(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1に記載の技術では、ガスタービンにおける冷却対象の一つである圧縮空気の熱を利用して、排熱回収ボイラに送る水を加熱している。しかしながら、上記特許文献1に記載の技術では、256℃の高温の圧縮空気を用いて、15℃の水を205℃まで加熱しているため、つまり高温側の媒体と低温側の媒体との温度差が大きいため、熱交換の効率が低く、冷却対象の熱を効率よく利用できない、という問題点がある。また、産業界や電気業界では、水の加熱源として、ガスタービンプラントの各種冷却対象のうちで、相対的に低温の冷却対象の熱もできる限り有効に利用したい、という要望もある。
【0007】
そこで、本発明は、ガスタービンプラントの各種冷却対象のうちで、相対的に低温の冷却対象の熱も利用でき、しかも、冷却対象の熱を効率よく利用できる給水加熱装置、これを備えているガスタービンプラント、及び給水予熱方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための発明に係る一態様としての給水加熱装置は、
空気を圧縮する圧縮機、圧縮された空気中で燃料を燃焼させて燃焼ガスを生成する燃焼器、及び、燃焼ガスで駆動するタービンを有するガスタービンと、前記タービンからの排気ガスで水を加熱して蒸気を発生させる少なくとも1以上の蒸発器、及び、1以上の前記蒸発器のうちで最も内圧の低い低圧蒸発器に送る水を前記排気ガスで加熱する節炭器を有する排熱回収ボイラと、を備えるガスタービンプラントの給水予熱装置において、前記ガスタービンにおける冷却対象と水と熱交換させて、前記冷却対象を冷却すると共に、前記水を加熱する熱交換器と、前記熱交換器で加熱された水を前記節炭器に送る予熱済み給水ラインと、を備え、
前記熱交換器は、複数の冷却器を含み、複数の前記冷却器のうちの一の冷却器は、前記圧縮機の中段からの圧縮空気を前記冷却対象として水と熱交換させて前記圧縮空気を冷却し、冷却した前記圧縮空気を前記圧縮機の中段以降の部分に戻す中間冷却器、又は、前記圧縮機からの圧縮空気の一部を前記冷却対象として水と熱交換させて前記圧縮空気を冷却し、前記ガスタービン中で前記燃焼ガスと接する高温部品に冷却した前記圧縮空気に送る冷却用空気冷却器であり、前記中間冷却器又は前記冷却用空気冷却器は、前記中間冷却器及び前記冷却用空気冷却器を除く冷却器で加熱された水を加熱する。
【0009】
当該給水予熱装置では、ガスタービンにおける冷却対象の熱を利用して、節炭器に送る水を加熱するので、ガスタービンの排熱を有効利用することできる。また、1以上の蒸発器のうちで最も内圧の低い低圧蒸発器に送る水を加熱する節炭器には、ガスタービンプラントのうちで相対的に低い温度の水を送ればよい。このため、当該給水予熱装置では、低温の排熱を有効利用できる。さらに、当該給水予熱装置では、水の加熱源として、ガスタービンプラントの各種冷却対象のうちで、相対的に高温の冷却対象から相対的に低温の冷却対象まで利用できるので、ガスタービンプラントに応じた冷却対象を節炭器におくる水の加熱源に利用することができる。仮に、当該給水予熱装置において、ガスタービンプラントの各種冷却対象のうちで、相対的に低温の冷却対象を節炭器におくる水の熱源に利用すれば、この低温の冷却対象の熱でも有効利用することができる。
さらに、当該給水予熱装置では、冷却対象の異なる少なくとも二種類の冷却器で節炭器に送る水を段階的に加熱する。このため、当該給水予熱装置の各冷却器では、冷却対象と水との温度差が小さく、しかも水の入口温度と出口温度との差が小さくなり、冷却対象と水との熱交換の効率を高めることができる。
【0010】
ここで、前記給水予熱装置において、前記熱交換器は、
複数の前記冷却器のうちの一の冷却器として、前記ガスタービンのロータを回転可能に支持する軸受からの潤滑油を前記冷却対象として水と熱交換させて前記潤滑油を冷却
する一方で前記水を加熱し、冷却された前記潤滑油を前記軸受に戻す潤滑油冷却器を
含み、前記中間冷却器又は前記冷却用空気冷却器は、前記潤滑油冷却器で加熱された水を加熱してもよい。
【0011】
また、以上のいずれかの前記給水予熱装置において、前記タービンには、前記タービンの駆動で発電する発電機が接続されており、前記熱交換器は、
複数の前記冷却器のうちの一の冷却器として、前記発電機の構成部品を冷却する冷却媒体を前記冷却対象として水と熱交換させて前記冷却媒体を冷却する発電機冷却器を含
み、前記中間冷却器又は前記冷却用空気冷却器は、前記発電機冷却器で加熱された水を加熱してもよい。
【0014】
また、
以上のいずれかの前記給水予熱装置において、前記冷却器は、前記低圧蒸発器内における水の飽和温度よりも低い温度の前記冷却対象と前記水とを熱交換してもよい。
【0015】
当該給水予熱装置では、低温の排熱を有効に活用してガスタービンプラントの出力及び効率を高めることができる。さらに、当該給水予熱装置では、前記給水予熱装置における高温側の媒体と低温側の媒体の温度差が小さくなり、低温の排熱を効率よく回収することができ、ガスタービンプラントの出力及び効率を高めることができる。
【0016】
以上のいずれかの前記給水予熱装置において、前記熱交換器は、前記中間冷却器
を含み、前記中間冷却器は、前記節炭器に送られる水の流れに対して最も下流側の冷却器を成し、前記低圧蒸発器内における水の飽和温度よりも低い温度の前記冷却対象と前記水とを熱交換してもよい。
【0017】
当該給水予熱装置では、節炭器に送る水の温度をより低くすることができる。しかも、当該給水予熱装置では、節炭器及び低圧蒸発器での水への加熱が不要になることがなく、節炭器及び低圧蒸発器を通る排気ガスの熱を有効利用することができる。さらに、当該給水予熱装置では、燃焼器の空気入口温度の低下に伴ってガスタービン効率が低下するものの、圧縮機の駆動に必要な動力が小さくなり、ガスタービン効率の低下をより抑えることができる。
