【文献】
佐々木 範雄 他,送電線ディジタル電力線搬送に用いる適応等化器のトレーニング符号 ,映像情報メディア学会技術報告 Vol.38 No.44 ,日本,(一社)映像情報メディア学会,2014年11月 6日,第38巻
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
周波数オフセット用と適応等化器用とでトレーニング符号列が異なる2つの信号を用いる通信システムにおいて、送信側から送信されるトレーニング信号が周波数オフセット用トレーニング信号から適応等化器用トレーニング信号へ切換わるタイミングで該タイミングの信号を受信する受信部と、該タイミングの信号でPN符号列の作成を開始するPN発生器と、該PN符号列を4PSKマッピングする4PSKマッピング部と、該4PSKマッピング部でマッピングされたシンボルデータ信号を受信側のトレーニング信号として入力する適応等化器と、前記4PSKマッピング部でマッピングされた前記トレーニング信号と送信側から送信される適応等化器用トレーニング信号との同期が捕捉されているかを監視する同期捕捉監視部と、該監視部の検出結果を出力する条件成立検出部とを有することを特徴とする通信システム。
前記同期捕捉監視部は、前記4PSKマッピング部から出力されたシンボルデータの複素共役値を所定シンボル数蓄積するマッピングデータ蓄積部と、送信側から送信された周波数オフセット用トレーニング信号を入力し、該入力信号のシフトレジスタ値と前記マッピングデータ蓄積部に蓄積されたシンボルデータの値に更新されるタップ係数値とから周期相関関数を計算するマッチドフィルタ部と、周波数オフセット用トレーニング信号で生成される4PSK符号列の繰り返し周期内で最も電力値の大きい符号を検出し、該検出した符号のタイミングを生成するピーク電力検出タイミング生成部と、を有することを特徴とする請求項1に記載の通信システム。
前記条件成立検出部は、前記タイミング信号が入力された時に、前記ピーク電力検出タイミング生成部が生成するタイミングが送信側から送信される周波数オフセット用トレーニング信号の符号列のシンボル周期と合致している場合に、前記PN発生器を起動するための信号を出力することを特徴とする請求項1又は2に記載の通信システム。
前記マッピングデータ蓄積部は、前記タップ係数設定部に設定されるタップ係数の数と同数のシンボル数のシンボルデータの蓄積が完了したタイミングで、前記タップ係数設定部に設定されているタップ係数を、前記マッピングデータ蓄積部に蓄積されたシンボルデータの値に更新することを特徴とする請求項2乃至5の何れかに記載の通信システム。
前記マッチドフィルタ部から出力された周期相関関数を入力し、該周期相関関数に基づいて送信側位相を基準とした位相の傾きを示す位相情報をラジアン値で出力するアークタンジェント部と、
該アークタンジェント部から出力された位相情報、および前記ピーク電力・タイミング信号生成部で検出した符号のタイミングを示すタイミング信号を入力し、該タイミング信号に示されるタイミングのときのみに、前記アークタンジェント部から出力される位相情報を位相補正値として出力し、それ以外のタイミングではゼロを出力する位相補正値生成部と、
該位相補正値生成部から出力された位相補正値を、1シンボル遅延させる1シンボル遅延回路と、
該1シンボル遅延回路で遅延された位相補正値を前記位相補正値生成部から出力された位相補正値と加算する加算器と、
該加算器で加算された位相補正値を複素変換する複素変換部と、を有し、
該複素変換部で複素変換された値を前記適応等化器に入力させる信号に乗算することを特徴とする請求項2乃至6の何れかに記載の通信システム。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は、本発明の一実施形態による通信システムの受信回路構成を説明するためのブロック図である。受信側の通信装置は、送信側の通信装置から送信されたPN符号によるシンボルパターンを受信し、復調器(MODEM部)にて復調する。復調器からのシンボルパターンは、適応等化器1に入力されるとともに、同期捕捉監視部40に入力される。
【0021】
受信側の通信装置は、周波数オフセット用と適応等化器用とでトレーニング符号列が異なる2つの信号を用いる通信システムにおいて、送信側から送信されるトレーニング信号が周波数オフセット用トレーニング信号から適応等化器用トレーニング信号へ切換わるタイミングで該タイミングの信号を受信する受信部を備える。
