特許第6265412号(P6265412)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6265412セグメント化されたタイヤ用ヴァイン空気ポンプの組み立て方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6265412
(24)【登録日】2018年1月5日
(45)【発行日】2018年1月24日
(54)【発明の名称】セグメント化されたタイヤ用ヴァイン空気ポンプの組み立て方法
(51)【国際特許分類】
   B60C 23/12 20060101AFI20180115BHJP
   B60C 19/00 20060101ALI20180115BHJP
【FI】
   B60C23/12
   B60C19/00 G
【請求項の数】12
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2013-216373(P2013-216373)
(22)【出願日】2013年10月17日
(65)【公開番号】特開2014-84101(P2014-84101A)
(43)【公開日】2014年5月12日
【審査請求日】2016年5月24日
(31)【優先権主張番号】13/659,105
(32)【優先日】2012年10月24日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】513158760
【氏名又は名称】ザ・グッドイヤー・タイヤ・アンド・ラバー・カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100123788
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100127454
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】ロバート レオン ベネディクト
(72)【発明者】
【氏名】サーラシラム ゴビナス
(72)【発明者】
【氏名】チュヨン−シウン リン
(72)【発明者】
【氏名】ロビン ランガデイ
(72)【発明者】
【氏名】ロバート アレン ロジー
【審査官】 上谷 公治
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2012/0073716(US,A1)
【文献】 米国特許第04295412(US,A)
【文献】 特開平10−151615(JP,A)
【文献】 特開昭63−314116(JP,A)
【文献】 特開昭60−131233(JP,A)
【文献】 特表2003−502594(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60C 23/12
B60C 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
A.可撓性を有する細長い空気チューブの軸方向に延びる空気流路を一端で開く工程と、
B.前記空気流路の公称幅より大きい公称外側幅を有する少なくとも一つの一方向逆止弁を、前記一端から前記空気流路に挿入する工程と、
C.前記少なくとも一つの逆止弁を前記空気流路内の好ましい位置に設置するために、前記逆止弁と、前記空気流路を画定する前記空気チューブの内側側壁との間に、締まり嵌めによる係合を生じさせる工程と、
D.前記空気チューブの前記内側側壁からの半径方向の圧力によって、前記逆止弁を前記空気流路内の前記好ましい位置で保持する工程と、
を有し、
前記B,C,Dの工程を複数の前記一方向逆止弁の各々について繰り返し、前記複数の逆止弁は順次挿入されて、各逆止弁が前記空気流路内のそれぞれの好ましい位置に位置するように前記空気流路に沿って軸方向に互いに離れて位置する前記逆止弁の互いに離れたアレーを形成し、
前記複数の逆止弁の各々を前記空気チューブの前記一端から前記空気流路に挿入する前に、前記可撓性を有する空気チューブを、拡張されていない径から拡張された径に径方向に拡張する工程と、
前記複数の逆止弁の各々を前記空気チューブの前記一端から前記空気流路に挿入する前に、前記逆止弁のそれぞれの前記好ましい位置で前記空気チューブを順次締め付け、前記拡張されていない径とする工程と、
前記逆止弁がそれぞれの前記好ましい位置に設けられた後、前記可撓性を有する空気チューブを、前記複数の逆止弁の各々を覆うように直径方向に収縮させて前記拡張されていない径とする工程と、を有するタイヤの空気ポンプの組み立て方法。
【請求項2】
