特許第6265382号(P6265382)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ セブ エス.アー.の特許一覧

<>
  • 特許6265382-調理器具 図000005
  • 特許6265382-調理器具 図000006
  • 特許6265382-調理器具 図000007
  • 特許6265382-調理器具 図000008
  • 特許6265382-調理器具 図000009
  • 特許6265382-調理器具 図000010
  • 特許6265382-調理器具 図000011
  • 特許6265382-調理器具 図000012
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6265382
(24)【登録日】2018年1月5日
(45)【発行日】2018年1月24日
(54)【発明の名称】調理器具
(51)【国際特許分類】
   A47J 27/00 20060101AFI20180115BHJP
【FI】
   A47J27/00 109L
   A47J27/00 109Z
【請求項の数】16
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2014-541740(P2014-541740)
(86)(22)【出願日】2012年11月16日
(65)【公表番号】特表2015-504332(P2015-504332A)
(43)【公表日】2015年2月12日
(86)【国際出願番号】FR2012052652
(87)【国際公開番号】WO2013072640
(87)【国際公開日】20130523
【審査請求日】2015年9月14日
(31)【優先権主張番号】11/60507
(32)【優先日】2011年11月18日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】597012518
【氏名又は名称】セブ エス.アー.
【氏名又は名称原語表記】SEB S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ニコラス ヴァランス
【審査官】 金丸 治之
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2011/0123689(US,A1)
【文献】 特開2005−046619(JP,A)
【文献】 特開平08−136355(JP,A)
【文献】 特開平03−271625(JP,A)
【文献】 特開2009−281691(JP,A)
【文献】 特表2009−529646(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
調理器具(1)の制御装置(10)であって、
前記調理器具(1)の調理チャンバー(2)に導入される、所定のレシピ(Ri)の複数の材料のうちの少なくとも1つの材料の少なくとも比表面積に従って、調理時間及び調理温度を含む所定の調理パラメータ(ti, Ti)の少なくとも1つの組み合わせ(ci)を決定するよう構成された制御ユニット(13)を備え、
前記比表面積は、前記レシピ(Ri)の複数の材料のうちの少なくとも1つの材料の、形状、サイズ、状態、及び量のうちの少なくとも1つを含む記述パラメータ(X)から推定される制御装置。
【請求項2】
前記制御ユニットは、前記調理パラメータ(ti, Ti)の組み合わせ(ci)の一連のシーケンスを備える調理サイクル(Ci)を規定するよう構成される、請求項1に記載の装置(10)。
【請求項3】
前記制御ユニット(13)は、所定のレシピの複数の材料のうちの少なくとも1つの材料のタイプを考慮に入れて、前記調理パラメータの少なくとも1つの組み合わせを決定するよう構成される、請求項1〜2のいずれか1項に記載の装置(10)。
【請求項4】
前記制御装置(10)は、
前記調理器具(1)の調理チャンバー(2)に導入されるよう意図された、複数の所定の材料(Ai)を含む所定のレシピ(Ri)を含む第1グループ(G1)と、
前記第1グループ(G1)のレシピ(Ri)の複数の所定の材料のうちの少なくとも1つの材料の記述パラメータ(X)を含む第2グループ(G2)と、
を含むデータベース(15)と、
前記データベース(15)の第1グループ(G1)における所定のレシピ(Ri)を選択する第1選択手段(11)と、
第1グループ(G1)から選択された、前記レシピ(Ri)の複数の材料のうちの少なくとも1つの材料の、前記データベース(15)の第2グループ(G2)における記述パラメータ(X)の第2選択手段(12)と、
を備えるユーザインタフェース(14)と、
を備える請求項1〜3のいずれか1項に記載の装置(10)。
【請求項5】
前記ユーザインタフェース(14)は、マトリクススクリーンを持つグラフィックタイプのディスプレイ手段(16)を備え、前記第1選択手段(11)及び/又は前記第2選択手段(12)は、ロータリー選択ノブ(17)を備える
請求項4に記載の装置(10)。
【請求項6】
前記所定のレシピ(Ri)の複数の材料のうちの少なくとも1つの材料の記述パラメータ(X)は、前記材料の形状及び/又はサイズを含む
請求項1〜5のいずれか1項に記載の装置(10)。
【請求項7】
前記所定のレシピ(Ri)の複数の材料のうちの少なくとも1つの材料の記述パラメータ(X)は、材料の量、特にそれらの総重量を含む
請求項1〜6のいずれか1項に記載の装置(10)。
【請求項8】
前記所定のレシピ(Ri)の複数の材料のうちの少なくとも1つの材料の記述パラメータ(X)は、前記少なくとも1つの材料の状態、特に冷凍状態又は生の状態を含む
請求項1〜7のいずれか1項に記載の装置(10)。
【請求項9】
ユーザインタフェース(14)は、データベース(15)の第3グループ(G3)におけるユーザの嗜好(Pref)の第3選択手段(18)を備え、
特に前記嗜好は、調理のモード、例えばスチーム調理、浸漬調理、焦げ目が付くように焼く調理、及び調理のレベル、例えばレア、ミディアム、バリバリした食感、ソフトな食感を含み、
前記制御ユニット(13)は、ユーザによって選択された前記嗜好(Pref)にも従って前記調理パラメータ(ti, Ti)の組み合わせ(ci)の決定を行うよう構成される
請求項4に従属する場合における、請求項4〜8のいずれか1項に記載の装置(10)。
【請求項10】
