特許第6265554号(P6265554)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6265554
(24)【登録日】2018年1月5日
(45)【発行日】2018年1月24日
(54)【発明の名称】バインダーおよび関連製品
(51)【国際特許分類】
   C08L 5/00 20060101AFI20180115BHJP
   C08K 3/28 20060101ALI20180115BHJP
   C08K 5/17 20060101ALI20180115BHJP
   C08K 5/07 20060101ALI20180115BHJP
   C08K 5/05 20060101ALI20180115BHJP
   C08K 7/02 20060101ALI20180115BHJP
   D06M 13/00 20060101ALI20180115BHJP
   D06M 15/03 20060101ALI20180115BHJP
   D06M 13/328 20060101ALI20180115BHJP
【FI】
   C08L5/00
   C08K3/28
   C08K5/17
   C08K5/07
   C08K5/05
   C08K7/02
   D06M13/00
   D06M15/03
   D06M13/328
【請求項の数】37
【全頁数】39
(21)【出願番号】特願2015-503889(P2015-503889)
(86)(22)【出願日】2013年4月4日
(65)【公表番号】特表2015-515523(P2015-515523A)
(43)【公表日】2015年5月28日
(86)【国際出願番号】EP2013057151
(87)【国際公開番号】WO2013150123
(87)【国際公開日】20131010
【審査請求日】2016年4月1日
(31)【優先権主張番号】1206193.3
(32)【優先日】2012年4月5日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】510028648
【氏名又は名称】ナフ インサレーション エセペーアールエル
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ハンプソン, カール
(72)【発明者】
【氏名】パコレル, ベネディクト
(72)【発明者】
【氏名】ジャクソン, ロジャー
【審査官】 岡▲崎▼ 忠
(56)【参考文献】
【文献】 特表2009−503193(JP,A)
【文献】 独国特許出願公開第01905054(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 5/00−5/16
C08K 3/00−3/40
5/00−5/59
7/00−7/28
D06M 13/00−13/535
15/00−15/715
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)物質集合体を提供する工程、
(ii)水溶液または分散液の形態の水溶性予備反応物型バインダー組成物を提供する工程であって、該水溶液または分散液が80wt%以下の該予備反応物型バインダー組成物を含み、該予備反応物型バインダー組成物が、
(a)少なくとも1種類の還元糖と、
(b)ヘキサメチレンジアミンとの
反応生成物(1種類または複数種)を含み、
該予備反応物型バインダー組成物は、1〜500kDaの範囲の分子量を有する少なくとも1種類のプレポリマーを、該予備反応物型バインダー組成物の総重量に対して2wt%または2wt%より多くの量で含む、工程、
(iii)該水溶液または分散液を、物質集合体に適用する工程、および
(iv)該溶液または分散液を含有する物質集合体に、エネルギーを適用し、該バインダー組成物を硬化させる工程
を含む、高分子バインダーによって結合された物質集合体の製造方法。
【請求項2】
保存する工程、およびその後、前記予備反応物型バインダー組成物に架橋剤を添加する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記架橋剤が、ヘキサメチレンジアミンを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記1〜500kDaの範囲の分子量を有する少なくとも1種類のプレポリマーが、前記予備反応物型バインダー組成物の総重量に対して5wt%または5wt%より多くの量で含有される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記1〜500kDaの範囲の分子量を有する少なくとも1種類のプレポリマーが、前記予備反応物型バインダー組成物の総重量に対して10wt%または10wt%より多くの量で含有される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記1〜500kDaの範囲の分子量を有する少なくとも1種類のプレポリマーが、前記予備反応物型バインダー組成物の総重量に対して20wt%または20wt%より多くの量で含有される、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記1〜500kDaの範囲の分子量を有する少なくとも1種類のプレポリマーが、前記予備反応物型バインダー組成物の総重量に対して35wt%または35wt%より多くの量で含有される、請求項4に記載の方法。
【請求項8】
前記1〜500kDaの範囲の分子量を有する少なくとも1種類のプレポリマーが、前記予備反応物型バインダー組成物の総重量に対して50wt%または50wt%より多くの量で含有される、請求項4に記載の方法。
【請求項9】
前記予備反応物型バインダー組成物が、少なくとも30wt%の該予備反応物型バインダー組成物を含有する水溶液または分散液の形態である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記予備反応物型バインダー組成物が、少なくとも40wt%の該予備反応物型バインダー組成物を含有する水溶液または分散液の形態である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記予備反応物型バインダー組成物が、少なくとも50wt%の該予備反応物型バインダー組成物を含有する水溶液または分散液の形態である、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記予備反応物型バインダー組成物が、少なくとも55wt%の該予備反応物型バインダー組成物を含有する水溶液または分散液の形態である、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記予備反応物型バインダー組成物が、80〜500kDaの範囲の分子量を有する少なくとも1種類のプレポリマーを、該予備反応物型バインダー組成物の総重量に対して0.2wt%または0.2wt%より多くの量で含む、請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記予備反応物型バインダー組成物が、80〜500kDaの範囲の分子量を有する少なくとも1種類のプレポリマーを、該予備反応物型バインダー組成物の総重量に対して0.5wt%または0.5wt%より多くの量で含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記予備反応物型バインダー組成物が、80〜500kDaの範囲の分子量を有する少なくとも1種類のプレポリマーを、該予備反応物型バインダー組成物の総重量に対して0.75wt%または0.75wt%より多くの量で含む、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記予備反応物型バインダー組成物が、10〜80kDaの範囲の分子量を有する少なくとも1種類のプレポリマーを、該予備反応物型バインダー組成物の総重量に対して1wt%または1wt%より多くの量で含む、請求項1〜15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記予備反応物型バインダー組成物が、10〜80kDaの範囲の分子量を有する少なくとも1種類のプレポリマーを、該予備反応物型バインダー組成物の総重量に対して5wt%または5wt%より多くの量で含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記予備反応物型バインダー組成物が、10〜80kDaの範囲の分子量を有する少なくとも1種類のプレポリマーを、該予備反応物型バインダー組成物の総重量に対して10wt%または10wt%より多くの量で含む、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記予備反応物型バインダー組成物が、10〜80kDaの範囲の分子量を有する少なくとも1種類のプレポリマーを、該予備反応物型バインダー組成物の総重量に対して30wt%または30wt%より多くの量で含む、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記予備反応物型バインダー組成物が、10〜80kDaの範囲の分子量を有する少なくとも1種類のプレポリマーを、該予備反応物型バインダー組成物の総重量に対して50wt%または50wt%より多くの量で含む、請求項16に記載の方法。
【請求項21】
前記予備反応物型バインダー組成物が、(a)の少なくとも1種類の還元糖および(b)のヘキサメチレンジアミンとは異なる、10kDaのまたは10kDaより小さい分子量を有する1種類または1種類より多くの化合物を含む、請求項1〜20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
前記10kDaのまたは10kDaより小さい分子量を有する1種類または1種類より多くの化合物が、グリコールアルデヒド、グリセルアルデヒド、2−オキソプロパナール、アセトール、ジヒドロキシアセトン、アセトイン、ブタンジオン、エタナール、グルコソン、1−デソキシヘキソスロース、3−デソキシヘキソスロース、3−デソキシ−ペントスロース、1,4−ジデソキシヘキソスロース、グリオキサール、メチルグリオキサール、ジアセチルおよび5−(ヒドロキシメチル)フルフラールのうちの1種類または1種類より多くを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記予備反応物型バインダー組成物の少なくとも1種類の還元糖が、単糖類、二糖類および多糖類またはその混合物からなる群より選択される、請求項1〜22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
前記予備反応物型バインダー組成物の少なくとも1種類の還元糖成分が、還元糖およびインサイチュで還元糖を生成する成分からなる群から選択され、該還元糖が、リボース、アラビノース、キシロース、リキソース、グルコース(デキストロース)、マンノース、ガラクトース、アロース、アルトロース、タロース、グロース、イドース、フルクトース、プシコース、ソルボース、ジヒドロキシアセトンよびタガトースまたはその混合物からなる群より選択され、該インサイチュで還元糖を生成する成分が、スクロースである、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記物質集合体は、鉱物繊維、鉱滓綿繊維、石綿繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、セラミック繊維、金属繊維、炭素繊維、ポリイミド繊維、ポリエステル繊維、レーヨン繊維、セルロース系繊維、石炭、砂、かんなくず、おがくず、木材パルプ、砕木、木材チップ、木片、木材積層体、黄麻、亜麻、麻、わら、ベニヤ板、化粧材、化粧板、粒子および織物または不織材料からなる群より選択される物質を含む、請求項1〜24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
70wt%の前記予備反応物型バインダー組成物を含有する水溶液が、20℃で最大2000cPの粘度を有する、請求項1〜25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
70wt%の前記予備反応物型バインダー組成物を含有する水溶液の粘度は、20℃で12時間放置したとき500cPより大きく増大しない、請求項1〜26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
請求項1〜27のいずれか1項に記載の方法であって、前記予備反応物型バインダー組成物が、前記少なくとも1種類の還元糖(a)およびヘキサメチレンジアミン(b)を含む出発物質を混合することによって調製される予備反応物型バインダーであり、該出発物質中の該少なくとも1種類の還元糖(a)およびヘキサメチレンジアミン(b)の総量が、予備反応前のバインダー組成物の総重量に対して少なくとも20wt%である、方法。
