一実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明においては同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する。また、各図面は説明用のために作成されたものであり、説明の対象部位を特に強調するように描かれている。そのため、図面における各部材の寸法比率は、必ずしも実際のものとは一致しない。
【0017】
図1は、本発明の一実施形態に係る距離計測装置であるカメラ装置1を含む測定システム100の概略構成を示す図である。この測定システム100は、対象物Saまでの距離をTOF(Time Of Flight)法を用いて測定するために用いられ、対象物Saに向けて光を照射するレーザ光源3と、対象物Saからの反射光を検出して距離を算出するカメラ装置1とを含んで構成されている。レーザ光源3は、後述するカメラ装置1の受光部の応答時間よりも十分短いパルス幅のパルス光を照射可能な光源装置であり、例えば、中心波長445nm、パルス幅100psecのパルス光を照射可能に構成されている。なお、レーザ光源3の照射する光の中心波長及びパルス幅は上記値には限定されず、様々な値に設定され得る。
【0018】
図2は、カメラ装置1の構成を示すブロック図である。カメラ装置1は、同図に示すように、画素アレイ部5と周辺回路部6,7,8,9,10とが同一の半導体チップ上に集積化されて構成され、回路部11が半導体チップの外部のカメラ装置1内部の別回路上に構成されている。なお、回路部11が画素アレイ部5と周辺回路部6,7,8,9,10とともに同一の半導体チップ上に集積化されていてもよい。
【0019】
画素アレイ部5には、2次元マトリクス状に多数の画素(光電変換素子)Xij(iは1〜mの整数、jは1〜nの整数)が配列されており、方形状の撮像領域を構成している。そして、この画素アレイ部5の周辺部には、複数の画素Xijの水平方向の画素行に沿って水平走査回路6が設けられるとともに、複数の画素Xijの垂直方向の画素列に沿って垂直走査回路7が設けられている。これらの水平走査回路6及び垂直走査回路7にはタイミング発生回路(制御部)8が接続されている。
【0020】
タイミング発生回路8、水平走査回路6及び垂直走査回路7によって画素アレイ部5内の画素Xijが順次走査され、画素信号の読み出しや初期化が実行される。すなわち、画素アレイ部5を垂直走査回路7によって各画素行単位で垂直方向に走査することにより、走査された画素列に含まれる各画素列の画素信号を各画素列毎に設けられた垂直信号線によって読み出す構成となっている。各画素列の画素信号の読み出しは、垂直信号線毎に設けられたノイズキャンセル回路9、及び出力バッファ回路10を経由して出力することにより行われる。さらに、各画素列の画素信号の読み出し時には、水平走査回路6によって画素Xijの水平方向の走査が行われる。タイミング発生回路8は、上述したような画素アレイ部5の画素Xijの垂直走査及び水平走査のタイミングの制御を行うと共に、測定システム100に設けられたレーザ光源3のパルス光の照射タイミングの制御、及びその照射タイミングを基準にした各画素Xijにおける電荷蓄積及び電荷排出のタイミングの制御を行う。
【0021】
図3は、画素アレイ部5内の画素Xijの構成を示す回路図であり、
図4は、画素Xijに設けられた半導体素子15の積層構造を示す斜視図である。これらの図に示すように、画素Xij内には画素回路として機能する半導体素子15が複数配列されて設けられている。半導体素子15は、第1導電型(p型)の半導体領域21と、半導体領域21の上部の一部に埋め込まれ、光が入射される第2導電型(n型)の受光用表面埋込領域(受光部)23と、半導体領域21の上部の一部に受光用表面埋込領域(受光部)23に隣接して設けられ、受光用表面埋込領域(受光部)23が生成した電荷を蓄積する第2導電型(n