PN発生器10は、受信部が受信したタイミングの信号でPN符号列の作成を開始する。4PSKマッピング部11は、PN符号列を4PSKマッピングする。適応等化器1は、4PSKマッピング部11でマッピングされたシンボルデータ信号を受信側のトレーニング信号として入力する。同期捕捉監視部40は、4PSKマッピング部11でマッピングされたトレーニング信号と送信側から送信される適応等化器用トレーニング信号との同期が捕捉されているかを監視する。
【0022】
図2は、本発明の一実施形態による通信システムのさらに具体的な構成を示す図である。
図1の同期捕捉監視部40は、4PSKマッピング部11から出力されたシンボルデータの複素共役値を所定シンボル数蓄積するマッピングデータ蓄積部13と、送信側から送信された周波数オフセット用トレーニング信号を入力し、その入力信号のシフトレジスタ値とマッピングデータ蓄積部13に蓄積されたシンボルデータの値に更新されるタップ係数値とから周期相関関数を計算するマッチドフィルタ2と、周波数オフセット用トレーニング信号で生成される4PSK符号列の繰り返し周期内で最も電力値の大きい符号を検出し、検出した符号のタイミングを生成するピーク電力検出タイミング生成部8と、を有する。以下に本通信システムを構成する要部の各構成要素について個々にその機能と動作を説明する。
【0023】
(1)マッチドフィルタ
マッチドフィルタ2は、シフトレジスタ部3、タップ係数設定部4、加算部(Σ)5から構成される。シフトレジスタ部3では、周波数オフセット用PN符号で生成される4PSKのシンボル数と同数のレジスタ数N段を実装させ、復調部からの受信データを1シンボルずつ遅延しながらシフトし、タップ値を出力する。
タップ係数設定部4には、シフトレジスタ部3と同数(N段)のタップ係数設定部が設けられ、周波数オフセット用PN符号で生成される4PSKシンボル複素数の共役値が予め設定されている。そしてシフトレジスタ値とタップ係数値の乗算が1シンボルシフトするごとに行われ、その乗算値を出力する。
【0024】
加算部5では、1シンボルシフトするごとにタップ係数設定部4からの乗算値をNシンボル分加算し、加算値を出力する。加算部5からの出力周期相関関数R(n)は以下で表わされる。
【数1】
ここで、
*は複素共役である。また、ut(n)はt番目のシフトレジスタ値、kt(n)はt番目のタップ係数値である。
また、複素共役計算部6と乗算器7とにより、周期相関関数R(n)と、R(n)を複素共役したものとを乗算し、周期相関関数の電力値Rp(n)を算出する。これは次式で示される。
Rp(n)=R(n)・R(n)
* ・・・(2)
【0025】
(2)ピーク電力検出・タイミング生成部
ピーク電力検出・タイミング生成部8は、周期相関関数R(n)を入力し、周波数オフセット用PN符号で生成される4PSK符号系列の繰返し周期内で最も電力値の大きい符号を検出し、その点をタイミングとして生成し、条件成立検出部9に出力する。また、タイミングが生成された以降、ピーク電力タイミングが検出されている場合は、同期捕捉がなされている情報を条件成立検出部9に出力し、ピーク電力タイミングが不検出である場合は同期捕捉がされていないと判定し、その情報を出力する。
【0026】
(3)PN符号切換え検出信号受信部
PN符号切換え検出信号受信部21は、図示しない周波数オフセット推定・補償部から出力されたPN符号切換え検出信号を受信する。周波数オフセット推定・補償部は、送信側から送信されたPN符号によるトレーニングパターンに基づいて周波数オフセットを補償するもので、送信されたトレーニングパターンからその切換えを判定し、PN符号切換え検出信号を出力するものである。
【0027】
(4)条件成立検出部
条件成立検出部9は、PN符号切換え検出信号受信部21からのPN符号切換え検出信号と、ピーク電力検出・タイミング生成部8からの同期捕捉信号とを取り込み、PN符号切換え検出信号が入力された時点で同期捕捉信号が入力されている条件で、PN発生器10へ起動信号を出力する。条件成立検出部9では、波数オフセット推定・補償部からのPN符号切換え検出信号が入力されたとき、ピーク電力検出・タイミング生成部8で同期補足されていれば、PN発生器10を起動させる起動信号を出力する。周波数オフセット推定・補償部の構成については、後述する。
【0028】
(5)PN発生器
PN発生器10は、送信側に設定されている適応等化器トレーニング用PN M段発生器と同一構成のPN発生器であり、シフトレジスタの初期値は、送信側PN発生器の初期値よりMビットシフトした値を初期値とし、条件成立検出部9から出力された起動信号によりカウンターがスタートされ、1シンボルタイミングで2ビットずつシフトする。
【0029】
(6)4PSKマッピング部
