(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6265440
(24)【登録日】2018年1月5日
(45)【発行日】2018年1月24日
(54)【発明の名称】パックシート包装体
(51)【国際特許分類】
B65D 83/08 20060101AFI20180115BHJP
B65D 75/58 20060101ALI20180115BHJP
B65B 25/14 20060101ALI20180115BHJP
【FI】
B65D83/08 G
B65D75/58
B65B25/14 Z
【請求項の数】8
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-501426(P2015-501426)
(86)(22)【出願日】2014年2月14日
(86)【国際出願番号】JP2014053440
(87)【国際公開番号】WO2014129394
(87)【国際公開日】20140828
【審査請求日】2017年1月31日
(31)【優先権主張番号】特願2013-30399(P2013-30399)
(32)【優先日】2013年2月19日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】591254958
【氏名又は名称】株式会社タイキ
(74)【代理人】
【識別番号】100122954
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷部 善太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162396
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 泰之
(72)【発明者】
【氏名】石原 敏生
【審査官】
谷川 啓亮
(56)【参考文献】
【文献】
特開平01−267182(JP,A)
【文献】
国際公開第2012/105400(WO,A1)
【文献】
特開2009−078828(JP,A)
【文献】
特開2010−285176(JP,A)
【文献】
特開平09−142550(JP,A)
【文献】
特開2010−042846(JP,A)
【文献】
登録実用新案第3080704(JP,U)
【文献】
特開2011−26001(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2004/0230168(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 83/00 − 83/76
B65D 67/00 − 79/02
B65D 81/18 − 81/30
B65D 81/38
B65B 25/00 − 25/24
A61K 8/00 − 8/99
A45D 8/00 − 8/40
A45D 24/00 − 31/00
A45D 42/00 − 97/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬液が湿潤され、Z折りにした全顔形状のパックシートを積み重ねて載置した、底に穴が設けられた穴あきトレーを、表面側にフィルムの端部同士をシールしてなる合掌部が設けられたピロー包装袋内に、該底が合掌部とは反対側に位置するように収納してなり、前記全顔形状のパックシートはトレーの底に垂直な方向に積層されており、
穴あきトレーの穴を上面にしてパックシート包装体を置いたとき、該Z折りにしたパックシートは上のパックシートの下面の端部が下のパックシートの上面の端部の上に位置するように積み重ねられるパックシート包装体。
【請求項2】
該穴は、予め開けられた穴を液不透過性シートにて封止してなり、該液不透過性シートを取り除くことにより開けられるものである請求項1に記載のパックシート包装体。
【請求項3】
穴あきトレーの穴を上面にしてパックシート包装体を置いたとき、該Z折りにしたパックシートの上面の端部は折り畳まれたパックシートの中央部に位置する請求項1又は2に記載のパックシート包装体。
【請求項4】
穴あきトレーに設けられた穴に接するピロー包装袋のフィルムには、取り出し時にあけることができる窓部が形成されている請求項1〜3のいずれかに記載のパックシート包装体。
【請求項5】
穴あきトレーに設けられた穴に接するピロー包装袋のフィルムには、予め窓部を形成できるように薄肉部にて窓部の輪郭が形成されてなり、該薄肉部に沿って外力により該窓部の輪郭部分を引き裂くことができるような窓部が形成されている請求項4に記載のパックシート包装体。
【請求項6】
