(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ピーク発光波長が互いに異なるとともにピーク発光波長が0.38μm以上の複数の発光ダイオードを、1〜100c/sにて同時に発光させるとともに、各発光ダイオードに印加する電圧のパルス列を所定時間ごとに繰り返し変調させて、被処理物としての燃焼装置の燃料が共振可能なテラヘルツ波を含むビート波を間欠的に生成し、このビート波の波動エネルギーを前記燃料に伝播させることにより、前記テラヘルツ波に前記燃料を共振させて変性させることを特徴とする物質の変性方法。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の物質の変性方法に用いる物質の変性装置Aを示すブロック図である。
この変性装置Aは、電源1と、この電源1から供給される電圧をパルス列として出力する発振回路2と、この発振回路2から出力された電圧を印加することにより同時且つ間欠的に発光する3種類の発光ダイオードL1,L2,L3とを備えている。
【0013】
前記電源1としては、例えば直流バッテリーが用いられる。この電源1は特に限定されないが、例えば電圧がDC4.5〜24Vのものが用いられる。
前記発振回路2は、電源1の電圧を例えば1〜100c/sの範囲のパルス列として出力する。この発振回路2には、必要によりパルス幅を任意に変調するための変調器が設けられる。
【0014】
各発光ダイオードL1,L2,L3は、ピーク発光波長が互いに異なるものである。各発光ダイオードL1,L2,L3のピーク発光波長は、それぞれ0.38μm以上のものが用いられる。
また、各発光ダイオードL1,L2,L3には、図示しない抵抗を介して1ワット以下の微弱な電力が供給される。
【0015】
なお、前記変性装置Aには、必要により、外部電源1から前記発振回路2に対する電力の供給をON−OFF操作するための電源スイッチが設けられる。
また、前記変性装置Aのうちの少なくとも発振回路2及び発光ダイオードL1,L2,L3は、合成樹脂製のケース3に収納されている。さらに、各発光ダイオードL1,L2,L3は、発光方向をケース3の外に向けた状態で並列に配置されている。
【0016】
以上の構成の変性装置Aを用いることにより、本発明に係る物質の変性方法を実施することができる。すなわち、電源1から前記変性装置Aの発振回路2に電力を供給して、各発光ダイオードL1,L2,L3を所定サイクルにて同時に点滅させると、各発光ダイオードL1,L2,L3の発光時の光波を重ね合わせて、テラヘルツ波を含むビート波を生成することができる。従って、各発光ダイオードL1,L2,L3の発光方向を被処理物に向けておくことにより、前記生成したビート波に含まれる特定周波数のテラヘルツ波の波動エネルギーを、被処理物に伝播して当該被処理物を共振させることができる。この結果、被処理物を変性させることができる。
ただし、前記テラヘルツ波の周波数と被処理物の共振周波数とを正確に合致させることは困難である。これを解決する方法として、本発明においては、ビート波を連続的に生成するのではなく断続的に生成して一種のひずみ波を形成することにより、様々な周波数成分のテラヘルツ波を出現させ、これらテラヘルツ波のうちから、被処理物の固有振動数成分に合致する周波数成分のテラヘルツ波に当該被処理物を選択共鳴させるという方法を採用している。
なお、本願における「テラヘルツ波」とは、周波数が300THz以下(波長が1μm以上)の赤外線領域の光又は電磁波をいう。
【0017】
このように、被処理物を変性させることができるのは、以下の理由によるものと考えられる。
すなわち、量子力学においては、共振現象により多量のテラヘルツ波が物質に吸収されると、乱れた結晶構造が規則正しい結晶構造に整えられて、物質本来の物性が増幅すること、つまり、物質が変性(活性化)することが知られている。
従って、本発明に用いる各発光ダイオードL1,L2,L3のピーク発光波長が、テラヘルツ光のピーク発光波長よりも短い場合でも、各発光ダイオードL1,L2,L3が発生する光波が重なって、被処理物の固有振動数とほぼ同一周波数のテラヘルツ波を含むビート波が生じ、このビート波に含まれる前記テラヘルツ波に被処理物が共振し、テラヘルツ波の波動エネルギーが被処理物に吸収されることにより、被処理物を変性させることができるものと考えられる。
