【実施例】
【0102】
実施形態に係る細胞識別装置100を含む実施例を用いて、本発明を説明する。
【0103】
[実施例1]
本発明の実施例1に係る細胞識別装置100Eを用いて、本発明を説明する。
【0104】
[細胞識別装置の構成]、[細胞識別装置の機能]及び[解析手段の動作の例]
本実施例に係る細胞識別装置100Eの構成等を
図1〜
図13に示す。ここで、細胞識別装置100Eの構成等は、実施形態に係る細胞識別装置100の構成等と同様のため、説明を省略する。
【0105】
なお、本実施例に係る細胞識別装置100Eの仕様は、表1に示すように、非接触(及び非破壊)の計測、最大計測エリア100×100μm
2、測定波長(光源波長)632.8nmのレーザー、光路長分解能0.3nm、測定速度1〜100μm/s、空間分解能0.97μm(波長632.8nmで20倍の対物レンズを用いた場合)である。また、細胞識別装置100Eは、幅320mm、奥行き180mm、高さ290mmであり、可搬性に優れる。更に、細胞識別装置100Eは、細胞に照射する光の光路を鉛直方向とすることで、識別する細胞において重力の影響を低減することができる。
【0106】
【表1】
[細胞状態を解析する動作]
本実施例に係る細胞識別装置100Eが細胞状態を解析(細胞を識別)する動作を、
図14〜
図18を用いて説明する。なお、細胞識別装置100Eは、複数の細胞を識別するために、後述する
図14のステップS1401〜ステップS1404の動作を夫々の細胞に対して夫々実施する。
【0107】
図14に示すように、本実施例に係る細胞識別装置100Eは、先ず、ステップS1401において、ユーザーによって、光学系21の一対のガラス板の間隙(
図3(b)のガラス板21guとガラス板21gdとの間隙)に識別する細胞TCを配置される。その後、細胞識別装置100Eは、ステップS1402に進む。
【0108】
細胞識別装置100Eは、本実施例では、接着型の配置方法で細胞TCを配置する。具体的には、
図15に示すように、細胞識別装置100Eは、先ず、ガラス板21gd上に細胞TCを接着される(
図15(a))。次に、細胞識別装置100Eは、ガラス板21gd上にスペーサ21S(本実施例では厚みが50μmのシムリング)を配置される(
図15(b))。次いで、細胞識別装置100Eは、ガラス板21gd上に細胞TCが乾燥することを防止するために、生理食塩水Wnを滴下される(
図15(c))。その後、細胞識別装置100Eは、スペーサ21S(ガラス板21gd)上にガラス板21guを配置される(
図15(d))。これにより、細胞識別装置100Eは、接着型の配置方法(例えば
図3(b))で細胞TCを配置することができる。
【0109】
次に、ステップS1402において、細胞識別装置100Eは、計測手段20の光学系21及びフィードバック制御部22(
図1)を用いて、配置した細胞に照射する光(物体光)の光路長をフィードバック制御する。本実施例に係る細胞識別装置100Eがフィードバック制御する動作は、実施形態に係る細胞識別装置100の動作と同様のため、説明を省略する。その後、細胞識別装置100Eは、ステップS1403に進む。
【0110】
次いで、ステップS1403において、細胞識別装置100Eは、計測手段20の電圧検出部23(
図1)を用いて、フィードバック制御部22が光路長を変更したときの(ステップS1402)、ミラーM
PZTを駆動するピエゾ素子PZT(
図2)に印加した印加電圧V
PZTを検出する。その後、細胞識別装置100Eは、ステップS1404に進む。
【0111】
ステップS1404において、細胞識別装置100Eは、計測手段20の光路長変換部24(
図1)を用いて、実施形態に係る細胞識別装置100と同様に、電圧検出部23が検出した印加電圧V
PZT(ステップS1403)を光路長変化量ΔOPLに変換する。その後、細胞識別装置100Eは、ステップS1405に進む。
【0112】
図17に、細胞識別装置100Eが計測した光路長変化量ΔOPLの例を示す。ここで、
図17(a)は、正常細胞の場合の光路長変化量ΔOPL(横軸)に対するピクセル数Np(縦軸)である。
図17(b)は、転移性癌細胞の場合の光路長変化量ΔOPL(横軸)に対するピクセル数Np(縦軸)である。
図17(c)は、非転移性癌細胞の場合の光路長変化量ΔOPL(横軸)に対するピクセル数Np(縦軸)である。また、
図17は、細胞をxy平面(
図3(c))で計測したときの1万個の光路長変化量ΔOPLの分布(ヒストグラム)を示す。すなわち、
図17は、1pixel×1pixelに対応する光路長変化量ΔOPLを100pixel×100pixel(1万個)の範囲で計測した結果である。
