特許第6265595号(P6265595)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6265595
(24)【登録日】2018年1月5日
(45)【発行日】2018年1月24日
(54)【発明の名称】可変コイル素子
(51)【国際特許分類】
   H01F 21/06 20060101AFI20180115BHJP
   H01F 21/00 20060101ALI20180115BHJP
【FI】
   H01F21/06 E
   H01F21/00
【請求項の数】8
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2012-281696(P2012-281696)
(22)【出願日】2012年12月25日
(65)【公開番号】特開2014-127528(P2014-127528A)
(43)【公開日】2014年7月7日
【審査請求日】2015年12月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000107804
【氏名又は名称】スミダコーポレーション株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】899000057
【氏名又は名称】学校法人日本大学
(74)【代理人】
【識別番号】110000121
【氏名又は名称】アイアット国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】内木場 文男
(72)【発明者】
【氏名】大塚 努
(72)【発明者】
【氏名】川原井 貢
(72)【発明者】
【氏名】増田 健太郎
【審査官】 右田 勝則
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−204139(JP,A)
【文献】 特開昭62−111405(JP,A)
【文献】 特開昭62−141709(JP,A)
【文献】 特開2004−304154(JP,A)
【文献】 特開2005−064263(JP,A)
【文献】 特開2006−303120(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 21/06
H01F 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性を有する第1線部材がループ状に構成されているコイル部材と、隣り合う前記第1線部材の間に入り込みつつ前記コイル部材を覆うと共に磁性材料を含んで形成される第1磁性体層とを有する第1積層体と、
非磁性材料であるシリコン層のエッチングによって形成された複数の第2線部材から構成される非磁性部材と、隣り合う前記第2線部材の間に入り込みつつ前記非磁性部材を覆うと共に磁性材料を含んで形成される第2磁性体層とを有し、前記第1積層体と対向する一方の面に前記非磁性部材が露出する状態で対向し、前記第1積層体に対して移動可能な第2積層体と、
前記第1積層体と前記第2積層体とを相対的に移動させる駆動力を与える駆動部と、
を備え
前記第2線部材は、ループ状には形成されておらずそれぞれ直線状に形成されていると共に、隙間を隔てて複数配置されている、
ことを特徴とする可変コイル素子。
【請求項2】
請求項1記載の可変コイル素子であって、
前記コイル部材は、同一平面内で渦巻き状に巻回されている平面コイルである、
ことを特徴とする可変コイル素子。
【請求項3】
請求項1または2記載の可変コイル素子であって、
前記コイル部材において前記第1線部材が並ぶピッチと、前記非磁性部材において前記第2線部材が並ぶピッチとは、同程度に設けられている、
ことを特徴とする可変コイル素子。
【請求項4】
請求項3記載の可変コイル素子であって、
前記駆動部は、前記第2積層体に連結されて当該第2積層体を移動させるための駆動力を与えると共に、
前記第2積層体の移動におけるストローク量は、前記非磁性部材が前記コイル部材と対向する駆動前の状態から前記非磁性部材が前記第1線部材の間の前記第1磁性体層と対向する駆動後の状態まで移動する程度に設定されている、
ことを特徴とする可変コイル素子。
【請求項5】
請求項4記載の可変コイル素子であって、
前記第1積層体は、弾性支持部の一端側に連結されていると共に、前記弾性支持部の他端側は前記第2積層体と一体的に設けられている固定部位に連結されていて、
前記弾性支持部は、前記第2積層体が釣り合い位置から移動した際に、当該釣り合い位置に復帰させるための付勢力を蓄える、
ことを特徴とする可変コイル素子。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載の可変コイル素子であって、
前記駆動部は、複数のリニアアクチュエータを備えている、
ことを特徴とする可変コイル素子。
【請求項7】
請求項6記載の可変コイル素子であって、
前記リニアアクチュエータは、櫛歯型静電アクチュエータである、
ことを特徴とする可変コイル素子。
【請求項8】
請求項7記載の可変コイル素子であって、
複数の前記リニアアクチュエータは、前記駆動部から離間する方向に並ぶように配置されて、それぞれの前記リニアアクチュエータの静電気力が加算される、