【0020】
以上のいずれかの前記給水予熱装置において、前記熱交換器は、前記節炭器に送られる前記水を、前記節炭器の排気ガス出口における前記排気ガスの露点温度よりも高い温度に加熱してもよい。
【0021】
当該給水予熱装置では、節炭器を構成する伝熱管に排気ガス中の水分が凝縮することを抑えることができる。このため、当該給水予熱装置では、節炭器を構成する伝熱管の腐食を抑えることができる。
【0022】
以上のいずれかの前記給水予熱装置において、前記ガスタービンプラントは、前記排熱回収ボイラで発生した蒸気で駆動する蒸気タービンと、前記蒸気タービンの駆動で発電する発電機とを備え、前記熱交換器は、前記蒸気タービンのロータを回転可能に支持する軸受からの潤滑油を冷却対象として水とを熱交換させて前記潤滑油を冷却し、冷却された前記潤滑油を前記軸受に戻す潤滑油冷却器、又は、前記蒸気タービンで駆動する前記発電機の構成部品を冷却する冷却媒体を冷却対象として水と熱交換させて前記冷却媒体を冷却する発電機冷却器を含んでもよい。
【0023】
当該給水予熱装置では、ガスタービンにおける冷却対象以外の冷却対象も、水の加熱源として有効利用することができる。
【0024】
上記目的を達成するための発明に係る一態様としてのガスタービンプラントは、
以上のいずれかの前記給水予熱装置と、前記ガスタービンと、前記排熱回収ボイラと、を備える。
【0025】
当該ガスタービンプラントは、前記給水予熱装置を備えるので、排熱回収ボイラへ送る水の加熱にあたり、ガスタービンプラントの各種冷却対象のうちで、相対的に低温の冷却対象の熱も利用でき、しかも、冷却対象の熱を効率よく利用できる。よって、当該ガスタービンプラントでは、ガスタービンプラントの排熱を有効利用することができる。
【0026】
上記目的を達成するための発明に係る一態様としてのガスタービンプラントの給水予熱方法は、
空気を圧縮する圧縮機、圧縮された空気中で燃料を燃焼させて燃焼ガスを生成する燃焼器、及び、燃焼ガスで駆動するタービンを有するガスタービンと、前記タービンからの排気ガスで水を加熱して蒸気を発生させる少なくとも1以上の蒸発器、及び、1以上の前記蒸発器のうちで最も内圧の低い低圧蒸発器に送る水を前記排気ガスで加熱する節炭器を有する排熱回収ボイラと、を備えるガスタービンプラントの給水予熱方法において、前記ガスタービンにおける冷却対象と水と熱交換させて、前記冷却対象を冷却すると共に、前記水を加熱する熱交換工程と、前記熱交換工程で加熱された水を前記節炭器に送る給水工程と、を実行
し、前記熱交換工程は、複数の冷却工程を含み、複数の前記冷却工程のうちの一の冷却工程は、前記圧縮機の中段からの圧縮空気を前記冷却対象として水と熱交換させて前記圧縮空気を冷却し、冷却した前記圧縮空気を前記圧縮機の中段以降の部分に戻す中間冷却工程、又は、前記圧縮機からの圧縮空気の一部を前記冷却対象として水と熱交換させて前記圧縮空気を冷却し、前記ガスタービン中で前記燃焼ガスと接する高温部品に冷却した前記圧縮空気に送る冷却用空気冷却工程であり、前記中間冷却工程又は前記冷却用空気冷却工程は、前記中間冷却工程及び前記冷却用空気冷却工程を除く冷却工程で加熱された水を加熱する。
【0027】
当該給水予熱方法では、ガスタービンにおける冷却対象の熱を利用して、節炭器に送る水を加熱するので、ガスタービンの排熱を有効利用することできる。また、1以上の蒸発器のうちで最も内圧の低い低圧蒸発器に送る水を加熱する節炭器には、ガスタービンプラントのうちで相対的に低い温度の水を送ればよい。このため、当該給水予熱方法では、節炭器に送る水を加熱する関係上、比較的低温の冷却対象から低温の排熱を効率よく利用できる。さらに、当該給水予熱方法では、熱交換工程での冷却対象と水との温度差が小さくなり、冷却対象の熱を効率よく利用できる。さらに、当該給水予熱方法では、水の加熱源として、ガスタービンプラントの各種冷却対象のうちで、相対的に高温の冷却対象から相対的に低温の冷却対象まで利用できるので、ガスタービンプラントに応じた冷却対象を節炭器におくる水の加熱源に利用することができる。仮に、当該給水予熱方法において、ガスタービンプラントの各種冷却対象のうちで、相対的に低温の冷却対象を節炭器におくる水の熱源に利用すれば、この低温の冷却対象の熱でも有効利用することができる。
さらに、当該給水予熱方法では、各冷却工程での冷却対象と水との温度差が小さくなり、冷却対象と水との熱交換の効率を高めることができる。
【0030】
また、以上のいずれかの前記給水予熱方法において、前記冷却対象の温度は、前記低圧蒸発器内における水の飽和温度よりも低い温度であってもよい。
【0031】
当該給水予熱方法では、低低温の排熱を有効利用することができる。さらに、当該給水予熱方法では、熱交換工程での冷却対象と水との温度差が小さくなり、冷却対象の熱を効率よく利用できる。
【0033】
前記給水予熱方法において、前記熱交換工程は、前記中間冷却工程を含み、前記圧縮機の中段からの圧縮空気と水との熱交換が、前記節炭器におくる水の最後の加熱工程であり、前記圧縮機の中段からの圧縮空気の温度は、前記低圧蒸発器内における水の飽和温度よりも低い温度であってもよい。
【0034】
当該給水予熱方法では、低温の排熱を有効利用することができる。さらに、当該給水予熱方法では、熱交換工程での冷却対象と水との温度差が小さくなり、冷却対象の熱を効率よく利用できる。しかも、当該給水予熱方法では、節炭器及び低圧蒸発器での水への加熱が不要になることがなく、節炭器及び低圧蒸発器を通る排気ガスの熱を有効利用することができる。さらに、当該給水予熱方法では、燃焼器の空気入口温度の低下に伴ってガスタービン効率が低下するものの、圧縮機の駆動に必要な動力が小さくなり、ガスタービン効率の低下をより抑えることができる。
また、以上のいずれかの前記給水予熱方法において、前記熱交換工程では、前記節炭器に送られる前記水を、前記節炭器の排気ガス出口における前記排気ガスの露点温度よりも高い温度に加熱してもよい。
