(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0021】
では、紙葉類処理装置について、真偽判定対象を紙幣とする紙幣処理装置を例にとって説明する。本発明の紙葉類処理置は、この紙幣処理装置のように識別対象を紙幣とするのみならず、金券、クーポン券、有価証券など各種紙葉類を、その識別対象とすることが可能である。
【0022】
図1は、本発明の実施形態に係る紙幣処理装置1の外観斜視図である。この紙幣処理装置は、自動販売機、両替機、ゲーム機など、各種機器にユニットとして組み込まれ、紙幣挿入口12aから挿入される紙幣を取り込んで真偽判定し、商品やサービス提供のために使用される金額の認識を行う。
【0023】
紙幣処理装置1は、従来の紙幣処理装置と同様に、紙幣挿入口12aに連結した搬送路と搬送路内に配置された搬送ベルトと識別センサによって、紙幣挿入口12aに挿入された紙幣を装置内部に案内するとともに紙幣の真贋や金種を識別する。
【0024】
この紙幣処理装置1は、筐体11と筐体11の前面に設けられた前部カバー12を備えて構成される。前部カバー12には、紙幣挿入のための開口(紙幣挿入口12a)と搬送路の前面側の通路壁の一部分等が設けられている。なお、紙幣処理装置1について各種説明を行うための座標を左下に定義しておく。紙幣処理装置1の横方向をX軸、縦方向をY軸、奥行き方向をZ軸として規定する。
図2には、前部カバー12を取り外したときの、紙幣処理装置1の正面図が示されている。
【0025】
前部カバー12を取り外した筐体11の窓からは、紙幣を搬送する搬送ユニット20の一部が見て取れる。
図3には、この搬送ユニット20の正面図(A)、及び、側面図(B)が示されている。搬送ユニット20は、紙幣挿入口12aから挿入された紙幣の幅、及び、挿入を検出するための入口センサ61R、61L、搬送路を紙幣幅に合わせるための可動壁35R、35L、そして、紙幣を搬送するための搬送ベルト24R、24Lを備えている。
【0026】
図3(B)には、紙幣挿入口12aから挿入された紙幣の紙幣搬送路Cが矢印で示されている。紙幣挿入口12aに挿入された紙幣は、入口センサ61R、61Lで紙幣の挿入及び紙幣の幅が検出される。検出された紙幣の幅に応じて可動壁35R、35Lが動作する。本実施形態では、初期状態において、両可動壁35R、35L間の距離は、幅が広い紙幣に合った状態となっており、幅が狭い紙幣が検出されることで、可動壁35R、35Lが内側に移動し、両可動壁35R、35L間の距離は、幅の狭い紙幣に合った状態となる。前部カバー12が取り付けられた筐体11内に搬送ユニット20が装着されることで、搬送ユニット20と前部カバー12との間及び搬送ユニット20と筐体11の間に紙幣搬送路が形成される。
【0027】
紙幣搬送路には、駆動プーリ21R、21Lおよび従動プーリ22R、22L、23R、23Lに巻き掛けられた搬送ベルト24R、24Lが面している。紙幣挿入口12aに挿入された紙幣は、U字形に形成された紙幣搬送路Cを経由して、筐体11の下方に位置する紙幣収納箱42側に搬送される。このように本実施形態では、U字形の紙幣搬送路Cを採用することで、紙幣処理装置1の薄型化、並びに、小型化が図られている。
【0028】
図4は、本発明の実施形態に係る紙幣処理装置1について、YZ平面での断面図を示したものである。ここでは、紙幣挿入口12aから挿入された紙幣が、紙幣収納箱42に格納される機構を説明する。紙幣挿入口12aから紙幣搬送路15に挿入された紙幣は、搬送機構によって紙幣搬送路15の奥方向へと搬送される。搬送機構は、第1駆動源31、駆動プーリ21R、従動プーリ22R、23R、搬送ベルト24R、従動ローラ25R〜29Rを備えている。なお、本実施形態では、駆動プーリ21R、従動プーリ22R、23R、搬送ベルト24R、従動ローラ25R〜29Rを、搬送される紙幣の幅方向に2組備えて構成されている。図中の符号Rは、紙幣処理装置1の正面から見て右側に位置する組を示している。以下の説明では、右側に位置する組の搬送機構について説明を行うが、左側に位置する組についても第1駆動源31にて同様に駆動される。
【0029】
第1駆動源31は、駆動プーリ21Rを回転駆動させる。第1駆動源31は、モータ等の回転駆動力を発生する部材であり、第1駆動源31にて発生した回転駆動力は、図示しないギア等の伝達機構にて駆動プーリ21Rを回転駆動させる。搬送ベルト24Rは、駆動プーリ21R、従動プーリ22R、23Rに巻き掛けられるとともに、従動ローラ25R〜29Rに、その外周を支持されて配置されている。紙幣挿入口12aから挿入された紙幣は、搬送ベルト24Rと従動ローラ25R〜29Rに挟持されて、紙幣搬送路15の奥方向へと搬送される。
【0030】