ことを特徴とする可変コイル素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可変コイル素子に関する。
【背景技術】
【0002】
電子回路に実装される電子部品の中には、コイル素子(インダクタ)があるが、そのインダクタの中には、インダクタンスを可変として、電子回路の特性を変更しよう、という試みがある。かかる試みを示す文献としては、たとえば特許文献1および特許文献2に示すものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−152254号公報
【特許文献2】特許第4288353号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、複数層の配線(第1インダクタ10、第2インダクタ20)があり、その中で第1インダクタ10に入力する電流振幅および/または位相を制御することで、第2インダクタ20を貫通する磁束を変化させる技術内容が開示されている。特許文献2では、複数のコイルのうちの1つをアクチュエータにより移動させる構成が開示されている。
【0005】
しかしながら、これら特許文献1および特許文献2では、自己インダクタンスを変化させるものではなく、相互インダクタンスを変化させて、コイル素子全体のインダクタンスを変化させている。そのため、複数のコイルが必要とされる分だけ、そのコイルが形成された配線層が余分に必要となっている。また、電子回路に電気的に接続されるコイル以外のものは、電源制御回路等を始めとする回路に接続する必要がある。
【0006】
本発明は、かかる問題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、簡易な構成でありながら自己インダクタンスを変化させることが可能な可変コイル素子を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の可変コイル素子の一側面は、導電性を有する第1線部材がループ状に構成されているコイル部材と、隣り合う第1線部材の間に入り込みつつコイル部材を覆うと共に磁性材料を含んで形成される第1磁性体層とを有する第1積層体と、非磁性材料であるシリコン層のエッチングによって形成された複数の第2線部材から構成される非磁性部材と、隣り合う第2線部材の間に入り込みつつ非磁性部材を覆うと共に磁性材料を含んで形成される第2磁性体層とを有し、第1積層体と対向する一方の面に非磁性部材が露出する状態で対向し、第1積層体に対して移動可能な第2積層体と、第1積層体と第2積層体とを相対的に移動させる駆動力を与える駆動部と、を備え、第2線部材は、ループ状には形成されておらずそれぞれ直線状に形成されていると共に、隙間を隔てて複数配置されている、ことを特徴としている。
【0008】
また、本発明の可変コイル素子の他の側面は、上述の発明に加えて更に、コイル部材は、同一平面内で渦巻き状に巻回されている平面コイルである、ことが好ましい。
【0009】
さらに、本発明の可変コイル素子の他の側面は、上述の発明に加えて更に、コイル部材において第1線部材が並ぶピッチと、非磁性部材において第2線部材が並ぶピッチとは、同程度に設けられている、ことが好ましい。
【0010】
また、本発明の可変コイル素子の他の側面は、上述の発明に加えて更に、駆動部は、第2積層体に連結されて当該第2積層体を移動させるための駆動力を与えると共に、第2積層体の移動におけるストローク量は、非磁性部材がコイル部材と対向する駆動前の状態から非磁性部材が第1線部材の間の第1磁性体層と対向する駆動後の状態まで移動する程度に設定されている、ことが好ましい。
【0011】
さらに、本発明の可変コイル素子の他の側面は、上述の発明に加えて更に、第1積層体は、弾性支持部の一端側に連結されていると共に、弾性支持部の他端側は第2積層体と一体的に設けられている固定部位に連結されていて、弾性支持部は、第2積層体が釣り合い位置から移動した際に、当該釣り合い位置に復帰させるための付勢力を蓄える、ことが好ましい。
【0012】
また、本発明の可変コイル素子の他の側面は、上述の発明に加えて更に、駆動部は、複数のリニアアクチュエータを備えている、ことが好ましい。
【0013】
さらに、本発明の可変コイル素子の他の側面は、上述の発明に加えて更に、リニアアクチュエータは、櫛歯型静電アクチュエータである、ことが好ましい。
【0014】
また、本発明の可変コイル素子の他の側面は、上述の発明に加えて更に、複数のリニアアクチュエータは、駆動部から離間する方向に並ぶように配置されて、それぞれのリニアアクチュエータの静電気力が加算される、ことが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によると、簡易な構成でありながら自己インダクタンスを変化させることが可能な可変コイル素子とすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施の形態に係る可変コイル素子の構成を示す斜視図である。
図2図1の可変コイル素子の要部の構成を示す断面図であり、(A)は断面全体を示し、(B)はパターン線部の断面を示す図である。