【0035】
当該給水予熱方法では、節炭器を構成する伝熱管に排気ガス中の水分が凝縮することを抑えることができる。このため、当該給水予熱方法では、節炭器を構成する伝熱管の腐食を抑えることができる。
【発明の効果】
【0036】
本発明では、排熱回収ボイラへ送る水の加熱にあたり、ガスタービンプラントの各種冷却対象のうちで、相対的に低温の冷却対象の熱も利用でき、しかも、冷却対象の熱を効率よく利用できる。よって、本発明によれば、ガスタービンプラントの排熱を有効利用することができ、結果として、ガスタービンプラントの出力及び効率を高めることができる。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本発明に係るガスタービンプラントの各種実施形態について、図面を用いて説明する。
【0039】
「第一実施形態」
図1を参照して、本発明に係るガスタービンプラントの第一実施形態について説明する。
【0040】
本実施形態のガスタービンプラントは、ガスタービン10と、ガスタービン10の駆動で発電する発電機41と、ガスタービン10から排気された排気ガスEGの熱で水を加熱して蒸気を発生させる排熱回収装置100と、排熱回収装置100を通過した排気ガスEGを大気に放出する煙突60と、給水予熱装置50と、を備えている。
【0041】
ガスタービン10は、空気Aを圧縮する圧縮機11と、圧縮機11で圧縮された空気中で燃料Fを燃焼させて燃焼ガスを生成する燃焼器21と、高温高圧の燃焼ガスにより駆動するタービン31と、を備えている。
【0042】
圧縮機11は、軸線を中心として回転する圧縮機ロータ13と、この圧縮機ロータ13を回転可能に覆う圧縮機ケーシング17と、有する。
【0043】
タービン31は、燃焼器21からの燃焼ガスにより、軸線を中心として回転するタービンロータ33と、このタービンロータ33を回転可能に覆うタービンケーシング37と、を有している。タービンロータ33は、軸線と平行な軸方向に延びるロータ軸34と、このロータ軸34の外周に固定されている複数の動翼35と、を有している。ロータ軸34及び複数の動翼35には、冷却空気が流れる冷却空気流路36が形成されている。また、タービンケーシング37の内周面には、複数の静翼38が固定されている。タービンケーシング37の内周面とロータ軸34の外周面との間は、燃焼器21からの燃焼ガスが通る燃焼ガス流路を成す。
【0044】
燃焼器21は、タービンケーシング37に固定されている。タービンロータ33と圧縮機ロータ13とは、同一の軸線を中心として回転するもので、相互に連結されて、ガスタービンロータ40を成している。このガスタービンロータ40には、前述の発電機41のロータが接続されている。発電機41のロータやステータは、例えば水素等の冷却媒体で冷却される。このため、発電機41にはこの冷却媒体を水との熱交換で冷却する発電機冷却器51が設けられている。ガスタービンロータ40は、回転可能に軸受45で支持されている。この軸受45には、軸受45からの潤滑油を水との熱交換で冷却して軸受45に戻す潤滑油冷却器52が設けられている。
【0045】
圧縮機11には、圧縮機11で圧縮された空気Aの一部を水との熱交換で冷却して、これをタービン31の冷却空気流路36に送る冷却用空気冷却器54が設けられている。
【0046】
排熱回収装置100は、タービン31を駆動させた燃焼ガス、つまりガスタービン10から排気された排気ガスEGの熱で蒸気を発生させる排熱回収ボイラ110と、排熱回収ボイラ110で発生した蒸気で駆動する蒸気タービン121a,121b,121cと、蒸気タービン121a,121b,121cの駆動で発電する発電機122と、蒸気タービン121aを駆動させた蒸気を水に戻す復水器123と、復水器123中の水を排熱回収ボイラ110に戻す給水ポンプ124と、を備えている。
【0047】
排熱回収装置100は、蒸気タービン121a,121b,121cとして、低圧蒸気タービン121a、中圧蒸気タービン121b、高圧蒸気タービン121cを有している。また、排熱回収ボイラ110は、低圧蒸気LSを発生する低圧蒸気発生部111aと、中圧蒸気ISを発生する中圧蒸気発生部111bと、高圧蒸気HSを発生する高圧蒸気発生部111cと、高圧蒸気タービン121cを駆動させた蒸気を再過熱する再熱部115と、を有している。なお、ここでは、低圧蒸気タービン121a、中圧蒸気タービン121b、高圧蒸気タービン121cの合計3基の蒸気タービンに対して、1基の発電機122を設けているが、各蒸気タービン121a,121b,121cに発電機を設けてもよい。
【0048】
低圧蒸気発生部111aは、水を加熱する低圧節炭器112aと、低圧節炭器112aで加熱された水を蒸気にする低圧蒸発器113aと、低圧蒸発器113aで発生した蒸気を過熱して低圧蒸気LSを生成する低圧過熱器114aと、を有している。
【0049】
中圧蒸気発生部111bは、低圧節炭器112aで加熱された水を昇圧する中圧ポンプ116bと、この中圧ポンプ116bで昇圧された水を加熱する中圧節炭器112bと、中圧節炭器112bで加熱された水を蒸気にする中圧蒸発器113bと、中圧蒸発器113bで発生した蒸気を過熱して中圧蒸気ISを生成する中圧過熱器114bと、を有している。
【0050】
高圧蒸気発生部111cは、低圧節炭器112aで加熱された水を昇圧する高圧ポンプ116cと、この高圧ポンプ116cで昇圧された水を加熱する第一高圧節炭器112cと、第一高圧節炭器112cで加熱された水をさらに加熱する第二高圧節炭器112dと、第二高圧節炭器112dで加熱された水を蒸気にする高圧蒸発器113cと、高圧蒸発器113cで発生した蒸気を過熱する第一高圧過熱器114cと、第一高圧過熱器114cで過熱された蒸気をさらに過熱して高圧蒸気HSを生成する第二高圧過熱器114dと、を有している。
【0051】