紙幣搬送路15を搬送される紙幣は、その搬送途中に識別センサ(後で説明する)によって、その真贋判定、種別判定が実行される。真贋判定にて本物であることが判定された紙幣は、紙幣収納箱42に対向する位置まで搬送され、紙幣収納機構41の押圧部411によって、Z軸正の方向に押圧され、紙幣収納箱42内の紙幣収納部423(本発明における「収納部」に相当)に格納される。この紙幣収納機構41は、モータ等の第2駆動源32によって駆動され、紙幣を紙幣収納箱42に格納する際、板状の押圧部411をZ軸方向に移動させる。また、紙幣収納箱42には、円錐コイルばね422で支持されたプレート413が設けられている。
【0031】
さらに、紙幣処理装置1では、不正行為防止のため紙幣搬送路15を閉鎖するシャッター45が設けられている。このシャッター45は、ソレノイド46(図示せず)の駆動力によって紙幣搬送路15に設けられた貫通孔164を閉鎖し、真贋判定実行後の紙幣が紙幣挿入口12a側に戻らないようにしている。このような機構により、紙幣に糸を取り付け、真贋判定実行後の紙幣を紙幣挿入口12a側に引き抜く不正行為を抑制することを可能としている。
【0032】
次に、紙幣処理装置1の紙幣の挿入、及び、紙幣の幅を検出する入口センサの構成を説明する。
図5は、紙幣処理装置1の紙幣搬送路の分岐、並びに、入口センサ、識別センサの配置を説明するための断面図である。
図3の紙幣搬送において説明を行ったように、紙幣処理装置1は、入口センサと識別センサを備えている。入口センサは、紙幣挿入口12a近傍の紙幣搬送路15内に配置されている。入口センサは、紙幣挿入口12aから紙幣が挿入されたこと、及び、紙幣の幅を検出するセンサであって、本実施形態では、複数の発光素子62、複数の受光素子64、複数の導光部63a〜63cを有して構成されている。導光部63a〜63cには、プリズム等、光路の方向を変更する光学素子が使用可能である。
【0033】
発光素子62は、LEDなどで構成され、常時、あるいは、パルス状に導光部63bに向かって光を照射する。発光素子62から照射された光は、導光部63bを通過後、導光部63cに入射する。導光部63cは、紙幣搬送路63に面する受光面と照射面を有し、受光面から入射した光を内部反射によって照射面から照射させる。したがって、導光部63bから紙幣搬送路15に向かって照射された光は、導光部63cによって、紙幣搬送路15を隔てた受光素子64側に戻され、受光素子64によって受光される。
【0034】
紙幣搬送路15内に紙幣が挿入された場合、受光素子64に戻る光は紙幣にて遮蔽され、受光素子64に入射する光は減衰を生じる。特に、この実施形態では、紙幣によって、発光素子62から導光部63bに入射する光(往路)、及び、導光部63cから受光素子64に入射する光(復路)の両方に対して、紙幣による減衰が行われるため、紙幣挿入時の減衰量を十分に取り、紙幣挿入口12a等から入射する外乱光による誤検出の抑制が図られている。また、本実施形態の入口センサは、複数の受光素子の受光量の違いから挿入される紙幣の両端付近の挿入を検知することで、挿入された紙幣の幅を検出することが可能となっている。
【0035】
以上、紙幣の挿入、及び、紙幣の幅を検出する入口センサの構成について説明したが、入口センサの構成は、このような光学式のセンサに限られるものでは無く、機械的に紙幣の挿入状態、及び、紙幣の幅を検出する形態など、各種形態を採用することが可能である。
【0036】
一方、紙幣の真贋、並びに、券種を識別する識別センサは、紙幣搬送路15を跨いで配置される発光素子65と受光素子66の組を有して構成される。
図5では1組の発光素子65と受光素子66の1組が示されているが、実際には、発光素子65と受光素子66は、複数配置されており、紙幣の幅方向の複数箇所において紙幣の特性を検出することが可能となっている。
【0037】
紙幣処理装置1の紙幣搬送路15について、その幅可変機構を説明する。
図6には、搬送ユニット20について、紙幣搬送路15の幅可変の様子が示されている。
図6(A−1)、
図6(A−2)は、紙幣搬送路15の幅(W1)が広い状態であり、
図6(A−1)は搬送ユニット20の正面図、
図6(A−2)は搬送ユニット20の斜視図である。
図6(B−1)、
図6(B−2)は、紙幣搬送路15の幅(W2)が狭い状態であり、
図6(B−1)は搬送ユニット20の正面図、
図6(B−2)は搬送ユニット20の斜視図である。
【0038】
図6(A−2)、
図6(B−2)には、可動壁35R、35Lを移動させるための第1係合部741R、741Lが示されている。
図6(A−2)と
図6(B−2)を比較してみると、第1係合部741R、741Lの位置が異なっていることが見て取れる。これら第1係合部741R、741Lを駆動機構で操作することで、可動壁35R、35Lの位置が変更される。
【0039】
図7、
図8には、本発明の実施形態に係る連動機構が示されている。
図7は、紙幣搬送路15の幅(W1)が広い状態、
