(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6265455
(24)【登録日】2018年1月5日
(45)【発行日】2018年1月24日
(54)【発明の名称】塵芥除去装置
(51)【国際特許分類】
B08B 5/02 20060101AFI20180115BHJP
B08B 5/00 20060101ALI20180115BHJP
F24F 13/06 20060101ALI20180115BHJP
F24F 13/26 20060101ALI20180115BHJP
【FI】
B08B5/02 Z
B08B5/00 Z
F24F13/06 C
F24F13/26
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2017-110743(P2017-110743)
(22)【出願日】2017年6月5日
【審査請求日】2017年8月25日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】517197510
【氏名又は名称】株式会社セキタ
(74)【代理人】
【識別番号】100076369
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 正治
(74)【代理人】
【識別番号】100144749
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 正英
(72)【発明者】
【氏名】関田 真琴
(72)【発明者】
【氏名】関田 伊純
【審査官】
佐藤 正浩
(56)【参考文献】
【文献】
特開2000−356380(JP,A)
【文献】
登録実用新案第3203986(JP,U)
【文献】
特開2009−174806(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B08B 5/02
B08B 5/00
F24F 13/06
F24F 13/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
人体に付着した塵芥を、圧縮空気の噴出により除去する塵芥除去装置において、
装置本体とノズルを備え、
装置本体はシリンダと移動体を備え、
シリンダ内にピストンが移動可能に設けられ、
移動体とピストンは連結具で連結され、
移動体は操作部を人力操作すると移動し、この移動により前記連結具が作動して、前記ピストンが移動体と逆方向に移動してシリンダ内の空気を圧縮し、圧縮空気が前記ノズルから噴出して、人体に付着している塵芥を除去することができる、
ことを特徴とする塵芥除去装置。
【請求項2】
請求項1記載の塵芥除去装置において、
移動体とピストンを連結する連結具の両端部間を固定滑車及び動滑車に掛けて、ピストンの移動ストロークが操作部の操作ストロークよりも長くなるようにした、
ことを特徴とする塵芥除去装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載の塵芥除去装置のノズルにおいて、
ノズルが筒状であり、ノズルはその圧縮通路内に、当該圧縮通路内を通過する圧縮空気を旋回させる螺旋溝がある、
ことを特徴とする塵芥除去装置用ノズル。
【請求項4】
請求項3記載の塵芥除去装置用ノズルにおいて、
筒状のノズルは細径の圧縮通路の外周に大径の外気通路があり、ノズルの軸方向一端側にノズルの外の外気をノズル内に吸引する吸引口があり、他端側にノズル内に吸引された外気が排出する排出口があり、吸引口から吸引して排出口から排出される空気を旋回させるガイドが外気通路内に複数本ある、
ことを特徴とする塵芥除去装置用ノズル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、身体或いは被服等(以下これらを「人体」という。)に付着した塵芥、花粉、その他の微粉末等(これらをまとめて「塵芥」という。)を風で飛散して除去することのできる塵芥除去装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、花粉除去装置として特許文献1〜4がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5391110号公報
【特許文献2】実用新案登録第3041909号公報
【特許文献3】特開2008−20130号公報
【特許文献4】特開2009−146595号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1〜4の花粉除去装置は電気を使用するものであり、装置が大掛りであるため、設置場所に制約がある、設置に大掛かりな工事が必要となる、電気のない場所では使用できないといった問題があった。
【0005】
