特許第6265591号(P6265591)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6265591
(24)【登録日】2018年1月5日
(45)【発行日】2018年1月24日
(54)【発明の名称】椅子
(51)【国際特許分類】
   A47C 7/62 20060101AFI20180115BHJP
   A47C 3/00 20060101ALI20180115BHJP
   A47C 11/00 20060101ALI20180115BHJP
   A47C 17/04 20060101ALI20180115BHJP
【FI】
   A47C7/62 A
   A47C3/00
   A47C11/00
   A47C17/04 A
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-242725(P2012-242725)
(22)【出願日】2012年11月2日
(65)【公開番号】特開2014-90860(P2014-90860A)
(43)【公開日】2014年5月19日
【審査請求日】2015年10月26日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000000561
【氏名又は名称】株式会社岡村製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100098729
【弁理士】
【氏名又は名称】重信 和男
(74)【代理人】
【識別番号】100163212
【弁理士】
【氏名又は名称】溝渕 良一
(74)【代理人】
【識別番号】100204467
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 好文
(74)【代理人】
【識別番号】100148161
【弁理士】
【氏名又は名称】秋庭 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100156535
【弁理士】
【氏名又は名称】堅田 多恵子
(74)【代理人】
【識別番号】100195833
【弁理士】
【氏名又は名称】林 道広
(72)【発明者】
【氏名】長田 彩加人
【審査官】 須賀 仁美
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭52−107873(JP,U)
【文献】 特開平01−201207(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47C3/00−25/02
A47B43/00−47/06
A47B77/00−88/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
座面を有する枠体を4個組合わせて略ロ字状に並べて使用される椅子において、前記枠体は、短辺と長辺を有する平面視において連続して延びる長方形の底板と、上部に前記座面を有し前記底板と同形状の平面視において連続して延びる長方形の座板と、これら底板と座板との間に固着される前記椅子の長手方向における一方側の短辺を閉じる第1壁板、及び前記椅子の中央付近に前記第1壁板と平行に配置される第2壁板、さらに前記椅子の長手方向における他方側の両側面に配置される一対の側板とから構成されかつ前記椅子の長手方向における一方側の両側面は閉じられておらず、
4個の前記椅子を組合わせる際に、前記第1壁板と、他の椅子における前記側板の一面とを対向するようにそれぞれ近接させ、かつ前記側板を端部に有する前記枠体の短辺と、他の椅子における前記枠体の長辺とが面一となるように組合せられることを特徴とする椅子。
【請求項2】
前記第2壁板と前記側板とがそれぞれ一体に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の椅子。
【請求項3】
前記第1壁板と前記側板とが同寸であることを特徴とする請求項1または2に記載の椅子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、座面を有する枠体からなる椅子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、略箱形状で上部に開口部を有するキャビネット(枠体)と、前記開口部を開閉自在に覆設される座板とにより構成され、座板を開閉操作することで前記キャビネット内の収納部に鞄などの荷物を収納可能としたスツール(椅子)があり(例えば、特許文献1参照)、近年このようなスツールは机の周囲に複数個配置されてオフィスなどで利用される機会が増えている。
【0003】
また、上部に座板を有したフレーム構造でワゴン本体を構成され、座板の下方に籠状の収納スペースを設けたものがある(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−79678号公報(第4頁、第3図)