図8は、搬送路の幅(W2)が狭い状態である。
図7、
図8において(A)は紙幣処理装置1の裏面側から連動機構をみた図であり、(B)は紙幣処理装置1の正面側から連動機構の一部をみた図である。本実施形態では、第2駆動源32の駆動力を、可動壁35R、35Lの駆動機構と、紙幣収納機構41の駆動機構に利用する連動機構となっている。モータ等の第2駆動源32で発生した駆動力は、ギア等の伝達部73によってカム72を回転させる駆動力に変換される。
図7(B)に示されるようにカム72には、回転中心から外れた位置にカム突起72aが形成されており、主リンク71側の係合孔71aと噛み合っている。カム72が回転することで、主リンク71を上下方向に移動させる。
【0040】
図7において、主リンク71の上端は、分岐リンク74R、74Lの下端に設けられた第1係合部741R、741Lとは離れており、
図8において、主リンク71の上端は、第1係合部741R、741Lは当接している。分岐リンク74R、74Lは、回動部742R、742Lを介して、筐体11側のフレーム75と回動可能に係合している。分岐リンク74R、74Lの上端は、第2係合部743R、743Lを介して可動壁35R、35Lと係合している。このような構成により、主リンク71が上下に移動することで、左右の分岐リンク74R、74Lを介して可動壁35R、35Lを移動させる。
図7は主リンク71が上端に位置した状態であり、このとき、可動壁35R、35L間の距離、すなわち、搬送路の幅(W1)は広い状態となる。一方、
図8は主リンク71が下端に位置した状態であり、このとき、可動壁35R、35L間の距離、すなわち、搬送路の幅(W2)は狭い状態となる。
【0041】
また、本実施形態における可動壁35R、35Lの駆動機構は、紙幣収納機構41の駆動機構と第2駆動源32を共用する連動機構となっている。紙幣収納機構41は、主リンク71の移動にしたがって、押圧部411を紙幣収納箱42側へと移動させ、固定壁50内に位置する紙幣を紙幣収納部423へと収納させることが可能である。
【0042】
このように、挿入された紙幣の幅に応じて、可動壁35R、35Lを移動させることで、可動壁35R、35に沿って紙幣を搬送することが可能である。
図4において、紙幣搬送路15中、斜線で示す箇所が可動壁35R、35Lによって、その幅が規制される部分である。紙幣搬送路15を通過した紙幣は、その幅に応じて、固定壁50R、50L内に形成された第1分岐搬送路55A、もしくは、第2分岐搬送路55Bへと搬送される。この固定壁50R、50Lは、その名が示すように、可動壁35R、35Lと異なり、固定された部材である。このように、本実施形態では、可動壁35R、35Lによって形成される部分と、固定壁50R、50Lによって構成される部分を分離することで、可動部分の占める部分を少なく抑え、コスト面、メンテナンス面において優れた構成となっている。また、
図3に示すように、可動壁35R、35L部分を含む搬送ユニット20として、筐体11から分離可能な構成とすることも可能であり、製造工程の容易化、並びに、メンテナンス性能の向上を図ることも可能である。
【0043】
では、固定壁50R、50Lによって形成される第1分岐搬送路55A、第2分岐搬送路55Bの構成について説明する。固定壁50R、50Lは、可動壁35R、35Lにて形成される紙幣搬送路15によって搬送されてきた紙幣を、可動部を有することなく、紙幣の幅に応じて、第1分岐搬送路55Aもしくは第2分岐搬送路55Bに導くことを可能としている。
【0044】
図9は、本発明の実施形態に係る紙幣収納箱42近傍の構成を示す斜視図である。
図10は、本発明の実施形態に係る固定壁50R、50L、可動壁35R、35Lが形成する紙幣搬送路を説明する図であって、
図10(A)は、固定壁50R、50Lを紙幣の入口側から眺めた(
図9において、Y軸負の方向を眺めた)図であり、
図10(B−1)、
図10(B−2)は、可動壁35R、35Lを紙幣の出口側から眺めた(
図9において、Y軸正の方向を眺めた)図である。
図10(B−1)は、狭い幅(W2)の状態であり、
図10(B−2)は、広い幅(W1)の状態である。
【0045】
左右の固定壁50R、50Lは、第1壁51R、51L、第2壁52R、52L、第1壁51R、51Lと第2壁52R、52Lの間に配置された隔壁53R、53Lを有して構成されている。第1壁51R、51Lと隔壁53R、53Lの間の空間は、広い幅(W1’)の第1分岐搬送路55Aを形成する。一方、第2壁52R、52Lと隔壁53R、53Lの間の空間は、狭い幅(W2’)の第2分岐搬送路55Bを形成する。第1分岐搬送路55Aの幅W1’は、可動壁35R、35Lの広い幅W1と略同じ長さに設定されており、第2分岐搬送路55Bの幅W2’は、可動壁35R、35Lの広い幅W2と略同じ長さに設定されている。第2分岐搬送路55Bの左右両端には、傾斜面54R、54Lが形成されている。
