特許第6265512号(P6265512)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6265512印刷セキュリティフィーチャ、当該印刷セキュリティフィーチャを備えるオブジェクト及びその製造プロセス
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6265512
(24)【登録日】2018年1月5日
(45)【発行日】2018年1月24日
(54)【発明の名称】印刷セキュリティフィーチャ、当該印刷セキュリティフィーチャを備えるオブジェクト及びその製造プロセス
(51)【国際特許分類】
   B41M 3/14 20060101AFI20180115BHJP
   B42D 25/387 20140101ALI20180115BHJP
   B42D 25/382 20140101ALI20180115BHJP
   B42D 25/337 20140101ALI20180115BHJP
【FI】
   B41M3/14
   B42D15/10 387
   B42D15/10 382
   B42D15/10 337
【請求項の数】22
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2016-513478(P2016-513478)
(86)(22)【出願日】2014年5月13日
(65)【公表番号】特表2016-525959(P2016-525959A)
(43)【公表日】2016年9月1日
(86)【国際出願番号】IB2014061405
(87)【国際公開番号】WO2014184738
(87)【国際公開日】20141120
【審査請求日】2017年5月11日
(31)【優先権主張番号】13167568.8
(32)【優先日】2013年5月13日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】591031371
【氏名又は名称】カーベーアー−ノタシ ソシエテ アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】特許業務法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】シューデ,ヨハネス ゲオルグ
(72)【発明者】
【氏名】フェルマン,アレキサンダー
【審査官】 村田 顕一郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−247516(JP,A)
【文献】 特開2012−061776(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第02028017(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41M 1/00−99/00
B42D 15/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷可能な基材上に設けられる印刷セキュリティフィーチャ(1;1;1**;1***)であって、前記印刷セキュリティフィーチャ(1;1;1**;1***)は、所定の空間周波数で印刷された複数の隣接する直線要素及び/又は曲線要素(110、120;210、220;310、320;410、420)から構成された印刷範囲(100;200;300;400)を含み、
前記直線要素及び/又は曲線要素(110、120;210、220;310、320;410、420)は、白色可視光で照射された時に同一の又はほぼ同一の光学的外観を示す少なくとも第1及び第2インクによって印刷され、その結果、前記印刷セキュリティフィーチャ(1;1;1**;1***)は、白色可視光で照射された時に第1図形表示(図1図6図11図14)を生成し、少なくとも前記第1インクは、前記第2インクから前記第1インクを区別する特徴的な光学的応答を生成することによって非可視光励起に反応するインクであり、
前記印刷セキュリティフィーチャ(1;1;1**;1***)は、非可視光で照射された時に第2図形表示(図5図10図13図16)を生成し、前記第2図形表示(図5図10図13図16)は、前記印刷セキュリティフィーチャ(1;1;1**;1***)が非可視光で照射された時にのみあらわになる区別可能な二次元図形要素(B;D;F;H)を示し、
前記区別可能な二次元図形要素(B;D;F;H)の境界(160;260;360;460)の内側には、前記直線要素及び/又は曲線要素(110、120;210、220;310、410)の一部(P3;P3;P3**;P3***)が前記第1及び第2インクの配合によって印刷され、前記直線要素及び/又は曲線要素(110、120;210、220;310、320;410、420)が、前記一部(P3;P3;P3**;P3***)内で、第1及び第2並列セクション(110a、110b、120a、120b;210a、210b、220a、220b)にさらに分割され、前記第1並列セクション(110a、120a;210a、220a)は前記第1インクによって印刷されるとともに前記第2並列セクション(110b、120b;210b、220b)は前記第2インクによって印刷され、
前記区別可能な二次元図形要素(B;D;F;H)の境界(160;260;360;460)の外側には、前記直線要素及び/又は曲線要素(110、120;210、220;310、320;410、420)の部分(P1、P2;P1、P2;P1**、P2**、P4**、P5**、P1***、P2***、P4***、P5***)が前記少なくとも第1及び第2インクの1つのみによって印刷され、
前記少なくとも第1及び第2インクは、他方に対して一方を見当合わせして印刷され、その結果、前記印刷セキュリティフィーチャ(1;1;1**;1***)が白色可視光で照射された時に前記区別可能な二次元図形要素(B;D;F;H)の境界(160;260;360;460)が目に見えず、かつ、前記印刷セキュリティフィーチャ(1;1;1**;1***)が非可視光で照射された時にのみ前記区別可能な二次元図形要素(B;D;F;H)が目に見えるようになる、印刷セキュリティフィーチャ(1;1;1**;1***)。
【請求項2】
前記区別可能な二次元図形要素(B;D;F;H)の境界(160;260;360;460)の外側では、前記直線要素及び/又は曲線要素(110、120;210、220;310;410)の第1部分(P1;P1;P1**;P1***)が前記第1インクによってのみ印刷され、前記直線要素及び/又は曲線要素(110、120;210、220;310;410)の第2部分(P2;P2;P2**;P2***)が前記第2インクのみによって印刷される、請求項1に記載の印刷セキュリティフィーチャ(1;1;1**;1***)。
【請求項3】
前記直線要素及び/又は曲線要素(310、320;410、420)は、白色可視光で照射された時に同一の又はほぼ同一の光学的外観を示す少なくとも第3及び第4インクによってさらに印刷され、前記第3及び第4インクの光学的外観は前記第1及び第2インクの前記光学的外観とは異なり、
前記第3インクは、前記第4インクから前記第3インクを区別する特徴的な光学的応答を生成することによって非可視光励起に反応するインクであり、前記第3インクの特徴的な光学的応答は、前記第1インクの前記特徴的な光学的応答と同一又はほぼ同一であり、
前記区別可能な二次元図形要素(F;H)の境界(360;460)の内側には、前記直線要素及び/又は曲線要素(320;420)の第2部分(P6**;P6***)が前記第3及び第4インクの配合によって印刷され、前記第2部分(P6**;P6***)内で、前記直線要素及び/又は曲線要素(320;420)は第1及び第2並列セクションにさらに分割され、前記第1並列セクションは前記第3インクによって印刷され、前記第2並列セクションは前記第4インクによって印刷され、
前記区別可能な二次元図形要素(F;H)の境界(360;460)の外側には、前記直線要素及び/又は曲線要素(320;420)の第3部分(P4**;P4***)が前記第3インクのみによって印刷され、前記直線要素及び/又は曲線要素(320;420)の第4部分(P5**;P5***)は前記第4インクのみによって印刷され、及び、
前記第3及び第4インクは、他方に対して一方を見当合わせして印刷され、その結果、前記印刷セキュリティフィーチャ(1**;1***)が白色可視光で照射された時に前記区別可能な二次元図形要素(F;H)の境界(360;460)が目に見えず、かつ、前記印刷セキュリティフィーチャ(1**;1***)が非可視光で照射された時にのみ前記区別可能な二次元図形要素(F;H)が目に見えるようになる、請求項2に記載の印刷セキュリティフィーチャ(1**;1***)。
【請求項4】