【0113】
次に、ステップS1405において、細胞識別装置100Eは、解析手段30の画像生成部31(
図1)を用いて、光路長変換部24で変換された光路長変化量ΔOPLに基づいて画像を生成する。その後、細胞識別装置100Eは、ステップS1406に進む。なお、細胞識別装置100Eは、ステップS1405を実施しないで、ステップS1406に進んでもよい。
【0114】
次に、ステップS1406において、細胞識別装置100Eは、解析手段30のデータ抽出部32(
図1)を用いて、計測手段20が計測した複数の光路長変化量ΔOPL(ステップS1401〜ステップS1404)から特定の光路長変化量を抽出する。
【0115】
具体的には、細胞識別装置100E(データ抽出部32)は、細胞が正常細胞であるか又は癌細胞であるかを識別するために、正常細胞の複数の位置に対応する複数の光路長変化量ΔOPLから所定の数の光路長変化量を抽出する。ここで、細胞識別装置100E(データ抽出部32)は、本実施例では、正常細胞の複数の光路長変化量ΔOPL(
図17(a))のうちの値が大きい方から所定の数(例えば上位5%の500個)の光路長変化量を抽出することができる。なお、データ抽出部32が所定の数の光路長変化量を抽出する動作は、前述の[3.解析手段の動作の例(データの抽出及び閾値の設定)]で説明した動作(
図8のステップS802及びステップS803)と同様のため、説明を省略する。
【0116】
その後、細胞識別装置100Eは、ステップS1407に進む。
【0117】
ステップS1407において、細胞識別装置100Eは、解析手段30の閾値算出部33(
図1)を用いて、データ抽出部32が抽出した所定の数の光路長変化量ΔOPLに基づいて、細胞を識別する閾値を算出する。具体的には、細胞識別装置100E(閾値算出部33)は、本実施例では、閾値THとして、データ抽出部32が抽出した複数の光路長変化量ΔOPLの平均値を算出することができる。なお、閾値算出部33が閾値を算出(設定)する動作は、前述する[3.解析手段の動作の例(データの抽出及び閾値の設定)]で説明した動作(
図8のステップS804及びステップS805)と同様のため、説明を省略する。
【0118】
その後、細胞識別装置100Eは、ステップS1408に進む。
【0119】
具体的には、細胞識別装置100E(画像生成部31)は、本実施例では、光路長変化量の分布画像(光路長変化量画像)を生成することができる。すなわち、細胞識別装置100E(画像生成部31)は、正常細胞又は癌細胞を強調する画像を生成することができる。
【0120】
図16に、本実施例に係る細胞識別装置100E(例えば、位相差顕微鏡装置(IX71、DP71(オリンパス株式会社))など)の計測結果(位相差画像)及び細胞識別装置100Eの解析結果(光路長変化量画像)の一例を示す。ここで、
図16(a)は、乳腺(正常細胞)の位相差画像である。
図16(b)は、乳腺(正常細胞)の光路長変化量画像である。
図16(c)は、乳がん細胞(異常細胞、癌細胞)の位相差画像である。
図16(d)は、乳がん細胞(異常細胞、癌細胞)の光路長変化量画像である。
図16(e)は、皮膚細胞(正常細胞)の位相差画像である。
図16(f)は、皮膚細胞(正常細胞)の光路長変化量画像である。
図16(g)は、皮膚がん細胞(異常細胞、癌細胞)の位相差画像である。
図16(h)は、皮膚がん細胞(異常細胞、癌細胞)の光路長変化量画像である。
【0121】
細胞識別装置100E(画像生成部31)は、正常細胞又は癌細胞を強調する光路長変化量画像(例えば
図16(b)、(d)、(f)及び(h))を生成することができる。画像生成部31は、例えば
図16(a)及び
図16(c)に示すように、正常細胞及びがん細胞の大きさがほぼ同じ場合で、識別が困難なときでも、光路長変化量ΔOPLが高い値の部分を強調する(
図16(d))ことによって、正常細胞と乳がん細胞とを容易に識別することができる。また、画像生成部31は、例えば
図16(e)及び
図16(g)に示すように、形状では識別困難な皮膚がん細胞の場合でも、光路長変化量ΔOPLが高い値の部分を強調する(
図16(h))ことによって、正常細胞と皮膚がん細胞とを容易に識別することができる。
【0122】
これにより、細胞識別装置100Eは、生成した画像を表示部(
図1の出力部52)に表示することによって、表示部を見たユーザー(診断医など)に容易に癌細胞を認識させることができる。また、細胞識別装置100E(画像生成部31)は、ユーザーに光路長変化量画像の分布を確認させることで、正常細胞とがん細胞との違いを明確に、定量的に確認することができる。
【0123】
ステップS1408において、細胞識別装置100Eは、解析手段30の細胞識別部34(
