(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ベッド本体に取り付けられた荷重検出器によって、前記ベッド本体に加わる荷重の変化を検出し、前記ベッド本体の寝床面上における利用者の状態を検出する荷重検出機能付きベッドであって、
前記ベッド本体は、前記寝床面を形成する寝床面形成部と、ベッド本体を設置すべき設置面に接する脚部と、前記寝床面形成部が前記設置面の上方に位置するように、寝床面形成部と脚部との間を連結して前記寝床面形成部からの荷重を脚部に向けて伝達する連結支持部とを有する構成とされ、
前記荷重検出器は、前記ベッド本体に荷重が加わることで発生する歪みを計測するロードセルを有し、
前記寝床面形成部から連結支持部を経て前記設置面に至る荷重伝達経路のいずれかの個所における、寝床面形成部側からの荷重を受けてその荷重を設置面側の構成部材に伝達する部位に前記ロードセルが設けられており、
前記ロードセルは、前記寝床面形成部の側からの荷重を受ける荷重受け部材と、その荷重受け部材に対して分離された、前記荷重受け部材からの荷重が加えられる基体とからなり、
かつ前記基体は、荷重受け部材が当接して荷重受け部材からの荷重が作用する作用部と、
前記作用部に加わる荷重によって歪み変形する作動部と、その作動部に取り付けられた歪センサと、前記作動部に連続し、ベッド本体における設置面側の前記構成部材に固定された取り付け部とを備えた構成とされ、
前記ベッド本体における設置面側の前記構成部材に、中空筒状の支持体が、その一端の開口部が上方に向くように垂直に固定されており、その筒状支持体の開口部に前記荷重受け部材の下部が上方から挿入されており、さらに前記筒状支持体の下部には、前記基体の作用部が筒状支持体の内側に位置しかつ作用部および作動部が筒状支持体に接しないように、基体の少なくとも一部が挿入されている荷重検出機能付きベッド。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の発明では、荷重センサを用いてベッド本体の荷重を検出する際に、ベッドの脚部に設けられたキャスターを、荷重センサのスロープ部の前側近傍まで移動し、このスロープ部上を通過させた後、荷重センサの荷重受け部上に載置しなければならず、非常に面倒である。
【0007】
一方、特許文献2に記載の発明では、例えばベッド本体が壁際に沿って設置された場合に、このベッド本体と壁との間に設置者が入り込むことができないため、荷重検出器をベッド本体と設置面との間の空所に配置することが非常に困難となる。
【0008】
一方、特許文献3に記載の発明では、ベッド本体に荷重検出器が予め組み込まれているものの、ベッド本体を荷重検出器に合わせた設計としなければならず、そのための新たな部品が必要となる。このため、荷重検出機能付きベッドとしては非常に高価なものとなってしまう。さらに、部品点数の増加により軽量化が困難となってしまう。
【0009】
本発明は、このような従来の事情に鑑み、部品点数の増加を抑制しつつ、簡便な構造によって荷重検出機能を付加することを可能とした荷重検出機能付きベッド、並びに、そのような荷重検出機能を既存のベッドに付加するため、ベッド本体に簡単かつ容易に組み込むことを容易としたベッド用荷重検出器を提供することを課題としている。さらに本発明では、例えばベッド上の利用者などがベッドの寝床面の端部に座ったり、腰掛けたりしたことや、寝床面上に寝ている利用者が寝床面の端部側に大きく寝返りを打ったりしたことなどに起因して、寝床面に加わる荷重が大きく偏って(すなわち偏荷重状態となって)ベッドがゆがんだような場合においても、本来検出すべき鉛直方向下方への荷重の検出精度が下がることなく、高い精度で荷重を検出することができる荷重検出機能付きベッドならびにベッド用荷重検出器を提供することをも課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するために、本発明は以下の(1)〜(19)に記載した各態様を提供する。
【0011】
(1)ベッド本体に取り付けられた荷重検出器によって、前記ベッド本体に加わる荷重の変化を検出し、前記ベッド本体の寝床面上における利用者の状態を検出する荷重検出機能付きベッドであって、
前記ベッド本体は、前記寝床面を形成する寝床面形成部と、ベッド本体を設置すべき設置面に接する脚部と、前記寝床面形成部が前記設置面の上方に位置するように、寝床面形成部と脚部との間を連結して前記寝床面形成部からの荷重を脚部に向けて伝達する連結支持部とを有する構成とされ、
前記荷重検出器は、前記ベッド本体に荷重が加わることで発生する歪みを計測するロードセルを有し、
前記寝床面形成部から連結支持部を経て前記設置面に至る荷重伝達経路のいずれかの個所における、寝床面形成部側からの荷重を受けてその荷重を設置面側の構成部材に伝達する部位に前記ロードセルが設けられており、
前記ロードセルは、前記寝床面形成部の側からの荷重を受ける荷重受け部材と、その荷重受け部材に対して分離された、前記荷重受け部材からの荷重が加えられる基体とからなり、
かつ前記基体は、荷重受け部材が当接して荷重受け部材からの荷重が作用する作用部と、前記作用部に加わる荷重によって歪み変形する作動部と、その作動部に取り付けられた歪センサと、前記作動部に連続し、ベッド本体における設置面側の前記構成部材に固定された取り付け部とを備えた構成とされていることを特徴とする、荷重検出機能付きベッド。
【0012】
上記の(1)の態様において、上記の「荷重伝達経路」は、寝床面形成部にかかる荷重を設置面までの間で支える構造部材に相当するものであり、寝床面形成部に加わった荷重を設置面に接する脚部に伝える構造部材、と言うこともできる。したがって「荷重伝達経路」には、例えば、前記連結支持部と脚部とからなるもの、あるいは前記連結支持部と脚部寝床面形成部とキャスターとからなるものなどが相当する。
【0013】
また上記の(1)の態様において、上記の「荷重伝達経路のいずれかの個所における、寝床面形成部側からの荷重を受けてその荷重を設置面側に伝達する部位に前記ロードセルが設けられている」ことの具体的な態様としては、ベッド本体の荷重伝達経路を、寝床面形成部の側と設置面の側とに上下に分割する任意の面(分割面)を想定し、その分割面を上下に貫通する構造部材の少なくとも一箇所にロードセルを設けた態様とすることが望ましい。たとえば、ベッド本体の荷重伝達経路中における、支軸とその支軸を受ける軸受け部とが接する面を、上記の分割面と想定することができ、この場合、これらの支軸と軸受け部が、上記の分割面を上下に貫通する構造部材に相当する。
【0014】
(2)前記(1)の態様の荷重検出機能付きベッドにおいて:
前記ロードセルの基体における作動部が、その一端が前記作用部に連続するとともに他端が前記取り付け部に連続する撓み変形可能なカンチレバー部で構成されている、荷重検出機能付きベッド。
【0015】
(3)前記(1)の態様の荷重検出機能付きベッドにおいて:
前記ロードセルの基体における作動部が、その一端が前記作用部に連続するとともに他端が前記取り付け部に連続する圧縮変形可能な部材で構成されている、荷重検出機能付きベッド。
【0016】
(4)前記(1)の態様の荷重検出機能付きベッドにおいて:
前記ベッド本体の荷重伝達経路中に、実質的に水平な軸線を有する支軸が介在されており、かつ前記基体の荷重受け部材には、前記支軸を回転自在に支持する軸受け部が形成されている、荷重検出機能付きベッド。
【0017】
上記の(4)の態様において、ベッド本体の荷重伝達経路中に設けられた実質的に水平な軸線を有する支軸とは、水平方向からわずかに傾いている場合をも含むものとする。具体的には、例えば、ベッド本体の製作時の誤差、あるいは設置面の傾きや凹凸、さらにはベッドの長期間の使用による経時的変化、さらにはベッド使用者の寝床面上での移動などにより、厳密には水平から若干傾斜している場合、例えば5°程度以内に傾いている場合をも含むものとする。
【0018】
(5)前記(1)の態様の荷重検出機能付きベッドにおいて、
前記ベッド本体の連結支持部が、前記設置面と実質的に平行となる下側フレームを備えて、その下側フレームに前記脚部が設けられており、かつその下側フレームが、前記設置面側の構成部材とされており、その下側フレームに、前記筒状支持体が固定されている、荷重検出機能付きベッド。
【0019】
(6)前記(1)の態様の荷重検出機能付きベッドにおいて;
ベッド本体における設置面側の前記構成部材に、中空筒状の支持体が、その一端の開口部が上方に向くように垂直に固定されており、その筒状支持体の開口部に前記荷重受け部材の下部が上方から挿入されており、さらに前記筒状支持体の下部には、前記基体の作用部が筒状支持体の内側に位置しかつ作用部および作動部が筒状支持体に接しないように、基体の少なくとも一部が挿入されている、荷重検出機能付きベッド。
【0020】
(7)前記(2)の態様の荷重検出機能付きベッドにおいて;
ベッド本体における設置面側の前記構成部材に、中空筒状の支持体が、その一端の開口部が上方に向くように垂直に固定されており、その筒状支持体の開口部に前記荷重受け部材の下部が上方から挿入されており、さらに前記筒状支持体の下部の側面側に開口窓部が形成されており、その開口窓部から、少なくとも前記作用部が筒状支持体の内側に位置しかつ作用部および作動部が筒状支持体に接しないように、基体の一部が筒状支持体内に挿入されるとともに、基体の残りの部分が筒状支持体の外側に位置している、荷重検出機能付きベッド。
【0021】
(8)前記(7)の態様の荷重検出機能付きベッドにおいて;
前記基体の取り付け部の少なくとも一部が、前記筒状支持体内に挿入されて、その取り付け部が筒状支持体の内壁面に固定されている、荷重検出機能付きベッド。
【0022】
(9)前記(7)の態様の荷重検出機能付きベッドにおいて;
前記基体の取り付け部の少なくとも一部が、前記筒状支持体内に挿入されて、その取り付け部が筒状支持体の内壁面に固定されている、荷重検出機能付きベッド。
【0023】
(10)前記(7)〜(9)のいずれかの態様の荷重検出機能付きベッドにおいて;
前記ベッド本体の連結支持部が、前記設置面と実質的に平行となる下側フレームを備えて、その下側フレームに前記脚部が設けられており、かつその下側フレームは、少なくとも4本のパイプを組み合わせた構造とされ、そのパイプの1又は2以上が、前記設置面側の構成部材とされて、そのパイプの1又は2以上のパイプに、それぞれ前記筒状支持体が固定されており、前記基体は、そのカンチレバー部の長さ方向が前記パイプの長さ方向に沿うように配置されている、荷重検出機能付きベッド。