+型)の電荷蓄積領域(電荷蓄積部)25と、半導体領域21の上部の一部に受光用表面埋込領域23の近傍に分離して埋め込まれた第2導電型(n
+型)の排出ドレイン領域(電荷排出部)27とが形成されている。この排出ドレイン領域27は、受光用表面埋込領域23で生成された電子を排出するための部位であり、受光用表面埋込領域23の電荷蓄積領域25と接する境界線と略垂直に交わる境界線の近傍に設けられている。これらの受光用表面埋込領域23とその領域の直下の半導体領域21とで、対象物Saからの反射光(入射光)を電荷(電子)に変換する埋め込みフォトダイオードD1を構成している。なお、第1導電型の半導体領域21の代わりに、第1導電型の半導体基板上に形成した半導体基板よりも低不純物濃度の第1導電型のエピタキシャル成長層を用いてもよい。
【0022】
また、半導体素子15の受光用表面埋込領域23の上部には、p
+型のピニング層29が更に配置されている。ピニング層29は、ダーク時の埋め込みフォトダイオードD1の表面での電荷の形成を抑制するための層であり、ダーク電流削減のためには設けられていてもよい。ダーク電流が問題とならない用途では、ピニング層29が省略されてもよい。さらに、半導体領域21上の埋め込みフォトダイオードD1と排出ドレイン領域27との間には、埋め込みフォトダイオードD1と排出ドレイン領域27との間に形成される転送チャネルの電位を制御して、埋め込みフォトダイオードD1から排出ドレイン領域27への電荷の排出を制御するためのゲート電極31が形成されている。
【0023】
図5(a)及び(b)には、ゲート電極31に電圧を印加した際の半導体素子15の垂直断面におけるポテンシャル分布を示している。具体的には、
図5(a)には、埋め込みフォトダイオードD1の領域から電荷蓄積領域25にかけてのX−X’線に沿った垂直断面におけるポテンシャル分布を示しており、埋め込みフォトダイオードD1の領域から電荷蓄積領域25にかけて電位勾配が形成されている。また、
図5(b)には、埋め込みフォトダイオードD1の領域から排出ドレイン領域27にかけてのY−Y’線に沿った垂直断面におけるポテンシャル分布を示しており、実線がゲート電圧に低電圧を印加した際の分布、点線がゲート電極31に高電圧を印加した際の分布をそれぞれ示している。このように、ゲート電極31に低電圧を印加した際には、埋め込みフォトダイオードD1の領域と排出ドレイン領域27との間に電位障壁が形成されることにより埋め込みフォトダイオードD1の領域と排出ドレイン領域27との間の転送チャネルが閉じられ、入射光L
inの入射に伴って生成される電子e
−は全てが電荷蓄積領域25に転送される。その一方で、ゲート電極31に高電圧を印加した際には、埋め込みフォトダイオードD1の領域と排出ドレイン領域27との間の電位障壁が無くなり電位勾配が形成されることにより埋め込みフォトダイオードD1の領域と排出ドレイン領域27との間の転送チャネルが開かれ、入射光L
inの入射に伴って生成される電子e
−は全てが排出ドレイン領域27に転送される。すなわち、ゲート電極31に高電圧を印加した際には、埋め込みフォトダイオードD1の領域と排出ドレイン領域27との間の転送チャネルの電荷転送効果の方が、埋め込みフォトダイオードD1の領域と電荷蓄積領域25との間の電荷転送効果よりも支配的であるため、発生する電子e
−は全てが排出ドレイン領域27に転送される。このように、ゲート電極31は、埋め込みフォトダイオードD1から電荷蓄積領域25への電荷の転送を制御するためのバーチャルスイッチ33としての機能も併せ持つ。
【0024】
図3に戻って、画素Xijには、タイミング発生回路8から印加される制御パルス電圧TWを反転させて制御パルス電圧TDとしてゲート電極31に与えるバッファ回路35をさらに備えている。具体的には、バッファ回路35は、インバータ回路である。このバッファ回路35を備えることにより、画素Xijのゲート電極31に直接接続される負荷を小さくすることができ、制御パルス電圧TWの波形の劣化を防止できる。