該窓部が、窓部の縁に嵌合して気密に封止可能な蓋部材を備えた窓部である請求項4に記載のパックシート包装体。
【請求項7】
パックシートを載置した穴あきトレーと反転した別のトレーとが組み合わされてなる請求項1〜6のいずれかに記載のパックシート包装体。
【請求項8】
請求項7に記載のパックシート包装体の製造方法であって、
別のトレーにパックシートを載置し、
該パックシートに薬液を供給・含浸させ、
底面に液不透過性シートにより塞がれた穴を有する穴あきトレーを、該パックシートに被せるように該別のトレー上に置き、
該穴あきトレーと該パックシートと該別のトレーを一体として反転させ、又はさせないで、ピロー包装袋内に収納しピロー包装袋の開口部を封止するパックシート包装体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液状化粧料や薬液等を含浸させたパックシートを収納したパックシート包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
ウェットシート等のシート状物を包装するために、例えば化粧料や薬剤等をウェットシートに含浸させて、さらにそのウェットシートを個別包装し、使用時にはその包装を開封して内部のウェットシートを取り出せるようにすることが知られている。このようなウェットシートを使用するに際しては、複数の個別包装されたウェットシートを1つの袋に詰め、使用時には該袋から1個ずつ取り出し、個別包装を開封して使用していたが、このようなウェットシートは個別包装により細菌の繁殖や汚れの付着を防止できるものの、使用時に1枚ずつその包装を開封する必要があり使用性に優れないものであった。
さらに、ウェットティッシュや体拭きシートのような比較的大きな面積の複数のウェットシートをポップアップ可能となるように折り畳んで積み重ね、プラスチック製容器に収納したり、ピロー包装袋に包装したりするウェットシート類が多用されている。ティッシュペーパーのように箱や袋に入れて、箱上面の開口部や袋の一面の開口部より順次引き出して使用することも行われている。ウェットシートを開口部から順次取り出せるようにするためには特殊な折り方が必要となり、製造工程を複雑なものとしていた。
【0003】
一方、小面積のウェットシート類(例えば、ポイントケア用のパッド類、ポイントマスク類)については、一枚ごとに個包装し、重層して密閉可能な容器内に収納する技術も多用されている。
この複数の小面積のウェットシートを積み重ねて箱や袋に入れる例としては、特許文献1に記載されているように、化粧料を含浸させたパッドを重ねて容器に収納し、その上部開口部より順にパッドを取り出して使用するようにした例や、特許文献2に記載されているように、化粧料を含浸させたパッドを重ねて入れてなる容器であって、各パッドが一部を重ねた状態で積層されてなり、その重ね合わせ部において容器上部の蓋付き開口部より取り出すようにした例が知られている。
【0004】
特許文献3には、1枚のプラスチックシートを折り曲げて、2枚の外壁と2枚の内壁とから成る断面略W字状の成形物とすると共に、外壁の上部の一部を切り欠いて取出し口としたことを特徴とするフレキシブル材料取出用容器が記載されているが、その容器は密閉性が無く、切り欠いて形成した取出し口を密閉する手段もない。
【0005】
上記特許文献1及び2に記載されているような、個別包装されていないパッドを容器内に重ね合わせて収納し、これを上部の取出し口より1枚ずつ取り出し使用する手段は、パッドの折り方に起因して、一旦容器から取り出したパットを両手により拡げた後に使用するものである。
さらに、特許文献1に記載の技術によると、ウェットシート同士が付着しやすいために一枚ずつ分離して取り出すには、操作性が必ずしも十分ではなかった。これを解消するべく、特許文献2では、隣接するシートの位置を互いにずらしながら積層する方法が提案されたが、シート元来の面積に比べ大きな容器が必要となり、コスト的、及び廃棄物量低減の観点で好ましいものではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第5046640号公報
【特許文献2】米国特許第7007801号公報
【特許文献3】実開昭63−199944号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記したように、従来のウェットシートやパックシート等のシート(以下「パックシート」という。)を袋に個別収納した場合には、パックシートを袋から取り出す操作性は満足できるものではなく、該シートを摘む指先だけではなく、他の指や手の平及び甲までも袋の中に指を入れる際に化粧料等によって汚されることになる。このため、袋からパックシートを取り出す際にパックシートを摘む指先以外は可能な限り汚れないようにすることを本発明の課題とする。