4PSKマッピング部11では、PN発生器10より得られた2ビットの信号が、グレイ符号のシンボル配置に従ってマッピングされ、適応等化器用参照信号d(n)のシンボルデータとして適応等化器1に出力されるとともに、複素共役計算部12に出力される。
【0030】
(7)複素共役計算部
4PPSKマッピング部11から出力されたシンボルデータの複素共役値を計算し、マッピングデータ蓄積部13へ出力する。
【0031】
(8)マッピングデータ蓄積部
マッピングデータ蓄積部13は、その初期値として、PN発生器10の初期値よりMビットまでシフトした4PSKのマッピングデータが書込まれる。そしてPN発生器10の起動後に4PSKマッピング部11で生成され、複素共役生成部12で複素共役されたシンボルデータを蓄積する。マッピングデータ蓄積部13に対してNシンボルのシンボルデータの蓄積が完了したタイミングで、タップ係数設定部4の値をマッピングデータ蓄積部13の値に更新する。
【0032】
(9)適応等化器
適応等化器1は、4PSKマッピング部11により生成された適応等化器トレーニング用参照信号d(n)と、適応等化器1で算出された推定送信シンボルとの誤差量e(n)を算出し、LMSアルゴリズム(Least Mean Square Algorithm)により誤差量e(n)が最小になるよう、適応等化器1のタップ係数を更新する。なお、LMSアルゴリズムは次式で表わされる。
W(n+1)=W(n)+μu(n)e
*(n) ・・・(3)
ここで、w(n+1)は次に更新するタップ係数、W(n)は現在のタップ係数、μはフィードバック係数、u(n)は適応等化器への入力信号、*は複素共役である。
【0033】
(動作方式の具体的説明)
上記の構成による通信装置の動作例を説明する。
図3は、本発明の通信システムに適用されるトレーニング信号の構成例を示す図である。本発明の通信装置を用いた通信方式は、まず
図3に示すような周波数オフセット用トレーニング信号を送信側から送出後、適応等化器用トレーニング信号に切換わった符号が送出される。トレーニング信号送出後は通信が開始され、ランダムデータによる伝送信号を送出する。
【0034】
周波数オフセット用トレーニング信号には、PN7(2
7−1)に1ビット付加した2
7の符号列を4PSK変調した64シンボル繰返しの符号が用いられる。また適応等化器用トレーニング信号にはPN12(2
12−1)の符号列を4PSK変調した4095シンボル繰返しの符号が用いられる。また、トレーニング信号送出後は64QAM(Quadrature Amplitude Modulation)に切換り、ランダムデータによる伝送信号が送出される。
【0035】
初めに周波数オフセット用トレーニング信号として、同一符号列が複数回(ここでは8回繰返し)送出される。このため
図2に示すマッチドフィルタ2のタップ係数設定部4の初期値は、周波数オフセット用トレーニング信号の符号列(1〜64シンボル)の複素共役値と同一となっている。従って自己相関関数の電力値Rp(n)は、
図4に示すように64シンボル間隔でピーク電力が現れる。
【0036】
ピーク電力検出・タイミング生成部8では、64シンボル内で発生するピーク電力点の検出とタイミング生成を行い、出現するタイミング周期が64シンボルで生成されているか否かの観測を行うことで、周波数オフセット用トレーニング符号列に対する同期捕捉の監視が行われる。
なお、同期捕捉が継続している場合は、ピーク電力検出・タイミング生成部8から条件成立検出部9へオン信号が出力され、ピーク電力点が検出されず同期捕捉がなされない場合はオフ信号となる。また、同期補足がなされない場合、ピーク電力検出・タイミング生成部8は、既存トレーニングシーケンスへ不検出信号を送出する。これにより再度初期トレーニングへ移行する動作がとられる。
【0037】
図5は、本発明の通信システムに適用されるPN符号切換えタイミングおよび符号生成タイミングの一例を示すタイミングチャートである。
通信システムが
図5のa.(シンボルタイミング)に示すシンボルクロックで動作しているものとする。ここでb.(受信シンボル列)に示すように、PN符号が周波数オフセット用から適応等化器トレーニング用に切り換えられたとき、周波数オフセット推定・補正部でのPN符号切換えは、受信信号の6シンボル用いて判定されることになっている。従ってc.(PN符号切換え検出信号)に示されるように、実際にPN符号が切換えられてから6シンボル経過後に、PN符号切換えが判定され、PN符号切換え検出信号がPN符号切換え信号受信部21に出力され、PN符号切換え検出信号受信部21から条件成立検出部9に出力される。
【0038】