【0018】
なお、前記実施の形態においては、発光ダイオードL1,L2,L3として、0.38μm以上のものを用いるが、これは、ピーク発光波長が0.38μm未満であると、可視光よりも波長が短い紫外線領域となるので、人体に有害であること、樹脂材を劣化させる性質があること等、テラヘルツ波を生成する光源としては扱い難く、ピーク発光波長が1μm以上のビート波の生成が困難となるからである。また、現在汎用されている発光ダイオードのピーク発光波長の上限は、1.6μm以下であるので、この1.6μmが各発光ダイオードL1,L2,L3のピーク発光波長の実質的な上限値となる。
【0019】
本発明に係る物質の変成方法は、被処理物を、金属製の容器に収容した場合や、金属製の配管の内部を通す場合等、変性装置A対して被処理物が金属で遮られている場合でも、当該被処理物を変成させ得ることが確認されている。
これは、前記ビート波に含まれる特定周波数のテラヘルツ波に前記金属が共振して、当該テラヘルツ波の波動エネルギーが金属に吸収され、この吸収された波動エネルギーが、金属から繰り返し再放射されることにより、被処理物が共振するためであると考えられる。
【0020】
前記金属に吸収された波動エネルギーの再放射は、各発光ダイオードL1,L2,L3を点滅させることにより初めて可能となる。すなわち、各発光ダイオードL1,L2,L3を点滅させることなく連続発光させると、被処理物を変性させることができないことが確認されている。これは、各発光ダイオードL1,L2,L3を連続発光させると、前記金属がテラヘルツ波の波動エネルギーを絶え間なく吸収して、当該金属の格子振動や共振が強くなっているだけであり、その吸収した波動エネルギーを再放射することができないためである。
【0021】
これに対して、各発光ダイオードL1,L2,L3を点滅させると、金属が吸収した波動エネルギーを、各発光ダイオードL1,L2,L3の非発光時に放射することができるので、当該金属が波動エネルギーの吸収と再放射とを交互に繰り返すことができる。このため、前記金属から再放射された波動エネルギーを被処理物に伝播させることができ、この伝搬させた波動エネルギーに被処理物を共振させて当該被処理物を変性させることができる。
なお、従来の自然物が放射する遠赤外線をそのまま利用する方法では、金属で遮られた被処理物を効果的に変性させることができないが、これは、自然物が遠赤外線を連続的に放射するので、前記金属が吸収した波動エネルギーを再放射することができないためであると推察される。
【0022】
また、各発光ダイオードL1,L2,L3を単独で用いて間欠的に発光させた場合には、被処理物を変性させることができないことが確認されている。これは、各発光ダイオードL1,L2,L3が発する波動エネルギーの周波数と被処理物の固有振動数とが相違することから、共振現象が生じないためである。
また、単独でテラヘルツ領域の光を放射可能なピーク発光波長が1μm及び1.2μmの発光ダイオードを、それぞれ単独で用いて間欠的に発光させた場合にも、被処理物を変性させることができないことが確認されている。これにより、被処理物を共振させるためには、テラヘルツ波単独ではなく、互いにピーク発光波長が異なる複数の発光ダイオードを用いて生成した、様々な周波数成分のテラヘルツ波を含むビート波を被処理物に伝播させる必要があることが分かる。
【0023】
現状ではテラヘルツ波の周波数を直接計測することが困難であるので、前記した変性方法において、テラヘルツ波が生成されて共振現象が生じているか否かを直接計測することは困難である。しかし、一般に、テラヘルツ波に共振した物質を人体に接触させると、人体が反応することが知られている。これは、人体の細胞を構成している水分子が、テラヘルツ波に共振するからである。従って、例えばO(オー)リングテストを行うことにより、テラヘルツ波に共振した物質か否かを確認することができる。このOリングテストは、周知のように、片方の手で物質を保持し、他方の手の指でリングを作り、第三者が前記リングを開くことができるか否か、又はリングを開くのに要する力が、物質を保持していない場合に比べて増大するか否かにより、物質の特性を見分ける方法である。