再熱部115は、高圧蒸気タービン121cを駆動させた蒸気を加熱する第一再熱器115aと、第一再熱器115aで過熱された蒸気をさらに過熱して再熱蒸気RHSを生成する第二再熱器115bと、有している。
【0052】
再熱部115、高圧蒸気発生部111c、中圧蒸気発生部111b、低圧蒸気発生部111aのそれぞれを構成する要素は、タービン31から煙突60に向かう排気ガスEGの下流側に向かって、第二再熱器115b及び第二高圧過熱器114d、第一再熱器115a、第一高圧過熱器114c、高圧蒸発器113c、第二高圧節炭器112d、中圧過熱器114b及び低圧過熱器114a、中圧蒸発器113b、第一高圧節炭器112c及び中圧節炭器112b、低圧蒸発器113a、低圧節炭器112aの順序で並んでいる。
【0053】
復水器123と低圧節炭器112aとは、給水ライン131で接続されている。この給水ライン131には、前述の給水ポンプ124が設けられている。低圧過熱器114aと低圧蒸気タービン121aの蒸気入口とは、低圧過熱器114aからの低圧蒸気LSを低圧蒸気タービン121aに送る低圧蒸気ライン132で接続されている。低圧蒸気タービン121aの蒸気出口と復水器123とは、低圧蒸気タービン121aを駆動させた低圧蒸気LSが復水器123に供給されるよう互いに接続されている。第二高圧過熱器114dと高圧蒸気タービン121cの蒸気入口とは、第二高圧過熱器114dからの高圧蒸気HSを高圧蒸気タービン121cに送る高圧蒸気ライン138で接続されている。高圧蒸気タービン121cの蒸気出口と第一再熱器115aの蒸気入口とは、高圧蒸気タービン121cからの高圧蒸気HSを第一再熱器115aに送る高圧蒸気回収ライン139で接続されている。第二再熱器115bの蒸気出口と中圧蒸気タービン121bの蒸気入口とは、第二再熱器115bで過熱された蒸気を再熱蒸気RHSとして中圧蒸気タービン121bに送る再熱蒸気ライン136で接続されている。中圧蒸気タービン121bの蒸気出口には、中圧蒸気回収ライン137が接続されている。この中圧蒸気回収ライン137は、低圧蒸気ライン132に合流している。中圧過熱器114bの蒸気出口には、中圧蒸気ライン133が接続されている。この中圧蒸気ライン133は、高圧蒸気回収ライン139に合流している。
【0054】
給水予熱装置50は、ガスタービン10における冷却対象と水とを熱交換させる熱交換器と、熱交換器で加熱された水を低圧節炭器112aに送る給水ライン131と、を有する。熱交換器は、冷却対象の一つである圧縮機11からの空気の一部と水とを熱交換させる冷却用空気冷却器54と、冷却対象の一つである軸受45の潤滑油と水とを熱交換させる潤滑油冷却器52と、冷却対象の一つである発電機41の冷却媒体と水とを熱交換させる発電機冷却器51と、有する。
【0055】
給水ライン131は、給水ポンプ124の下流側で二つのラインに分岐している。一方のラインは、第一冷却水ライン55を成し、他方のラインは、第二冷却水ライン56を成す。第一冷却水ライン55は、発電機冷却器51の水入口に接続されている。第二冷却水ライン56は、潤滑油冷却器52の水入口に接続されている。発電機冷却器51の水出口及び潤滑油冷却器52の水出口には、それぞれ第三冷却水ライン57が接続されている。各水出口に接続されている第三冷却水ライン57は、合流して、冷却用空気冷却器54の水入口に接続されている。この冷却用空気冷却器54の水出口には、予熱済み給水ライン59が接続されている。この予熱済み給水ライン59は、低圧節炭器112aに接続されている。なお、給水ライン131は、以上で説明した、第一冷却水ライン55、第二冷却水ライン56、第三冷却水ライン57、予熱済み給水ライン59を有している。
【0056】
次に、本実施形態のガスタービンプラントの動作について説明する。
【0057】
ガスタービン10の圧縮機11は、空気Aを圧縮し、圧縮した空気Aを燃焼器21に供給する。また、燃焼器21には、燃料Fも供給される。燃焼器21内では、圧縮された空気A中で燃料Fが燃焼して、高温高圧の燃焼ガスが生成される。この燃焼ガスは、燃焼器21からタービン31内の燃焼ガス流路に送られ、タービンロータ33を回転させる。このタービンロータ33の回転で、ガスタービン10に接続されている発電機41は発電する。
【0058】
タービンロータ33を回転させた燃焼ガスは、排気ガスEGとしてガスタービン10から排気され、排熱回収ボイラ110を介して、煙突60から大気に放出される。排熱回収装置100は、ガスタービン10からの排気ガスEGが排熱回収ボイラ110を通る過程で、この排気ガスEGに含まれている熱を回収する。
【0059】
排熱回収ボイラ110中で、最も下流側(煙突60側)の低圧節炭器112aには、給水ライン131から水が供給される。低圧節炭器112aは、この水を排気ガスEGと熱交換させて加熱する。低圧節炭器112aで加熱された水の一部は、低圧蒸発器113aでさらに加熱されて蒸気になる。この蒸気は、低圧過熱器114aでさらに過熱されて低圧蒸気LSとして、低圧蒸気ライン132を介して低圧蒸気タービン121aに供給される。低圧蒸気タービン121aを駆動させた蒸気は、復水器123で水に戻る。
【0060】
低圧節炭器112aで加熱された水の他の一部は、中圧ポンプ116bで昇圧されて中圧節炭器112bに送られ、低圧節炭器112aで加熱された残りの水は、高圧ポンプ116cで昇圧されて第一高圧節炭器112cに送られる。
【0061】
第一高圧節炭器112cは、高圧ポンプ116cから送られてきた水を排気ガスEGと熱交換させて加熱する。第一高圧節炭器112cで加熱された水は、第二高圧節炭器112dでさらに加熱される。この水は、高圧蒸発器113cでさらに加熱されて蒸気になる。この蒸気は、第一高圧過熱器114c及び第二高圧過熱器114dでさらに過熱されて高圧蒸気HSとなる。この高圧蒸気HSは、高圧蒸気ライン138を介して高圧蒸気タービン121cに供給され、高圧蒸気タービン121cを駆動する。高圧蒸気タービン121cを駆動させた蒸気は、高圧蒸気回収ライン139を介して、第一再熱器115aに送られる。
