特許第6265664号(P6265664)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6265664
(24)【登録日】2018年1月5日
(45)【発行日】2018年1月24日
(54)【発明の名称】骨再生材料
(51)【国際特許分類】
   A61L 27/46 20060101AFI20180115BHJP
   A61L 27/12 20060101ALI20180115BHJP
   A61L 27/20 20060101ALI20180115BHJP
   A61L 27/52 20060101ALI20180115BHJP
【FI】
   A61L27/46
   A61L27/12
   A61L27/20
   A61L27/52
【請求項の数】6
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-188769(P2013-188769)
(22)【出願日】2013年9月11日
(65)【公開番号】特開2015-54054(P2015-54054A)
(43)【公開日】2015年3月23日
【審査請求日】2016年9月9日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 開催日 平成25年4月8日〜平成25年4月10日(公開日は平成25年4月8日) 集会名、開催場所 第23回注射可能な骨関節生物材料及び骨増強術に関する学際的研究会議(GRIBOI2013) John B.Hynes Veterans Memorial Convention Center(米国 02115 マサチューセッツ州 ボストン ボイルストン ストリート 900)
(73)【特許権者】
【識別番号】504157024
【氏名又は名称】国立大学法人東北大学
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 治
(72)【発明者】
【氏名】井樋 栄二
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 堅太郎
(72)【発明者】
【氏名】穴田 貴久
(72)【発明者】
【氏名】今泉 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】宮武 尚央
【審査官】 小森 潔
(56)【参考文献】
【文献】 特表2005−530525(JP,A)
【文献】 Key Engineering Materials,2012年11月,[online],doi:10.4028/www.scientific.net/KEM.529-530.296,Retrieved from the internet:,URL,https://www.scientific.net/KEM.529-530.296
【文献】 日本歯周病学会会誌,2007年,Vol.49,No.4,p305−315
【文献】 鈴木堅太郎,リン酸オクタカルシウム/ヒアルロン酸複合体材料の開発,東北大学大学院博士学位論文,2013年 5月29日,p1−24,図,表,,[online],[平成29年7月4日検索],Retrieved from the internet:,URL,https://tohoku.repo.nii.ac.jp/?action=pages_view_main&active_action=repository_view_main_item_detail&item_id=69550&item_no=1&page_id=33&block_id=38
【文献】 アルツディスポ関節注25mg,1993年 2月,[online],[平成29年7月4日検索],Retrieved from the internet:,URL,http://www.kaken.co.jp/medical/tenbun/artzdispo/pdf/artzdispo_201607.pdf
【文献】 スベニールディスポ関節注25mg,2000年 8月,[online],[平成29年7月4日検索],Retrieved from the internet:,URL,http://database.japic.or.jp/pdf/newPINS/00052467.pdf
【文献】 サイビスクディスポ関節注2mL,2010年12月,[online],[平成29年7月4日検索],Retrieved from the internet:,URL,http://medical.teijin-pharma.co.jp/iyaku/product/skhk4v0000000qvm-att/skhk4v0000000qvw.pdf
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L 27/46
A61L 27/12
A61L 27/20
A61L 27/52
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第8リン酸カルシウムと、ヒアルロン酸又はその塩とを含み、
前記ヒアルロン酸又はその塩の平均分子量が、6000kDa〜10000kDaであり、
第8リン酸カルシウムが前記ヒアルロン酸又はその塩のゲル又はペースト1mlに対して50mg〜5000mgであり、
骨再生用材料におけるヒアルロン酸又はその塩の濃度が0.1〜8mg/mlである骨再生用材料。
【請求項2】
再生用材料におけるヒアルロン酸又はその塩の濃度が0.1〜2mg/mlである請求項1に記載の骨再生用材料。
【請求項3】
前記ヒアルロン酸又はその塩が架橋処理したヒアルロン酸ナトリウムである請求項1又は2に記載の骨再生用材料。
