特許第6265352号(P6265352)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6265352
(24)【登録日】2018年1月5日
(45)【発行日】2018年1月24日
(54)【発明の名称】入浴用ストレッチャー
(51)【国際特許分類】
   A61H 33/00 20060101AFI20180115BHJP
   A61G 1/02 20060101ALI20180115BHJP
【FI】
   A61H33/00 310L
   A61G1/02 708
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-171407(P2016-171407)
(22)【出願日】2016年9月2日
(62)【分割の表示】特願2012-204987(P2012-204987)の分割
【原出願日】2012年9月18日
(65)【公開番号】特開2016-195944(P2016-195944A)
(43)【公開日】2016年11月24日
【審査請求日】2016年9月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000103471
【氏名又は名称】オージー技研株式会社
(72)【発明者】
【氏名】平田 敏文
(72)【発明者】
【氏名】岸本 光宏
【審査官】 大谷 謙仁
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−057744(JP,A)
【文献】 特開2000−225166(JP,A)
【文献】 特開2009−018006(JP,A)
【文献】 特開2003−275249(JP,A)
【文献】 特開昭63−315050(JP,A)
【文献】 特開昭53−066287(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61H 33/00
A61G 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上方に担架が載置される担架載置部を昇降可能に支持する昇降支持機構を有し、長辺が浴槽の長辺に横付けされて使用される入浴用ストレッチャーであって、
前記昇降支持機構は、基フレームと、前記基フレームと前記担架載置部が設けられた保持フレームとに亘って各リンク軸にて軸着されると共に入浴用ストレッチャーの長辺方向に沿って配設される少なくとも一対のリンク片と、前記一対のリンク片のそれぞれに軸着された前記保持フレーム同士を連結する連結部材と、を備え、
前記保持フレームと前記連結部材で囲まれる空間部に介助者が入出可能であり、
前記基フレームと前記一対のリンク片と前記保持フレームと前記連結部材とで平行リンク機構を構成した、
ことを特徴とする入浴用ストレッチャー。
【請求項2】
前記一対のリンク片の前記基フレーム側の部分同士を、前記昇降支持機構を昇降駆動する昇降駆動手段に接続される他の連結部材で連結した、
ことを特徴とする請求項1に記載の入浴用ストレッチャー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入浴者を載せた担架を浴槽まで搬送するのに使用する入浴用ストレッチャーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、入浴者を載せた担架を入浴用ストレッチャーにより搬送し、入浴用ストレッチャーの一方側長辺を浴槽の一方側長辺に横付けし、これらを係合した後、担架を浴槽内方の受け台上に渡して、浴槽を昇降機構により上昇させて入浴者を入浴させる入浴装置が知られている。
【0003】
そして、本出願人は、浴槽受け台上と入浴用ストレッチャー上との間における担架のスライド移動の操作等を、入浴介助者が前屈みの無理な姿勢を強いられることなく楽な姿勢で行えるようにするため、入浴用ストレッチャーの一方側長辺から他方側長辺にかけて横断する空間部を設け、この空間部に入浴介助者が入り込み搭乗台上に搭乗して入浴介助ができるように入浴用ストレッチャーの改良を施した(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、上記の空間部を有し、担架を載せる担架載置部を昇降手段により昇降可能にした入浴用ストレッチャーも知られている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許3862872号公報