【0062】
中圧節炭器112bは、中圧ポンプ116bから送られてきた水を排気ガスEGと熱交換させて加熱する。中圧節炭器112bで加熱された水は、中圧蒸発器113bでさらに加熱されて蒸気になる。この蒸気は、中圧過熱器114bでさらに過熱されて、中圧蒸気ISとなる。この中圧蒸気ISは、中圧蒸気ライン133を介して、高圧蒸気回収ライン139を流れる蒸気と合流し、第一再熱器115a及び第二再熱器115bで再過熱され、再熱蒸気RHSとなる。この再熱蒸気RHSは、再熱蒸気ライン136を介して、中圧蒸気タービン121bに供給される。
【0063】
中圧蒸気タービン121bを駆動させた再熱蒸気RHSは、中圧蒸気回収ライン137及び低圧蒸気ライン132を介して、低圧蒸気タービン121aに供給される。
【0064】
復水器123中の水は、給水ポンプ124で昇圧され、給水ライン131中の第一冷却水ライン55を経て発電機冷却器51に送れると共に、給水ライン131中の第二冷却水ライン56を経て潤滑油冷却器52に送られる。発電機冷却器51では、発電機41のロータやステータを冷却する冷却媒体と復水器123からの水とが熱交換され、冷却媒体が冷却される一方で、水が加熱される(熱交換工程)。また、潤滑油冷却器52では、軸受45の潤滑油と復水器123からの水とが熱交換され、潤滑油が冷却される一方で、水が加熱される(熱交換工程)。
【0065】
発電機冷却器51及び潤滑油冷却器52で一次加熱された水は、第三冷却水ライン57を経て冷却用空気冷却器54に送られる。冷却用空気冷却器54では、この一次加熱された水と圧縮機11で圧縮された空気の一部とが熱交換され、この空気が冷却される一方で、水がさらに加熱される(熱交換工程)。冷却された空気は、タービンロータ33の冷却空気流路36に送られ、タービンロータ33を冷却する。一方、冷却用空気冷却器54でさらに加熱された水は、給水ライン131中の予熱済み給水ライン59を介して、低圧節炭器112aに送られる(給水工程)。
【0066】
低圧節炭器112aに送られた水は、前述したように、排気ガスとの熱交換で加熱されてから、低圧蒸発器113a等に送られる。
【0067】
以上、本実施形態では、ガスタービン10における冷却対象の熱を利用して、低圧節炭器112aにおくる水を加熱するので、ガスタービン10の排熱を有効利用することできる。
【0068】
ところで、排熱回収ボイラ110の複数の蒸発器113a,113b,113cのうちで最も内圧の低い低圧蒸発器113aに送る水を加熱する低圧節炭器112aには、ガスタービンプラントのうちで相対的に低い温度の水を送ればよい。よって、本実施形態の給水予熱装置50では、低圧節炭器112aにおける比較的低温の水を加熱する関係上、比較的低温の冷却対象の熱を効率よく利用できる。しかも、本実施形態の給水予熱装置50では、発電機冷却器51及び潤滑油冷却器52で水を一次加熱した後、冷却用空気冷却器54で一次加熱された水をさらに二次加熱する。このため、熱交換器を構成する各冷却器51,52,54では、冷却対象と水との温度差が小さくなる上に、水の入口温度と出口温度との差が小さくなり、冷却対象と水との熱交換の効率を高めることができる。
【0069】
また、本実施形態の給水予熱装置50では、ガスタービンプラントのうちで相対的に低い温度の水を低圧節炭器112aに送ればよく、水の加熱源として、ガスタービンプラントの各種冷却対象のうちで、相対的に高温の冷却対象から相対的に低温の冷却対象まで利用できることになる。よって、本実施形態の給水予熱装置50では、ガスタービンプラントに応じた冷却対象を低圧節炭器112aにおくる水の加熱源に利用することができる。
【0070】
さらに、本実施形態では、低圧節炭器112aを構成する伝熱管に排気ガス中の水が凝縮することによる伝熱管の腐食を抑えることができる。ガスタービン10からの排気ガス中には、気体の水が含まれている。さらに、燃料の性状によっては、この排気ガス中に硫黄分が含まれている場合もあり、この場合、水との反応で硫酸が生成される。低圧節炭器112aを通る排気ガスの温度が排気ガスの露点温度より高い場合でも、低圧節炭器112aを構成する伝熱管内を流れる水の温度が低ければ、伝熱管に接した排気ガス中の水は凝縮する。伝熱管の表面で水が凝縮すると、この伝熱管は腐食する可能性が高まる。さらに、硫酸等の腐食成分が水に含まれると、伝熱管が腐食する可能性がより高まる。
【0071】
本実施形態では、排熱回収ボイラ110中で最も下流側に位置して、排熱回収ボイラ110中で最も温度が低下した排気ガスが通る低圧節炭器112aに送る水を加熱しているので、前述したように、低圧節炭器112aを構成する伝熱管表面での排気ガス中の水の凝縮を抑えることができる。よって、本実施形態では、低圧節炭器112aを構成する伝熱管の腐食を抑えることができる。
【0072】
「第一実施形態の変形例」
図2を参照して、第一実施形態のガスタービンプラントの変形例について説明する。
【0073】
以上の第一実施形態では、冷却用空気冷却器54で冷却された圧縮機11からの空気をタービンロータ33に送っている。しかしながら、ガスタービン10を構成する部品のうちで燃焼ガスに接する高温部品であれば、タービンロータ33以外の高温部品に、冷却用空気冷却器54で冷却された圧縮機11からの空気を送ってもよい。
【0074】
例えば、冷却用空気冷却器54で冷却された圧縮機11からの空気を燃焼器21に送ってもよい。燃焼器21は、
図2に示すように、圧縮機11からの空気A中で燃料Fが燃焼し、燃焼ガスが生成される燃焼筒(又は尾筒)23と、この燃焼筒23内に圧縮機11からの空気A及び燃料Fを噴射する噴射器22と、を有している。燃焼筒23を形成する部材には、この部材を冷却するために、冷却空気が通る冷却空気流路24が形成されている。冷却用空気冷却器54で冷却された圧縮機11からの空気は、この燃焼筒23の冷却空気流路24に送られ、燃焼筒23を冷却する。