前記逆止弁の前記アレーを含む前記可撓性を有する細長い空気チューブをタイヤ壁のたわみ変形する領域に配置する工程を有し、前記空気流路は、前記タイヤ壁の前記たわみ変形する領域が回転するタイヤのフットプリントと対向して回転するときに前記タイヤの前記たわみ変形する領域から誘起される力に反応して、前記逆止弁によって分離された複数のセグメントを前記空気通路の長手方向に沿って順番に、順次閉じるように作動する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記空気流路と連通し、空気が前記空気流路に流入できるように作動する入口部を配置する工程と、
前記空気流路と連通し、前記入口部から離れて位置し、加圧された空気を前記空気流路から導出するように作動する出口部を配置する工程と、を有する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記逆止弁がそれぞれの前記好ましい位置に保持されることを助けるように、各逆止弁から、バーブ突起を前記空気チューブの内側側壁に係合させる工程を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記空気流路内の前記逆止弁のそれぞれの前記好ましい位置で、前記空気チューブを覆うように締め付け環体を取り付ける工程を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記空気チューブを前記複数の逆止弁によって複数の空気チューブセグメントにセグメント化する工程と、各逆止弁を上流の前記空気チューブセグメントと下流の前記空気チューブセグメントとの間に位置させる工程と、を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記空気チューブをタイヤのサイドウォール内に形成されたチャネルに沿って延ばすことを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記チャネル及び前記空気チューブを前記タイヤのサイドウォール内で、実質的に180度の半円の経路に沿って延ばす工程を有する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記タイヤのサイドウォール内の前記チャネル及び前記空気チューブを、前記タイヤのサイドウォール内で、360度の円形経路に沿って延ばす工程を有する、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
A.可撓性を有する細長い空気チューブの軸方向に延びる空気流路を一端で開く工程と、
B.前記空気流路の公称幅より大きい公称外側幅を各々が有する複数の一方向逆止弁を、前記一端から前記空気流路に一つずつ挿入して、前記空気流路に沿って互いに離れて位置する前記複数の逆止弁の軸方向のアレーを形成する工程と、
C.各逆止弁を前記空気流路内のそれぞれの好ましい位置に設置するために、各逆止弁と、前記空気流路を画定する前記空気チューブの内側側壁との間に、締まり嵌めによる係合を生じさせる工程と、
D.前記空気チューブの前記内側側壁からの半径方向の圧力によって、前記複数の逆止弁を前記流路内のそれぞれの前記好ましい位置で保持する工程と、
を有し、
前記複数の逆止弁の各々を前記空気チューブの前記一端から前記空気流路に挿入する前に、前記可撓性を有する空気チューブを、拡張されていない径から拡張された径に径方向に拡張する工程と、
前記複数の逆止弁の各々を前記空気チューブの前記一端から前記空気流路に挿入する前に、前記逆止弁のそれぞれの前記好ましい位置で前記空気チューブを順次締め付け、前記拡張されていない径とする工程と、
前記逆止弁がそれぞれの前記好ましい位置に設けられた後、前記可撓性を有する空気チューブを、前記複数の逆止弁の各々を覆うように直径方向に順次収縮させて前記拡張されていない径とする工程と、を有するタイヤの空気ポンプの組み立て方法。
【請求項11】
前記逆止弁の前記アレーを含む前記可撓性を有する細長い空気チューブをタイヤ壁のたわみ変形する領域に配置する工程を有し、前記空気流路は、前記タイヤ壁の前記たわみ変形する領域が回転するタイヤのフットプリントと対向して回転するときに前記タイヤの前記たわみ変形する領域から誘起される力に反応して、前記逆止弁によって分離された複数のセグメントを前記空気通路の長手方向に沿って順番に、順次閉じるように作動する、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記空気流路と連通し、空気が前記空気流路に流入できるように作動する入口部を配置する工程と、
前記空気流路と連通し、前記入口部から離れて位置し、加圧された空気を前記空気流路から引き出すように作動する出口部を配置する工程と、を有する、請求項11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的にはタイヤの空気維持システムに関し、より詳細にはこのようなタイヤをベースとするシステムで使用されるヴァインポンプの組み立て方法に関する。