そして条件成立検出部9は、ピーク電力検出・タイミング生成部8による同期捕捉の状態と、PN符号切換え検出の条件を監視し、ピーク電力検出・タイミング生成部8からの同期捕捉継続信号と、周波数オフセット推定・補正部からのPN符号切換え検出信号のアンド条件でPN発生器10へ起動信号を出力する。例えばd.(PN符号同期捕捉)に示すように、ピーク電力検出・タイミング生成部8にて同期が捕捉されているときに、PN符号切換え検出信号が入力された場合、e.(PN発生器起動タイミング)に示されるように、PN符号の切り替え検出信号の入力タイミングで、PN発生器10の起動信号をPN発生器10に出力する。
【0039】
PN発生器10では、ピーク電力検出・タイミング生成部8から出力された起動信号を受けて、シフトレジスタのシフトを開始する。
ここでシフトレジスタのシフト開始直前の送信側適応等化器トレーニング用PN発生器のシフトレジスタ値は、初期値より12ビットシフト(4PSKで6シンボルが生成済み)されている。このため、受信側のPN発生器10のシフトレジスタ値は、送信側PN発生器と初期位相の同期をとるために、12ビットシフトした状態で待機しておく必要がある。
そして受信側のPN発生器10が起動すると、1シンボルタイミングで2ビットシフトするため、f.(PN12段のレジスタシフト数)に示すように、13、14ビットシフトしたレジスタ値により適応等化器用PN符号が生成される。以降、連続して適応等化器トレーニング用PN符号が生成される。
【0040】
生成された適応等化器トレーニング用PN符号は、2ビットで1シンボルとなる4PSKマッピング部11によりマッピングされ、g.(4PSKマッピング信号)に示されるように、7番、8番、9番・・・と、7番目以降のシンボル点が生成されていき、h.(適応等化器用参照信号タイミングd(n))に示される適応等化器用参照信号d(n)として用いられる。
【0041】
上記のPN発生器10の構成およびレジスタの設定例をさらに説明する。
図6は、適応等化器トレーニング用PN発生器を構成するシフトレジスタの構成例を示す図で、
図7は、
図6のシフトレジスタの各シフトレジスタナンバーにおけるシフトレジスタ値を示す図である。上記のように、シフトレジスタのシフト開始直前の送信側適応等化器トレーニング用PN発生器のシフトレジスタ値は、初期値より12ビットシフトされている。このため、
図6に示す適応等化器トレーニング用PN発生器のシフトレジスタ値は、送信側PN発生器と初期位相の同期をとるために、
図7に示すように受信側のPN発生器10のシフトレジスタ値も12ビットシフトした状態で待機しておく必要がある。つまり待機時のシフトレジスタ値は、シフトレジスタ初期値よりも12ビットだけシフトしている。
【0042】
受信側のPN発生器10が起動すると、1シンボルタイミングで2ビットシフトするため、
図7に示すように、初期値から13、14ビットシフトしたレジスタ値となり“0 1”のビットが、
図5に示すシフトレジタから出力される。引続き次のシンボルタイミングで15、16ビットシフトしたレジスタ値となり“1 0”のビットが出力され、以降“0 0”、“1 0”、“1 0”・・・・と、連続して適応等化器トレーニング用PN符号が生成される。
【0043】
生成された適応等化器トレーニング用PN符号は、2ビットで1シンボルとなる4PSKマッピング部11により、
図8に示すグレイ符号に従ってシンボル点がマッピングされ、
図7に示すように7番、8番、9番・・・と、7番目以降のシンボル点が生成されていき、適応等化器用参照信号d(n)として用いられる。
【0044】
上記のようにして4PSKマッピング部11から出力された参照信号d(n)は、適応等化器1に入力され、等化器(フィルタ部)の出力v(n)とd(n)との誤差量e(n)が算出され、LMSアルゴリズムにより、この誤差量e(n)が最小となるよう適応等化器のタップ係数の更新が行われ、等化器の収束が可能となる。
【0045】
4PSKマッピング部11で生成された参照信号d(n)は、適応等化器1へ出力されると同時に複素共役したシンボルデータがマッピングデータ蓄積部13に出力される。
図9は、マッピングデータ蓄積部のマッピングデータ蓄積とタップ係数更新のタイミング例を示す図である。a.(マッピングデータ蓄積部への書き込みシンボル列)に示すように、マッピングデータ蓄積部13の初期値には、PN発生器10が初期値から12ビットまでシフトした時の4PSKマッピングデータ(6シンボル)が書込まれている。そしてPN発生器10の起動以降は、PN発生器10と4PSKマッピング部11で生成された7〜64番シンボルまでのデータが書込まれる。
【0046】
マッピングデータ蓄積部13では、