図1)を用いて、閾値算出部33が算出した閾値THに基づいて、複数の細胞を識別する。
【0124】
具体的には、細胞識別装置100E(細胞識別部34)は、本実施例では、例えば
図18に示すように、閾値THとして光路長変化量245nmを算出された場合に(ステップS1407)、閾値THを境に、複数の細胞の正常細胞Cr及びがん細胞Ccに識別することができる。ここで、
図18の横軸は、光路長変化量ΔOPLである。また、
図18の縦軸は、該当する細胞の数Nsである。
【0125】
細胞識別装置100E(細胞識別部34)は、ステップS1406及びステップS1407の動作と同様に、細胞の複数の位置の複数の光路長変化量ΔOPLにおいて、値が大きい方から所定の数(例えば本実施例では上位5%)の光路長変化量を抽出し、抽出した所定の数の光路長変化量ΔOPLの平均値を細胞の光路長変化量ΔOPLとして用いることができる。なお、所定の数は、閾値を算出したときの所定の数と同様の数を用いることができる。
【0126】
その後、細胞識別装置100Eは、図中のENDに進み、細胞状態を解析(細胞を識別)する動作を終了する。
【0127】
以上により、本発明の実施例1に係る細胞識別装置100Eによれば、実施形態に係る細胞識別装置100と同様の効果を得ることができる。
【0128】
[実施例1の変形例1]
本発明の実施例1の変形例1に係る細胞識別装置110Eを用いて、本発明を説明する。
【0129】
[細胞識別装置の構成]、[細胞識別装置の機能]及び[解析手段の動作の例]
本変形例に係る細胞識別装置110Eの構成等を
図1等に示す。
【0130】
図1等に示すように、本変形例に係る細胞識別装置110Eの構成等は、前述の実施例1に係る細胞識別装置100Eの構成等と同様のため、説明を省略する。
【0131】
[細胞状態を解析する動作]
本変形例に係る細胞識別装置110Eが細胞状態を解析(細胞を識別)する動作を、
図14〜
図17及び
図19〜
図24を用いて説明する。ここで、
図19〜
図24の横軸は、光路長変化量ΔOPLである。また、
図19〜
図24の縦軸は、該当する細胞の数Nsである。なお、本変形例に係る細胞識別装置110Eが細胞状態を解析する動作は、前述の実施例1に係る細胞識別装置100Eの動作と基本的に同様のため、異なる部分を主に説明する。
【0132】
図14に示すように、本変形例に係る細胞識別装置110Eは、実施例1に係る細胞識別装置100Eと同様に、ステップS1401〜S1404において、計測手段20の光路長変換部24等を用いて、電圧検出部23が検出した印加電圧V
PZTを光路長変化量ΔOPLに変換する。その後、細胞識別装置110Eは、ステップS1405に進む。
【0133】
ステップS1405において、細胞識別装置110Eは、解析手段30の画像生成部31(
図1)を用いて、光路長変換部24で変換された光路長変化量ΔOPLに基づいて画像を生成する。その後、細胞識別装置110Eは、ステップS1406に進む。なお、細胞識別装置110Eは、ステップS1405を実施しないで、ステップS1406に進んでもよい。
【0134】
ステップS1406において、細胞識別装置110Eは、本変形例では、解析手段30のデータ抽出部32等を用いて、計測手段20が計測した複数の光路長変化量ΔOPLから複数の光路長変化量の群を抽出する。
【0135】
具体的には、細胞識別装置110E(データ抽出部32)は、算出する閾値(ステップS1407)の精度を高めるために、正常細胞の複数の光路長変化量ΔOPL(
図17(a))のうちの値が大きい方から複数の割合の光路長変化量の群(例えば上位1%、2%、3%、4%、5%及び6%)を抽出する。細胞識別装置110E(データ抽出部32)は、例えば上位1%、2%、3%、4%、5%及び6%に対応する複数の割合の光路長変化量の群として、
図19(上位1%の場合)、
図20(上位2%の場合)、
図21(上位3%の場合)、
図22(上位4%の場合)、
図23(上位5%の場合)、
図24(上位6%の場合)の光路長変化量の群を夫々抽出することができる。
【0136】
その後、細胞識別装置110Eは、ステップS1407に進む。
【0137】
ステップS1407において、細胞識別装置110Eは、解析手段30の閾値算出部33(
図1)を用いて、複数の割合の光路長変化量の群に対応する複数の閾値領域を算出する。
【0138】
具体的には、細胞識別装置110E(閾値算出部33)は、本変形例では、先ず、上位1%、2%、3%、4%、5%及び6%に対応する割合の光路長変化量の群に対応する閾値領域として、
図20〜
図23に示すように、閾値領域Rth2、Rth3、Rth4及びRth5を算出する。なお、