【背景技術】
【0002】
通常の空気の放散は、時間の経過とともにタイヤの空気圧を減少させる。タイヤの自然な状態は膨張した状態である。従って、運転手はタイヤの空気圧を維持するように繰り返し行動する必要がある。そうしないと、燃費やタイヤ寿命が低下し、車輛のブレーキやハンドリング性能も低下する。タイヤ空気圧が極端に低いときに運転手に警告を発するタイヤ空気圧の監視システムが提案されてきた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第8113254号明細書
【特許文献2】米国特許第8042586号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしこのようなシステムは、推奨空気圧までタイヤを再膨張させるように警告されたときに、運転手が空気圧の回復行動をとるかに依存したままである。従って、時間の経過とともに減少するタイヤ空気圧を運転手が介在する必要なく補償するために、タイヤを自己膨張させる自己膨張機能をタイヤに組み込むことが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様によれば、タイヤの空気ポンプの組み立て方法が提供される。この方法は、可撓性を有する細長い空気チューブの軸方向に延びる空気流路を一端で開く工程と、空気流路の公称幅より大きい公称外側幅を各々が有する複数の一方向逆止弁を、前記一端から空気流路に一つずつ挿入して、空気流路に沿って互いに離れて位置する複数の逆止弁の軸方向のアレーを形成する工程と、各逆止弁を空気流路内のそれぞれの好ましい位置に設置するために、各逆止弁と、空気流路を画定する空気チューブの内側側壁との間に、締まり嵌めによる係合を生じさせる工程と、空気チューブの内側側壁からの半径方向の圧力によって、複数の逆止弁を流路内のそれぞれの好ましい位置で保持する工程と、可撓性を有する空気チューブの前記一端を閉じる工程と、を有している。
【0006】
他の態様によれば、この方法は、複数の逆止弁の各々を空気チューブの前記一端から空気流路に挿入する前に、可撓性を有するチューブを、拡張されていない径から拡張された径に径方向に拡張する工程と、逆止弁がそれぞれの好ましい位置に設けられた後、可撓性を有する空気チューブを、複数の逆止弁の各々を覆うように直径方向に順次収縮させて拡張されていない径とする工程と、を有している。逆止弁をそれぞれの好ましい位置に設けることは、複数の逆止弁の各々を空気チューブの前記一端から空気流路に挿入する前に、逆止弁のそれぞれの好ましい位置で空気チューブを順次締め付け、拡張されていない径とする工程によって達成される。
【0007】
本発明の一態様によれば、この方法は逆止弁のアレーを含む可撓性を有する細長い空気チューブをタイヤ壁のたわみ変形する領域に配置する工程を有し、空気流路は、タイヤ壁のたわみ変形する領域が回転するタイヤのフットプリントと対向して回転するときにタイヤのたわみ変形する領域から誘起される力に反応して、隣接する逆止弁の間でセグメントごとに閉じるように作動する。これによって空気は、一連の一方向逆止弁を通って入口部から空気流路に入り、出口部へと一方向に強制的に流される。
【発明の効果】
【0008】
以上説明したように、本発明によれば上記課題を解決することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】タイヤと空気ポンピングシステムの組立体の斜視図である。
図2】180度のぜん動チューブと多数の逆止弁とが取り付けられたタイヤの側面図である。
図3】360度のぜん動チューブを備えた他の実施形態のタイヤの側面図である。
図4】2つの180度のぜん動チューブを備えた他の実施形態のタイヤの側面図である。
図5】ぜん動チューブに挿入される前の逆止弁の斜視図である。
図6】流れの「開いた」位置にある逆止弁の断面図である。
図7】流れの「閉じた」位置にある逆止弁の断面図である。
図8】膨張されたチューブにロッドによって導入されている逆止弁を示す部分断面図である。
図9】膨張されたチューブの所定位置にロッドによって取り付けられている逆止弁を示す部分断面図である。
図10】膨張されたチューブにロッドによって導入されている第2の逆止弁を示す部分断面図である。
図11A】弁及びチューブを覆って取り付けられる前の「開いた」位置にある締め付け具の斜視図である。
図11B】「閉じた」位置にある締め付け具の斜視図である。
図12】3つの弁が取り付けられ、右の弁が締め付け具によって意図された位置に保持されている、チューブの斜視図である。
図13】接ぎ木構成による他の実施形態の逆止弁の斜視図である。
図14A】接ぎ木構成の逆止弁の一端を覆う取り付け位置に進められているチューブ端部を示す断面図である。