【0024】
(11)前記(1)〜(4)のいずれかの態様の荷重検出機能付きベッドにおいて;
前記ロードセルが、前記連結支持部の中間に介在されている、荷重検出機能付きベッド。
【0025】
(12)前記(11)の態様の荷重検出機能付きベッドにおいて;
前記連結支持部が、前記寝床面形成部を昇降させる昇降リンク機構を備え、
前記ロードセルが、前記昇降リンク機構に組み込まれている、荷重検出機能付きベッド。
【0026】
(13)前記(11)の態様の荷重検出機能付きベッドにおいて;
前記連結支持部が、前記昇降機構のほか、前記設置面の上方に前記脚部を介して支持される下側フレームを備え、
前記昇降リンク機構は、前記寝床面形成部と下側フレームとの間を連結するアームとして、少なくとも第1の連結アームと第2の連結アームとを有し、かつ前記第2のアームは、前記寝床面形成部の側に連結され、また前記第1のアームは下側フレームの側に連結され、これらの寝床面形成部と下側フレームとの間に前記ロードセルが介在されている、荷重検出機能付きベッド。
【0027】
(14)前記(1)〜(3)のいずれかの態様の荷重検出機能付きベッドにおいて;
前記ロードセルが、前記寝床面形成部からと前記連結支持部までのとの間に介在されている、荷重検出機能付きベッド。
【0028】
(15)前記(1)〜(3)のいずれかの態様の荷重検出機能付きベッドにおいて;
前記ロードセルが、前記連結支持部と脚部との間に介在されている、荷重検出機能付きベッド。
【0029】
(16)前記(1)〜(3)のいずれかの態様の荷重検出機能付きベッドにおいて;
前記ロードセルが、前記脚部に組み込まれている、荷重検出機能付きベッド。
【0030】
(17)前記(1)〜(3)のいずれかの態様の荷重検出機能付きベッドにおいて;
前記脚部がキャスター機構を備えており、前記ロードセルが、前記キャスター機構に組み込まれている、荷重検出機能付きベッド。
【0031】
(18)寝床面を形成する寝床面形成部と、
ベッド本体を設置すべき設置面に接する脚部と、
前記寝床面形成部が前記設置面の上方に位置するように、寝床面形成部と脚部との間を連結して前記寝床面形成部からの荷重を脚部に向けて伝達する連結支持部と
を有するベッド本体に取り付けることによって、前記ベッド本体に加わる荷重の変化を測定し、前記ベッド本体の寝床面上における利用者の状態を検出するための荷重検出器であって;
前記荷重検出器は、前記ベッド本体に荷重が加わることで発生する歪みを計測するロードセルを有し、
前記ロードセルは、前記寝床面形成部から連結支持部を経て前記設置面に至る荷重伝達経路のいずれかの個所における、寝床面形成部側からの荷重を受けてその荷重を設置面側の構成部材に伝達する部位に介在されるように構成され、
かつ前記ロードセルは、前記寝床面形成部の側からの荷重を受ける荷重受け部材と、その荷重受け部材に対して分離された、前記荷重受け部材からの荷重が加えられる基体とからなり、
さらに前記基体は、荷重受け部材が当接して荷重受け部材からの荷重が作用する作用部と、前記作用部に加わる荷重によって歪み変形する作動部と、その作動部に取り付けられた歪センサと、前記作動部に連続し、ベッド本体における設置面側の前記構成部材に固定される取り付け部とを備えた構成とされていることを特徴とする、ベッド用荷重検出器。
【0032】
上記の(18)の態様において、上記の「荷重伝達経路」は、前記(1)の態様に関して述べたと同様に、寝床面形成部にかかる荷重を設置面までの間で支える構造部材に相当するものであり、例えば、寝床面形成部に加わった荷重を設置面に接する脚部に伝える構造部材や脚部自体、あるいは脚部に取り付けられたキャスターなどが相当する。
【0033】
また、上記の(18)の態様において、「前記寝床面形成部から連結支持部を経て前記設置面に至る荷重伝達経路のいずれかの個所における、寝床面形成部側からの荷重を受けてその荷重を設置面側の構成部材に伝達する部位に介在される」ことの具体的な態様としてとは、既に(1)の態様に関して述べたと同様である。
【0034】
(19)前記(18)の態様のベッド用荷重検出器において、
前記基体の荷重受け部には、前記ベッド本体の荷重伝達経路中に設けられた、実質的に水平な軸線を有する支軸を回転自在に支持する軸受け部が形成されている、ベッド用荷重検出器。
【0035】
なお上記の(19)の態様において、「実質的に水平な軸線を有する支軸」に関しては、既に(4)の態様に関して述べたと同様である。
【発明の効果】
【0036】
本発明の荷重検出機能付きベッドによれば、部品点数の増加を抑制しつつ、簡便な構造によって荷重検出機能を付加することを可能とし、同時に荷重検出器の耐久性を確保しつつ高精度での荷重検出を可能とした荷重検出機能付きベッド、並びに、そのような荷重検出機能を既存のベッドに付加するため、ベッド本体に別途組み込むことを可能とした荷重検出器を提供することが可能である。さらに本発明では、例えばベッド上の利用者などがベッドの寝床面の端部に座ったり、腰掛けたりしたことや、寝床面上に寝ている利用者が寝床面の端部側に大きく寝返りを打ったりしたことなどに起因して、寝床面に加わる荷重が大きく偏って(偏荷重状態となって)ベッドがゆがんだような場合においても、本来検出すべき鉛直方向下方への荷重の検出精度が下がったりすることなく、高い精度で荷重を検出することができる。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本発明を適用した荷重検出機能付きベッド及び荷重検出器の実施形態について、図面を用いてその構成を説明する。なお、以下の説明で用いる図面は、特徴をわかりやすくするために便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などは実際と同じであるとは限らない。また、以下の説明において例示される材料、寸法等は一例であって、本発明はそれらに限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することが可能である。
【0039】
図1は、本発明を適用した荷重検出機能付きベッド1の一例を示す側面図、すなわちベッド用荷重検出器50を組み込んだベッド1の一例の側面図である。
この荷重検出機能付きベッド1は、例えば床面などの設置面B上に設置されたベッド本体1Aを備え、このベッド本体1Aに取り付けられた荷重検出器50によって、ベッド本体1Aに加わる荷重の変化を検出し、このベッド本体1Aの寝床面T上における利用者Hの状態を検出する機能を備えている。
【0040】
なお、以下の説明において、
図1に示すベッド本体1Aの設置面B及び寝床面Tは、水平面(重力方向に対して直交する面)とし、このベッド本体1Aの寝床面T上に利用者Hが仰臥姿勢で就寝している状態において、利用者Hの頭側を「ベッド本体1Aの前側」、利用者Hの足側を「ベッド本体1Aの後側」、利用者Hの右側を「ベッド本体1Aの右側」、利用者Hの左側を「ベッド本体1Aの左側」とする。
【0041】
具体的には、ベッド本体1Aは、寝床面Tを形成する寝床面形成部100と、ベッド本体1Aを設置すべき設置面Bに接する脚部4と、寝床面形成部100が設置面Bの上方に位置するように、寝床面形成部100と脚部4との間を連結して寝床面形成部100からの荷重を脚部4に向けて伝達する連結支持部102とを概略備えた構成とされている。
ここで、
図1に示す例では、寝床面形成部100は、寝板2と、寝板2を支持する上側フレーム3とによって構成されている。また連結支持部102は、下側フレーム5と、上側フレーム3および下側フレーム5の間を連結しながら寝板2を上側フレーム3とともに昇降させる昇降リンク機構6とを備えている。
【0042】
寝板2は、利用者Hが就寝するのに十分な長さ及び幅を有する矩形状の平板からなる。
ベッド本体1Aは、この寝板2の上に例えばマットや敷き布団等を敷設した状態で、この上に利用者Hが在床することが可能となっている。(なお、
図1においては、寝板2の上面(寝床面T)に利用者Hが直接横臥した状態を図示している。)
【0043】
上側フレーム3は、寝板2の長さ方向(ベッド本体1Aの長手方向)に延びる左右一対のパイプ3aと、寝板2の幅方向(ベッド本体1Aの短手方向)に延びる前後一対のパイプ3bとが全体として枠状に連結されると共に、寝板2の幅方向(ベッド本体1Aの短手方向)に延びるパイプ3cが、寝板2の長さ方向(ベッド本体1Aの長手方向)に複数並んだ状態で、左右一対のパイプ3aと連結された構造(フレーム構造)を有している。
【0044】
そして、寝板2は、複数のパイプ3cの上に固定した状態で取り付けられている。また、上側フレーム3を構成する前後一対のパイプ3bには、それぞれ鉛直上向きに立設した状態で、頭板7a及び足板7bが取り付けられている。
【0045】
脚部4は、互いに対称な位置関係にあるベッド本体1Aの4隅(前左側、前右側、後左側、後右側)に4つ配置されている。また、これら4つの脚部4には、それぞれ重量物であるベッド本体1Aの移動を容易にするためのキャスター機構8が設けられている。なお、このキャスター機構8の構成については特に限定されるものではなく、従来公知のものを使用することが可能である。また場合によっては、脚部4がキャスター機構を持たないことも許容される。
【0046】
下側フレーム5は、少なくとも4本の角パイプ状のパイプを、枠状に組み合わせて連結して、全体として平面的なフレーム構造を呈している。すなわち下側フレーム5は、ベッド本体1Aの長手方向に延びる左右一対のパイプ5aと、ベッド本体1Aの短手方向に延びる前後一対のパイプ5bとからなり、前後一対のパイプ5bの両端が左右一対のパイプ5a両端近くの箇所に接合されている(
図4参照)。そして、上記脚部4(キャスター機構8)は、下側フレーム5を構成する左右一対のパイプ5aの両端部にそれぞれ設けられている。なおこの例では、下側フレーム5のパイプ5bが、前記の(1)の態様に記載した設置面側の構成部材に相当する。
【0047】
前述の連結支持部102における昇降リンク機構6は、ベッド本体1Aの前側と後側とに一対並んで配置されている。また、これら前側及び後側の昇降リンク機構6は、その取付位置が異なる以外は基本的に同じ構造を有している。さらに、これら前側及び後側の昇降リンク機構6は、それぞれベッド本体1Aの右側と左側との間で左右対称な構造を有している。
【0048】
したがって、前側及び後側の昇降リンク機構6については、例えば
図2A、
図2Bに示すように、必要に応じてこれらをまとめて説明するものとする。