【特許文献2】特開2007−135616号公報(第4頁、第3図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1にあるような椅子にあっては、収納部にアプローチするには座板を開操作する必要があるため、利用者は着座したまま収納部を利用することができず不便であった。また、特許文献2にあるような椅子にあっては、フレーム構造であるため座板を開操作しないで収納部にアプローチできるものの、椅子が1座席分であることから、その下方の収納スペースの収納容量が十分で無いという問題があった。
【0006】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、着座時でも収納部分を利用可能であり、かつ十分な収納容量を有しながらも、椅子として利用するに耐える十分な強度も持ち合わせた椅子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、本発明の椅子は、
座面を有する枠体を4個組合わせて略ロ字状に並べて使用される椅子において、前記枠体は、短辺と長辺を有する平面視において連続して延びる長方形の底板と、上部に前記座面を有し前記底板と同形状の平面視において連続して延びる長方形の座板と、これら底板と座板との間に固着される前記椅子の長手方向における一方側の短辺を閉じる第1壁板、及び前記椅子の中央付近に前記第1壁板と平行に配置される第2壁板、さらに前記椅子の長手方向における他方側の両側面に配置される一対の側板とから構成されかつ前記椅子の長手方向における一方側の両側面は閉じられておらず、
4個の前記椅子を組合わせる際に、前記第1壁板と、他の椅子における前記側板の一面とを対向するようにそれぞれ近接させ、かつ前記側板を端部に有する前記枠体の短辺と、他の椅子における前記枠体の長辺とが面一となるように組合せられることを特徴としている。
この特徴によれば、第1壁板と第2壁板と底板及び座板により椅子を短手方向に貫通する第1の収納部が形成されるとともに、第2壁板と両側板と底板及び座板により椅子の長手方向における一方端部に開口を設けた第2の収納部を形成できるため、着座時でも両収納部を利用可能であり、かつ第1壁板と第2壁板及び側板の厚み以外の空間を全て荷物を収容可能な収納部屋及び収納部とすることができるので収納効率が高く、また椅子の中央付近に配置された第2壁板と両側板にかけて座板の中央部付近が強固に支持されて、椅子として利用するに耐える十分な強度を備えることができる。
【0008】
本発明の椅子は、
前記第2壁板と前記側板とがそれぞれ一体に接続されていることを特徴としている。
この特徴によれば、第2壁板と両側板とが一体の平面視コ字状に形成されるため、座板が長手方向に比較的長くとも、その両端に角部を有して強度を高められた第2壁板が枠体の長手方向における略中央付近に固着されることから、着座時における座板及び底板の撓みを効果的に抑制することができる。
【0011】
本発明の椅子は、
前記第1壁板と前記側板とが同寸であることを特徴としている。
この特徴によれば、椅子の組合わせ時に収納部の開口の延長線に他の椅子の第1壁板が貼り出さないため、全ての収納部へのアプローチが阻害されることがなく収納部の利用が容易であるばかりか、対向する椅子の開口部がそれぞれ直線上に配置されるため、美観に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施例における椅子を示す斜視図である。
図2】(a)は、椅子を示す正面図であり、(b)は、同じく側面図である。
図3図2(b)のX−X断面図である。
図4】椅子の使用例を示す平面断面図である。
図5】椅子の組合せを示す側面図である。
図6図5と同じく平面断面図である。
図7】椅子を4つ組合せた場合を示す平面断面図である。
図8】(a),(b)は、椅子の変形例を示す平面断面図である。
図9】(a),(b)は、椅子の別の変形例を示す平面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明に係る椅子を実施するための形態を実施例に基づいて以下に説明する。
【実施例】
【0014】
図1の符号1は、本発明の適用された主にオフィス等で使用される椅子であり、図示しないが主に机とともに利用されることが一般的である。
【0015】
椅子1は、直方体の枠体2と、枠体2の上面にボルト等により固着された座面であるクッション部15とから主に構成されており、後述する枠体2の下板2bの四隅にそれぞれ設けられたキャスタ50,50,…により床面を滑らかに移動自在となっている。尚、クッション部15は座り心地を向上させるために用いられるだけであるため、必ずしも必要ではない。
【0016】
図1から図3に示されるように、枠体2は座板20と底板21との間に、当該枠体2の長手方向における一方側の短辺を閉じる第1壁板3と、枠体2の長手方向の中央付近に第1壁板3と平行に配置される第2壁板4と、さらに枠体2の長辺の一部をそれぞれ閉じる一対の側板5,5をそれぞれ挟み込んで構成されており、これらは図示しないボルトや接着剤などによりそれぞれ固着されている。
【0017】