データベース(15)は、前記調理パラメータ(ti, Ti)の所定の組み合わせ(ci)の一連のシーケンスを備える調理サイクル(Ci)の第4グループ(G4)を備え、調理パラメータのシーケンスのそれぞれの所定の組み合わせ(ci)は、
第1グループ(G1)の所定のレシピ(Ri)、
第2グループ(G2)の所定のレシピ(Ri)の複数の材料のうちの少なくとも1つの材料の記述パラメータ(X)、
第3グループ(G3)の嗜好(Pref)
と関連付けられ、
前記制御ユニット(13)による調理サイクル(Ci)の決定は、
前記第1グループ(G1)からの所定のレシピ(Ri)、
前記第1グループ(G1)から選択された所定のレシピ(Ri)の複数の材料のうちの少なくとも1つの材料のデータベース(15)の第2グループ(G2)における記述パラメータ(X)、
前記第3グループ(G3)から選択された嗜好(Pref)
のユーザ選択に従って前記第4グループ(G4)の調理サイクル(Ci)を選択することを含む、
請求項9に記載の装置(10)。
【請求項11】
所定のレシピ(Ri)の複数の材料を受け入れるよう意図された調理チャンバー(2)、
前記調理チャンバー(2)の加熱要素(3)、及び
請求項1〜10のいずれか1項に記載の制御装置(10)
を備える調理器具(1)。
【請求項12】
所定のレシピ(Ri)の複数の材料を受け入れるよう意図された調理チャンバー(2)、
前記調理チャンバー(2)の加熱要素(3)、及び
第1通信手段(21)
を備える調理器具(1)と、
請求項1〜10のいずれか1項に記載の制御装置(10)と
を備えるシステム(100)であって、
前記制御装置(10)は、前記調理器具(1)の前記第1通信手段と通信するよう構成された第2通信手段(22)をさらに備える
システム(100)。
【請求項13】
請求項11に記載の調理器具(1)において所定のレシピ(Ri)の複数の材料(Ai)のうちの少なくとも1つの材料の調理方法であって、
前記調理器具(1)の調理チャンバー(2)に導入される、所定のレシピ(Ri)の複数の材料のうちの少なくとも1つの材料の比表面積に従って、前記調理パラメータ(ti, Ti)の少なくとも1つの組み合わせ(ci)を決定するステップを含み、
前記比表面積は、所定のレシピ(Ri)の複数の材料のうちの少なくとも1つの材料の記述パラメータ(X)から推定される調理方法。
【請求項14】
(a)第1選択手段(11)を用いて、データベース(15)の第1グループ(G1)において所定のレシピ(Ri)を選択すること、
(b)前記第1グループ(G1)から選択された所定のレシピ(Ri)の複数の材料のうちの少なくとも1つの材料の記述パラメータ(X)を、データベース(15)の第2グループ(G2)から、第2選択手段(12)を用いて選択すること、
(c)請求項4に従属する場合における、請求項13に記載の調理方法のステップを実行すること
を含む調理方法。
【請求項15】
(d)前記調理パラメータ(ti, Ti)の組み合わせ(ci)の一連のシーケンスを備える所定の調理サイクル(Ci)を開始すること、
(e)前記選択された記述パラメータ(X)に基づいて、調理チャンバー(2)に導入されるべき選択されたレシピ(Ri)の第1材料又は第1材料群(Ai)を表示すること、
(f)前記選択された記述パラメータ(X)に基づいて、調理チャンバー(2)に選択されたレシピ(Ri)の第1材料又は第1材料群(Ai)を導入すること、
(g)第1材料又は第1材料群(Ai)の下ごしらえを行うために、所定の調理サイクル内で前記調理パラメータ(ti, Ti)の前記組み合わせ(ci)の一連のシーケンスの第1シーケンスを適用すること
をさらに含む、請求項14に記載のレシピの複数の材料(Ai)の調理方法。
【請求項16】
(h)選択された記述パラメータ(X)に基づいて、調理チャンバー(2)内に導入されるべき選択されたレシピ(Ri)の1つの材料又は他の材料群を順次的に表示すること、
(i)前記選択された記述パラメータ(X)に基づいて、調理チャンバー(2)内に選択されたレシピ(Ri)の表示された材料又は他の表示された材料群(Ai)を導入すること、
(j)既に調理チャンバー(2)にある材料(群)(Ai)、及び他の材料群(Ai)の調理を行うために、調理サイクル(Ci)内で前記調理パラメータ(ti, Ti)の所定の組み合わせ(ci)の一連のシーケンスの他のシーケンスを適用すること、
(k)レシピ(Ri)の全ての材料を導入し、かつ前記調理サイクル(Ci)の前記調理パラメータ(ti, Ti)の前記組み合わせ(ci)の一連のシーケンスの最後のシーケンスが完了するまで、選択された記述パラメータ(X)に基づいて、調理チャンバー(2)内に導入されるべき選択されたレシピ(Ri)の1つの材料又は他の材料群を順次的に表示するステップ(h)を再び開始すること
をさらに含む請求項15に記載の調理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品調理の分野に関する。
【0002】
より具体的には、本発明は、調理器具の制御装置、さらには調理器具、及び調理器具と制御装置とを備える組立品に関する。
【背景技術】
【0003】
調理器具の制御装置を用いることが知られており、この調理器具は、
少なくとも1つの食材、又は決定したレシピの複数の材料を受け入れるよう構成された調理チャンバー、
調理チャンバーの加熱要素、
を備え、
この制御装置は、
調理時間及び/又は調理温度のような決定した調理パラメータの組み合わせを少なくとも含む、調理サイクルを規定するよう構成された加熱要素の制御ユニット、
調理器具の調理チャンバーに導入されるよう意図される、決定した食材、及び/又は複数の決定した材料を含む決定したレシピの第1グループ、及び
この第1グループの、少なくとも1つの決定した食材、及び/又は前記レシピの複数の決定した材料についての記述パラメータの第2グループ
を含むデータベース、
を備える。
【0004】
第1グループ及び第2グループは、それ自体が知られているように、器具のメモリ、つまりデータベースに予め記録された調理サイクルを規定する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしこれら予め記録された調理サイクルは、これら食品の固有の特性に従って、調理チャンバー内に入れられた食品又は複数の材料の調理を最適化することを可能にはしないので、食品の調理は大まかになりがちである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の欠点の全て、又はいくつかを克服することを目的とする。