【0049】
なお、ここでは寝板2を昇降させるための昇降機構の一例として、スイング昇降方式の昇降リンク機構6を示しているが、昇降機構としては、その他のリンク機構や、パンタグラフ方式、あるいは垂直昇降方式なども適用することができる。それらの場合も、昇降機構の中間もしくは端部に、寝板2からの荷重が加わる部材として、後述するような実質的に水平な軸線を有する支軸(ピン)13を有していれば、改めて説明するようにスイング昇降方式の昇降リンク機構6によって昇降機構を構成した場合と同様に本発明を適用することが出来る。
【0050】
図2Aは、昇降リンク機構6により上記寝板2が図示しない上側フレームとともに下降した状態を示すベッド本体1Aの要部側面図である。一方、
図2Bは、この昇降リンク機構6により上記寝板2が図示しない上側フレームとともに上昇した状態を示すベッド本体1Aの要部側面図である。
【0051】
具体的には、この昇降リンク機構6は、
図2A、
図2Bに示すように、上側フレーム3と下側フレーム5との間で互いに連結された第1〜第3の連結アーム9a,9b,9cを左右一対で有している。
【0052】
このうち、第1の連結アーム9aは、その下端部が下側フレーム5を構成する前後一対のパイプ5bに固定した状態で取り付けられている。なおこの第1の連結アーム9aは、中空筒状、例えば角筒状に作られたものであって、前述の(5)の態様に記載した中空筒状の支持体(筒状支持体)に相当し、その内側に、垂直方向に沿った中空部を有している。一方、第2の連結アーム9bは、その下端部が第1の連結アーム9aの上端部と第1のヒンジ部10aを介して回動自在に取り付けられている。一方、第3の連結アーム9cは、その下端部が第2の連結アーム9bの上端部と第2のヒンジ部10bを介して回動自在に取り付けられている。
【0053】
また、昇降リンク機構6は、前側及び後側の第3の連結アーム9cの間を連結する左右一対の第4の連結アーム9dを有している。そして、この第4の連結アーム9dには、前側及び後側の第3の連結アーム9cの上端部がそれぞれ第3のヒンジ部10cを介して回動自在に取り付けられている。
【0054】
また、昇降リンク機構6は、寝板2を図示しない上側フレームとともに昇降駆動するためのアクチュエータ(駆動機構)11を有している。このアクチュエータ11は、電動によりシリンダ11aからピストン11bを前後方向に移動(伸縮)させるものである。このうち、シリンダ11aは、上側フレーム5(
図2A、
図2B)において図示せず。)に固定した状態で取り付けられている。一方、ピストン11bは、その先端部が第4の連結アーム9dと第4のヒンジ部10dを介して回動自在に取り付けられている。なお、このアクチュエータ11は、ベッド本体1Aの左右の一方側のみに設けられている。
【0055】
そして、この昇降リンク機構6では、
図2Aに示すように、寝板2が図示しない上側フレームとともに下降した状態から、アクチュエータ11の駆動によりピストン11bが前方に移動する(伸びる)ことによって、第1〜第4の連結アーム9a〜9dが互いに協働しながら、
図2Bに示すように、寝板2が図示しない上側フレームとともに上昇した状態となる。逆に、
図2Bに示すように、寝板2が図示しない上側フレームとともに上昇した状態から、アクチュエータ11の駆動によりピストン11bが後方に移動する(縮む)ことによって、第1〜第4の連結アーム9a〜9dが互いに協働しながら、
図2Aに示すように、寝板2が図示しない上側フレームとともに下降した状態となる。これにより、寝板2を図示しない上側フレームとともに昇降動作させながら、寝板2の高さを調整することが可能となっている。そして、昇降リンク機構6における第1のヒンジ部10aの実質的に水平な軸線を有するピン(支軸)13には、寝板2からの荷重が加わっていることになる。
【0056】
荷重検出器50は、
図1に示しているように、ベッド本体1Aに荷重が加わることで発生する歪みを計測するロードセル51を有するものであり、さらに本例においては、
図1に示しているように、ロードセル51の他に、ロードセル51から出力された荷重信号に基づいて、ベッド本体1Aの寝床面T上における利用者Hの状態を演算する演算部52と、演算部52で演算した結果を遠隔に送信する送信部53と、送信部53から送信された信号を受信する受信部54とを備えている。
【0057】
なお、ロードセル51と演算部52との間、及び、演算部52と送信部53との間は、それぞれ配線55a,55bによって電気的に接続されている。一方、送信部53と受信部54との間は、無線(電波)によって送受信が可能となっている。
【0058】
ところで、本発明のベッド用荷重検出器を適用した荷重検出機能付きベッド1は、寝床面形成部100から連結支持部102を経て脚部4に至る荷重伝達経路のいずれかの個所における、寝床面形成部側100からの荷重を受けてその荷重を設置面B側に伝達する部位にロードセル51が組み込まれてなるものである。
そして特に
図1の例の場合、上記の荷重伝達経路のうち、連結支持部102の昇降リンク機構6にロードセル51が組み込まれている。そこでここでは、先ず、上述のように昇降リンク機構6にロードセル51が組み込まれている場合について、さらに詳細に説明する。
【0059】
具体的には、ロードセル51は、
図2A,
図2Bに示すように、昇降リンク機構6を構成する第1〜第4のヒンジ部10a〜10dのうち、互いに対称な位置関係にある4隅(前左側、前右側、後左側、後右側)に配置された第1のヒンジ部10aに各々(計4つ)取り付けられている。
【0060】
また、これら4つのロードセル51は、その取付位置が異なる以外は基本的に同じ構造を有している。したがって、これら4つのロードセル51については、例えば
図3A,
図3Bに示すように、これらをまとめて説明するものとする。
【0061】
ここで、
図3Aは、ロードセル51が組み込まれた昇降リンク機構6と下側フレーム5の要部を拡大した側面図である。一方、
図3Bは、ロードセル51が組み込まれた昇降リンク機構6と下側フレーム5の要部を拡大した正面図である。また
図4には、
図1に示されるベッド本体1Aにおける下側フレーム5とロードセル51との関係を示し、さらに
図5には、
図4の要部を示す。
【0062】
図3A、
図3B、
図4、
図5に示すように、下側フレーム5のパイプ5bに、そのパイプ5bから上方に延びるように、第1の連結アーム(一方の連結アーム;筒状支持体)9aが垂直に立設されている。この第1の連結アーム9aは、第5の態様に記載した中空筒状の支持体(筒状支持体)に相当するものであり、本実施形態では、水平断面が矩形状をなす中空な角筒状(角パイプ状)に作られていて、溶接やロウ付けなどの任意の固定手段によってパイプ5bに固着されている。そして、その角筒状の連結アーム9aはその上端が開放(上部開口端91)されており、また角筒状の連結アーム9aの下部の側壁は、例えば矩形状に切り取られて、側方開口部93が形成されている。なおここで、側方開口部93は、下側フレーム5のパイプ5bの長さ方向に沿う方向(ベッド本体1Aの短手方向)に開口している。
【0063】
一方、ロードセル51は、後に改めて詳細に説明するように、寝床面形成部100の側からの荷重を受ける荷重受け部材51Aと、その荷重受け部材51Aに対して機械的(構造的)に分離されていて、荷重受け部材51Aからの荷重が加えられる基体51Bとからなる構成とされている。そしてこのようなロードセル51における荷重受け部材51Aの下部が、角筒状の連結アーム(筒状支持体)9aの上部開口端91から角筒状の連結アーム9aの上部内側に挿入され、ロードセル51における基体51Bが、角筒状の連結アーム9aの下部の側壁の側方開口部93から角筒状の連結アーム9aの下部内側に挿入されている。
【0064】
そして前述の第1のヒンジ部10aは、後に詳細に説明するロードセル51の荷重受け部材51Aに形成された軸受け部82に、前記第2の連結アーム(他方の連結アーム)9bに設けられたピン(支軸)13が係合された状態で軸支されることによって、第2の連結アーム9bを回動自在に支持する構造を有している。
【0065】
ロードセル51は、基本的には、前述のように寝床面形成部100の側からの荷重を受ける荷重受け部材51Aと、その荷重受け部材51Aに対して機械的(構造的)に分離されていて、荷重受け部材51Aからの荷重が加えられる基体51Bとからなる構成とされており、さらに基体51Aには、その基体51Aの歪を検出する歪センサ57(
図9A〜
図9C参照)が取り付けられている。
【0066】
さらに荷重受け部材51Aおよび基体51Bの具体的な例について説明する。
【0067】
図6A〜
図6Cには、荷重受け部材51Aの第1の例を示す。なおこの第1の例の荷重受け部材51Aは、
図3Aに示されているロードセル51の荷重受け部材51Aと同じ形状のものである。
【0068】
図6A〜
図6Cにおいて、荷重受け部材51Aは、その上部は、上方に向かってU字状に開口する軸受け部82とされている。すなわち軸受け部82は、上方に向かって二股状に分岐されて、その二股状の底面が凹湾曲面となって、前述の支軸(ピン)13を回動自在に受ける軸受け面82Aとされている。一方、荷重受け部材51Aの下部は、軸受け部82から下方に延長されて、前述の角筒状の連結アーム(筒状支持体)9aにその上部開口端91から挿入される挿入部83とされている。この挿入部83は水平断面の外形が、前述の角筒状の連結アーム9aの水平断面形状と同様に矩形状とされている。但し、その挿入部83の水平断面の外形(矩形)寸法は、角筒状の連結アーム9aの水平断面の内側寸法よりも若干小さく定められ、これによって、後に改めて説明するように、挿入部83の外面と角筒状の連結アーム9aの内面との間には、隙間84が形成される(
図8参照)。
【0069】
なお荷重受け部材51における軸受け部82の底部の水平断面の外形形状も、挿入部83の水平断面の外形形状と同様に矩形状とされているが、その外形寸法は、挿入部83の外形寸法より大きく、角筒状の連結アーム9aの水平断面の外側寸法とほぼ同等とされている。したがって軸受け部82の底部の外側縁部と挿入部83の外面との間には段差部51Cが形成されている。さらに挿入部83には、前述の支軸(ピン)13の軸線方向と平行な水平方向に貫通する軸孔83Aが形成されている。
【0070】
また挿入部83の下端は、前記基体51Bに当接するように鉛直方向下方に向かって台形状に突出する当接部85とされている。この当接部85の下端面(当接面)85Aは、本例では前述の支軸(ピン)13の軸線方向に対して直交する方向に伸びる長方形の水平な面とされている。
