(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6265614
(24)【登録日】2018年1月5日
(45)【発行日】2018年1月24日
(54)【発明の名称】プレート型熱交換器
(51)【国際特許分類】
F28F 9/26 20060101AFI20180115BHJP
F28D 9/00 20060101ALI20180115BHJP
【FI】
F28F9/26
F28D9/00
【請求項の数】14
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2013-72666(P2013-72666)
(22)【出願日】2013年3月29日
(65)【公開番号】特開2013-205009(P2013-205009A)
(43)【公開日】2013年10月7日
【審査請求日】2016年3月25日
(31)【優先権主張番号】10 2012 006 477.2
(32)【優先日】2012年3月29日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】391009659
【氏名又は名称】リンデ アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Linde Aktiengesellschaft
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】イェアク ディートリッヒ
(72)【発明者】
【氏名】ラインホルト ヘルツル
【審査官】
鈴木 充
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許第03372453(US,A)
【文献】
特開2005−156066(JP,A)
【文献】
実開平03−006105(JP,U)
【文献】
特開昭49−016207(JP,A)
【文献】
特開2005−249332(JP,A)
【文献】
特開2010−101617(JP,A)
【文献】
特開2005−156067(JP,A)
【文献】
特開2006−145165(JP,A)
【文献】
実開平05−008247(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28F 9/00,9/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つのモジュール(1a,1b)から成るプレート型熱交換器(1)であって、
各モジュール(1a,1b)は、積層状に配置された多数の通路(3)を有し、該通路(3)は、熱交換媒体によって交互に流通されるようになっていて、仕切り金属薄板(4)により互いに分離されており、
前記モジュール(1a,1b)は全体的に直方体形に形成されていて、外側でカバー金属薄板(5)によって画成されており、
前記モジュール(1a,1b)は、一方の直方体形のモジュール(1a)の1つの方形の面(9a)が、他方の直方体形のモジュール(1b)の対応する方形の面(9b)に直接隣接するように相並んで配置されており、
前記モジュール(1a,1b)は、熱交換媒体を供給しかつ導出する手段(6)と、熱交換媒体を個々の通路(3)へ分配しかつ個々の通路(3)から集合させる手段(7)(ヘッダ)とを有し、
少なくとも2つのモジュール(1a,1b)は、少なくとも1つの共通のヘッダ(7)を有するプレート型熱交換器(1)において、
2つの隣接し合ったモジュール(1a,1b)のそれぞれ直接隣接し合った面(9a,9b)(以下、「接触面(9a,9b)」と呼ぶ)を形成する前記両カバー金属薄板(5)に、それぞれ少なくとも1つの成形部材(20a,20b,30a,30b,40a,40b,60a,60b)が固定されており、
前記成形部材(40a,40b,60a,60b)は、一方の接触面(9a)に固定された少なくとも1つの成形部材(40a,60a)と、他方の接触面(9b)に固定された少なくとも1つの成形部材(40b,60b)とによって、前記接触面(9a,9b)に対して直角な方向での前記モジュール(1a,1b)の運動が阻止されるように配置されかつ加工成形されているか、または
前記成形部材(20a,20b,30a,30b)は、一方の接触面(9a)に固定された少なくとも1つの成形部材(20a,30a)と、他方の接触面(9b)に固定された少なくとも1つの成形部材(20b,30b)と、少なくとも1つの付加的な成形部材(50,51)とによって、前記接触面(9a,9b)に対して直角な方向での前記モジュール(1a,1b)の運動が阻止されるように配置されかつ加工成形されている
ことを特徴とする、少なくとも2つのモジュールから成るプレート型熱交換器。
【請求項2】
前記一方の接触面(9a)に固定された前記少なくとも1つの成形部材(20a,30a,40a,60a)が、隣接する前記モジュール(1b)の前記他方の接触面(9b)に固定された前記成形部材(20b,30b,40b,60b)と共に1つの対(20a,20b;30a,30b;40a,40b;60a,60b)を形成しており、前記接触面(9a,9b)に対して直角な方向での前記モジュール(1a,1b)の前記運動は、
既に前記成形部材の前記対(40a,40b;60a,60b)自体によって阻止されるか、または、
前記成形部材の前記対(20a,20b;30a,30b)と前記付加的な成形部材(50,51)とが相まって阻止される、請求項1記載のプレート型熱交換器。
【請求項3】
前記対(20a,20b;30a,30b;40a,40b;60a,60b)を成す前記成形部材が、互いに内外に係合していることによってか、または、
前記成形部材が、1つの中空室(23)若しくは2つの中空室(31a,31b)を形成する1つの対(20a,20b;30a,30b)を成していて、前記1つの中空室(23)若しくは前記2つの中空室(31a,31b)内に嵌め込まれた前記付加的な成形部材(50,51)と相まって、
前記モジュール(1a,1b)の前記運動が阻止される、請求項2記載のプレート型熱交換器。
【請求項4】