【0024】
本願発明者等は、アルミニウム製の容器に天然セラミックスを入れた被処理物を作成し、本願発明の変性方法で処理する前の被処理物と、処理した後の被処理物とを、選択的に片方の手で保持してOリングテストを実施した。このOリングテストの結果、処理前の被処理物については、指で作ったリングを簡単に引き離すことができたが、処理後の被処理物については、指で作ったリングを全く引き離すことができなかった。従って、処理後の被処理物は、人体の細胞の水分が共振可能なテラヘルツ波に共振していることが分かる。よって、本願発明の変性方法によってテラヘルツ波が生成されて共振現象が生じ、被処理物が変性していることが明らかである。
【0025】
前記物質の変性方法においては、各発光ダイオードL1,L2,L3の点滅サイクルが、1〜100c/sであるので、被処理物を短時間で効果的に変性させることができる。すなわち、前記点滅サイクルが1c/s未満であると、被処理物を変性させるのに長時間を要し、前記柄点滅サイクルが100c/sを超えると、被処理物を変性させる効果が低下することが確認されている。
また、テラヘルツ波は、一般に、フェムト秒パルスレーザー等の大型で高価な装置を用いて発生させる必要があるが、本発明の変性方法においては、汎用されている安価なLEDを複数個用いてテラヘルツ波を発生させる方法であるので、簡単な構成でコストの安い変性方法を実現することができる。
【0026】
前記実施の形態においては、各発光ダイオードL1,L2,L3をそれぞれ1個ずつ用いた場合を示したが、それぞれ複数個を直列に接続して用いてもよく、この場合には、ビート波としてのテラヘルツ波の波動エネルギーをより高めることができるので、被処理物をより効果的に変性させることができる。
また、各発光ダイオードL1,L2,L3に印加する電圧のパルス列は、所定時間ごとに繰り返し変調してもよく、この場合には、ビート波に含まれるテラヘルツ波の周波数帯域を広げることができるので、その分、より多くの種類の被処理物を共振させて変性させることができる。
【0027】
前記実施の形態においては、互いにピーク発光波長の異なる3種類の発光ダイオードを用いているが、当該発光ダイオードの種類は、被処理物の固有振動数に応じて適宜選択して実施する。すなわち、本発明においては、互いにピーク発光波長の異なる少なくとも2種類の発光ダイオードを用いて実施する。なお、発光ダイオードの種類を多くすればするほど、ビート波に含まれるテラヘルツ波の周波数帯域を広げることができるので、その分、より多くの種類の被処理物を共振させて変性させることができる。
【0028】
本願発明の変性方法は、内燃機関やボイラー等の燃焼装置の燃料や燃焼用空気を変性させるのに特に好適に用いられる。自動車のエンジンの燃料や燃焼用空気を変性させる場合には、前記変性装置Aを自動車のエンジンルームやダッシュボード等に配置し、発光ダイオードL1,L2,L3をエンジンに向けた状態で点滅させる。これにより、エンジンの燃料や、燃焼空気を変性させてその燃焼効率を高めることができるので、燃費を低減させたり、排気ガス中の有害成分を減少させたりすることができる。また、テラヘルツ波によってエンジンブロックを共振させて、当該エンジンブロックにテラヘルツ波を吸収させたり、吸収させた波動エネルギーをエンジンブロックから再放射させたりすることもできるので、エンジンブロック内のエンジンオイルや、エンジンブロック内に供給された混合気を変性させることができる。このため、エンジンの機械的損失を減少させたり、エンジンの燃焼効率をさらに高めたりすることができる。
【0029】
図2は自動車の燃料として用いられるオクタンの赤外線吸収スペクトルを示す図である。同図から、オクタンの固有振動数に係わるC−Hの伸縮、変角運動は3.5μm、7μm、及び14μm近傍の波長を含むスペクトル領域で生じることが分かる。従って、前記オクタンを共振させるには、約3.5μm、7μm、及び14μmのうちの何れかの波長に近い波長を含むテラヘルツ波をオクタンに伝播させる必要があることが分かる。しかし、前記吸収スペクトルに合致する波長を人為的にしかも電子回路で実現する安価な放射装置は見当たらない。そこで、本発明ではピーク発光波長が異なる複数の安価な発光ダイオードを点滅させることにより、オクタンが選択吸収できる前記何れかの共振周波数成分を含むテラヘルツ波を生成して、エンジンの燃料の燃焼効率を高めることができるようにしたものである。