本発明は、小型で設置場所の制約を受けにくく、足踏みや手動といった人力で操作して風を発生させ、その風で人体に付着した塵芥、特に花粉の除去に適する塵芥除去装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、人体に付着している塵芥を風で飛散させて除去することのできる塵芥除去装置であり、操作部を人力で操作すると圧縮空気が発生し、その圧縮空気がノズルから噴射され、噴射された圧縮空気で人体に付着している塵芥を飛散させることができるようにした。操作部は足踏み式ペダルとすることも、手押し式とすることもできる。ノズルは圧縮空気を旋回させて(トルネード状にして)噴射することもできる。動滑車を使用して、シリンダ内のピストンの昇降ストロークを足踏み式ペダルの踏み込み長よりも長くして、圧縮空気の発生量が多くなるようにした。
【発明の効果】
【0007】
本発明の塵芥除去装置は、人力駆動であるため電気のない場所でも使用可能であり、小型化でき、工場の入口、家庭の玄関などに設置して、外出先或いは工場内で身体に付着した塵芥を入室前に飛散させることができる。特に、花粉の飛散に効果的である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】本発明の塵芥除去装置であって、(a)はケース内の正面図、(b)は(a)の左側面図、(c)は(a)の右側面図。
【
図5】本発明の塵芥除去装置の動作説明図であって、(a)は足踏み式ペダルを踏み込んでケース内の移動体を降下させた状態のケース内正面説明図、(b)は足踏み式ペダルの押し下げを開放してケース内の移動体が上昇する途中(戻る途中)のケース内正面説明図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(塵芥除去装置の実施形態)
本発明の塵芥除去装置の一実施形態を、図面を参照して説明する。
図1の塵芥除去装置は装置本体1内で発生させた圧縮空気を、ノズル2から噴出して人体に付着している塵芥を除去するものである。
【0010】
[装置本体]
図1の装置本体1は、
図2〜
図4のように、ケース3内を空気室4と機構室5に区画してある。ケース3は木製、樹脂製といった各種材質製の板で囲われた薄い箱型である。
【0011】
[空気室]
空気室4には樹脂製のパイプを縦向きに配置固定してシリンダ6としてある。パイプは円筒形のものが望ましい。シリンダ6の上端は栓7で閉塞されている。栓7の上には固定滑車15a、15bが取り付けられている。シリンダ6の内部にはピストン8が配置されている。ピストン8の外径はシリンダ6の内周面と摺接してシリンダ6内を気密にしてあるが、シリンダ6内を昇降できる程度でシリンダ6の内周面と摺接させてある。ピストン8は錘と兼用である。空気室4の下部にはケース3の外の空気(外部空気)を導入可能な吸入口9と、空気室4内で圧縮された圧縮空気を排出可能な排出口10がある。吸入口9と排出口10は背中合わせに開口されている。吸入口9には逆止弁21を設けて(
図2(b))があり、外部から吸入された外気が逆流して外部に戻らないようにしてある。
【0012】
[駆動機構]
ケース3内には駆動機構11がある。駆動機構11は機構室5内の移動体12を、連結具13で前記ピストン8に連結してある。連結具13には紐が使用されている。移動体12の下部には操作部14が取り付けられている。図示した操作部14は足踏み式のペダルである。このペダルの先端側は足踏みできるようにケース3の外に突出している。図示した操作部14は手押し式のハンドルとか、人力で操作できる他の駆動方式とすることもできる。
【0013】
移動体12は板状であり、その左側面12aに二つの車輪16aが、右側面12bに二つの車輪16bが回転可能に取り付けられている。それら車輪16a、16bはケース3の縦フレーム5a、5bに摺接して横振れしないようにするとともに、円滑の昇降できるようにしてある。移動体12の横桟12c、12dには動滑車15c、15eが取り付けられている。
【0014】
紐状の連結具13はその一端13aをピストン8に連結固定し、その先(上部)を固定滑車15a、15bの外周に掛け、その先を動滑車15cの内側を通して固定滑車15dの外周に掛け、その先を動滑車15eの外側を通して、他端13bを機構室5の縦フレーム5aに固定してある。
【0015】
[駆動機構の動作]
前記構成の駆動機構11の動作と、圧縮空気の噴出は次のようにして行われる。
図3の位置にある操作部(足踏み式ペダル)14を足で下方に踏み込んで、
図5(b)のように降下させ、さらに
図5(a)のように降下させると移動体12が降下する。その降下に伴って動滑車15c、15eも降下し、紐状の連結具13が押し下げられて、シリンダ6内のピストン8が引き上げられる。この状態で操作部14の踏み込みを開放すると、ピストン8が自重で降下し、それに伴って移動体12が上昇して、降下前の元の位置(