前記成形部材(20a,20b,30a,30b,40a,40b,60a,60b)は、前記接触面(9a,9b)に、ろう付け、接着、溶接(10)および/またはステッチングによって固定されている、請求項1から3までのいずれか1項記載のプレート型熱交換器。
【請求項5】
前記各接触面(9a,9b)に、成形部材として少なくとも1つのU字形のプロファイル(20a,20b)が配置されており、該U字形のプロファイル(20a,20b)の少なくとも1つの脚部の側辺(21a,21b)が、それぞれ1つの前記接触面(9a,9b)に固定されており、前記U字形のプロファイル(20a,20b)は、一方の接触面(9a)に固定されたU字形のプロファイル(20a)が、他方の接触面(9b)に固定されたU字形のプロファイル(20b)と共に1つの対を形成するように配置されており、1つの対を成す前記U字形のプロファイル(20a,20b)の両開口(22a,22b)は互いに向かい合わされていて、1つの中空室(23)を形成しており、該中空室(23)内に1つの前記付加的な成形部材(50)が嵌め込まれるようになっている、請求項1から4までのいずれか1項記載のプレート型熱交換器。
【請求項6】
1つの対を成す前記両U字形のプロファイル(20a,20b)が互いに接触している、請求項5記載のプレート型熱交換器。
【請求項7】
前記各接触面(9a,9b)に少なくとも1つの中空プロファイルが固定されており、該中空プロファイルは、一方の接触面(9a)に固定された少なくとも1つの中空プロファイルが、他方の接触面(9b)に固定された中空プロファイルと共に1つの対を形成するように配置されており、1つの対を成す前記中空プロファイルの開口が1つの直線上に配置されていて、1つの対を成す前記中空プロファイルの両中空室内に1つの前記付加的な成形部材が嵌め込まれるようになっている、請求項1から4までのいずれか1項記載のプレート型熱交換器。
【請求項8】
前記各接触面(9a,9b)に少なくとも1つの管部材(30a,30b)が固定されており、該管部材(30a,30b)は、一方の接触面(9a)に固定された少なくとも1つの管部材(30a)が、他方の接触面(9b)に固定された管部材(30b)と共に1つの対を形成するように配置されており、1つの対を形成する前記管部材(30a,30b)の開口(31a,31b)が、1つの直線上に配置されていて、1つの対を形成する前記管部材(30a,30b)の前記両開口(31a,31b)内に1つの前記付加的な成形部材(51)が嵌め込まれるようになっている、請求項1から4までのいずれか1項記載のプレート型熱交換器。
【請求項9】
1つの対を成す前記中空プロファイルまたは前記管部材(30a,30b)が、端面側(31a,31b)で互いに接触している、請求項7または8記載のプレート型熱交換器。
【請求項10】
前記付加的な成形部材は、相応する長さと、相応する方形の横断面(50)、多角形の横断面、三角形の横断面または円形の横断面(51)とを有するロッド(50,51)である、請求項5から9までのいずれか1項記載のプレート型熱交換器。
【請求項11】
前記各接触面(9a,9b)に成形部材として少なくとも1つのU字形のプロファイル(40a,40b)が配置されており、該U字形のプロファイル(40a,40b)の1つの脚部の側辺(41a,41b)が、それぞれ1つの前記接触面(9a,9b)に固定されており、前記U字形のプロファイル(40a,40b)は、一方の接触面(9a)に固定されたU字形のプロファイル(40a)が、他方の接触面(9b)に固定されたU字形のプロファイル(40b)と共に1つの対を形成するように配置されており、1つの対を成す前記両U字形のプロファイル(40a,40b)は、一方のU字形のプロファイル(40a)の自由な脚部(42a)が、他方のU字形のプロファイル(40b)の開口(43b)内に位置するように配置されている、請求項1から4までのいずれか1項記載のプレート型熱交換器。
【請求項12】
前記各接触面(9a,9b)に成形部材として少なくとも1つのL字形のプロファイル(60a,60b)が配置されており、該L字形のプロファイル(60a,60b)の1つの脚部の端面(61a,61b)が、それぞれ1つの前記接触面(9a,9b)に固定されており、前記L字形のプロファイル(60a,60b)は、一方の接触面(9a)に固定されたL字形のプロファイル(60a)が、他方の接触面(9b)に固定されたL字形のプロファイル(60b)と共に1つの対を形成するように配置されており、1つの対を成す前記両L字形のプロファイル(60a,60b)は、該L字形のプロファイル(60a,60b)の「L」字体が、逆さまになって前記接触面(9a,9b)に固定され、かつ前記L字形のプロファイル(60a,60b)の「L」字体の両短辺(62a,62b)がオーバラップし合うように配置されている、請求項1から4までのいずれか1項記載のプレート型熱交換器。
【請求項13】
前記通路(3)には波形のフィンが配置されており、個々の前記通路(3)はサイドバー(8)によって外部に対して閉鎖されている、請求項1から12までのいずれか1項記載のプレート型熱交換器。
【請求項14】
前記モジュール(1a,1b)は、前記カバー金属薄板(5)の縁部に設けられた前記サイドバー(8)を介して溶接されている、請求項13記載のプレート型熱交換器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも2つのモジュールから成るプレート型熱交換器であって、
各モジュールは、積層状に配置された多数の通路(パス)を有し、該通路は、熱交換媒体によって交互に流通されるようになっていて、複数の仕切り金属薄板により互いに分離されており、
前記モジュールは全体的に直方体形に形成されていて、外側でカバー金属薄板によって画成されており、
前記モジュールは、一方の直方体形のモジュールの1つの方形の面が、他方の直方体形のモジュールの対応する方形の面に直接隣接するように相並んで配置されており、
前記モジュールは、熱交換媒体を供給しかつ導出する手段と、熱交換媒体を個々の通路へ分配しかつ個々の通路から集合させる手段(ヘッダ)とを有し、