図9に示すように64番シンボルまでの書込みが完了すると、そのタイミングで、マッチドフィルタ2のタップ係数設定部4のタップ係数をマッピングデータ蓄積部13の値に更新する。bに、タップ係数設定部への書込タイミングを示し、cに更新するタップ係数の設定値を示している。
マッチドフィルタ2のシフトレジスタ部3には、次のシンボルタイミングで送信側PN12発生器で生成された4PSK信号の1〜64番目までのシンボルが揃う。このため、送信側PN発生器と受信側PN発生器の同期が確立していれば、d.(ピーク電力の検出タイミング)に示すように、マッチドフィルタ2からピーク電力が現れる。
従ってピーク電力検出・タイミング生成部8では、前回検出されたピーク電力のタイミングから64シンボル後にピーク電力値が発生したと判定された場合、同期が捕捉されていると判断できる。
なお、ピーク電力値が検出されていなければ、同期が捕捉されていないと判断でき、既存トレーニングシーケンスへ不検出信号を送出し、再度初期トレーニングへ移行する動作をとる。
【0047】
マッピングデータ蓄積部13では引き続き、
図9に示すように、65〜128番目、129〜192番目、・・・・の4PSKマッピングデータの書込みと、マッチドフィルタ2のタップ係数設定部4のタップ係数の更新が行われる。
図10は、PN12符号の周期相関関数の電力特性を示す図である。適応等化器用トレーニング信号に切換えられて同期が捕捉されていれば、
図10に示すように64シンボル周期でピーク電力が検出されることになる。
以上のように、PN符号が異なる場合においても、2つのマッチドフィルタを必要とせず、1つのマッチドフィルタで同期捕捉が可能となるため、回路規模の簡略化が可能となる。
【0048】
次に本発明を利用した位相傾き補正方式の動作を説明する。
図11は、位相傾き補正の補正概念を説明するための図で、送信側の基準位相ベクトルV1と、位相の傾きがある場合のベクトルV2とを示している。マッチドフィルタ2から出力される周期相関関数には位相情報が含まれており、相関が最も高いポイントでは、送信側位相(0°)を基準とした位相差情報を検出することができる。つまり基準位相ベクトルV1とベクトルV2間の位相差Rを検出することができる。この位相差Rを位相補正量として位相傾きの補正を行う。
【0049】
図12は、本発明による通信装置の他の受信回路構成を説明するためのブロック図である。
図12の構成は、
図2の構成に対してアークタンジェント部(atan部)14、位相補正値生成部15、加算器16、1シンボル遅延回路(Z
-1)、複素変換部18、乗算器19を追加した構成とされる。
図2と重複する部分では
図2と同様の動作を行うため、繰り返しの説明は省略する。
【0050】
本構成例では、上記のように検出した位相情報に基づき位相の傾きを補正するために、マッチドフィルタ2の出力側にアークタンジェント部14を設定し、得られた位相情報をラジアン値で位相補正値生成部15に出力する。
【0051】
位相補正値生成部15では、ピーク電力検出・タイミング生成部8から64シンボル周期で出力される同期捕捉検出タイミング信号を用い、ピーク電力時のみ
図10に示す位相情報を位相補正値として位相補正値生成部15から出力する。なお、ピーク電力時以外は補正情報がないので、0の値が出力される。
位相補正値生成部15から出力された位相補正量は、1シンボル遅延回路17で遅延された位相補正量と加算器16で加算され、加算結果が複素変換部18で複素変換される。そして複素変換された値と復調器からの複素受信信号とを乗算器19で乗算することで、位相の傾きが補正される。
図13に位相の傾きの補正例を示す。
図13(A)は、位相補正前の傾きの状態を示し、
図13(B)に位相補正後の傾きの状態を示す。
【0052】
以上のように、
図12に新たに示される回路部を追加するだけで、送信側の位相と受信側の位相を一致させることが可能となる。これにより、遅延波などによって傾いた位相を補正する必要が生じる方式に対しては、非常に有効な手段となる。
【0053】
(周波数オフセット推定・補正部の構成)
以下に周波数オフセット推定・補正部の構成および動作を説明する。上記のように本発明に係る実施形態の通信装置は、周波数オフ設定推定・補正部から出力されたPN符号切換え検出信号を受け取り、条件成立検出部において、同期捕捉とPN符号切換え検出信号の入力との条件が成立している場合に、受信側のPN発生器を起動する。以下に周波数オフセット推定・補正部の構成について説明する。
【0054】
図14は、周波数オフセット推定・補正部の回路構成を説明するためのブロック図である。送信側の通信装置から送信された2