前記第1図形表示(図1図6図11図14)は、前記印刷セキュリティフィーチャ(1;1;1**;1***)が非可視光で照射された時に目に見えるようになる前記区別可能な二次元図形要素(B;D;F;H)から区別可能な第1二次元図形要素(A;C;E;G)を示し、前記第1二次元図形要素(A;C;E;G)及び前記区別可能な二次元図形要素(B;D;F;H)は、前記印刷範囲(100;200;300;400)内で部分的に重なり合うように位置決めされる、請求項1〜3のいずれか1項に記載の印刷セキュリティフィーチャ(1;1;1**;1***)。
【請求項5】
前記第1二次元図形要素(A;E)及び前記区別可能な区別可能な二次元図形要素(B;F)は、同一の形状を有しており、かつ、前記第1二次元図形要素(A;E)及び前記区別可能な二次元図形要素(B;F)の間の転換が一方の位置からもう一方の位置への同一の図形要素の反転又は移動の印象を与えるように設計される、又は、
前記第1二次元図形要素(C;G)及び前記区別可能な区別可能な二次元図形要素(D;H)は、認識可能な情報を各々が提供する異なった形状を有しており、かつ、前記第1二次元図形要素(C;G)及び前記区別可能な二次元図形要素(D;H)の間の転換が認識可能な情報の変化をもたらすように設計される、請求項4に記載の印刷セキュリティフィーチャ(1;1;1**;1***)。
【請求項6】
前記複数の隣接する直線要素及び/又は曲線要素(110、120;210、220;310、320;410、420)は、前記印刷範囲(100;200;300;400)の第1ゾーン(101;201;301;401)に広がる第1セットの直線要素及び/又は曲線要素(110;210;310;410)と、前記印刷範囲(100;200;300;400)の第2ゾーン(102;202;302;402)に広がる少なくとも第2セットの直線要素及び/又は曲線要素(120;220;320;420)と、を含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の印刷セキュリティフィーチャ(1;1;1**;1***)。
【請求項7】
前記第1セットの直線要素及び/又は曲線要素(110;210;310;410)は第1方向に沿って延在し、前記第2セットの直線要素及び/又は曲線要素(120;220;320;420)は、前記第1方向とは異なる第2方向に沿って延在する、請求項6に記載の印刷セキュリティフィーチャ(1;1;1**;1***)。
【請求項8】
前記第1及び第2セットの直線要素及び/又は曲線要素(110、120;210、220;310、320;410、420)は、印刷されない境界線(150;250;350;450)によって分離される、請求項6又は7に記載の印刷セキュリティフィーチャ(1;1;1**;1***)。
【請求項9】
前記第1インクは、前記非可視光励起を受けた時に第1蛍光色を有する可視応答を生成する第1蛍光インクであり、及び、
前記第1蛍光色は、前記印刷セキュリティフィーチャ(1;1;1**;1***)が前記非可視光励起を受けた時に前記区別可能な二次元図形要素(B;D;F;H)を目に見えるようにするように寄与する、請求項1〜8のいずれか1項に記載の印刷セキュリティフィーチャ(1;1;1**;1***)。
【請求項10】
前記第2インクは、前記非可視光励起を受けた時に第2蛍光色を有する可視応答を生成する第2蛍光インクであり、前記第2蛍光色は前記第1蛍光色から区別可能であり、及び、
前記区別可能な二次元図形要素(B;D;F;H)の前記境界(160;260;360;460)の内側では、前記直線要素及び/又は曲線要素(110、120;210、220;310;320;410、420)の前記第1及び第2並列セクション(110a、110b、120a、120b;210a、210b、220a、220b)が、前記非可視光励起を受けた時に、前記第1及び第2蛍光色の加法混色から生じた第3蛍光色を生成する、請求項9に記載の印刷セキュリティフィーチャ(1;1;1**;1***)。
【請求項11】
前記第1インクは、前記非可視光励起を受けた時に第1蛍光色を有する可視応答を生成する第1蛍光インクであり、
前記第1蛍光色は、前記印刷セキュリティフィーチャ(1**;1***)が前記非可視光励起を受けた時に前記区別可能な二次元図形要素(F;H)を目に見えるようにするように寄与し、及び、
前記第3インクは、前記非可視光励起を受けた時に前記第1蛍光インクと同一の又はほぼ同一の第1蛍光色を有する可視応答を生成する蛍光インクである、請求項3に記載の印刷セキュリティフィーチャ(1**;1***)。
【請求項12】
前記第2インクは、前記非可視光励起を受けた時に第2蛍光色を有する可視応答を生成する第2蛍光インクであり、前記第2蛍光色は前記第1蛍光色から区別可能であり、
前記第4インクは、前記非可視光励起を受けた時に前記第2蛍光インクと同一の又はほぼ同一の第2蛍光色を有する可視応答を生成する蛍光インクであり、及び、
前記区別可能な二次元図形要素(F;H)の前記境界(360;460)の内側では、前記直線要素及び/又は曲線要素(310;320;410、420)の前記第1及び第2並列セクションが、前記非可視光励起を受けた時に、前記第1及び第2蛍光色の加法混色から生じた第3蛍光色を生成する、請求項11に記載の印刷セキュリティフィーチャ(1**;1***)。
【請求項13】
前記非可視光励起は紫外線励起である、請求項9〜12のいずれか1項に記載の印刷セキュリティフィーチャ(1;1)。
【請求項14】
前記直線要素及び/又は曲線要素(110、120;210、220;310、320;410、420)は、20μm〜200μmの線幅(w)を示す、請求項1〜13のいずれか1項に記載の印刷セキュリティフィーチャ(1;1;1**;1***)。
【請求項15】
前記直線要素及び/又は曲線要素(110、120;210、220;310;320;410、420)は一定の線幅(w)を示す、請求項1〜14のいずれか1項に記載の印刷セキュリティフィーチャ(1;1;1**;1***)。
【請求項16】
前記直線要素及び/又は曲線要素(110、120;210、220;310;320;410、420)は、1ミリメートル当たり2〜50線の空間周波数で印刷される、請求項1〜15のいずれか1項に記載の印刷セキュリティフィーチャ(1;1;1**;1***)。
【請求項17】
前記区別可能な二次元図形要素(B;D;F;H)の境界(160;260;360;460)の内側では、前記第2並列セクション(110b、120b;210b、220b)の表面に対する前記第1並列セクション(110a、120a;210a、220a)の表面の比率は1/2〜2の範囲内にある、請求項1〜16のいずれか1項に記載の印刷セキュリティフィーチャ(1;1;1**;1***)。
【請求項18】
基材と、請求項1〜17のいずれか1項に記載の印刷セキュリティフィーチャ(1;1;1**;1***)と、を備えるオブジェクトであって、前記印刷セキュリティフィーチャ(1;1;1**;1***)は前記基材上に設けられる、オブジェクト。
【請求項19】
前記印刷セキュリティフィーチャ(1;1;1**;1***)は、前記非可視光励起の大部分を吸収する前記基材の一部上に設けられる、請求項18に記載のオブジェクト。
【請求項20】
前記オブジェクトは、価値を有する文書、特に、紙幣などの高機密文書であり、又は、セキュリティ要素、特に、偽造者に対して保護されるべき物品上に適用可能なフォイル要素である、請求項18又は19に記載のオブジェクト。
【請求項21】
基材と印刷セキュリティフィーチャとを備えるオブジェクトを製造するプロセスであって、前記プロセスは、
印刷可能な基材を提供するステップと、
前記基材上に、請求項1〜17のいずれか1項に記載の前記セキュリティフィーチャ(1;1;1**;1***)を印刷するステップと、を含む、プロセス。
【請求項22】
前記印刷セキュリティフィーチャ(1;1;1**;1***)の前記複数の隣接する直線要素及び/又は曲線要素(110、120;210、220;310、320;410、420)は、同時オフセット、すなわち、前記第1及び第2インクをそれぞれ第1及び第2オフセット印刷版に付けることによって、かつ、印刷前に前記第1及び第2オフセット印刷版から共通のブランケット胴上に、結果として生じる第1及び第2インクパターンを転写することによって、印刷される、請求項21に記載のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、印刷可能な基材上に設けられる印刷セキュリティフィーチャに関し、当該印刷セキュリティフィーチャは、所定の空間周波数で印刷された多数の隣接する直線要素及び/又は曲線要素から構成された印刷範囲を含む。
【背景技術】
【0002】
欧州特許出願公開第0710574A2号明細書及び欧州特許出願公開第1291195A1号明細書は各々、そうした印刷セキュリティフィーチャを開示している。
【0003】
偽造者による偽造をさらにより一層困難にするため、それらの公知の印刷セキュリティフィーチャのさらなる改良が必要とされる。
【発明の概要】
【0004】
従って、本発明の概略的な目的は公知の印刷セキュリティフィーチャを改良することである。
【0005】
より具体的には、本発明の目的は、偽造することが困難であって、適正な方法で製造されるための高精度の印刷設備を必要とする印刷セキュリティフィーチャを提供することである。