少なくとも2つのモジュールは、少なくとも1つの共通のヘッダを有する
プレート型熱交換器に関する。
【背景技術】
【0002】
アルミニウムから成る硬ろう付けされたプレート型熱交換器は、多数の設備において種々様々な圧力および温度で使用される。このようなプレート型熱交換器は、たとえば空気の分解の際、天然ガスの液化の際またはエチレンを製造するプラントにおいて使用される。
【0003】
このようなプレート型熱交換器は、たとえば「The standards of the brazed aluminium plate-fin heat exchanger manufactures association」ALPEMA レポート(2000年)に記載されている。このレポートから取り出された図面が、
図1に公知先行技術として図示されているので、以下において
図1につき公知先行技術について説明する。
【0004】
図1に示したプレート型熱交換器1は、5種類のプロセス流A,B,C,D,Eの熱交換のために働く。プレート型熱交換器1はブロック形に形成されていて、個々のプロセス媒体を供給・導出する種々様々な手段6を備えている。以下において、かつ本願の枠内において、これらの手段6は「管片」と呼称される。プレート型熱交換器1は同じく、個々のプロセス流A,B,C,D,Eを分配しかつ集合させる複数の手段7を有する。以下において、かつ本願の枠内において、これらの手段7は「ヘッダ」と呼称される。
【0005】
プレート型熱交換器1は主として、積層状に配置された多数の通路3を有し、これらの通路3は仕切り金属薄板4により互いに分離されている。個々の通路3内には、種々の媒体が流れる。熱交換は熱接触を介して間接的に行われる。この熱接触は、カバー金属薄板5と、通路3に配置された波形の構造体(以下においてかつ本出願の枠内において、「フィン」と呼称される)とにより形成される。管片6を介して、個々の媒体A,B,C,D,Eがヘッダ7内へ導入され、こうしてそれぞれ設けられた、積層状に配置された通路3へ分配される。通路3の入口範囲には、分配フィン2が設けられており、これらの分配フィン2は個々の通路3内での媒体の均一な分配を生ぜしめる。したがって、媒体はフィン3の波形方向に対して直交する横方向で通路3を通って流れる。フィン3は仕切り金属薄板4に結合されており、これにより強力な熱伝導接触が形成される。これにより、隣接し合った通路3内を流れる2種類の媒体の間で熱交換を行うことができる。流れ方向で見て通路の終端部には、同様の分配フィン2が設けられている。これらの分配フィン2は通路からヘッダ7内へ媒体を案内し、そしてこのヘッダ7においてこれらの媒体は集合させられ、そして管片6を介して取り出される。個々の通路3は、いわゆるサイドバー8によって外部に対して閉鎖されている。熱交換器ブロック全体はカバー金属薄板5によって外部に対して画成される。
【0006】
このようなプレート型熱交換器は、少なくとも2種の媒体の熱交換のために卓越した適性を有する。しかし、適当な構造により、
図1に図示されているように、2種よりも多い媒体も熱交換に関与することができる。このことは、極めて効果的なプロセス実行および効果的な温熱利用もしくは冷熱利用を可能にする。
【0007】
このようなプレート型熱交換器は、たとえばアルミニウムから硬ろう付けされる。フィン、分配フィン、カバー金属薄板およびサイドバーを備えた個々の通路が、積み重ねられ、ろうを施与され、そして炉内で硬ろう付けされる。次いで、これにより形成されたブロックに、ヘッダと管片とが溶接される。上記製造方法により、ろう付け炉のサイズおよび幾何学的形状に基づいて、このようなプレート型熱交換器ブロックの最大サイズも規定される。しかし、しばしばプロセス要件に基づき、より大きな熱交換面、ひいてはより大きな熱交換器ブロックが必要とされる。これらの要求に応えるために、公知先行技術によるプレート型熱交換器はこのような場合、少なくとも2つのモジュールから成っている。「モジュール」とは本願の枠内では、冒頭で説明したようにしてろう付け炉内で製造される熱交換器ブロックを意味する。公知先行技術では、複数のこのようなモジュールが互いに結合されて、熱交換に関与する媒体を分配しかつ集合させるための共通のヘッダを装備される。1つのプレート型熱交換器の2種類のモジュールの間の結合は、公知先行技術ではサイドバーを介して行われている。
【0008】
図1に示した公知先行技術によるプレート型熱交換器は、1つのモジュールから成っている。複数のモジュールを備えた1つのプレート型熱交換器を製造するためには、
図1に示したような熱交換器ブロックが、ヘッダおよび管片なしに、第2のこのような熱交換器ブロックと溶接される。カバー金属薄板5には、カバー金属薄板の縁部に沿ってサイドバーが溶接される。この第1のモジュールに結合させたい第2のモジュールは、両モジュールの直接に隣接し合った2つの側が、それぞれ同じカバー金属薄板を有するように配置される。別のモジュールに直接に隣接したカバー金属薄板により形成される面を、以下において「接触面」と呼ぶ。結合のために、カバー金属薄板は、直接に隣接したモジュールのカバー金属薄板に設けられたサイドバーと溶接される。したがって、サイドバーは公知先行技術では、いわばカバー金属薄板に装着されたフレームを形成している。このフレームは隣接したモジュールのカバー金属薄板と溶接され、こうして2つのモジュールの間の結合が形成される。これにより、結合された両モジュールは1つの新しい熱交換器ブロックを形成し、この新しい熱交換器ブロックは、ろう付け炉の固有の幾何学的形状により可能となるサイズよりも大きく形成されている。こうして、任意の多数のモジュールを互いに結合させて、任意の大きさの1つの熱交換器ブロックを形成することができる。この場合、隣接し合った2つのモジュールは少なくとも1つの共通のヘッダを有する。
【0009】