【請求項4】
骨再生治療のための、第8リン酸カルシウムの結晶とヒアルロン酸又はその塩との組み合わせであって、
前記ヒアルロン酸又はその塩の平均分子量が、6000kDa〜10000kDaであり、
第8リン酸カルシウムの結晶が前記ヒアルロン酸又はその塩のゲル又はペースト1mlに対して50mg〜5000mgで分散され、
第8リン酸カルシウムの結晶及び前記ヒアルロン酸又はその塩を含有する組成物における前記ヒアルロン酸又はその塩の濃度が0.1〜8mg/mlである、組み合わせ。
【請求項5】
前記ヒアルロン酸又はその塩が架橋処理したヒアルロン酸ナトリウムである請求項4に記載の組み合わせ。
【請求項6】
8リン酸カルシウムの結晶及び前記ヒアルロン酸又はその塩を含有する組成物における前記ヒアルロン酸又はその塩の濃度が0.1〜2mg/mlである請求項4に記載の組み合わせ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、骨再生材料に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、骨欠損の治療において、従来の侵襲的な自家骨を用いた骨移植に代わって、人工骨を用いた治療がますます行なわれるようになっている。人工骨材としては、ハイドロキシアパタイト(Ca10(PO46(OH)2、以下HA)やβ型のリン酸三カルシウム(β−TCP)の焼結タイプのセラミックスや、リン酸カルシウムペーストが既に開発され国内外で実用化されている。ペーストタイプとしては、α型リン酸三カルシウム(α−TCP)や第2リン酸カルシウム2水和物(CaHPO4・2H2O、以下DCPD)等を出発原料として骨ミネラルのHAに近いHAを形成させるHAセメントが主流である。
【0003】
本願発明者らは、人工骨材の材料の中でも特に、HAの前駆体である第8リン酸カルシウム(Ca82(PO46・5H2O)、以下OCP)に着目し、以前の研究により、OCPは生体内でHAに自然に転換するが、100%OCPから100%HAに一方向に自己組織化して高い骨再生を示すことを初めて証明すると共に(非特許文献1)、OCPの結晶相を出発材料とするOCP顆粒、OCPとコラーゲンの複合体又はOCPとゼラチンの複合体が優れた骨再生能を有することも証明している(非特許文献1,2及び3)。
【0004】
しかしながら、従来のOCPをベースとする人工骨材は固形物であり、骨欠損の形態に十分にフィットして充填することができなかった。
【0005】
一方で、ヒアルロン酸(HyA)はD-グルクロン酸とN-アセチルグルコサミンの交互の繰り返しからなる硫酸基を含まないグルコサミノグリカンの比較的分子量が高い天然の直鎖状重合体であり、関節軟骨など生体の結合組織の大部分に関与する細胞外マトリックスの分子である。医薬品や化粧品等にはヒアルロン酸ナトリウムの形で配合されており、変形性関節炎等の骨関連疾患におけるHyAゲルの有用性の評価が報告されている。
【0006】
最近の研究で、本願発明者らはOCP顆粒とHyA(具体的にはヒアルロン酸ナトリウム)との複合体を製造し、マウスの頭蓋冠にポリテトラフルオロエチレンリングを配置し、該リングの中にOCP顆粒とHyAの複合体を入れて6週間移植した場合に、HyAによりOCP顆粒にインジェクタブルすなわち注射可能な特性を与えると共に、組織学的調査により、OCP顆粒が骨マトリックスに包囲されておりHyAがOCP顆粒の骨伝導能を損なわないことを見出した(非特許文献5)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Suzuki O et al., Biomaterials 2006;27:2671-81
【非特許文献2】Kamakura S, J Biomed Mater Res A 2007;83:725-33
【非特許文献3】Handa T et al., Acta Biomaterialia 2012;8:1190-00
【非特許文献4】Bannuru RR., Arthritis Rheum 2009;61:1704-11
【非特許文献5】Suzuki K et al., Key Engineering Materials Vols. 2013;529-530;296-299
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記の組織学的調査では、OCPによる骨形成に対するHyAの生物学的重要性が未だ不明であった。また、OCPに対しどのような態様のHyAが効果的に作用するかも不明であった。
【0009】
本発明は、OCPとHyAとを複合化してできる、欠損形態にかかわらず適用部位の形状に適合して充填できるインジェクタブルタイプの骨再生材料であって、骨再生を効果的に促進する新規な骨再生材料を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは鋭意研究した結果、OCPとHyAとを複合化したところ、欠損形態にかかわらず、適用部位に隙間なく充填できるインジェクタブルタイプの骨再生材料にでき、しかも、予想外なことに、OCPとHyAの複合体はOCP単独又はHyA単独と比較して高い相乗効果により、骨再生を促進することを見出した。
【0011】
本発明は、かかる新規の知見に基づくものである。
【0012】
従って、本発明は、以下の項を提供する:
項1.第8リン酸カルシウムと、ヒアルロン酸又はその塩とを含む骨再生用材料。
【0013】
項2.第8リン酸カルシウムが前記ヒアルロン酸又はその塩のゲル又はペースト1mlに対して5mg〜5000mgであり、骨再生用材料におけるヒアルロン酸又はその塩の濃度が0.1〜2mg/mlである項1に記載の骨再生用材料。