図19及び
図24の上位1%及び6%の場合では、閾値領域が存在しない。次いで、細胞識別装置110E(閾値算出部33)は、算出した閾値領域Rth2等から絶対値の一番大きい閾値領域に対応する光路長変化量の群の閾値を、細胞を識別する閾値THとして選択(算出)する。ここで、細胞識別装置110E(閾値算出部33)は、2%又は3%の閾値(例えば閾値領域Rth2又はRth3の中間値)を閾値THとして選択することができる。
【0139】
その後、細胞識別装置110Eは、ステップS1408に進む。
【0140】
本変形例に係る細胞識別装置110Eのその他の動作は、前述の実施例1に係る細胞識別装置100Eの動作と基本的に同様のため、説明を省略する。
【0141】
以上により、本発明の実施例1の変形例1に係る細胞識別装置110Eによれば、実施例1に係る細胞識別装置100Eと同様の効果を得ることができる。また、本変形例に係る細胞識別装置110Eによれば、閾値算出部33を用いて複数の割合の光路長変化量の群に対応する複数の閾値領域を算出することができるので、算出した複数の閾値領域で領域の幅が広い閾値領域に対応する光路長変化量の群を用いて閾値を算出(選択)することができる。更に、本変形例に係る細胞識別装置110Eによれば、複数の割合の光路長変化量の群に対応する複数の閾値から閾値領域の幅が広い閾値領域に対応する閾値を選択することができるので、選択した閾値を用いて細胞を識別する精度を向上することができる。
【0142】
[実施例1の変形例2]
本発明の実施例1の変形例2に係る細胞識別装置120Eを用いて、本発明を説明する。
【0143】
[細胞識別装置の構成]、[細胞識別装置の機能]及び[解析手段の動作の例]
本変形例に係る細胞識別装置120Eの構成等を
図1等に示す。
【0144】
図1等に示すように、本変形例に係る細胞識別装置120Eの構成等は、前述の実施例1に係る細胞識別装置100Eの構成等と同様のため、説明を省略する。
【0145】
[細胞状態を解析する動作]
本変形例に係る細胞識別装置120Eが細胞状態を解析(細胞を識別)する動作を、
図14〜
図17及び
図25を用いて説明する。なお、本変形例に係る細胞識別装置120Eが細胞状態を解析する動作は、前述の実施例1に係る細胞識別装置100Eの動作と基本的に同様のため、異なる部分を主に説明する。
【0146】
図14に示すように、本変形例に係る細胞識別装置120Eは、実施例1に係る細胞識別装置100Eと同様に、ステップS1401〜S1404において、計測手段20の光路長変換部24等を用いて、電圧検出部23が検出した印加電圧V
PZTを光路長変化量ΔOPLに変換する。その後、細胞識別装置120Eは、ステップS1405に進む。
【0147】
ステップS1405において、細胞識別装置120Eは、解析手段30の画像生成部31(
図1)を用いて、光路長変換部24で変換された光路長変化量ΔOPLに基づいて画像を生成する。その後、細胞識別装置120Eは、ステップS1406に進む。なお、細胞識別装置120Eは、ステップS1405を実施しないで、ステップS1406に進んでもよい。
【0148】
次に、ステップS1406において、細胞識別装置120Eは、解析手段30のデータ抽出部32(
図1)を用いて、計測手段20が計測した複数の光路長変化量ΔOPL(ステップS1401〜ステップS1404)から特定の光路長変化量を抽出する。
【0149】
具体的には、細胞識別装置120E(データ抽出部32)は、本変形例では、癌細胞が転移性癌細胞であるか又は非転移性癌細胞であるかを識別するために、正常細胞の場合と同様に、転移性癌細胞の複数の位置に対応する複数の光路長変化量ΔOPL(
図17(b))から所定の数の光路長変化量を更に抽出する。
【0150】
その後、細胞識別装置120Eは、ステップS1407に進む。
【0151】
ステップS1407において、細胞識別装置120Eは、解析手段30の閾値算出部33(
図1)を用いて、データ抽出部32が抽出した所定の数の光路長変化量ΔOPLに基づいて、細胞を識別する閾値及び第2の閾値を算出する。具体的には、細胞識別装置120E(閾値算出部33)は、本変形例では、閾値THとして、データ抽出部32が抽出した正常細胞の複数の光路長変化量ΔOPLの平均値を算出することができる。また、細胞識別装置120E(閾値算出部33)は、第2の閾値TH2として、データ抽出部32が抽出した転移性癌細胞の複数の光路長変化量ΔOPLの平均値を算出することができる。
【0152】
その後、細胞識別装置120Eは、ステップS1408に進む。
【0153】
ステップS1408において、細胞識別装置120Eは、解析手段30の細胞識別部34(