【請求項29】
前記予備反応物型バインダー組成物を調製するための出発物質中の少なくとも1種類の還元糖(a)およびヘキサメチレンジアミン(b)の総量が、予備反応前の前記バインダー組成物の総重量に対して少なくとも40wt%である、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記出発物質中の少なくとも1種類の還元糖(a)およびヘキサメチレンジアミン(b)の総量が、予備反応前の前記バインダー組成物の総重量に対して少なくとも60wt%である、請求項28に記載の方法。
【請求項31】
前記出発物質中の少なくとも1種類の還元糖(a)およびヘキサメチレンジアミン(b)の総量が、予備反応前の前記バインダー組成物の総重量に対して少なくとも80wt%である、請求項28に記載の方法。
【請求項32】
前記出発物質中の少なくとも1種類の還元糖(a)およびヘキサメチレンジアミン(b)の総量が、予備反応前の前記バインダー組成物の総重量に対して少なくとも95wt%である、請求項28に記載の方法。
【請求項33】
前記少なくとも1種類の還元糖(a)と前記ヘキサメチレンジアミン(b)との反応生成物(1種類または複数種)の総量が、予備反応物型バインダー組成物の総重量に対して少なくとも20wt%である、請求項1〜32のいずれか1項に記載の方法。
【請求項34】
前記少なくとも1種類の還元糖(a)と前記ヘキサメチレンジアミン(b)との反応生成物(1種類または複数種)の総量が、予備反応物型バインダー組成物の総重量に対して少なくとも40wt%である、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記少なくとも1種類の還元糖(a)と前記ヘキサメチレンジアミン(b)との反応生成物(1種類または複数種)の総量が、予備反応物型バインダー組成物の総重量に対して少なくとも60wt%である、請求項33に記載の方法。
【請求項36】
前記少なくとも1種類の還元糖(a)と前記ヘキサメチレンジアミン(b)との反応生成物(1種類または複数種)の総量が、予備反応物型バインダー組成物の総重量に対して少なくとも80wt%である、請求項33に記載の方法。
【請求項37】
前記少なくとも1種類の還元糖(a)と前記ヘキサメチレンジアミン(b)との反応生成物(1種類または複数種)の総量が、予備反応物型バインダー組成物の総重量に対して少なくとも95wt%である、請求項33に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水溶性予備反応物型(pre−reacted)バインダー組成物、その製造方法、前記予備反応物型バインダー組成物の使用、高分子バインダーによって結合された物質集合体の製造方法、前記予備反応物型バインダー組成物を含むバインダー溶液または分散液、ならびに硬化状態の該予備反応物型バインダー組成物を含む製品に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、バインダーは、非会合または疎性会合状態の物質を固めることができるため、物品の製作に有用である。例えば、バインダーにより2つまたは2つより多くの表面を一体にすることができる。特に、バインダーは、固めた繊維で構成された製品を作製するために使用され得る。熱硬化性バインダーは、熱または触媒作用のいずれかによって不溶性で不融性の物質に変換されることを特徴とするものであり得る。熱硬化性バインダーの例としては、さまざまなフェノール−アルデヒド、尿素−アルデヒド、メラミン−アルデヒド、ならびにフランおよびポリウレタン樹脂などの他の縮合重合物質が挙げられる。フェノール−アルデヒド、レゾルシノール−アルデヒド、フェノール/アルデヒド/尿素、フェノール/メラミン/アルデヒドなどを含有しているバインダー組成物が、繊維、布地、プラスチック、ゴムおよび多くの他の物質の結合に広く使用されている。
【0003】
鉱物綿および木板の業界では、伝統的に、一般的に尿素で増量したフェノールホルムアルデヒド系バインダーが使用されている。フェノールホルムアルデヒド型バインダーにより、最終製品に好適な特性がもたらされる;しかしながら、より大きな持続性が望まれていること、および環境への配慮から、代替バインダーの開発が鼓舞されている。かかる代替バインダーの一例は、炭水化物と酸を反応させることにより得られる、例えば米国特許出願公開第2007/0027283号およびPCT出願国際公開第2009/019235号の炭水化物系バインダーである。別の代替バインダーは、ポリカルボン酸とポリオールを反応させた、例えば米国特許出願公開第2005/0202224号のエステル化生成物である。これらのバインダーは、ホルムアルデヒドが試薬として使用されていないため、集合的にホルムアルデヒドフリーバインダーと称される。
【0004】
現在の開発領域の1つは、広範囲にわたる製品、例えば、建物および自動車部門における製品(例えば、鉱物綿断熱材、木板、パーティクルボード、合板、オフィス用パネル、および音響遮音材)におけるフェノールホルムアルデヒド型バインダーの代替品を見出すことである。特に、これまでに開発されたホルムアルデヒドフリーバインダーは、所望の特性のすべてを有するものでない場合があり得る。例えば、アクリル酸とポリ(ビニルアルコール)系バインダーは、一部の(だがすべてではない)製品では有望な性能特性が示されていた。しかしながら、これは、フェノールホルムアルデヒドバインダーよりも相対的に高価であり、本質的に石油系資源に由来するものであり、フェノールホルムアルデヒド系バインダー組成物と比べて低い反応速度を示す(より長い硬化時間またはより高い硬化温度のいずれかが必要とされる)傾向を有する。
【0005】
炭水化物系バインダー組成物は、比較的安価な前駆物質で作製され、主に再生可能な資源に由来するものである。しかしながら、このバインダーも、硬化には、従来のフェノールホルムアルデヒドバインダー系を硬化させる条件とは実質的に異なる反応条件が必要とされ得る。
【0006】
具体的には、上記のフェノールホルムアルデヒドバインダーの多用途的代替案は、炭水化物と少なくとも1つの第1級アミン基を有するポリアミンとの反応によって得られる高分子バインダーである炭水化物ポリアミンバインダーの使用である。この炭水化物ポリアミンバインダーは、同様のまたはより優れた結合特性を有し、確立された方法と非常に適合性があるため、フェノールホルムアルデヒドバインダーの有効な代用品である。
【0007】
典型的には、該炭水化物ポリアミンバインダーは水溶液などの溶液として調製され、続いて、結合させる疎性会合状態の物質に適用する。次いで、かかる湿潤状態の疎性会合状態の物質を、例えば、加熱処理して炭水化物ポリアミンバインダーを硬化させる。
【0008】
とはいえ、炭水化物ポリアミンバインダー溶液中の固形分濃度がかなり高いことは、さまざまな不都合、例えば、バインダー溶液の急速なゲル化または固化ならびに炭水化物成分の再結晶と関連する。貯蔵寿命がかなり短いことに基づき、炭水化物ポリアミンバインダーの保存および輸送に関するさらなる課題が観察されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許出願公開第2007/0027283号明細書
【特許文献2】PCT出願国際公開第2009/019235号
【特許文献3】米国特許出願公開第2005/0202224号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
したがって、本発明の基礎をなす技術的課題は、改善されたバインダー、特に、確立された方法と適合性があり、環境に許容され得、前述の課題が解決されるバインダーを提供することである。
【0011】
上記の技術的課題を解決するため、第1の態様として、本発明は、(i)少なくとも1種類の炭水化物成分と(ii)少なくとも1種類の含窒素成分の反応生成物(1種類または複数種)を含む水溶性予備反応物型バインダー組成物を提供する。
【0012】
予備反応物型バインダーは、少なくとも20wt%、例えば、少なくとも25wt%、30wt%、35wt%、40wt%、45wt%、50wt%、55wt%、60wt%、65wt%、70wt%、75wt%もしくは80wt%の前記予備反応物型バインダー組成物および/または85wt%以下、例えば、80wt%、75wt%または70wt%以下(no more that)の前記予備反応物型バインダー組成物を含有している水溶液または分散液の形態であり得る。
【0013】
本発明によれば、用語「予備反応物型バインダーd組成物」に特に制限はなく、一般的に、炭水化物成分と含窒素成分を反応させることにより得られ得る、および/または得られ、例えば疎性会合状態の物質の結合のためにそのままで、またはさらに修飾時のいずれかでバインダーとして使用され得る任意の化学組成物が包含される。
【0014】
本発明の好ましい実施形態の予備反応物型バインダー組成物は炭水化物成分/含窒素成分バインダー系を主体とするものである、すなわち、該炭水化物成分(1種類または複数種)と該含窒素成分(1種類または複数種)が、本発明の予備反応物型バインダー組成物を調製するための出発物質中に少量でわずかに存在するのではなく、出発物質の主成分である。したがって、予備反応物型バインダー組成物を調製するための出発物質中の該少なくとも1種類の炭水化物成分と該少なくとも1種類の含窒素成分の総量は、予備反応前のバインダー組成物の総重量に対して少なくとも20wt%であり得る。例えば、該少なくとも1種類の炭水化物成分と該少なくとも1種類の含窒素成分の総量は、予備反応前の少なくとも30wt%、40wt%、50wt%、60wt%、70wt%、80wt%、90wt%、95wt%または98wt%であり得る。
【0015】
本発明の一実施形態によれば、予備反応物型バインダー組成物中の(i)少なくとも1種類の炭水化物成分と(ii)少なくとも1種類の含窒素成分の反応生成物(1種類または複数種)、未反応の炭水化物成分(1種類または複数種)および未反応の含窒素成分(1種類または複数種)の総量、すなわち、((i)と(ii)の反応生成物(1種類または複数種)の量)+(未反応の炭水化物成分(1種類または複数種)の量)+(未反応の含窒素成分(1種類または複数種)の量)は、予備反応物型バインダー組成物の総重量に対して少なくとも20wt%、例えば、少なくとも30wt%、40wt%、50wt%、60wt%、70wt%、80wt%、90wt%、95wt%または98wt%である。
【0016】
炭水化物反応体とポリアミン反応体を溶解させてバインダーを形成し、これを疎性会合状態の物質に適用し、続いて加熱によって架橋して高分子バインダーを得る当該技術分野の水準と比較すると、この予備反応物型バインダー組成物は:
a)かかる先行技術のバインダーと比べて、疎性会合状態の物質に適用時(とりわけ、加熱による架橋前):相当な量の中間反応種(1種類もしくは複数種)(プレポリマーなど)を有する、および/または固形分含有量に対して低い粘度および/または高い平均分子量、および/または発色および/または光(例えば、UV)吸収の増大を有するものであり得る;および/または
b)かかる先行技術のバインダーと比べて、一部もしくは完全に架橋されると(とりわけ、加熱後)、有意に低い架橋度および/またはあるいは異なる種類の架橋および/または低い粘度を有するものであり得る、
組成物である。
【0017】
本明細書で用いる場合、用語「プレポリマー」に特に制限はなく、(i)該少なくとも1種類の炭水化物成分と(ii)該少なくとも1種類の含窒素成分の任意の反応生成物(1種類または複数種)が包含される。
【0018】
本発明の一実施形態によれば、(i)少なくとも1種類の炭水化物成分と(ii)少なくとも1種類の含窒素成分の反応生成物(1種類または複数種)の量は、予備反応物型バインダー組成物中のプレポリマーの総重量に対して少なくとも20wt%、例えば、少なくとも30wt%、40wt%、50wt%、60wt%、70wt%、80wt%、90wt%、95wt%または98wt%である。特定の一実施形態によれば、(i)少なくとも1種類の炭水化物成分と(ii)少なくとも1種類の含窒素成分の反応生成物(1種類または複数種)の量は予備反応物型バインダー組成物中のプレポリマーの総重量に対して100wt%である。
【0019】
一実施形態によれば、本発明の予備反応物型バインダー組成物は、1〜500kDaの範囲の分子量を有する少なくとも1種類のプレポリマーを含むものである。好ましくは、前記少なくとも1種類のプレポリマーは、該バインダー組成物の総重量に対して2wt%または2wt%より多く、例えば、5wt%または5wt%より多く、10wt%または10wt%より多く、15wt%または15wt%より多く、20wt%または20wt%より多く、25wt%または25wt%より多く、30wt%または30wt%より多く、35wt%または35wt%より多く、40wt%または40wt%より多く、45wt%または45wt%より多くまたは50wt%または50wt%より多くの量で含有される。