したがって、このようなプレート型熱交換器の2つのモジュールの間では、カバー金属薄板の間に空気層が形成される。この空気層は、いわば、媒体により流通されず、かつ熱交換に関与せず、そして圧力を担持しない1つの通路を形成してしまう。相応して、2つのモジュールの間の熱接触は、1つのモジュール内部の熱接触に比べて著しく悪化する。このことは、種々の用途において少なくとも2つのモジュールを備えたプレート型熱交換器の熱応力を生ぜしめる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】「The standards of the brazed aluminium plate-fin heat exchanger manufactures association」ALPEMA レポート(2000年)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の根底を成す課題は、冒頭で述べたような、少なくとも2つのモジュールを備えたプレート型熱交換器を改良して、直接に隣接し合った2つのモジュールの間のできるだけ剛性的でかつ強固な結合が形成されるようなプレート型熱交換器を提供することである。たとえば2つのモジュールの間の熱応力により生じる力が最小限に抑えられることが望ましく、そして少なくとも2つのモジュールから成るブロック全体の機械的な強度が高められることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この課題を解決するために本発明の構成では、2つの隣接し合ったモジュールのそれぞれ直接隣接し合った面(以下、「接触面」と呼ぶ)を形成する前記両カバー金属薄板に、それぞれ少なくとも1つの成形部材が固定されており、
前記成形部材は、一方の接触面に固定された少なくとも1つの成形部材と、他方の接触面に固定された少なくとも1つの成形部材とによって、前記接触面に対して直角な方向での前記モジュールの運動が阻止されるように配置されかつ加工成形されているか、または
前記成形部材は、一方の接触面に固定された少なくとも1つの成形部材と、他方の接触面に固定された少なくとも1つの成形部材と、少なくとも1つの付加的な成形部材とによって、前記接触面に対して直角な方向での前記モジュールの運動が阻止されるように配置されかつ加工成形されているようにした。
【発明の効果】
【0013】
「成形部材」とは、本発明の枠内では、あらゆる種類のプロファイル(異形成形材)、ロッド、バー、管、管部材(管片)、半割シェル、ボールまたはこれに類するものを意味する。この場合、成形部材は金属(たとえば特殊鋼または銅)、アルミニウムまたはプラスチックから成っていてよい。
【0014】
本発明の基本思想によれば、両モジュールに成形部材が、すなわちモジュール1つ当たりそれぞれ少なくとも1つの成形部材が固定される。成形部材は、接触面に対して直角な方向での運動が阻止されるように加工成形されていて、かつこのような運動が阻止されるように配置される。すなわち、成形部材は、両モジュールの互いに離れる方向での運動を阻止する。接触面により、2つの平面が形成される。モジュールの配置に相応して、これら両平面は平行である。成形部材の加工成形および位置決めは、モジュールに最大でも前記平面内での運動しか許さない(移動、回動)。前記両平面に対して直角に位置する運動成分を有する運動は、前記成形部材の位置決めおよび加工成形により阻止される。成形部材は相応して、一方の接触面に取り付けられた成形部材が、他方の接触面に取り付けられた成形部材と協働して前記運動を阻止するか、または前記運動を阻止するために、なお付加的な第3の成形部材が必要となるように加工成形されかつ位置決めされている。言い換えれば、各接触面が少なくとも1つの成形部材を有する。一方の接触面に取り付けられた成形部材が、隣接モジュールの接触面に取り付けられた成形部材と共に1つの対(ペア)を形成する。成形部材の構成および位置決めに応じて、接触面に対して直角な方向での運動は既に成形部材の対(ペア)自体によって阻止されるか、または成形部材の対と少なくとも1つの第3の成形部材とが相まって阻止される。
【0015】
成形部材による両モジュールの本発明における結合により、公知先行技術において記載されているような辺縁部における溶接のみにより形成される結合よりも著しく安定した結合が達成される。辺縁部における溶接結合はこの場合、オプショナルに、つまり選択的に、付加的に行われ得る。
【0016】
成形部材が前記接触面に、ろう付け、接着、溶接および/またはステッチング(Heften)によって固定されると有利である。
【0017】
本発明の別の構成では、前記各接触面に、成形部材として少なくとも1つのU字形のプロファイル(異形成形材)が配置されており、該U字形のプロファイルの少なくとも1つの辺縁部
、即ち脚部の側辺が、それぞれ1つの前記接触面に固定されており、前記U字形のプロファイルは、一方の接触面に固定されたU字形のプロファイルが、他方の接触面に固定されたU字形のプロファイルと共に1つの対を形成するように配置されており、1つの対を成す前記U字形のプロファイルの両開口は互いに向かい合わされていて、1つの中空室を形成しており、該中空室内に1つの別の成形部材が嵌め込まれるようになっている。
【0018】
この構成では、両接触面にそれぞれ少なくとも1つのU字形のプロファイルが固定される。一方の接触面のそれぞれ1つのU字形のプロファイルは、他方の接触面のU字形のプロファイルと共に1つの対を形成する。U字形のプロファイルはこの場合、「U」字体の一方の長辺によって接触面に固定される。「U」字体の短辺は接触面に対して直角に位置している。1つの対を成す両U字形のプロファイルは、「U」字体の開いた側が互いに向かい合わされるような向きに調整されている。1つの対を成すU字形のプロファイルの両開口の間には、中空室が形成され、この中空室内には別の付加的な成形部材を嵌め込むことができる。この付加的な成形部材によって、接触面に対して直角な方向における接触面の運動、すなわち「U」字体の短辺に沿った運動は阻止される。1つの対を成す、それぞれ互いに異なる接触面に固定された両U字形のプロファイルは、付加的な成形部材によって、「U」字体の短辺に沿った運動を阻止され、これにより接触面に対して直角な方向での両モジュールの運動は阻止される。
【0019】