【0071】
なお荷重受け部材51Aの全体としては、その4つの垂直な側面のうちの3側面に相当する側壁部位51Aa、51Ab、51Ac、および水平な底面に相当する底壁部位(当接部が位置する部分)51Adを除き、一方の側方および上方から刳り抜いた形状、すなわち上記の三つの側壁部位51Aa、51Ab、51Acと底壁部位51Adによって囲まれる部分が空間(スペース)51Aeとなる形状とされている。これは、単に荷重受け部材51Aの軽量化と材料コスト低減のために過ぎず、このような空間(スペース)51Aeのない、中実形状であっても構わない。
【0072】
図7A〜
図7Cには、ロードセル51の基体51Bの第1の例を示す。なおこの第1の例の基体51Bは、
図3A、
図3B、
図5に示されているロードセル51の基体51Bと同じ形状のものである。
【0073】
基体51Bは、基本的には、荷重受け部材51Aの当接部85が当接して、荷重受け部材51Aからの荷重が作用する作用部86Aと、その作用部86Aに加わる荷重によって歪み変形する作動部86Bと、その作動部86Bに連続し、ベッド本体1Aにおける設置面B側の構成部材(本例の場合は、下側フレーム5のパイプ5b、もしくはそのパイプ5b上の角筒状の連結アーム9a)に固定される取り付け部86Cとからなる構成とされている。そして上記の作動部86Bに、歪センサ57が取り付けられている。
【0074】
ここで基体51Bは、いわゆる起歪体に相当するものであって、本例の場合は、カンチレバー型(片持ち梁型)の構成が適用されている。
【0075】
具体的には、基体51Bの作動部86Bは、
図7A〜
図7Cに示しているように、水平方向の一方の側(
図7A〜
図7Cにおける左側)の部分を基部51Baとして、その基部51Baの上部から水平方向の他方の側(
図7A〜
図7Cにおける右側)に向かって水平方向に沿って片持ち梁(カンチレバー)状に延びる形状とされている。すなわち、作動部86Bがカンチレバー部となっている。そして、その作動部86Bにおける延出端側の上面が上方に隆起して、その隆起部分が作用部86A、すなわち荷重受け部材51Aの当接部85が上方から接する作用部86Aとされている。さらに取り付け部86Cは、前述の基部51Baの下部から、作動部86Bの延びる方向と平行な方向に伸び、その取り付け部86Cの先端面86Caが垂直面とされ、その先端面86Caから、水平方向に沿って螺子孔86Cbが穿設されている。なお取り付け部86Cの下面側には、前述の角筒状の連結アーム(筒状支持体)9aにおける側方開口部93の下側に残る部分93aを跨ぐための凹部86Ccが形成されている。
【0076】
なお本例において、作用部86Aは、上方に向かって隆起する隆起部で構成しているが、作用部86Aは必ずしも隆起部である必要はなく、作動部(カンチレバー部)86Bの延出端部の上面の平面部分であってもよい。また作用部86Aを隆起部で構成する場合、その上面は水平な平面でも、あるいは上方に凸彎曲する曲面であってもよい。さらに、作用部86Aは、隆起部とは逆に、作動部(カンチレバー部)86Bの延出端部の上面に、下方に向かって窪むように形成した凹部であっても良い。いずれにしても、要は前述の荷重受け部材51Aにおける当接部85の下端面(当接面)85Aを受ける面を有していれば良い。
【0077】
ここで、作動部(カンチレバー部)86Bには、ロバーバル機構を構成するための孔部58が設けられている。この孔部58は、
図7C、
図9Aに示しているように、作動部(カンチレバー部)86Bをその幅方向に貫通した状態で、この作動部86Bの長さ方向(水平に延びる方向;カンチレバーの長さ方向)に沿って水平に並ぶ一対の丸孔58a,58bと、これら一対の丸孔58a,58bの中心間を結ぶ連結孔58cとを有して構成されている。
【0078】
そして作動部(カンチレバー部)86Bの、例えば上面には、歪みセンサ57が貼着されている。この歪みセンサ57は、作動部(カンチレバー部)86Bに生じる歪みに応じた電気抵抗の変化によって歪みの変化を検出するものである。この歪みセンサ57は、本例では4つの歪みゲージ(歪み感受抵抗体)R1、R2、R3、R4からなり、これらの歪みゲージR1、R2、R3、R4は、
図9A、
図9Bに示すように、作動部(カンチレバー部)86Bの一対の丸孔58a,58bが形成された位置の直上に、それぞれ作動部(カンチレバー部)86Bの幅方向に一対並んで配置されている。
【0079】
これら4つの歪みゲージR1、R2、R3、R4は、
図9Cに示すようなホイートストンブリッジ回路を構成しており、このうち、R1、R3が圧縮側の歪みゲージ、R2、R4が引張側の歪みゲージとなっている。そして、このホイートストンブリッジ回路では、入力電圧VIN(一定)対して、作動部(カンチレバー部)86Bに生じる歪みの大きさに応じた出力電圧VOUT(荷重信号)を出力することが可能となっている。
【0080】
なお、歪センサ57は、少なくとも2つ又は3つの歪みゲージ(歪み感受抵抗体)からなる構成であってもよく、その場合、
図9Cに示すホイートストンブリッジ回路を構成する歪みゲージR1、R2、R3、R4のうち、1つ又は2つ、もしくは3つの歪みゲージを、歪み感受性ではない抵抗体としてダミー抵抗に置き換えれば良い。
【0081】
なお、ロードセル51の荷重受け部材51Aの材料、および起歪体としての基体51Bの材料は特に限定されないが、荷重受け部材51Aおよび基体51Bのそれぞれにおける要求特性、例えば望まれる各部の加工性や耐力、伸び、耐摩耗性などに応じてそれぞれの構成材料として最適なものを選択することが可能である。すなわち、荷重受け部材51Aは、支軸(ピン)13からの荷重を受けてその荷重による力を基体51Bに加える部材であって、荷重検出のための歪発生には直接関与しない部分であるから、要は支軸(ピン)13からの荷重を受けるために最適な形状に容易に加工可能となるように加工性が良好であればよく、伸びや耐力についてはさほど考慮しなくても良い。一方、基体51Bは、支軸(ピン)13から与えられる力によって撓み変形する作動部(カンチレバー部)86Bを有する部材であり、しかもベッド本体の部材に固定支持するための構造物の部分を兼ねるから、耐力が大きくかつ伸びが小さいことが望ましい。
【0082】
具体的には、ロードセル51の荷重受け部材51Aの材料、および起歪体としての基体51Bの材料としては、いずれも、金属としてアルミ合金、鉄や鋼、ステンレス鋼など、またエンジニアリングプラスチックなどの樹脂を使用することができるが、同一の材料を用いる必要はなく、例えば上述の観点や、さらに軽量性あるいは経済性などの観点から選択して、荷重受け部材51AとしてはABS樹脂やポリカーボネート樹脂などの樹脂を用い、基体51Bの材料としては、アルミ合金や、チタン合金、マグネシウム合金などの軽合金、あるいは鉄や炭素鋼、ステンレス鋼などの金属を用いることが望ましい。
【0083】
以上のようなロードセル51(荷重受け部材51Aの第1の例および基体51Bの第1の例)を、ベッド本体1Aにおける下側フレーム5のパイプ(設置面側の構造部材)5b上の角筒状の連結アーム(筒状支持体)9aに組み込んだ状態が、
図3A、
図3B、
図5、
図8に示されている。そこで、これらの図(主に
図8)を参照しながら、ロードセル51の組み込み状況を説明する。
【0084】
ロードセル51の基体51Bは、下側フレーム5のパイプ5bの上面に、基部51Baから作動部(カンチレバー部)86Bの延出方向が、パイプ5bの長さ方向に沿うように、パイプ5bの上面に載置されている。そしてその基体51Bにおける先端部側の部分(作動部(カンチレバー部)86Bの延出端側で、隆起状の作用部86Aが位置する側の部分)が、角筒状の連結アーム9aの側方開口部93からその角筒状の連結アーム9a内に挿入されて、取り付け部86Cの先端面86Caが、対向する角筒状連結アーム9aの内壁面に接している。そして角筒状連結アーム9aの外側から螺子孔86Cbに螺子86Cdを挿入、螺合させることによって、角筒状連結アーム9aに固定されている。一方、基体51Bにおける基端側の部分(基部51Baの側の部分)は、角筒状の連結アーム9aの側方開口部93の外側に位置している。したがって基体51Bは、その全体が角筒状連結アーム9a内に挿入されるのではなく、その一部(少なくとも隆起状の作用部86Aが位置する部分)のみが角筒状連結アーム9a内に挿入されていることになる。
【0085】
なおここで、基体51Bは、その作用部86Aおよび作動部(カンチレバー部)86Bが、角筒状連結アーム9aの内壁面および側方開口部93の縁部に接しないように、それらとの間に、隙間97を確保しておく。
【0086】
一方ロードセル51の荷重受け部材51Aは、その下部の挿入部83が角筒状連結アーム9aの上部開口端91から角筒状連結アーム9a内に鉛直方向に沿って挿入される。そしてその挿入部83の当接部85の下端面(当接面)85Aが、基体51Bの隆起状の作用部86Aの上面に接する。ここで、荷重受け部材51Aの外側面と角筒状連結アーム9aの内壁面との間には、隙間84が存在している。
【0087】
なお、荷重受け部材51Aの挿入部83の軸孔83Aには、補助ピン95を、その両端部が挿入部83の両側に突出するように挿着して固定し、その補助ピン95の両端部を、角筒状連結アーム9aの両側の側壁に形成されている長孔94内に挿入しておく。ここで、補助ピン95は、荷重受け部材51Aの位置規制のために配設したものであって、角筒状連結アーム9aの長孔94に対しては、垂直方向へは、小さい摩擦抵抗で自由に移動し得るようにしておく。このように補助ピン95を設けておくことによって、荷重受け部材51Aが位置ずれすることが防止され、また同時に、荷重受け部材51Aが補助ピン95を中心として若干傾くことが可能となっている。なお補助ピン95を荷重受け部材51Aの挿入部83に固定する手段は任意であり、例えば補助ピン95を螺子棒によって構成し、軸孔83Aを雌螺子孔として、補助ピン95を軸孔83Aに螺合させたり、あるいは溶接やろう付けなどによって固定しても良い。
【0088】
ロードセル51の荷重受け部材51Aの上部の軸受け部82は、角筒状連結アーム9aの上部開口端91よりも上方に位置している。すなわち軸受け部82と挿入部83との境界位置の段差部51Cが、角筒状連結アーム9aの上部開口端91よりも若干上方に位置し、その上部開口端91と段差部51Cとの間にスペース96が存在している。
【0089】