【0020】
さらなる一実施形態によれば、本発明の予備反応物型バインダー組成物は、80を超えて500kDaまでの範囲の分子量を有する少なくとも1種類のプレポリマー(高分子量プレポリマー)を含むものである。好ましくは、前記少なくとも1種類の高分子量プレポリマーは、該バインダー組成物の総重量に対して0.2wt%または0.2wt%より多い、例えば、0.5wt%または0.5wt%より多く、0.75wt%または0.75wt%より多く、1wt%または1wt%より多く、1.75wt%または1.75wt%より多く、2.5wt%または2.5wt%より多く、5wt%または5wt%より多く、10wt%または10wt%より多く、15wt%または15wt%より多く、20wt%または20wt%より多く、30wt%または30wt%より多く、40wt%または40wt%より多くまたは50wt%または50wt%より多くの量で含有される。
【0021】
さらなる一実施形態によれば、本発明の予備反応物型バインダー組成物は、10を超えて80kDaまでの範囲の分子量を有する少なくとも1種類のプレポリマー(中分子量プレポリマー)を含むものである。好ましくは、前記少なくとも1種類の中分子量プレポリマーは、該バインダー組成物の総重量に対して0.3wt%または0.3wt%より多く、例えば、0.5wt%または0.5wt%より多く、1wt%または1wt%より多く、1.5wt%または1.5wt%より多く、2wt%または2wt%より多く、2.5wt%または2.5wt%より多く、5wt%または5wt%より多く、10wt%または10wt%より多く、15wt%または15wt%より多く、20wt%または20wt%より多く、30wt%または30wt%より多く、40wt%または40wt%より多くまたは50wt%または50wt%より多くの量で含有される。
【0022】
さらなる一実施形態によれば、本発明の予備反応物型バインダー組成物は、10kDaまたは10kDaより小さいの範囲の分子量を有し、かつ(i)の該少なくとも1種類の炭水化物成分および(ii)の該少なくとも1種類の含窒素成分と異なる1種類または1種類より多くの化合物(低分子量プレポリマー)を含むものである。特定の一実施形態によれば、該低分子量化合物は、グリコールアルデヒド、グリセルアルデヒド、2−オキソプロパナール、アセトール、ジヒドロキシアセトン、アセトイン、ブタンジオン、エタナール、グルコソン、1−デソキシヘキソスロース、3−デソキシヘキソスロース、3−デソキシペントスロース、1,4−ジデソキシヘキソスロース、グリオキサール、メチルグリオキサール、ジアセチルおよび5−(ヒドロキシメチル)フルフラールのうちの1種類または1種類より多くを含む。
【0023】
さらに、本明細書において、用語「水溶性(の)」に特に制限はなく、上記に規定した予備反応物型バインダー組成物のあらゆる程度の水溶性が包含される。特に、用語「水溶性(の)」には、20℃で100g/lまたは100g/lより大きい、150g/lまたは150g/lより大きい、200g/lまたは200g/lより大きいまたは250g/lまたは250g/lより大きいの水溶性が包含される。例えば、用語「水溶性(の)」には、上記に規定した予備反応物型バインダー組成物の300g/lまたは300g/lより大きい、400g/lまたは400g/lより大きい、500g/lまたは500g/lより大きいまたは600g/lまたは600g/lより大きい(20℃で)の水溶性が包含され得る。また、ほとんど無限大の水溶性も本発明の範囲であるとみなされ得る。
【0024】
これとの関連において、本発明による表現「水不溶性(の)」は、上記に規定した予備反応物型バインダー組成物が20℃で本質的に水に可溶性でない場合に関する。例えば、不溶性(の)という用語は、20℃で50g/lまたは50g/lより小さい、40g/lまたは40g/lより小さい、30g/lまたは30g/lより小さいまたは20g/lまたは20g/lより小さいの水溶性を包含している。好ましくは、不溶性(の)という用語は、10g/lまたは10g/lより小さい、5g/lまたは5g/lより小さい、1g/lまたは1g/lより小さいまたは0.1g/lまたは0.1g/lより小さいの水溶性の場合を包含している。
【0025】
予備反応物型バインダー組成物は水希釈性であり得、この場合、これは、少なくとも25部、とりわけ、少なくとも50部または100部の脱イオン水と混合した1重量部の予備反応物型バインダー組成物が、混合時に沈殿物を形成しないことを意味する。
【0026】
本発明の好ましい一実施形態によれば、70wt%の本発明の予備反応物型バインダー組成物を含有している水溶液が20℃で最大2000cPの粘度を有する。例えば、70wt%の上記に規定した予備反応物型バインダー組成物を含有している水溶液(すなわち、70%wt%の固形分を含有している水溶液)は、その調製後、100〜1500cP、150〜1200cP、200〜800cP、220〜600cPまたは250〜400cPの初期粘度を有するものであり得る。取り扱いの観点から、好ましい粘度は280〜350cPの範囲である。粘度は、LV−Torque Brookfield Viscometer,spindle LV−63を60rpmで用いて測定され得る。
【0027】
さらに、前記水溶液の粘度は、好ましくは、20℃で12時間、24時間、48時間、72時間または96時間放置したとき500cPより大きく増大しないのがよい。さらに好ましい一実施形態によれば、前記水溶液の粘度は1週間、10日間、12日間または2週間以内に500cPより大きく増大しないのがよい。より長期間、例えば、3ないし4週間、またはさらに2、3ヶ月もしくはそれ以上の月数で該粘度が500cPより大きく増大しないのがさらにより好ましい。
【0028】
さらなる一実施形態によれば、予備反応物型バインダー組成物の70wt%水溶液を20℃で放置したとき最初の12時間以内で増大する粘度の量は、好ましくは450cP、または400cPまたはさらに350cPを超えないのがよい。好ましい粘度増分としては、300cPまたは300cPより小さい、280cPまたは280cPより小さい、250cPまたは250cPより小さいおよび200cPまたは200cPより小さいが挙げられる。
【0029】
本発明によれば、上記に規定した時間枠および粘度増分は上記の例に限定されず、自由に組み合わされ得る。例えば、好ましくは、上記の予備反応物型バインダー組成物の70wt%水溶液の粘度は、その調製後、最初の48時間以内に300cPより大きく、またはその調製後、2週間以内に400cPより大きく増大しない。一般的に、それぞれの水溶液の粘度が高くなりすぎる(例えば、ゲル化によって引き起こされる)と、予備反応物型バインダー組成物は使用不可能となり得る。
【0030】
さらなる一実施形態によれば、上記に規定した予備反応物型バインダー組成物は、架橋剤と反応して水不溶性組成物を生成し得る、例えば、1種類または1種類より多くのメラノイジンを水不溶性組成物として生成し得るものである。本発明において、予備反応物型バインダー組成物は前駆物質または中間体としての機能を果たすものであり得、これを架橋剤とさらに反応させると高分子バインダーが得られ得る。例えば、この高分子バインダーは、本質的に水不溶性である高分子量メラノイジンをメイラード反応生成物として含有するものであり得る。
【0031】
例えば、上記に規定した1種類または1種類より多くのメラノイジンは以下の一般構造モチーフを含むものであり得る:
【0032】
【化1】
【0033】
(式中、nは少なくとも1の整数である)
本明細書において、用語「架橋剤」に特に制限はなく、予備反応物型バインダー組成物をさらに架橋させて、疎性会合状態の物質(木材または鉱物繊維など)の結合に適した高分子バインダーを得るための任意の化学的または物理的手段が包含される。
【0034】
本発明の特定の一実施形態によれば、架橋剤は、炭水化物成分と反応させたものと同じ含窒素成分であってもよく、異なる含窒素成分であってもよい。例えば、本発明の予備反応物型バインダー組成物は、炭水化物成分をヘキサメチレンジアミンと反応させることにより調製され得る。続いて、それぞれの用途に必要とされる高い重合度を得るために、予備反応物型バインダー組成物にさらなるヘキサメチレンジアミンを添加してもよい。さらなる例としては、炭水化物成分をアンモニア水溶液と反応させることにより予備反応物型バインダー組成物を調製し、最終の硬化でさらにヘキサメチレンジアミンを添加する場合が挙げられる。
【0035】
しかしながら、本発明によれば、架橋剤は、本明細書において規定した含窒素成分に限定されず、一例として、ルイス酸、イソシアネート、ブロック型イソシアネート、エポキシド、ブロック型エポキシド、カルボニル含有化合物(アルデヒド、ケトン、すなわち、グリオキサール)および有機カーボネートが挙げられる。架橋剤の具体例としては、クエン酸、ポリカルボン酸および無水物(例えば、コハク酸、無水マレイン酸、テトラ−およびヘキサ−ヒドロフタル酸無水物、スチレン−無水マレイン酸コポリマー)、ポリカルボン酸と無水物誘導体(例えば、そのアンモニウム塩)の溶液が挙げられる。
【0036】
上記に規定した予備反応物型バインダー組成物のさらなる一実施形態によれば、含窒素成分の全反応性含窒素基に対する炭水化物成分の全カルボニル基の比は5:1〜1:5である。例えば、該反応性含窒素基に対する該カルボニル基の比は5:1〜1:4.5、5:1〜1:4、5:1〜1:3.5、5:1〜1:3、5:1〜1:2.5、5:1〜1:2、5:1〜1:1.8、5:1〜1:1.5、5:1〜1:1.2、5:1〜1:1、5:1〜1:0.8および5:1〜1:0.5であり得る。さらなる例としては、4:1〜1:5、3.5:1〜1:5、3:1〜1:5、2.5:1〜1:5、2:1〜1:5、1.5:1〜1:5、1:1〜1:5、0.8:1〜1:5および0.5:1〜1:5などの比率が挙げられる。本発明によれば、上記の比の上限と下限は自由に組み合わされ得る。
【0037】
本明細書において、用語「反応性含窒素基」に特に制限はなく、炭水化物成分と反応し得る含窒素成分の任意の含窒素基が包含される。具体的には、かかる反応性含窒素基の例としては、第1級、第2級、第3級および第4級アミン基、アミド基、イミン基およびイミド基ならびにシアネート基およびイソシアネート基が挙げられる。
【0038】
本明細書において、用語「炭水化物成分」に特に制限はなく、一般的に、含窒素成分と反応し得る任意の炭水化物化合物が包含される。
【0039】
上記に規定した予備反応物型バインダーの一実施形態によれば、該少なくとも1種類の炭水化物成分が、単糖類、二糖類、多糖類またはその反応生成物からなる群より選択される。
【0040】
好ましくは、炭水化物成分は、還元糖および/またはインサイチュで還元糖を生成する成分であるか、あるいは還元糖および/または該成分を含むものである。本明細書で用いる場合、用語「還元糖」は、アルデヒド基もしくはケト基を含んでいるか、またはアルデヒド基もしくはケト基を含むように異性化、すなわち互変異性化され得る(該基は、例えばCuイオンで酸化されて、カルボン酸をもたらし得る)1種類または1種類より多くの糖を示す。本発明によれば、任意のかかる炭水化物成分は、例えば、ヒドロキシ、ハロ、アルキル、アルコキシなどで任意選択的に置換されていてもよい。任意のかかる炭水化物成分において、1つまたは1つより多くのキラル中心が存在する場合があり得、各キラル中心で可能な光学異性体はどちらも本明細書に記載の発明に包含される。さらに、種々の混合物、例えば、ラセミ混合物、または任意のかかる炭水化物成分の種々の光学異性体の他のジアステレオマー混合物ならびにその種々の幾何異性体も、本明細書に記載の1つまたは1つより多くの実施形態において使用され得ることも理解されよう。
【0041】
非還元糖(例えば、スクロース)を炭水化物成分として、またはその一部として使用してもよい。(特に、還元糖へのインサイチュ変換が可能な場合および/または該変換に供される場合)。さらに、単糖、二糖または多糖を前駆物質と部分反応させて炭水化物反応生成物を形成してもよいことも理解されよう。該炭水化物反応生成物が単糖、二糖または多糖から誘導され、かつ含窒素成分との同様の反応性が維持されていて単糖、二糖または多糖と含窒素成分とのものと同様の反応生成物が形成される限り、この炭水化物反応生成物は炭水化物成分という用語の範囲に含まれる。
【0042】