図3図1の可変コイル素子において可動部が固定部に対して移動するイメージを示す図であり、(A)は電圧印加をしていない移動前の状態を示し、(B)は電圧印加による移動後の状態を示している。
図4図1の可変コイル素子においてコイルパターンと可動パターンとを透過的に見たときの形状を示す平面図である。
図5】アクチュエータ部の構成を部分的に示す平面図である。
図6】アクチュエータ部を部分的に拡大して示す斜視図である。
図7】アクチュエータ部の変形例に関する構成を部分的に示す平面図である。
図8】可変コイル素子の製造方法を説明する図であり、(A)はSOIウエハを示し、(B)はSOIウエハに対してエッチングを行った状態を示し、(C)はコイルパターンに導電外表部を形成した状態を示し、(D)は導電外表部に絶縁層を形成した状態を示し、(E)は磁性体層を形成した状態を示し、(F)は引き出し電極のパターニングを行った状態を示している。
図9】本実施の形態の可変コイル素子において有限要素法でのシミュレーションにおけるモデルを示す図であり、(A)は電圧印加をしていない移動前の状態を示し、(B)は電圧印加による移動後の状態を示している。
図10】本発明の変形例に係り、可変コイル素子においてコイルパターンと可動パターンとを透過的に見たときの形状の変形例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施の形態に係る、可変コイル素子10について、図面に基づいて説明する。
【0018】
図1は、可変コイル素子10の構成を示す斜視図である。この図1に示すように、可変コイル素子10は、可変インダクタ部20と、アクチュエータ部30と、弾性支持部40とを有している。アクチュエータ部30は、可変インダクタ部20における可動部22(図2等参照)を移動させる部分である。
【0019】
なお、後に記載するように、可変コイル素子10は、薄い酸化層(SiO;絶縁層W1とする)を挟んだ一対のシリコン層W2,W3からなるSOI(Silicon on Insulator)ウエハW(図7(A)参照)が、各種の製造プロセスを経ることにより形成される。
【0020】
<可変インダクタ部20について>
図2は、本発明の要部である可変インダクタ部20の構成を示す断面図であり、(A)は断面全体を示し、(B)は後述するパターン線部212の断面を示す図である。可変インダクタ部20は、固定部21と、可動部22とを備えている。固定部21は、絶縁層W1の一方側(図2の下側)に位置している。固定部21の縁部の一部は、アクチュエータ部30のベースになるシリコン層W2と接続されている。その一方で、可動部22の縁部の一部は、アクチュエータ部30の連結電極部333(後述)と接続されている。固定部21は可動部22と対向している配置となっている。
【0021】
固定部21にはコイルパターン211が設けられている。コイルパターン211は、パターン線部212が同一平面内で渦巻き状に巻回されている平面コイルであり、パターン線部212に電流を導通させることを可能としている。図2(A)、(B)に示すように、コイルパターン211を構成する各パターン線部212は、シリコン層W2(図8(A)参照)のエッチングによるパターン部212aを有し、このパターン部212aが導電性を有する導電外表部212bで覆われている。
【0022】
導電外表部212bは、電着等で形成されるが、スパッタリング等のような真空蒸着によって形成しても良い。また、導電外表部212bを形成する前に、電着または真空蒸着によって、導電部分を形成し、その導電部分を導電外表部212bが覆う構成としても良い。また、コイルパターン211は、その全部が導電性を有する部材から形成されていても良い。
【0023】
なお、コイルパターン211のうち、中央に位置する一端側と外側に位置する他端側は、それぞれ外部へ引き出される引き出し電極213に接続される。また、固定部21は第1積層体層に対応し、コイルパターン211はコイル部材に対応し、パターン線部212は第1線部材に対応する。
【0024】
コイルパターン211の導電外表部212bは、絶縁層212cによって覆われている。絶縁層212cは、コイルパターン211を流れる電流が磁性体層214に流れるのを防止する部分である。絶縁層212cとしては、絶縁性を有する様々な材質を用いても良いが、たとえばSiOのような酸化層から構成されていても良い。SiOの薄膜を絶縁層212cとする場合、たとえばCVD(Chemical Vapor Deposition)によって形成しても良い。
【0025】
コイルパターン211は、磁性材料から構成される磁性体層214で覆われている。磁性体層214は第1磁性体層に対応する。磁性体層214を構成する磁性材料としては、パーマロイ、センダスト、アモルファス等の金属磁性体または酸化物磁性体があるが、これらの各種磁性体の混合物であっても良く、あるいはこれらの各種磁性体の複合材料であっても良い。
【0026】
磁性体層214は、コイルパターン211の一方側(図2(A)におけるコイルパターン211の下側)を完全に覆うような層状に設けられているが、可動部22と対向するコイルパターン211の他方側(図2(A)においてコイルパターン211の上側)は覆っていない。また、磁性体層214は、コイルパターン211の隣接するパターン線部212の間にも入り込んでいる。以下の説明では、隣接するパターン線部212の間に入り込んでいる磁性体層214を線間部214aとする。なお、コイルパターン211の一端側および/または他端側を引き出し電極213に接続するために、磁性体層214に孔部を設けるようにしても良い。