n符号列による周波数オフセット推定用トレーニングパターンは、4PSK復調器として動作する復調器にて2n符号列によるシンボルパターンに復調され、周波数オフセット推定・補正部20に入力する。
【0055】
周波数オフセット推定・補正部20の複素自己相関計算回路(複素自己相関計算部)24は、現在のシンボル点r(n)と、(2
n/2)シンボル遅延回路28により2
n/2シンボル遅延されたr(n−2
n/2)とをシンボルパターンからサンプリングし、2シンボル間の自己相関を求める。ここでは送信側からは、PN符号により2
n/2周期で同一の4PSKシンボル点が発生されているので、r(n)とr(n−2
n/2)との自己相関であるr(n)・r
*(n−2
n/2)は、周波数オフセットがない場合、位相回転が0°であるため必ず1の値を示すことになる。
【0056】
ここでは、r(n)とr(n−2
n/2)との間の伝送路チャンネル時変特性は変動しないとすると、伝送路の遅延波による畳込み量は同一となり、遅延波の相関も1とすることができる。これにより遅延波の影響を除去することが可能となり、さらにランダムな平均化処理により雑音の影響も除去されて、周波数オフセットの要素のみを示す自己相関値が得られる。
【0057】
45°位相回転回路(位相回転部)25は、複素自己相関計算回路24から出力された複素自己相関値を45°位相回転させる。これにより、複素自己相関値の座標は複素平面のシンボル配置位置に変換される。ここでは、45°位相を回転させることにより、シンボル点は、実部と虚部からなる複素平面の4つの象限([++]、[+−]、[−−]、[−+])のいずれかに必ず配置されることになる。
【0058】
実部・虚部極性検出回路(実部・虚部極性検出部)29では、45°位相回転されたシンボル点が複素平面の4つの象限([++](実部と虚部が[+])、[+−](実部が[+]、虚部が[−])、[−−]実部と虚部が[−])、[−+](実部が[−]、虚部が[+]))のいずれにあるかを検出する。
送信シンボル偏移推定回路(送信シンボル偏移推定部)30は、実部・虚部極性検出回路29で検出された実部と虚部の極性(符号)に従って位相偏移(位相回転量)を推定する。ここでは実部・虚部極性検出回路29で検出された実部および虚部が[++]の場合、送信された現在のシンボルs(n)と、2
n/2前のシンボルs(n−2
n/2)とでは同一シンボルが送信されたことになり、送信シンボル偏移推定回路30は、位相回転量は0°と推定することができる。
同様に、実部および虚部が[−+]の場合には、位相回転量は90°と推定でき、実部および虚部が[−−]の場合には、位相回転量は180°と推定でき、実部および虚部が[+−]の場合には、位相回転量は270°と推定できる。
【0059】
送信シンボル偏移推定回路30は、推定した位相回転量に応じて1、j、−1、−jのいずれかの値を出力する。ここでは実部・虚部極性検出回路29が検出したシンボル点が[++]の象限にあるとき、すなわち位相回転が0°と推定されたときには1を出力する。
また、シンボル点が[−+]の象限にあるとき、すなわち位相回転が90°と推定されたときには−jを出力し、シンボル点が[−−]の象限にあるとき、すなわち位相回転が180°と推定されたときには−1を出力し、シンボル点が[+−]の象限にあるとき、すなわち位相回転が270°と推定されたときには−jを出力する。
【0060】
送信されたシンボルの自己相関はs(n)・s
*(n−2
n/2)で表わされるので、本方式によって、周波数オフセット推定用トレーニングパターンとして、4PSK変調された2
n/2シンボルが送信される場合には、その45°位相回転させた複素自己相関値は必ず[++]となり、複素自己相関値として1の値が得られることになる。この理論について以下にさらに具体的に説明する。
【0061】
複素自己相関計算回路24で計算された自己相関値は、周波数オフセットが存在した状態で計算されている。周波数オフセットが存在する場合、例えば、64シンボル(2
n/2シンボルにおいてn=7)間隔の自己相関値が常に「++」の象限にあると判断されるためには、45°位相回転させた周波数オフセットが±45°の範囲内に入る必要がある。
【0062】
ここで水晶発振器の誤差は±30ppm以下とする仕様となっているため、これ以上の誤差を示すことはない。そして通信システムの通信に使用する最大周波数は425kHzであるため、±30ppmの誤差があるときの周波数オフセット量は約±13Hzとなり、このときの回転量は、64QAMのシンボルレートを32kbps(31.25μs)とすると、以下のようになる。
回転量≒360×freq.offset×Ts
≒360×13Hz×31.25×10−6