【0007】
この目的のために、本発明は、調理器具の制御装置であって、調理器具の調理チャンバーに導入される、少なくとも1つの決定した食品、又は決定したレシピの複数の材料のうちの少なくとも1つの材料の少なくとも1つの単位要素の少なくとも比表面積に従って、決定した調理パラメータの少なくとも1つの組み合わせを決定するよう構成された制御ユニットを備え、比表面積は、決定した食品又は決定したレシピの複数の材料のうちの少なくとも1つの材料の少なくとも1つの単位要素の記述パラメータから推定される制御装置に関する。
【0008】
調理器具の調理チャンバーに導入される少なくとも1つの決定した食品の少なくとも1つの単位要素の比表面積を決定することは、この食品を正確に特徴付けることを可能にし、よってその調理を最適化することを可能にする。
【0009】
本発明のある局面によれば、加熱要素の制御ユニットは、決定したレシピに従って調理パラメータの少なくとも1つの組み合わせの決定を行うように構成される。
【0010】
本発明のある局面によれば、制御ユニットは、決定した調理パラメータの組み合わせの一連のシーケンスを含む調理サイクルを規定するよう構成される。
【0011】
この構成は、異なる調理パラメータを有するいくつかの食品の調理を最適化することができる。
【0012】
本発明のある局面によれば、制御ユニットは、決定した食品のタイプ、又は決定したレシピの複数の材料のうちの少なくとも1つの材料のタイプを考慮に入れて、調理パラメータの少なくとも1つの組み合わせを決定するよう構成される。
【0013】
食品のタイプとは、特に、例えば牛肉、鶏肉のような肉の種類、野菜の種類、又はデンプン食品/穀類の種類を意味する。
【0014】
本発明のある局面によれば、制御装置は、
調理器具の調理チャンバーに導入されるよう意図された、決定した食品及び/又は複数の決定した材料を含む決定したレシピを含む第1グループと、
第1グループの決定した食品及び/又は決定したレシピの複数の材料のうちの少なくとも1つの材料の少なくとも1つの単位要素の記述パラメータを含む第2グループと、
を含むデータベースと、
データベースの第1グループにおける決定した食品又は決定したレシピの第1選択手段と、
第1グループから選択された、選択され決定した食品又は決定したレシピの複数の材料のうちの少なくとも1つの材料の、前記データベースの第2グループにおける記述パラメータの第2選択手段と、
を備えるユーザインタフェースと、
を備える。
【0015】
この構成は、調理する食品又はレシピの選択においてユーザをガイドすることを可能にする。
【0016】
本発明のある局面によれば、ユーザインタフェースは、マトリクススクリーンを持つグラフィックタイプのディスプレイ手段を備える。
【0017】
この構成は、直感的な人間工学的インタフェースを規定することを可能にする。
【0018】
本発明のある局面によれば、前記第1選択手段及び/又は前記第2選択手段は、ロータリー選択ノブを備える。
【0019】
この構成は、選択を行い、有効にするための異なる手段の個数を減らし、選択にかかる時間を削減することを可能にする。
【0020】
本発明のある局面によれば、前記決定した食品又は前記決定したレシピの複数の材料のうちの少なくとも1つの材料の少なくとも1つの単位要素の記述パラメータは、前記単位要素の形状及び/又はサイズを含む。
【0021】
この構成は、少なくとも1つの単位要素の比表面積の計算を改善することを可能にする。
【0022】
本発明のある局面によれば、決定した食品又は前記決定したレシピの複数の材料のうちの少なくとも1つの材料の少なくとも1つの単位要素の記述パラメータは、単位要素の量、特にそれらの総重量を含む。
【0023】
この構成は、少なくとも1つの単位要素の比表面積の計算を改善することを可能にする。
【0024】
本発明のある局面によれば、前記決定した食品又は前記決定したレシピの複数の材料のうちの少なくとも1つの材料の少なくとも1つの単位要素の記述パラメータ、前記少なくとも1つの単位要素の状態、特に冷凍状態又は生の状態を含む。
【0025】
この構成は、調理パラメータの決定を改善することを可能にする。
【0026】
本発明のある局面によれば、ユーザインタフェースは、前記データベースの第3グループにおけるユーザの嗜好の第3選択手段を備え、特に前記嗜好は、調理のモード、例えばスチーム調理、浸漬調理、焦げ目が付くように焼く調理、及び調理のレベル、例えばレア、ミディアム、バリバリした食感、ソフトな食感を含む。
【0027】
この構成は、ユーザの料理の嗜好に従った調理パラメータの決定を改善することを可能にする。
【0028】
本発明のある局面によれば、前記データベースは、決定した調理パラメータの決定した組み合わせの一連のシーケンスを備える調理サイクルの第4グループを備え、調理パラメータのシーケンスのそれぞれの決定した組み合わせは、
前記第1グループの決定した食品又は決定したレシピ、
前記第2グループの決定した食品又は決定したレシピの複数の材料のうちの少なくとも1つの材料の少なくとも1つの単位要素の記述パラメータ、
前記第3グループの嗜好
と関連付けられ、
前記制御ユニットによる調理サイクルの決定は、
前記第1グループにおける決定した食品又は決定したレシピ、
前記第1グループにおいて選択された、選択され決定した食品又は決定したレシピの複数の材料のうちの少なくとも1つの材料の少なくとも1つの単位要素のデータベースの第2グループにおける記述パラメータ、
前記第3グループにおいて選択された嗜好
のユーザ選択に従って前記第4グループの調理サイクルを選択することを含む。
【0029】
この構成は、食品の調理のための調理サイクルを最適化することを可能にする。
【0030】
本発明のある局面によれば、制御装置は、第1グループ及び/又は第2グループ及び/又は第3グループのアップデート及び第4グループの調理サイクルを含むデータソースへ接続する手段を備える。
【0031】
本発明は、少なくとも1つの決定した食品又は決定したレシピの複数の材料を受け入れるよう意図された調理チャンバー、前記調理チャンバーの加熱要素、及び上述の制御装置を備える調理器具にも関する。
【0032】
本発明は、少なくとも1つの決定した食品又は決定したレシピの複数の材料を受け入れるよう意図された調理チャンバー、前記調理チャンバーの加熱要素、及び第1通信手段を備える調理器具と、上述の制御装置とを備えるシステムであって、前記制御装置は、前記調理器具の前記第1通信手段と通信するよう構成された第2通信手段をさらに備えるシステムにも関する。