【0027】
続いて、可変インダクタ部20の可動部22について説明する。図3は、可動部22が固定部21に対して移動するイメージを示す図であり、(A)は電圧印加をしていない移動前の状態を示し、(B)は電圧印加による移動後の状態を示している。図3(A)、(B)から分かるように、可動部22は、固定部21に対して移動可能な状態で対向している。そのために、可動部22は、固定部21に対して固定されておらず、非接触となっている。
【0028】
なお、図1に示されるように、可動部22及び固定部21が弾性支持体40によ支持され、両者の間にSOI基板の薄い酸化層W1の厚み相当の隙間が存在している。この構造により、可動部22が固定部21に対して移動することができる。なお、たとえ、可動部22の磁性体層223と固定部21の磁性体層214が周縁部で一体化になっても、コイルパターン211と後述の可動パターン221との間に、上述の隙間が存在する構成、即ち中空の構造さえ保てば、この発明の本旨から脱逸しない。
【0029】
可動部22には、可動パターン221が設けられている。可動パターン221は、複数のパターン線部222から構成されるが、各パターン線部222は、シリコン層W3(図8(A)参照)のエッチングにより形成されている。可動パターン221の非磁性パターン線部222のピッチと、コイルパターン211のパターン線部212のピッチとは、同程度に設けられている。さらに、可動パターン221の非磁性パターン線部222の幅が、コイルパターン211のパターン線部212の間の隙間部分(線間部214a)と同程度であることが好ましい。このようにすると、後述するような磁路を遮断する効果が最も現れやすくなっている。
【0030】
可動パターン221は、図3(A)から図3(B)に示すように移動した際に磁路の遮断を目的とするものであり、その移動によって小さなループ状の閉磁路(マイナーループM1と称呼する)が遮断される。その遮断の結果として、遮断後には、図3に示すような理想的な磁路(図3中の大きな磁路M2)を流れる磁束が増加する。その結果、L(インダクタンス)を大きくすることが可能となり、コイルパターン211の巻数nが大きくなるのと同等の効果を得ることが可能となっている。
【0031】
なお、可動部22は、第2積層体に対応し、可動パターン221は非磁性部材に対応し、非磁性パターン線部222は第2線部材に対応する。
【0032】
図4は、コイルパターン211と可動パターン221とを透過的に見たときの形状を示す平面図である。この図4に示すように、コイルパターン211は、パターン線部212が矩形のループを描くように構成されている。このとき、矩形ループを描くパターン線部212には、可動部22の移動方向に対して平行に延伸しているものと、移動方向に対して垂直に延伸しているものとが存在する。
【0033】
一方、可動パターン221は、ループ状には形成されておらず、それぞれの非磁性パターン線部222が直線状に形成されている。しかも、可動パターン221の非磁性パターン線部222は、可動部22の移動方向に対して垂直に延伸している。また、図4に示す構成では、可動パターン221は、2つ設けられている。また、可動パターン221の非磁性パターン線部222は、移動前のときにはコイルパターン211のそれぞれのパターン線部212と対向する位置に存在しているが、移動後には、磁性体層214(線間部214a)と対向する。
【0034】
なお、可動パターン221の非磁性パターン線部222には、可動部22の移動に際して線間部214aと対向しないものが存在しても、しなくても良い。
【0035】
図2図3に示すように、可動パターン221は、磁性材料から構成される磁性体層223で覆われている。磁性体層223は第2磁性体層に対応する。磁性体層223を構成する磁性材料としては、上述の磁性体層214と同様に、パーマロイ、センダスト、アモルファス等の金属磁性体または酸化物磁性体があるが、これらの各種磁性体の混合物であっても良く、あるいはこれらの各種磁性体の複合材料であっても良い。
【0036】
磁性体層223は、可動パターン221の他方側(図2(A)における可動パターン221の上側)を完全に覆うような層状に設けられているが、固定部21と対向する可動パターン221の一方側(図2(A)において可動パターン221の下側)は覆っていない。また、磁性体層223は、可動パターン221の隣接する非磁性パターン線部222の間にも入り込んでいる。以下の説明では、隣接する非磁性パターン線部222の間に入り込んでいる磁性体層223を線間部223aとする。
【0037】
<アクチュエータ部30について>
図5は、アクチュエータ部30の構成を部分的に示す平面図であり、図6は、アクチュエータ部30を部分的に拡大して示す斜視図である。アクチュエータ部30は、本実施の形態では、シリコンをベースとしたMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)アクチュエータである。なお、アクチュエータ部30は、駆動部に対応する。アクチュエータ部30には、静電容量方式のリニアアクチュエータ31が複数設けられている。リニアアクチュエータ31は、固定側電極体32と、可動側電極体33を備えている。