【0025】
さらに、画素Xijには、制御パルス電圧TWの印加に伴って電荷蓄積領域25に蓄積された電荷を電気信号として読み出す読出回路(電荷読出部)37が設けられている。この読出回路37は、信号読み出しトランジスタ37aと、スイッチングトランジスタ37bと、リセットトランジスタ37cとを含んで構成されている。信号読み出しトランジスタ37aのゲート電極は電荷蓄積領域25に接続され、信号読み出しトランジスタ37aのドレイン電極はバイアス電源に接続され、信号読み出しトランジスタ37aのソース電極は、画素選択用のスイッチングトランジスタ37bのドレイン電極に接続されている。スイッチングトランジスタ37bのソース電極は垂直信号線に接続され、スイッチングトランジスタ37bのゲート電極には、画素列の選択用制御信号Sが垂直走査回路7から与えられる。選択用制御信号Sをハイレベルに設定することにより、スイッチングトランジスタ37bが導通され、信号読み出しトランジスタ37aで増幅された電荷蓄積領域25に蓄積された電荷量に対応する電位の電気信号が垂直信号線に出力される。リセットトランジスタ37cは、そのソース電極が電荷蓄積領域25に接続され、そのドレイン電極はバイアス電源に接続され、そのゲート電極には垂直走査回路7からリセット信号Rが与えられる。このリセットトランジスタ37cは、リセット信号Rがハイレベルに設定された際に、電荷蓄積領域25に蓄積された電荷を吐き出すことにより電荷蓄積領域25をリセットする。
【0026】
図2に示す算出回路(算出部)11は、タイミング発生回路8によるタイミング制御により画素Xijから読み出された電気信号を基に、対象物Saまでの距離を算出する。
【0027】
以下、タイミング発生回路8及び算出回路11による距離算出動作の手順を説明する。
図6は、タイミング発生回路8によって制御された発光タイミング及び電荷蓄積タイミングを示すタイミングチャートであり、
図6(a)は、レーザ光源3から照射されるパルス光の時間波形、
図6(b)は、画素Xijによって受光される反射光の時間波形、
図6(c)は、画素Xijの反射光に対する応答特性である光電流I
phの時間波形、
図6(d)は、画素Xijのゲート電極31に印加される制御パルス電圧TWの時間波形である。
【0028】
まず、タイミング発生回路8により所定周波数で繰り返し発光するように発光タイミングが決定され、その発光タイミングでレーザ光源3からパルス光が照射されるように、タイミング発生回路8からトリガー信号が供給される。それに応じて、発光タイミング後に対象物Saまでの距離に対応した時間差t
dで画素Xijに反射光が入射することになる。ここで画素Xijに入射する反射光のパルス幅は、画素Xijの受光部の応答時間よりも十分短い値(例えば、パルス幅100psec以下)に設定されている。その結果、画素Xijの受光部における入射光に対する応答波形はインパルス応答とほぼ等しくなる。すなわち、発光タイミング基準とした反射光の入射時刻t
dから受光部の応答時間T
0で極大値I
Mまで立ち上がり、その後応答時間T
0で立ち下がるような単一の三角波に近い応答波形となる。
【0029】
このような画素Xijの応答波形に対応して、タイミング発生回路8により、発光タイミングを基準にして3種類の位相差を有する制御パルス電圧TW(1),TW(2),TW(3)を繰り返し生成するように制御される。具体的には、制御パルス電圧TW(1)は、発光タイミング後の所定期間だけハイレベルとなるような矩形パルス波に設定される。また、制御パルス電圧TW(2)は、発光タイミングから発光タイミング後の時刻T
1までハイレベルとなり、制御パルス電圧TW(1)とハイレベル区間が一部重複するような矩形パルス波に設定される。また、制御パルス電圧TW(3)は、制御パルス電圧TW(1)を反転させたような矩形パルス波に設定される。