【特許文献2】特許3979742号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】オージー技研 GENERAL CATALOG 2010−2011 71〜72頁(2011年5月1日発行)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献2に開示の技術では、昇降機(Xフレーム)と駆動源とからなる昇降手段が入浴用ストレッチャーの長手方向の左右に各々配置されているので、昇降手段の部品点数が多く必要となりコストが嵩み、また、入浴用ストレッチャー自体の重量も重くなり、入浴介助者による入浴用ストレッチャーの操舵性の面で難点があり、軽量化が課題であった。また、左右に昇降手段が各々独立して設けられる構成上、担架を水平に昇降させるために各昇降手段による昇降動作の同期制御をする必要があり、これがコストアップの要因の一つにもなっていた。
【0008】
また、従来では、入浴用ストレッチャー全体における昇降手段の占有スペースの割合が高く、入浴用ストレッチャーの中央部に形成される空間部(ウォークスルーエリア)が制限されていた。このウォークスルーエリアを拡張するために長手方向寸法を長尺にすると、入浴用ストレッチャーの操舵性が損なわれるという問題もあり、長手方向寸法の長尺化による空間部の拡張は現実的ではなかった。
【0009】
また、特許文献2には、前水受盤と後水受盤とが支持腕で連結された担架載置部の後水受盤を昇降機で片支持する構成が開示されているが、担架載置部を昇降させる構成であるため、入浴者を仰臥させた担架の担架載置部上への搭乗時や昇降時に前水受盤側に偏荷重がかかると、担架載置部が撓み、これによって担架上の入浴者が恐怖感を感じてしまい、安心して入浴ができず、精神衛生上好ましくないという欠点があった。
【0010】
一方、入浴用ストレッチャーの長手方向左右に各々配置される四節平行リンクと、左右の四節平行リンクを同時駆動させる一つの駆動源とで昇降手段を構成する昇降式の入浴用ストレッチャーも製品化されている(非特許文献1参照。)。
【0011】
これによれば、入浴用ストレッチャーの長手方向寸法を従来入浴用ストレッチャーに対して長尺にすることなく、空間部エリアの拡張ができ、入浴用ストレッチャーの重量の軽量化が実現できたが、平行リンク機構の一層の簡素化による昇降手段に用いる部品点数の削減、入浴用ストレッチャーの重量の軽量化およびコストダウンという課題は未解決のままであった。
【0012】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、担架載置部を昇降可能に支持する昇降支持機構の簡素化により、部品点数の削減、コストダウン、入浴用ストレッチャー重量の軽量化ができ、加えて、入浴者が恐怖感を感じることなく安心して入退浴ができる入浴用ストレッチャーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的達成のため、請求項1に記載の発明は、上方に担架が載置される担架載置部を昇降可能に支持する昇降支持機構を有し、長辺が浴槽の長辺に横付けされて使用される入浴用ストレッチャーであって、前記昇降支持機構は、基フレームと、前記基フレームと前記担架載置部が設けられた保持フレームとに亘って各リンク軸にて軸着されると共に入浴用ストレッチャーの長辺方向に沿って配設される少なくとも一対のリンク片と、前記一対のリンク片のそれぞれに軸着された前記保持フレーム同士を連結する連結部材と、を備え、前記保持フレームと前記連結部材で囲まれる空間部に介助者が入出可能であり、前記基フレームと前記一対のリンク片と前記保持フレームと前記連結部材とで平行リンク機構を構成した、ことを特徴とする。
【0014】
請求項1に記載の発明においては、基フレーム、リンク片、連結部材の主要素で平行リンク機構を構成することで、従来の入浴用ストレッチャーに比して昇降支持機構を簡素化でき、これにより昇降支持機構を構成する部品点数の削減やコストダウンが図れる。また、昇降支持機構の簡素化により、全体重量の軽量化にも寄与でき、介助者が入浴用ストレッチャーを操舵する上で好ましいものとなる。また、平行リンク機構により担架載置部を水平状態に保ちながら安定的に昇降動作させることができ、担架の担架載置部上への移乗時や担架の昇降時に担架載置部を掴み入浴者に恐怖感を与えてしまう虞れも軽減できる。