図14B】逆止弁の他端を覆う取り付け位置に進められている第2のチューブ端部を示す断面図である。
図14C】2つのチューブが取り付けられた逆止弁を示す断面図である。
図15図14Bに示す工程の斜視図である。
図16】チューブを示す、図3の断面図である。
図17】チューブ内の逆止弁を示す、図3の断面図である。
図18】逆止弁とともに好適に使用されるぜん動チューブの構成の、他の実施形態を示す図である。
図19】逆止弁とともに好適に使用されるぜん動チューブの構成の、他の実施形態を示す図である。
図20】逆止弁とともに好適に使用されるぜん動チューブの構成の、他の実施形態を示す図である。
図21】逆止弁とともに好適に使用されるぜん動チューブの構成の、他の実施形態を示す図である。
図22】AMTヴァインポンプのセグメント圧力を、圧力と距離(km)の関係で示すグラフである。
図23】圧縮比のヴァインポンプへの影響を、チャンバ圧力と距離の関係で示すグラフである。
図24】0.15Lのチャンバを備えた6つのセグメントチューブにおけるセグメント容積の影響を示すグラフである。
図25】セグメント数のチャンバ圧力への影響を示すグラフである。
図26】6セグメントのチューブ構成において逆止弁の終端部容積の影響を示すグラフである。
図27】前方方向と後方方向でのチューブ性能の比較を示すグラフである。
図28】前方運動のヴァインセグメントへの影響を示すグラフである。
図29】後方運動のヴァイン圧力への影響を示すグラフである。
図30】前方方向と後方方向でのチャンバ圧力の比較を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書における用語の定義を以下に示す。
【0011】
タイヤの「アスペクト比」は、タイヤの断面高さ(SH)の断面幅(SW)に対する比を意味し、パーセント表示のために100倍されている。
【0012】
「非対称トレッド」は、タイヤの中央面または赤道面EPに関して対称でないトレッドパターンを備えたトレッドを意味する。
【0013】
「軸線方向の」および「軸線方向に」は、タイヤの回転軸に平行なラインまたは方向を意味する。
【0014】
「チェーファー」は、タイヤビードの外側面の周りに配置され、コードプライをリムから受ける摩耗及び切断から保護し、たわみをリムの上方に分散させる、幅の狭い材料ストリップを指す。
【0015】
「周方向の」は、軸線方向に垂直な、環状のトレッドの表面の周縁に沿って延びるラインまたは方向を意味する。
【0016】
「赤道中央面(CP)」は、タイヤの回転軸に垂直でトレッドの中心を通る平面を意味する。
【0017】
「フットプリント」は、速度零かつ通常の荷重および圧力下での、平坦な面を持った、タイヤトレッドの接触部分または接触領域を意味する。
【0018】
「溝」は、トレッド内の細長い空間領域を意味し、トレッドの周りを周方向または横方向に、直線状、曲線状またはジグザグ状に延びていてよい。周方向及び横方向に延びる溝はしばしば共通の部分を有している。「溝幅」は、溝幅の対象となる溝または溝の部分によって占められるトレッド表面積を、その溝または溝の部分の長さで割った値に等しい。つまり溝幅は溝または溝の部分の長さでの平均幅である。タイヤ内の溝の深さは変動する。溝の深さはトレッドの外周の周りで変動する場合があり、あるいは一つの溝の深さは一定であるが、そのタイヤの別の溝の深さと異なる場合もある。もしこのような幅の狭いあるいは幅の広い溝の深さが、交差する幅の広い周方向溝と比べて実質的に減少している場合、それらはそれらの含まれるトレッド領域においてリブ状の性質を維持しようとする「タイバー」を形成するとみなされる。
【0019】
「内側側面」は、タイヤがホイールに装着されホイールが車輛に搭載されたときに、車輛に最も近接するタイヤの側面を意味する。
【0020】
「横方向の」は、軸方向を意味する。
【0021】
「横方向縁部」は、通常の荷重と通常のタイヤ膨張下で測定された、赤道面と平行で、かつ、軸方向で最も外側のトレッドの接触部またはフットプリントと接する線を意味する。
【0022】
「ネット接触エリア」は、トレッドの全外周及び横方向縁部間における路面に接触するトレッド要素の総面積を、横方向縁部間の全トレッドの総面積で割った値を意味する。
【0023】
「非方向性トレッド」は、前進方向について好ましい方向がなく、トレッドパターンが好ましい走行方向と確実に揃えられるように特定の1つまたは複数のホイール位置で車輛に取り付けられる必要のないトレッドを意味する。逆にいえば、方向性トレッドパターンは、特定のホイール位置を必要とする好ましい走行方向をもっている。
【0024】
「外側側面」は、タイヤがホイールに装着されホイールが車輛に搭載されたときに、車輛から最も離れたタイヤの側面を意味する。
【0025】