【0033】
有利には、第1通信手段及び第2通信手段は、無線式である。
【0034】
本発明のある局面によれば、前記制御装置はスマートフォンである。
【0035】
本発明は、上述の調理器具において決定した食品又は決定したレシピの複数の材料のうちの少なくとも1つの材料の調理方法であって、前記調理器具の調理チャンバーに導入される、少なくとも1つの決定した食品、又は決定したレシピの複数の材料のうちの少なくとも1つの材料の少なくとも1つの単位要素の少なくとも比表面積に従って、決定した調理パラメータの少なくとも1つの組み合わせを決定するステップを含み、前記比表面積は、決定した食品又は決定したレシピの複数の材料のうちの少なくとも1つの材料の少なくとも1つの単位要素の記述パラメータから推定される調理方法にも関する。
【0036】
この方法は、決定した食品又は決定したレシピの複数の材料に適用される正確な調理パラメータの組み合わせを決定することを可能にする。
【0037】
前記方法のある実現例によれば、前記方法は、
(a)第1選択手段を用いて、データベースの第1グループにおいて決定した食品又は決定したレシピ(Ri)を選択すること、
(b)前記第1グループから選択された決定した食品又は決定したレシピの複数の材料のうちの少なくとも1つの材料の少なくとも1つの単位要素の記述パラメータを、データベースの第2グループから、第2選択手段を用いて選択すること、
(c)上述の方法のステップを実行すること
を含む。
【0038】
この方法は、調理する食品又はレシピの選択を予めユーザに示唆することによって、ユーザをガイドすることを可能にする。
【0039】
レシピの複数の材料の調理方法のある実現例によれば、この方法は、
(d)決定した調理パラメータの組み合わせの一連のシーケンスを備える決定した調理サイクルを開始すること、
(e)前記選択された記述パラメータに基づいて、調理チャンバーに導入されるべき選択されたレシピの第1材料又は第1材料群を表示すること、
(f)前記選択された記述パラメータに基づいて、調理チャンバーに選択されたレシピの第1材料又は第1材料群を導入すること、
(g)第1材料又は第1材料群の下ごしらえを行うために、決定した調理サイクル内で調理パラメータの決定した組み合わせの一連のシーケンスの第1シーケンスを適用すること
をさらに含む。
【0040】
この方法のある実現例によれば、この方法は、
(h)選択された記述パラメータに基づいて、調理チャンバー内に導入されるべき選択されたレシピの1つの材料又は他の材料群を順次的に表示すること、
(i)前記選択された記述パラメータに基づいて、調理チャンバー内に選択されたレシピの表示された材料又は他の表示された材料群を導入すること、
(j)既に調理チャンバーにある材料(群)、及び他の材料群の調理を行うために、調理サイクル内で調理パラメータの決定した組み合わせの一連のシーケンスの他のシーケンスを適用すること、
(k)レシピの全ての食品を導入し、かつ決定した調理サイクルの調理パラメータの決定した組み合わせの一連のシーケンスの最後のシーケンスが完了するまで、選択された記述パラメータに基づいて、調理チャンバー内に導入されるべき選択されたレシピの1つの材料又は他の材料群を順次的に表示するステップを再び開始すること
をさらに含む。
【0041】
この方法は、異なるやり方で調理されるべきいくつかの材料からなるレシピを準備するにあたり、ユーザに調理チャンバーにどの食品をいつ入れるべきかを示すことで、ユーザを補助することを可能にする。
【0042】
いずれの場合も、本発明は、非限定的な例示として、本発明による装置及び/又は制御装置や、レシピの調理方法を示す、添付の概略図を参照し、以下の記載によってよりよく理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0043】
図1図1は、本発明の第1実施形態による調理器具の全体図を示す。
図2図2は、図1の調理器具の分解組立図を示す。
図3図3は、図1及び2の調理器具のブロック図である。
図4図4は、本発明による調理システムのブロック図である。
図5図5は、本発明による食品の調理方法のステップを示す。
図6】本発明の好ましい実現例によるレシピの複数の材料の調理方法のステップを示す。
図7】本発明の好ましい実現例によるレシピの複数の材料の調理方法のステップを示す。
図8】本発明の好ましい実現例によるレシピの複数の材料の調理方法のステップを示す。
【発明を実施するための形態】
【0044】
図1図3に示されるように、調理器具1は、少なくとも1つの決定した(determined)食品Ai又はレシピRiの複数の決定した(determined)食品ΣxAiを受け取るよう意図される、容器2とも呼ばれる、調理チャンバー2を備える。
【0045】
決定した食品Aiは、食品又はレシピの食材であり、個別に調理され得て、単体で消費され得て、例えば、牛肉、豚肉、子羊の肉のようないくつかの種類の魚又は肉、又はアーティチョーク、ニンジンのようないくつかの種類の野菜、さらには小麦のような米又は穀類に分類され得る。
【0046】
レシピRiとしては、決定した食品又は材料の総和ΣxAiであり、例えば、グーラーシュは、さいの目状の牛肉、刻んだタマネギ、油、刻んだピーマン、つぶしたトマト、及び豆から作られる。
【0047】
このレシピの複数の材料の調理方法のステップは、図6図8に示される。
【0048】
調理器具1は、調理チャンバー2の加熱要素3も備える。
【0049】
この加熱要素3は、容器2の下に配置された加熱抵抗を備えることによって、伝導だけでなく対流によっても容器を加熱する。
【0050】
図1図3に示される実施形態においては、調理器具1は、制御装置10を備える。
【0051】
この制御装置10は、調理時間t及び調理温度Tのような決定した調理パラメータti, Tiの少なくとも1つの決定した組み合わせciの一連のシーケンス(sequential series)を備える調理サイクルCiを規定するよう構成された加熱要素3の制御ユニット13を備える。
【0052】
したがって調理サイクルは、
Ci={(t1, T1); (t2, T2); ... ; (tn, Tn)}
の形であり、ここでそれぞれのペアは、調理パラメータti, Tiの決定した組み合わせciのシーケンス(sequence)を表し、ここでnは、調理サイクルCiのシーケンスの個数を表す。