図9には、左側に位置する傾斜面54L側の形状がよく見て取れる。
【0046】
可動壁35R、35Lによって形成される紙幣搬送路15は、幅の狭い第2分岐搬送路55Bと向き合って位置している。したがって、幅の狭い紙幣は紙幣搬送路15から第2分岐搬送路55Bへと搬送される。一方、紙幣搬送路15から搬送されてきた幅の広い紙幣は、その左右両端が傾斜面54R、54Lを沿うこととなり、第1分岐搬送路55Aへと搬送される。したがって、固定壁50R、50L側に搬送されてきた紙幣は、その幅に応じて、第1分岐搬送路55Aもしくは第2分岐搬送路55B内に搬送される。
【0047】
図11は、本発明の実施形態に係る紙幣搬送の様子を説明するための図であり、幅の狭い紙幣の搬送の様子が示されている。
図11(A)〜
図11(D)には、上断面図、側断面図(上断面図の右側に位置)、固定壁50R、50Lを入口側から見た図(上断面図の上側に位置)が示されている。この記載形態は
図12(A)〜
図12(D)についても同様である。
【0048】
図11(A)に示されるように幅の狭い紙幣搬送時、可動壁35R、35L間の幅は狭まった状態となっている。幅の狭い紙幣B1が可動壁35R、35Lによって形成される紙幣搬送路15中を搬送されてきた場合、紙幣搬送路15の出口は、第2分岐搬送路55Bの入口と対向しているため、
図11(D)に示されるように、そのまま第2分岐搬送路55B中へと搬送される。
【0049】
一方、
図12には、幅の広い紙幣の搬送の様子が示されている。
図12(A)に示されるように幅の広い紙幣搬送時、可動壁35R、35L間の幅は広い状態(初期状態)となっている。幅の広い紙幣B2が可動壁35R、35Lによって形成される紙幣搬送路15中を搬送されてきた場合、固定壁50R、50Lに設けられた傾斜面54R、54Lによって第1分岐搬送路55Aへと搬送される。
【0050】
第1分岐搬送路55A、第2分岐搬送路55Bは、それぞれ幅の広い紙幣B2、幅の狭い紙幣B1に適した幅となっているため、紙幣の中心位置と各分岐搬送路55A、55Bの中心位置が略一致した状態とすることが可能となる。
【0051】
図13には、本発明の実施形態に係る紙幣収納箱42近傍における断面図が示されている。固定壁50R、50L内の第1分岐搬送路55Aもしくは第2分岐搬送路55Bに搬送された紙幣は、
図4で説明した紙幣収納機構41によって紙幣収納箱42内へと収納される。
図13は、第2分岐搬送路55B内に搬送された幅の狭い紙幣Bが、紙幣収納箱42内の紙幣収納部423へと収納される様子を示した図である。なお、第1分岐搬送路55A内に搬送された幅の広い紙幣についても同様の工程で収納される。
【0052】
図13(A)に示すように、第2分岐搬送路55B内へ紙幣Bの搬送が完了した場合、
図13(B)に示すように紙幣収納機構41の動作により、押圧部411が下方へと移動を開始する。押圧部411にて下方へと押下された紙幣Bは、円錐コイルばね422で支えられたプレート421を下方へと押し下げ、紙幣収納部423へと収納される。
図13(C)に示されるように、紙幣収納機構41の動作により押圧部411は、上方に復帰することとなるが、紙幣Bの両端は、紙幣収納箱42の端部等によって、紙幣収納部423内に収納された状態を維持する。
【0053】
以上、本実施形態の紙幣処理装置1における紙幣搬送について説明を行ったが、本実施形態の紙幣処理装置1では、特に、可動壁35R、35Lにて形成される紙幣搬送路15と、固定壁50R、50L内の第1分岐搬送路55A、第2分岐搬送路55Bを分けて構成したことで、紙幣の全搬送経路に対して可動部分を設ける必要が無く、簡易な構成、良好なメンテナンス、そして、故障の抑制等を図ることが可能となっている。
【0054】
以上説明した紙幣処理装置1についてその制御を説明する。
図14には、本発明の実施形態に係る紙幣処理装置1の制御構成を示すブロック図が示されている。紙幣処理装置1は、制御部81を中心とした各種構成を備えている。制御部は、CPU、制御のためのプログラムを記憶したROM、センサ類の出力をデジタル変換するD/A変換部、センサ類からの出力を一時的に記憶するRAMなどを有して構成されている。紙幣処理装置1に設けられたセンサ類としては、紙幣挿入口12aの近傍に設けられ、紙幣の挿入、及び、紙幣の幅を検出する入口センサ60Aと、紙幣の真贋判定、種別判定を行う識別センサ60Bを有している。
【0055】
紙幣搬送機構には、駆動プーリ21を回転駆動させ、搬送ベルト24R、24Lにて紙幣を搬送する第1駆動源31、紙幣収納箱42に紙幣を格納させる紙幣収納機構41と、幅の異なる紙幣に対応するための可動壁35R、35Lを動作させる第2駆動源32を有している。なお、本実施形態の紙幣搬送機構は、搬送ベルト24R、24Lにより紙幣を搬送するものとして説明を行ったが、搬送ベルト24R、24Lに代えてローラにより紙幣を搬送する紙幣搬送機構を採用することも可能である。