【0038】
また、図6に示されるように、固定側電極体32と可動側電極体33が可動部22と同じ側にあるシリコン層W3と酸化層W1を利用して櫛歯形状のパターンに形成され、さらに、シリコン層W3の表面に金属電極パターン(導電外表部212b)が設けられている。このリニアアクチュエータ31を駆動するためには、別途の周辺回路が必要となっている。なお、固定側電極体32と可動側電極体33が固定部21と同じ側のシリコン層W2による共通ベースを有している。
【0039】
なお、上述のように、可変コイル素子10は、薄い絶縁層W1(SiO)を挟んだ一対のシリコン層W2,W3からなるSOI(Silicon on Insulator)ウエハW(図8(A)参照)が、各種の製造プロセスを経ることにより形成される。そして、可動側電極体33では絶縁層W1は除去されて、その両端が梁部材により支持された懸架部材となり、固定側電極体32に対して可動可能となっている。しかしながら、固定側電極体32では絶縁層W1は除去されないために絶縁層W1に対して固定されている。図2(A)に示すように、絶縁層W1は、アクチュエータ部30の基体部に固定的に設けられていて、この基体部は固定部21に固定的に設けられている。そのため、固定側電極体32は、固定部21に対して固定的に設けられている。
【0040】
固定側電極体32と可動側電極体33は、図5に示すように、それぞれ、共通電極となるベース電極部321,331を備え、そのベース電極部321,331から多数の櫛歯部322,332がそれぞれ延伸している。図5に示す構成では、複数の固定側電極体32のベース電極部321は、後述のように電気的に接続されている。また、複数の可動側電極体33のベース電極部331も、後述のように電気的に接続されている。
【0041】
固定側電極体32のベース電極部321は、その一端側が連結電極部34に連続されていて、各櫛歯部322に同時に電圧を印加可能としている。可動側電極体33のベース電極部331は、その一端側が、連結電極部333に連結されている。なお、別途の周辺給電回路から枠体電極部34および連結電極部333に異なる電圧をかければ、懸架部材である可動側電極体33が静電吸引力により固定側電極体32に対して移動(スライド)する。そして、アクチュエータ30と繋がる可動部22も移動する。
【0042】
固定側電極体32の櫛歯部322と可動側電極体33の櫛歯部332とは、互い違いに配置されていて、互いに所定のスペースを有するように配置されている。このような櫛歯部322,332の配置を採用することにより、櫛歯部322と櫛歯部332の間に静電気力を作用させることができ、その静電気力の作用によって可動側電極体33の櫛歯部332が固定側電極体32の櫛歯部322と対向面積を増やす方向(図6の矢示A方向)に移動する。ただし、その静電気力がなくなると、弾性支持部40の弾性体の作用により対向面積が減少する方向に引き戻される。対向する櫛歯部322,332間に同極に帯電した場合にも、弾性支持部40の弾性体の作用と共に互いに反発する静電気力の作用により、対向面積が減少する方向に引き戻される。
【0043】
なお、櫛歯部322と櫛歯部332の間の隙間が狭く、櫛歯部322,332の長さが長いことが好ましい。櫛歯部322と櫛歯部332の間の隙間が狭いと静電気力が大きくなるからであり、櫛歯部322,332の長さが長いと後述する可動部22の変位量を大きくすることが可能となるからである。また櫛歯部322,332の厚みが大きいと静電気力が大きくなるので好ましいが、あまり厚みが大きくなると可変コイル素子10の薄型化が困難になる。
【0044】
好ましい寸法としては、後述する可動部22のピッチが20μmである場合に、櫛歯部322,332の幅P1,P2は、それぞれ5−7μmであることが好ましく、櫛歯部322と櫛歯部332の間の隙間P3が5−7μmであることが好ましく、櫛歯部322,332の長さP4,P5がそれぞれ80μm以上であることが好ましい。また、櫛歯部322,332の厚みP6は10−100μmの範囲にあることが好ましい。
【0045】
以上のような構成のリニアアクチュエータ31は、図1に示す構成では、中心線L1と中心線L2とで区切られたそれぞれの象限に、4つずつ設けられ、合計16個設けられている。しかしながら、リニアアクチュエータ31は、十分な変位を得られる範囲においては、幾つ設けられていても良い。なお、可変コイル素子10のそれぞれの片側には、2つ以上のリニアアクチュエータ31を直列に設置すると、リニアアクチュエータ31の互いの変位を足し合わされるため、好ましい。その場合には後に示す弾性支持層を適宜組み合わせる。
【0046】
なお、アクチュエータ部30の構成は、図5に示すものには限られない。その変形例を図7に示す。図7は、アクチュエータ部30の変形例に関する構成を部分的に示す平面図である。図7に示す構成では、図5に示す構成と比較して、幅の狭い連結電極部333が存在する構成が示されている。また、図7には、それぞれのバネ部材42に薄肉部分421が2つ存在する構成が示されている(図5では、それぞれのバネ部材42に薄肉部分421が4つ存在する構成が示さている)。