【0053】
明らかに、調理サイクルCiは、決定した調理パラメータti, Tiの単一のシーケンスciを備え得て、この場合、制御ユニット13は、決定した調理パラメータ(ti, Ti)のユニークな組み合わせ(ci)を直接に決定するよう構成される。
【0054】
さらに、決定した調理パラメータti, Tiは、それらの個数と共に、ここでは例として挙げられている。よって他のパラメータが本発明の範囲から逸脱することなく用いられ得る。
【0055】
調理時間t及び調理温度Tは、加熱要素3の電力供給に直接に依存し、圧力Pによって影響される温度Tも、調理器具1の蓋4の存在に依存し、また調理器具1が用いられる高度にも依存する。
【0056】
高度による容器2内の圧力Pの差は、調理時間の変化を生み、したがって調理サイクルCiを無効にしてしまう。
【0057】
調理サイクルCiの有効性を維持するために、温度は、適切な温度Tにおける調理の進行をモニタする温度調整装置によって、例えば、蓋4に設けられた温度Theセンサを用いて、モニタされ得る。
【0058】
さらに、制御装置10は、調理器具1の調理チャンバー2に導入されるよう意図された、決定した食品Ai及び/又は複数の決定した材料ΣxAiを備える決定したレシピRiの第1グループG1、及び第1グループG1の決定した食品Ai及び/又はレシピRiの複数の決定した材料ΣxAiのうちの少なくとも1つの材料のうちの少なくとも1つの単位要素(unit element)の記述パラメータ(descriptive parameters)Xの第2グループを備えるデータベース15を含む。
【0059】
第1グループG1の決定した食品Aiの網羅的ではないリスト、及び第2グループG2の記述パラメータXの網羅的ではないリストは、明細書の末尾の補遺の表1に例として示される。
【0060】
この制御装置10は、ユーザインタフェース14も備える。
【0061】
このユーザインタフェース14は、調理器具1の人間工学的使いやすさを改善するためにマトリクススクリーンを持つグラフィックス型のディスプレイ手段16を備える。
【0062】
このマトリクススクリーンは、タッチセンシティブであってもよい。
【0063】
このインタフェース14は、データベース15の第1グループG1中の決定した食品Ai又は決定したレシピRiの第1選択手段11、及び第1グループG1中で選択された、選択された決定した食品Ai又は決定したレシピRiの複数の材料ΣxAiのうちの少なくとも1つの材料のデータベース15の第2グループG2中の記述パラメータXの第2選択手段12も備える。
【0064】
示された例において、第1及び第2選択手段11,12は、一体化され、カーソルを動かし、又はノブの回転によって選択肢をハイライトし、ノブ17が回転する平面の法線方向に沿って圧力を加えることによってこの選択肢を有効化することができる回転選択ノブ17を備える。
【0065】
本発明の本質的な特徴によれば、制御ユニット13は、調理器具1の調理チャンバー2に導入された、少なくとも1つの決定した食品Ai又は決定したレシピRiの複数の材料の少なくとも1つの単位要素の比表面積(specific surface area)に基づいて、決定した調理パラメータti, Tiの少なくとも1つの組み合わせciの決定を行う。この比表面積は、決定した食品Ai又は決定したレシピRiの複数の材料ΣxAiのうちの少なくとも1つの材料の少なくとも1つの単位要素の記述パラメータXから推定される。
【0066】
提示された実施形態においては、制御ユニット13は、決定した調理パラメータti, Tiの組み合わせciの一連のシーケンスを備える調理サイクルCiを決定する。
【0067】
この目的のために、制御ユニット13は、データベース15とデータをやりとりし、やりとりされたデータをユーザインタフェース14、すなわち選択手段11,12及びディスプレイ手段16で処理する処理手段19を備える。
【0068】
比表面積は、物体の重量又は体積によって除された表面積を指す。
【0069】
調理は、食品へのエネルギー/熱供給の結果である。よって食品の調理(調理時間)の制御は、この食品との熱伝達を制御することを必要とする。これは異なる方法を通じて達成され得る。すなわち対流、伝導、放射である。本発明による調理器具1の場合は、エネルギー伝達は、伝導及び対流によって実質的に行われる。
【0070】
伝導及び対流の比は、実現されたレシピのタイプに直接に依存する。例えば、浸漬(immersion)調理は、液体及び固体の間の対流現象を生み、蒸気調理は、対流及び伝導現象に加えて相変化によるエネルギー伝達を引き起こし、液体なしで調理チャンバー2の底に接触することによる調理は、逆に伝導による調理に主につながる。
【0071】
しかし決定した食品Aiの単位要素の中心へのエネルギー伝達は、伝導だけによって達成される。
【0072】
これら調理方法のそれぞれについて、食品に伝達されるエネルギー量Qは、よって間接的にはこの食品を調理するのに必要とされる時間は、この食品の比表面積に依存する。伝導の場合、
Q. = -K.AnxdT/dx
であり、ここでQは熱流(「Qドット」と読む)であり、ワット(W)で表される。Kは、その材料の熱伝導度であり、実験的に決定され(W.m-1.K -1)、この変数はこの決定した食品Ai(肉の種類、野菜の種類、…)に依存する。Anxは、熱流に垂直な表面積(考慮されている軸xに直角)であり、この変数は、比表面積に直接的に連動する(単位要素が小さいほど、食品の同じ質量当たりではAnxは大きくなる)。Tは温度(ケルビン)である。xは考慮されている軸である。
【0073】
対流の場合は、熱流は、
φ = hS(TS - T)
によって与えられ、ここでφは熱流(W)であり、hは熱伝達係数(W.m-2.K-1)であり、
h = ΔQ / (A.ΔT.Δt)
であり、ここでΔQは、伝達されたエネルギー(J⇔W.s⇔kg.m2.s-2)であり、Aは、交換表面積(m2)であり、ΔTは、交換表面積の両側の温度差(K又は℃)であり、Δtは、時間間隔(s)であり、Sは、考慮されるべき食品の表面積(m2)であり、Tsは、2つの媒体の間の境界における食品の表面温度(K又は℃)であり、Tは、考慮されている食品の中心における温度(K又は℃)である。
【0074】
伝導の場合のように、決定した食品Aiの単位要素の比表面積は、この単位要素に伝達され得るエネルギーの量に大きな影響をもつ。
【0075】