【0030】
このようにして、タイミング発生回路8により、発光タイミング後に繰り返し制御パルス電圧TW(1)が印加されるように制御された後に、画素Xijから制御パルス電圧TW(1)の印加に伴って電荷蓄積領域25に蓄積された第1の電荷を第1の電気信号として読み出すように制御される。また、タイミング発生回路8により、発光タイミング後に繰り返し制御パルス電圧TW(2)が印加されるように制御された後に、画素Xijから制御パルス電圧TW(2)の印加に伴って電荷蓄積領域25に蓄積された第2の電荷を第2の電気信号として読み出すように制御される。同様に、タイミング発生回路8により、発光タイミング後に繰り返し制御パルス電圧TW(3)が印加されるように制御された後に、画素Xijから制御パルス電圧TW(3)の印加に伴って電荷蓄積領域25に蓄積された第3の電荷を第3の電気信号として読み出すように制御される。
【0031】
その後、算出回路11は、読み出された第1〜第3の電気信号の値をぞれぞれ正規化することにより蓄積電子数N
1,N
2,N
3に変換する。ここで、画素Xijの光電流のインパルス応用波形を、下記式(1)に示す1次関数により近似する。
【数1】
この1次関数によれば、理想的には各制御パルス電圧TW(1),TW(2),TW(3)の印加に応じて蓄積される電子数は、時間差t
dがT
1−T
0<t
d≦T
1の範囲で、下記式(2)によって計算できる。
【数2】
【0032】
そこで、算出回路11は、上記式(2)の関係を利用することにより、光の飛行時間である時間差t
dを、下記式(3)を用いて算出する。このとき、算出回路11は、蓄積電子数N
1,N
2のそれぞれを蓄積電子数N
3で補正した値の比rを計算する。
【数3】
さらに、算出回路11は、算出された時間差t
dを基に対象物Saまでの距離Lを、光の速さをc[m/s]として、下記式(4)により算出して出力する。
【数4】
なお、上記式(4)によって測定可能な距離Lの範囲は、下記式(5)で計算される値の範囲となり、画素Xijのインパルス応答の応答時間T
0に比例する。
【数5】
また、ショットノイズが支配的な状態において測定可能な距離Lの分解能σ
Lは、下記式(6)で計算される値となり、蓄積電子数N
1の平方根に反比例し、画素Xijのインパルス応答の応答時間T
0に比例する。例えば、蓄積電子数N
1=10
6、応答時間T
0=100psec、パラメータrの取りうる値を0〜0.5とした場合は、測定可能な距離Lの範囲は15mm、測定可能な分解能σ
Lは=10.6μm〜13μmとなる。
【数6】
【0033】
以上説明したカメラ装置1によれば、画素Xijの受光部の応答時間よりも十分短いパルス幅のパルス光の対象物Saに向けた照射タイミングが制御され、その照射タイミングを基準とした2種類の位相の制御パルス電圧TW(1),TW(2)がゲート電極31に印加されることにより、画素Xijの受光部においてパルス光の入射に応じて変換された電荷を、電荷蓄積領域25に変調させて蓄積させることができる。そして、2種類の位相の制御パルス電圧TW(1),TW(2)によって変調された第1及び第2の電荷が読出回路37によって第1及び第2の電気信号として読み出され、第1及び第2の電気信号を基に対象物Saまでの距離が算出される。このようにすれば、画素Xijの受光部のインパルス光の応答特性を利用して距離が算出されるので、入射光の波形の時間幅の変化に伴ったセンサ応答波形の劣化による計測精度の低下を防止することができる。その結果、分解能を高めた精度の高い距離検出を実現することができる。
【0034】
カメラ装置1における計測精度の向上の効果を、従来方式と比較して具体的に説明する。
図11には、従来の正弦波変調方式の距離計測画像センサにおいて対象物に照射される照射光L
e及び検出される受信光L
rの時間波形を示している。この従来の正弦波変調方式では、受信光L
rの照射光L