このように、荷重受け部材51Aは、角筒状連結アーム9aの上部開口端91の上方に露呈している。そしてその荷重受け部材51AのU字形状をなす軸受け部82に、ベッド本体1Aにおける昇降リンク機構6の支軸(ピン)13が挿入され、ベッド本体1Aにおける寝床面形成部100の側からの荷重が、支軸(ピン)13を介して軸受け部82、とりわけその軸受け面82Aに加えられるようになっている。
【0090】
上述のような第1の例の荷重受け部材51Aと第1の例の基体51Bとを組合わせたロードセル51に、ベッド本体1Aにおける寝床面形成部100の側からの荷重が、支軸(ピン)13を介して加えられたときの状況を
図10に示し、その際のロードセル51の挙動を以下に説明する。なお
図10において、実線は荷重Gが加えられる前の状況を示し、鎖線は荷重Gが加えられた際の状況を示す。但し
図10では、荷重Gが加えられた際の状況を、実際よりも誇張して示している。また
図10では、見やすくするため、角筒状の連結アーム(筒状支持体)9aは省略している。したがって角筒状の連結アーム9aとロードセル51との関係についての説明は、前述の
図8を参照されたい。
【0091】
寝板2などの寝床面形成部100から、前記リンク機構6の支軸(ピン)13を介してロードセル51の荷重受け部材51A、とりわけその軸受け部82の軸受け面82Aに鉛直方向下向きの荷重Gが加われば、荷重受け部材51Aの当接部85が、ロードセル51の基体51Bにおける隆起状の作用部86Aを押し下げる。すなわち荷重受け部材51Aに加わった荷重Gが、基体51Bの作用部86Aに伝達される。これによって、作用部86Aに連続する作動部(カンチレバー部)86Bの先端側が押し下げられ、その作動部86Bに歪みが生じることになる。このとき、歪みセンサ57が作動部86Bに生じる歪みの大きさに応じた抵抗の変化を検出し、作動部86Bに生じる歪みの大きさに応じた歪み信号、すなわち荷重の変化に対応する信号を出力する。そしてそのロードセル51を含む荷重検出器50によって、寝板2などの寝床面形成部100に加わる荷重の変化を検出することが可能となっている。
【0092】
ここで、支軸(ピン)13から荷重受け部材51Aに荷重が加わった際には、荷重受け部材51Aが下方に押圧されるが、荷重受け部材51Aにおける段差部51Cと角筒状連結アーム9aの上部開口端91の間にはスペース96(
図8参照)があり、また荷重受け部材51Aにおける挿入部83の外側面と角筒状連結アーム9aとの間には隙間84(
図8参照)があり、さらに挿入部83を挿通する補助ピン95は、角筒状連結アーム9aの側壁の長孔94によって垂直方向への移動が許容されているため、荷重受け部材51Aはそれに加わる荷重に応じて下降することができる。すなわち、荷重受け部材51Aは、鉛直方向下方への荷重Gを受けた際に、角筒状連結アーム9aとの間で実質的に摩擦抵抗が生じない状態で下降して、基体51Bにその荷重を伝達することができる。そして基体51Bの作用部86Aおよび作動部(カンチレバー部)86Bも、隙間97(
図8参照)によってその外面が角筒状連結アーム9aの内壁面や側方開口部93の縁から離れているため、作動部(カンチレバー部)86Bは荷重に応じて変形して(撓んで)、歪みを発生し、前述のように歪センサ57によってその歪みを検出して、鉛直方向下方への荷重Gを正しく検出することができる。
【0093】
ここで、ベッドの利用者の状況や動きによっては、ベッド本体1Aの寝床面3に偏った荷重が加わることがある。具体的には、ベッド利用者、見舞い客、医療関係者などが寝床面3の端部に座ったり、寝床面3上に寝ている利用者が寝床面3の端部側に大きく寝返りを打ったり、立ち上がったりして、寝床面3に加わる荷重が大きく偏ってしまった場合(このような状態を偏荷重状態と称する)には、ベッド本体1Aは、わずかながらも全体的にゆがむことがある。その場合、そのゆがみに伴って、支軸13に捩れ(ここで捩れとは、本来の支軸の中心軸線位置に対して、中心軸線が傾斜してしまうことを意味する)や、位置ずれ(例えば水平面内での平行移動)が生じてしまうことがある。このような場合、支軸13の傾きや移動によって、ロードセル51における荷重受け部材51Aの軸受け部82に、横方向や傾斜方向の力が加わることになる。これは、本来ロードセル51によって検出しようとしている鉛直方向の荷重(力)に対して、異なる方向の力の成分がロードセル51の荷重受け部材51Aに加わることを意味する。
【0094】
そして、ロードセル51の荷重受け部材51Aと基体51Bとが一体連続化していると仮定すれば、偏荷重状態では、基体51Bの作動部(カンチレバー部)86Bには、鉛直方向への力による歪だけではなく、前記横方向や傾斜方向への力による歪も重畳されてしまい、その結果、正確に鉛直方向への荷重を検出できなくなって、荷重検出精度が低下してしまうおそれがある。
【0095】
しかしながら本発明の場合、ロードセル51の荷重受け部材51Aと基体51Bとが機械的、構造的に分離されていて、上下方向に接しているだけであるため、荷重受け部材51Aに加わった荷重の鉛直方向下方への成分のみが、荷重受け部材51Aの当接部85から基体51Bの作用部86Aに加えられる。そのため、偏荷重状態において鉛直方向下向きの力に横方向や傾斜方向への力が重畳された状態で軸受け部82Aに荷重が加わっても、基体51Bには鉛直方向下向きの力の成分のみが加わり、その結果、鉛直方向下向きの成分の力のみによって基体51Bの作動部(カンチレバー部)86Bに歪みが生じることになる。したがって横方向や傾斜方向の力が加わるような偏荷重状態においても、横方向や傾斜方向の力の影響を受けることなく、鉛直方向下方への荷重を正確に検出することができる。
【0096】
さらに、前述のようにベッド本体1Aの寝床面形成部100に偏荷重が加わった時には、ベッド本体1Aにおける荷重が加わっていない側(もしくは荷重が小さい側)が浮き上がってしまうこともある。その場合に、ロードセル51が荷重受け部材51Aと基体51Bとに分離されておらずに連続一体となっていると仮定すれば、ロードセル51に上向きの力が加わってしまうおそれがあり、その上向きの力をロードセル51が鉛直方向上向きの荷重(すなわち本来検出するべき鉛直方向下方への荷重に対してマイナスの荷重)として検出してしまって、本来の荷重検出に対する誤差が大きくなってしまうことが懸念される。しかしながら本発明の場合、ロードセル51が荷重受け部材51Aと基体51Bとが上下方向に分離されているため、荷重受け部材51Aに上述のような鉛直方向上向きの荷重(マイナスの荷重)が加わっても、その力は基体51Bに伝達されず、したがって基体51Bの作動部(カンチレバー部)86Bが撓むこともないから、鉛直方向下向きの荷重のみを高精度で検出することができる。
【0097】
ここで、ロードセル51の荷重受け部材51Aの側面と角筒状の連結アーム(筒状支持部材)9aの内壁面との間の隙間84(
図8参照)は、荷重受け部材51Aが、補助ピン95を中心として±1°〜±5°程度傾き得るように設定しておくことが望ましい。具体的な隙間84は、荷重受け部材51Aの大きさや補助ピン95の位置などによっても異なるが、一般には0.1mm〜10mm程度とすればよい。
【0098】
なお、上述のように荷重受け部材51Aの当接部85から基体51Bの作用部86Aに、鉛直方向下向きの力のみが伝達されるようにする作用を確実化するためには、当接部85の下端面(当接面)85Aと作用部86Aの上面との間の摩擦を小さくし、また荷重受け部材51Aが傾いた時にその傾きの影響を基体51Bが受けないようにすることが望ましい。
【0099】
そのためには、先ず第1には、当接部85の下端面(当接面)85Aと作用部86Aの上面との間の摩擦抵抗を小さくするべく、これらの面の内の少なくとも一方を、平滑な面(例えば鏡面)に仕上げておくことが望ましい。また、場合によっては、これらの面の少なくとも一方に、摩擦抵抗を少なくするための表面処理を施したり、低摩擦(固体潤滑性)の膜、例えばフッ素系樹脂コーティングを施しておいても良い。
【0100】
また第2には、当接部85の下端面(当接面)85Aと作用部86Aの上面との接触面積を小さくすることが望ましい。そのためには、例えば当接部85の形状(下方への突出形状)を変更して、当接面85Aの面積を小さくしたり、接触状況を、面接触ではなく、線接触、さらには点接触とすることが考えられる。このように当接部85と作用部86Aとの接触面積を小さくするように当接部85の形状(下方への突出形状)を変更したり、また接触状況を面接触から実質的に点接触となるように変更した具体的ないくつかの例については、後に
図14A〜
図19Bを参照して、改めて詳細に説明する。
【0101】
いずれにしても、ロードセル51における荷重を受ける部材(荷重受け部材51A)と、荷重による歪みを発生する部材(基体51B)とが分離・独立しており、荷重受け部材51Aと基体51Bとが上下方向に接触して、荷重受け部材51Aが受けた荷重の鉛直方向下方への成分のみが基体51Bに加えられるようにしている。したがって荷重受け部材51Aと基体51Bとは、単純に上下方向に接触していさえすれば良いから、ロードセル51の構成部材の形状、寸法や取り付け位置の自由度が高く、そのため、市販のベッドについても特に設計変更せずに、ロードセル51を組み込むことができるのである。
【0102】
なお、以上の例においては、ロードセル51の基体51Bは、作用部86Aを含む一部のみが角筒状連結アーム(筒状支持体)9a内に挿入され、その余の部分は角筒状連結アーム9aの外側にはみ出している。このように基体51Bの一部のみを角筒状連結アーム9a内に挿入することとした理由は、次の通りである。
【0103】
すなわち、ロードセル51における基体51Bの作動部(カンチレバー部)86Bは、その長さ(作用部86Aから基部51Baまでの長さ)が長いほど、同じ荷重を受けても撓み量が大きくなって、より高精度で荷重を検出することが可能となる。一方、一般のベッド本体1Aにおいては、下側フレーム5のパイプ5bの幅には制約があることが多い。そうすると、作動部(カンチレバー部)86Bの長さを大きくしながらも、基体51Bを比較的幅の狭いパイプ5b上に載置するためには、作動部(カンチレバー部)86Bの長さ方向をパイプ5bの長さ方向に沿わせることが望ましい。また一方、一般のベッド本体1Aにおける角筒状連結アーム9aの寸法(水平面内での内側寸法)も、経済性などの観点から、あまり大きくしないことが望まれる。
【0104】