【0056】
図15には、本発明の実施形態に係る紙幣処理装置1の紙幣受入処理を示すフロー図が示されている。紙幣受入処理は、紙幣処理装置1に対する電源投入後、S101〜S112の処理を繰り返し実行する。入口センサ60Aにて紙幣の挿入が検出された場合(S101:Yes)、入口センサ60Aの出力信号に基づき、挿入された紙幣の幅が判定される。判定された紙幣の幅が第2の幅(幅狭)の場合(S102:第2の幅)、紙幣の幅の検出直後の第1のタイミングで第2駆動源32を駆動開始し、可動壁35R、35Lを幅の狭い状態に変化させる(S103)。挿入された紙幣の幅に適した搬送路幅に変更した後、第1駆動源31を駆動開始して、紙幣の搬送を開始する(S104)。
【0057】
一方、判定された紙幣の幅が第1の幅(幅広)の場合(S102:第1の幅)、第1駆動源31を駆動開始して紙幣の搬送を開始する(S105)。可動壁35R、35Lの初期状態は、
図10(B−2)で示すように幅(W1)の状態、すなわち、幅広の紙幣に適合した状態となっている。このように、挿入された紙幣の幅に応じて、紙幣搬送路15の幅を適切な状態とすることで、挿入された紙幣を安定して搬送することを可能としている。また、適切な紙幣搬送路15の幅を使用して紙幣を搬送することで、紙幣搬送路15に設けられた識別センサ60B(発光素子65と受光素子66)によって、搬送される紙幣の所定位置を検出し、識別精度の向上を図ることも可能となる。
【0058】
紙幣搬送路15内での紙幣搬送過程において、紙幣搬送路15の途中をシャッター45にて閉鎖後、識別センサ60Bにて紙幣の真贋判定、種別判定が行われる(S106)。真贋判定は紙幣が本物であるか偽物であるかについての判定であり、種別判定は複数種の紙幣の中から何れの紙幣種別であるかの判定である。識別センサ60Bによる真贋判定にて、挿入された紙幣が本物である場合(S107:Yes)、搬送機構にて紙幣を固定壁50R、50Lで形成された第1分岐搬送路55Aもしくは第2分岐搬送路55Bに搬送する(S108)。そして、第2駆動源32を駆動して紙幣収納機構41を動作させ、紙幣を紙幣収納部423に収納する(S109)。
【0059】
紙幣収納部423への紙幣収納に伴い、S106で判定された紙幣種別に対応する金額が挿入金額として加算される(S110)。そして、第1駆動源31、第2駆動源32の駆動を停止するとともに、ソレノイド46を駆動停止して紙幣搬送路15を開放状態に戻す(S111)。
【0060】
一方、識別センサ60Bによる真贋判定にて、挿入された紙幣が偽札である場合(S112:No)、搬送機構を反転駆動して、紙幣を逆方向(紙幣挿入口12a側)に搬送する。紙幣の排出が確認された場合(S113:Yes)、第1駆動源31、第2駆動源32、ソレノイド36を駆動停止させる(S111)。
【0061】
図16には、本発明の他の実施形態に係る紙幣収納箱近傍の構成を示す斜視図が示されている。本実施形態では、幅の広い紙幣の両端を、各固定壁50R、50Lの入口に形成された傾斜面54R、54L上において滑らかに移動させるため、各傾斜面54R、54Lを挟むようにローラ541a、541bが設けられた形態となっている。
図16には、左側の傾斜面54Lに設けられた2つのローラ541a、541bが見て取れる。右側の傾斜面54Rに対しても同様の形態で2つのローラ541a、541bが設けられている。可動壁35R、35Lから幅の広い紙幣が搬送されてきた場合、
図12(D)で説明したように、紙幣の両端が傾斜面54R、54Lを沿って移動し、紙幣は第1分岐搬送路55Aに導かれる。本実施形態では、この傾斜面54R、54Lにローラ541a、541bを設けたことで、傾斜面54R、54Lと紙幣の摩擦を低減し、幅の広い紙幣をより確実に第1分岐搬送路55Aに搬送することが可能となる。
【0062】
図17には、ローラ541a、541bが設けられた固定壁50L(左側)の断面図が示されている。2つのローラ541a、541bは、回転軸542によって固定されている。回転軸542が、傾斜面54Lに軸支されることで、2つのローラ541a、541bが傾斜面54Lを挟むように位置する。その際、ローラ541a、541bの周面は、傾斜面54Lから僅かに露出するように配置される。ローラ541a、541bが回転することで、その周面は紙幣の搬送方向に移動し、搬送される紙幣との摩擦を低減する。本実施形態では、固定壁50L側に固定された板バネ543(弾性部材)によって、回転軸542を傾斜面54L側に付勢する形態となっている。なお、本実施形態では、各傾斜面54R、54Lを2つのローラ541a、541bで挟む形態としているが、各固定壁50R、50Lに1つのローラを設ける形態を採用してもよい。