【0015】
請求項2に記載の発明においては、前記一対のリンク片の前記基フレーム側の部分同士を、前記昇降支持機構を昇降駆動する昇降駆動手段に接続される他の連結部材で連結したことを特徴とする。
【0016】
請求項2に記載の発明によれば、昇降駆動手段によって担架載置部を昇降動作させることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明では、担架載置部を昇降可能に支持する昇降支持機構の簡素化により、部品点数の削減、コストダウン、入浴用ストレッチャー重量の軽量化ができ、加えて、入浴者が恐怖感を感じることなく安心して入退浴ができる入浴用ストレッチャーを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施形態に係る入浴用ストレッチャーの平面図である。
図2図1において水受盤および搭乗台を取り除いた状態の入浴用ストレッチャーの斜視図である。
図3図1の入浴用ストレッチャーの長辺方向断面図である。
図4】連結部材の変形例を示す斜視図である。
図5】連結部材のさらに別の変形例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図1図3を参照して、本発明の実施の形態に係る入浴用ストレッチャーを説明する。図1は、本発明の実施形態に係る入浴用ストレッチャーの平面図であり、図2は、水受盤および搭乗台を取り除いた状態の入浴用ストレッチャーの斜視図であり、図3は、入浴用ストレッチャーの長辺方向断面図である。
【0020】
入浴用ストレッチャー1は、基フレーム2を有する。基フレーム2は、それぞれ平行対向する一対の第1、第2長辺フレーム部2a,2bと、一対の第1、第2短辺フレーム部2c,2dと、で構成される。第1、第2短辺フレーム部2c,2dそれぞれの両端部下面に移動用車輪3が装着される。
【0021】
第1、第2長辺フレーム部2a,2bそれぞれの長辺方向一端側上面に第1、第2リンク装着部材4a,4bが設けられる。第1、第2長辺フレーム部2a,2bそれぞれの長辺方向他端側上面に第3、第4リンク装着部材4c,4dが設けられる。
【0022】
第1、第2リンク装着部材4a,4b間のリンク軸6aに、S字形状の第1、第2リンク片5a,5bの下方途中が回動自在に軸着される。この軸着箇所は、下部回動支点となる。第1、第2リンク片5a,5bは、その下端部5a1,5b1が下部回動支点よりさらに長辺方向一方の斜め方向に延びて作動部を構成する。第1、第2リンク片5a,5bの上端部5a2,5b2は、長辺方向一方側の水受盤17aを保持する水受盤保持フレーム8aに設けたリンク軸6bに回動自在に軸着される。この軸着箇所は、上部回動支点となる。
【0023】
第3、第4リンク装着部材4c,4d間のリンク軸6cに、S字形状の第3、第4リンク片9a,9bの下方途中が回動自在に軸着される。この軸着箇所は、下部回動支点となる。第3、第4リンク片9a,9bは、その下端部9a1,9b1が下部回動支点よりさらに長辺方向一方の斜め方向に延びて作動部を構成する。第3、第4リンク片9a,9bの上端部9a2,9b2は、長辺方向他方側の水受盤17bを保持する水受盤保持フレーム8bに設けたリンク軸6dに回動自在に軸着される。この軸着箇所は、上部回動支点となる。
【0024】
長辺方向一方の水受盤保持フレーム8aは、一対の長辺フレーム部8a1,8a2と一対の短辺フレーム部8a3,8a4とで平面視矩形枠状をなし、長辺方向他方の短辺フレーム部8a4は、両端が短辺方向に延びてその上にレール状担架載置部10aが設けられる。
【0025】
長辺方向他方の水受盤保持フレーム8bは、一対の長辺フレーム部8b1,8b2と一対の短辺フレーム部8b3,8b4とで平面視矩形枠状をなし、長辺方向一方の短辺フレーム部8b4は、両端が短辺方向に延びてその上にレール状担架載置部10bが設けられる。
【0026】
水受盤保持フレーム8aの短辺フレーム部8a4の一端側と水受盤保持フレーム8bの短辺フレーム部8b4の一端側とは、連結部材11により連結される。以上により基フレーム2と、第1〜第4リンク片5a,5b;9a,9bと、連結部材11とにより、平行リンク機構が構成される。
【0027】