図1)を用いて、閾値算出部33が算出した閾値TH及び第2の閾値TH2を用いて、複数の細胞を識別する。その後、細胞識別装置120Eは、図中のENDに進み、細胞状態を解析(細胞を識別)する動作を終了する。
【0154】
図25に、本変形例に係る細胞識別装置120E(細胞識別部34)が閾値TH及び第2の閾値TH2を用いて複数の細胞を識別する動作を具体的に示す。
【0155】
図25に示すように、細胞識別装置120E(細胞識別部34)は、本変形例では、ステップS2501において、識別する細胞の光路長変化量ΔOPLが閾値TH以下か否かを判断する。識別する細胞の光路長変化量ΔOPLが閾値TH以下の場合には、細胞識別装置120E(細胞識別部34)は、ステップS2502に進む。それ以外の場合には、細胞識別装置120E(細胞識別部34)は、ステップS2503に進む。
【0156】
ステップS2502において、細胞識別装置120E(細胞識別部34)は、細胞を正常細胞と識別する。この後、細胞識別装置120Eは、図中のENDに進み、細胞状態を解析(細胞を識別)する動作を終了する。
【0157】
ステップS2503において、細胞識別装置120E(細胞識別部34)は、識別する細胞の光路長変化量ΔOPLが第2の閾値TH2以下か否かを判断する。識別する細胞の光路長変化量ΔOPLが第2の閾値TH2以下の場合には、細胞識別装置120E(細胞識別部34)は、ステップS2504に進む。それ以外の場合には、細胞識別装置120E(細胞識別部34)は、ステップS2505に進む。
【0158】
ステップS2504において、細胞識別装置120E(細胞識別部34)は、細胞を転移性癌細胞と識別する。この後、細胞識別装置120Eは、図中のENDに進み、細胞状態を解析(細胞を識別)する動作を終了する。
【0159】
一方、ステップS2505において、細胞識別装置120E(細胞識別部34)は、細胞を非転移性癌細胞と識別する。この後、細胞識別装置120Eは、図中のENDに進み、細胞状態を解析(細胞を識別)する動作を終了する。
【0160】
以上により、本発明の実施例1の変形例2に係る細胞識別装置120Eによれば、実施例1に係る細胞識別装置100Eと同様の効果を得ることができる。また、本変形例に係る細胞識別装置120Eによれば、閾値算出部33を用いて第2の閾値TH2を算出することができるので、算出した閾値TH及び第2の閾値TH2を用いて、細胞が正常細胞、転移性癌細胞又は非転移性癌細胞であるかを識別することができる。また、本変形例に係る細胞識別装置120Eによれば、閾値算出部33が算出した閾値TH及び第2の閾値TH2を用いて、細胞が正常細胞、転移性癌細胞又は非転移性癌細胞であるかを識別することができるので、ユーザー(診断医など)が肉眼では判断できない細胞(例えば転移性癌細胞又は非転移性癌細胞)を容易にユーザーに認識させることができる。また、本変形例に係る細胞識別装置120Eによれば、ユーザーが光路長変化量画像の分布を確認することで、正常細胞とがん細胞との違いを明確に、定量的に確認することができる。
【0161】
[実施例2]
本発明の実施例2に係る細胞識別装置200Eを用いて、本発明を説明する。
【0162】
[細胞識別装置の構成]
本実施例に係る細胞識別装置200Eの構成等を
図1等及び
図26に示す。細胞識別装置200Eの構成等は、実施形態に係る細胞識別装置100の構成と基本的に同様のため、異なる部分を主に説明する。
【0163】
本実施例に係る細胞識別装置200Eは、デジタルホログラフィ技術を用いて、識別する細胞の位相情報(及び振幅)を計測する。
【0164】
具体的には、細胞識別装置200Eは、
図26に示すように、細胞(Sample)のフレネル回折光Ldと参照光Lrの干渉縞をビームスプリッタBSで生成し、ホログラム(干渉縞画像)としてイメージセンサCCDで取得する。次に、細胞識別装置200Eは、コンピュータPC等を用いて、取得したホログラムの像再生を行なう。これにより、細胞識別装置200Eは、細胞の位相情報(及び振幅)を取得することができる。
【0165】
なお、細胞識別装置200Eの光学系21等は、
図26に示すものに限定されない。すなわち、細胞識別装置200Eは、デジタルホログラフィに関する公知の技術を用いて,識別する細胞の位相情報を計測することができる構成を用いることができる。
【0166】
[細胞状態を解析する動作]
本実施例に係る細胞識別装置200Eが細胞状態を解析(細胞を識別)する動作を、
図27及び
図28を用いて説明する。
【0167】
図27に示すように、本実施例に係る細胞識別装置200Eは、先ず、ステップS2701において、ユーザーによって、光学系21の一対のガラス板の間隙(例えば