【0075】
また、冷却用空気冷却器54で冷却された圧縮機11からの空気を高温部品のタービン31の静翼38に送り、この静翼38を冷却してもよい。
【0076】
「第二実施形態」
図3〜
図7を参照して、本発明に係るガスタービンプラントの第二実施形態について説明する。
【0077】
本実施形態のガスタービンプラントも、第一実施形態と同様、ガスタービン10aと、ガスタービン10aの駆動で発電する発電機41と、ガスタービン10aから排気された排気ガスEGの熱で水を加熱して蒸気を発生させる排熱回収装置100と、排熱回収装置100を通過した排気ガスEGを大気に放出する煙突60と、給水予熱装置50aと、を備えている。
【0078】
ガスタービン10aも、第一実施形態と同様、圧縮機11aと燃焼器21とタービン31と有している。但し、本実施形態の圧縮機11aは、大気を圧縮する低圧圧縮機12aと、低圧圧縮機12aで圧縮された空気をさらに圧縮して、これを燃焼器21に送る高圧圧縮機12bと、を有する。本実施形態のガスタービン10aは、さらに、低圧圧縮機12aで圧縮された空気を水との熱交換で冷却して高圧圧縮機12bに送る中間冷却器53を有する。すなわち、本実施形態の圧縮機11aでは、圧縮機11aの中段から圧縮空気が抽気されて、これが中間冷却器53で冷却された後、冷却された圧縮空気が圧縮機11aの中段以降に戻される。
【0079】
低圧圧縮機12a及び高圧圧縮機12bは、いずれも、軸線を中心として回転する圧縮機ロータ13a,13bと、この圧縮機ロータ13a,13bを回転可能に覆う圧縮機ケーシング17a,17bと、有する。低圧圧縮機12aの圧縮機ロータ13aと高圧圧縮機12bの圧縮機ロータ13bとは、同一の軸線を中心として回転するもので、相互に連結されたガスタービンロータ40aの一部を成している。
【0080】
給水予熱装置50aは、第一実施形態と同様、ガスタービン10aにおける冷却対象と水とを熱交換させる熱交換器と、熱交換器で加熱された水を低圧節炭器112aに送る給水ライン131と、を有する。熱交換器は、冷却対象の一つである低圧圧縮機12aからの空気と水とを熱交換させる前述の中間冷却器53と、冷却対象の一つである軸受45の潤滑油と水とを熱交換させる潤滑油冷却器52と、冷却対象の一つである発電機41の冷却媒体と水とを熱交換させる発電機冷却器51と、有する。このため、中間冷却器53は、ガスタービン10aの構成要素を成すと共に、給水予熱装置50aの構成要素も成す。
【0081】
給水ライン131も、第一実施形態と同様、発電機冷却器51の水入口に接続されている第一冷却水ライン55と、潤滑油冷却器52の水入口に接続されている第二冷却水ライン56と、を有する。さらに、この給水ライン131は、発電機冷却器51の水出口及び潤滑油冷却器52の水出口と中間冷却器53の水入口とを接続する第三冷却水ライン57aと、中間冷却器53の水出口と低圧節炭器112aとを接続する予熱済み給水ライン59aと、を有している。
【0082】
次に、本実施形態のガスタービンプラントの動作について説明する。
復水器123中の水は、第一実施形態と同様、給水ポンプ124で昇圧され、給水ライン131中の第一冷却水ライン55を経て発電機冷却器51に送れると共に、給水ライン131中の第二冷却水ライン56を経て潤滑油冷却器52に送られる。発電機冷却器51では、発電機41のロータやステータを冷却する冷却媒体と復水器123からの水とが熱交換され、冷却媒体が冷却される一方で、水が加熱される。また、潤滑油冷却器52では、軸受45の潤滑油と復水器123からの水とが熱交換され、潤滑油が冷却される一方で、水が加熱される。
【0083】
発電機冷却器51及び潤滑油冷却器52で一次加熱された水は、第三冷却水ライン57aを経て中間冷却器53に送られる。中間冷却器53では、この一次加熱された水と低圧圧縮機12aで圧縮された空気とが熱交換され、この空気が冷却される一方で、水がさらに加熱される。冷却された空気は、高圧圧縮機12bに送られ、さらに圧縮された後、燃焼器21に送られる。
【0084】
よって、高圧圧縮機12bの出口における空気温度は、中間冷却器53が無い場合よりも、低くなる。このため、本実施形態の高圧圧縮機12bは、その出口を構成する部材の熱環境を緩和することができ、高圧圧縮機12bの耐久性を高めることができる。
【0085】
中間冷却器53でさらに加熱された水は、給水ライン131中の予熱済み給水ライン59aを介して、低圧節炭器112aに送られる。低圧節炭器112aに送られた水は、前述したように、排気ガスとの熱交換で加熱されてから、低圧蒸発器113a等に送られる。
【0086】
以上、本実施形態でも、第一実施形態と同様、ガスタービン10aにおける冷却対象の熱を利用して、低圧節炭器112aにおくる水を加熱するので、ガスタービン10aの排熱を有効利用することできる。
【0087】
また、本実施形態の給水予熱装置50aでも、低圧節炭器112aに送る比較的低温の水を加熱する関係上、比較的低温の冷却対象の熱を効率よく利用できる。しかも、本実施形態の給水予熱装置50aでも、熱交換器を構成する各冷却器51,52,53における冷却対象と水との温度差が小さくなるため、冷却対象と水との熱交換の効率をさらに高めることができる。
【0088】
さらに、本実施形態の給水予熱装置50aでも、低圧節炭器112aに送る水を加熱する関係上、水の加熱源として、ガスタービンプラントの各種冷却対象のうちで、相対的に高温の冷却対象から相対的に低温の冷却対象まで利用できることになる。
【0089】