【0006】
本発明のさらに別の目的は、例えば紫外線などの非可視光によって照射された時に単純かつ容易に理解可能な光学的効果の形成を可能にする解決策であって、セキュリティフィーチャの真偽を制御するために簡素なツール(例えば適切な紫外線など)を必要とする解決策を提供することである。
【0007】
これらの目的は、特許請求の範囲で定義される印刷セキュリティフィーチャによって達成される。
【0008】
従って、印刷可能な基材上に提供された印刷セキュリティフィーチャが設けられ、当該印刷セキュリティフィーチャは、所定の空間周波数で印刷された多数の隣接する直線要素及び/又は曲線要素から構成された印刷範囲を含む。本発明によれば、直線要素及び/又は曲線要素は、白色可視光によって照射された時に同一の又はほぼ同一の光学的外観を示す少なくとも第1及び第2インクによって印刷され、その結果、印刷セキュリティフィーチャは、白色可視光で照射された時に第1図形表示を生成し、少なくとも第1インクは、第2インクから第1インクを区別する特徴的な光学的応答を生成することによって非可視光励起に反応するインクである。印刷セキュリティフィーチャは、非可視光で照射された時に第2図形表示を生成し、当該第2図形表示は、印刷セキュリティフィーチャが非可視光で照射された時にのみあらわになる区別可能な二次元図形要素を示す。区別可能な二次元図形要素の境界の内側には、直線要素及び/又は曲線要素の一部が第1及び第2インクの配合によって印刷され、当該一部内で、直線要素及び/又は曲線要素は第1及び第2並列セクションにさらに分割され、第1並列セクションは第1インクによって印刷され、かつ、第2並列セクションは第2インクによって印刷される。区別可能な二次元図形要素の境界の外側には、少なくとも第1及び第2インクのうちの1つのみによって直線要素及び/又は曲線要素の部分が印刷される。少なくとも第1及び第2インクは、印刷セキュリティフィーチャが白色可視光で照射された時に区別可能な二次元図形要素の境界は目に見えず、かつ、印刷セキュリティフィーチャが非可視光で照射された時に区別可能な二次元図形要素のみが目に見えるようになるように、他方に対して一方を見当合わせして印刷される。
【0009】
本発明の重要な利点は、適正な見当合わせによって少なくとも第1及び第2インクを印刷するための精密な印刷プロセスを必要とし、当該印刷プロセスが、偽造者にとって簡単に利用可能ではないという事実にある。色同士の間の誤った見当合わせは、結果として、区別可能な二次元図形要素の境界が可視光下で目に見えるようになり、それによって、可視光下では通常は隠されている二次元図形要素の存在をあらわにする。
【0010】
印刷セキュリティフィーチャは、有利には、区別可能な二次元図形要素の境界の外側に、直線要素及び/又は曲線要素の第1部分が第1インクのみによって印刷され、かつ、直線要素及び又は曲線要素の第2部分が第2インクのみによって印刷されるようにされる。好ましくは、印刷セキュリティフィーチャはさらに、直線要素及び/又は曲線要素がさらに、白色可視光で照射された時に同一の又はほぼ同一の光学的外観を示す少なくとも第3及び第4インクによって印刷されるようにされてもよく、第3及び第4インクの光学的外観は第1及び第2インクの光学的外観とは異なる。これに関連して、第3インクは、第4インクから第3インクを区別する特徴的な光学的応答を生成することによって非可視光励起に反応するインクであり、第3インクの特徴的な光学的応答は第1インクの特徴的な光学的応答と同一又はほぼ同一である。この場合、区別可能な二次元図形要素の境界の内側には、直線要素及び/又は曲線要素の第2の一部が第3及び第4インクの配合によって印刷され、第2の一部内で直線要素及び/又は曲線要素は第1及び第2並列セクションにさらに分割され、第1並列セクションは第3インクによって印刷され、第2並列セクションは第4インクによって印刷される。区別可能な二次元図形要素の境界の外側には、直線要素及び/又は曲線要素の第3部分が第3インクのみによって印刷され、かつ、直線要素及び/又は曲線要素の第4部分が第4インクのみによって印刷される。第3及び第4インクは同様に、印刷セキュリティフィーチャが白色可視光で照射された時に区別可能な二次元図形要素の境界は目に見えず、かつ、印刷セキュリティフィーチャが非可視光で照射された時に区別可能な二次元図形要素のみが目に見えるようになるように、他方に対して一方を見当合わせして印刷される。
【0011】
好ましくは、第1図形表示が第1二次元図形要素を示し、第1二次元図形要素は、印刷セキュリティフィーチャが非可視光で照射された時に目に見えるようになる区別可能な二次元図形要素とは区別可能であり、第1二次元図形要素及び区別可能な二次元図形要素は印刷範囲内で部分的に重なり合うように位置決めされる。
【0012】
この好適な実施形態の一変形例(図1図5参照)では、第1二次元図形要素及び区別可能な二次元図形要素は同一の形状(例えば図示した例では三角形状)を有し、かつ、第1二次元図形要素と区別可能な二次元図形要素との間の転換が一方の位置からもう一方の位置(例えば下向き又は上向きの三角形状)への同一の図形要素の反転又は移動の印象を与えるように設計される。
【0013】
この好適な実施形態の別の変形例(図6図10参照)では、第1二次元図形要素及び区別可能な二次元図形要素は、認識可能な情報を各々が提供する異なった形状(例えば図示した例では数字記号「1」及び「2」)を有し、かつ、第1二次元図形要素と区別可能な二次元図形要素との間の転換が認識可能な情報の変化(例えば数字記号「1」と数字記号「2」との間の変化)をもたらすように設計される。
【0014】
有利には、多数の隣接する直線要素及び/又は曲線要素は、印刷範囲の第1ゾーンに広がる第1セットの直線要素及び/又は曲線要素と、印刷範囲の第2ゾーンに広がる少なくとも第2セットの直線要素及び/又は曲線要素と、を含み、そのことが、印刷セキュリティフィーチャが白色可視光で照射される状態において適切に識別され得る第1図形表示を規定することを助ける。これに関連して、第1セットの直線要素及び/又は曲線要素が第1方向に沿って延在するように第1セットの直線要素及び/又は曲線要素を設計すること、及び、第2セットの直線要素及び/又は曲線要素が、第1方向とは異なる第2方向に沿って延在するように第2セットの直線要素及び/又は曲線要素を設計すること、が好ましい。同様に、第1及び第2セットの直線要素及び/又は曲線要素は、印刷されない境界線によって有利に分離され得る。
【0015】
特に好適な実施形態(以下に説明する)によれば、第1インクは、非可視光励起(紫外線励起が好ましい)を受けた時に第1蛍光色を有する可視応答を生成する第1蛍光インクであり、第1蛍光色は、印刷セキュリティフィーチャが非可視光励起を受けた時に区別可能な二次元図形要素を目に見えるようにすることに寄与する。この好適な実施形態の特に有利な変形例によれば、第2インクは、非可視光励起を受けた時に第2蛍光色を有する可視応答を生成する第2蛍光インクであり、第2蛍光色は第1蛍光色と区別可能である。従って、区別可能な二次元図形要素の境界の内側では、直線要素及び/又は曲線要素の第1及び第2並列セクションが、非可視光励起を受けた時、第1及び第2蛍光色の加法混色から生じる第3蛍光色を生成する。
【0016】
上述したような異なる4つのインクを採用するさらに別の実施形態では、第1インクは、非可視光励起(紫外線励起が好ましい)を受けた時に第1蛍光色を有する可視応答を生成する第1蛍光インクであり、第1蛍光色は、印刷セキュリティフィーチャが非可視光励起を受けた時に区別可能な二次元図形要素を目に見えるようにすることに寄与し、及び、第3インクは、非可視光励起を受けた時に第1蛍光インクと同一の又はほぼ同一の第1蛍光色を有する可視応答を生成する蛍光インクである。この他の実施形態の特に有利な変形例によれば、第2インクは、非可視光励起を受けた時に第2蛍光色を有する可視応答を生成する第2蛍光インクであり、第2蛍光色は第1蛍光色から区別可能であり、及び、第4インクは、非可視光励起を受けた時に第2蛍光インクと同一の又はほぼ同一の第2蛍光色を有する可視応答を生成する蛍光インクである。従って、区別可能な二次元図形要素の境界の内側では、直線要素及び/又は曲線要素の第1及び第2並列セクションが、非可視光励起を受けた時に、第1及び第2蛍光色の加法混色から生じる第3蛍光色を生成する。
【0017】
本発明によれば、直線要素及び/又は曲線要素は20μm〜200μmの線幅を示すことが好ましい。直線要素及び/又は曲線要素の線幅は一定であってもよいが、直線要素及び/又は曲線要素の線幅は、追加情報を表すように調節されてもよいことが理解されよう。
【0018】
好ましくは、直線要素及び/又は曲線要素は、セキュリティフィーチャが白色可視光で照射された時及びセキュリティフィーチャが非可視光(例えば紫外線)で照射された時の両方において均質な図形表示を保証する1ミリメートル当たり2〜50線の空間周波数で印刷される。
【0019】