しかるに、上述のように作動部(カンチレバー部)86Bの長さ方向をパイプ5bの長さ方向に沿わせるとともに、角筒状連結アーム9a内に基体51Bの一部のみ(作用部86Aが位置する部分)を挿入して、その余の部分は角筒状連結アーム9aの外側にはみ出させておけば、パイプ5bの幅が狭くかつ角筒状連結アーム9aの水平面内寸法が小さい場合でも、作動部(カンチレバー部)86Bの長さを大きく確保して、荷重検出精度を高めることができるのである。言い換えれば、ロードセル51の基体51Bを支持するパイプの幅に制約されることなく、作動部(カンチレバー部)86Bの長さを大きくして、荷重検出精度を高めることができるのである。
【0105】
また上述のように角筒状連結アーム9a内に基体51Bの一部のみ(作用部86Aが位置する部分)を挿入して、その余の部分は角筒状連結アーム9aの外側にはみ出させておき、とりわけ作動部(カンチレバー部)86Bにおける歪センサ57の取り付け箇所を、角筒状連結アーム9aの外側(もしくは、内側でも側方開口部93に近い箇所)としておくことによって、ベッド本体を分解したり、ベッド本体の構成部材を取り外したりすることなく、歪センサ57の交換を容易に行なうことが可能となる。またこの場合、歪センサ57から外部への配線やケーブルを角筒状連結アーム9a内で引き回す必要がなくなり、配線やケーブルの取り回しも容易となる。
【0106】
以上、荷重受け部材51Aの第1の例および基体51Bの第1の例からなる一つのロードセル51を、ベッド本体1Aにおける下側フレーム5の一つのパイプ5b上の1箇所の角筒状の連結アーム9aに組み込んだ状態について説明したが、本発明の荷重検出機能付きベッドにおいては、実際上は、ベッド本体1Aの四隅(前左側、前右側、後左側、後右側)もしくはその四隅付近に相当する箇所に、それぞれロードセル51を組み込み、これらの合計4つのロードセル51によって、それぞれベッド本体1Aの四隅に加わる荷重の変化を検出することが望ましい。そして、これら4つのロードセル51が検出した荷重信号を上記演算部52へと出力することが望ましい。以下にその点について、再び
図1を参照して説明する。
【0107】
演算部52は、ROMやRAM、その他のメモリ、CPU等を有するコンピュータからなり、ベッド本体1Aの寝床面T上における利用者Hの状態を演算するのに必要なプログラム、数値等が予め格納されている。
【0108】
そして、この演算部52では、上記4つのロードセル51から出力された荷重信号に基づいて、ベッド本体1Aの寝床面T上における利用者Hの状態を演算し、その演算結果を送信部53に出力する。
【0109】
例えば、この演算部52では、上記4つのロードセル51から出力された荷重信号から、これら4つのロードセル51に加わる荷重の合計値が予め記憶された閾値よりも大きい場合には、利用者Hがベッド本体1Aの寝床面T上に在床している判断して、その演算結果を送信部53に出力する。
【0110】
なお、この演算部52では、このような利用者Hの入床(就寝)・離床(起床)以外にも、例えば、ベッド本体1Aの寝床面T上における利用者Hの重心位置の移動距離および/または移動速度から、利用者Hの離床を予知する演算等を行うことも可能である。さらに、利用者Hの体動(例:寝返り等)や姿勢(例:仰臥、伏臥、横臥等)などを演算により検出することが可能であり、さらに後述するように、床ずれの発生を予測することも可能である。
【0111】
送信部53は、ベッド本体1Aに取り付けられた送信機であり、演算部52で演算した結果を遠隔にある受信部54へと送信する。一方、受信部54では、送信部53から送信された信号を受信する受信機であり、送信部53からの信号を受信することによって、利用者Hの状態(在床状況)を遠隔から監視することが可能となる。
【0112】
また、受信部54側では、ロードセル51が検出した検出結果や、演算部52による演算結果を、例えば、図示を省略するモニタに表示したり、プリンタに出力したりすることも可能である。
【0113】
また、演算部52による演算結果から、例えば利用者Hの状態を、必要に応じてその旨を監視者に告知するようにしてもよい。告知方法については、特に限定されるものではなく、例えば、図示を省略するスピーカから警報を発したり、モニタに表示を行ったりすることが可能である。
【0114】
以上のような構造を有する荷重検出機能付きベッド1は、例えば、医療施設(例:病院、診療所等)や介護施設、養護施設などにおいて好適に用いられる。
【0115】
本発明では、このような荷重検出機能付きベッド1を使用することで、例えば、入床(就寝)や、離床(起床)、在床位置、体動(例:寝返り等)、姿勢(例:仰臥、伏臥、横臥等)など、利用者Hの状態(在床状況)を遠隔から監視することが可能となる。また、このような荷重検出機能付きベッド1を使用することで、誰かに監視されているという利用者Hの精神的な負担や、深夜・早朝に限らず利用者Hを常時監視しなければならないという監視者の肉体的・精神的負担を軽減することが可能となる。
【0116】
なお、このような荷重検出機能付きベッド1は、上述した施設に限定して使用されるものではなく、例えば、宿泊施設(例:ホテル、旅館等)、一般家庭(例:自宅介護等)などにおいても利用可能である。すなわち、この荷重検出機能付きベッド1の利用形態については、特に限定されるものではない。
【0117】
また、本発明を適用した荷重検出機能付きベッド1の荷重検出機能を利用した応用例としては、例えば、「床ずれ防止機能」を挙げることができる。具体的には、一定時間(例えば2時間)以上、重心位置がある一定の円より外に移動していない場合、又は、各ロードセル51の荷重変化が一定(例えば1kg)以上変化していない場合に、利用者Hに床ずれが生じる可能性があると判断して、監視者に通知するといった機能を付加することが可能である。
【0118】
また、別の応用例として「照明制御機能」を挙げることができる。具体的には、ベッド本体1Aの寝床面T上における利用者Hの重量の有無、重心位置や、重心の移動量、重心の移動速度等を計測することによって、入床又は離床したときに、照明を点灯又は消灯させるといった機能を付加することが可能である。
【0119】
また、別の応用例として「体重管理機能」を挙げることができる。具体的には、ベッド本体1Aの寝床面T上における利用者Hの体重を定期的に(例えば毎日定刻時に)計測することによって、利用者Hの体重管理を行うといった機能を付加することが可能である。
【0120】
また、別の応用例として「空調管理機能」を挙げることができる。具体的には、ベッド本体1Aの寝床面T上における利用者Hの体動(寝返り等)を検出することによって、利用者Hの睡眠深度を計測し、利用者の状態に応じて空調を管理するといった機能を付加することが可能である。
【0121】
また、別の応用例として「透析時の体重モニタ機能」を挙げることができる。具体的には、ベッド本体1Aの寝床面T上における利用者Hの体重を計測することによって、透析の開始と終了とを検出するといった機能を付加することが可能である。
【0122】
このように、本発明では、上述した機能に限らず、上記荷重検出機能付きベッド1の荷重検出機能を利用することで、様々な機能を付加することが可能である。
【0123】
また、本発明は、本発明を適用した荷重検出器50がベッド本体1Aに予め組み込まれた荷重検出機能付きベッドであっても、本発明を適用した荷重検出器50をベッド本体1Aに別途組み込むことによって、既存のベッドに荷重検出機能を付加したものであってもよい。
【0124】
すなわち、本発明を適用した荷重検出機能付きベッドは、ベッド本体1Aに予め取り付けられた又は別途取り付けた荷重検出器50によりベッド本体1Aに加わる荷重の変化を測定することで、ベッド本体1Aの寝床面T上における利用者Hの状態を検出することが可能となっている。
【0125】
また、本発明では、本発明を適用した荷重検出器50のロードセル51をベッド本体1Aに取り付けることによって、部品点数の増加を抑制しつつ、簡便な構造によって荷重検出機能をベッドに付加することが可能となっている。
【0126】
具体的には、本発明を適用した荷重検出器50において、ロードセル51の荷重受け部材51Aは、既存のベッドが備える上記第1の連結アーム9aの第1のヒンジ部10を構成する部品(上記ガイドスリット(軸受)12が形成された軸受部材)と交換可能な荷重検出用部品を構成していればよいから、ロードセル51は簡単かつ容易にベッド本体1Aに組み込むことができる。
【0127】
したがって、既存のベッドに安価に荷重検出機能を付加することが可能である。また、ロードセル51に故障等が生じた場合でも容易に交換が可能である。さらに、既存のベッドとの違いが少ないため、利用者Hに違和感なくベッドを利用してもらうことが可能である。
【0128】
なお、ロードセル51の荷重受け部材51Aおよび基体51Bは、上記の例のものに必ずしも限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0129】
例えば、ロードセル51の基体51Bについての第2の例を
図11A〜
図11Dに示し、その第2の例の基体51Bと、前述の荷重受け部材51Aについての第1の例(
図6A〜
図6C参照)とを組合わせた例について、
図12、
図13に示す。
【0130】
図11A〜
図11Dに示される第2の例の基体51Bは、作用部86Aおよび作動部(カンチレバー部)86Bは、
図6A〜
図6Cに示した第1の例の基体51Bと実質的に同じであるが、取り付け部86Cが異なる。
すなわち、取り付け部86Cは、作動部(カンチレバー部)86Bの基端側の部分(基部51Ba)の下側に形成された台形状(台座状)の部分によって構成されている。そしてこの台座状の取り付け部86Cの下面側に、下方から上方に向けて例えば二つの螺子孔86Ceが穿設されている。
【0131】
このような第2の例の基体51Bを第1の例の荷重受け部材51Aと組合わせて、ベッド本体1Aにおける下側フレーム5のパイプ5b上の角筒状の連結アーム(筒状支持体)9aに組み込んだ状態を、
図12、
図13に示す。
【0132】
図12、
図13において、ロードセル51の基体51Bは、下側フレーム5のパイプ5bの上面に、作動部(カンチレバー部)86Bの基部51Baからの延出方向が、パイプ5bの長さ方向に沿うように、パイプ5bの上面に載置されている。そして基体51Bにおける作動部(カンチレバー部)86Bの延出端側の部分(作用部86Aが位置する部分)が、角筒状の連結アーム9aの側方開口部93からその角筒状の連結アーム9a内に挿入されている。一方、基体51Bにおける基端側の部分(基部51Baの側の部分および取り付け部86Cの部分)は、角筒状の連結アーム9aの側方開口部93の外側に位置している。そしてパイプ5bの下側もしくは内側から、取り付け部86Cの螺子孔86Ceに螺子86Cfを挿入、螺合させることによって、基体51Bがパイプ5bの上面に固定されている。