ところで、前述した様に、中間冷却器53による空気の冷却を強化して、高圧圧縮機12bにおける空気の出口温度を下げるほど、高圧圧縮機12bの耐久性等の観点から好ましい。しかしながら、高圧圧縮機12bにおける空気の出口温度が下がると、言い換えると、燃焼器21に流入する空気の温度が下がると、ガスタービン効率が低下する。これは、燃焼器21に流入する空気の温度が下がると、タービン31入口の温度を一定に保つために燃料の投入量が増加してガスタービン出力が増加するものの、燃料の投入量の増加に対するガスタービン出力の増加の割合が小さいからである。
【0090】
従って、高圧圧縮機12bにおける空気の出口温度は、高圧圧縮機12bの出口を構成する部材の強度や耐久性等が許容される限り、できる限り高い方が好ましい。このため、本実施形態では、中間冷却器53で空気を冷却し、高圧圧縮機12bにおける空気の出口温度を下げるものの、この出口温度は、高圧圧縮機12bの出口を構成する部材の強度や耐久性等が許容され得る範囲内で高い温度にしている。
【0091】
ここで、
図4に示すように、低圧圧縮機12aにおける空気の入口温度をTc1、低圧圧縮機12aにおける空気の出口温度をTc2、高圧圧縮機12bにおける空気の入口温度をTc3、高圧圧縮機12bにおける空気の出口温度をTc4とする。また、低圧圧縮機12aの圧力比をPR1、高圧圧縮機12bの圧力比をPR2、低圧圧縮機12aの駆動に必要な動力をWc1、高圧圧縮機12bの駆動に必要な動力をWc2とする。
【0092】
仮に、以下の条件下で、低圧圧縮機12aの圧力比PR1を変化させたとする。
条件
(1)低圧圧縮機12aにおける空気の入口温度Tc1が一定
(2)高圧圧縮機12bにおける空気の出口温度Tc4が前述した温度で一定
(3)低圧圧縮機12a及び高圧圧縮機12bでの全体圧力比PR(=PR1×PR2)が一定
【0093】
この場合、
図5に示すように、低圧圧縮機12aの圧力比PR1が小さくなるに連れて、次第に低圧圧縮機12aにおける空気の出口温度Tc2が低下する。これに伴い、
図6に示すように、次第に中間冷却器53における排熱量Qが小さくなると共に、
図7に示すように、次第に低圧圧縮機12a及び高圧圧縮機12bの駆動に必要な合計動力Wc(=Wc1+Wc2)も小さくなる。
【0094】
そこで、本実施形態では、低圧圧縮機12a及び高圧圧縮機12bの駆動に必要な合計動力Wcを抑えるために、低圧圧縮機12aの圧力比PR1を小さくし、相対的に高圧圧縮機12bの圧力比PR2を大きくしている。この結果、本実施形態では、低圧圧縮機12aにおける空気の出口温度Tc2が下がって、中間冷却器53における排熱量Q、言い換えると、水を加熱する熱量Qが小さくなる。本実施形態では、発電機冷却器51及び潤滑油冷却器52で一次加熱することで、以上のように、中間冷却器53で水を加熱する熱量Qを小さくする分を補っている。また、本実施形態では、低圧圧縮機12aにおける空気の出口温度Tc2を、低圧蒸発器113aにおける飽和温度Tb1(
図3参照)よりも低くしている。このため、本実施形態では、低圧節炭器112aに供給される水の温度Tws(
図3参照)が確実に低圧蒸発器113aにおける飽和温度Tb1よりも低くなる。
【0095】
但し、低圧節炭器112aに供給される水の温度Twsは、低圧節炭器112aの排気ガス出口における排気ガスの露点温度よりも高い温度である。なお、排気ガスの露点温度は、燃料成分等にもよるが50℃前後である。本実施形態では、低圧節炭器112aに供給される水の温度Twsを低圧節炭器112aの排気ガス出口における排気ガスの露点温度よりも高い温度にするため、低圧圧縮機12aの圧力比PR1及び高圧圧縮機12bの圧力比PR2を適宜設定すると共に、各冷却器51,52,53の伝熱面積や、各冷却器51,52,53における水の流速等を設定している。
【0096】
以上のように、本実施形態では、低圧圧縮機12aの圧力比PR1を小さく設定し、相対的に高圧圧縮機12bの圧力比PR2を大きく設定することで、高圧圧縮機12bの出口を構成する部材の耐久性等を目的の範囲内に収めつつ、燃焼器21の空気入口温度の低下に伴うガスタービン効率の低下を抑えている。さらに、本実施形態では、低圧圧縮機12aの圧力比PR1等を上記のように設定することで、低圧圧縮機12a及び高圧圧縮機12bの駆動に必要な合計動力Wcを小さくなり、燃焼器21の空気入口温度の低下に伴うガスタービン効率の低下をより抑えることができる。
【0097】
また、本実施形態では、低圧圧縮機12aにおける空気の出口温度Tc2を低圧蒸発器113aにおける飽和温度Tb1よりも低くし、低圧節炭器112aに供給される水の温度を確実に低圧蒸発器113aにおける飽和温度Tb1よりも低くしている。このため、本実施形態では、低圧圧縮機12a及び高圧圧縮機12bの駆動に必要な合計動力Wcの低減と、比較的低温な冷却対象の排熱の有効利用とを同時に実現することができる。さらに、本実施形態では、低圧節炭器112a及び低圧蒸発器113aでの水への加熱が不要になることがなく、低圧節炭器112a及び低圧蒸発器113aを通る排気ガスの熱を有効利用することができる。よって、本実施形態では、ガスタービンプラントの出力及び効率を高めることができる。
【0098】
また、本実施形態では、低圧節炭器112aに供給される水の温度Twsを、低圧節炭器112aの排気ガス出口における排気ガスの露点温度よりも高くし、低圧節炭器112aを構成する伝熱管の表面に排気ガス中の水が凝縮することを抑えている。このため、本実施形態では、低圧節炭器112aを構成する伝熱管の腐食をより抑えることができる。
【0099】
なお、本実施形態では、低圧圧縮機12aにおける空気の出口温度Tc2を、低圧蒸発器113aにおける飽和温度Tb1よりも低くし、且つ、低圧節炭器112aに供給される水の温度Twsを、低圧節炭器112aの排気ガス出口における排気ガスの露点温度よりも高くしている。しかしながら、以上の二つの温度条件をいずれも満たさなくても、又は以上の二つの温度条件のうちの一方のみを満たすようにしてもよい。但し、温度条件を満たさない場合には、温度条件を満たすことによる効果が得られなくなることは言うまでもない。