eに対する位相遅れΔφが検出され、対象物までの距離dが、この位相遅れΔφを基に、下記式(7);
【数7】
により算出される(f
mは変調周波数)。ここで、この場合の計測可能な距離dの範囲L及び分解能σ
Lは、下記式(8)により計算される。距離dの範囲Lは、変調周波数f
mに反比例する。また、計測可能な距離dの分解能σ
Lは、変調周波数f
mに反比例し、蓄積電子数N
Sの平方根に反比例する。
【数8】
例えば、蓄積電子数Ns=10
6の場合で、距離分解能を10μm以下にしたい場合には、変調周波数fmを3.75GHzに設定する必要がある。このような変調周波数の実現は、ロックイン検出のための変調ゲートパルスの供給が困難になるために現実的ではない。
【0035】
また、
図12には、従来のパルス変調方式の距離計測画像センサにおいて扱われる各種信号の時間波形を示しており、(a)には対象物に照射される照射光の時間波形、(b)には検出される反射光の時間波形、(c)にはセンサで検出される電荷量の時間波形、(d)及(e)にはセンサに印加される2種類の位相の変調ゲートパルスの時間波形がそれぞれ示されている。この場合の計測可能な距離の範囲L及び分解能σ
Lは、下記式(9)により計算される。距離の範囲Lは、照射光のパルス幅T
0に比例する。また、計測可能な距離の分解能σ
Lは、照射光のパルス幅T
0に比例し、蓄積電子数N
Sの平方根に反比例する。
【数9】
例えば、蓄積電子数Ns=10
6の場合で、距離分解能を10μm以下にしたい場合には、照射光のパルス幅T
0を67psec以下に設定する必要がある。このような狭いパルス幅の照明光を精度よく生成することは困難である。その結果、従来方式の正弦波変調方式及びパルス変調方式では、計測の分解能を小さくしながら測定精度を保つことは困難である。
【0036】
これに対して本実施形態のカメラ装置1によれば、画素Xijの受光部の応答時間よりも十分短いパルス幅の照射光を用い、受光部のインパルス応答を利用して距離を算出するため、分解能を高めるために変調周波数を高める必要が無い。その結果、光源からの照射光の波形の歪や、受光部の応答波形の歪の影響が少なく、同時に変調ゲートパルスの供給も容易に実現できる。
【0037】
特に、カメラ装置1の算出回路11は、画素Xijの受光部のインパルス応答特性を1次関数に近似することにより距離を算出するので、画素Xijの受光部の蓄積電子数N
1と受光部の応答時間T
0により計測距離の分解能が決定される。これにより、入射光の波形の時間幅の変化に伴ったセンサ応答波形の劣化や、変調周波数の変化に伴った応答波形の劣化による計測精度の低下を確実に防止できる。
【0038】
また、算出回路11は、蓄積電子数N
1,N
2を蓄積電子数N
3で補正した後に距離を算出する。この場合、蓄積電子数N
1,N
2に含まれるオフセット電荷の分をキャンセルすることができるので、算出される距離の精度をさらに向上できる。
【0039】
さらに、画素Xijには、半導体素子15が複数配列されて含まれているので、画素Xijの受光面積を変えずに電荷の走行距離を短くすることができる。その結果、受光感度と高速変調を両立することができ、距離計測の感度及び応答速度を向上させることができる。
【0040】
またさらに、画素Xijはバッファ回路35をさらに有しているので、ゲート電極31に負荷の小さいバッファ回路35を介して制御パルス電圧が印加されるので、制御パルス電圧の波形の劣化が防止され、計測される距離の精度を高めることができる。
【0041】
ここで、カメラ装置1による距離計測の評価結果を示す。
図7には、評価に用いた測定システム200の構成を示している。測定システム200には、カメラ装置1とレーザ光源3の他、デジタル遅延生成器101及びミラー102を用いた。カメラ装置1から出力されたトリガー信号を、デジタル遅延生成器101を介してレーザ光源3に様々な遅延時間で遅延させて入力させ、それに伴ってレーザ光源3から照射されたレーザ光を、ミラー102によって反射させることによってカメラ装置1によって受光させた。このような測定システム200によって、対象物までの距離を等価的に変化させ、それに対してカメラ装置1によって算出された計測距離を評価した。