【0063】
次に、本発明の他の実施形態に係る紙幣処理装置1について説明する。前述した実施形態では、
図10(A)で説明したように、第1分岐搬送路55Aと第2分岐搬送路55Bの間に、隔壁53R、53Lを設けていたのに対し、本実施形態では、隔壁53R、53Lを設けていない点において相違している。前述した実施形態において、隔壁53R、53Lは、特に、第1分岐搬送路55A内で搬送される幅狭の紙幣が、第2分岐搬送路55B内に移動しないように設けられた部分である。しかしながら、紙幣の状態によっては、この隔壁53R、53Lが、紙幣搬送の障害となることが考えられる。本実施形態では、第1分岐搬送路55Aと第2分岐搬送路55Bの間に隔壁53R、53Lを設けない構成としたことで、紙幣を円滑に搬送することを可能としている。
【0064】
図18は、本発明の他の実施形態に係る紙幣処理装置の紙幣搬送を説明するための断面図であり、
図19は、本発明の他の実施形態に係る紙幣収納箱近傍の構成を示す斜視図である。なお、ここで説明しない構成は、前述の実施形態と同様であり、
図18の断面図は、
図4の断面図の説明に、また、
図19の斜視図は、
図9の斜視図の説明にしたがう。本実施形態は、第1分岐搬送路55Aと第2分岐搬送路55Bの間に、隔壁53R、53Lが設けられていない。
図19の斜視図(本実施形態)と、
図9の斜視図(前述の実施形態)を比較してみると、本実施形態では、隔壁53R、53Lが設けられていないことがよく分かる。このように、本実施形態は、隔壁53R、53Lを設けないことで、紙幣の搬送時、紙幣が隔壁53R、53Lに引っかからないこととしている。
【0065】
ところで、このように隔壁53R、53Lを設けない場合、幅の狭い第2分岐搬送路55B内の幅の狭い紙幣が、第1分岐搬送路55A側に移動することが考えられる。この場合には幅の狭い紙幣は、幅の広い第1分岐搬送路55A内で傾斜することが予想され、紙幣収納箱42内に整列して収納されないことが考えられる。そのため、本実施形態では、紙幣収納機構41における押圧部411の位置、形状において、前述の実施形態と異なった構成を有している。
図18の紙幣処理装置1の断面図から分かるように、本実施形態は、前述の実施形態と比較して、押圧部411の位置と押圧部411の形状に工夫を施したものとなっている。具体的には、前述の実施形態では、
図13(A)に示されるように押圧部411は、紙幣収納箱42から離れて位置していたのに対し、本実施形態では、より紙幣収納箱42に近い位置とすることとしている。また、前述の実施形態では、押圧部411の押圧面は、平面であったのに対し、本実施形態では、
図18の断面図からわかるように、押圧部411の紙幣入口近傍が、紙幣収納箱42とは反対側に向かって傾斜した傾斜面411aを有する形状となっている。
【0066】
図20は、本実施形態の固定壁について、その入口付近の構成を示す図(可動壁35R、35L側から見た図)が示されている。
図20(A)は、固定壁50R、50Lの構成、並びに、第1分岐搬送路55A、第2分岐搬送路55Bの寸法を示したものである。本実施形態は、
図10(A)で説明した実施形態と比較して、隔壁53R、53Lが設けられておらず、第1分岐搬送路55Aと第2分岐搬送路55Bは隣接して形成された構成となっている。第1分岐搬送路55Aの幅(W1’)、第2分岐搬送路55Bの幅(W2’)は、
図10で説明したものと同じである。
【0067】
図20(B)は、
図20(A)において、押圧部411が初期位置に配置されたときの状態を示した図である。
図10(B)において、固定壁50R、50L中、第1分岐搬送路55Aの下面の一部となる面を、第1面541R、541Lと規定する。また、固定壁50R、50L中、第2分岐搬送路55Bの下面の一部となる面を、第2面511R、511Lと規定する。一方、押圧部411は、紙幣収納箱42に紙幣を収納する際、紙幣を押圧する押圧面411b、可動壁35R、35L側の端面411c、
図18に示すように、可動壁35R、35L側において、紙幣収納箱42とは反対側に向かって傾斜した傾斜面411aを有している。
【0068】
押圧部411は、その押圧面411bが、前述の実施形態よりも下方(Z軸正の方向)に位置することで、幅の狭い紙幣が、第1分岐搬送路55A側に移動しないようにしている。前述の実施形態では、隔壁53R、53Lがその役割を担っていたのに対し、本実施形態では、押圧面411bが隔壁53R、53Lに代えて、その役割を担うものといえる。紙幣が第1分岐搬送路55A、あるいは、第2分岐搬送路55B中を搬送される際の押圧面411bの高さLsは、第1面541R、541Lの高さL1(第1分岐搬送路55Aと第2分岐搬送路55Bの境界)近傍とすることが好ましい。このような構成により、幅の狭い紙幣が搬送されてきた場合、紙幣が第1分岐搬送路55内に移動することを抑制することが可能となる。なお、近傍とは、押圧面411bの高さLsが、第1面541R、541Lの高さからプラス0mm、マイナス1mm(高さL1よりも下方をマイナス方向とする)以内に位置することをいう。