好ましくは、炭水化物成分はいずれも、含窒素成分との反応に利用可能な状態を持続できることが最大限となるように充分に不揮発性であるのがよい。炭水化物成分は、アルドースまたはケトースの形態の単糖、例えば、トリオース、テトロース、ペントース、ヘキソースまたはヘプトースであってもよく;多糖であってもよく;その組合せであってもよい。例えば、トリオースを炭水化物成分として供するか、あるいは他の還元糖および/または多糖と組み合わせて使用する場合、アルドトリオース糖またはケトトリオース糖、例えば、それぞれ、グリセルアルデヒドおよびジヒドロキシアセトンが使用され得る。テトロースを炭水化物成分として供するか、あるいは他の還元糖および/または多糖と組み合わせて使用する場合、アルドテトロース糖、例えば、エリトロースおよびトレオース;ならびにケトテトロース糖、例えば、エリトルロースが使用され得る。ペントースを炭水化物成分として供するか、あるいは他の還元糖および/または多糖と組み合わせて使用する場合、アルドペントース糖、例えば、リボース、アラビノース、キシロース、およびリキソース;ならびにケトペントース糖、例えば、リブロース、アラブロース(arabulose)、キシルロース、およびリキスロースが使用され得る。ヘキソースを炭水化物成分として供するか、あるいは他の還元糖および/または多糖と組み合わせて使用する場合、アルドヘキソース糖、例えば、グルコース(すなわち、デキストロース)、マンノース、ガラクトース、アロース、アルトロース、タロース、グロース、およびイドース;ならびにケトヘキソース糖、例えば、フルクトース、プシコース、ソルボースおよびタガトースが使用され得る。ヘプトースを炭水化物成分として供するか、あるいは他の還元糖および/または多糖と組み合わせて使用する場合、ケトヘプトース糖、例えば、セドヘプツロースが使用され得る。また、天然に存在することがわかっていないかかる炭水化物成分の他の立体異性体も、本明細書に記載のバインダー組成物の調製に有用であることが想定される。一実施形態において、炭水化物成分は異性化糖(HFCS)である。
【0043】
上記のように、炭水化物成分は多糖であってもよい。例えば、炭水化物成分は重合度の低い多糖であり得、例えば、糖蜜、デンプン、セルロース加水分解物、またはその混合物が挙げられる。具体的な一例によれば、炭水化物成分はデンプン加水分解物、マルトデキストリン、またはその混合物である。重合度の高い炭水化物は好ましくない場合もあり得るが、それでも、インサイチュ解重合により本発明の範囲内で有用となり得る。
【0044】
さらに、本発明によれば、炭水化物成分を非炭水化物ポリヒドロキシ反応体と組み合わせて使用してもよい。炭水化物成分と組み合わせて使用され得る非炭水化物ポリヒドロキシ反応体の例としては、限定されないが、トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリスリトール、ポリビニルアルコール、部分加水分解ポリ酢酸ビニル、完全加水分解ポリ酢酸ビニル、およびその混合物が挙げられる。例えば、非炭水化物ポリヒドロキシ反応体は、モノマー型またはポリマー型ポリアミンとの反応に利用可能な状態を持続できることが最大限となるように充分に不揮発性である。さらに、本発明によれば、非炭水化物ポリヒドロキシ反応体の疎水性は、本明細書に記載のようにして調製されるバインダーの物性の決定因子であり得る。他の共反応性化合物、例えば、カルボニル含有化合物:アルデヒド、ケトン、カルボン酸および無水物などが使用され得る。
【0045】
上記に規定した予備反応物型バインダー組成物の好ましい一実施形態において、該少なくとも1種類の炭水化物成分は、リボース、アラビノース、キシロース、リキソース、グルコース(デキストロース)、マンノース、ガラクトース、アロース、アルトロース、タロース、グロース、イドース、フルクトース、プシコース、ソルボース、ジヒドロキシアセトン、スクロースおよびタガトースならびにその混合物からなる群より選択される。
【0046】
さらに、本明細書において、表現「含窒素成分」に特に制限はなく、少なくとも1個の窒素原子を含有しており、かつ該少なくとも1種類の炭水化物成分と反応し得る任意の化学物質化合物または化合物の混合物が包含される。
【0047】
一実施形態によれば、上記に規定した予備反応物型バインダー組成物において、該少なくとも1種類の含窒素成分はNH、少なくとも1つの第1級アミン基を含む無機アミンまたは有機アミン、ならびにその塩である。例えば、含窒素成分として、NHはそのままで(例えば、水溶液の形態で)、ならびに任意の型の無機および有機アンモニウム塩として(該塩が上記に規定した炭水化物成分と反応し得る限り)使用され得る。無機アンモニウム塩の具体例としては、硫酸アンモニウム(AmSO)、リン酸アンモニウム、塩化アンモニウム、および硝酸アンモニウムが挙げられる。
【0048】
本発明によれば、含窒素成分はポリアミンであり得る。本明細書において、用語「ポリアミン」には、2つまたは2つより多くのアミン基(これは、独立して置換されていてもよい)を有する任意の有機化合物が包含される。本明細書で用いる場合、「第1級ポリアミン」は、2つまたは2つより多くの第1級アミン基(−NH)を有する有機化合物である。第1級ポリアミンという用語の範囲には、2つまたは2つより多くの第1級アミン基(−NH)を有する化合物が生成されるようにインサイチュで修飾され得るか、または異性化し得る化合物も含まれる。
【0049】
例えば、ポリアミンは第1級ポリアミンであり得る。本発明の一実施形態によれば、第1級ポリアミンは式HN−Q−NHを有する分子であり得、式中、Qはアルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキルまたはシクロヘテロアルキルであり、これらは各々、任意選択的に置換されていてもよい。例えば、Qは、C〜C24からなる群より選択されるアルキル基、C〜Cからなる群より選択されるアルキル、C〜Cからなる群より選択されるアルキルであり得る。好ましい一実施形態によれば、QはCアルキルである。別の実施形態によれば、Qはシクロヘキシル、シクロペンチルもしくはシクロブチルまたはベンジル基であり得る。
【0050】
本明細書で用いる場合、用語「アルキル」には、任意選択で分枝鎖であってもよい炭素原子鎖が包含される。本明細書で用いる場合、用語「アルケニル」および「アルキニル」には、独立して、任意選択で分枝鎖であってもよく、かつそれぞれ少なくとも1つの二重結合または三重結合を含む炭素原子鎖が包含される。アルキニルにも1つまたは1つより多くの二重結合が含まれていてもよいことは理解されよう。アルキルは好都合には限られた長さのもの、例えば、C〜C24、C〜C12、C〜C、C〜C、およびC〜Cであることがさらに理解されよう。アルケニルおよび/またはアルキニルは各々、好都合には限られた長さのもの、例えば、C〜C24、C〜C12、C〜C、C〜C、およびC〜Cであり得ることがさらに理解されよう。特に、短鎖のアルキル、アルケニルおよび/またはアルキニル基は、該化合物に対して低親水性を付加するものであり得、それに応じて、炭水化物成分に対して異なる反応性およびバインダー溶液中への異なる可溶性をもたせる。
【0051】
本明細書で用いる場合、用語「シクロアルキル」には、任意選択で分枝鎖であってもよく、かつ鎖の少なくとも一部分が環状である炭素原子鎖が包含される。さらに、本発明によれば、用語「シクロアルキルアルキル」はシクロアルキルのサブセットとみなされること、および用語「シクロアルキル」には多環式構造も包含されることに留意されたい。例えば、かかるシクロアルキルとしては、限定されないが、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、2−メチルシクロプロピル、シクロペンチルエト−2−イル、アダマンチルなどが挙げられる。本明細書で用いる場合、用語「シクロアルケニル」には、任意選択で分枝鎖であってもよく、少なくとも1つの二重結合を含み、かつ鎖の少なくとも一部分が環状である炭素原子鎖が包含される。本発明によれば、前記少なくとも1つの二重結合は、シクロアルケニルの環状部分に存在していてもよい、および/またはシクロアルケニルの非環状部分に存在していてもよい。さらに、シクロアルケニルアルキルおよびシクロアルキルアルケニルは各々、シクロアルケニルのサブセットとみなされることは理解されよう。さらに、本発明によれば、「シクロアルキル」は多環式であってもよい。かかるシクロアルケニルの例としては、限定されないが、シクロペンテニル、シクロヘキシルエテン−2−イル、シクロヘプテニルプロペニルなどが挙げられる。さらに、シクロアルキルおよび/またはシクロアルケニルを形成する鎖は、好都合には限られた長さのもの、例えば、C〜C24、C〜C12、C〜C、C〜C、およびC〜Cである。本発明によれば、シクロアルキルおよび/またはシクロアルケニルを形成する短鎖のアルキルおよび/またはアルケニルは、それぞれ、該化合物に対して親油性を下げるものであり得、それに応じて異なる挙動をもたせる。
【0052】
本明細書で用いる場合、用語「ヘテロアルキル」には、炭素と少なくとも1個のヘテロ原子の両方を含み、かつ任意選択で分枝鎖である原子鎖が包含される。かかるヘテロ原子の例としては、窒素、酸素およびイオウが挙げられる。一部の特定の変形例では、前記ヘテロ原子としてリンおよびセレンも挙げられる。一実施形態において、ヘテロアルキルはポリエーテルである。本明細書で用いる場合、用語「シクロヘテロアルキル」は、ヘテロシクリルおよび複素環を含み、炭素と少なくとも1個のヘテロ原子の両方を含み(ヘテロアルキルなど)、任意選択で分枝鎖であってもよく、かつ鎖の少なくとも一部分が環状である原子鎖が包含される。同様に、シクロヘテロアルキルの例としては、限定されないが、テトラヒドロフリル、ピロリジニル、テトラヒドロピラニル、ピペリジニル、モルホリニル、ピペラジニル、ホモピペラジニル、キヌクリジニルなどが挙げられる。
【0053】
本明細書において、用語「任意選択的に置換されている」には、水素原子を、任意選択的に置換される原子団上の他の官能基で置き換えることが包含される。例示としてのかかる他の官能基としては、限定されないが、アミノ、ヒドロキシル、ハロ、チオール、アルキル、ハロアルキル、ヘテロアルキル、アリール、アリールアルキル、アリールヘテロアルキル、ニトロ、スルホン酸およびその誘導体、カルボン酸およびその誘導体などが挙げられる。例示として、アミノ、ヒドロキシル、チオール、アルキル、ハロアルキル、ヘテロアルキル、アリール、アリールアルキル、アリールヘテロアルキル、および/またはスルホン酸はいずれも任意選択的に置換されている。
【0054】
例えば、第1級ポリアミンは、ジアミン、トリアミン、テトラアミンまたはペンタミンであり得る。一実施形態によれば、ポリアミンは、ジエチレントリアミン、1−ピペラジンエタンアミンまたはビス(ヘキサメチレン)トリアミンから選択されるトリアミンである。別の実施形態では、ポリアミンはテトラミン、例えばトリエチレンテトラミンである。別の実施形態では、ポリアミンはペンタミン、例えばテトラエチレンペンタミンである。
【0055】
第1級ポリアミンの一態様は、低い立体障害性を有するものであり得ることである。例えば、1,2−ジアミノエタン、1,4−ジアミノブタン、1,5−ジアミノペンタン、1,6−ジアミノヘキサン、1,12−ジアミノドデカン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、1,4−ジアミノベンゼン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、1−ピペラジン−エタンアミン、2−メチル−ペンタメチレンジアミン、1,3−ペンタンジアミン、およびビス(ヘキサメチレン)トリアミン、ならびに1,8−ジアミノオクタンは、本発明の範囲内である低い立体障害性を有するものである。上記に規定した予備反応物型バインダー組成物の好ましい一実施形態によれば、含窒素成分は第1級ポリアミンである1,6−ジアミノヘキサン(ヘキサメチレンジアミン,HMDA)である。さらなる一実施形態では、含窒素成分は1,5−ジアミノ−2−メチルペンタン(2−メチル−ペンタメチレンジアミン)である。
【0056】
別の実施形態では、含窒素成分は第1級ポリアミンであるポリエーテル−ポリアミンである。例えば、本発明によれば、前記ポリエーテル−ポリアミンはジアミンまたはトリアミンである。一実施形態において、ポリエーテル−ポリアミンは、Jeffamine T−403 Polyetheramine(Huntsman Corporation)として知られている440の平均分子量を有する3官能性の第1級アミンである。また、EDR−104およびEDR−148(Huntsman)も使用され得る。
【0057】
さらなる一実施形態では、含窒素成分としては高分子ポリアミンが挙げられ得る。例えば、本発明の範囲である高分子ポリアミンとしては、キトサン、ポリリシン、ポリエチレンイミン、ポリ(N−ビニル−N−メチルアミン)、ポリアミノスチレンおよびポリビニルアミンが挙げられる。具体的な一例では、含窒素成分はポリビニルアミンを含むものである。本明細書で用いる場合、ポリビニルアミンはホモポリマーまたはコポリマーであり得る。
【0058】
用語「溶媒」は、本明細書で用いる場合、特に制限はなく、炭水化物成分と含窒素成分の反応を行なうために使用され得る任意の溶媒が包含される。例えば、溶媒は水、有機溶媒またはその混合物であり得る。有機溶媒の例としては、アルコール、エーテル、エステル、ケトン、アルデヒド、アルカンおよびシクロアルカンが挙げられる。好ましくは、溶媒は水からなるもの、または本質的に水からなるものである。