区別可能な二次元図形要素の境界の内側では、第2並列セクションの表面に対する第1並列セクションの表面の比率は、1/2〜2の範囲内にあることが好都合であり、当該比率は、非可視光による印刷セキュリティフィーチャの照射の結果としてあらわになる時の区別可能な二次元図形要素の色の外観の明度を調節する適応性を提供する。このことは、上述の第1及び第2蛍光インク(及び、場合によっては、第3及び第4蛍光インク)のそれぞれの寄与を調節するために特に有用であり、それによって、第1及び第2蛍光色の加法混色から生じる第3蛍光色の調整を可能にする。
【0020】
多数の隣接する直線要素及び/又は曲線要素は、同時オフセットによって印刷されることが好ましく、すなわち、第1及び第2オフセット印刷版に第1及び第2インクを付けることによって、及び、印刷前に第1及び第2オフセット印刷版から共通のブランケット胴上に、結果として生じる第1及び第2インクパターンを転写することによって、印刷されることが好ましい。印刷プロセスが、第1及び第2インクの間での適正な見当合わせによって多数の隣接する直線要素及び/又は曲線要素を印刷することに適合される場合には、他の印刷プロセス(例えば凹版印刷など)が検討されてもよい。
【0021】
本発明に係る基材及び印刷セキュリティフィーチャを備えるオブジェクトも特許請求され、当該印刷セキュリティフィーチャは基材上に設けられる。これに関連して、印刷セキュリティフィーチャは、非可視光励起の大部分を吸収する基材の部分上に有利に設けられる。この部分は、セキュリティフィーチャの印刷前に、基材自体の部分、又は、基材上に付与された適切な層のいずれかであり得る。この部分は、背景が非可視光による照射下で大部分が暗く現れるので、(非可視光で照射された時に)セキュリティフィーチャと背景との間のより良好なコントラストを保証する。
【0022】
オブジェクトは、価値を有する文書(特に、例えば紙幣などの高機密文書)、又は、偽造から保護されるべき物品上に適用可能なセキュリティ要素(特に、例えばホットスタンピングによって転写可能な転写可能フォイル要素、又は、物品の適切な表面上に積層可能なフォイル要素などのフォイル要素)であってもよい。
【0023】
基材及び印刷セキュリティフィーチャを備えるオブジェクトを製造するプロセスであって、印刷可能な基材を提供するステップと、基材上に本発明に係る印刷セキュリティフィーチャを印刷するステップと、を含む、プロセスがさらに特許請求される。
【0024】
本発明のさらなる有利な実施形態を以下に説明する。
【0025】
本発明の他の特徴及び利点は、非限定的な例によってもっぱら提示されて添付の図面によって図示される本発明の実施形態の以下の詳細な説明を読むことによって一層明確になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の第1実施形態に係る印刷セキュリティフィーチャの概略図であり、白色可視光で照射された時の印刷セキュリティフィーチャを示す。
図2】区別可能な二次元図形要素(当該要素は参照符号Bによってその全体が示される)の境界が破線で示される図1の印刷セキュリティフィーチャの概略図であり、この区別可能な二次元図形要素は、印刷セキュリティフィーチャが非可視光(例えば紫外線)で照射された時にのみあらわになる。
図3A図1の印刷セキュリティフィーチャの第1及び第2部分エリアの詳細図であり、区別可能な二次元図形要素の境界の内側及び外側の、セキュリティフィーチャの印刷範囲を構成する直線要素の詳細を示す。
図3B図1の印刷セキュリティフィーチャの第1及び第2部分エリアの詳細図であり、区別可能な二次元図形要素の境界の内側及び外側の、セキュリティフィーチャの印刷範囲を構成する直線要素の詳細を示す。
図4】非可視光励起すなわちこの例では紫外線励起を受けた時の図1のセキュリティフィーチャによって生成される第1、第2及び第3蛍光色の空間的分布の概略図である。
図5】非可視光(例えば紫外線)励起を受けた時の、図1の印刷セキュリティフィーチャの結果として生じた外観の概略図である。
図6】本発明の第2実施形態に係る印刷セキュリティフィーチャの概略図であり、白色可視光で照射された時の印刷セキュリティフィーチャを示す。
図7】区別可能な二次元図形要素(当該要素は参照符号Dによってその全体が示される)の境界が破線で示される場合の図6の印刷セキュリティフィーチャの概略図であり、この区別可能な二次元図形要素は、印刷セキュリティフィーチャが非可視光(例えば紫外線)で照射された時にのみあらわになる。
図8A図6の印刷セキュリティフィーチャの第1、第2及び第3部分エリアの詳細図であり、区別可能な二次元図形要素の境界の内側及び外側で、セキュリティフィーチャの印刷範囲を構成する直線要素の詳細を示す。
図8B図6の印刷セキュリティフィーチャの第1、第2及び第3部分エリアの詳細図であり、区別可能な二次元図形要素の境界の内側及び外側で、セキュリティフィーチャの印刷範囲を構成する直線要素の詳細を示す。
図8C図6の印刷セキュリティフィーチャの第1、第2及び第3部分エリアの詳細図であり、区別可能な二次元図形要素の境界の内側及び外側で、セキュリティフィーチャの印刷範囲を構成する直線要素の詳細を示す。
図9】非可視光すなわちこの例では紫外線励起を受けた時の図6のセキュリティフィーチャによって生成される第1、第2及び第3蛍光色の空間的分布の概略図である。
図10】非可視光(例えば紫外線)励起を受けた時の、図6の印刷セキュリティフィーチャの結果として生じた外観の概略図である。
図11図1の印刷セキュリティフィーチャの変形例の概略図であり、白色可視光で照射された時の印刷セキュリティフィーチャを示し、当該変形例は、異なる4つのインクを用いて印刷される。
図12】区別可能な二次元図形要素(当該要素は参照符号Fによってその全体が示される)の境界が破線で示される図1の印刷セキュリティフィーチャの概略図であり、この区別可能な二次元図形要素は、第1実施形態と同様に、印刷セキュリティフィーチャが非可視光(例えば紫外線)で照射された時にのみあらわになる。
図13】非可視光(例えば紫外線)励起を受けた時の、図11の印刷セキュリティフィーチャの結果として生じた外観の概略図であり、当該外観は、図5に図示される外観と同様である。
図14図6の印刷セキュリティフィーチャの変形例の概略図であり、白色可視光で照射された時の印刷セキュリティフィーチャを示し、当該変形例は、異なる4つのインクを用いて印刷される。
図15】区別可能な二次元図形要素(当該要素は参照符号Hによってその全体が示される)が破線で示される図14の印刷セキュリティフィーチャの概略図であり、区別可能な二次元図形要素は、第2実施形態と同様に、印刷セキュリティフィーチャが非可視光(例えば紫外線)で照射された時にのみあらわになる。
図16】非可視光(例えば紫外線)励起を受けた時の、図6の印刷セキュリティフィーチャの結果として生じた外観の概略図であり、当該外観は、図10に図示される外観と同様である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明は、非可視光励起を受けた時に対応の可視応答を生成する少なくとも第1及び第2蛍光インクによって印刷された印刷セキュリティフィーチャに特に関連して説明され、第1及び第2インクは、互いに異なる第1及び第2蛍光色をそれぞれ有する区別可能な可視応答を生成する。以下に説明する例では、第1蛍光インクは、緑色の蛍光を発するインクである一方で、第2蛍光インクは、赤色の蛍光を発するインクである。これらの例は、単なる例示であり、かつ、特許請求の範囲で定義される本発明の範囲から逸脱しない限りにおいて他の蛍光色が検討されてもよい。これは以下で理解されるように、第1及び第2蛍光インクは、印刷セキュリティフィーチャの特定の場所において有利に混合して、第1及び第2蛍光色の加法混色から生じる第3蛍光色を形成する。以下では、第1及び第2蛍光色の各々が第3蛍光色に同等に寄与し、それによって、当該例で黄蛍光色を生じさせることを前提とする。しかしながら、第3色が、加法混色における第1及び第2蛍光色の関連する寄与に実際には依存することが理解されよう。赤色の寄与が増大するにつれて、第3色は黄色から橙色に及び赤色に変化していく。緑色の寄与が増大するにつれて、第3色は黄緑色に及び緑色に変化していく。
【0028】
この例では、非可視光励起が紫外線励起であることを前提とする。しかしながら、非可視光励起は、代替的に、近赤外線励起、又は、可視応答を適切にトリガすることができる可視スペクトルの外側の任意の他の励起であってもよいことが理解されよう。本発明の範囲内では、非可視光励起に反応する1つインクのみ又は2以上のインクが検討されてもよい。
【0029】