本発明のこの構成では、複数のU字形のプロファイルが、対を成して接触面に配置されると有利である。この場合、このような配置は平行にかつ規則的な間隔を置いて接触面全体にわたって分配されて行われると有利である。U字形のプロファイルの長さは、接触面の1つの辺縁部の長さに相当していると有利である。
【0020】
1つの対を成す両U字形のプロファイルが互いに接触していると特に有利である。「接触している」とはこの場合、1つの対を成すU字形のプロファイルの「U」字体の互いに反対の側に位置する長辺同士の間に最大でも小さなギャップしか生じないようにU字形のプロファイルが製作誤差の枠内で接触面に配置されることを意味する。
【0021】
本発明の別の構成では、各接触面に少なくとも1つの中空プロファイルが固定されており、該中空プロファイルは、一方の接触面に固定された少なくとも1つの中空プロファイルが、他方の接触面に固定された中空プロファイルと共に1つの対を形成するように配置されており、1つの対を成す前記中空プロファイルの開口が1つの直線上に位置するように配置されていて、1つの対を成す前記中空プロファイルの両中空室内に1つの別の成形部材が嵌め込まれるようになっている。
【0022】
本発明のこの構成では、中空プロファイルの開口が1本の直線上に位置するように中空プロファイルが対を成して配置される。各接触面には、それぞれ少なくとも1つの中空プロファイルが配置され、この場合、一方の接触面に取り付けられた中空プロファイルの開口を覗き込むと、この開口を通じて、一方の接触面の中空プロファイルと共に1つの対を成す他方の接触面に取り付けられた中空プロファイルの開口内部を覗くことができる。このようにして形成された中空室内には、別の成形部材が嵌め込まれる。この別の成形部材により、接触面に対して直角な方向における両接触面の運動が阻止される。
【0023】
中空プロファイルの複数の対が、相前後して1直線に沿って、接触面の1つの辺縁部に対して平行に配置されると有利である。1つの別の成形部材が、1直線上に配置された複数の中空プロファイル対の中空室内に嵌め込まれると有利である。1直線上に配置された複数の対が多数、互いに平行な複数の線に沿って接触面にわたって規則的に分配されていると特に有利である。中空プロファイルの中空室の横断面は任意の幾何学的形状、特に方形、三角形、多角形、円形または楕円形を有していてよい。この場合、横断面は、種々の線に沿って配置された中空プロファイルの間でも変化していてよい。各中空プロファイル対の中空室内に嵌め込まれる付加的な成形部材は、中空室の横断面に相当する形状を有すると有利である。
【0024】
本発明のさらに別の有利な構成では、各接触面に少なくとも1つの管部材が固定されており、該管部材は、一方の接触面に固定された少なくとも1つの管部材が、他方の接触面に固定された管部材と共に1つの対を形成するように配置されており、1つの対を形成する前記管部材の開口が、1直線上に配置されていて、1つの対を成す前記管部材の前記両開口内に1つの別の成形部材が嵌め込まれるようになっている。
【0025】
本発明のこの構成では、管部材が、前記構成の中空プロファイルと同様に使用されると有利である。前記段落において説明した事項は相応してこの構成にも云える。
【0026】
1つの対を成す前記中空プロファイルまたは前記管部材が、端面側で互いに接触していると好ましい。「接触している」とは、1つの対を成す中空プロファイルまたは管部材の互いに向かい合って位置する端面の間に最大でも小さなギャップしか生じないように中空プロファイルまたは管部材が製作誤差の枠内で接触面に配置されることを意味する。
【0027】
前記別の成形部材は、相応する長さと、相応する方形、多角形、三角形または円形の横断面とを有するロッドであると有利である。
【0028】
本発明のさらに別の有利な構成では、各接触面に成形部材として少なくとも1つのU字形のプロファイルが配置されており、該U字形のプロファイルの1つの辺縁部
、即ち脚部の側辺が、それぞれ1つの前記接触面に固定されており、前記U字形のプロファイルは、一方の接触面に固定されたU字形のプロファイルが、他方の接触面に固定されたU字形のプロファイルと共に1つの対を形成するように配置されており、1つの対を成す前記両U字形のプロファイルは、一方のU字形のプロファイルの自由な辺縁部
、即ち脚部が、他方のU字形のプロファイルの開口内に位置するように配置されている。
【0029】
本発明のこの構成では、接触面に対して直角な方向での接触面の運動が、成形部材自体の加工成形および配置により阻止される。別の成形部材は必要とならない。U字形のプロファイルはこの構成では対になって配置されており、この場合、それぞれU字形のプロファイルの「U」字体の、接触面に取り付けられていない方の長辺が、この対の、他方の接触面に固定された対応するU字形のプロファイルの開口内に位置している。一方の接触面に固定されたU字形のプロファイルは、他方の接触面に固定されたU字形のプロファイルの「U」字体の長辺のための、いわばガイドレールを形成しており、逆に他方の接触面に固定されたU字形のプロファイルは、一方の接触面に固定されたU字形のプロファイルの「U」字体の長辺のための、いわばガイドレールを形成している。言い換えれば、1つの対を成す両U字形のプロファイルは互いに内外に係合している。こうして、U字形のプロファイルの「U」字体の短辺に沿った運動、ひいては接触面に対して直角な方向での運動が阻止される。
【0030】
1つの対を成す両U字形のプロファイルが互いに接触していると有利である。「接触している」とは、製作誤差の枠内で、1つの対を成すU字形のプロファイルの「U」字体の隣接し合った辺の間に最大でも小さなギャップしか生じないようにU字形のプロファイルが接触面に配置されることを意味する。同じく、本発明のこの構成においても、複数のU字形のプロファイルが対を成して接触面に配置され、この場合、この配置は、平行にかつ規則的な間隔を置いて接触面全体にわたって分配されて行われると有利である。U字形のプロファイルの長さは、接触面の1つの辺縁部の長さに相当していると有利である。
【0031】
本発明のさらに別の有利な構成では、各接触面に成形部材として少なくとも1つのL字形のプロファイルが配置されており、該L字形のプロファイルの1つの辺縁部