「ぜん動」は、中に含まれる物質、例えば空気をチューブ経路に沿って前進させる、波状収縮による動作を意味する。
【0026】
「半径方向の」および「半径方向に」は、半径方向にタイヤの回転軸に向かい、または半径方向に回転軸から離れる向きを意味する。
【0027】
「リブ」は、トレッド上の、周方向に延びるゴムのストリップを意味し、少なくとも1つの周方向溝と、第2の周方向溝または横方向縁部のいずれかと、によって形成されている。ストリップは最大深さの溝によって横方向に分割されていない。
【0028】
「サイプ」は、トレッドの表面を分割しトラクションを改善する、タイヤのトレッド要素に形成された小溝である。サイプは一般に幅が狭く、タイヤのフットプリント内で開いたままである溝とは対照的に、タイヤのフットプリント内で閉じる。
【0029】
「トレッド要素」または「トラクション要素」は、溝に隣接する形状を有することで定義されるリブまたはブロックを意味する。
【0030】
「トレッド弧長」は、トレッドの横方向縁部間で測定されたトレッドの弧長を意味する。
【0031】
図1を参照すると、(空気維持タイヤまたは「AMT」を形成する)タイヤと空気維持ポンプの組立体10は、タイヤとヴァインポンプアセンブリ28と、を含んでいる。タイヤに使用されるぜん動ポンプの一般的な動作は、ともに2009年12月12日に出願され、それぞれ2012年2月14日と2011年10月25日に発行された特許文献1,2に記載されており、これらは参照によってその全体が本明細書に取り込まれる。タイヤはトレッド領域14と、対向するビード領域22,24からタイヤのトレッド領域14に延びる一対のサイドウォール16,18と、を備えるように構成されている。タイヤはタイヤキャビティ20を取り囲んでいる。空気維持アセンブリは、環状の流路28を取り囲む細長い空気チューブ26を含んでいる。チューブ26は弾性を有するエラストマの可撓性材料から形成されており、材料の例として、繰り返し変形サイクルに耐え得るプラスチック、ゴム合成物及びゴム複合物が挙げられる。チューブは外力を受けて扁平な状態に変形し、その力が解除されると、全体として円形断面の元の状態に戻る。チューブは、キャビティ20内の空気圧を維持する目的に対して十分な空気量を通すように作動するよう、十分な直径を有している。図1の構成では、チューブ26は180度の半円の経路に従うように示されている。しかし、本発明から逸脱しない範囲で、以下に記載されるように他の構成を利用することもできる。
【0032】
空気維持のためのヴァインポンプアセンブリはさらに、入口装置30と出口装置32とを有している。これらの装置は、空気チューブ26の互いに反対側に位置するそれぞれの端部位置に、約180度離れて設けられている。出口装置32はT字形の構成を有しており、T字を構成するスリーブがチューブ26の端部に接続し、出口導管が空気をチューブからタイヤキャビティ20に導く。入口装置30は同様にT字形の構成を有し、チューブ28の反対側の端部に接続しており、外部の空気をチューブ流路28に取り込む入口導管を有している。出口装置と入口装置の詳細は、これまでに認識され本出願に取り込まれる係属中の出願に述べられている。チューブ26への空気の取り込みとチューブからキャビティ20への空気の放出とを制御する市販の適切な弁機構が、入口装置と出口装置の中に位置している。
【0033】
図2から理解されるように、空気チューブ26と、入口装置30と、出口装置32は一方のタイヤサイドウォールに適切な相補的形状で構成されたチャネルに位置している。タイヤが図示の方向に回転すると、地表面(図示せず)に対向してフットプリント(接地部)が形成される。これによって圧縮力がフットプリントからタイヤへ向かい、空気チューブ26と流路28の一つのセグメントを平坦化するように作用する。タイヤがさらに回転すると、空気チューブと流路は順次平坦化され、図示されている方向72に空気を押し出す。チューブがセグメントごとに平坦化されることで、加圧空気が出口からタイヤキャビティ内に向けられるまで、空気が入口からチューブ流路28に沿って押し出される。タイヤキャビティの圧力が推奨空気圧以上になると、出口における適切な弁機構が空気抜き(ベント)を行う。空気のポンピングは、図示の180度の空気チューブ構成の場合、タイヤが半回転する間行われる。
【0034】
図3は、他の構成として360度の空気チューブを示している。この空気チューブは、タイヤが360度の全周を回転する間空気が空気チューブに沿って方向72に押し出される点を除き、上述のように作動する、図4は他の構成として、2つの180度のぜん動チューブを備えたタイヤを示している。図4の構成では、ポンプは両矢印で示されるタイヤ回転方向のいずれの方向にも機能する。2つの空気チューブはそれぞれ、各々の回転方向で空気をタイヤキャビティに押し入れるように作動する。
【0035】