【0047】
<弾性支持部40について>
次に、弾性支持部40について説明する。図1に示すように、弾性支持部40は、可動部22を弾性支持する部分であり、可動部22が静電気力によって移動した場合に、元の位置(釣り合い位置)に復帰するための付勢力を蓄える。それにより、静電気力がなくなると、弾性支持部40により与えられる付勢力によって、可動部22は元の位置に復帰する。このような復帰するための付勢力を与えるべく、弾性支持部40の一端側は可動部22に連結されていると共に、その他端側は固定部21と一体的な部位(固定部位に対応)に連結されている。なお、弾性支持部40には、支持部41とバネ部材42とが存在しているが、支持部41Aは、可動部22によって弾性支持部40の一端側を支持する部分であり、支持部41Bは、固定部21によって弾性支持部40の他端側を支持する部分である。また、バネ部材42は、可動部22を元の位置に戻すための付勢力を与える機能を有している。
【0048】
本実施の形態では、弾性支持部40は、シリコン層W3をエッチングすることにより形成されている。特に、図1に示すように、バネ部材42は薄い板バネ状の薄肉部分421が九十九折状に折り曲げられた形状に設けられている。図1に示す構成では、1つの弾性支持部40につき薄肉部分421が2つ以上存在していても良い。1つの薄肉部分421の撓み変形量が十分な場合には、1つの弾性支持部40につき1つのみの薄肉部分421が設けられる構成としても良い。
【0049】
<製造方法について>
以上のような構成を有する可変コイル素子10の製造方法について、以下に説明する。かかる可変コイル素子10を製造する場合、図8(A)に示すようなSOIウエハWが用いられる。SOIウエハWは、図8(A)に示すように、一方側のシリコン層(図8(A)の下面側のシリコン層W2)と他方側のシリコン層(図8(A)の上面側のシリコン層W3)との間に薄い絶縁層W1(SiO)が設けられている。本実施の形態では、たとえば下面側のシリコン層W2の厚みは200μmであり、上面側のシリコン層W3の厚みは40μmとなっている。また、絶縁層W1の厚みは5μmとなっている。ただし、シリコン層W2、シリコン層W3および絶縁層W1の厚みは、これ以外の数値であっても良いことは勿論である。
【0050】
かかるSOIウエハWに対して、図8(B)に示すようにエッチングを行うが、この場合、たとえば下面側のシリコン層W2に対してエッチングを行い、凹形状の部分W4を形成する。それにより、後に形成されるコイルパターン211の厚みが定まる。次に、凹形状の部分に対して、フォトレジスト膜の形成、露光、現像等を経た後に、エッチングを施し、コイルパターン211を形成する。なお、このときのコイルパターン211は、下面側のシリコン層W2のエッチングによるパターン部212aのみとなっている。
【0051】
次に、上面側のシリコン層W3に対して、上述の下面側のシリコン層W2と同様にエッチングを施し、可動パターン221と、アクチュエータ部30のパターンを形成する。それによって、ベース電極部321,331、櫛歯部322,332および連結電極部333(図5参照)の形状が形成される。ただし、この段階では、可動側電極体33のベース電極部331、櫛歯部332および連結連極部333は、絶縁層W1に固定されている。
【0052】
次に、図8(C)に示すように、形成されたコイルパターン211(パターン部212a)に対して、電着等によって導電外表部212bを形成する。なお、この導電外表部212bを形成するのに先立って、電着または真空蒸着によって、導電部分を形成するようにしても良い。
【0053】
続いて、図8(D)に示すように、導電外表部212bの外面に絶縁層212cを形成する。絶縁層212cは、たとえばSiOの薄膜であり、たとえばCVDを行うことにより形成される。
【0054】
続いて、図8(E)に示すように、上面側の可動パターン221と、下面側のコイルパターン211を覆うように、磁性体層214,223を形成する。磁性体層214,223の形成は、たとえば電着法によって形成されるが、その他の印刷、塗布、スパッタリング他の手法を用いて形成しても良い。
【0055】
次に、図8(F)に示すように、引き出し電極213のパターニングを行う。この場合、パターニングに先立って、レジスト塗布や露光等を経たフォトリソグラフィを行って絶縁パターンを形成し、その後に導電材料のパターニングを行う。パターニングは、電着法、金属インクの塗布、PVD、CVDや、その他の手法を用いて形成しても良い。
【0056】
なお、かかる引き出し電極213のパターニングに前後して、絶縁層W1の除去を行う。この除去は、たとえばフッ酸処理等のような処理にて行われる。
【0057】
<シミュレーション結果について>
続いて、上記のような構成における、可変コイル素子10において、インダクタンスがどの程度変化したのかについてのシミュレーション結果を示す。なお、このシミュレーション結果は、有限要素法によるものであるが、そのモデルは図8(A)、(B)に示すように簡略化したもので行っている。この図8(A)、(B)では、パターン線部212は、銅を材質とする導体のみの構成としている。
【0058】