【0059】
さらなる一実施形態によれば、上記に規定した予備反応物型バインダー組成物は200〜5000g/molの範囲の平均分子量を有するものである。本発明によれば、予備反応物型バインダー組成物の平均分子量は300〜4500g/mol、400〜4000g/mol、450〜3500g/mol、500〜300g/molまたは600〜1500g/molの範囲であり得る。しかしながら、予備反応物型バインダー組成物の平均分子量は前記の範囲に限定されず、その上限および下限の値は自由に組み合わされ得る。
【0060】
本発明のさらなる一実施形態は、炭水化物成分と含窒素成分の重量比が0.5:1〜30:1である、上記に規定した予備反応物型バインダー組成物に関するものである。さらなるモル比の例としては、0.7:1〜25:1、1:1〜22:1、1.5:1〜20:1、2:1〜15:1、2.5:1〜10:1または3:1〜8:1の比が挙げられる。しかしながら、本発明によれば、含窒素成分に対する炭水化物成分のモル比は前記の範囲に限定されず、上記の上限と下限は自由に組み合わされ得る。
【0061】
さらなる一実施形態は、炭水化物成分によってもたらされる最初のカルボニル基の少なくとも10%を含んでいる、上記に規定した予備反応物型バインダー組成物に関するものである。特に、本発明の予備反応物型バインダー組成物の一部の実施形態では、炭水化物成分の最初のカルボニル基の一部のものは含窒素成分と反応しておらず、依然として該成分中に存在している。予備反応物型バインダー組成物中の未反応のカルボニル基の数のさらなる例としては、含窒素成分との反応前の炭水化物成分中に存在するカルボニル基の少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%または少なくとも75%が挙げられる。特定の一実施形態によれば、初期のカルボニル基は未反応炭水化物の形態で存在している。
【0062】
本明細書で用いる場合、表現「未反応炭水化物」成分は、(i)依然として最初の形態で存在している、すなわち、何も反応も受けていない少なくとも1種類の炭水化物成分である任意の化合物に関するものである。一実施形態によれば、予備反応物型バインダー組成物は、該バインダー組成物の総重量に対して、80wt%まで、例えば、75wt%まで、70wt%まで、65wt%まで、60wt%まで、55wt%まで、または50wt%までの未反応炭水化物を含む。
【0063】
その化学組成にもよるが、本発明の予備反応物型バインダー組成物は、そのままで、すなわち、これを疎性会合状態の物質に適用し、高分子バインダーを得るために、例えば加熱および/または放射線によって硬化させることにより使用され得る。
【0064】
さらなる一実施形態では、予備反応物型バインダー組成物は、続いて架橋剤を添加し、この混合物を疎性会合状態の物質上に適用して混合物を硬化させることにより使用され得、かくして、既知の炭水化物系バインダーと比べて同様のまたはさらに改善された特性を有する高度に架橋された高分子バインダーが形成される。この場合、本出願の予備反応物型バインダー組成物は、好都合には調製され、保存および/または輸送され、その後、使用され得る、および/または異なる場所で架橋剤を添加し、最終バインダー組成物を完成させ得る。
【0065】
そうでないことを記載していない限り、上記の定義はいずれも、後述する本発明のさらなる態様および実施形態にも適用される。
【0066】
本発明のさらなる一態様は、
(i)少なくとも1種類の炭水化物成分を提供する工程、
(ii)少なくとも1種類の含窒素成分を提供する工程、
(iii)溶媒中で該炭水化物成分(1種類または複数種)と該含窒素成分(1種類または複数種)を混合する工程、および
(iv)工程(iii)で得られた溶液または分散液中で該炭水化物成分(1種類または複数種)と該含窒素成分(1種類または複数種)を反応させる工程
を含む、上記に規定した予備反応物型バインダー組成物の製造方法に関する。
【0067】
本発明によれば、この予備反応物型バインダー組成物の製造方法は、予備反応物型バインダー組成物に関して上記に規定したものと同じ条件下(すなわち、成分および比率)で行なわれ得る。
【0068】
好ましい一実施形態では、予備反応物型バインダー組成物の調製は水などの溶媒中で行ない、保存、輸送に使用可能な、または最終バインダー組成物の調製のためのベースとして使用可能なバインダー溶液を直接的に得る。例えば、予備反応物型バインダー組成物は、炭水化物成分と含窒素成分の濃縮水溶液に調製され得る。かくして得られた濃縮予備反応物型バインダー溶液は次いで、例えば、後の時点および/または異なる場所で、例えば、希釈および架橋剤の添加を行なうことにより、疎性会合状態の物質を固めるための有効なバインダーとして使用され得る。
【0069】
本発明の好ましい一実施形態によれば、上記の工程(i)〜(iv)は、該炭水化物成分(1種類または複数種)と該含窒素成分(1種類または複数種)が、高分子バインダーで結合させる物質集合体と接触していない間に行なわれる。
【0070】
本発明の予備反応物型バインダー組成物の上記の製造方法の工程(iv)の温度に特に制限はなく、10〜120℃、15〜110℃、20〜100℃または25〜90℃の範囲の温度が包含される。例えば、該反応温度は25〜85℃、30〜80℃、35〜75℃または40〜70℃の範囲であり得る。該温度範囲の具体例としては、40〜90℃、45〜85℃および50〜75℃が挙げられる。本発明によれば、予備反応物型バインダー組成物を調製する温度は上記の範囲に限定されず、前記の範囲の上限および下限の値は自由に組み合わされ得る。
【0071】
一実施形態によれば、上記の方法の反応工程(iv)は、該炭水化物成分(1種類または複数種)と該含窒素成分(1種類または複数種)を最大120℃、例えば、最大115℃、最大110℃、最大105℃、最大100℃、最大95℃、最大90℃、最大85℃または最大80℃の温度で反応させることにより行なわれる。
【0072】
同様に、上記の方法の反応工程(iv)で該炭水化物成分(1種類または複数種)と該含窒素成分(1種類または複数種)反応させる持続期間に特に制限はなく、5〜240分間、5〜210分間、5〜180分間、5〜150分間、5〜120分間、5〜90分間、5〜75分間 5〜60分間、5〜40分間、5〜30分間および5〜25分間の持続期間が包含される。さらなる例としては、5〜240分間、10〜240分間、15〜240分間、20〜240分間、25〜240分間、30〜240分間、40〜240分間、45〜240分間、60〜240分間、120〜240分間および180〜240分間の持続期間が挙げられる。しかしながら、1、2、3、4、5および6日間までの持続期間、ならびに1、2または3週間の持続期間もまた、本発明の範囲の範囲内で相応であり得る。本発明によれば、上記に規定した予備反応物型バインダー組成物を調製するための持続期間は上記の例に限定されず、前記の範囲の上限および下限の値は本明細書において自由に組み合わされ得る。
【0073】
一実施形態によれば、反応工程(iv)は、該炭水化物成分(1種類または複数種)と含窒素成分を、最大96時間、例えば、最大90時間、最大85時間、最大80時間、最大75時間、最大70時間、最大65時間、最大60時間、最大55時間、最大50時間、最大45時間、最大40時間、最大35時間、最大30時間、最大25時間、最大20時間、最大15時間、最大10時間、最大5時間または最大3時間の間反応させることにより行なわれる。反応工程(iv)を、該炭水化物成分(1種類または複数種)と該含窒素成分(1種類または複数種)を少なくとも5、10、15、20、25、30、40、60 12または180分間の間反応させることにより行なってもよい。
【0074】
特定の一実施形態によれば、反応工程(iv)は、該炭水化物成分(1種類または複数種)と該含窒素成分(1種類または複数種)を40〜120℃の温度範囲で5〜180分間の間反応させることにより行なわれる。
【0075】
別の特定の実施形態によれば、反応工程(iv)は、該炭水化物成分(1種類または複数種)と該含窒素成分(1種類または複数種)を20〜30℃の温度範囲で1〜96時間の間反応させることにより行なわれる。
【0076】
本発明によれば、上記の方法の反応工程(iv)を行なうための持続期間および温度は上記の例に限定されず、前記の範囲の上限および下限の値は本明細書において自由に組み合わされ得る。
【0077】
さらなる一実施形態によれば、該炭水化物成分(1種類または複数種)と該含窒素成分(1種類または複数種)を反応させる工程(iv)中の該溶液または分散液の粘度は、20℃で測定したとき300cPより大きく増大せず、前記工程(iv)前に存在しているすべての炭水化物および含窒素成分の開始濃度70wt%より大きく増大しない。例えば、該粘度は、275cPより大きく、250cPより大きく、225cPより大きく、200cPより大きく、175cPより大きく、150cPより大きく、100cPより大きく、75cPより大きく、または50cPより大きく増大しない。
【0078】
反応工程(iv)を大気圧または実質的に大気圧で、例えば開放反応槽内で行なってもよい。あるいはまた、反応工程(iv)を密閉反応槽内で行なってもよく;大気圧より高い圧力で行なってもよい。
【0079】
別の態様によれば、本発明は、上記に規定した方法によって得られ得る水溶性予備反応物型バインダー組成物に関する。
【0080】
例えば、一実施形態は、溶媒中で該少なくとも1種類の炭水化物成分を該少なくとも1種類の含窒素成分と少なくとも10℃の温度で少なくとも5分間の間反応させることにより得られ得る上記に規定した予備反応物型バインダー組成物に関するものである。
【0081】
別の態様によれば、本発明は、高分子バインダーによって結合された物質集合体を含む製品の製造における、上記に規定した水溶性予備反応物型バインダー組成物の使用に関する。
【0082】
本明細書において、用語「物質集合体」に特に制限はなく、鉱物繊維(例えば、鉱滓綿繊維、石綿繊維、ガラス繊維)、アラミド繊維、セラミック繊維、金属繊維、炭素繊維、ポリイミド繊維、ポリエステル繊維、レーヨン繊維、およびセルロース系繊維からなる群より選択される繊維を含む任意の物質集合体が包含される。物質集合体のさらなる例としては:粒状物、例えば、石炭、砂;セルロース系繊維;かんなくず、おがくず、木材パルプ、砕木、木材チップ、木片、木材積層体;他の天然繊維、例えば、黄麻、亜麻、麻、およびわら;ベニヤ板;化粧材;化粧板、粒子、織物または不織材料(例えば、とりわけ上記の型(1つもしくは複数)の繊維を含むもの)が挙げられる。
【0083】
本発明のさらなる一態様は、
(i)物質集合体を提供する工程、
(ii)上記に規定した予備反応物型バインダー組成物、または上記に規定した方法によって得られる予備反応物型バインダー組成物を溶媒に入れ、溶液または分散液を得る工程、
(iii)工程(ii)で得られた溶液または分散液を該物質集合体に適用する工程、および
(iv)前記溶液または分散液を含有している該物質集合体にエネルギーを与え、該バインダー組成物を硬化させる工程
を含む、高分子バインダーによって結合された物質集合体の製造方法に関する。
【0084】
上記の方法において規定される物質集合体にエネルギーを与える工程(iv)に特に制限はなく、例えば、該物質の型、バインダーの量および他の条件に応じて100℃〜350℃の温度での炉内での加熱が挙げられる。
【0085】
上記の方法の一実施形態によれば、工程(ii)において、上記に規定した予備反応物型バインダー組成物または上記に規定した方法によって得られる予備反応物型バインダー組成物、またはその溶液もしくは分散液に架橋剤を添加する。
【0086】
物質集合体の上記に規定した製造方法のさらなる一実施形態では、工程(ii)で架橋剤を添加する前に、上記に規定した予備反応物型バインダー組成物または上記に規定した方法によって得られる予備反応物型バインダー組成物を少なくとも24時間熟成させる。さらなる例としては、少なくとも48時間、少なくとも72時間、少なくとも96時間、少なくとも1、2もしくは3週間、または少なくとも1もしくは2ヶ月の熟成期間が挙げられる。
【0087】
本発明によれば、予備反応物型バインダー組成物は、炭水化物成分と含窒素成分との反応が継続することにより、経時的にその化学組成物が変化する場合があり得る。例えば、比較的低い温度、例えば室温(20℃)またはそれより低い温度であっても、炭水化物成分と含窒素成分の間でメラノイジンが形成される方向にメイラード型反応が継続される場合があり得る。その結果、予備反応物型バインダー組成物の熟成により、該バインダーの最終硬化プロセスの加速および/または結合強度の改善がもたらされ得る。
【0088】
物質集合体の上記に規定した製造方法のさらなる一実施形態によれば、工程(ii)で得られた溶液または分散液を該物質集合体に適用する工程の前では、該物質集合体はバインダーを実質的に含有していない。