このエネルギーが単位要素の表面にいったん伝達されると、エネルギーは、固体/固体の伝導によって単位要素の中心部に伝達される。この伝達は、それ自身、考慮されている食品の熱伝導度によって、したがってそのタイプによって、大きな影響を受ける。
【0076】
したがって熱伝達に影響を及ぼす主要な物理量は、以下の通りである。
【0077】
食品Aiの決定したタイプについての定数である、熱伝導度。よってこれは、データベース15内に永続的に記憶され得て、調理器具1のユーザによって指定された記述パラメータXには含まれない。
【0078】
食品の切り方のタイプに依存する比表面積。これは調理器具1のユーザによって指定された記述パラメータXの一部である。及び
調理チャンバー2に導入された決定した食品Aiの総量。これも調理器具1のユーザによって指定された記述パラメータXの一部である。
【0079】
この後者の量は、さまざまな方法で指定され得る。例えばレシピを選択する場合では、レシピが調理されるべき人の数Nを選択すれば、そのレシピで用いられる決定した材料の総量を推定するのには十分であり、ここで1人当たりの材料の量が基準とされている。
【0080】
したがって調理チャンバー2に導入された決定した食品Aiのタイプの記述パラメータXを示すよう設けられるユーザインタフェース14の動作、及び切り方のタイプを特定することによるこの決定した食品Aiの形状及び/又はサイズは、決定した調理サイクルCiの識別において重要である。
【0081】
多くの異なる食品又は材料Aiについて、少なくともこれら2つの記述パラメータXを知ることなく、正しい調理時間tを設定することは難しいことが実験的に証明されている。
【0082】
レシピRiを選ぶ時、形状及び/又は食品のサイズのような、ある種の記述パラメータXが予め選択され得て、特に、例えば、肉について、又はリング状にカットされ得るニンジンのようなある種の野菜について、材料のカットの種類によって規定される形状や、例えば豆又はビートのような野菜についての大小を表すそのサイズが予め選択され得る。
【0083】
カットの種類及び量に基づく、レシピの食品又は材料の調理時間は、本記載の末尾の付表中の表3の例によって与えられる。
【0084】
加熱要素3の制御ユニット13は、ユーザによって決定されたレシピRiに従って、調理パラメータti、Tiの少なくとも1つの組み合わせciを決定するよう動作するようにも構成される。
【0085】
よって表3において、第1の決定したタイプのカットに従った、決定した材料の決定した量の調理時間tiは、第1タイプのカットの材料の比表面積よりも小さい材料の比表面積を生む第2タイプのカットを用いる同じ材料の同じ量の調理時間よりも長くなり得る。
【0086】
表3において、この構成は、牛肉を材料として用いる特定のレシピにおいて、切られた牛肉なら35分煮ることが必要であるが、切られた牛肉の比表面積よりも小さい比表面積を持つローストビーフを用いるレシピなら22分の調理時間しか必要とせず、焼かれた中身はレアのままであることによって具体的に示される。
【0087】
レシピを実行には、調理チャンバー2に導入されるべき決定した材料Aiの全体量を計算するために、ユーザは、調理が行われるべきレシピの人数Nを特定しさえすればよい。
【0088】
決定した材料Aiの状態、すなわち生の状態又は冷凍状態であるかも記述パラメータX内で特定され得る。
【0089】
調理チャンバー2内に導入された決定した材料Aiの全重量、及び決定した材料Aiの状態に従って、余熱又はより長い調理時間も考慮され得る。
【0090】
加えて、浸漬、蒸気、又は接触による熱伝達のタイプも重要であり、調理の所望のレベル、例えば、レア、ミディアム、バリバリした食感、ソフトな食感も重要である。
【0091】
しかしこれら情報は、ユーザの嗜好Prefを構成するので、食品又は決定した材料Aiの少なくとも1つの単位要素の固有性を記述する記述パラメータXではない。
【0092】
これら嗜好Prefは、データベース15の第3グループG3内にグループ化され、第3選択手段18を用いてユーザによって選択され、本実施形態では、この第3選択手段18は、他の2つの選択手段11,12と一体化されている。
【0093】
第3グループG3の嗜好の非網羅的なリストは、本記載の末尾の付表において表1の例によって示される。
【0094】
よって制御ユニット13は、調理サイクルt, Tの実行の間、例えば、調理サイクルの同じシーケンスを繰り返し適用することによって、これら嗜好Prefを考慮に入れる。
【0095】
調理サイクルCiは、記述された記述パラメータXと併せて、オプションとしてユーザの嗜好との全ての組み合わせをカバーするよう推測された(extrapolated)テスト結果から決定される。これらは、データベース15において定義され、永久的に記憶され、調理器具1の製造の間に変更されることはない。
【0096】
決定した調理パラメータti, Tiの少なくとも1つの決定した組み合わせciの一連のシーケンスを備えるこれら調理サイクルCiは、データベース15における第4グループG4を形成する。
【0097】
この第4グループG4は、本記載の末尾の付表の表1において指示として現れる。
【0098】
よってそれぞれの決定した組み合わせは、決定した調理パラメータti, Tiのシーケンスのそれぞれの決定した組み合わせciは、以下の間の可能な組み合わせと関連付けられる。すなわち、第1グループG1の決定した食品Ai又は決定したレシピRiと、第2グループG2の決定したレシピRiの決定した食品Ai又は複数の材料中の少なくとも1つの材料Aiの少なくとも1つの単位要素の記述パラメータXとの組み合わせである。
【0099】
よって制御ユニット13の処理手段19による調理サイクルCiの決定は、以下のもののユーザ選択に従って第4グループG4の決定した調理サイクルCiを選択することからなる。すなわち、第1グループG1における決定した食品Ai又は決定したレシピRiと、第1グループG1において選択された、選択された決定した食品Ai、又は決定したレシピRiの複数の材料中の少なくとも1つの材料の、少なくとも1つの単位要素のデータベース15の第2グループG2における記述パラメータXとである。
【0100】
調理サイクルCiの決定した組み合わせciのある種のシーケンスの連続は、第3グループG3から選択されたユーザ嗜好Prefに今度は依存し得る。
【0101】
この連続は、本記載の末尾における付表の表1に示されるそれぞれの要素間に置かれた矢印によって表される。
【0102】