【0069】
押圧面411bの高さLsは、紙幣処理装置1で扱う紙幣の大きさ、種類、一般的な紙幣の状態等に依存して調整される。押圧面411bの高さLsは、
図20にも示すように、押圧面411bが僅かに第2分岐搬送路55B内(高さL1よりも下方)に位置させることが好ましい。このような構成により、幅の狭い紙幣が第1分岐搬送路55内に移動することをより確実に抑制するとともに、幅の広い紙幣が搬送される際、幅の広い紙幣の左右端部が第1面541R、541Lに当接され、中央部が押圧面411bに当接されることで、紙幣の搬送に制動力(ブレーキ)がかけられることになる。したがって、紙幣が勢い余って過剰に搬送されることを抑制し、紙幣収納箱42内において端部を入口側に揃えて収納することが可能となる。
【0070】
このように、押圧面411bの高さLsを、前述の実施形態よりも低い位置に配置した場合、前述の実施形態では、押圧部411の形状(平板)は、その端面が、第1分岐搬送路55Aもしくは第2分岐搬送路55B内に位置している。そのような場合、押圧部511の端面により、紙幣の搬送が阻害されることが予想される。本実施形態では、そのため、紙幣収納箱42とは反対側に押圧面411bを屈曲させた傾斜面411aを設け、押圧部411の端面411cを第1分岐搬送路55A及び第2分岐搬送路55Bの外に配置している。このような構成によれば、押圧部411を紙幣搬送時のガイドとして使用する際、押圧部411の端面411cが障害となることを抑制し、かつ、紙幣を第1分岐搬送路55A、もしくは、第2分岐搬送路55B内にスムースに移動させることが可能となる。
【0071】
では、本実施形態の紙幣搬送について説明を行う。
図21は、本発明の実施形態に係る紙幣搬送の様子を説明するための図であり、幅の狭い紙幣の搬送の様子が示されている。
図21(A)〜
図21(D)には、上断面図、側断面図(上断面図の右側に位置)、固定壁50R、50Lを入口側から見た図(上断面図の上側に位置)が示されている。この記載形態は
図22(A)〜
図22(D)についても同様である。
【0072】
図21(A)に示されるように幅の狭い紙幣搬送時、可動壁35R、35L間の幅は狭まった状態となっている。幅の狭い紙幣B1が可動壁35R、35Lによって形成される紙幣搬送路15中を搬送されてきた場合、紙幣搬送路15の出口は、第2分岐搬送路55Bの入口と対向しているため、
図21(D)に示されるように、そのまま第2分岐搬送路55B中へと搬送される。本実施形態では、押圧部411の傾斜面411aにより、端面411cが、第1分岐搬送路55A、第2分岐搬送路55Bの外に位置しているため、端面411cにより紙幣搬送が阻害されることがなく、第1分岐搬送路55A、第2分岐搬送路55Bの入口を大きく取り、紙幣搬送をスムースに行うことが可能となっている。
【0073】
一方、
図22には、幅の広い紙幣の搬送の様子が示されている。
図22(A)に示されるように幅の広い紙幣搬送時、可動壁35R、35L間の幅は広い状態(初期状態)となっている。幅の広い紙幣B2が可動壁35R、35Lによって形成される紙幣搬送路15中を搬送されてきた場合、固定壁50R、50Lに設けられた傾斜面54R、54Lによって第1分岐搬送路55Aへと搬送される。前述したように、幅の広い紙幣B2が搬送される際、幅の広い紙幣B2の端部は、第1面541R、541Lに当接し、中央部が押圧面411bに当接するため、幅の広い紙幣B2の搬送に制動力(ブレーキ)がかけられる。したがって、幅の広い紙幣B2が過剰に搬送されることがなく、幅の広い紙幣B2を規定の位置に搬送し、紙幣収納箱42中において、紙幣の端部を揃えた状態とすることが可能となる。
【0074】
本実施形態について、紙幣収納箱42への紙幣格納の様子、制御構成、紙幣受入処理、ローラ541a、541bを使用した円滑な紙幣搬送については、前述の実施形態を使用することが可能であり、ここでの説明は省略する。
【0075】
以上、前述の実施形態と比較して、第1分岐搬送路55Aと第2分岐搬送路55Bの間に隔壁53R、53Lを設けない実施形態について説明を行ったが、本実施形態では、隔壁53R、53Lが紙幣搬送の障害となることを抑制することが可能となる。さらに、押圧面411bの位置の工夫により、押圧面411bを紙幣搬送時のガイドとして利用し、特に、幅の狭い紙幣を搬送する際、幅の狭い紙幣が第1分岐搬送路55Aに移動することを抑制している。さらに、傾斜面411aを設けたことで、幅の広い紙幣の搬送時、紙幣に制動力を働かせ、収納時、紙幣の端部を揃えた状態とすることを可能としている。また、傾斜面411aにより、第1分岐搬送路55A、及び、第2分岐搬送路55Bの入口開口を広く取るとで、紙幣搬送をよりスムースに行うことを可能としている。