図1図5は、本発明の第1実施形態に係る印刷セキュリティフィーチャ(参照符号1によってその全体が識別される)を示しており、印刷セキュリティフィーチャ1は、(可視光下での)印刷セキュリティフィーチャの第1図形表示が、第1二次元図形要素A(すなわち、下向きの三角形状−図1図3A図3B参照)を示すという事実によって特徴付けられ、第1二次元図形要素Aは、印刷セキュリティフィーチャが非可視光で照射された時に目に見えるようになる区別可能な二次元図形要素B(すなわち、上向きの三角形状−図2図5を参照)とは区別可能であり、第1二次元図形要素A及び区別可能な二次元図形要素Bは、セキュリティフィーチャ1(図2を参照)の印刷範囲内で部分的に重なり合うように位置決めされ、印刷範囲は図1図5において参照符号100によって示される。区別可能な二次元図形要素Bの境界は、図2図5において破線で描かれ、及び、参照符号160によって示される。図1図5の例では、第1二次元図形要素A及び区別可能な二次元図形要素Bは、同一の形状(すなわち、図示した例では三角形状)を有しており、かつ、第1二次元図形要素Aと区別可能な二次元図形要素Bとの間の転換が同一の図形要素の一方の位置からもう一方の位置(すなわち、下向き又は上向きの三角形状)への反転又は移動の印象を与えるように設計される。
【0030】
対照的に、図6図10は、本発明の第2実施形態に係る印刷セキュリティフィーチャ(参照符号1によってその全体が識別される)を示しており、印刷セキュリティフィーチャ1は、(可視光下での)印刷セキュリティフィーチャの第1図形表示が、第1二次元図形要素C(すなわち、数字記号「1」−図6図8A図8C参照)を示すという事実によって特徴付けられ、第1二次元図形要素Cは、印刷セキュリティフィーチャが非可視光で照射された時に目に見えるようになる区別可能な二次元図形要素D(すなわち、数字記号「2」−図7図10参照)とは区別可能であり、第1二次元図形要素C及び区別可能な二次元図形要素Dは、セキュリティフィーチャ1図7参照)の印刷範囲内で部分的に重なり合うように位置決めされ、印刷範囲は、図6図10において参照符号200によって示される。区別可能な二次元図形要素Dの境界は、図7図10において破線で描かれ、及び、参照符号260によって示される。図6図10の例では、第1二次元図形要素C及び区別可能な二次元図形要素Dは、認識可能な情報を各々が提供する異なった形状(すなわち、図示した例では数字記号「1」及び「2」)を有しており、及び、第1二次元図形要素Cと区別可能な二次元図形要素Dとの間の転換が認識可能な情報の変化(すなわち、数字記号「1」と数字記号「2」との間の変化)をもたらすように設計される。
【0031】
両実施形態では、印刷範囲100、200はそれぞれ、図1図5において参照符号110、120によって、及び、図6図10において参照符号210、220によって示される多数の平行の直線要素から構成される。これらの直線要素110、120、210、220はそれぞれ、好ましくは1ミリメートル当たり2〜50線のオーダを有する所定の空間周波数で印刷される。図が直線要素110、120、210、220をそれぞれ示す一方で、本発明は、多数の隣接する曲線要素(例えば隣接する波、同心円、又は、多数の隣接する要素として印刷され得る任意の他の非直線要素など)から構成された印刷範囲を含むセキュリティフィーチャにも同等に適用可能である。直線要素及び曲線要素を組み合わせることも可能である。
【0032】
好ましくは、図1図5の多数の平行の直線要素110、120は、印刷範囲100の第1ゾーン101に広がる第1セットの直線要素110と、印刷範囲100の第2ゾーン102に広がる少なくとも第2セットの直線要素120と、を含む。同様に、図6図10の多数の平行の直線要素210、220は、印刷範囲200の第1ゾーン201に広がる第1セットの直線要素210と、印刷範囲200の第2ゾーン202に広がる少なくとも第2セットの直線要素220と、を含む。このことは、印刷セキュリティフィーチャが白色可視光で照射される状態において適切に識別され得る第1図形表示を規定することを助ける。
【0033】
これに関連して、第1セットの直線要素110、210がそれぞれ第1方向に沿って(すなわち、本例において垂直に)延在するように第1セットの直線要素110、210のそれぞれを設計すること、及び、第2セットの直線要素120、220が、第1方向とは異なる第2方向に沿って(すなわち、図示した例において水平に)延在するように第2セットの直線要素120、220のそれぞれを設計することが好ましい。さらに、図1図10の例示では、第1及び第2セット110、120、210、220のそれぞれの直線要素は、図1図5では参照符号150によって、及び、図6図10では参照符号250によって示される印刷されない境界線によって分離される。
【0034】
図示した例では、要素110、120及び210、220はそれぞれ、一定の線幅wを有することが好ましく、線幅wは、20μm〜200μmの範囲内で好都合に選択され得る。しかしながら、本発明の範囲内では、追加情報を表すために線幅の調節を検討してもよい。図示した例では、要素110、120及び210、220がそれぞれ100μmのオーダの線幅を有していること、及び、要素110、120及び210、220のそれぞれの空間周波数が、1ミリメートル当たり5線のオーダを有することが前提とされる。印刷されない境界線150、250はそれぞれ、図示した例では150μmのオーダの幅を示す。
【0035】
本発明に従って、直線要素110、120及び210、220がそれぞれ、白色可視光で照射された時に同一の又はほぼ同一の光学的外観を示す少なくとも第1及び第2インクによって印刷され、その結果、印刷セキュリティフィーチャ1、1はそれぞれ、白色可視光で照射された時に第1図形表示(図1図6)を生成する。すでに述べたように、第1及び第2インクは、区別可能な蛍光色(すなわち、この例では緑色及び赤色)を有する第1及び第2蛍光インクであることが好ましい。
【0036】
図3A及び図3Bを参照すると、二次元図形要素Bの境界160の内側では、直線要素110、120は、第1及び第2並列セクション110a、110b(図3A参照)、120a、120b(図3B参照)にそれぞれさらに分割されることが分かる。言い換えれば、第1及び第2並列セクション110a、110b及び120a、120bはそれぞれ、互いに結合して隣接するように印刷される。第1並列セクション110a、120aは第1蛍光インク(すなわち、図3A及び図3Bにおいて網掛けで識別される蛍光緑色インク)によって印刷される一方で、第2並列セクション110b、120bは第2インク(すなわち、図3A及び図3Bにおいて無地で特定される蛍光赤色インク)によって印刷される。二次元図形要素Bの境界160の外側では、直線要素110、120は第1インク(例えば図3B参照)又は第2インク(例えば図3A参照)のみによって印刷される。
【0037】
同様に、図8A図8Cを参照すると、二次元図形要素Dの境界260の内側では、直線要素210、220は、第1及び第2並列セクション210a、210b(図8A参照)、220a、220b(図8B及び図8Cを参照)にそれぞれさらに分割されることが分かる。言い換えれば、第1及び第2並列セクション210a、210b及び220a、220bはそれぞれ、互いに結合して隣接するように印刷される。第1並列セクション210a、220aは第1蛍光インク(すなわち、図8A及び図8Cにおいて網掛けで識別される蛍光緑色インク)によって印刷される一方で、第2並列セクション210b、220bは第2インク(すなわち、図8A及び図8Cにおいて無地で識別される蛍光赤色インク)によって印刷される。二次元図形要素Dの境界260の外側では、直線要素210、220は第1インク(例えば図8A及び図8B参照)又は第2インク(例えば図8C参照)のみによって印刷される。
【0038】
いずれの場合も、第1及び第2インクは、他方に対して一方を見当合わせして印刷され、その結果、二次元図形要素B、Dそれぞれの境界160、260はそれぞれ、印刷セキュリティフィーチャが白色可視光で照射された時には見に見えず、及び、二次元図形要素B、Dそれぞれは印刷セキュリティフィーチャが非可視光で照射された時にのみ目に見るようになる。
【0039】
実際、図4によって例示するように、第1及び第2インクの配置は、セキュリティフィーチャ1が紫外線励起を受けた時、二次元図形要素Bの境界160の外側の、第1インクによって全体が印刷された直線要素110、120の部分P1が、蛍光緑色領域(図4の印刷範囲100の左上隅の三角形エリア)として現れる一方で、二次元図形要素Bの境界160の外側の、第2インクによってその全体が印刷された直線要素110、120の部分P2が、蛍光赤色領域(図4の印刷範囲100の右上隅の三角形エリア)として現れるようにされる。二次元図形要素Bの境界160の内側の、第1及び第2蛍光インクの配合によって印刷された直線要素110、120の残りの部分P3(すなわち、上向きの三角形状を形成する部分)は、蛍光緑色及び蛍光赤色の加法混色によって蛍光黄色領域として現れる。
【0040】
同様のことが図6図10の実施形態に関しても当てはまる。実際、図9によって例示するように、第1及び第2インクの配置は、セキュリティフィーチャ1が紫外線励起を受けた時、二次元図形要素Dの境界260の外側の、第1インクによってその全体が印刷された直線要素210、220の部分P1が、蛍光緑色領域(図9の数字記号「2」の左側の背景の部分)として現れる一方で、二次元図形要素Dの境界260の外側の、第2インクによって全体が印刷された直線要素210、220の部分P2が、蛍光赤色領域(図9の数字記号「2」の右側の背景の部分)として現れるようにされる。二次元図形要素Dの境界260の内側の、第1及び第2蛍光インクの配合によって印刷された直線要素210、220の残りの部分P3(すなわち、数字記号「2」を形成する部分)は、蛍光緑色及び蛍光赤色の加法混色によって蛍光黄色領域として現れる。