≒±0.146°
【0063】
これにより64シンボル間では、±0.146×64≒±9.36°となり、±45°を越えることはない。従ってトレーニング時の2
n符号列を受信した場合には、自己相関値を45°位相回転させた場合に、常に複素平面の[++]の象限に入ることになり、送信シンボル偏移推定回路30では位相回転が0°と推定されて、必ず1が出力されることになる。つまり、周波数オフセット推定用トレーニングパターンとして4PSK変調された2
n/2シンボルが送信される場合には、送信シンボル偏移推定回路30から必ず1を出力させることができる。
なお、位相回転が±45°を越えることが懸念される場合には、サンプリングするシンボル間隔を32シンボル、もしくは16シンボル等のように短い間隔とすることで、送信シンボル偏移推定回路30から確実に1を出力させることができるようになる。
【0064】
位相回転量計算回路(位相回転量計算部)26は、次の式(4)により周波数オフセットによる位相の回転量を計算する。
【0066】
上記式(4)では、その分母は、送信側で送られたものとして推定されるシンボル間隔(2
n/2)における位相回転量であって、送信シンボル偏移推定回路30から出力された出力値を用いる。また式(4)の分子は、実際に伝送路を経由して受信されたシンボル間の位相回転量となる。
ここで、上記のように周波数オフセット推定用トレーニングパターンとして、2
n/2シンボルパターンが送られてきているため、送信シンボル偏移推定回路30からは1が出力されるため、式(4)の分母は必ず1になり、Δrとして、伝送路を介して受信された2
n/2シンボル間の位相回転量が算出される。この位相回転量は、遅延波および雑音の要因が除去された周波数オフセットによる平均化位相回転量とされる。
【0067】
忘却係数平均化回路27では、Δr(n)をシンボルごとに平均化するため、次の式(5)を用いる。
R(n)=βR(n−1)+(1−β)ΔR(n) ・・・(5)
ここでβは忘却係数で0.998程度の値を用いる。
【0068】
ATAN計算回路32では、忘却係数平均化回路27で得られたR(n)の実部・虚部によりATAN(Arctangent)の計算を行い、2
n/2で割ることにより、1シンボルの回転角Δθ(n)を求める。
【0069】
第2複素乗算器33と1シンボル遅延回路34は、1シンボルの平均の位相回転角Δθ(n)から、4PSK復調器として動作する復調器のk番目のシンボルの位相補正量Δφ(k)を算出するため、次の式(6)に示す処理を行う。
【0070】
e
-jΔφ
(k)=e
-j(Δφ
(k-1)+Δθ
(n)) ・・・(6)
【0071】
第1複素乗算器22では、4PSK復調器として動作する復調器から出力されたベースバンド信号のk番目のシンボルの位相e
j(ω
t+φ
(k))から、推定されたk番目のシンボルの位相補正量Δφ
(k)の補正を行うため、次の式(7)に示す処理を行い、最終的に周波数オフセットの補正を実行する。
【0072】
e
jω
t=e
j(ω
t+φ
(k)-Δφ
(k)) ・・・(7)
【0073】
図15は、
図14に示すオフセット推定用PN符号終了判定回路31の構成例を示す図である。オフセット推定用PN符号終了判定回路31では、符号変換回路311により、送信シンボル偏移推定回路30からの出力値(+1、j、−1、−j)が正相関(+1)の時に1に変換し、逆相関(−1)の時に−1に変換し、それ以外の値を0に変換し、nシンボルをシフトレジスタ312に入力する。シフトレジスタ312では、そのタップ出力値を加算器313に入力する。加算器313には、シフトレジスタ312のタップ数T+1に相当する数だけ1、−1、または0の値が入力され、加算器313の出力は、入力された1数が合計されるので、出力値の最大値はT+1個となる。従ってこの場合、周波数オフセット推定用トレーニングパターンが送出されている時間領域では、シフトレジスタに入力されるnシンボルが全て1であるため、加算器313の出力値は、必ずn値を示すことになる。
【0074】
しかし、送信側の通信装置で周波数オフセット推定用トレーニングパターンから適応等化器用トレーニングパターンに移行した場合は、2
m−1符号列は、2
n/2シンボル間隔で相関が常に1にはならず、送信シンボル偏移推定回路30からの出力は、+1、j、−1、−jの値がランダムに出力されることになる。もしくは、PN発生器10のシフトレジスタ(m段)の初期設定値を、PN発生器10で生成される1〜m番目までのビット列と逆符号になる符号を設定することで、送信シンボル偏移推定回路30からの出力は、−1がm/2シンボルが連続で出力される。この場合には、シフトレジスタ312には+1、−1、0がランダムに、もしくは−1が連続で入力され、加算器313からの出力値はn値でなくなる。