【0076】
図18〜
図20の実施形態では、紙幣搬送時、すなわち、紙幣が第1分岐搬送路55Aもしくは第2分岐搬送路55B内を移動する際、押圧部411は、
図20(B)に示されるように同じ位置としている。そのため、
図22で説明したように幅の広い紙幣B2に対しては制動力を作用させることが可能であるものの、
図21から分かるように、幅の狭い紙幣B1に対しては制動力を作用させることができない。次に説明する実施形態は、紙幣の幅によって、押圧部411を移動させることで、幅の広い紙幣のみならず、幅の狭い紙幣に対しても制動力を作用させ、紙幣の端部を揃えた状態で、紙幣収納箱42に格納することを可能としている。
【0077】
図23は、本発明の他の実施形態に係る固定壁の入口付近の構成を示す図である。本実施形態では、制御部81は、入口センサ60Aを使用して判定された紙幣の幅に応じて、押圧部411の位置を変更する。
図23(A−1)は、幅の広い紙幣B1を検出した時の押圧部411の位置を示しており、
図23(A−2)は、幅の広い紙幣B1が搬送されているときの状態を示している。
図23(B−1)は、幅の狭い紙幣B2を検出した時の押圧部411の位置を示しており、
図23(B−2)は、幅の狭い紙幣B2が搬送されているときの状態を示している。制御部81は、入口センサ60Aで紙幣の幅を検出した後、紙幣が第1分岐搬送路55A、もしくは、第2分岐搬送路55Bに到達する前に、押圧部411の位置を
図23(A−1)もしくは
図23(B−1)で示す状態に変更する。
【0078】
尚、前述の実施形態では、紙幣が第1分岐搬送路55A、第2分岐搬送路55Bに搬送された後、紙幣収納機構41を動作させて、搬送された紙幣を紙幣収納箱42に収納しているが、本実施形態では、紙幣が第1分岐搬送路55A、第2分岐搬送路55Bに搬送される前に、
図23(A−1)、もしくは、
図23(B−1)の状態にするとともに、紙幣が第1分岐搬送路55A、第2分岐搬送路55Bに搬送された後、紙幣収納機構41を動作させて、搬送された紙幣を紙幣収納箱42に収納するという2段階の動作が必要となる。そのため周知技術のように、可動壁35R、35Lを動作させる駆動源と、紙幣収納機構41を動作させる駆動源を別々に用意し、紙幣収納機構41の2段階の動作を実現している。
【0079】
幅の広い紙幣B1が搬送される場合は、
図22で説明した形態と同様である。押圧面411bの高さは、第1面541R、541Lの高さL1(第1分岐搬送路55Aと第2分岐搬送路55Bの境界)近傍に位置する。このような押圧面411bの位置では、幅の広い紙幣B1の左右端部が第1面541R、541Lに当接され、中央部が押圧面411bに当接されることで、紙幣の搬送に制動力(ブレーキ)がかけられることになる。
【0080】
一方、幅の狭い紙幣B2が搬送される場合は、押圧面411bの高さは、固定壁50R、50L中、第2分岐搬送路55Bの下面の一部となる面を、第2面511R、511Lの高さL2の近傍に位置させる。なお、近傍とは、押圧面411bの高さLsが、第2面511R、511Lの高さからプラス0mm、マイナス1mm(高さL2よりも下方をマイナス方向とする)以内に位置することをいう。押圧面411bの高さLsは、紙幣処理装置1で扱う紙幣の大きさ、種類、一般的な紙幣の状態等に依存して調整される。押圧面411bの高さLsは、
図20(B−1)に示すように、押圧面411bが高さL1よりも僅かに下方に位置させることが好ましい。幅の狭い紙幣B2が搬送される場合、
図23(B−2)に示すように、幅の狭い紙幣B2の左右端部が第2面511R、511Lに当接され、中央部が押圧面411bに当接されることで、紙幣の搬送に制動力(ブレーキ)がかけられる。
【0081】
このように本実施形態では、入口センサ60Aを使用して判定された紙幣の幅に応じて、押圧部411の位置を変更することで、幅の狭い紙幣B2に対しても制動力をかけ、紙幣の端部を揃えて紙幣収納箱42に収納することが可能となる。なお、本実施形態において、紙幣の搬送に制動力をかける必要が無い場合には、幅の広い紙幣B1が搬送される時は押圧面411bの高を第1分岐搬送路55Aから退避する高さとし、幅の狭い紙幣B2が搬送される時には押圧面411bの高さLsを、第1面541R、541Lの高さL1近傍の高さとすることもできる。
【0082】
以上、紙幣処理装置1を例として説明を行ったが、本発明に係る紙葉類処理装置は、紙葉類として、紙幣のみならず、金券、クーポン券、有価証券など各種紙葉類を識別対象とすることが可能である。
【0083】
なお、本発明はこれらの実施形態のみに限られるものではなく、それぞれの実施形態の構成を適宜組み合わせて構成した実施形態も本発明の範疇となるものである。