図3(b)のガラス板21guとガラス板21gdとの間隙)に識別する細胞TCを配置される。その後、細胞識別装置200Eは、ステップS2702に進む。
【0168】
次に、ステップS2702において、細胞識別装置200Eは、光学系(
図26)を用いて、細胞のフレネル回折光Ldと参照光Lrのホログラム(干渉縞画像)をイメージセンサCCDで取得する。その後、細胞識別装置200Eは、ステップS2703に進む。
【0169】
次いで、ステップS2703において、細胞識別装置200Eは、デジタルホログラフィ技術を用いて、取得したホログラムに基づいて、細胞の位相情報(及び振幅)を取得(算出)する。また、細胞識別装置200Eは、取得した位相情報を用いて、位相差画像を生成する。なお、細胞識別装置200Eは、取得した位相情報を数2に代入することによって光路長変化量ΔOPLを算出し、算出した光路長変化量ΔOPLを用いて光路長変化量画像を生成してもよい。
【0170】
その後、細胞識別装置200Eは、ステップS2704に進む。
【0171】
図28に、本実施例に係る細胞識別装置200Eが生成した位相差画像の一例を示す。ここで、
図28(a)は、4mm×4mmの領域内の複数の細胞の位相差画像である。
図28(b)は、
図28(a)の領域内における一つの細胞Rbを抽出して拡大した拡大図である。
【0172】
本実施例に係る細胞識別装置200Eは、複数の細胞を同時に撮像し、デジタルホログラフィ技術を用いて、複数の細胞の位相情報を一回の動作で取得することができる。このため、本実施例に係る細胞識別装置200Eは、識別する細胞が複数である場合に、細胞の位相情報(光路長変化量ΔOPL)を取得する動作に要する時間を短縮することができる。
【0173】
次に、ステップS2704において、細胞識別装置200Eは、生成した画像(位相差画像又は光路長変化量画像)から、識別する細胞に対応する画像を抽出する(
図28(b))。その後、細胞識別装置200Eは、ステップS2705に進む。
【0174】
ステップS2705において、細胞識別装置200Eは、解析手段30の細胞識別部34(
図1)を用いて、閾値算出部33が算出した閾値TH(及び第2の閾値TH2)を用いて、抽出した細胞を識別する。その後、細胞識別装置200Eは、図中のENDに進み、細胞状態を解析(細胞を識別)する動作を終了する。
【0175】
ここで、細胞識別装置200Eは、実施形態に係る細胞識別装置100又は実施例1に係る細胞識別装置100E等と同様に(例えば
図14のステップS1408)、抽出した画像における細胞の光路長変化量ΔOPL(又は位相差)に基づいて、細胞を識別することができる。
【0176】
以上により、本発明の実施例2に係る細胞識別装置200Eによれば、デジタルホログラフィ技術を用いて、複数の細胞の位相情報(又は光路長変化量ΔOPL)を一回の動作で取得することができるので、複数の細胞の位相情報(光路長変化量ΔOPL)を取得する動作に要する時間を短縮することができる。また、本実施例に係る細胞識別装置200Eによれば、複数の細胞の位相情報(光路長変化量ΔOPL)を一回の動作で取得することができるので、例えばCTC検査に本発明を用いた場合に、検査に要する時間を短縮することができる。すなわち、本実施例に係る細胞識別装置200Eによれば、血液10ml当たり数個から数十個の血中循環がん細胞(CTC)を検出する場合に、短時間で多数の細胞を識別することができるため、CTC検査において特に有利な効果を有する。
【0177】
また、本発明の実施例2に係る細胞識別装置200Eによれば、実施形態に係る細胞識別装置100と同様の効果を得ることができる。
【0178】
[実施例3]
本発明の実施例3に係る細胞識別装置300Eを用いて、本発明を説明する。
【0179】
[細胞識別装置の構成]、[細胞識別装置の機能]及び[解析手段の動作の例]
本実施例に係る細胞識別装置300Eの構成等を
図1等に示す。細胞識別装置300Eの構成等は、実施形態に係る細胞識別装置100の構成等と基本的に同様のため、説明を省略する。なお、細胞識別装置300Eは、本実施例では、正常細胞として白血球細胞、異常細胞として白血病細胞、乳がん細胞(非転移性乳がん細胞、転移性乳がん細胞)を識別する。
【0180】
[細胞状態を解析する動作]
本実施例に係る細胞識別装置300Eが細胞状態を解析(細胞を識別)する動作を、
図14及び
図29〜
図37を用いて説明する。
【0181】
図14に示すように、本実施例に係る細胞識別装置300Eは、先ず、ステップS1401において、ユーザーによって、光学系21の一対のガラス板の間隙に識別する細胞TCを配置される。その後、細胞識別装置300Eは、ステップS1402に進む。