このシミュレーションでは、磁性体層214,223の材質としてパーマロイを用いている。また、電流を1[A]、周波数を100000[Hz]、空気の比透磁率を1、パーマロイの比透磁率を100000、シリコンの比透磁率を1、銅線の比透磁率を1、銅線の電気抵抗を1.70×10−8[Ω]としている。また、固定部21と可動部22の隙間を3μm、パターン線部212を10μmの正方形、非磁性パターン線部222を10μmの正方形とし、パターン線部212と非磁性パターン線部222を10μm厚の磁性体層214,223がそれぞれ覆っているものとなっている。
【0059】
かかる状態でシミュレーションを行ったところ、図9(A)に示す状態(パターン線部212と非磁性パターン線部222とが対向する状態)では、自己インダクタンスは6.91×10−9[H]、インピーダンスは5.93×10−4[Ω]となっている。これに対し、図9(B)に示す状態(非磁性パターン線部222が線間部214aと対向する状態)では、自己インダクタンスは7.71×10−9[H]、インピーダンスは7.47×10−4[Ω]となっている。このため、自己インダクタンスの変化率は11.4[%]となり、インピーダンスの変化率は25.9[%]となり、いずれも増加している。
【0060】
また、図9(A)、(B)に示す構成において、寸法を変更して実験を行ったものを、次に示す。この場合、固定部21と可動部22の隙間は3μmのままとするが、パターン線部212を20μmの正方形、非磁性パターン線部222を20μmの正方形とし、パターン線部212と非磁性パターン線部222をそれぞれ20μm厚の磁性体層214,223が覆っているものしている。
【0061】
かかる状態でシミュレーションを行ったところ、図9(A)に示す状態(パターン線部212と非磁性パターン線部222とが対向する状態)では、自己インダクタンスは4.91×10−9[H]、インピーダンスは2.82×10−4[Ω]となっている。これに対し、図9(B)に示す状態(非磁性パターン線部222が線間部214aと対向する状態)では、自己インダクタンスは5.59×10−9[H]、インピーダンスは3.76×10−4[Ω]となっている。このため、自己インダクタンスの変化率は13.8[%]となり、インピーダンスの変化率は33.4[%]となり、いずれも増加している。
【0062】
なお、上述のシミュレーション結果は、一対のパターン線部212と非磁性パターン線部222についてのものとなっている。しかしながら、実際の可変コイル素子10では、既に説明したように、多くのパターン線部212および非磁性パターン線部222が配置されている。この場合、インダクタンスは、マイナーループM1が存在しない場合には巻線の数の2乗に比例する。このため、実際の可変コイル素子10では、自己インダクタンスはより大きくなり、20[%]以上の変化率は、無理なく実現可能となっている。
【0063】
<効果>
以上のような構成の可変コイル素子10によると、簡易な構成でありながら自己インダクタンスを変化させることが可能となる。
【0064】
すなわち、本実施の形態の可変コイル素子10では、コイルパターン211を備える固定部21と、可動パターン221を備える可動部22とを備え、隣り合うパターン線部212の間に線間部214a(磁性体層214)が存在し、隣り合う非磁性パターン線部222の間に線間部223a(磁性体層223)が存在している。このため、可動部22と固定部21とを相対的に移動させることにより、図3(A)に示すようなマイナーループM1が遮断され、遮断後には、図3(B)に示すような理想的な磁路M2を流れる磁束が増加する。その結果、L(インダクタンス)を大きくすることが可能となり、コイルパターン211の巻数nが大きくなるのと同等の効果を得ることが可能となっている。
【0065】
また、本実施の形態では、固定部21に設けられているコイルパターン211は、同一平面内で渦巻き状に巻回されている。このため、コイルパターン211が可動部22側と対向する面積を増加させることが可能となり、インダクタンスの変化を大きくすることが可能となる。
【0066】
さらに、本実施の形態では、コイルパターン211のパターン線部212のピッチと、可動パターン221の非磁性パターン線部222のピッチとは、同程度に設けられている。このため、可動部22の移動の前後におけるインダクタンスの変化を大きくすることが可能となる。それにより、可動部22を移動させた後には、インダクタンスを大きくすることが可能となる。
【0067】
また、本実施の形態では、アクチュエータ部30のストローク量は、可動パターン221がコイルパターン211と対向している移動前の状態から、可動パターン221が隣り合うパターン線部212の間の磁性体層214と対向する移動後の状態まで移動する程度に設定されている。そのため、マイナーループM1を良好に遮断することが可能となり、可動部22を移動させた後には、インダクタンスを大きくすることが可能となる。
【0068】
さらに、本実施の形態では、可変コイル素子10には弾性支持部40が設けられていて、この弾性支持部40は、可動部22が釣り合い位置から移動した際に、当該釣り合い位置に復帰させるための付勢力を蓄える。このため、弾性支持部40での付勢力の作用により、アクチュエータ部30で静電気力が生じていない場合には、元の釣り合い位置へと移動させることが可能となる。