【0133】
この
図12、
図13に示す組み込み状態でも、ロードセル51の基体51Bは、作用部86Aを含む一部のみが角筒状連結アーム9a内に挿入され、その余の部分は角筒状連結アーム9aの外側にはみ出している。このように基体51Bの一部のみを角筒状連結アーム9a内に挿入することによる効果は、既に述べた例の場合と同様である。
【0134】
一方、ロードセル51の荷重受け部材51Aについての第2の例を
図14A〜
図14Cに示し、その第2の例の荷重受け部材51Aと、前述の基体51Bについての第2の例(
図11A〜
図11D参照)とを組合わせた例について、
図15A、
図15Bに示す。
【0135】
図14A〜
図14Cに示される第2の例の荷重受け部材51Aが、
図6A〜
図6Cに示した第1の例の荷重受け部材51Aと異なる主な点は、当接部85の形状である。すなわち第2の例の当接部85は、
図6A〜
図6Cに示した第1の例の場合より狭い幅で、垂直断面が矩形状をなす突条部、すなわち水平に寝かせた幅の狭い角棒状の部分とされている。この場合、当接部85の下端面(当接面)85Aと基体51Bの作用部86Aの上面との接触面積が第1の例の荷重受け部材51Aを用いた場合よりも小さくなり、したがってその間の摩擦抵抗も小さくなって、既に述べたような偏荷重状態での横方向や傾斜方向の力の成分が基体51Bに加えられるおそれが、より少なくなる。
【0136】
なお
図14A〜
図14Cに示される第2の例の荷重受け部材51Aにおいては、
図6A〜
図6Cに示した第1の例の荷重受け部材51Aの場合のような、三つの側壁部位51Aa、51Ab、51Acと底壁部位51Adによって囲まれる部分に空間(スペース)51Acを形成しておらず、全体として中実構造としているが、第1の例の荷重受け部材51Aの場合と同様に空間(スペース)51Aを形成しても良いことはもちろんである。その点は、後に説明する
図16A〜
図16Cに示される第3の例の荷重受け部材51A、
図18A〜
図18Cに示される第4の例の荷重受け部材51A、
図20A〜
図20Bに示される第5の例の荷重受け部材51A、
図22に示される第6の例の荷重受け部材51A、および
図24A〜
図24Cに示される第7の例の荷重受け部材51Aについても同様である。
【0137】
ロードセル51の荷重受け部材51Aについての第3の例を
図16A〜
図16Cに示し、その第3の例の荷重受け部材51Aと、前述の基体51Bについての第2の例(
図11A〜
図11D参照)とを組合わせた例について、
図17A、
図17Bに示す。
【0138】
図16A〜
図16Cに示される第3の例の荷重受け部材51Aでは、当接部85は、鉛直下方に向かって半円球状もしくは凸彎曲面状(円球面の一部あるいは楕円体の表面の一部など)に突出する部分とされている。この場合、当接部85の下端面(当接面)85Aと基体51Bの作用部86Aの上面との接触は、実質的に点接触となり、接触面積が第1の例の荷重受け部材51Aを用いた場合よりも格段に小さくなってその間の接触抵抗も小さくなる。それに加えて、球面(彎曲面)と平面との接触となっているため、支軸(ピン)13の捩れなどによって荷重受け部材51Aが傾いた場合でも、荷重受け部材51Aの傾きが基体51Bの側に影響を与えることがなく、鉛直方向下方への成分のみが基体51Bに与えられることになる。したがって偏荷重状態での横方向や傾斜方向の力が基体51Bに加えられるおそれが、より少なくなり、さらに高精度で鉛直方向下方への荷重を検出することが可能となる。
【0139】
さらにロードセル51の荷重受け部材51Aについての第4の例を
図18A〜
図18Cに示し、その第4の例の荷重受け部材51Aと、前述の基体51Bについての第2の例(
図11A〜
図11D参照)とを組合わせた例について、
図19A、
図19Bに示す。
【0140】
図18A〜
図18Cに示される第4の例の荷重受け部材51Aでは、その挿入部83の水平断面の寸法が下方に向かって小さくなるように、外側面がテーパー状に作られ、その挿入部83の下端に、さらに水平断面の寸法が下方に向かって小さくなる下向き台形状の当接部85が形成されている。このような荷重受け部材51Aでも、当接部85の下端面(当接面)85Aの面積が小さく、そのため既に述べたような偏荷重状態での横方向や傾斜方向の力の成分が基体51Bに加えられるおそれが少なくなる。
【0141】
さらにロードセル51の荷重受け部材51Aについての第5の例を
図20A、
図20Bに示し、その第5の例の荷重受け部材51Aと、前述の基体51Bについての第2の例(
図11A〜
図11D参照)とを組合わせた例について、
図21A、
図21Bに示す。
【0142】
図20A、
図20Bに示される第4の例の荷重受け部材51Aでは、挿入部83の複数の箇所、例えば上下2箇所に、軸孔83A、83Bが形成されている。この場合、
図21A、
図21Bに示すように、角筒状連結アーム9aの側壁にも上下2箇所に長孔94A、94Bを形成しておき、荷重受け部材83の軸孔83A、83Bに挿着した補助ピン95A、95Bの両端を、角筒状連結アーム9aの長孔94A、94Bに挿入させる。したがってこの例では、2本の補助ピン95A、95Bおよびそれに対応する二つの長孔94A、94Bによって、荷重受け部材51Aの姿勢が保持されることになる。
このように複数本の補助ピンおよびそれに対応する複数の長孔を設けた場合には、荷重が大きく変化した時や、偏荷重が加わった時でも、重受け部材51Aの姿勢を安定化することができる。
【0143】
さらにロードセル51の荷重受け部材51Aについての第6の例を
図22に示し、その第6の例の荷重受け部材51Aと、前述の基体51Bについての第2の例(
図11A〜
図11D参照)とを組合わせた例について、
図23A〜
図23Dに示す。
【0144】
図22に示される第6の例の荷重受け部材51Aでは、その挿入部83の上下2箇所に、軸孔83A、83Bが、90°異なる方向に沿って形成されている。すなわち、一方の軸孔83Aは、軸受け部82における軸受け面82Aの軸線方向(すなわち支軸13の軸線方向)に対し直交する方向に沿って、挿入部83の幅狭側の2側面間に形成され、他方の軸孔83Bは、軸受け部82における軸受け面82Aの軸線方向(すなわち支軸13の軸線方向)に沿って、挿入部83の幅広側の2側面間に形成されている。
【0145】
この場合、
図23A〜
図23Dに示すように、角筒状連結アーム9aの側壁の幅狭側の2面、幅広側の2面にも長孔94A、94Bを形成しておく。そして荷重受け部材83の一方の軸孔83Aに挿着した一方の補助ピン95Aの両端を、角筒状連結アーム9aの幅狭側の長孔94Aに挿入し、他方の軸孔83Bに挿着した他方の補助ピン95Bの両端を、角筒状連結アーム9aの幅広側の長孔94Aに挿入する。したがってこの例では、荷重受け部材51Aは、90°異なる方向の側においてその姿勢が保持されることになる。そのため荷重受け部材51Aは、前述のような偏荷重によっていずれの方向に傾いた場合でも、その姿勢が、より安定化される。
【0146】
さらにロードセル51の荷重受け部材51Aについての第7の例を
図24A〜
図24Cに示し、その第7の例の荷重受け部材51Aと、前述の基体51Bについての第2の例(
図11A〜
図11D参照)とを組合わせた例について、
図25A、
図25Bに示す。
【0147】
図24A、
図24Bに示される第7の例の荷重受け部材51Aでは、挿入部83の例えば上部の4側面に、水平方向に突出する突起部98が形成されている。この突起部98は、その先端と角筒状の連結アーム(筒状支持部材)9aの内面との摩擦抵抗が小さいことが望ましく、そこで本例では、例えば半球状もしくは凸彎曲状の突起部98として、連結アーム9aの内面と接触状況が実質的に点接触となるようにしている。
【0148】
このように荷重受け部材51Aの挿入部83の4側面に突起部98を形成しておけば、荷重受け部材51Aの位置が角筒状連結アーム(筒状支持部材)9aの内側で片寄ってしまうことを防止できる。すなわち、荷重受け部材51Aの位置が角筒状連結アーム9aの内側で片寄ってしまって、荷重受け部材51Aの挿入部83の側面が角筒状連結アーム9aの内壁に面接触してしまった場合には、その間の摩擦抵抗によって、荷重受け部材51Aの鉛直方向下方への荷重が角筒状連結アーム9aにも負担されてしまい、その結果、基体51Bへ伝達される鉛直方向下方への荷重が小さくなってしまって、荷重検出精度が低下する懸念がある。しかしながら、上述のように突起部98を形成して、かつその突起部98の先端と角筒状連結アーム9aの内壁との摩擦抵抗を小さくしておくことによって、荷重受け部材51Aの位置が片寄ってしまうことを防止すると同時に、基体51Bへ伝達される鉛直方向下方への荷重が減じられないようにすることができる。
【0149】
以上の各例では、ロードセル51の基体51Bに、カンチレバー型(片持ち梁型)の起歪体の構成が適用されているが、場合によっては、いわゆる圧縮タイプの起歪体であってもよい。圧縮タイプに構成した基体51Bの例(第3の例)を、
図26に示し、その第3の例の基体51Bを、第1の例の荷重受け部材51A(
図6A〜
図6C参照)を組み合わせ、ベッド本体1Aにおける下側フレーム5のパイプ5b上の角筒状の連結アーム(筒状支持体)9aに組み込んだ状態を、
図27に示す。
【0150】
図26に示す基体51Bは、鉛直方向に圧縮して歪ませることによって、その側面部分の歪みを歪センサ57が検出するものである。具体的には、基体51Bは、例えば直方体形状に作られた上部が、荷重受け部材51Aの当接部85が当接して、荷重受け部材51Aからの荷重が作用する作用部86Aに相当し、同じく例えば直方体形状に作られた下部が、ベッド本体1Aにおける設置面側の構成部材(本例の場合は、下側フレーム5のパイプ5b、もしくはそのパイプ5b上の角筒状の連結アーム9a)に固定される取り付け部86Cに相当する。そして上部の直方体形状の作用部86Aと、下部の直方体形状の取り付け部86Cとの中間部分が、側面側から鼓状に窪んだ作動部86Bとされ、その作動部86Bの側面(鼓状に窪んだ表面)に、歪センサ57を構成する複数の歪みゲージ(歪み感受抵抗体)R1、R2が貼着されている。なおこの場合の基体51Bの材料としては、例えば、アルミ合金や鉄、鋼、チタン合金などの金属、あるいはエンジニアリングプラスチックなどの硬質樹脂や、硬質ゴムなど、弾性圧縮変形可能な材料を用いる。