【0089】
本発明のさらなる一態様は、溶媒中に上記に規定した予備反応物型バインダー組成物と架橋剤を含むものであるバインダー溶液または分散液に関する。
【0090】
予備反応物型バインダー組成物の溶液または分散液、特に、結合させる物質に適用する状態のものは:
・少なくとも5% 10%、15%または18%の固形分および/または
・80%、70%もしくは60%未満(特に、木板用途の場合)または50%、40%もしくは20%未満の固形分(特に、鉱物繊維断熱材用途の場合)
(特に、140℃で2時間乾燥後の重量基準のベイクアウト(bake out)固形分として測定したとき)
を含むものであり得る。
【0091】
さらなる一態様によれば、本発明は、1種類または1種類より多くの型の繊維および/または粒子と上記に規定した予備反応物型バインダー組成物を硬化された状態で含むものである繊維または粒子含有製品に関する。
【0092】
本発明によるバインダーは、例えば:断熱材;鉱物綿断熱材(例えば、ガラスウール断熱材および石綿断熱材);木板;ファイバーボード;木質パーティクルボード;チップボード;配向性ストランドボード;中密度ファイバーボード;合板;高圧ラミネートからなる群より選択される物品におけるバインダーとして使用され得る。
【0093】
完成品中のバインダーの量は、特に鉱物綿断熱材の場合:
・1%、2%、2.5%、3%、3.5%もしくは4%より多い;および/または
・20%、15%、10%もしくは8%より少ない
(完成品の乾燥重量で測定したとき)
であり得る。
【0094】
鉱物綿断熱材でのバインダーの量は、典型的には強熱減量(LOI)によって測定される。
【0095】
特に、鉱物繊維断熱材の場合は、製品は、以下の離散強度(parting strength):
・少なくとも120g/g、好ましくは少なくとも150g/g;および/または
・400g/g未満
の通常離散強度
・少なくとも120g/g、好ましくは少なくとも150g/g;および/または
・400g/g未満
の耐候離散強度
・10%未満、好ましくは5%未満
の通常離散強度と耐候離散強度間の減損%
の1つまたは1つより多くを有するものであり得る。
【0096】
離散強度は、6つの試験供試体の総破壊荷重をこれらの総重量で除算したものである単位:グラム/グラムで示している。
【0097】
該試験は、試験用に入手したときの状態(通常離散強度)および以下に説明する促進耐候性試験後(耐候離散強度)の鉱物繊維マットで行なわれる。
【0098】
図14に示した形態および寸法の第1の組の6つの試験片を試験対象の鉱物繊維マットから切り出す。寸法は:
r:半径12.7mm;
DC:中心間距離44.5mm;
a:25.4mm;
b:121mm
である。
【0099】
試験片の長軸はコンベアの方向と平行にしなければならず、試験片は鉱物マットの全幅にわたって得なければならない。次いで、第2の組の6つの試験片を同様にして得る。
【0100】
第1の群の6つの試験片の総重量W1(単位:グラム)を記録する。
【0101】
第2の群の6つの試験片の総重量W2(単位:グラム)を記録する;次いで、これらの試験片を予備加熱したオートクレーブ内に入れ、チャンバの底面から離れたワイヤメッシュの棚の上で、35kN/m2の湿性流下で1時間、状態調節する。次いで、これらを取り出し、100℃の炉内で5分間乾燥させ、即座に離散強度を試験する。
【0102】
離散強度を試験するため、各試験片を順に、5500 Instron引張強度試験機のジョーに載せ、最大破壊荷重(単位:グラムまたはニュートン)を記録する。破壊荷重をニュートンで測定する場合は、101.9を乗算することによりグラムに変換する。各組の試験片について6つの結果(単位:グラム):第1の組の試験片についてG1 G2 G3 G4 G5およびG6ならびに第2の組の試験片についてG7 G8 G9 G10 G11およびG12を得る。
【0103】
通常離散強度は第1の組の試験片から、通常離散強度=(G1+G2+G3+G4+G5+G6)/W1の式を用いて計算される。
【0104】
耐候離散強度は第2の組の試験片から、耐候離散強度=(G7+G8+G9+G10+G11+G12)/W2の式を用いて計算される。
【0105】
製品が鉱物綿断熱材である場合、これは、以下の特徴:
・5、8または10kg/m3より大きい密度;
・200、180または150km/m3より小さい密度
・ガラスウール線維を含むものであり、5、8もしくは10kg/m3より大きいおよび/または80、60もしくは50kg/m3より小さい密度を有する;
・石綿線維を含むものであり、15、20もしくは25kg/m3より大きいおよび/または220、200もしくは180kg/m3より小さい密度を有する;
・0.05W/mK未満および/または0.02W/mKより大きい熱伝導率λ
・99重量%未満および/または80重量%より多い鉱物繊維を含むものである
・10mm、15mmもしくは20mmより大きいおよび/または400mm、350mmもしくは300mm未満の厚さ
のうちの1つまたは1つより多くを有するものであり得る。
【0106】
製品が木板製品である場合、これは、以下の特徴:
・少なくとも50cm×80cm、好ましくは少なくとも1m×2mの寸法
・少なくとも11mm、12mmまたは15mmの厚さ
・25、15、12または10分間より少ない硬化時間
・EN319に従って測定したとき少なくとも:0.4N/mm2もしくは0.45N/mm2(特に、パーティクルボードもしくはファイバーボードの場合)またはEN300に従って測定したとき少なくとも0.28N/mm2(特に、配向ストランドボードの場合)の内部結合強度
・20℃の水中で24時間の膨潤後、EN317による12%未満、好ましくは10%未満の厚さ
・20℃の水中で24時間後、40%未満、好ましくは30%未満の水分吸収
・EN310による少なくとも:1800N/mm2(特に、パーティクルボードもしくはファイバーボードの場合)または2500N/mm2(特に、配向ストランドボードの場合)または3500N/mm2または4800N/mm2の弾性率
・少なくとも:14N/m2(特に、パーティクルボードもしくはファイバーボードの場合)または18N/mm2(特に、配向ストランドボードの場合)または20N/mm2または28N/mm2の曲げ強度(MOR)
・例えば、0.1〜2重量%、好ましくは0.5〜1重量%の範囲の添加剤としてのワックス
・8〜18重量%、好ましくは10〜16重量%、より好ましくは12〜14重量%の範囲のバインダー含有量(乾燥木材粒子の重量に対する乾燥樹脂の重量)
・プレス内で、特に、180℃もしくは200℃より高い、および/または280℃もしくは260℃より低い温度を有するプレート間またはプラテン間で硬化させている、
のうちの1つまたは1つより多くを有するものであり得る。
【0107】
種々の添加剤を該バインダー組成物に組み込むことができる。このような添加剤は本発明のバインダーにさらなる望ましい特徴を付与する。例えば、該バインダーにはケイ素含有カップリング剤が含められ得る。多くのケイ素含有カップリング剤がDow−Corning Corporation、Evonik Industries、およびMomentive Performance Materialsから市販されている。例示として、ケイ素含有カップリング剤としてはシリルエーテルおよびアルキルシリルエーテルなどの化合物が挙げられ、これらは各々、例えば、ハロゲン、アルコキシ、アミノなどで任意選択的に置換されていてもよい。ある変形例では、ケイ素含有化合物はアミノ置換シラン、例えば、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン(SILQUEST A−1101;Momentive Performance Materials,Corporate Headquarters:22 Corporate Woods Boulevard,Albany,NY 12211 USA)である。別の変形例では、ケイ素含有化合物はアミノ置換シラン、例えば、アミノエチルアミノプロピルトリメトキシシラン(Dow Z−6020;Dow Chemical,Midland,MI;USA)である。別の変形例では、ケイ素含有化合物はγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(SILQUEST A−187;Momentive)である。また別の変形例では、ケイ素含有化合物はアミノ官能性オリゴマーシロキサン(HYDROSIL 2627,Evonik Industries,379 Interpace Pkwy,Parsippany,NJ 07054)である。
【0108】
ケイ素含有カップリング剤は、典型的には該バインダー中に、溶存バインダー固形分に対して約0.1パーセント〜約1パーセント(重量基準で)(すなわち、該水溶液に添加された固形分の重量に対して約0.05%〜約3%)の範囲で存在させる。このようなシリコーン含有化合物により、該バインダーが、これに存在させる物質(ガラス繊維など)に付着する能力が向上する。該物質に対する該バインダーの付着能力の向上により、例えば、非会合物質または疎性会合物質(1種類または複数種)の粘着凝集をもたらすこと、または促進させることができる能力が改善される。
【0109】
別の例示的な実施形態では、本発明のバインダーには1種類または1種類より多くの腐食防止剤が含められ得る。このような腐食防止剤により、酸によってもたらされる化学分解によって引き起こされる物質(例えば、金属)の腐食または摩滅が予防または抑止される。腐食防止剤を本発明のバインダーに含めると、該バインダーの腐食性は、該防止剤を存在させない該バインダーの腐食性と比べて低下する。一実施形態において、このような腐食防止剤は、本明細書に記載の鉱物繊維含有組成物の腐食性を低下させるために使用され得る。例示として、腐食防止剤としては、以下の、除塵油もしくはモノリン酸アンモニウム、メタケイ酸ナトリウム5水和物、メラミン、シュウ酸スズ(II)および/またはメチルハイドロジェンシリコーン液乳剤のうちの1種類または1種類より多くが挙げられる。本発明のバインダーに含める場合、腐食防止剤は、典型的には該バインダー中に、溶存バインダー固形分に対して約0.5パーセント〜約2パーセント(重量基準で)の範囲で存在させる。
【0110】
一実施形態によれば、上記に規定した繊維または粒子含有製品は、上記に規定した物質集合体の製造方法により得られ得る。
【0111】
特定の一実施形態によれば、該繊維または粒子含有製品は1種類または1種類より多くのフルクトサジンを含むものである。好ましくは、前記1種類または1種類より多くのフルクトサジン(frutosazine)は0.001〜5wt%、例えば、0.01〜5wt%、0.05〜5wt%、0.1〜5wt%、0.15〜5wt%、0.2〜5wt%、0.25〜5wt%、0.3〜5wt%、0.4〜5wt%、0.5〜5wt%、0.75〜5wt%、1〜5wt%、1.5〜5wt%、2〜5wt%または2.5〜5wt%の量で存在している。さらなる例としては、0.01〜4.5wt%、0.01〜4wt%、0.01〜3.5wt%、0.01〜3wt%、0.01〜2.5wt%、0.01〜2wt%、0.01〜1.5wt%、0.01〜1wt%または0.01〜0.75wt%の範囲が挙げられる。本発明によれば、本発明の繊維または粒子含有製品に含める1種類または1種類より多くのフルクトサジンの量は上記の範囲に限定されず、前記の範囲の上限および下限の値は自由に組み合わされ得る。
例えば、本発明は、以下の項目を提供する。
(項目1)
(i)少なくとも1種類の炭水化物成分と、
(ii)少なくとも1種類の含窒素成分
の反応生成物(1種類または複数種)を含む、水溶性予備反応物型バインダー組成物。
(項目2)
前記バインダー組成物が、1〜500kDaの範囲の分子量を有する少なくとも1種類のプレポリマーを含むものである、項目1に記載の予備反応物型バインダー組成物。
(項目3)
前記少なくとも1種類のプレポリマーが、前記バインダー組成物の総重量に対して2wt%または2wt%より多くの量で含有されている、項目2に記載の予備反応物型バインダー組成物。
(項目4)
前記バインダー組成物が、80を超えて500kDaまでの範囲の分子量を有する少なくとも1種類のプレポリマー(高分子量プレポリマー)を含むものである、前記項目のいずれかに記載の予備反応物型バインダー組成物。
(項目5)
前記少なくとも1種類の高分子量プレポリマーが、前記バインダー組成物の総重量に対して0.2wt%または0.2wt%より多くの量で含有されている、項目4に記載の予備反応物型バインダー組成物。
(項目6)
前記バインダー組成物が、10を超えて80kDaまでの範囲の分子量を有する少なくとも1種類のプレポリマー(中分子量プレポリマー)を含むものである、前記項目のいずれかに記載の予備反応物型バインダー組成物。
(項目7)