加えて、袋から取り出したパックシートを拡げて使用するために、折り畳まれたパックシートを拡げる操作を簡単かつ確実に行うことで、さらに指が汚れたりパックシートが破れたりしわができたりすることなく、取り出したパックシートを速やかに、また顔面等に確実に貼ることができるようにすることも本発明の課題である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、パックシートを収納する特定の包装体を採用することにより上記の課題を解決するものであり、具体的には以下の手段を採用する。
1.薬液が湿潤され、Z折りにしたパックシートを積み重ねて載置した、底に穴が設けられた穴あきトレーを、表面側にフィルムの端部同士をシールしてなる合掌部が設けられたピロー包装袋内に、該底が合掌部とは反対側に位置するように収納してなるパックシート包装体。
2.該穴は、予め開けられた穴を液不透過性シートにて封止してなり、該液不透過性シートを取り除くことにより開けられるものである1に記載のパックシート包装体。
3.穴あきトレーの穴を上面にしてパックシート包装体を置いたとき、該Z折りにしたパックシートは上のパックシートの下面の端部が下のパックシートの上面の端部の上に位置するように積み重ねられる1又は2のいずれかに記載のパックシート包装体。
4.穴あきトレーの穴を上面にしてパックシート包装体を置いたとき、該Z折りにしたパックシートの上面の端部は折り畳まれたパックシートの中央部に位置する1〜3のいずれかに記載のパックシート包装体。
5.穴あきトレーに設けられた穴に接するピロー包装袋のフィルムには、取り出し時にあけることができる窓部が形成されている1〜4のいずれかに記載のパックシート包装体。
6.穴あきトレーに設けられた穴に接するピロー包装袋のフィルムには、予め窓部を形成できるように薄肉部にて窓部の輪郭が形成されてなり、該薄肉部に沿って外力により該窓部の輪郭部分を引き裂くことができるような窓部が形成されている5に記載のパックシート包装体。
7.該窓部が、窓部の縁に嵌合して気密に封止可能な蓋部材を備えた窓部である5に記載のパックシート包装体。
8.パックシートを載置した穴あきトレーと反転した別のトレーとが組み合わされている1〜7のいずれかに記載のパックシート包装体。
9.8のパックシート包装体の製造方法であって、
別のトレーにパックシートを載置し、
該パックシートに薬液を供給・含浸させ、
底面に液不透過性シートにより塞がれた穴を有する穴あきトレーを、該パックシートに被せるように該別のトレー上に置き、
該穴あきトレーと該パックシートと該別のトレーを一体として反転させ、又はさせないで、ピロー包装袋内に収納しピロー包装袋の開口部を封止するパックシート包装体の製造方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明のパックシートが収納されてなる包装体は、使用前の保存時に内蔵する化粧料等の薬液が含浸されたパックシートの乾燥や変質を防止しながら、包装されてなるものであり、使用時において、該包装体を特定の手段により開封できるようにすることにより、過度に指や手を汚すことなく該包装体からパックシートを簡単に取り出すことができ、さらに取り出されたパックシートを過度に指を汚さないようにして簡単・確実に展開することができる。
また、パックシートを穴あきトレーに載置してピロー包装袋に収納したので、使用時に該穴あきトレーによりパックシート包装体の、パックシート取り出し口の形状が変形せず、取り出しが容易となる。加えてパックシートを載置した穴あきトレーと反転した別のトレーとが組み合わされてなるパックシート包装体の場合には、パックシート包装体の形状も組み合わされた2つのトレー同士からなる形状を反映するので、保管時・運搬時等の取り扱い性、使用時にパックシートを手で保持するときの保持性に優れることになる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】別のトレーにパックシートを載置し薬液を供給する工程の一例を示す図
【
図3】穴あきトレーにパックシートを載置し薬液を供給する工程の一例を示す図
【
図4】パックシートを取り出す前のパックシート包装体の図
【
図6】パックシート包装体からパックシートを取り出す態様の図
【
図7】パックシート包装体からパックシートを取り出す態様の図
【
図8】パックシート包装体からパックシートを取り出す態様の図
【符号の説明】
【0011】
1;パックシート
2;パックシート包装体
3;窓部
4;穴
5;端部
6;窓部の輪郭
7;蓋部材
T1:穴あきトレー
T2:別のトレー
L:薬液
S:液不透過性シート