、即ち脚部の端面が、それぞれ1つの前記接触面に固定されており、前記L字形のプロファイルは、一方の接触面に固定されたL字形のプロファイルが、他方の接触面に固定されたL字形のプロファイルと共に1つの対を形成するように配置されており、1つの対を成す前記両L字形のプロファイルは、該L字形のプロファイルの「L」字体が、逆さまになって前記接触面に固定され、かつ前記L字形のプロファイルの「L」字体の両短辺がオーバラップし合うように配置されている。一方の接触面に固定されたL字形のプロファイルは、他方の接触面に固定されたL字形のプロファイルの「L」字体の短辺のための、いわばガイドレールを形成しており、逆に、他方の接触面に固定されたL字形のプロファイルは、一方の接触面に固定されたL字形のプロファイルの「L」字体の短辺のための、いわばガイドレールを形成している。こうして、L字形のプロファイルの「L」字体の長辺に沿った運動、ひいては接触面に対して直角な方向での運動は阻止される。
【0032】
1つの対を成す両L字形のプロファイルは互いに接触していると有利である。「接触している」とはこの場合、製作誤差の枠内で、1つの対の両L字形のプロファイル部材の「L」字体の隣接し合った辺の間に最大でも小さなギャップしか生じないようにL字形のプロファイル部材が接触面に配置されることを意味する。同じく、本発明のこの構成においても、複数のL字形のプロファイルが対を成して接触面に配置され、この場合、この配置は、平行にかつ規則的な間隔を置いて接触面全体にわたって分配されて行われると有利である。L字形のプロファイルの長さは、接触面の1つの辺縁部の長さに相当していると有利である。
【0033】
本発明のこの構成は前記構成に似ており、この場合、U字形のプロファイルの代わりにL字形のプロファイルが使用される。1つの対を成す両L字形のプロファイルは、それぞれ逆さまになって、つまり頭を下にして、対応する接触面に固定されている。したがって、「L」字体の長辺は接触面に対して直角に位置するように固定されており、それに対して「L」字体の短辺は接触面に対して平行にかつ間隔を置いて向けられている。これにより形成された中空室内には、それぞれこの対の他方のL字形のプロファイルの「L」字体の短辺が位置している。1つの対を成す両L字形のプロファイルは、いわば互いに内外に係合している。
【0034】
「L」字体の「短辺」および「長辺」という呼称は、L字形のプロファイルの向きを説明するためにしか役立たない。両辺は実際には等しい長さであってもよいし、あるいは逆の長さ比を持っていてもよい。
【0035】
上に挙げた本発明の構成は、任意に互いに組み合わせることができる。1つのプレート型熱交換器の2つのモジュールの接触面は、付加的な成形部材を有するかまたは有しないU字形のプロファイルの対も、L字形のプロファイルの対も、中空プロファイルの対も、かつ/または管部材の対も、同時に有することができる。
【0036】
本発明によれば、1つのプレート型熱交換器の2つのモジュールの間の結合が著しく改善される。特に接触面にわたって多数のプロファイル対が配置される場合には、両モジュールのほぼ面状の結合が達成される。公知先行技術の前記不都合は回避される。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1】公知先行技術によるプレート型熱交換器を示す斜視図である。
【
図2】2つのモジュールの一般的な配置を示す概略図である。
【
図3】U字形のプロファイルとロッドとを用いる構成を示す概略図である。
【
図4】管片とロッドとを用いる構成を示す概略図である。
【
図5】付加的な成形部材を有しないU字形のプロファイルを用いる構成を示す斜視図である。
【
図6】付加的な成形部材を有しないL字形のプロファイルを用いる構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下に、本発明を実施するための形態を図面につき詳しく説明する。
【0039】
図1については、既に明細書冒頭において公知先行技術の考察の際に説明した通りである。
【0040】
図2には、上で説明したようなプレート型熱交換器の2つの直方体形のモジュールの原理的な配置が示されている。この場合、2つのモジュール1a,1bから成る本発明によるプレート型熱交換器1の構成が図示されている。両モジュール1a,1bは直方体形に形成されていて、それぞれカバー金属薄板5によって外部に対して閉鎖されている。両モジュール1a,1bは、それぞれ同じ大きさのカバー金属薄板9a,9bが直接に隣接し合うように配置される。両カバー金属薄板9a,9bは、プレート型熱交換器1の両モジュール1a,1bの間の接触面を形成する。これらの接触面9a,9bには、
図3〜
図6につき詳しく説明する本発明の構成の成形部材が固定されている。
【0041】
図3に示した本発明の構成では、接触面9a,9bにU字形のプロファイル(異形成形材)20a,20bが固定されている。
図3には、切り取られた一部しか図示されていないが、この場合、切断平面は、
図2に示したような両接触面9a,9bに対して直角に位置している。
【0042】
U字形のプロファイル20aは、このU字形のプロファイルの一方の辺縁部21aによって溶接結合部またはろう付け結合部10を介して、接触面9aに沿ってカバー金属薄板5と溶接またはろう付けされる。同様に、U字形のプロファイル20bも、一方の辺縁部21bによって溶接結合部またはろう付け結合部10を介して接触面9bに固定される。U字形のプロファイルはこの場合、その開口22a,22bが互いに向かい合わされて、中空室23を形成するように配置されている。この中空室23内には、中空室23の大きさに相当する方形の横断面を有するロッド50が嵌め込まれる。
【0043】
両U字形のプロファイル20a,20bはこの場合、両プロファイルが互いに接触しているように接触面に配置されている。「接触している」とは本願の枠内では、このようなプロファイルの製作誤差の枠内で、U字形のプロファイル20a,20bの互いに向かい合って位置する側の側部21a,21bの間に最大でも小さなギャップしか形成されないことを意味する。同じく製作誤差の枠内でロッド50も、一対の両U字形のプロファイル20a,20bにより形成される中空室23内に嵌め込まれる。