図5,6,7を参照すると、本発明によれば複数の逆止弁34が、ヴァインチューブ26の流路28に組み込まれるために設けられている。逆止弁34は任意の適切な剛または半剛の材料から形成された円筒形の弁本体36を含んでいる。弁本体36は丸められた前端リム38を有している。外側を向いた保持リブまたは保持フランジ40のアレーが、弁本体36の表面に沿って、互いに間隔をおいて設けられている。各保持リブは弁体の後方を向いている。可撓性を有し適切なエラストマ組成からなる膜部材42が、円筒形の弁本体36の中央貫通路に組み込まれている。膜部材42は、内側に曲げられた弁本体36の端部フランジ45,47によって弁本体36内に捕捉された円筒形の膜体を含んでいる。膜挿入体42はさらに、スリット48が貫通する中央の突出しノーズ46を含んでいる。ノーズ46は、加圧空気が前方方向50(図6)に流れることができるゲートを構成する。しかしこのゲートは、空気が逆止弁を通って後方方向(図7)へ逆流することを防止する。
【0036】
図8,9,10は組み立て手順を示しており、多数の逆止弁34がエラストマの可撓性チューブ26の軸方向に延びる流路28に挿入されることができる。多数の逆止弁34は、加圧空気の入口30から出口32への前方方向の流れを容易に生じさせるが加圧空気の反対方向への逆流を防止する向きで、チューブ26内の互いに離れたそれぞれの位置を占めるようにされている。図8からわかるように、加圧空気54をチューブ流路28に注入するように加圧空気源52が設けられており、これにより、流路28の径が一時的に大きくなるように、チューブを方向56に径方向に拡張する。ストッパ57がチューブの前端に挿入されており、空気流54の流出を防止している。流路28の逆止弁34が位置すべき個所には、締め付け環体58がチューブ26を覆うように取り付けられており、径方向の力60をチューブに及ぼしている。それによって、チューブがその位置で拡張されることが防止される。その後膜ゲートがチューブの出口端部を向いて開いた状態で、逆止弁34がチューブの開放端部に挿入される。ロッド62は、逆止弁が図9に示す流路28内の意図された位置に達するまで、拡張されたチューブを通って逆止弁を押す。
【0037】
次に、締め付け環体58は取り除かれ、チューブ26の軸方向長さの下流側の第2の逆止弁が位置すべき場所に再配置されることができる。第2の逆止弁66はチューブの開放端部に位置しており、ロッド62によって押されて、直径方向に拡張されたチューブを通って、チューブ流路28内の第2の逆止弁66の意図された位置に到達する。図10は、ロッド62によって第2の逆止弁66が挿入されるところを示している。すべての逆止弁がチューブ28内に配置されるまで、上述の手順が繰り返される。加圧空気流54がチューブ流路に供給されなくなると、チューブ26は元の拡張されていない状態に、半径方向に弾性的に収縮する。半径方向に弾性的に収縮したチューブ26は、配置された各逆止弁34を捕捉し、半径方向の圧縮力を逆止弁本体36に及ぼし、逆止弁を流路28内の意図された位置に保持する。チューブが半径方向に収縮することで、各逆止弁34の円筒形の弁本体の側面にある保持フランジまたは保持バーブ40は、流路28を規定するチューブの側壁に係合し、こうして逆止弁へのチューブの径方向締め付け力と協働して、逆止弁34を意図された配置位置に保持するように機能する。図12は、チューブが径の拡張されていない元の状態にあり、各弁本体36の保持フランジ40が流路28を形成するチューブの側壁に係合した状態における、チューブ流路に組み込まれた逆止弁34を示している。
【0038】
図11A,11Bを参照すると、それぞれが円筒形の環体の形状の多数の第2の保持締め付け具68を、逆止弁34が設けられているチューブ26に沿ったそれぞれの位置を覆うように配置することができる。締め付け具68はプラスチックまたは金属などの可撓性を有する材料で形成されている。締め付け具68は、各締め付け具を通ってチューブ26を容易に受け入れるように開く。次に締め付け具68は円形の形状に閉じられ、互いに重なり合うロックフランジ70が互いに対して係合し、各締め付け具68を、チューブ26を覆う閉じた円形形状に保持する。締め付け具68の開口は通常はチューブの径寸法よりも小さく、それによって、閉じた位置にある締め付け具68は、逆止弁を覆うように、チューブを径方向内側に押しつける。
【0039】
図12は、チューブ26に沿って各逆止弁の位置を覆うように設けられた締め付け具68の配置を示している。チューブ26の径方向を向いた弾性力は、各逆止弁の保持フランジ40のチューブの内面との係合及び締め付け具68と組み合わされ、各逆止弁をチューブ流路28内の意図された位置に保持するための冗長的な手段を提供する。従って、ポンプ組立体の作動中における逆止弁の開閉は、いずれの逆止弁をもチューブ流路内の位置からずらすようには働かない。