【0041】
図5及び図10は、印刷セキュリティフィーチャ1、1がそれぞれ、非可視光(すなわち、紫外線)で照射された時に結果として生じる図形表示を概略的に示す図である。
【0042】
前述の実施形態では、二次元図形要素B、Dそれぞれの境界160、260それぞれの内側の、第2並列セクション110b、120b及び210b、220bそれぞれの表面に対する第1並列セクション110a、120a及び210a、220aそれぞれの表面の比率は1にほぼ等しい。言い換えれば、図3A図3B及び図8A図8Cの例示では、各並列セクションの線幅は、直線要素の全体の線幅wのおよそ半分(すなわち、w/2)である。この比率は必要に応じて変更されてもよい。この比率は、1/2〜2の範囲内にあることが好ましく、前述した好適な実施形態で用いられる第1及び第2蛍光インクのそれぞれの寄与を調節するための適応性を提供し、それによって、第1及び第2蛍光色の加法混色から生じる第3蛍光色の調整を可能にする。
【0043】
隣接する直線(及び/又は場合によっては曲線要素)の印刷は、同時オフセットによって、すなわち、第1及び第2オフセット印刷版に第1及び第2インクをそれぞれ付けることによって、かつ、印刷前に第1及び第2オフセット印刷版から共通のブランケット胴に結果として生じる第1及び第2インクパターンを転写することによって、実行されることが好ましい。第1及び第2インクの間の適正な見当合わせによって多数の隣接する直線要素及び/又は曲線要素を印刷するように印刷プロセスが適合されている場合、他の印刷プロセス(例えば凹版印刷など)が検討されてもよい。適切な同時オフセット印刷機は、例えば、参照によって本願に組み込まれる欧州特許出願公開第0949069A1号明細書に開示されている。前述のセキュリティフィーチャ1、1はそれぞれ、欧州特許出願公開第0949069A1号明細書の印刷機の主要な印刷グループの一方又は他方のブランケット胴と協働する4つの版胴のうちの2つを用いて(参照符号4〜7、8〜11それぞれが示す、共通のブランケット胴2、3それぞれと協働する関連の版胴を示す当該明細書の図1を参照)、シート(又は、任意の他の適切な基材)の一方の側又は他方の側上に好都合に印刷されることができる。代替的に、前述のセキュリティフィーチャ1、1それぞれはまた、欧州特許出願公開第0949069A1号明細書の印刷機の追加の印刷グループのブランケット胴と協働する2つの版胴(参照符号23及び24が共通のブランケット胴22と協働する関連の版胴を示す当該明細書の図1を参照)を用いて、シートの一方の側上に印刷されることができる。
【0044】
前述の実施形態の変形例が可能である。(第1及び第2インクに加えて)少なくとも第3及び第4インクによって直線要素及び/又は曲線要素をさらに印刷することを特に検討することができ、第3及び第4インクは、白色可視光で照射された時に同一の又はほぼ同一の光学的外観を示し、第3及び第4インクの光学的外観は第1及び第2インクの光学的外観とは異なる。これに関連して、第3インクは、第4インクから第3インクを区別する特徴的な光学的応答を生成することによって非可視光励起にも反応するインクであり、第3インクの特徴的な光学的応答は第1インクの特徴的な光学応答と同一又はほぼ同一である。第1及び第2インクと同様に、第3及び第4インクはまた、印刷セキュリティフィーチャが白色可視光で照射された時に区別可能な二次元図形要素の境界が目に見えないままである一方で、印刷セキュリティフィーチャが非可視光で照射された時に区別可能な二次元図形要素のみが目に見えるようになるように、他方に対して一方を見当合わせして印刷される。
【0045】
このような変形例の実例を、図11図13及び図14図16に示しており、かつ、以下に簡単に説明する。
【0046】
図11図13は、図1図5の第1実施形態の変形例を図示しており、参照符号1**によって示される印刷セキュリティフィーチャが、概して上で定義したように4つのインクを用いて印刷される。この特定の例では、第1実施形態と同じ特性を有する第1及び第2インクが用いられ、すなわち、非可視光励起を受けた時に対応の可視応答を生成する第1及び第2蛍光インクが用いられ、第1及び第2インクは、互いに異なる第1及び第2蛍光色をそれぞれ有する区別可能な可視応答を生成する。第1実施形態と同様に、第1蛍光インクは、緑色の蛍光を発するインクである一方で、第2蛍光インクは、赤色の蛍光を発するインクである。これらの例も単なる例示であり、及び、特許請求の範囲で定義されるような本発明の範囲から逸脱しない限りにおいて他の蛍光色が検討されてもよい。この例でも、第1及び第2インクは、白色可視光で照射された時に同一の又はほぼ同一の光学的外観を示す。
【0047】
第1実施形態とは対照的に、セキュリティフィーチャ1**を印刷するために、第3及び第4インク、すなわち、同一の又はほぼ同一の光学的外観を示すが第1及び第2インクの光学的外観とは異なる第3及び第4インクがさらに用いられる。この特定の例では、第3及び第4インクはまた、非可視光励起を受けた時に対応の可視応答を生成する第3及び第4蛍光インクであることが好ましく、第3及び第4インクは区別可能な可視応答を生成する。第3蛍光インクによって生成された蛍光色は、第1蛍光インクの第1蛍光色(すなわち、この場合は緑色)と同一又はほぼ同一になるように選択される。対照的に、第4蛍光インクによって生成された蛍光色は、第2蛍光インクの第2蛍光色(すなわち、この場合は赤色)と同一又はほぼ同一になるように選択される。
【0048】
図1図5の第1実施形態とほぼ同様に、図11図13の印刷セキュリティフィーチャ1**は、(可視光下の)印刷セキュリティフィーチャの第1図形表示が、第1二次元図形要素E(すなわち、下向きの三角形状)を示すという事実によって特徴付けられ、第1二次元図形要素Eは、印刷セキュリティフィーチャが非可視光で照射された時に目に見えるようになる区別可能な二次元図形要素F(すなわち、上向きの三角形状)とは区別可能であり、第1二次元図形要素E及び区別可能な二次元図形要素Fは、セキュリティフィーチャ1**の印刷範囲内で部分的に重なり合うように位置決めされ(図12を参照)、印刷範囲は、図11図13において参照符号300によって示される。区別可能な二次元図形要素Fの境界は、図12及び図13において破線で描かれ、かつ、参照符号360によって示される。図11図13の例では、第1二次元図形要素E及び区別可能な二次元図形要素Fは同様に、同一の形状(すなわち、図示した例では三角形状)を有しており、かつ、第1二次元図形要素Eと区別可能な二次元図形要素Fとの間の転換が一方の位置からもう一方の位置(すなわち、下向き又は上向きの三角形)への同一の図形要素の反転又は移動の印象を与えるように設計される。
【0049】
この変形例では、印刷範囲300は、図11及び図12では参照符号310、320によって示される多数の平行の直線要素から構成される。直線要素310、320の幾何学的及び空間的配置は第1実施形態の直線要素110、120の幾何学的及び空間的配置と同一である。言い換えれば、多数の平行の直線要素310、320は、印刷範囲300の第1ゾーン301に広がる第1セットの直線要素310と、印刷範囲300の第2ゾーン302に広がる少なくとも第2セットの直線要素320と、を含む。直線要素の第1及び第2セット310、320は、参照符号350によって示される印刷されない境界線によって同様に分離されるが、この境界線350は省略されてもよい。直線要素310、320の方向は第1実施形態の直線要素110、120の方向と同一であるが、これは必須ではない。
【0050】
第1実施形態とは対照的に、可視光によって照射された時に異なる光学的外観を有するインク、すなわち、一方では第1及び第2インクを、かつ、他方では第3及び第4インクを使用することによって、第1図形表示Eは強化される。より具体的には、第1ゾーン301は、第1及び第2インクを用いて印刷された直線要素310から構成される一方で、第2ゾーン302は、第3及び第4インクを用いて印刷された直線要素320から構成される。第1及び第2ゾーン301、302は、従って、第3及び第4インクと比較して、第1及び第2インクの異なる光学的外観に起因して明確に区別可能である。
【0051】
区別可能な二次元図形要素Fの境界360内で、直線要素310の部分P3**は、第1実施形態における第1及び第2インクの配合によって印刷される。同様に、区別可能な二次元図形要素Fの境界360の外側で、直線要素310の部分P1**、P2**は第1インク及び第2インクのいずれかによって印刷される。さらに、区別可能な二次元図形要素Fの境界360内で、直線要素320の2つの部分P6**は第3及び第4インクの配合によって印刷される。同様に、区別可能な二次元図形要素Fの境界360の外側で、直線要素320の部分P4**、P5**は第3インク及び第4インクのいずれかによって印刷される。
【0052】