【0182】
細胞識別装置300Eは、本実施例では、単離系の細胞TCを配置する。具体的には、
図29に示すように、細胞識別装置300Eは、先ず、ピペットPpを用いて、液体Ln中に浮遊している細胞TC(
図29(a))をガラス板21gd上に滴下される(
図29(b))。次に、細胞識別装置300Eは、ガラス板21gd上にスペーサ21S(本実施例では厚みが50μmのシムリング)を配置される(
図29(c))。次いで、細胞識別装置300Eは、スペーサ21S(ガラス板21gd)上にガラス板21guを配置される(
図29(d))。これにより、細胞識別装置300Eは、単離系の細胞TCを配置することができる(
図30)。
【0183】
次に、ステップS1402〜ステップS1404において、細胞識別装置300Eは、実施例1に係る細胞識別装置100Eの動作と同様に、光路長変化量ΔOPLに計測する。その後、細胞識別装置300Eは、実施例1に係る細胞識別装置100Eの動作と同様に、ステップS1405又はステップS1406に進み、次にステップS1407に進む。なお、データ抽出部32が所定の数の光路長変化量を抽出する動作は、前述の[3.解析手段の動作の例(データの抽出及び閾値の設定)]で説明した動作と同様である。
【0184】
ステップS1407において、細胞識別装置300Eは、解析手段30の閾値算出部33(
図1)を用いて、データ抽出部32が抽出した所定の数の光路長変化量ΔOPLに基づいて、細胞を識別する閾値を算出する。具体的には、細胞識別装置300E(閾値算出部33)は、本実施例では、最小値のエラーレートERに対応するn
th(所定の数)を選択し、選択したn
th(所定の数)を用いて算出した平均値AOPDを閾値として設定する(
図8のステップS806及びステップS807)。
【0185】
ここで、細胞識別装置300E(閾値算出部33)は、本実施例では、正常細胞(白血球細胞)と異常細胞(白血病細胞など)を識別する閾値THとしてデータ抽出部32が抽出した正常細胞の複数の光路長変化量ΔOPLの平均値を算出するとともに、白血病細胞と乳がん細胞とを識別する第2の閾値TH2として白血病細胞の複数の光路長変化量ΔOPLの平均値を更に算出する。
【0186】
その後、細胞識別装置300Eは、ステップS1408に進む。
【0187】
図32に、本実施例に係る細胞識別装置300E(例えば、位相差顕微鏡装置(IX71、DP71(オリンパス株式会社))など)の計測結果(位相差画像)及び細胞識別装置300Eの解析結果(光路長変化量画像)の一例を示す。ここで、
図32(a)は、正常細胞(白血球細胞)の位相差画像である。
図32(b)は、正常細胞(白血球細胞)の光路長変化量画像である。
図32(c)は、異常細胞(白血病細胞)の位相差画像である。
図32(d)は、異常細胞(白血病細胞)の光路長変化量画像である。
図32(e)は、異常細胞(非転移性乳がん細胞)の位相差画像である。
図32(f)は、異常細胞(非転移性乳がん細胞)の光路長変化量画像である。
図32(g)は、異常細胞(転移性乳がん細胞)の位相差画像である。
図32(h)は、異常細胞(転移性乳がん細胞)の光路長変化量画像である。
【0188】
細胞識別装置300E(画像生成部31)は、光路長変化量ΔOPLを用いて、正常細胞又は異常細胞を強調する光路長変化量画像(例えば
図32(b)、(d)、(f)及び(h))を生成する。画像生成部31は、例えば
図32(a)及び
図32(c)に示すように、正常細胞及び異常細胞の大きさがほぼ同じ場合で、識別が困難なときでも、光路長変化量ΔOPLが高い値の部分を強調する(
図32(d))ことによって、正常細胞(白血球細胞)と異常細胞(白血病細胞)とを容易に識別することができる。また、画像生成部31は、例えば
図32(e)及び
図32(g)に示すように、形状では識別困難な非転移性乳がん細胞と転移性乳がん細胞とを、光路長変化量ΔOPLが高い値の部分を強調する(
図32(f))ことによって容易に識別することができる。
【0189】
ステップS1408において、細胞識別装置300Eは、解析手段30の細胞識別部34(
図1)を用いて、閾値算出部33が算出した閾値TH及び第2の閾値TH2に基づいて、複数の細胞を識別する。その後、細胞識別装置300Eは、図中のENDに進み、細胞状態を解析(細胞を識別)する動作を終了する。
【0190】
図31に、本実施例に係る細胞識別装置300E(細胞識別部34)が閾値TH及び第2の閾値TH2を用いて複数の細胞を識別する動作を具体的に示す。
【0191】