図8は、測定システム200によって評価された計測距離の精度及び計測距離の分解能を示すグラフである。この結果により、距離が0〜50mmの範囲で非線形性が5%以下の精度に保たれており、距離が0〜50mmの範囲で約400μm以下の距離分解能が実現できていることが分かった。
【0042】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。
【0043】
例えば、カメラ装置1の算出回路11は、画素Xijの受光部の応答特性を1次関数で近似して距離を算出していたが、その他の2次以上の高次関数によって近似してもよい。
図9には、2次関数による近似を利用したカメラ装置1による発光タイミング及び電荷蓄積タイミングを示すタイミングチャートであり、
図9(a)は、レーザ光源3から照射されるパルス光の時間波形、
図9(b)は、画素Xijによって受光される反射光の時間波形、
図9(c)は、画素Xijの反射光に対する応答特性として近似された光電流I
phの時間波形、
図9(d)は、画素Xijのゲート電極31に印加される制御パルス電圧TWの時間波形である。この場合、光電流I
phの応答波形は、下記式(10)に示すような2次関数によって近似される。
【数10】
この2次関数によれば、理想的には各制御パルス電圧TW(1),TW(2),TW(3)の印加に応じて蓄積される電子数は、下記式(11)によって計算できる。
【数11】
この関係を利用して、算出回路11は、光の飛行時間である時間差t
dを、下記式(12)を用いて算出する。
【数12】
さらに、算出回路11は、対象物Saまでの距離Lを、下記式(13)により算出して出力することができる。
【数13】
【0044】
また、カメラ装置1の算出回路11は、画素Xijのゲート電極31に印加される2種類の制御パルス電圧TW(1),TW(2)の遅延差ΔTを利用して距離を算出してもよい。
図10には、遅延差ΔTを利用したカメラ装置1による発光タイミング及び電荷蓄積タイミングを示すタイミングチャートであり、
図10(a)は、レーザ光源3から照射されるパルス光の時間波形、
図10(b)は、画素Xijによって受光される反射光の時間波形、
図10(c)は、画素Xijの反射光に対する応答特性である光電流I
phの時間波形、
図10(d)は、画素Xijのゲート電極31に印加される制御パルス電圧TWの時間波形である。この場合、制御パルス電圧TW(2)が制御パルス電圧TW(1)に対して遅延差ΔTの時間で遅れるように設定される。また、制御パルス電圧TW(3)は、反射光の応答特性がゼロとなるような区間でハイレベルとされるように設定される。このとき、光電流I
phの応答波形は、上記式(1)に示すような1次関数によって近似される。この1次関数によれば、理想的には各制御パルス電圧TW(1),TW(2),TW(3)の印加に応じて蓄積される電子数は、下記式(14)によって計算できる。
【数14】
この関係を利用して、算出回路11は、光の飛行時間である時間差t
dを、下記式(15)を用いて算出する。
【数15】
さらに、算出回路11は、対象物Saまでの距離Lを、下記式(16)により算出して出力することができる。
【数16】
この場合の計測可能な距離の分解能σ
Lは、下記式(17)により計算される。計測可能な距離の分解能σ
Lは、遅延差ΔTに比例し、蓄積電子数N
2の平方根に反比例する。
【数17】
【0045】
上記のような応答特性として2次関数を利用して距離を算出するカメラ装置1、及び遅延差ΔTを利用して距離を算出するカメラ装置1によっても、分解能を高めた精度の高い距離検出を実現することができる。