図3の位置)に戻る。ピストン8の降下により、空気室4内のピストン8よりも下の空間内の空気が圧縮され、圧縮された空気が排出口10から排出され、パイプ17を通ってパイプ17の先に連結されているノズル2から外部に噴出される。この噴出により人体に付着している塵芥を吹き飛ばして排除することができる。動滑車を使用することにより、足踏み式ペダルのストローク(昇降範囲)が小さくともピストン8のストローク(動作長)が長くなり、圧縮空気の噴出量を多くなる。ピストン8の外周にはリング状のパッキンを取り付けて、シリンダ6の内周面との気密性を向上させることもできる。
【0016】
[ノズル]
ノズル2は
図6、
図7のように円筒状であり、軸方向一端に連結筒2aがあり、大径部2bの内部に細径筒状の圧縮通路18があり、圧縮通路18の外周に外気通路19がある。ノズル2は向きを可変できるようにしてある。
【0017】
圧縮通路18の内周面には螺旋溝18aがある。螺旋溝18aは圧縮通路18内を通過する圧縮空気を旋回させる(トルネードにする)ものである。
【0018】
外気通路19内には、その周方向に数本の凸条(ガイド)20がある。それらガイド20は捻じれている。ガイド20の捻じれは外気通路19内を通過する外気を旋回させる(トルネードにする)ものである。ガイド20の捻じれ方向と螺旋溝18aの螺旋方向は同じ方向である。いずれも、右旋回、左旋回のいずれの方向への旋回であってもよい。
【0019】
筒状のノズル2の大径部2bであって、外気通路19の軸方向両端は開口しており、連結筒2a側の開口部を吸入口2c、反対側の開口部が排出口2dとしてある。吸入口2cはノズル2の外の外気をノズル内に吸引するものであり、排出口2dはノズル内に吸引された外気が排出するものである。
【0020】
[ノズル内の空気の流れ]
パイプ17からノズル2の圧縮通路18内に送り込まれた圧縮空気は、圧縮通路18内を通過する間に螺旋溝18aに沿って旋回してトルネード状になって、圧縮通路18の出口18bから噴出される。この噴出により外気通路19内が負圧になると、ノズル2の外の外気が吸入口2cから外気通路19内に吸入される。吸入された空気はガイド20の螺旋方向に旋回してトルネード状になって排出口2dから排出される。
【0021】
(その他の実施形態)
前記実施形態は操作部14が昇降し、その昇降に伴って移動体12が上昇又は降下し、更に、ピストン8がシリンダ6内を昇降する場合であるが、操作部14は他の方向、例えば左又は右に移動し、それにつれて移動体12も右或いは左に移動し、ピストン8も右又は左に移動するようにしてもよい。
【0022】
本発明の塵芥除去装置は、課題を解決可能であれば、装置本体1及びノズル2の形状、構造、駆動機構11や移動体12の形状、構造、動作、滑車の配置や個数等は前記実施形態以外の構成とすることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明の塵芥除去装置は、人体に付着した塵芥の除去だけでなく、電気部品や機械部品、陳列台に陳列されている商品、その他、各種部品或いは製品の塵芥除去にも使用可能である。
【符号の説明】
【0024】
1 装置本体
2 ノズル
2a 連結筒
2b 大径部
2c (外気通路の)吸入口
2d (外気通路の)排出口
3 ケース
4 空気室
5 機構室
5a、5b (機構室の)縦フレーム
6 シリンダ
7 栓
8 ピストン
9 吸入口
10 排出口
11 駆動機構
12 移動体
12a (移動体の)左側面
12b (移動体の)右側面
12c、12d (移動体の)横桟
13 連結具(紐)
13a (連結具の)一端
13b (連結具の)他端
14 操作部(ペダル)
15a、15b、15d 固定滑車
15c、15e 動滑車
16a、16b 車輪
17 パイプ
18 圧縮通路
18a 螺旋溝
18b (圧縮通路の)出口
19 外気通路
20 ガイド
21 逆止弁
【要約】
【課題】 人力操作で圧縮空気を発生させ、圧縮空気で塵芥を除去できるようにする。
【解決手段】 装置本体とノズルを備え、装置本体はシリンダと移動体を備え、シリンダ内にピストンが移動可能に設けられ、移動体とピストンは連結具で連結され、移動体は操作部を人力操作すると移動し、この移動により連結具が作動して、ピストンが移動体と逆方向に移動してシリンダ内の空気を圧縮し、圧縮空気がノズルから噴出して、人体に付着している塵芥を除去できるようにした。移動体とピストンを連結する連結具の両端部間を固定滑車及び動滑車に掛けて、ピストンの移動ストロークが操作部の操作ストロークよりも長くなるようにした。筒状のノズル内に圧縮通路があり、圧縮通路内に圧縮空気を旋回させる螺旋溝がある。ノズルは圧縮通路の外周に外気通路があり、ノズルの軸方向一端側にノズルの外の外気をノズル内に吸引する吸引口があり、他端側にノズル内に吸引された外気が排出する排出口がある。外気通路内に旋回用のガイドがある。
【選択図】
図1