3つの他のリストG1、G2、G3と共にこの第4グループG4は、例えば、インターネットネットワークを介してリモートサーバに接続する手段のような、接続手段(不図示)を通じてこの器具が接続されたリモートサーバからアップデートされ得る。
【0103】
図4に示される第2実施形態において、制御装置10は、調理器具1には統合されていない。
【0104】
しかし制御装置10は調理器具1と、それぞれ第1通信手段21及び第2通信手段22を介して、好ましくは無線で通信する。
【0105】
この実施形態において、制御装置10及び調理器具1は、調理器具システム100を形成する。
【0106】
この実施形態において、制御装置10は、例えば、スマートフォン20であり得る。
【0107】
したがって処理手段19は、第1通信手段21を通るデータを処理し、加熱要素3の電力供給を制御するために調理器具1内に設けられた第1データ処理手段19aと、スマートフォンのデータ処理手段と一体化し得て、第2通信手段22、データベース15、及びユーザインタフェース、すなわち選択手段11,12,13、及びディスプレイ手段16を通るデータを処理する第2データ処理手段19bと、に分けられる。
【0108】
本発明は、上述の2つの実施形態のいずれかにおける調理器具1における、決定した食品Ai又は決定したレシピRiの複数の材料の調理方法にも関する。
【0109】
図5は、本発明の好ましい実施形態による、仔牛のローストの調理方法を示す。
【0110】
第1ステップ(a)において、ユーザは、第1選択手段11を用いてデータベース15の第1グループG1において仔牛の肉を選択することから始める。
【0111】
第2ステップ(b)において、ユーザは、記述パラメータXの第2グループG2から、第1グループG1から選択された仔牛肉の少なくとも1つのユニット要素を第2選択手段12によって選択する。
【0112】
記載された例では、これらのパラメータは、肉のカットの種類に関し、この場合は、ローストであり、その量はここでは1000グラムである。
【0113】
第3ステップ(c)において、制御ユニット13は、仔牛ローストの比表面積に従って調理パラメータti, Tiを決定し、ここでこの比表面積は、仔牛のローストの質量に基づいて推定される。
【0114】
図6図8は、本発明による調理器具1を用いて、レシピの複数の材料の調理方法の実現例に従ってグーラッシュRgoulashのレシピを準備するステップを示す。
【0115】
グーラッシュRgoulashのようなレシピを準備するのに必要な材料、その準備のために考慮される記述パラメータX、及びユーザの嗜好は、本記載の末尾にある付表の表2においてグループ分けされている。
【0116】
この方法は、第1選択手段11を用いて、データベースの第1グループG1において決定したレシピRiを選択することからなる第1ステップ(a)を含む。
【0117】
よってディスプレイ手段16は、ユーザが料理したいレシピを選択するために、ユーザがブラウズできるレシピのリストをユーザに示す。
【0118】
レシピをブラウズすることは、ロータリー選択ノブ17を回転させることによって達成され、選択肢を有効にすることは、ノブ17が回転する平面の法線方向に沿った圧力を加えることによって実行される。
【0119】
提示された例において、ユーザはグーラッシュレシピRgoulashを調理することを選択する。
【0120】
それから第2スクリーンがディスプレイ手段16上に表示され、レシピRgoulashを調理したい人数Nを選択するようユーザに要求する。
【0121】
この選択は、第2選択手段12を用いて、第1グループG1から選択された決定したレシピRgoulashの複数の材料のうち少なくとも1つの材料を、記述パラメータXの第2グループG2からユーザが選択する第2ステップ(b)を構成する。
【0122】
ここで、第2選択手段12は、第1選択手段11と一体化され、ロータリー選択ノブ17によって形成される。
【0123】
選択され決定したレシピRgoulashの複数の材料についての記述パラメータXは、決定したレシピRgoulashが実行される人数Nに関する。
【0124】
この人数Nは、調理チャンバー2に導入されるべき決定した材料の全体量を決定するために用いられる。
【0125】
よって第3ステップ(c)において、制御ユニット13は、調理器具1の調理チャンバー2に導入される決定した材料(群)Aiの少なくとも1つの単位要素の比表面積に従って、調理パラメータti, Tiの決定した組み合わせciの一連のシーケンスを備える調理サイクルCgoulashを決定する。ここで比表面積は、データベース15の第1グループG1における決定したレシピRgoulashの選択、及び選択され決定したレシピRgoulashの複数の材料のうちの少なくとも1つの材料の記述パラメータXの第2グループG2からの選択に基づいて推定される。
【0126】
表示として、制御ユニット13は、ディスプレイ手段16上に、推定された準備時間と共に、調理サイクルCgoulashの決定した組み合わせciの全てのシーケンスの時間の合計に対応する決定した調理時間を示す。
【0127】
第1サブステップ(c’)は、レシピRgoulashに必要な材料Aiと共に、選択された人数Nのためのそれらの量、及び予め選択されたカットのタイプ、例えば牛肉をサイコロ状にカットするタイプをディスプレイ手段16上に表示する。
【0128】
ユーザは、ロータリー選択ノブ17を用いて材料のリストをスクロールして移動できる。
【0129】
第2サブステップ(c”)は、これから用いられる材料Aiを認識した上でこのレシピRgoulashを本当に作りたいかの確認をユーザに要求する。
【0130】
否定で答えると、ユーザは、新しいレシピRiの選択へ戻ることができるメインメニューに戻る。
【0131】
肯定で答えると、調理サイクルCgoulashを開始すること、特にこのサイクルCgoulashの決定した組み合わせc1の最初のシーケンスを開始することからなる、調理方法の第4ステップ(d)へ導かれる。
【0132】
このサイクルCgoulashの決定した組み合わせc1の最初のシーケンスは、調理パラメータt1, T1に基づいた調理チャンバー2の予熱に対応し、ここでt1は30分に等しく、T1は136℃に等しく、この温度は、レシピRgoulashの第1材料を大気圧P1で焦げ目がつくように焼くことを可能にする温度に対応するが、これはレシピRgoulashのこの段階において、調理器具1には調理チャンバー2を覆う蓋4がないからである。