【0069】
また、本実施の形態では、アクチュエータ部30は、複数のリニアアクチュエータ31を備えている。このため、可動部22の移動方向を直線状とすることが可能となり、可動部22の移動に対するインダクタンスの変化を大きく取ることが可能となる。
【0070】
さらに、本実施の形態では、リニアアクチュエータ31は、櫛歯部322,332を多数備えた櫛歯型静電アクチュエータとなっている。このため、可変コイル素子10の小型化を図ることが可能となる。また、リニアアクチュエータ31を半導体プロセスによって形成することが可能となり、可動部22側の櫛歯部332と固定部21側の櫛歯部322との位置精度を向上させることが可能となる。
【0071】
また、本実施の形態では、複数のリニアアクチュエータ31は、可動部22から離間する方向に並ぶように配置されて、それぞれのリニアアクチュエータ31の静電気力が加算されている。このため、アクチュエータ部30でのストローク量を大きくすることが可能となる。また、可変コイル素子10を小型化する場合でも、可動部22のストローク量を十分に確保することが可能となる。
【0072】
<変形例>
以上、本発明の一実施の形態に係る可変コイル素子10について説明したが、本発明はこれ以外にも種々変形可能となっている。以下、それについて述べる。
【0073】
上述の実施の形態では、アクチュエータ部30は、可動部22のみを移動させ、固定部21は移動させない構成となっている。しかしながら、可動部22のみならず、固定部21も移動させる構成としても良い。このように構成しても、図3(A)に示すようなマイナーループM1が遮断可能となり、遮断後には、図3(B)に示すような理想的な磁路M2を流れる磁束が増加可能となる。それにより、L(インダクタンス)を大きくすることが可能となり、コイルパターン211の巻数nが大きくなるのと同等の効果を得ることが可能となっている。
【0074】
また、上述の実施の形態においては、アクチュエータ部30は、櫛歯部322,332を多数備えた櫛歯型静電アクチュエータとなっている。しかしながら、アクチュエータ部30は、このようなアクチュエータに限られるものではない。たとえば、圧電素子を利用したアクチュエータ、バイメタルを用いたアクチュエータ、形状記憶合金を用いたアクチュエータ等、各種のアクチュエータを用いても良い。
【0075】
また、上述の実施の形態では、コイルパターン211のパターン線部212は、矩形のループ形状に設けられ、渦巻き形状をなすように設けられている。しかしながら、パターン線部212は、矩形のループ形状以外の渦巻き形状をなしていても良い。そのようなループ形状としては、たとえば、矩形以外の多角形のループ形状、円形のループ形状、楕円形のループ形状、その他種々の規則的または不規則的な形状のループ形状が挙げられる。
【0076】
また、上述の実施の形態では、可動パターン221は2つ設けられている。しかしながら、可動パターン221は2つに限られるものではない。その例を、図10に示す。図10では、可動パターン221は4つ設けられていて、可動部22が移動すると、全ての可動パターン221が線間部214aと対向しない状態から、対向する状態へと移動し、マイナーループM1を遮断してインダクタンスを大きくすることが可能となっている。
【0077】
なお、図10に示す構成において、可動パターン221を3つ設ける構成としても良い。また、図4および図10に示す構成においては、可動パターン221を1つのみ設ける構成を採用しても良い。また、コイルパターン211が矩形よりも辺数の多い多角形状を採用する場合やコイルパターン211が曲線形状に設けられる場合等においては、より多数の可動パターン221を設ける構成を採用しても良い。また、可動パターン221を細切れにする等によって、多数設ける構成を採用しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明の可変コイル素子は、電気機器の分野において利用することができる。
【符号の説明】
【0079】
10…可変コイル素子
20…可変インダクタ部
21…固定部(第1積層体に対応)
22…可動部(第2積層体に対応)
30…アクチュエータ部(駆動部に対応)
31…リニアアクチュエータ
32…固定側電極体
33…可動側電極体
34…連結電極部
40…弾性支持部
41,41A,41B…支持部
42…バネ部材
211…コイルパターン(コイル部材に対応)
212…パターン線部(第1線部材に対応)
212a…パターン部
212b…導電外表部
212c…絶縁層
213…電極
214…磁性体層(第1磁性体層に対応)
214a…線間部
221…可動パターン(非磁性部材に対応)
222…非磁性パターン線部(第2線部材に対応)
223…磁性体層(第2磁性体層に対応)
321,331…ベース電極部
322,332…櫛歯部
333…連結電極部
421…薄肉部分
M1…マイナーループ
M2…磁路
P3…隙間
W …SOIウエハ
W1…絶縁層
W2…シリコン層
W3…シリコン層
W4…凹形状の部分
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10