【実施例】
【0014】
図1の符号1は、本発明の適用された主にオフィス等で使用される椅子であり、図示しないが主に机とともに利用されることが一般的である。
【0015】
椅子1は、直方体の枠体2と、枠体2の上面にボルト等により固着された座面であるクッション部15とから主に構成されており、後述する枠体2の下板2bの四隅にそれぞれ設けられたキャスタ50,50,…により床面を滑らかに移動自在となっている。尚、クッション部15は座り心地を向上させるために用いられるだけであるため、必ずしも必要ではない。
【0016】
図1から
図3に示されるように、枠体2は座板20と底板21との間に、当該枠体2の長手方向における一方側の短辺を閉じる第1壁板3と、枠体2の長手方向の中央付近に第1壁板3と平行に配置される第2壁板4と、さらに枠体2の長辺の一部をそれぞれ閉じる一対の側板5,5をそれぞれ挟み込んで構成されており、これらは図示しないボルトや接着剤などによりそれぞれ固着されている。
【0017】
詳しくは、第2壁板4と対向する2枚の側板5,5とは、第2壁板4の端部に側板5,5をそれぞれビス等で接続して一体の平面視コ字状に形成されている(
図3参照)。また、
図1及び
図2(a)に示されるように、側板5,5は第2壁板4と接続されていない側の端部5a,5aが枠体2の座板20及び底板21の長手方向における他方短辺とほぼ面一となるように配置されている。そして、この側板5,5と座板20及び底板21により囲われて枠体2の長手方向における他方の短辺側に開口するとともに、第2壁板4によって奥面を閉塞された部屋状の収納部Aを形成している。尚、第2壁板4と側板5,5とは、近接して配置されていれば一体に接続されなくともよい。
【0018】
また、第1壁板3は枠体2の長手方向における収納部Aの開口を有する端部とは反対の端部に配置されており、第1壁板3の内面3aと第2壁板4の外面4aと、座板20及び底板21により囲われて、枠体2を短手方向に貫通して枠体2の両長辺に開口を有した収納部Bが形成されている。
【0019】
図4に示されるように、収納部Bは枠体2の両長辺に有した開口よりアプローチできるため、前後どちらの方向を向いて着座しても荷物の出し入れが可能であるばかりか、収納部Bをはみ出すような寸法の荷物であっても収納可能である。また、収納部Aは第2壁板4によって荷物の落下が防止できるため、小物などを収納するのに適している。
【0020】
また、第2壁板4と側板5,5とが一体の平面視コ字状に形成されるため、その両端に角部を有して強度を高められた第2壁板4が枠体2の長手方向における略中央付近に固着されることから、着座時における座板20の撓みを効果的に抑制することができ、椅子としての使用に十分耐えうる枠体2の強度となっている。
【0021】
また、収納部Aと収納部Bへのアプローチ方向が異なることから、利用者は収納する荷物の種類によって直感的に分類して収納することができ、分類作業の効率がよい。
【0022】
椅子1は複数個を一纏めに組み合わせることができる。例えば
図5及び
図6に示されるように2つの椅子1,1’を組み合わせる場合、椅子1は、第1壁板3を有する面を他の椅子1’の枠体2’における長辺部分に配置された一方の側面板3a’と対向するように近接させて配置する。これによれば、前記椅子1の収納部Bの開口の横に椅子1’の収納部A’の開口が並ぶように配置されるため、椅子1,1’の組合わせ時において、その収納部A,A’及び収納部B,B’を全て利用することが可能である。
【0023】
更に、椅子1は第1壁板3と、側板5及び5とが同寸とすれば、上述したような椅子1,1’の組合わせ時に、椅子1’の収納部B’の開口の延長線に椅子1の第1壁板3が貼り出さないため、収納部B’へのアプローチが阻害されることがなく収納部B’の利用が容易である。
【0024】
また、
図5に示されるように、側面視において、隣合う椅子1,1’の収納部Bと収納部A’の開口が片方に寄せられ、面である側板5と、収納部A’及び収納部Bの開口との境界が明瞭となり美観に優れる。
【0025】
続いて4つの椅子1,1,…を組み合わせる場合を例として
図7を用いて説明すると、枠体2,2,…におけるそれぞれの側板5,5を端部に有する枠体の短辺と前記枠体における長辺110とが面一となるように組み合せるのが望ましく、これによれば、椅子1の収納部Bの開口の横に他の椅子1の収納部Aの開口が並ぶように配置されるため、椅子1,1,…の組合わせ時において、全ての収納部A,A…と収納部B,B,…を利用することが可能である。また、椅子1,1,…は4つ組み合わせると、平面視において全体形状が略正方形となり美観に優れる更に、上述したように第1壁板3と側板5及び5とが同寸であるため、対向する椅子の開口部がそれぞれ直線上に配置されて美観に優れる。
【0026】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0027】
例えば、前記実施例における側板5,5と第2壁板4とを、1枚の鉄板を屈曲させた形状若しくは合成樹脂による金型成形などで一体に形成してもよい。
【0028】
また、本発明に係る椅子の変形例として、
図8(a)に示されるように、収納部Aはその開口を長辺方向に向けて設けるようにしてもよい。また、
図8(b)に示されるように、枠体2の中央付近に配置された側板5の端部と第1壁板3とを板体10によって連結することで、前後にそれぞれ開口を有した部屋状の2つの収納部(A,C)を形成するようにしてもよい。
【0029】
また、本発明に係る椅子の別の変形例として、
図9(a)に示されるように、第1壁板3と第2壁板4との間に板体100を設けて、3つの収納エリア(A,B1,B2)を形成するようにしてもよく、この場合、板体100により椅子1の強度を更に向上させることができる。更に、
図9(b)に示されるように、第1壁板3と第2壁板4との間に第1,第2壁板3,4と平行に板体100’を設けることで3つの収納エリア(A,B1’,B2’)を形成するようにしてもよい。