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、底面に穴が設けられてなる穴あきトレーに折り畳まれたパックシートが載置されてなり、さらに表面側に合掌部を設けてなるピロー包装袋内に穴あきトレーが収納されてなる包装体であって、要すれば、穴あきトレーに設けられた穴に接する、ピロー包装袋の合掌部形成側でない面に設けられた取り出し時にあけることができる窓部が形成されているパックシート包装体である。
【0013】
本発明を図に基づき説明する。
図1a及びbに本発明のパックシート包装体に収納される穴あきトレーに載置されるパックシート1を示す。
図1a及びbに示すパックシート1はZ折りされるものである。たとえば、鼻部の下を横に伸びる細線を谷折りし、目部の上を横に伸びる破線を山折りにすることにより目的とされるZ折りが形成される。
もちろん、パックシート1の折り方は
図1a及びbに示す折り方に限定されず、Z折りされるのであればほかの折り方でも良く、パックシート1の形状も
図1a及びbの形状に限定されない。後ほど説明するように、取り出したパックシート1を展開しやすい折り方であれば特に限定されない。
このZ折りされたパックシート1は、必要に応じて、底部に開けられた穴を予め液不透過性シートにて封止された穴あきトレーや、予め穴を形成できるように底部に薄肉部にて穴の輪郭が形成されて、該薄肉部に沿って外力により該穴の輪郭部分を引き裂くことにより開けられる穴あきトレー内に積み重ねるようにして収納される。
【0014】
また、
図1a及びbに例示するような形状のパックシートではなく、さらにその他の用途や顔の一部に使用されるパックシートであってもよく、本発明のパックシート包装体に収納するパックシートは全顔用のパックシートに限定されるものではない。
パックシートを構成する材料に関しても特に限定されるものではなく、折り曲げることが可能な程度の柔軟性を有し、折り端部を引っ張ることにより破れる等の破損を生じないことが必要である。
【0015】
そのようなパックシートの材料は、紙、樹脂シート、金属シート、有機化合物又は無機化合物からなる織布、不織布等の折り曲げることができるパックシートを構成するものであれば特に限定されない。
本発明において包装体に収納されるパックシートの基材としては、吸液性シートを基本素材とし、ニット、織物、不織布のような繊維シート類、紙又は発泡体等を使用できる。発泡体シートの中では、ポリウレタン発泡体、NBR発泡体等の吸液性や保液性に優れたスポンジシートも使用可能であるが、経済性、皮膚安全性からすれば、木綿、コットン、パルプ、レーヨンのような天然系繊維を主材とする繊維シートが好ましい。またその製造方法としては編み機や樹脂成形機、各種不織布形成法などを用いる公知の方法を用いることができる。
【0016】
他に、繊維シートや発泡体シートと樹脂フィルムとのラミネートシートのような積層体を使用することもできる。薄い合成樹脂フィルムを片側に積層したシートを基材とすると、ウェット状態であっても、フィルムの撥水性により分離性をさらに向上できるので好ましい。
【0017】
本発明におけるパックシートの形状は、例えば円形、楕円形、勾玉形、多角形等任意の形状のものでよく、折り畳まれたパックシートの方が、指で摘んで引き上げた際に自然と折り畳み部が拡がり、展開させることができるので好ましいが、必ずしも折り畳まれていなくてもよい。
【0018】
パックシートは含浸される薬液が化粧料等であり、水、化粧水、洗浄剤等、特に限定されるものではなく、シート材料及びピロー包装袋を腐食しないものによって含浸されてパックシートとされているものが良い。
本発明において、パックシートを収納する際に、含浸又は付着させる薬液としては、公知の任意のものを使用することが可能である。性状としては、液状、ペースト状、クリーム状、ジェル状のいずれも使用可能であり、例えば基礎化粧品としての洗顔科、化粧水、乳液等や、メーキャップ化粧品としてのファンデーション、頬紅類、芳香化粧品、美白剤、抗酸化剤、しわ防止剤、保湿剤、日焼け止め剤、除毛剤、抗菌剤、殺菌剤、ニキビ治療剤など任意の各種化粧料、薬剤、界面活性剤等を対象とする。本発明で好ましく使用できる化粧料や薬剤、洗浄剤等の薬液の剤型は、種々の粘度の液状物、ないしクリーム、ジェルのような半液状物である。
【0019】
化粧料及び薬剤、洗浄剤の保持量は、パックシート基材重量の30〜800重量%が好ましい範囲であり30〜500重量%の範囲でもよい。化粧料及び薬剤、洗浄剤が液状の場合、30重量%以下の使用量では、塗布量が少なく化粧料等の効率的な塗布効果が得られず、800重量%を超える使用量ではパックシートの保液能力以上となって、過剰の塗布液が垂れて格納具底部に溜まりやすくなる。