直線要素310、320は、図3A及び図3Bを参照してすでに説明したのと同一の原理に従って境界360の内側に印刷されるが、直線要素310が、第1及び第2インクの配合によって印刷された第1及び第2並列セクションに(部分P3**内で)さらに分割される一方で、直線要素320が、第3及び第4インクの配合によって印刷された第1及び第2並列セクションに(部分P6**内で)さらに分割される点で相違する。線幅w及び線周波数に関する注釈を含む、前の実施形態に関連して上述したのと同一のルールが適用される。
【0053】
この例では、例えば第1インクのみによって印刷された直線要素310の三角形部分P1**とともに、図1図5の実施形態と同様に非可視光(すなわち、紫外線)によって照射された時に緑色の蛍光を発する三角形部分を共同で形成するために、境界360の外側の印刷範囲300の左側の直線要素320の三角形部分(すなわち、部分P4**)が第3インクのみによって印刷される。同様に、例えば第2インクのみによって印刷された直線要素310の三角形部分P2**とともに、図1図5の実施形態と同様に非可視光(すなわち、紫外線)で照射された時に赤色の蛍光を発する三角形部分を共同で形成するために、印刷範囲300の右側の直線要素320の三角形部分P5**が第4インクのみによって印刷される。
【0054】
区別可能な二次元図形要素Fの境界360内では、一方では第1及び第2インクの配合(部分P3**内)、及び、他方では第3及び第4インクの配合(部分P6**内)の両方が、蛍光緑色及び蛍光赤色の加法混色によって、黄色の蛍光を発する容易に認識可能な三角形要素Fを形成することをもたらす。
【0055】
図14図16は、参照符号1***によって示される印刷セキュリティフィーチャが、上で概して定義されるように4つのインクを用いて印刷された図6図10の第2実施形態の変形例を図示する。この特定の例では、第2実施形態と同一の特性を有する第1及び第2インクが用いられ、すなわち、非可視光を受けた時に対応の可視応答を生成する第1及び第2蛍光インクが用いられ、第1及び第2インクは、互いに異なる第1及び第2蛍光色をそれぞれ有する区別可能な可視応答を生成する。第2実施形態と同様に、第1蛍光インクは、緑色の蛍光を発するインクである一方で、第2蛍光インクは、赤色の蛍光を発するインクである。これらの例も単に例示であり、かつ、特許請求の範囲で定義される本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて他の蛍光色が検討されてもよい。この例でも、第1及び第2インクは、白色可視光で照射された時に同一の又はほぼ同一の光学的外観を示す。
【0056】
第2実施形態とは対照的に、セキュリティフィーチャ1***を印刷するために、第3及び第4インク、すなわち、同一又はほぼ同一の光学的外観を示すが第1及び第2インクの光学的外観とは異なる第3及び第4インクがさらに用いられる。この特定の例では、第3及び第4インクはまた、非可視光励起を受けた時に対応の可視応答を生成する第3及び第4蛍光インクであることが好ましく、第3及び第4インクは区別可能な可視応答を生成する。第3蛍光インクによって生成された蛍光色はまた、第1蛍光インクの第1蛍光色(すなわち、この場合は緑色)と同一又はほぼ同一であるように選択される。同様に、第4蛍光インクによって生成された蛍光色はまた、第2蛍光インクの第2蛍光色(すなわち、この場合は赤色)と同一又はほぼ同一であるように選択される。
【0057】
図6図10の第2実施形態とほぼ同様に、図14図16の印刷セキュリティフィーチャ1***は、(可視光下の)印刷セキュリティフィーチャの第1図形表示が第1二次元図形要素G(すなわち、数字記号「1」)を示すという事実によって特徴付けられ、第1二次元図形要素Gは、印刷セキュリティフィーチャが非可視光で照射された時に目に見えるようになる区別可能な二次元図形要素H(すなわち、数字記号「2」)と区別可能であり、第1二次元図形要素G及び区別可能な二次元図形要素Hは、セキュリティフィーチャ1***の印刷範囲内で部分的に重なり合うように位置決めされ(図15参照)、印刷範囲は図14図16において参照符号400によって示される。区別可能な二次元図形要素Hの境界は、図15及び図16において破線で描かれ、かつ、参照符号460によって示される。図14図16の例では、第1二次元図形要素G及び区別可能な二次元図形要素Hは各々、同様に、認識可能な情報を提供する異なった形状(すなわち、図示した例では数字記号「1」及び「2」)を有しており、かつ、第1二次元図形要素G及び区別可能な二次元図形要素Hは、第1二次元図形要素と区別可能な二次元図形要素Hとの間の転換が、認識可能な情報の変化(すなわち、数字記号「1」と数字記号「2」との間の変化)をもたらすように設計される。
【0058】
この変形例では、印刷範囲400は、図14及び図15において参照符号410、420によって示される多数の平行の直線要素から構成される。直線要素410、420の幾何学的及び空間的配置は第2実施形態の直線要素210、220の幾何学的及び空間的配置と同一である。言い換えれば、多数の平行の直線要素410、420は、印刷範囲400の第1ゾーン401に広がる第1セットの直線要素410と、印刷範囲400の第2ゾーン402に広がる少なくとも第2セットの直線要素420と、を含む。直線要素の第1及び第2セット410、420は同様に、参照符号450によって示される印刷されない境界線によって同様に分離されるが、この境界線450は省略されてもよい。直線要素410、420の方向は第1実施形態の直線要素210、220の方向と同一であるが、これもやはり必須ではない。
【0059】
第2実施形態とは対照的に、可視光によって照射された時に異なる光学的外観を有するインク、すなわち、一方では第1及び第2インク、他方では第3及び第4インクの使用によって、第1図形表示Gが強化される。より具体的には、第1ゾーン401は、第1及び第2インクを用いて印刷された直線要素410から構成される一方で、第2ゾーン402は、第3及び第4インクを用いて印刷された直線要素420から構成される。第1及び第2ゾーン401、402は、従って、第3及び第4インクと比較して第1及び第2インクの異なる光学的外観によって明確に区別可能である。
【0060】
区別可能な二次元図形要素Hの境界460内の直線要素410の部分P3***は、第1実施形態における第1及び第2インクの配合によって印刷される。同様に、区別可能な二次元図形要素Hの境界460の外側の直線要素410の部分P1***、P2***は第1インク及び第2インクのいずかによって印刷される(図示した例では、図形要素Hの上方に直線要素410の2つのさらなる部分があるということに留意されたい)。さらに、区別可能な二次元図形要素Hの境界460内の直線要素420の部分P6***は、第3及び第4インクの配合によって印刷される。同様に、区別可能な二次元図形要素Fの境界460の外側の直線要素420の部分P4***、P5***は第3インク又は第4インクのいずれかによって印刷される。
【0061】
境界460内で直線要素410、420は、図8A図8Cを参照してすでに説明したのと同一の原理に沿って印刷されるが、直線要素410が、第1及び第2インクの配合によって印刷された第1及び第2並列セクションにさらに分割される一方で、直線要素420が、第3及び第4インクの配合によって印刷された第1及び第2並列セクションにさらに分割される点で相違する。再び、線幅w及び線周波数に関する注釈を含む、前の実施形態に関連して上述したのと同一のルールが適用される。
【0062】
この例では、例えば第1インクのみによって印刷された直線要素410の対応の部分P1***とともに、図6図10の実施形態と同様に非可視光(すなわち、紫外線)で照射された時に緑色の蛍光を発する左部分を共同で形成するために、境界460の外側の、印刷範囲400の左側の直線要素420の部分(すなわち、部分P4***)が第3インクのみによって印刷される。同様に、例えば第2インクのみによって印刷された直線要素410の対応の部分P2***とともに、図6図10の実施形態と同様に非可視光(すなわち、紫外線)で照射された時に赤色の蛍光を発する右部分を形成するために、境460の外側の、印刷範囲400の右側の直線要素420の部分P5***が第4インクのみによって印刷される。
【0063】
区別可能な二次元図形要素Hの境界460内では、一方では第1及び第2インクの配合(部分P3***内)、及び、他方では第3及び第4インクの配合(部分P6***内)の両方が、蛍光緑色及び蛍光赤色の加法混色によって黄色の蛍光を発する数字記号「2」を形成する容易に認識可能な要素Hを形成する。
【0064】
添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲から逸脱しない限りにおいて、上述した実施形態への様々な変更及び/又は改良が行われてもよい。
【0065】
すでに述べたように、本発明の範囲内において、印刷範囲は、所定の空間周波数で印刷された多数の隣接する直線要素及び/又は曲線要素から構成されてもよい。本発明は、従って、印刷範囲が、多数の隣接する直線要素110、120、210、220のみから構成される場合の図示した例に限定されない。