【0075】
閾値判定回路314では、加算器313の出力値に(n−a)の閾値を設定することで、(n−a)以下の値となった場合、適応等化器用トレーニングパターンに切り替えられたことを検出することができる。周波数オフセット推定用トレーニングパターンから適応等化器用トレーニングパターンに切り換えられたことが検出されると、閾値判定回路314からPN符号切換え検出信号を出力する。これにより、受信側でトレーニングパターンを発生させずに、送信側から送信されたトレーニングパターンに基づいて周波数オフセットを補償する構成であっても、送信されたトレーニングパターンから、そのトレーニングパターンの切り替えを簡単に判定することができるようになる。
【0076】
閾値判定回路314からのPN符号切換え検出信号が、
図14に示す信号出力制御回路23に入力されると、信号出力制御回路23は、これまでの適応等化器への信号出力抑制を解除し、適応等化器に信号を出力する。これにより適応等化器に対して適応等化器用トレーニングパターンが出力され、適応等化器におけるトレーニングが開始される。
またオフセット推定用PN符号終了判定回路31における閾値判定回路314からのPN符号切換え検出信号は、同時にATAN計算回路32へも出力され、時間tシンボル経過後に平均化処理を終了し、1シンボルの回転角をΔθ(t−M+1)に前の値に固定する。なお、Mはシフトレジスタ312のレジスタ数である。
上記のトレーニング終了後は、復調器は、4PSK復調器から2
nQAM復調に切替わり、データ信号系列が復調される。
【0077】
そして閾値判定回路314からのPN符号切換え信号は、上記本発明の実施形態に係る条件成立検出部9に入力される。条件成立検出部9においては、入力されたPN符号切換え検出信号に基づき、同期捕捉されている場合に、受信側のPN発生器を起動する起動信号を生成する。
【0078】
図16は、本発明に係る通信システムに適用される送信側の通信装置の送信回路構成を説明するためのブロック図である。通信システムでは、通信を開始する際のトレーニング時に通信装置間の周波数オフセットを補償するためのトレーニングパターンを送信する送信側の通信装置と、トレーニングパターンを受信して周波数オフセット補償を行う受信側の通信装置とが有線伝送路を介して接続される。
図16では、トレーニング時にトレーニングパターンを送信する送信側の通信装置50の回路構成を示している。
【0079】
送信側の通信装置50には、周波数オフセット推定用トレーニングパターンである2
n−1ビットのPN符号列(2
n−1符号列)を発生させる周波数オフセット推定用PN発生器51と、適応等化器用トレーニングパターンである2
m−1ビットのPN符号列(2
m−1符号列)を発生させる適応等化器トレーニング用PN発生器52とを実装している。
【0080】
周波数オフセット推定用PN発生器51で発生された2
n−1符号列には、ビット発生部54で発生された“0”の1ビットがビット付加部55で付加されて、2
nビットの符号列(2
n符号列)となる。2
n符号列は、受信側の通信装置で周波数オフセットを推定するために使用される。
各PN発生器で発生された2
n符号列と2
m−1符号列は、切替部であるスイッチ56にて切り替えられて変調器53に出力される。この場合、2
n符号列のnは6〜8程度、2
m−1符号列のmは11〜13程度となる。
【0081】
送信側の通信装置にて初期トレーニングが開始されると、周波数オフセット推定用PN発生器51で発生され、1ビットが付加された2
n符号列が変調器53に入力される。ここでは変調器53は、4PSK変調器として動作し、周波数オフセット推定用トレーニングパターンである2
n符号列を4PSK変調してRF回路へ出力する。そして初期トレーニングの開始から所定の設定された時間tが経過すると、適応等化器トレーニング用PN発生器52で発生された2
m−1符号列に切替えられて、その2
m−1符号列が変調器53に入力される。この場合にも変調器53は4PSK変調器として動作し、入力した2
m−1符号列を4PSK変調する。
【0082】
変調器53では、4PSK変調により2ビットの符号が1シンボルに変換され、2
n/2シンボルパターンと、2
m/2シンボルパターンが、それぞれ設定された時間出力される。
トレーニング終了後は、変調器53は、4PSK変調器から2
nQAM変調器に切替わり、入力されるデータ信号系列が変調される。
変調器53から出力され符号列の信号は、RF回路にて周波数変換されて受信側の通信装置に送信される。