図31に示すように、細胞識別装置300E(細胞識別部34)は、ステップS3101において、識別する細胞の光路長変化量ΔOPLが閾値TH以下か否かを判断する。識別する細胞の光路長変化量ΔOPLが閾値TH以下の場合には、細胞識別装置300Eは、ステップS3102に進む。それ以外の場合には、細胞識別装置300Eは、ステップS3103に進む。
【0192】
ステップS3102において、細胞識別装置300Eは、細胞を正常細胞(白血球細胞)と識別する。この後、細胞識別装置300Eは、図中のENDに進み、細胞状態を解析(細胞を識別)する動作を終了する。
【0193】
一方、ステップS3103において、細胞識別装置300E(細胞識別部34)は、識別する細胞の光路長変化量ΔOPLが第2の閾値TH2以下か否かを判断する。識別する細胞の光路長変化量ΔOPLが第2の閾値TH2以下の場合には、細胞識別装置300Eは、ステップS3104に進む。それ以外の場合には、細胞識別装置300Eは、ステップS3105に進む。
【0194】
ステップS3104において、細胞識別装置300E(細胞識別部34)は、細胞を異常細胞(白血病細胞)と識別する。この後、細胞識別装置300Eは、図中のENDに進み、細胞状態を解析(細胞を識別)する動作を終了する。
【0195】
また、ステップS3105において、細胞識別装置300E(細胞識別部34)は、細胞を異常細胞(乳がん細胞)と識別する。この後、細胞識別装置300Eは、図中のENDに進み、細胞状態を解析(細胞を識別)する動作を終了する。なお、細胞識別装置300Eは、乳がん細胞において非転移性乳がん細胞と転移性乳がん細胞とを識別する第3の閾値を更に用いて、非転移性乳がん細胞と転移性乳がん細胞とを識別してもよい。
【0196】
以上により、本発明の実施例3に係る細胞識別装置300Eによれば、実施例1に係る細胞識別装置100Eと同様の効果を得ることができる。また、本実施例に係る細胞識別装置300Eによれば、算出した閾値TH及び第2の閾値TH2を用いて、細胞が正常細胞(白血球細胞)又は異常細胞(白血病細胞、非転移性乳がん細胞、転移性乳がん細胞)であるかを識別することができる。更に、本実施例に係る細胞識別装置300Eによれば、閾値TH及び第2の閾値TH2を用いて、細胞が正常細胞又は異常細胞であるかを識別することができるので、ユーザー(診断医など)が肉眼では判断できない細胞を容易にユーザーに認識させることができるとともに、光路長変化量画像の分布を確認することで正常細胞と異常細胞との違いを明確に定量的に確認することができる。
【0197】
また、本発明の実施例3に係る細胞識別装置300Eによれば、単離系の複数の細胞TCの位相情報(光路長変化量ΔOPL)を取得することができるので、例えばCTC検査に本発明を用いた場合に検査に要する時間を短縮することができる。すなわち、本実施例に係る細胞識別装置300Eによれば、血液10ml当たり数個から数十個の血中循環がん細胞(CTC)を検出する場合に、短時間で多数の細胞を識別することができるため、CTC検査において特に有利な効果を有する。
【0198】
[実験結果]
図33〜
図37に、正常細胞(白血球細胞Crを20サンプル)及び異常細胞(白血病細胞Leを15サンプル、乳がん細胞Bcを5サンプル)について、本実施例に係る細胞識別装置300Eが計測した光路長変化量ΔOPLの実験結果を示す。ここで、
図33は、上位2%の平均の光路長変化量ΔOPLの実験結果である。
図34は、上位4%の平均の光路長変化量ΔOPLの実験結果である。
図35は、上位6%の平均の光路長変化量ΔOPLの実験結果である。
図36は、上位8%の平均の光路長変化量ΔOPLの実験結果である。
図37は、上位10%の平均の光路長変化量ΔOPLの実験結果である。
【0199】
図33(上位2%)に示すように、細胞識別装置300Eは、閾値(横軸の光路長変化量ΔOPL)を160〜200nmの範囲内の値にすることによって、白血球細胞Cr(正常細胞)と白血病細胞Le(異常細胞)とを識別することができる。なお、
図34(上位4%)〜
図37(上位10%)では、細胞識別装置300E(解析手段30)は閾値を設定することは困難である。すなわち、細胞識別装置300E(解析手段30)は正常細胞と異常細胞とを識別することは困難である。
【0200】
図37(上位10%)に示すように、細胞識別装置300Eは、第2の閾値(横軸の光路長変化量ΔOPL)を270nmの値にすることによって、白血病細胞Le(異常細胞)と乳がん細胞Bc(異常細胞)とを識別することができる。なお、
図33(上位2%)〜
図36(上位8%)では、細胞識別装置300E(解析手段30)は第2の閾値を設定することは困難である。すなわち、細胞識別装置300E(解析手段30)は異常細胞の種類(白血病細胞Le、乳がん細胞Bc)を識別することは困難である。