【0066】
さらに、並列セクションは、図3A図3B又は図8A図8Cに図示される直線要素及び/又は曲線要素の幅に沿って分割される隣接する線セクションであってもよく、又は、直線要素及び/又は曲線要素の長さに沿って分割される一連の隣接する線セクションであってもよい。
【0067】
上述の実施形態では全てのインクが蛍光インクである。しかしながら、図1図10の実施形態に関連して1つのみの蛍光インクが(第1インク又は第2インクとして)用いられ得ることが理解されよう。同様に、同一の又はほぼ同一の蛍光色を生成する2つのみの蛍光インクが図11図16の実施形態に関連して(第1及び第3インク又は第2及び第4インクとして)用いられ得ることが理解されよう。さらに、蛍光インクは、例えば紫外線、近赤外線励起、又は、可視スペクトルの外側の任意の他の適切な励起などの任意の適切な非可視光励起に反応するものであってもよい。
【符号の説明】
【0068】
1 印刷セキュリティフィーチャ(第1実施形態−図1図5
100 印刷範囲(第1実施形態)
101 印刷範囲100の第1ゾーン/図1の印刷範囲100の上縁から下向きの三角形エリア
102 印刷範囲100の第2ゾーン/図1の三角形エリア101の両側に配置された三角形エリア
A 印刷セキュリティフィーチャ1が白色可視光で照射された時に目に見える(第1)二次元図形要素(例えば下向きの三角形状)(図1
B 印刷セキュリティフィーチャ1が非可視光で照射された時に目に見えるようになる(第2)区別可能な二次元図形要素(例えば上向きの三角形状)(図4図5
110 隣接する直線(及び/曲線)要素/第1ゾーン101に広がる平行の直線要素/第1(例えば垂直)方向に沿って延在する線
110a 特徴的な光学応答を生成することによって非可視光励起に反応する第1インク/例えば、非可視光励起(例えば紫外線励起)を受けた時に(第1)蛍光(例えば緑)色を生成する(第1)蛍光インクによって印刷された区別可能な二次元図形要素Bの境界160の内側の直線要素110の第1(並列)セクション
110b 第2インク/例えば、非可視光励起(例えば紫外線励起)を受けた時に(第2)蛍光(例えば赤)色を生成する(第2)蛍光インクによって印刷された区別可能な二次元図形要素Bの境界160の内側の直線要素110の第2(並列)セクション
120 隣接する直線(及び/又は曲線)要素/第2ゾーン102に広がる平行の直線要素/第2(例えば水平)方向に沿って延在する線
120a 区別可能な二次元図形要素Bの境界160の内側の、第1インク(110aと同一のインク)によって印刷された直線要素120の第1(並列)セクション
120b 区別可能な二次元図形要素Bの境界160の内側の、第2インク(110bと同一のインク)によって印刷された直線要素120の第2(並列)セクション
150 第1及び第2ゾーン101、102の間の印刷されない境界線
160 二次元図形要素Bの境界(白色可視光で照射された時には目に見えない)
P1 第1(蛍光)インクのみによって印刷された要素110、120の部分
P2 第2(蛍光)インクのみによって印刷された要素110、120の部分
P3 第1及び第2(蛍光)インクの配合によって印刷された要素110、120の部分
印刷セキュリティフィーチャ(第2実施形態−図6図10
200 印刷範囲(第2実施形態)
201 印刷範囲200の第1ゾーン/図6の数字記号「1」を形成するエリア
202 印刷範囲200の第2ゾーン/図6の数字記号「1」を囲む背景エリア
C 印刷セキュリティフィーチャ1が白色可視光で照射された時に目に見える(第1)二次元図形要素(例えば数字記号「1」)(図6
D 印刷セキュリティフィーチャ1が非可視光で照射された時に目に見えるようになる(第2)区別可能な二次元図形要素(例えば数字記号「2」)(図9図10
210 隣接する直線(及び/又は曲線)要素/第1ゾーン201に広がる平行の直線要素/第1(例えば垂直)方向に沿って延在する線
210a 特徴的な光学応答を生成することによって非可視光励起に反応する第1インク/例えば非可視光励起(例えば紫外線励起)を受けた時に(第1)蛍光(例えば緑)色を生成する(第1)蛍光インクによって印刷された区別可能な二次元図形要素Dの境界260の内側の直線要素210の第1(並列)セクション
210b 第2インク/例えば非可視光励起(例えば紫外線励起)を受けた時に(第2)蛍光(例えば赤)色を生成する(第2)蛍光インクによって印刷された区別可能な二次元図形要素Dの境界260の内側の直線要素210の第2(並列)セクション
220 隣接する直線(及び/又は曲線)要素/第2ゾーン202に広がる平行の直線要素/第2(例えば水平)方向に沿って延在する線
220a 区別可能な二次元図形要素Dの境界260の内側の、第1インク(210aと同一のインク)によって印刷された直線要素220の第1(並列)セクション
220b 区別可能な二次元図形要素Dの境界260の内側の、第2インク(210bと同一のインク)によって印刷された直線要素220の第2(並列)セクション
250 第1及び第2ゾーン201、202の間の印刷されない境界線
260 二次元図形要素Dの境界(白色可視光で照射された時には目に見えない)
P1 第1(蛍光)インクのみによって印刷された要素210、220の部分
P2 第2(蛍光)インクのみによって印刷された要素210、220の部分
P3 第1及び第2(蛍光)インクの配合によって印刷された要素210、220の部分
w 直線要素110、120、210、220の線幅/第1及び第2並列セクション110a+110b、120a+120b、210a+210b及び220a+220bの結合線幅
** 印刷セキュリティフィーチャ(第1実施形態の変形例−図11図13
300 印刷範囲(第1実施形態の変形例)
301 印刷範囲300の第1ゾーン/図11の印刷範囲300の上縁から下向きの三角形エリア
302 印刷範囲300の第2ゾーン/図11の三角形エリア301の両側に配置された三角形エリア
E 印刷セキュリティフィーチャ1**が白色可視光で照射された時に目に見える(第1)二次元図形要素(例えば下向きの三角形状)(図11
F 印刷セキュリティフィーチャ1**が非可視光で照射された時に目に見えるようになる(第2)区別可能な二次元図形要素(例えば上向きの三角形状)(図13
310 隣接する直線(及び/又は曲線)要素/第1ゾーン301に広がる平行の直線要素/第1(例えば垂直)方向に沿って延在する線
320 隣接する直線(及び/又は曲線)要素/第2ゾーン302に広がる平行の直線要素/第2(例えば水平)方向に沿って延在する線
350 第1及び第2ゾーン301、302の間の印刷されない境界線
360 二次元図形要素Fの境界(白色可視光で照射された時には目に見えない)
P1** 第1(蛍光)インクのみによって印刷された要素310の部分
P2** 第2(蛍光)インクのみによって印刷された要素310の部分
P3** 第1及び第2(蛍光)インクの配合によって印刷された要素310の部分
P4** 第3(蛍光)インクのみによって印刷された要素320の部分
P5** 第4(蛍光)インクのみによって印刷された要素320の部分
P6** 第3及び第4(蛍光)インクの配合によって印刷された要素320の部分
*** 印刷セキュリティフィーチャ(第2実施形態の変形例−図14図16
400 印刷範囲(第2実施形態の変形例)
401 印刷範囲400の第1ゾーン/図14の数字記号「1」を形成するエリア
402 印刷範囲400の第2ゾーン/図14の数字記号「1」を取り囲む背景エリア
G 印刷セキュリティフィーチャ1***が白色可視光で照射された時に目に見える(第1)二次元図形要素(例えば数字記号「1」)(図11
H 印刷セキュリティフィーチャ1***が非可視光で照射された時に目に見えるようになる(第2)区別可能な二次元図形要素(例えば数字記号「2」)(図16
410 隣接する直線(及び/又は曲線)要素/第1ゾーン401に広がる平行の直線要素/第1(例えば垂直)方向に沿って延在する線
420 隣接する直線(及び/又は曲線)要素/第2ゾーン401に広がる平行の直線要素/第2(例えば水平)方向に沿って延在する線
450 第1及び第2ゾーン401、402の間の印刷されない境界線
460 二次元図形要素Hの境界(白色可視光で照射された時には目に見えない)
P1*** 第1(蛍光)インクのみによって印刷された要素410の部分
P2*** 第2(蛍光)インクのみによって印刷された要素410の部分
P3*** 第1及び第2(蛍光)インクの配合によって印刷された要素410の部分
P4*** 第3(蛍光)インクのみによって印刷された要素420の部分
P5*** 第4(蛍光)インクのみによって印刷された要素420の部分
P6** 第3及び第4(蛍光)インクの配合によって印刷された要素420の部分
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図8C
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16