前記少なくとも1種類の中分子量プレポリマーが、前記バインダー組成物の総重量に対して0.3wt%または0.3wt%より多くの量で含有されている、項目6に記載の予備反応物型バインダー組成物。
(項目8)
前記バインダー組成物が、10kDaのまたは10kDaより小さい分子量を有し、かつ(i)の前記少なくとも1種類の炭水化物成分および(ii)の前記少なくとも1種類の含窒素成分と異なる1種類または1種類より多くの化合物(低分子量化合物)を含むものである、前記項目のいずれかに記載の予備反応物型バインダー組成物。
(項目9)
前記低分子量化合物が、グリコールアルデヒド、グリセルアルデヒド、2−オキソプロパナール、アセトール、ジヒドロキシアセトン、アセトイン、ブタンジオン、エタナール、グルコソン、1−デソキシヘキソスロース、3−デソキシヘキソスロース、3−デソキシ−ペントスロース、1,4−ジデソキシヘキソスロース、グリオキサール、メチルグリオキサール、ジアセチルおよび5−(ヒドロキシメチル)フルフラールのうちの1種類または1種類より多くを含む、項目8に記載の予備反応物型バインダー組成物。
(項目10)
70wt%の前記予備反応物型バインダー組成物を含有する水溶液が20℃で最大2000cPの粘度を有する、前記項目のいずれかに記載の予備反応物型バインダー組成物。
(項目11)
70wt%の前記予備反応物型バインダー組成物を含有する水溶液の粘度が、20℃で12時間放置したとき500cPより大きく増大しない、前記項目のいずれかに記載の予備反応物型バインダー組成物。
(項目12)
前記予備反応物型バインダー組成物が、架橋剤と反応して1種類または1種類より多くのメラノイジンを水不溶性組成物として生成し得るものである、前記項目のいずれかに記載の予備反応物型バインダー組成物。
(項目13)
前記含窒素成分(1種類または複数種)の全反応性含窒素基に対する前記炭水化物成分(1種類または複数種)の全カルボニル基の比が5:1〜1:5である、前記項目のいずれかに記載の予備反応物型バインダー組成物。
(項目14)
前記少なくとも1種類の炭水化物成分が単糖類、二糖類、多糖類またはその反応生成物からなる群より選択される、前記項目のいずれかに記載の予備反応物型バインダー組成物。
(項目15)
前記少なくとも1種類の炭水化物成分が、還元糖、リボース、アラビノース、キシロース、リキソース、グルコース(デキストロース)、マンノース、ガラクトース、アロース、アルトロース、タロース、グロース、イドース、フルクトース、プシコース、ソルボース、ジヒドロキシアセトン、スクロースおよびタガトースならびにその混合物からなる群より選択される、前記項目のいずれかに記載の予備反応物型バインダー組成物。
(項目16)
前記少なくとも1種類の含窒素成分が、NH、少なくとも1つの第1級アミン基を含む無機アミンまたは有機アミンならびにその塩である、前記項目のいずれかに記載の予備反応物型バインダー組成物。
(項目17)
前記炭水化物成分と前記含窒素成分の重量比が0.5:1〜30:1である、前記項目のいずれかに記載の予備反応物型バインダー組成物。
(項目18)
前記炭水化物成分によってもたらされる最初のカルボニル基の少なくとも10%を含んでいる、前記項目のいずれかに記載の予備反応物型バインダー組成物。
(項目19)
(i)少なくとも1種類の炭水化物成分を提供する工程、
(ii)少なくとも1種類の含窒素成分を提供する工程、
(iii)溶媒中で前記炭水化物成分(1種類または複数種)と前記含窒素成分(1種類または複数種)を混合する工程、および
(iv)工程(iii)で得られた溶液または分散液中で前記炭水化物成分(1種類または複数種)と前記含窒素成分(1種類または複数種)を反応させる工程
を含む、前記項目のいずれかに記載の予備反応物型バインダー組成物の製造方法。
(項目20)
工程(i)〜(iv)が、前記炭水化物成分(1種類または複数種)と前記含窒素成分(1種類または複数種)が、高分子バインダーで結合させる物質集合体と接触していない間に行なわれる、項目19に記載の方法。
(項目21)
反応工程(iv)が、前記炭水化物成分(1種類または複数種)と前記含窒素成分(1種類または複数種)を最大120℃の温度で反応させることにより行なわれる、項目19または20に記載の方法。
(項目22)
反応工程(iv)が、前記炭水化物成分(1種類または複数種)と前記含窒素成分(1種類または複数種)を最大96時間の間、反応させることにより行なわれる、項目19〜21のいずれかに記載の方法。
(項目23)
反応工程(iv)が、前記炭水化物成分(1種類または複数種)と前記含窒素成分(1種類または複数種)を40〜120℃の温度範囲で5〜180分間の間反応させることにより行なわれる、項目19〜22のいずれか1項に記載の方法。
(項目24)
反応工程(iv)が、前記炭水化物成分(1種類または複数種)と前記含窒素成分(1種類または複数種)を20〜30℃の温度範囲で1〜96時間の間反応させることにより行なわれる、項目19〜22のいずれか1項に記載の方法。
(項目25)
前記炭水化物成分(1種類または複数種)と前記含窒素成分(1種類または複数種)を反応させる工程(iv)中の該溶液または分散液の粘度が、20℃で測定したとき300cPより大きく増大せず、前記工程(iv)前に存在しているすべての炭水化物および含窒素成分の開始濃度70wt%より大きく増大しない、項目19〜24に記載の方法。
(項目26)
項目19〜25のいずれか1項に記載の方法によって得られ得る水溶性予備反応物型バインダー組成物。
(項目27)
高分子バインダーによって結合された物質集合体を含む製品の製造における項目1〜18のいずれか1項に記載の水溶性予備反応物型バインダー組成物の使用。
(項目28)
(i)物質集合体を提供する工程、
(ii)項目1〜18のいずれか1項に記載の予備反応物型バインダー組成物または項目19〜25のいずれか1項に記載の方法によって得られる予備反応物型バインダー組成物を溶媒に入れ、溶液または分散液を得る工程、
(iii)工程(ii)で得られた溶液または分散液を該物質集合体に適用する工程、および
(iv)該溶液または分散液を含有している該物質集合体にエネルギーを与え、該バインダー組成物を硬化させる工程
を含有する、高分子バインダーによって結合された物質集合体の製造方法。
(項目29)
工程(ii)において、項目1〜18のいずれか1項に記載の予備反応物型バインダー組成物または項目19〜25のいずれか1項に記載の方法によって得られる予備反応物型バインダー組成物、またはその溶液もしくは分散液に架橋剤を添加する、項目28に記載の方法。
(項目30)
工程(iv)で前記物質集合体にエネルギーを与える前に、項目1〜18のいずれか1項に記載の予備反応物型バインダー組成物または項目19〜25のいずれか1項に記載の方法によって得られ得る予備反応物型バインダーを少なくとも24時間熟成させる、項目28または29に記載の物質集合体の製造方法。
(項目31)
工程(ii)で得られた溶液または分散液を前記物質集合体に適用する工程の前では、前記物質集合体はバインダーを実質的に含有していない、項目28〜30のいずれか1項に記載の物質集合体の製造方法。
(項目32)
溶媒中に項目1〜18のいずれか1項に記載の予備反応物型バインダー組成物と架橋剤を含むものである、バインダー溶液または分散液。
(項目33)
1種類または1種類より多くの型の繊維および/または粒子と項目1〜18のいずれか1項に規定される予備反応物型バインダー組成物を硬化された状態で含有するものである、繊維または粒子含有製品。
(項目34)
項目28〜31のいずれか1項に記載の方法によって得られ得る、項目33に記載の繊維または粒子含有製品。
(項目35)
1種類または1種類より多くのフルクトサジンを含有するものである、項目33または34に記載の繊維または粒子含有製品。
(項目36)
前記1種類または1種類より多くのフルクトサジンが、硬化したバインダーの総質量に対して0.001〜5wt%の量で存在している、項目35に記載の繊維または粒子含有製品。
【図面の簡単な説明】
【0112】
図1図1は:アンモニアと予備反応させたデキストロースバインダーの硬化速度およびそのpHを示す。
図2図2は:HMDAと予備反応させたデキストロースバインダーの硬化速度およびそのpHを示す。
図3図3は:種々の熟成期間のデキストロース/フルクトース+HMDA予備反応物型バインダーで作製したボードの平均内部結合および膨潤の結果を示す。
図4図4は:ボードの作製と同じ日に測定した、熟成中のデキストロース/フルクトース+HMDA予備反応物型バインダーの粘度およびゲル化時間を示す。
図5図5は:キセノン光下で327時間のウェザロメーター曝露試験時、予備反応物型バインダー(GWE2)は標準バインダー(GWST)より退色が少ないことを示す。
図6図6は:種々の予備反応物型バインダーの粘度の進展を示す。
図7図7は:種々の予備反応物型バインダーの粘度の進展を示す。
図8図8は:種々の予備反応物型バインダーの粘度の進展を示す。
図9図9は:種々の予備反応物型バインダーのpHの進展を示す。
図10図10は:120℃の硬化温度におけるHFCS/アンモニア/HMDAモル比に依存性の硬化時間を示す。
図11図11は:ジアミン(HMDAとEDR−104の対比)に依存性の120℃で架橋させたHFCS/アンモニア予備反応物の硬化時間を示す。
図12図12は:ジアミン(HMDAとEDR−104の対比)に依存性の140℃で架橋させたHFCS/アンモニア予備反応物の硬化時間を示す。
図13図13は:ジアミン(HMDAとEDR−104の対比)に依存性の160℃で架橋させたHFCS/アンモニア予備反応物の硬化時間を示す。
図14図14は:鉱物繊維の試験の試験片の平面図を示す。
図15図15は:予備反応物型バインダー組成物の粘度および吸光度(adsorbance)を示す。
図16図16は:GPCデバイスの較正を示す。
図17図17は:種々の予備反応時間での予備反応物型バインダー組成物のGPCクロマトグラムを示す。
図18図18は:種々の予備反応温度での予備反応物型バインダー組成物のGPCクロマトグラムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0113】
本発明の予備反応物型バインダー組成物により、一般的な炭水化物系バインダーで既知のさまざまな欠点が好都合に解決される。特に、予備反応物型バインダー組成物の好ましい実施形態は、該バインダー組成物が使用不可能となり得る炭水化物成分の再結晶またはゲル化を伴うことなく長期間保存または輸送され得るものである。さらに、本発明の予備反応物型バインダー組成物の好ましい実施形態では、例えば、得られる繊維製品の硬化時間の改善、結合強度の改善および退色の低減がもたらされる。本発明の予備反応物型バインダー組成物の好ましい実施形態を使用することにより、未反応の炭水化物成分の含有量が少ない繊維または粒子含有製品が得られ得、そのため、該製品は微生物による分解に対してより安定となる。
【0114】
本発明を以下の実施例でさらに例示するが、本実施例に限定されない。
【実施例】
【0115】
実施例1:デキストロースとアンモニアの予備反応物型バインダー組成物ならびにHMDA、クエン酸および硫酸アンモニウムでの架橋
デキストロースを、種々の時間(t=0、1および3時間)、100℃にてアンモニアと予備反応させ、続いてHMDA、クエン酸または硫酸アンモニウムで架橋させた。t=0は、炭水化物成分と含窒素成分を混合し、即座に、すなわち予備反応のための時間を全く許容せずに架橋剤を添加したことに対応する。
計算:
最適なモル当量を有するバインダーを計算した。ここで、糖は、等モル量の半分のアンモニア基とともに予備反応させ、残りの半分とともに架橋させる(表1、2および3)。
【0116】
全体の比率は:糖由来のC=O/アンモニア由来の−NH/HMDAもしくはAmSO由来の−NHまたはクエン酸由来の−COOHは2/1/1である。
【0117】
【表1】
【0118】
【表2】
【0119】
【表3】
【0120】
予備反応物型バインダーの硬化:
上記のようにして、9種類のバインダーを70%の固形分で調製し、7%の固形分まで希釈し、マイクロファイバーフィルター上で硬化させた。フィルターを5分間(充分に硬化)、または2.5分間(水中に若干の抽出物が残る)硬化させた。また、その硬化速度を追跡するため、バインダーを22.5%に希釈した(図1参照)。硬化速度を追跡するため、バインダーの液滴をガラス繊維フィルター上に置き、種々の時間硬化させた。硬化したスポットを水中で抽出し、浸出物の吸光度を、分光測光器を用いて測定した。吸光度は、初期では可溶性の着色化合物の形成のため上昇した。次いで、吸光度は、この可溶性化合物の架橋のため低下した。硬化速度は、吸光度が最低値まで低下するのにかかる時間とみなす。
【0121】
この一連の実験では、HMDAが最も速い架橋剤であり、続いて硫酸アンモニウム、クエン酸である。1時間の予備反応では硬化速度の改善が示された。クエン酸での架橋は、3時間の予備反応では遅くなった。硫酸アンモニウムおよびHMDAでは、1または3時間の予備反応後では架橋速度は同じであった。