【0133】
第5ステップ(e)において、ディスプレイ手段16は、調理チャンバー2に導入されるべきグーラッシュレシピRgoulashの第1材料、この場合は、刻まれたタマネギ及びサイコロ状にカットされた肉を表示し、これらの全体量は、この場合は4人についての選択された記述パラメータXに基づいて決定される。
【0134】
その後、ユーザは、第6ステップ(f)で、グーラッシュレシピRgoulashのこれら第1材料の導入を行う。
【0135】
第7ステップ(g)について、このステップは、決定した組み合わせc1の第1シーケンスを適用することからなる。すなわち、これら第1材料の下ごしらえ、つまり焦げ目がつくよう焼くことを実行するために、この第1シーケンスを形成する決定した組み合わせc1の決定した時間の終わりまで待機する。
【0136】
この第7ステップ(g)にわたって肉及びタマネギに焦げ目が付けられる間、制御ユニット13は、これら第1材料を焦げ目を付けるよう焼くことに関する嗜好Prefをユーザに知らせるために、ユーザのためにディスプレイ手段16上にクエリーを表示することによってサブステップ(g’)を実行する。
【0137】
ユーザの嗜好をガイドするために、この調理嗜好Prefは、このレシピRgoulashについてデータベース15の第3グループG3において予め選択される。
【0138】
クエリーは、ユーザが肉及びタマネギに焦げ目を付けることを続けたいか否かについてチェックすることからなる。
【0139】
もしユーザがイエスと答えるなら、制御ユニット13は、調理サイクルCgoulashの決定した組み合わせc1の第1シーケンスを繰り返す。
【0140】
しかし反復の回数は、最大時間である30分を超えないように設定される。
【0141】
もしユーザがノーと答えるなら、調理方法は、決定した組み合わせc1の第1シーケンスで示された時間の終わりまで待ってから、第8ステップ(h)へ切り替わる。
【0142】
第8ステップ(h)は、選択された記述パラメータに基づいて、この場合、人数Nに基づいて、調理チャンバーに導入されるべき選択されたレシピRgoulashの1つの材料又は他の材料群を順次的に示すことからなる。
【0143】
提示されたグーラッシュレシピRgoulashにおいて、他の材料は、残りの材料からなる。
【0144】
換言すれば、このステップは、材料を一つだけ特定することからなり得る。
【0145】
この第8ステップ(h)は、調理チャンバー2に残りの材料を導入することからなる第9ステップ(i)に当然に遷移する。
【0146】
第10ステップ(j)において、制御ユニット13は、調理サイクルCgoulashの決定した組み合わせc2の他のシーケンスを適用し、これにより決定した調理パラメータt2, T2によって、調理チャンバー2内に既にある材料と、その後に追加される残りの材料との調理が実行される。
【0147】
しかし本方法のこの段階では、調理器具1の蓋4がまだ閉じられていないので、残りの食品を調理チャンバー2に導入することができる。
【0148】
よって制御ユニット13は、調理サイクルCgoulashの決定した組み合わせc2の新しいシーケンスの調理パラメータによって調理チャンバー2を準備するべく、一連のクエリーをユーザに予め送る。
【0149】
これらクエリーのうち最初のクエリーは、サブステップ(j’)からなり、容器2の存在を確認することからなる。
【0150】
もし容器2が存在しないなら、制御ユニット13は、容器2を挿入しなければならないことを知らせるために、ディスプレイ手段16を介して警告をユーザに送る。
【0151】
もし容器2が存在するなら、それから制御ユニット13は、蓋4が閉じられてロックされていることをチェックし、さらに第2サブステップ(j’’)からなる、第2クエリーに遷移する。
【0152】
もし蓋が閉じられてロックされていないなら、制御ユニット13は、蓋4を閉じてロックしなければならないことを知らせるために、ディスプレイ手段16を介して警告をユーザに送る。
【0153】
もし蓋が閉じられてロックされているなら、制御ユニット13は、調理パラメータt1', T1'に基づいてさらなる予熱に対応する調理サイクルCgoulashの新しい決定した組み合わせc1'を開始し、ここでT1'は、115℃に等しい。
【0154】
予熱の終わりにおいて、制御ユニット13は、調理サイクルCgoulashの新しい決定した組み合わせc2を適用する。
【0155】
調理サイクルCgoulashの決定した組み合わせc2のシーケンスにおいて表示される調理時間の終わりにおいて、調理サイクルCgoulashの新しい決定した組み合わせc3を開始することによって、調理チャンバー2の内容物を保温することからなるサブステップ(j’’’)が、場合によっては実行され得る。
【0156】
本調理方法は、レシピの食品の全てを導入し終わり、かつ決定した調理サイクルCiの最後のシーケンスが完了するまで、第8ステップ(h)からこの方法を再開することからなる第11ステップも、該当する場合は、備える。
【0157】
レシピRgoulashの場合においては、レシピRgoulashは、導入の2つのフェーズしか含まず、調理チャンバー2へ導入されるべき材料の表示も2つのフェーズしかないので、このステップは適用されない。
【0158】
最後に、本調理方法は、レシピの準備を継続したいかユーザに尋ねる追加のステップを含み得る。
【0159】
これらのリクエストは、例えば、調理サイクルCiの決定した組み合わせciのそれぞれのシーケンスの終わりにおいて起こり得る。
【0160】
本器具は、ユーザがレシピの準備を任意の時点で中断することを可能にする、割込手段も備え得る。
【0161】
ユーザの注意を引くことは、制御ユニット13によって制御される警告手段23によってトリガされ、例えば、図1図3に示される第1実施形態の場合には、介入ビープ音が、又は図4に示される第2実施形態の場合には既存の振動又は鳴動手段が用いられ得る。
【0162】
上述のさまざまな実施形態は、添付の特許請求の範囲によって規定される本発明の実現形態の例に過ぎないことは明らかである。これら異なる実施形態の代替物も考えられ、これら異なる記載された実施形態は、当業者によって容易に組み合わせることができる。
【0163】
付表
【0164】
【表1】
【0165】
【表2】
【0166】
【表3】
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8