【0040】
図13を参照すると、接ぎ木構成の別の構成の逆止弁76が示されている。逆止弁76は相対的により細長い円筒形の弁本体78を有している。保持フランジまたは保持バーブの第1及び第2のアレーが設けられており、第1のアレー80は本体78に沿った前方位置に、第2のアレー82は後方位置にある。図14A,14B,14Cからわかるように、弁本体78は上述したように作動するようにされた中央の膜挿入体を有している。細長い本体78は2つのチューブセグメント84,88を接続する目的で使用される。各チューブ84,88の端部86は本体78のそれぞれの端部を覆うように取り付けられる(図14A,14B,15)。一方、バーブのアレー80,82は図14C,15に示すようにチューブの端部86の内側側壁に係合する。
【0041】
図1,3,16,17を参照すると、逆止弁34のチューブ流路28への組み込みが完了すると、チューブ26は、これと相補的な形状でタイヤのサイドウォール16に形成されたチャネルに挿入される。図16,17に示すビード領域22の上部に位置する下部サイドウォール領域は、上述のチューブによるセグメントごとのポンピング動作を可能とするように十分にたわむ。望ましい場合、本発明から逸脱しない範囲で、タイヤのサイドウォールのより高い位置をヴァインポンプチューブ26の位置として用いることができる。望ましい場合、タイヤのサイドウォールの片方または両方が空気ポンプチューブを含んでいてもよく、システムは180度、360度、または2つの180度のチューブ構成のいずれで構成されてもよい。
【0042】
図1に示すチューブは全体として円形断面であるが、他のチューブ断面構成も用いることができる。図18は、円形の貫通流路92を有する円形チューブ26を断面で示している。図19は、楕円形の空気流路94を有するように修正された円形チューブ26を示している。図20は、互いに隣接するキャップ98とプラグ102のチューブ要素を有するマッシュルーム形状のチューブ96を示している。チューブは、キャップがサイドウォールの外側面に当接するように、サイドウォールの溝に嵌められる。楕円形の空気流路100がチューブを通って延びている。図21は、円形の空気流路を備えたマッシュルーム形状のチューブを示している。(符号34のような)逆止弁は、逆止弁が位置する空気流路の形状と相補的な外形及び構成を有することが理解されよう。同様に、(符号68のような)締め付け機構は、半径方向の締め付け力を逆止弁に及ぼすため、チューブ形状を覆って嵌められるように構成されることになる。
【0043】
図22は、多数のセグメントを備えたAMTヴァインポンプのチャート及び、絶対圧力(psia)とタイヤ走行距離(km)のグラフを示す。図22は、互いに隣接するセグメントが逆止弁で分離された一連のチューブセグメントにチューブが空気を押し入れるときのセグメント圧力の増幅を示している。チューブセグメント間の逆止弁は空気の入口と空気の出口の間で前方方向のときのみ開き、チューブ内の空気を反対方向に逆流させることはない。隣接するセグメントが逆止弁で分離されるように一連のセグメントを一続きにすることで、ヴァインタイプのシステムが構成されている。タイヤに取り付けられたチューブが回転するタイヤのフットプリントを通り抜ける際、互いに隣接するセグメントは順次空気をセグメントからセグメントへと送る。逆止弁は空気の逆流を防ぎ、ヴァイン/チューブシステムのポンピング効率を高めるように作動する。従って、ヴァイン/チューブの容積の大きさは、規定の圧力でタイヤを維持するのに要する空気の必要ポンピング容積の実現が阻害されない範囲でできるだけ小さくてよい。こうして、逆止弁とヴァインセグメントの構成は、出口部における空気圧のレベルを、同一チューブ長さ、単一セグメント、逆止弁なしの場合に得られるであろう値より向上させるのに役立つ。
【0044】
図23は、6つのセグメントの組立体を0.15Lのチャンバに組み込んだヴァインポンプの圧縮比の影響をケーススタディしたグラフを示している。圧縮比R=1.50,1.35,1.324,1.291,1.267,1.20の場合がグラフに示されている。走行距離(km)が増えるに従いチャンバ圧力は増加し、R=1.50のときに最大の増加量を示している。
【0045】
図24は、セグメント容積がヴァインポンプに及ぼす影響をケーススタディしたグラフを示している。ヴァインポンプは、加圧空気を容積0.15Lのチャンバに供給する6つのセグメントの組立体を用いている。グラフには57.5,114,172.5,230立方mmのセグメント容積の場合が示されている。チャンバ圧力と走行距離(km)の関係は、チャンバ圧力が距離とともに増加すること、及びセグメント容積が大きいと圧力レベルが高まることを示している。
【0046】