実施例2:デキストロースとHMDAの予備反応物型バインダー組成物
デキストロースを、0、15および60分間、60℃にてHMDAおよびHMDAと予備反応させ、クエン酸または硫酸アンモニウムで架橋させた。
計算:
バインダーを、実施例1に基づいて計算した:
全体の比率は:糖由来のC=O/HMDA由来の−NH/HMDAもしくはAmSO由来の−NHまたはクエン酸由来の−COOHは2/0.8/0.8(表4、5および6)である。
【0122】
【表4】
【0123】
【表5】
【0124】
【表6】
【0125】
予備反応物型バインダーの硬化:
実施例1のセクションに記載のようにして、バインダーをフィルター上(200℃で5分間)およびアルミニウム皿の中で硬化させた。実施例1の硬化速度の追跡に関する手順を使用し、硬化速度を140℃で比較した(図2参照)。
【0126】
この一連の実験でもなお、デキストロースとHMDAを予備反応させた場合、HMDAが最も速い架橋剤であり、続いてクエン酸、硫酸アンモニウムである。これは、HMDAとの予備反応によって形成されるポリマーがアンモニアとで形成されるものとは異なることを示唆し、したがって、クエン酸は硫酸アンモニウムよりも効率的な架橋剤となる。
実施例3:予備反応物型バインダー組成物に関する熟成試験
目的
予備反応物型バインダーが、パーティクルボードの作製に関してどのように経時的に変化するかを評価すること。特に、予備反応物型バインダーの熟成により、内部結合強度(IB)がより良好なボードが得られるか、より悪いボードが得られるかに関する指標、および作りたての予備反応物型バインダーの使用と比べたときの膨潤度に対する効果を示す。
序論
バインダーが最初に作製されてから研究室での使用または工場での試用まで数週間かかることがあり得る。これは、主に、輸送期間、製造スケジュールおよび試験による遅延のためである。数週間までのバインダーの熟成が該バインダーで作製された任意のボードの特性に影響を及ぼすかどうかを知ることは必要である。予備反応物型バインダーは、室温(約20℃)ではずっと遅い速度で反応し続け、これにより、i)メラノイジンへのメイラード反応の継続(これは、最終硬化物においてなされるべき反応が少なくなり、そのため、より急速に容易に反応を行なわなければならないことを意味する)、ii)該反応がいくぶん低下して異なる経路で進行し、結合時、完全に硬化するとメラノイジンがより濃い、場合によってはより薄い分子が作製され得ること、iii)このような余分な反応により酸などの不要な副生成物が生成され得、これにより硬化が遅くなり得ることがもたらされ得ると考えられる。
方法
616gのデキストロース、
560gのフルクトース、
200gのHMDAおよび
424gの水
からなる1.8kgの予備反応物型バインダーを作製した。
【0127】
予備反応を60〜63℃で15分間制御した。これに、さらに200gのHMDAを添加して2kgのバインダーにすることが必要な場合があり得る。混合物ごとに実際に必要とされるさらなる量のHMDAを計算し、必要に応じて、および必要な場合に必要量の予備反応物に添加した。いずれの時点でも、予備反応物のバルクには、さらにHMDAを添加しなかった。
【0128】
予備反応物型バインダーを作製した後、その日、およびその時点から7日毎にボードを作製した。予備反応物型バインダーの粘度およびこれで作製したバインダーのゲル化時間を、ボードの作製時に測定した。以下の条件下でプレスし、プレスのプラテン間で硬化させることにより各混合物で2つのボードを作製した。
【0129】
ボードサイズ − 300mm×300mm×10mm
所望の密度 − 650kg/m3
チップの湿分 − 3.1%
バインダーの割合 − 10.0重量%
プラテン温度 − 195℃
プレス係数 − 14秒/mm
圧力 − 504KN
最初の混合物を0日目と仮定すると、ボードは0、7、14および21日目に作製した。0日目に1つのボードを12秒/mmで作製し、14日目に1つのボードを新たな手順の試行に使用したため、0日目と14日目は1つのボードのみを試験した。
【0130】
作製後、ボードは、同様の条件下で最低3日間、状態調節した後、試験した。試験は、Testometric装置での内部結合試験、ならびに20℃に設定した水浴中での2時間および24時間の両方での膨潤試験からなるものとした。
【0131】
結果:
【0132】
【表7】
【0133】
実施例4:予備反応物型バインダー組成物製造のための調製方法
予備反応物型バインダー組成物は以下の手順によって製造され得る:
1.必要量の熱水を必要量の糖(1種類または複数種)に添加する。
【0134】
2.ビーカー、溶液および撹拌棒の総重量を記録する。
【0135】
3.加熱し、溶解を補助するために撹拌する。ホットプレートおよび電気撹拌器が功を奏する。これは、30分または30分より長くかかる場合があり得る。結晶がすべて溶解し、溶液が透明であることを確認する。
【0136】
4.炭水化物(例えば、デキストロース)溶液の温度は、溶解させたらおよそ55℃〜60℃にするのがよい。そうでない場合は、これを満たすように調整する。
【0137】
5.ビーカー、溶液および撹拌器の重量を確認し、(2.)で記録した重量に蒸発分を考慮して水を加える。
【0138】
6.必要量の含窒素成分(例えば、HMDA)を添加し、あらたな総重量を記録し、次いで撹拌を行なう。
【0139】
7.反応温度は60℃まで上昇させるのがよく、これを、必要な場合はホットプレートを用いて60〜63℃に維持するのがよい。
【0140】
8.電気撹拌器で定常的に撹拌しながら、この温度で15分間保持する。溶液は黄色→褐色→非常に濃い褐色に変化するはずである。
【0141】
9.重量を確認し、(6.)で記録した重量に蒸発分を考慮して加える。
【0142】
10.ゆるく密封した容器内で溶液を急速に冷却し、できるだけ蒸発を回避する。冷却を補助するために溶液を多数の部分に分割するため、水浴が功を奏する。反応混合物は使用前に冷却し、蒸発の可能性を低減させることが重要である。
【0143】
11.冷却されたら、予備反応物型溶液が完成する。20℃の粘度は300〜320cpの範囲であるのがよい。
実施例5:キシロース:フルクトース+HMDA予備反応物型バインダーの安定性
予備反応なしでは、50%キシロース含有炭水化物溶液を合わせると、一般的に5分以内にゲル化が起こる。したがって、かかるバインダーの使用によるボードの製造は不可能である。しかしながら、予備反応をすると、木板の作製に成功裡に使用した安定なバインダーを作製することが可能になる。
【0144】
表8は、予備反応物型バインダー(キシロース:フルクトース:HMDAが反応体の重量%基準で44.44:44.44:11.11)の安定性の試験の結果を示す。表9は、予備反応を行なった後、さらにHMDAを添加し、重量基準でキシロース:フルクトース:HMDA/40:40:20(これは:予備反応(キシロース:フルクトース:HMDA)+後で添加したHMDA(40:40:10)+10)とも表示できる)の全反応体含有量にした後の、これらの予備反応物型バインダーの安定性の試験の結果を示す。種々の予備反応時間を試した。
【0145】
【表8】
【0146】
【表9】
【0147】
この一連の実験では、22.5分間およびそれ以上予備反応させたバインダー溶液で作製したバインダーに、ほとんど差は示されなかった。15分間の予備反応で作製したバインダーはゲル化したが、その他のバインダーは硬化したことがわかる。
【0148】
キシロースバインダーの安定性に関する上記の試験により、22.5分間の予備反応時間が、安定なバインダーが作製されることがわかった最低時間であることが示された。実際の時点は、15〜22.5分の間のどこかに存在する。キシロースバインダーが示す硬化速度は、ここでは、該バインダーを室温で硬化させると3日間で明白に視認される。
実施例6:予備反応物型バインダーと従来バインダーとの比較
この一連の実験では、バインダーの配合を以下のとおりとした:
85%のDMH(デキストロース一水和物)+15%のAmSO(硫酸アンモニウム)+1.25%のNHOH+9%の油性エマルジョン+0.3%のISI0200(シラン)
予備反応物型バインダーのため、DMHとAmSOを65%の固形分で100℃にて2時間予備反応させた。試行当日、このバインダーを希釈し;アンモニア、油性エマルジョンおよびシランをこれに添加した。
【0149】
240kgの予備反応物型バインダー(65%の固形分)を実験室で調製した。試行当日、このバインダーを希釈し、また、シランと油性エマルジョンも添加して15%のバインダー固形分にした。
【0150】
試行当日、加熱せずに成分を合わせることにより未反応バインダーを作製した。
【0151】
このバインダーを、密度=32kg/mでバインダー含有量(LOIとして測定時のwt%)=7.5%の25mm厚の鉱物綿断熱材(ユニバーサルスラブCS32)の製造に使用した。
【0152】
予備反応物型バインダーでは、標準的な非予備反応物型バインダーの場合よりも剛性および発塵性が大きい製品が得られることがわかった。発塵性の増大は、バインダーが過剰硬化されたことを示す可能性があった。硬化およびバインダー含有量(LOIとして測定時の重量%)は、予備反応物型バインダーと非予備反応物型バインダーで同様であった。また、予備反応物型バインダーは光に曝露したとき退色が少なく、これは、予備反応物型ポリマーでは異なる発色団がもたらされることを示す(図5参照)。
【0153】
以下の表10は:
i)どちらのバインダーでも、同様のLOI、硬化および離散強度を有するガラスウール断熱材製品が得られた。予備反応物型バインダーの方が、剛性および発塵性が大きかった。粉塵の増大は、おそらく、予備反応物型バインダーで作製した製品の方が密度が高いことによって一部説明され得る
ii)湿分傾斜は、マットの場所によって異なり、これは、形成コンベア下での吸引の不均衡のためであり得る
ことを示す。
【0154】
【表10】
【0155】
図5は、キセノン光下で327時間のウェザロメーター曝露試験時、予備反応物型バインダー(GWE2)は標準バインダー(GWST)より退色が少ないことを示す。この曝露時間は、英国での4ヶ月曝露を代表するものである。
【0156】
予備反応物型バインダーでは、製造された製品の剛性において利点が示された。DMHと予備反応させたことの他の潜在的な利点は、炉内での硬化前の低再結晶および洗浄水中の細菌レベルの減少である。退色実験では、予備反応物型バインダーの方が退色が少ないことが示された。
実施例7:予備反応物型バインダー組成物の粘度
予備反応物型バインダーの調製:
DMH/HMDA予備反応物を、DMH(水なしのバインダー組成物の総重量に対して88.89wt%)およびHMDA(水なしのバインダー組成物の総重量に対して11.11wt%)、すなわち、5.16モル当量のDMHと1モル当量のHMDAを水中で(70%の固形分で)、密封加圧ガラスボトル内で混合し、60℃で20分間加熱し、予備反応物型バインダー組成物を調製することにより調製した。
【0157】
この予備反応物型バインダー組成物を、バインダー溶液の粘度と吸光度(adsorbance)を追跡しながら、60℃で11日間さらに加熱した。図15に示されるように、この一連の実験では、予備反応物の吸光度のみが予備反応時間にわたって着実に増大したが、予備反応物の粘度は予備反応の最終段階まで増大しなかった。
実施例8:種々の予備反応物型バインダー組成物のGPC解析
【0158】
【表11】
【0159】
上記のGPCデバイスを、スクロースおよび種々のプルランを用いて較正した(図16)。
【0160】
D−グルコース(44.45wt%、水なしのバインダー組成物の総量に対して)、D−フルクトース(水なしのバインダー組成物の総量に対して44.45wt%)およびHMDA(水なしのバインダー組成物の総量に対して11.1wt%)を水中で混合し、バインダー組成物を得た。
種々の予備反応持続期間後のGPC解析:
図17は、60℃で0分、20分間、40分間および60分間、予備反応させたときの上記のバインダー組成物のGPCクロマトグラム(標準:スクロース)を示す。
【0161】
GPCの図は、比較的高分子量(およそ10〜15分のGPC保持時間)を有するプレポリマー、中分子量プレポリマー(およそ15〜20分のGPC保持時間)および予備反応物型バインダー組成物の低分子量画分(およそ>20分のGPC保持時間)の存在を明白に示す。
種々の予備反応温度でのGPC解析:
図18は、60℃、80℃および100℃で20分間、予備反応させたときの上記のバインダー組成物のGPCクロマトグラム(標準:スクロース)を示す。
【0162】
GPCの図は、比較的高分子量(およそ10〜15分のGPC保持時間)を有するプレポリマー、中分子量プレポリマー(およそ15〜20分のGPC保持時間)および予備反応物型バインダー組成物の低分子量画分(およそ>20分のGPC保持時間)の存在を明白に示す。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18