この平行リンク機構は、昇降支持機構を構成し、基フレーム2と、長辺方向に沿って配設される左右一対の第1〜第4リンク片5a,5b;9a,9bと、レール状担架載置部10a,10bとの間に空間部12が形成され、また、連結部材11は、浴槽20に横付けされる側において水受盤保持フレーム8aの短辺フレーム部8a4の一端側と水受盤保持フレーム8bの短辺フレーム部8b4の一端側とを連結している。
【0028】
基フレーム2の第1、第2長辺フレーム部2a,2b間に電動アクチュエータ13からなる昇降駆動手段が配備される。短辺方向一方の第1、第3リンク片5a,9aそれぞれの下端部間はリンク軸18a、18bにより第1連結部材14aに連結され、また、短辺方向他方の第2、第4リンク片5b,9bそれぞれの下端部間はリンク軸18a、18bにより第2連結部材14bに連結される。これら第1、第2連結部材14a,14bの長辺方向中途部は第3連結部材15で連結されている。
【0029】
電動アクチュエータ13は、昇降支持機構(基フレーム2と、リンク片5a,5b;9a,9bと、連結部材11)を昇降駆動する昇降駆動手段として、駆動部13aと、駆動部13aに一端側が接続されて進退動するアクチュエータ部13bとを有し、アクチュエータ部13bの他端側は、第3連結部材15に固定されている。
【0030】
電動アクチュエータ13の駆動部13aによりアクチュエータ部13bが直線的に進退すると、第3連結部材15が長辺方向に押されたり、戻されたりする結果、第1、第2リンク片5a,5bおよび第3、第4リンク片9a,9bは、共に、下部回動支点を中心にして時計回り方向または反時計回り方向に回動させられる。
【0031】
この回動により、第1、第2リンク片5a,5bおよび第3、第4リンク片9a,9bの上端部が上方または下方に移動する。これと共に、連結部材11によって相互連結された水受盤保持フレーム8a、8bは、基フレーム2と平行を保った状態で図3に実線と仮想線で示すように上昇または下降させられる。
【0032】
基フレーム2の両長辺フレーム部2a,2b上に搭乗台16が載置される。この搭乗台16の上方には、前述した空間部12が形成される。また、水受盤保持フレーム8a、8bに設けられたレール状担架載置部10a,10bは、平行リンク機構により水平状態を保ちながら、電動アクチュエータ13により昇降動作させられるので、担架が昇降する際に入浴者に恐怖感を与えてしまう虞れも軽減できる。
【0033】
なお、昇降支持機構(基フレーム2と、リンク片5a,5b;9a,9bと、連結部材11)を昇降駆動させる昇降駆動手段である電動アクチュエータ13は、搭乗台16の下方に配置されているので、搭乗台16より上の昇降支持機構(基フレーム2と、第1〜第4リンク片5a,5b;9a,9bと、連結部材11)を簡素化でき、これにより空間部12のスペースを広く確保することができる。
【0034】
また、従来の入浴用ストレッチャーに比して、本実施形態の入浴用ストレッチャー1は、その長辺寸法を延ばすことなく、より広い空間部12のスペースを確保することができるので、介助者が空間部12に入出したり、空間部12内に入り込んだりして入浴介助作業を行う上で好ましい。
【0035】
連結部材11は、入浴用ストレッチャー1が浴槽20に横付けされた状態において、介助者が浴槽20への接近動作の妨げにならない位置で、短辺フレーム部8a4の一端側と短辺フレーム部8b4の一端側に対して架け渡されている。
【0036】
したがって、介助者が搭乗台16に搭乗し搭乗台16上の空間部12に入り込んで入浴者の洗身作業、担架のスライド移動や浴槽昇降の各操作を行う際の妨げにならず、従来の入浴用ストレッチャーと同等の操作性を維持することができる。
【0037】
その際、搭乗台16上の介助者が介助作業時に浴槽に接近することができる。
【0038】
また、浴槽20としては、入浴用ストレッチャーに対して浴槽20自体が昇降する構成を備えたものがあるが、その浴槽構成では、昇降する浴槽20の可動部と入浴用ストレッチャーとの間に介助者の身体が挟み込まれる可能性がある。これに対して、本実施形態では、連結部材11を設けることで、昇降した浴槽20の可動部に介助者が近づくことによる挟み込みの危険性に対して、連結部材11が安全ガードとしての機能を果たし、挟み込みの危険性を軽減できる。
【0039】
上記実施形態では、連結部材11は、入浴用ストレッチャー1における浴槽20に横付けする側に固定されているが、図4を参照して説明するように、連結部材11の位置を変更操作できるようにしてもよい。
【0040】