図25は、セグメント数の影響に関するケーススタディを示している。試験されたセグメント数は、ヴァインポンプのセグメント数が10,7,6,5,4個の場合である。各セグメントは図25に示す径Rを有している。チャンバ圧力が走行距離に対して示されてる。グラフはヴァインポンプで利用されるセグメント数が多いほど、チャンバ圧力が高くなることを示している。しかし、10,7,6個に対するグラフは比較的揃っており、ある数を超えてセグメント数を増やしても高い効果が得られないことを示している。
【0047】
図26は、ケーススタディ(6セグメント、チャンバ容積0.15L)における、セグメント径の変化に起因する逆止弁の終端部容積(dead-end volume)の影響をグラフに示している。チャンバ圧力と走行距離の関係を示す線は、終端部容積が5立方mmのとき、セグメント径R=1.575で最大のチャンバ圧力となることを示している。
【0048】
図27は、制御されたケーススタディのパラメータのもとで、タイヤ回転方向が前方方向の場合と後方方向の場合とを比較したグラフを示している。チャンバ圧力と走行距離の関係が、前方方向回転時のセグメント6の圧力、前方方向回転時のチャンバ圧力、後方方向回転時のセグメント6の圧力、及び後方方向回転時のチャンバ圧力について、グラフに示されている。グラフは、前方方向及び後方方向の両者でヴァインポンプの性能が同等であることを示している。
【0049】
図28は、ヴァインセグメントに対する前方運動の影響として、6つのセグメントの各々の絶対圧力と走行距離の関係をグラフに示している。これよりわかるとおり、圧力はセグメント1からセグメント6に向けて増加しており、最大の絶対圧力がセグメント6で生じている。
【0050】
以上の実験的検証から、本発明の主題であるタイヤのヴァインポンプ組立体が、単一のセグメント化されていないぜん動チューブシステムに対し大きな効果を実現することが理解されよう。ヴァインの概念は一つのチューブとチューブ内の多数の逆止弁を利用しており、チューブは逆止弁によって直列のチューブセグメントに分割されている。逆止弁は一方向の逆止弁を通る一方向の空気流を作り、各々がヴァインポンプの出口ポートに向けて開くように向きが揃えられている。標準的な可撓性のあるチューブが利用できる。逆止弁設置の方法は、以下の工程、
A.チューブの一端を開くこと
B.チューブの周りの逆止弁が取り付けられる位置に締め付け固定具を配置すること(任意の工程)
C.逆止弁を、締め付け固定具によって所定の位置に据え付けられるまで、チューブ内を落下させ、またはチューブ内に押し入れること
D.締め付け固定具を、チューブに沿って、第2の逆止弁が取り付けられる第2の位置に動かすこと
E.第2の逆止弁を、チューブ流路内の意図された位置まで、チューブ内を落下させ、またはチューブ内に押し入れること
F.工程B〜Eを全ての逆止弁が取り付けられるまで繰り返すこと
G.逆止弁をその位置に保持するため、各逆止弁の位置におけるチューブの周りに締め付け環体を取り付けること(任意の工程)。逆止弁はチューブ経路に関し大きな寸法にされてもよく、チューブ流路を規定する側壁に係合する1以上の保持フランジを含んでいてもよい
を意図している。
【0051】
上述の方法をさらに修正し、逆止弁を受け入れるように流路を拡張するため、強制的な空気注入によって空気流路を径方向に拡大する工程を含めることができる。
【0052】
本発明の主題のヴァインシステムは、挿入された逆止弁によってセグメントに分割される単一の一体のチューブ長さ、または逆止弁本体によって互いに結合された多数の不連続なチューブセグメントを利用することができる。その結果、本発明のシステムは空気流の向きを制御し、逆流による空気の損失を減じる。ヴァインポンプは適切な圧力を形成するために、タイヤサイドウォールの比較的小さな変形を必要とする。このため、ヴァインシステムは比較的寛容的であり、タイヤまたはヴァインチューブの溝のばらつき、あるいはノンユニフォーミティを受け入れることができる。ヴァインシステムはさらに、リムのばらつきを受け入れる能力がある。こうして、増幅効果によって最終のセグメントに高い圧縮比が生じる多セグメントチューブシステムを利用することで、より高い効率が得られる。終端部容積に関するあらゆる問題も軽減される。
【符号の説明】
【0053】
16,18 サイドウォール
20 キャビティ
26 空気チューブ、ヴァインチューブ
28 空気流路、チューブ流路
34 逆止弁
36 弁本体
40 保持フランジ、保持バーブ
58 締め付け環体
66 第2の逆止弁
68 第2の保持締め付け具
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11A
図11B
図12
図13
図14A
図14B
図14C
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30