【0100】
また、第一実施形態においても、本実施形態と同様、低圧節炭器112aに供給される水の温度Twsを、低圧節炭器112aの排気ガス出口における排気ガスの露点温度よりも高くし、且つ低圧蒸発器113aにおける飽和温度Tb1よりも低くすることが好ましい。
【0101】
「第三実施形態」
図8を参照して、本発明に係るガスタービンプラントの第三実施形態について説明する。
【0102】
本実施形態のガスタービンプラントは、第二実施形態のガスタービンプラントに、第一実施形態の給水予熱装置50における冷却用空気冷却器54を追加したものである。よって、本実施形態のガスタービンプラントにおける給水予熱装置50bは、発電機冷却器51、潤滑油冷却器52、中間冷却器53、さらに、冷却用空気冷却器54を有する。
【0103】
本実施形態では、中間冷却器53の水出口と冷却用空気冷却器54の水入口とが第四冷却水ライン58で接続されている。また、冷却用空気冷却器54の水出口と低圧節炭器112aとが予熱済み給水ライン59bで接続されている。
【0104】
本実施形態では、冷却用空気冷却器54の排熱も有効に回収することができる。また、本実施形態では、中間冷却器53の存在により高圧圧縮機12bにおける空気の出口温度が低くなるため、冷却用空気冷却器54で冷却される空気の温度をさらに下げることができ、ガスタービン10aの高温部品の耐久性を高めることができる。
【0105】
しかも、低圧節炭器112aにおくる水を中間冷却器53で二次加熱した後、さらに、冷却用空気冷却器54で三次加熱するため、第二実施形態よりも、低圧圧縮機12aの圧力比をより下げて、高圧圧縮機12b及び低圧圧縮機12aの駆動に必要な合計動力Wcを小さくすることができる。
【0106】
なお、本実施形態でも、第二実施形態と同様、低圧節炭器112aに供給される水の温度Twsを、低圧節炭器112aの排気ガス出口における排気ガスの露点温度よりも高くし、且つ低圧蒸発器113aにおける飽和温度Tb1よりも低くすることが好ましい。
【0107】
「圧縮機の変形例」
第二実施形態及び第三実施形態の圧縮機11aは、互い独立した圧縮機ケーシングを有する低圧圧縮機12aと高圧圧縮機12bとを含んで構成されている。しかしながら、第二実施形態及び第三実施形態の圧縮機は、
図9に示すように、一つの圧縮機ケーシング17cを有するものであってもよい。
【0108】
この場合、一つの圧縮機ケーシング17cの中段に抽気ポート18を形成すると共に、抽気ポート18に隣接し且つこの抽気ポート18よりも高圧側に吸気ポート19を形成する。抽気ポート18には中間冷却器53の空気入口を接続し、吸気ポート19には中間冷却器53の空気出口を接続する。このような圧縮機11bでは、抽気ポート18よりも低圧側が低圧圧縮部14aを成し、吸気ポート19よりも高圧側が高圧圧縮部14bを成す。
【0109】
「給水予熱装置の熱交換器の変形例」
第二実施形態における給水予熱装置50aの熱交換器は、発電機冷却器51、潤滑油冷却器52、及び中間冷却器53を有する。しかしながら、給水予熱装置50cの熱交換器は、さらに、
図10に示すように、低圧蒸気タービン121aにおける軸受の潤滑油を冷却する潤滑油冷却器52c、低圧蒸気タービン121aに接続されている発電機122の冷却媒体を冷却する発電機冷却器51cを有してもよい。
【0110】
給水ライン131は、ガスタービン10aに接続されている発電機41の発電機冷却器51に復水器123からの水を送る第一冷却水ライン55、低圧蒸気タービン121aに接続されている発電機122の発電機冷却器51cに復水器123からの水を送る第一冷却水ライン55c、ガスタービン10aにおける軸受45の潤滑油冷却器52に復水器123からの水を送る第二冷却水ライン56、低圧蒸気タービン121aにおける軸受の潤滑油冷却器52cに復水器123からの水を送る第二冷却水ライン56cを有する。さらに、給水ライン131は、各発電機冷却器51,51cの水出口及び各潤滑油冷却器52,52cの水出口と中間冷却器53の水入口とを接続する第三冷却水ライン57cと、中間冷却器53の水出口と低圧節炭器112aとを接続する予熱済み給水ライン59aと、を有している。
【0111】
なお、ここでは、第二実施形態における給水予熱装置50aの熱交換器の変形例を例示したが、第一実施形態や第三実施形態における給水予熱装置50,50bの熱交換器を構成する冷却器として、蒸気タービンに接続されている発電機の発電機冷却器、及び蒸気タービンにおける軸受の潤滑油冷却器を追加してもよい。
【0112】
「排熱回収装置の変形例」
以上の各実施形態及び変形例の排熱回収装置100は、蒸気タービン121a,121b,121cを備えている。しかしながら、排熱回収装置100aは、
図11に示すように、節炭器(例えば、低圧節炭器112a)と、節炭器で加熱された水をさらに加熱して蒸気にする蒸発器(例えば、低圧蒸発器113a)を有する排熱回収ボイラ110aを備えていれば、蒸気タービンは無くてもよい。この場合、冷却対象の排熱を有効に回収することによるプラントの出力及び効率の増大は、外部で熱源などとして利用可能な蒸気量の増大として現れる。
【0113】
図11に示す排熱回収ボイラ110aでは、低圧蒸気発生部111aからの低圧蒸気LSは、低圧蒸気利用設備71aに送られ、中圧蒸気発生部111bからの中圧蒸気ISは、中圧蒸気利用設備71bに送られ、高圧蒸気発生部111cからの高圧蒸気HSは、高圧蒸気利用設備71cに送られる。各蒸気利用設備71a,71b,71cに送られた蒸気は、液体の水にされた後、給水ポンプ124に戻される。
【0114】
また、ここでは、低圧蒸気発生部111a、中圧蒸気発生部111b、高圧蒸気発生部111cを有する排熱回収ボイラ110aを例示しているが、節炭器と、節炭器で加熱された水をさらに加熱して蒸気にする蒸発器を有するものであれば、如何なる排熱回収ボイラであってもよい。