【0044】
本発明のこのような構成では、複数のU字形のプロファイル20a,20bが、両接触面9a,9bにわたって規則的に分配されるので、両接触面9a,9bの間の間隙は、互いに間隔を置いて配置されたプロファイル対によって規則的に埋められている。U字形のプロファイル20a,20bならびに方形のロッド50は、接触面9a,9bの辺縁部のうちの1つの辺縁部の長さにほぼ相当する長さを有する。
【0045】
1つの対を成す両U字形のプロファイル20a,20bの間に差し込まれたロッド50により、接触面9a,9bに対して直角な方向でのモジュールの運動は阻止される。本発明のこの構成では、接触面9a,9bの平面内での運動も同じく阻止される。
【0046】
本発明によるプレート型熱交換器のこのような構成の製作時では、まず第1に、個々のU字形のプロファイル20a,20bがモジュール1a,1bの、あとで接触面9a,9bを形成するカバー金属薄板5に溶接される。次いで、両モジュール1a,1bは接触面9a,9bにおいて接合される。各接触面に沿って対になって配置されたU字形のプロファイル20a,20bにより、一対のU字形のプロファイル20a,20bの間に中空室23が形成される。これらの中空室23内には、方形のロッド50が嵌め込まれ、こうして両モジュール1a,1bが結合される。付加的に、モジュール1a,1bは引き続きなおオプショナルに(選択的に)、縁部に設けられたサイドバー8を介して、公知先行技術に記載されているように溶接され得る。
【0047】
しかし、相応する方形のロッド50を有する規則的に配置された多数の対のプロファイル20a,20bの対(ペア)によって、公知先行技術とは異なり、両モジュール1a,1bの間の著しく面積の大きな、ひいては機械的に一層安定的な結合が達成される。
【0048】
図4に示した本発明の構成では、接触面9a,9bに管部材30a,30bが固定される。図面には、切り抜かれた2つの部分が図示されており、この場合、切断平面は、
図2に図示されているような両接触面9a,9bに対して直角に位置している。右側の図面は左側の図面のL1−L2に沿った断面の一部を示している。
【0049】
図4に示した本発明の構成では、管部材30a,30bが接触面9a,9bに溶接される(10)。管部材30a,30bは対になって接触面9a,9bに配置されており、この場合、1つの対を成す管部材30a,30bの開口31a,31bが一直線上に位置するように配置されている。すなわち、一対の管部材30a,30bに設けられた開口31aおよび開口31bを覗き込むと、両開口31a,31bを通じて同時に向こう側を見ることができる。これら両開口31a,31b内には、1つの円形のロッド51が嵌め込まれる。それぞれ接触面9a,9bに固定された管部材30a,30b内の円形のロッド51により、接触面9a,9bに対して直角な方向における両モジュール1a,1bの運動が阻止される。それと同時に付加的に、接触面9a,9bの平面内でのモジュール1a,1bの相対的な運動も阻止される。
【0050】
本発明の上記構成においても、複数対の管部材30a,30bが相前後して1本の線に沿って配置されるので、1本の線に沿って配置された複数対の管部材30a,30bが、接触面9a,9bの一方の辺長さの全長にわたって延びている。これらの線のうち、複数の線が規則的な間隔を置いて接触面9a,9bの他方の辺長さにわたっても分配されるので、接触面は管部材30a,30bの規則的に配置された多数の対によって埋められている。それぞれ1本の線に沿って相前後して配置された管部材30a,30bの対(ペア)には、相応する円形のロッド51が嵌め込まれるので、管部材30a,30bの開口31a,31bはロッド51によって埋められている。すなわち、本発明の上記構成では、製作誤差の枠内で最大でもロッド51と管部材30a,30bの内壁との間にギャップしか形成されないようにロッド51の横断面が設定されている。
【0051】
本発明の上記構成では、1つの対を成す管部材30a,30bが互いに間隔を置いて配置されている。択一的には、管部材30a,30を、端面が接触し合うように配置することができる(図示しない)。
【0052】
このような構成のプレート型熱交換器1の製造は、
図3に示した構成と類似して行われる。本発明によるプレート型熱交換器1のこのような構成の製作時では、まず最初に個々の管部材30a,30bがモジュール1a,1bの、あとで接触面9a,9bを形成するカバー金属薄板5に溶接される。次いで、両モジュール1a,1bは接触面9a,9bにおいて接合される。各接触面9a,9bに対になって配置された管部材30a,30bにより、一対の管部材30a,30bの開口31a,31b内に中空室が生じる。これらの中空室内には、円形のロッド51が嵌め込まれ、こうして両モジュール1a,1bが結合される。付加的に、両モジュールを引き続き選択的に、公知先行技術におけるように縁部に設けられたサイドバー8を介して溶接することができる。
【0053】
規則的に配置された多数の管部材30a,30bと円形のロッド51とにより、本発明の上記構成においても、両モジュール1a,1bの間には、公知先行技術におけるよりも著しく大面積の結合、ひいては機械的に一層安定した結合が達成される。
【0054】
管部材を用いる
図4につき説明した構成と同様に、中空プロファイルを用いた構成(図示しない)も考えられる。
【0055】
図5に示した本発明のさらに別の構成では、別の付加的な成形部材を使用することなしに、U字形のプロファイル40a,40bによってのみ、接触面9a,9bに対して直角な方向でのモジュール1a,1bの運動が阻止される。図面には、切り抜かれた一部しか図示されておらず、この場合、切断平面は、
図2に示したような両接触面9a,9bに対して直角に位置している。
【0056】