【0020】
また、ピロー包装袋の材料のフィルムとしては、ピロー包装袋とすることができ、かつ湿潤したパックシートを気密に収納することが可能な公知の材料を採用することができる。その材料としては、複数の樹脂層からなる積層フィルム、アルミニウム等の金属層を有する積層フィルム等が挙げられる。
【0021】
このようなZ折りにされてなるパックシートを穴あきトレーに載置したのち、化粧水等の薬液を穴あきトレー内に入れてパックシートに含浸させるとともに、穴あきトレーごと表面側にフィルムの端部同士をシールしてなる合掌部が設けられたピロー包装袋内に、該底が合掌部とは反対側に位置するように収納し、ピロー包装袋の開口部を熱融着等の公知の手段によって密封して、本発明のパックシート包装体を得ることができる。
【0022】
図2(a)は、本発明のパックシート包装体において、ピロー包装袋内に収納する前の別のトレーT2にパックシートを載置する段階を示す。別のトレーT2の底面には穴4が設けられておらず、Z折りされてなる複数のパックシート1を別のトレーT2に載置し、次いで、その上方から化粧水等の薬液Lを別のトレーT2内に供給することにより、別のトレーT2内のパックシートに薬液を含浸させる。別のトレーT2にパックシートを載置する前に予め薬液Lを別のトレーT2内に供給することも可能である。
【0023】
次いで、
図2(b)に示すように、別のトレーT2の上方開口部に蓋をするようにして、穴あきトレーT1を被せる。この穴あきトレーT1にはその底面に穴4が形成されている。穴あきトレーT1は別のトレーT2に対して、単に被せた状態としても良く、また接着や溶着等別のトレーT2に対して穴あきトレーT1を固定させる手段を採用することもできる。
ここで、液不透過性シートSによって穴あきトレーT1の穴4を塞ぐ。このように穴4を塞ぐことにより、保管時、流通時においてパックシート包装体が回転・反転した場合において、トレー外のピロー包装袋内に薬液が漏れることを防止する。
【0024】
その後、別のトレーT2と穴あきトレーT1及び載置されたパックシート1は、
図2(c)に示すように上下を反転し、ピロー包装袋内に収納される。
得られたピロー包装体はパックシート包装体として、穴あきトレーT1に載置されたパックシート1は、反転した別のトレーT2により覆われている構造を有することになる。
【0025】
もちろん、上記
図2のように別のトレーT2を用いて収納する方法の他に、別のトレーT2を採用しない方法としても良い。例えば
図3に示すように、穴あきトレーT1の底面に穴4を形成しておき、その穴4を液不透過性シートSにて塞いでおく。このとき液不透過性シートSは穴あきトレーT1の穴4の内側にて塞ぐように使用される。そのような穴あきトレーT1にZ折りされてなる複数のパックシート1を載置し、次いで、その上方から薬液Lを穴あきトレーT1内に供給することにより、穴あきトレーT1内のパックシート1に薬液を含浸させる。穴あきトレーT1内にパックシート1を収納する前に予め薬液Lを穴あきトレーT1内に供給することも可能である。その後、穴あきトレーT1及び載置されたパックシート1は、ピロー包装袋内に収納される。
なお、
図2及び3にて使用した穴あきトレーや別のトレーは、それ自体が形状を保持でき、かつ薬液が浸透しない樹脂や金属等の材料、及び構造を有することが必要である。それによりパックシート包装体としたときに、その包装体全体として、保管時、運搬時、使用時における十分な強度を備えることができる。
【0026】
このようにして得られた本発明のパックシート包装体は、例えば
図4以降に示すようにして使用される。
図4は、パックシート包装体2において、ピロー包装袋の合掌部とは反対の面に設けた窓部3が設けられ、かつその窓部3が指等により開けられ、かつ穴あきトレーの底部に設けられた穴4も、それを封止していたシート等が除去されて開口された状態を示す。
図5はZ折りされてなるパックシート1の断面図である。このZ折りされてなるパックシート1において、その端部5が上に位置するようにパックシート包装体に収納されることよって、最上層のZ折りされたパックシートの端部5は、穴あきトレーの底に設けられた穴4から確認できる位置にある。
さらに
図5において5aとして示す端部は、上記端部5をさらにもう一回折り曲げてなる端部である。その目的とするところは、パックシート包装体2から収納されているパックシート1を指で摘んで1枚だけ取り出す際に、指にて摘む箇所をより明確にすると共に、更に折り曲げてなる小片部分が指先に引っかかり、パックシート1を摘むきっかけとなる。そのような5aで示す端部とすることにより、本発明において、パックシート1の取り出しやすさをさらに向上させることができる。