なお、図4では、要部を明瞭にするために、入浴用ストレッチャー1の上部側部材(連結部材11、水受盤保持フレーム8a、8b)のみを描いて、下部側部材等を省略している。図4に示す連結部材11は、その両端がアーム状の回動部材11a,11bの一端側に固定される。一方の回動部材11aの他端側には連結ピン12aの一端側が固定されると共に、連結ピン12aの他端側は、水受盤保持フレーム8aの短辺フレーム部8a4に設けた支持穴に回動可能に保持されている。他方の回動部材11bは、その他端側が連結ピン12bの一端側に固定されていると共に、連結ピン12bの他端側は水受盤保持フレーム8bの短辺フレーム部8b4,8b3に設けた貫通孔を介して短辺フレーム部8b3から外方に突出している。そして、連結ピン12bの突出部が操作ハンドル30の一端側に固定されている。
【0041】
操作ハンドル30は平面視L形状をなして他端側を図中矢印A方向で示すように回転操作させると、連結部材11は図中矢印B方向で示すように回転し、入浴用ストレッチャー1の一方側長辺から他方側長辺、およびその逆の方向にも反転させることでその位置が変更自在になっている。これにより、入浴用ストレッチャーの取り扱いに習熟していない介助者であっても簡単な操作で連結部材11の位置を変更することができるので、介助者の負担にならないものとなる。なお、図4のハンドル30は、不図示のロック機構で連結部材11が図4の位置及び、その反転位置に維持できるよう水受盤保持フレーム8bに対してロックされるようになっている。また、ハンドル30を設けずに、連結部材11を不図示のロック機構により図4の位置及びその反転位置に維持できるよう連結部材11の回動部材11a,11bを短辺フレーム部8a4,8b4に対してロックするように構成してもよい。
【0042】
また、連結部材11は、図5で示すように、入浴用ストレッチャー1の一方側長辺から他方側長辺、およびその逆の方向にもスライドしてその位置を変更自在にしてもよい。なお、図5では、図4と同様、要部を明瞭にするために、入浴用ストレッチャー1の上部側部材(連結部材11、水受盤保持フレーム8a、8b)のみを描いて、下部側部材等を省略している。
【0043】
水受盤保持フレーム8a,8bの短辺フレーム部8a4,8b4を断面矩形形状のスライド用レールとして、連結部材11の両端に設けた断面が片仮名の「コ」の字形状を有する保持部11c,11dをスライド用レールに係合することで、連結部材11をスライド用レールに沿って図中矢印C方向にスライド移動可能になっている。保持部11c,11dとスライド用レールとは、例えば、スライドボールベアリング、メタル軸受、樹脂メタルから構成することができる。
【0044】
なお、図5の連結部材11は、不図示のロック機構で入浴用ストレッチャー1の一方側長辺から他方側長辺においてそのスライド位置を固定できるようになっている。これによれば、図4の構成と同様、入浴用ストレッチャー1の取り扱いに習熟していない介助者であっても簡単な操作で連結部材11の位置を変更することができるので、介助者の負担にならない。
【0045】
図4または図5の連結部材11は、浴槽に対して入浴用ストレッチャーを横付けする方向に応じて連結部材の位置を変更自在にできる。このため、入浴用ストレッチャーを浴槽の一方側長辺および他方側長辺のどちらにも横付けして使用することが可能となり、汎用性の高いものとできる。入浴用ストレッチャーを利用する医療・福祉施設にとっても、浴槽に横付けする方向に応じてそれぞれ専用の入浴用ストレッチャーを購入・準備する必要性はなく、一台の入浴用ストレッチャーで浴槽のどちらの長辺方向からも入浴が行えるので、経済的で利便性に優れたものとなる。
【0046】
なお、連結部材11は、直線状であったが、これに限定されず、湾曲状等、その形状は任意である。また、昇降駆動手段として電動アクチュエータを用いたが、これに限定されず、油圧シリンダと油圧ポンプとを用いた昇降駆動手段であってもよいし、モータと螺子シャフトとを用いた昇降駆動手段であってもよい。
【0047】
また、リンク片は、4つ用いたが、例えば、長辺方向一方の2つのリンク片を1つに合体し、長辺方向他方の2つのリンク片を1つに合体して構成することで、リンク片2つの構成としてもよい。
【符号の説明】
【0048】
1 入浴用ストレッチャー
2 基フレーム
5a,5b 第1、第2リンク片
6a〜6d リンク軸
9a,9b 第3、第4リンク片
10a,10b レール状担架載置部
11 連結部材
12 空間部
13 電動アクチュエータ
20 浴槽
図1
図2
図3
図4
図5