本発明のこの構成では、各接触面9a,9bにU字形のプロファイル40a,40bが、一方の辺縁部41a,41bで溶接結合部またはろう付け結合部10によって固定されている。両U字形のプロファイル40a,40bは、一方の接触面9aに固定されたU字形のプロファイル40aが、他方の接触面9bに固定されたU字形のプロファイル40bと共に1つの対を形成するように配置されている。両U字形のプロファイル40a,40bの自由な辺縁部42a,42b(両U字形のプロファイル40a,40bの、接触面9a,9bと溶接されていない方の辺縁部)は、それぞれ他方の両U字形のプロファイル40a,40bの開口43a,43b内に位置している。
【0057】
一方の接触面9aに固定されたU字形のプロファイル40aは、いわば、他方の接触面9bに固定されたU字形のプロファイル40bの「U字体」の長辺に相当する辺縁部42bのためのガイドレールを成しており、逆に他方の接触面9bに固定されたU字形のプロファイル40bは、いわば、一方の接触面9aに固定されたU字形のプロファイル40aの「U字体」の長辺のためのガイドレールを成している。こうして、両U字形のプロファイル40a,40bの「U」字体の短辺に沿った運動が阻止され、ひいては接触面9a,9bに対して直角な方向での運動が阻止される。
【0058】
1つの対を成す両U字形のプロファイル40a,40bが互いに接触していると有利である。「接触している」とはこの場合、製作誤差の枠内で、1つの対を成す両U字形のプロファイル40a,40bの「U」字体の隣接し合った辺42a,42b,43a,43bの間に最大でも小さなギャップしか生じないように両U字形のプロファイル40a,40bが接触面9a,9bに配置されることを意味する。
【0059】
本発明の上記構成においても、複数のU字形のプロファイル40a,40bが両接触面9a,9bにわたって規則的に分配されるので、両接触面9a,9bの間の間隙は、互いに間隔を置いて配置されたプロファイル対によって規則的に埋められている。U字形のプロファイル40a,40bはこの場合、接触面9a,9bの辺縁部のうちの1つの辺縁部の長さにほぼ相当する長さを有する。
【0060】
このような構成の本発明によるプレート型熱交換器1の製作時では、まず第1に個々のU字形のプロファイル40a,40bがモジュール1a,1bの、あとで接触面9a,9bを形成するカバー金属薄板5に溶接される。次いで、両モジュール1a,1bは接触面9a,9bにおいて接合され、この場合、U字形のプロファイル40a,40bは、2つのガイドレールシステムの組立てに類似して、互いに内外に嵌め合わされる。こうして、嵌め合わされたモジュール1a,1bは互いに結合されている。付加的に、モジュールを引き続きさらに選択的に、公知先行技術におけるように縁部に設けられたサイドバー8を介して溶接することができる。
【0061】
本発明の上記構成においても、両モジュール1a,1bの間には、公知先行技術におけるよりも著しく大面積の結合、ひいては機械的に一層安定した結合が達成される。
【0062】
図6に示した本発明のさらに別の構成では、各接触面9a,9bに、成形部材である少なくとも1つのL字形のプロファイル60a,60bが配置されており、この場合、L字形のプロファイル60a,60bの辺縁部61a,61bが接触面9a,9bに固定されている。L字形のプロファイル60a,60bは、一方の接触面9aに固定されたL字形のプロファイル60aが、他方の接触面9bに固定されたL字形のプロファイル60bと共に1つの対(ペア)を形成するように配置されている。この場合、1つの対を成す両L字形のプロファイル60a,60bは、L字形のプロファイル60a,60bの「L」字体が、逆さまに、つまり図面で見て頭を下にして、接触面9a,9bに固定されるように、そしてL字形のプロファイル60a,60bの「L」字体の両短辺62a,62bがオーバラップし合うように配置されている。一方の接触面9aに固定された一方のL字形のプロファイル60aは、他方の接触面9bに固定された他方のL字形のプロファイル60bの「L」字体の短辺62bのための、いわばガイドレールを形成しており、逆に、他方の接触面9bに固定された他方のL字形のプロファイル60bは、一方の接触面9aに固定された一方のL字形のプロファイル60aの「L」字体の短辺62aのための、いわばガイドレールを形成している。こうして、L字形のプロファイル60a,60bの長辺63a,63bに沿った運動が阻止され、ひいては接触面9a,9bに対して直角な方向での運動が阻止される。
【0063】
1つの対を成す両L字形のプロファイル60a,60bが互いに接触していると有利である。「接触している」とは、製作誤差の枠内で、1つの対を成すL字形のプロファイル60a,60bの「L」字体の隣接し合った辺62a,62bの間に最大でも小さなギャップしか生じないようにL字形のプロファイル60a,60bが接触面9a,9bに配置されることを意味する。
【0064】
本発明の上記構成においても、複数のL字形のプロファイル60a,60bが両接触面9a,9bにわたって規則的に分配されるので、両接触面9a,9bの間の中間室である間隙は、互いに間隔を置いて配置されたプロファイル対によって規則的に埋められている。L字形のプロファイル60a,60bはこの場合、接触面9a,9bの辺縁部のうちの1つの辺縁部の長さにほぼ相当する長さを有する。
【0065】
本発明の上記構成においても、両モジュール1a,1bの間には、公知先行技術におけるよりも著しく大面積の結合、ひいては機械的に一層安定した結合が達成される。
【符号の説明】
【0066】
1 プレート型熱交換器
1a,1b モジュール
2 分配フィン
3 通路
4 仕切り金属薄板
5 カバー金属薄板
6 管片
7 ヘッダ
8 サイドバー
9a,9b 接触面
10 溶接結合部またはろう付け結合部
20a,20b U字形のプロファイル
21a,21b 辺縁部
22a,22b 開口
23 中空室
30a,30b 管部材
31a,31b 開口
40a,40b U字形のプロファイル
41a,41b 辺縁部
42a,42b 自由な辺縁部
43a,43b 開口
50 ロッド
51 ロッド
60a,60b L字形のプロファイル
61a,61b 辺縁部
62a,62b 短辺
63a,63b 長辺