なお、端部5や5aを着色することにより、目視にて端部を明確に確認することも可能である。
【0027】
図6は、そのパックシート1の端部5を指で摘まんでいる状態を示しており、穴あきトレー底部の穴と少なくともピロー包装袋に設けた窓部は、パックシートの該端部を指で摘まむことができる程度の大きさを必要とする。
図6においては、両手の計4本の指によりパックシートを摘まんでいるが、この例に限定されることなく、例えば片手の2本の指によりパックシートの端部5を摘まむようにしてもよい。
【0028】
図7は指で摘まんだパックシート1をパックシート包装体から摘まみあげる段階を示している。この時にZ折りされたパックシート1は上方に引き上げられるにつれて展開されて拡げられる。
【0029】
図8は、パックシート包装体から引き上げられたパックシート1を示しており、十分に引き上げられた状態において、パックシート1も確実に展開されて拡げられる。
このようにして引き上げられたパックシート1は片手又は両手にて、通常のパックシートと同様の顔面を覆うものであり、パックシート包装体からパックシートを1枚のみ取り出して、確実に顔面に対して使用することとなり、パックシート包装体から1枚だけを取り出すつもりが、間違えて2枚以上取り出してしまうことがない。
また、必要以上に指を使用しなくても取り出すことができるので、パックシート包装体を快適に使用することができる。
そして、取り出したパックシート1のその直下に収納されていた、Z折りされた状態のパックシート1は、その端部が同様にしてピロー包装袋の窓部と穴あきトレーの底部に設けられた穴に面して存在するようにされ、次々と同様にして取り出すことが可能となる。
【0030】
使用者はこの
図8の状態でパックシート1を取り出して、例えば持ち替えることなく、そのままの状態で顔面等を覆うことができる。
そして、この例によると、パックシート1を摘まんだ指を離したり、持ち替えたりせずに、パックシート1を取り出して使用することができるので、パックシート1を袋から取り出して使用するまでを簡単かつ確実に行うことができ、他の指等を汚すこともない。
【0031】
図9においては、ピロー包装袋の窓部3が開く向きを
図4及び
図10〜12に示す窓部3が開く向きに対して90度移動させた方向とした。この向きとすることにより、パックシートを取り出す時点において、窓部3が閉じる方向に移動した場合であっても、パックシートを取り出す手にて押さえることが簡単である。
図4及び9に示す例においては、穴あきトレー底部に設けた穴の形状を角が丸くなっている長方形としたが、その他に長方形や短辺を弧状とした長方形の形状とすることもできる。もちろん、そのような穴の形状に合わせるようにしてピロー包装袋に設けた開口部の形状を変更することができる。
【0032】
図10に示す形態は、ピロー包装袋に設けた窓部が円形であり、予め窓部を形成できるように薄肉部にて窓部の輪郭が形成されてなり、該薄肉部に沿って該窓部の輪郭と窓部を密閉していた密閉片を、外力によって該薄肉部を引き裂くことにより切断し、除去することにより開けられるような部材により形成される形態である。
図10のパックシート包装体は、円形の窓部を開閉可能に密閉できるように、窓部の輪郭6と嵌合することができ、気密に封止可能な蓋部材7が設けられている。本発明のパックシート包装体の不使用時には、パックシートに浸透している化粧水等の薬液が蒸発して、次回に使用することが困難になることを防止するために、蓋部材7と窓部の輪郭6とが気密に嵌合する。
この結果、不使用時には、パックシートは気密に保持される。
そして、再度本発明のパックシートを使用する際には、蓋部材7を開けて、
図6〜8に示したように指によりパックシートを取り出すことができる。
このような蓋部材7は、ピロー包装袋とは別に成形し、これをピロー包装袋の合掌部側の反対の面に設けた取り付け部に融着や接着等の公知の手段によって一体化させることによりピロー包装袋に取り付けられるものである。
【0033】
図11に示す例は穴あきトレーの底に設けた穴の形状をひょうたん状とした例である。この場合においては、パックシートを取り出す際に、該くびれた部分においてパックシートに対して引き上げる方向とは直角方向に押圧を与えることができるので、Z折りされたパックシートをより確実に展開させることが可能となる。
【0034】
図12に示す例は穴あきトレーの底に設けた穴の形状を三角形とした例である。この場合においては、パックシートを取り出す際に、該三角形の辺にパックシートを当てながら上方に引き上げることにより、その引き上げる方向とは直角方向に押圧を与えることができるので
図11に示した例と同様に、Z折りされたパックシートをより確実に展開させることが可能となる。