詳しくは、第2壁板4と対向する2枚の側板5,5とは、第2壁板4の端部に側板5,5をそれぞれビス等で接続して一体の平面視コ字状に形成されている(図3参照)。また、図1及び図2(a)に示されるように、側板5,5は第2壁板4と接続されていない側の端部5a,5aが枠体2の座板20及び底板21の長手方向における他方短辺とほぼ面一となるように配置されている。そして、この側板5,5と座板20及び底板21により囲われて枠体2の長手方向における他方の短辺側に開口するとともに、第2壁板4によって奥面を閉塞された部屋状の収納部Aを形成している。尚、第2壁板4と側板5,5とは、近接して配置されていれば一体に接続されなくともよい。
【0018】
また、第1壁板3は枠体2の長手方向における収納部Aの開口を有する端部とは反対の端部に配置されており、第1壁板3の内面3aと第2壁板4の外面4aと、座板20及び底板21により囲われて、枠体2を短手方向に貫通して枠体2の両長辺に開口を有した収納部Bが形成されている。
【0019】
図4に示されるように、収納部Bは枠体2の両長辺に有した開口よりアプローチできるため、前後どちらの方向を向いて着座しても荷物の出し入れが可能であるばかりか、収納部Bをはみ出すような寸法の荷物であっても収納可能である。また、収納部Aは第2壁板4によって荷物の落下が防止できるため、小物などを収納するのに適している。
【0020】
また、第2壁板4と側板5,5とが一体の平面視コ字状に形成されるため、その両端に角部を有して強度を高められた第2壁板4が枠体2の長手方向における略中央付近に固着されることから、着座時における座板20の撓みを効果的に抑制することができ、椅子としての使用に十分耐えうる枠体2の強度となっている。
【0021】
また、収納部Aと収納部Bへのアプローチ方向が異なることから、利用者は収納する荷物の種類によって直感的に分類して収納することができ、分類作業の効率がよい。
【0022】
椅子1は複数個を一纏めに組み合わせることができる。例えば図5及び図6に示されるように2つの椅子1,1’を組み合わせる場合、椅子1は、第1壁板3を有する面を他の椅子1’の枠体2’における長辺部分に配置された一方の側面板3a’と対向するように近接させて配置する。これによれば、前記椅子1の収納部Bの開口の横に椅子1’の収納部A’の開口が並ぶように配置されるため、椅子1,1’の組合わせ時において、その収納部A,A’及び収納部B,B’を全て利用することが可能である。
【0023】
更に、椅子1は第1壁板3と、側板5及び5とが同寸とすれば、上述したような椅子1,1’の組合わせ時に、椅子1’の収納部B’の開口の延長線に椅子1の第1壁板3が貼り出さないため、収納部B’へのアプローチが阻害されることがなく収納部B’の利用が容易である。
【0024】
また、図5に示されるように、側面視において、隣合う椅子1,1’の収納部Bと収納部A’の開口が片方に寄せられ、面である側板5と、収納部A’及び収納部Bの開口との境界が明瞭となり美観に優れる。
【0025】
続いて4つの椅子1,1,…を組み合わせる場合を例として図7を用いて説明すると、枠体2,2,…におけるそれぞれの側板5,5を端部に有する枠体の短辺と前記枠体における長辺110とが面一となるように組み合せるのが望ましく、これによれば、椅子1の収納部Bの開口の横に他の椅子1の収納部Aの開口が並ぶように配置されるため、椅子1,1,…の組合わせ時において、全ての収納部A,A…と収納部B,B,…を利用することが可能である。また、椅子1,1,…は4つ組み合わせると、平面視において全体形状が略正方形となり美観に優れる更に、上述したように第1壁板3と側板5及び5とが同寸であるため、対向する椅子の開口部がそれぞれ直線上に配置されて美観に優れる。
【0026】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0027】
例えば、前記実施例における側板5,5と第2壁板4とを、1枚の鉄板を屈曲させた形状若しくは合成樹脂による金型成形などで一体に形成してもよい。
【0028】
また、本発明に係る椅子の変形例として、図8(a)に示されるように、収納部Aはその開口を長辺方向に向けて設けるようにしてもよい。また、図8(b)に示されるように、枠体2の中央付近に配置された側板5の端部と第1壁板3とを板体10によって連結することで、前後にそれぞれ開口を有した部屋状の2つの収納部(A,C)を形成するようにしてもよい。
【0029】
また、本発明に係る椅子の別の変形例として、図9(a)に示されるように、第1壁板3と第2壁板4との間に板体100を設けて、3つの収納エリア(A,B1,B2)を形成するようにしてもよく、この場合、板体100により椅子1の強度を更に向上させることができる。更に、図9(b)に示されるように、第1壁板3と第2壁板4との間に第1,第2壁板3,4と平行に板体100’を設けることで3つの収納エリア(A,B1’,B2’)を形成するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0030】
1 椅子
2 枠体
3 第1壁板
4 第2壁板
4a 第2壁板外面
5 側板
20 座板
21 底板
15 クッション部
50 キャスタ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9