【0030】
なお、前記変性装置Aを自動車に装着する場合には、エンジンにアコースティックエミッションセンサを取り付け、エンジンの駆動時と停止時のセンサからの信号に基づいて変性装置Aを自動的にON−OFFさせるようにしてもよい。
[実施例]
【0031】
ピーク発光波長が870nmの3個の発光ダイオードを直列に接続した第1の発光ダイオード群と、ピーク発光波長が880nmの3個の発光ダイオードを直列に接続した第2の発光ダイオード群と、ピーク発光波長が950nmの3個の発光ダイオードを直列に接続した第3の発光ダイオード群とを、それぞれ並列に接続した変性装置を、自動車のエンジンルームに配置し、各発光ダイオードをエンジンリンダーの根元に向けた状態でそれぞれ同時に点滅させて、当該エンジン本体及び其の周辺機器を介して燃料、燃焼空気、及び作動油等を変性させた。
各発光ダイオードの点滅サイクルは20c/sであり、各発光ダイオードへの総供給電力は0.8ワットである。
[燃費比較試験]
【0032】
前記実施例の効果を確認するために、前記実施例に係る変性方法を実施する前と実施した場合の、車両の燃費を比較する試験を行った。試験条件は以下の通りである。なお、変性方法を実施した場合の試験は、車両の走行中において常に変性装置を作動させた状態で行った。
(1)試験車両
自動車A
車種:日産TEANA J31
年式:平成17年
エンジン型式:VQ23DE(排気量2400CC)
変速型式:4速自動変速
自動車B
車種:トヨタLEXUS IS−F
年式:平成23年
エンジン型式:2UR−GSE(排気量5000CC)
変速型式:8速自動変速
(2)試験方法
高速走行での満タン法
(3)試験実施期間2011年8月〜9月
<試験結果>
【0033】
(1)自動車Aの場合
天気が晴れの日の走行時においては、変性方法を実施する前では10.0Km/Lであったのに対して、前記変性方法を実施した場合では12.4Km/Lとなり、燃費が約24%向上することが認められた。また、加速反応も向上することが体感され、特にエンジン回転数が2500〜3500rpm付近で、ターボ車のような加速感とトランスミッションの反応性が向上していることが体感された。
【0034】
また、天気が雨の日の走行時においては、前記変性方法を実施する前では9.5Km/Lであったのに対して、変性方法を実施した場合では11.5Km/Lとなり、燃費が約21%向上することが認められた。このように雨天時の効果が低くなる原因としては、水分によりテラヘルツ波が減衰するか、雨天により紫外線が遮られることにより活性酸素が少なくなるためであると推察されるが、いずれにしても、前記変性方法による効果は明白である。
【0035】
(2)自動車Bの場合
天気が晴れの日の走行時において、変性方法を実施する前では10.5Km/Lであったのに対して、変性方法を実施した場合では12.5Km/Lにとなり、燃費が約19%向上することが認められた。また、加速反応も向上することが体感された。
[トルク比較試験]
【0036】
実施例に係る変性方法を実施する前の車両と、実施した場合の車両について、シャーシーダイナモによりエンジンのトルクを計測した。測定に使用した車両は前記自動車Aである。この試験結果を
図3に示す。なお、変性方法を実施した場合の試験は、計測中において常に変性装置を作動させた状態で行った。
図3から、変性方法を実施する前のトルクに比べて、変性方法を実施した場合のトルクがほぼ全回転数域で向上することが明らかである。また、同一のエンジン回転数でトルクを比較すると、エンジン回転数が2500〜3500rpmの範囲でトルクが5〜6%向上している。これにより、当該回転数範囲での走行時に加速反応が向上するという体感が裏付けられた。また、特に高速走行での燃費を向上させ得ることが明らかである。