【0151】
ここで、上部の直方体形状の作用部86Aの上面に鉛直方向下方に荷重が加われば、鼓状に窪んだ作動部86Bの表面は、垂直方向には圧縮され、水平方向には伸長される。したがって、作動部86Bの表面に貼着される複数の歪みゲージ(歪み感受抵抗体)の方向を適切に定めておくことによって、前述のホイートストンブリッジ回路などによって、作動部86Bの歪みを検出し、結果的に作用部86Aに加わる荷重の変化を検出することが可能となる。なお
図26では、歪みゲージは2個(R1、R2)のみを示しているが、作動部86Bの別の側の表面(もしくは同じ側で異なる箇所)にも、さらにいくつかの歪みゲージを貼着しておけば、あるいはいくつかのダミー抵抗を用いれば、前述のホイートストンブリッジ回路を構成することができる。
【0152】
上述のような圧縮タイプの基体51Bを、例えば第1の例の荷重受け部材51A(
図6A〜
図6C参照)を組み合わせ、ベッド本体1Aにおける下側フレーム5のパイプ5b上の角筒状の連結アーム9aに組み込む場合、
図27に示すように、基体51Bは、角筒状の連結アーム9a内にその全体が挿入される。なお基体51Bの側壁面と角筒状連結アーム9aの内壁面との間には隙間88を保持しておく。そしてその圧縮タイプの基体51Bの取り付け部86Cを、パイプ5bもしくは角筒状の連結アーム9aに固定(取り付け)すればよい。ここで、取り付け部86Cを固定する手法は特に限定されないが、
図27の場合は、パイプ5bの内側もしくは下側から、螺子89によって固定している。
【0153】
なお、角筒状の連結アーム9aの上部開口端91から荷重受け部材51Aの挿入部83が挿入され、その荷重受け部材51Aの当接部85の下端面(当接面)85Aが、基体51Bの作用部86Aの上面に接することは、既に述べた各例と同様である。
このようにロードセル51の基体51Aとして圧縮タイプのものを用いた場合も、既に述べたと同様に、ベッド本体1Aの寝床面形成部100から加わる荷重が、支軸13を介してロードセル51の荷重受け部材51Aに加わり、さらにその荷重の鉛直方向下方の成分の荷重が基体51Bに加わって、作動部86Bが圧縮変形し、その作動部86Bの表面の歪みが歪センサ57により検出される。
【0154】
また、以上の各例のロードセル51では、歪みの大きさを検出する歪みセンサとして、歪みゲージ(歪み感受抵抗体)57を用いた構成となっているが、このような歪み感受抵抗体に限らず、歪みセンサとしては、例えば、導電性エラストマーセンサや、光学式歪みセンサ、電歪デバイスセンサ、圧電デバイスセンサ、磁歪デバイスセンサなどを用いることができる。
【0155】
また、ベッド本体1Aについては、寝板2の上に予めマット等が敷設されたものであってもよい。また、寝板2は、その長さ方向(ベッド本体1Aの長手方向)において分割された構造を有して、利用者Hの上半身側や足側の一部が起き上がるといったリクライニング機能を有するものであってもよい。さらに、上側フレーム3及び下側フレーム5については、上述したフレーム構造に限定されるものではなく、様々なフレーム構造を採用することが可能である。
【0156】
また、荷重検出器50では、上述したロードセル51と演算部52との間、及び、演算部52と送信部53との間を配線55a,55bによって電気的に接続した構成に限らず、無線により電気的に接続した構成とすることも可能である。一方、送信部53と受信部54との間の通信方法としては、上述した無線通信網を用いる場合に限らず、有線通信網を用いてもよい。さらに、荷重検出器50については、上記演算部52と上記送信部53とを一体に形成することも可能である。
【0157】
なお、前述の
図1、
図2A、
図2Bに示した例では、上側フレーム3と下側フレーム5との間の連結支持部102に、昇降リンク機構6を設けた構成としているが、昇降リンク機構6を連結支持部102に設けない場合にも本発明を適用することができる。その一例を、
図28に示す。
【0158】
図28に示す例では、上側フレーム3と下側フレーム5との間を、連結支持部102としての例えば中空パイプ状の複数本(通常は4本)の垂直な支柱102Aによって連結した構成として、各支柱102Aの上端と上側フレーム3との間にロードセル51を介在させている。この場合は、各支柱102Aが、前記第1の態様に記載した設置面側の構成部材に相当する。
【0159】
また昇降リンク機構6を連結支持部102に設けない場合の他の例を、
図29に示す。
【0160】
図29に示す例では、
図28に示した例と同様に、上側フレーム3と下側フレーム5との間を、連結支持部102としての例えば中空パイプ状の複数本(通常は4本)の垂直な支柱102Aによって連結した構成としているが、この場合は、各支柱102Aの下端と下側フレーム5との間にロードセル51を介在させている。この場合は、下側フレーム5が、前記第1の態様に記載した設置面側の構成部材に相当する。
【0161】
なお、
図28に示す例、及び
図29に示す例は、いずれも上側フレーム3と下側フレーム5との間の連結支持部102に昇降リンク機構を設けない場合の例として説明したが、連結支持部102に昇降リンク機構を設けた場合においても、
図28に示す例に倣って、上側フレーム3と連結支持部102との間(例えば上側フレーム3と昇降リンク機構との間)にロードセル51を介在させることができる。また同様に、連結支持部102に昇降リンク機構を設けた場合でも、
図29に示す例に倣って、連結支持部102と下側フレーム5との間(例えば昇降リンク機構と下側フレーム5との間)にロードセル51を介在させることができる。
【0162】
さらに、
図28に示す例、あるいは
図29に示す例のように上側フレーム3と下側フレーム5との間の連結支持部102に昇降リンク機構を設けない場合において、その連結支持部102を構成する各支柱102Aの中間部分にロードセル51を介在させることもできる。
【0163】
一方、本発明において、ベッド本体の荷重を検出するロードセル51は、ベッド本体1Aの4隅の脚部4に配置することもできる。すなわち一般にこの種のベッド本体1Aでは、ベッド本体1Aの移動を容易にするためのキャスター機構8を脚部4に設けるのが通常であるが、そのキャスター機構8を受ける部分もしくはそのキャスター機構8の内部にロードセル51を介在させても良い。
【0164】
なお昇降リンク機構6を設けない場合(例えば
図28に示す例参照)、下側フレーム5をも省略してしまうことがあり、この場合は、各支柱102Aの下端に、脚部4としてのキャスター機構8を直接設けることがある。このような構成のベッド本体においても、
図28に示す例に倣って、上側フレーム3と各支柱102Aとの間にロードセル51を介在させたり、あるいは脚部4(たとえばキャスター機構8)にロードセル51を介在させたりすれば良い。
【0165】
さらには、昇降リンク機構およびキャスター機構の両者を持たないベッド本体に本発明を適用することもできる。その場合の例を
図30に示す。この例では、上側フレーム3と、脚部に相当する各支柱102Aとの間にロードセル51を介在させている。この場合は、各支柱102Aが、前記第1の態様に記載した設置面側の構成部材に相当する。
【0166】
以上のように、本発明を適用した荷重検出機能付きベッド1は、寝床面形成部(前述の各実施形態では寝板2と上側フレーム3とによって構成されるもの)100から連結支持部(昇降リンク機構6もしくは下側フレーム5の有無は問わない)102を経て脚部4に至る荷重伝達経路のいずれかの個所における、寝床面形成部100側からの荷重を受けてその荷重を設置面B側に伝達する部位にロードセル51が組み込まれていればよい。従ってロードセル51は、寝床面形成部100と連結支持部102との間、あるいは連結支持部102の中間、あるいは連結支持部102と脚部4との間、さらには脚部4の部分、のいずれに介在させても良い。
【0167】
なお、前述の各例では、ベッド本体1Aにおける寝床面Tを形成する寝床面形成部100が、寝板2と、寝板2を支持する上側フレーム3とによって構成されているものとしたが、場合によっては寝床面形成部100が、上側フレーム3のないもの、すなわち寝板2のみからなるものとなっていることもある。このような場合にも本発明を適用し得ることはもちろんである。例えば、寝板2と、それを支持するための連結支持部(例えば支柱102A)との間にロードセル51を介在させても良い。
【0168】
また、前記同様に寝床面形成部100が、上側フレーム3のないもの、すなわち寝板2のみからなるものとなっている場合において、寝板2を支持するための連結支持部102に昇降リンク機構6を設けて、寝板2を直接昇降させるようにした構成のベッド本体もあり、このような場合にも本発明を適用し得ることはもちろんである。
【0169】
さらに、寝床面形成部100が上側フレーム3を備えていても、上側フレーム3が単なる囲いとして機能するだけで、昇降リンク機構6が、直接寝板2を昇降させる構成としたベッド本体もあり、このような場合は、上側フレーム3は荷重を実質的に支持しないから、上側フレーム3は、寝床面形成部100から連結支持部102を経て脚部4に至る荷重伝達経路からは外れる。そしてその場合は、寝板2から連結支持部102を経て脚部4に至る荷重伝達経路のいずれかの個所にロードセル51を介在させればよい。
【0170】
なおまた、以上の説明では、寝床面形成部100を昇降させるための機構として、リンク機構を適用したものとしているが、場合によってはリンク機構を用いない昇降機構、例えば手動あるいは電動の回転螺子方式(スクリュー方式)、ジャッキ方式などの昇降機構を用いることもあり、そのようなリンク機構以外の昇降機構を有するベッド本体にも本発明を適用し得ることはもちろんである。
【0171】
本発明による荷重検出機能付きベッドは、医療施設(例:病院、診療所等)や介護施設、養護施設、そのほか宿泊施設(例:ホテル、旅館等)、一般家庭(例:自宅介護等)などに使用することができ、その場合において、ベッドに加わる荷重を検出することにより、例えば、入床(就寝)や、離床(起床)、在床位置、体動(例:寝返り等)、姿勢(例:仰臥、伏臥、横臥等)など、ベッド利用者の状態(在床状況)を監視することができる。また本発明によるベッド用荷重検出器は、新規のベッドのみならず、既存のベッドに組み込むことができ、その場合にも、上記の機能を発揮させることができる。