【0014】
項3.前記ヒアルロン酸又はその塩が平均分子量が約2500kDa以下の架橋処理しないヒアルロン酸ナトリウム、又は架橋処理したヒアルロン酸ナトリウムである項1又は2に記載の骨再生用材料。
【0015】
項4.骨再生治療のための、第8リン酸カルシウムの結晶とヒアルロン酸又はその塩との組み合わせ。
【0016】
項5.前記ヒアルロン酸又はその塩が平均分子量が約2500kDa以下の架橋処理しないヒアルロン酸ナトリウム、又は架橋処理したヒアルロン酸ナトリウムである項4に記載の組み合わせ。
【0017】
項6.前記ヒアルロン酸又はその塩の平均分子量が、約900kDa、約1900kDa、又は約6000kDaである項4に記載の組み合わせ。
【0018】
項7.第8リン酸カルシウムの結晶が前記ヒアルロン酸又はその塩のゲル又はペースト1mlに対して5mg〜5000mgで分散され、第8リン酸カルシウムの結晶及び前記ヒアルロン酸又はその塩を含有する組成物における前記ヒアルロン酸又はその塩の濃度が0.1〜2mg/mlである項4に記載の組み合わせ。
【0019】
項8.骨再生治療のための、第8リン酸カルシウムを含有するヒアルロン酸製剤。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、OCPをHyAと複合化することで、骨欠損の形態によらず使用できる複合体が製造できるので、無機セラミックス材料であるOCPの操作性を向上させることが可能である。かかる液状の複合体は注射器でインジェクションすなわち注射が可能であるため、手術においてインプラント(移植物)の操作時間短縮が可能で、それゆえ侵襲性も低くできる利点もあり、整形外科及び歯科等、骨再生を必要とする分野で、広範な部位の骨再生治療への適用が期待できる。さらに、OCPとHyAの組み合わせは、骨再生の相乗効果があるため、骨再生の治療にも有用である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】(A)篩い分けしたOCP顆粒 (300-500μm)の写真、(B)インジェクタブル(注射可能)なOCP/HyA複合材の写真、(C)実験動物モデルの写真、及び(D)実験系の略図。
図2】(A)OCP及びOCP/HyA90複合材のXRDパターン、(B)OCP及びOCP/HyA複合材のFTIRスペクトル、(C)OCPの走査型電子顕微鏡写真、及び(D)OCP/HyA90複合材の走査型電子顕微鏡写真。(A)の星印(*)は2θ=4.9°における(100)XRDピークを示し、(B)の矢印(↓)は特性1,030-1,130cm-1付近のオルトリン酸伸縮吸着のv3 P-Oに由来する3つの異なる特徴的バンドを表す。(C)(D)中のバーは5μmである。
図3】ヘマトキシリン-エオシンで染色した切片の写真。(A)−(D)及び(I)−(L)頭蓋冠周囲の写真、(E)−(H)及び(M)−(P)頭蓋冠周囲の拡大写真。A及びEは3週目、I及びMは6週目のOCP顆粒、B及びFは3週目、J及びNは6週目のOCP/HyA90、C及びGは3週目、K及びOは6週目のOCP/HyA190、D及びHは3週目、L及びPは6週目のOCP/HyA600。文字(C),(B)及び(*)はそれぞれマウス頭蓋冠、新しく生成した骨、及びOCP顆粒を表す。バーは 図3A−D、I−Lで1mm、図3E−H、M−Pで200μm。
図4図3に続く、ヘマトキシリン-エオシンで染色した切片の、インプラント周囲における拡大写真。Qは3週目、Uは6週目のOCP顆粒、Rは3週目、Vは6週目のOCP/HyA90、Sは3週目、Wは6週目のOCP/HyA190、Tは3週目、Xは6週目のOCP/HyA600。文字(B),(*),(V)及び (HyA)はそれぞれ新しく生成した骨、OCP顆粒、血管及びHyAゲルを表す。バーは図4Q-Xで100μm。
図5】OCP/HyA600移植群のアルシアンブルーで染色した切片の写真及び拡大写真。(A)及び(C)移植後3週目、(B)及び(D)移植後6週目。文字(*)及び(HyA)はそれぞれOCP顆粒及びHyAゲルを表す。バーは(A)と(C)で1mm、(B)と(D)で75μm。
図6】3週目のTRAP及びALP染色。(A)リングのみの対照、(B)OCP顆粒無しのHyA90、(C)OCP顆粒無しのHyA190、(D)OCP顆粒無しのHyA600、(E)リング及びOCP顆粒があるがHyA無しの対照、(F)OCP顆粒有りのHyA90、(G)OCP顆粒有りのHyA190、(H) OCP顆粒有りのHyA600。星印(*)、矢頭(▲)、矢印(→)及び文字(HyA)はそれぞれOCP顆粒、TRAP陽性細胞、ALP陽性細胞及びHyAゲルを表す。バーは250μm。
図7】6週目のTRAP及びALP染色。(I)リングのみの対照、(J)OCP顆粒無しのHyA90 、(K)OCP顆粒無しのHyA190 、(L)OCP顆粒無しのHyA600、(M)リング及びOCP顆粒が有るがHyA無しの対照。(N)OCP顆粒有りのHyA90、(O) OCP顆粒有りのHyA190、(P) OCP顆粒有りのHyA600。星印(*)、矢頭(▲)、矢印(→)及び文字(HyA)はそれぞれOCP顆粒、TRAP陽性細胞、ALP陽性細胞及びHyAゲルを表す。バーは250μm。
図8】6週目の切片のオステオカルシン免疫染色。(A)リングのみの対照、(B)OCP顆粒無しのHyA90、(C)OCP顆粒無しのHyA190、(D)OCP顆粒無しのHyA600、(E)リング及びOCP顆粒が有るがHyA無しの対照、(F)OCP顆粒有りのHyA90、(G)OCP顆粒有りのHyA190、(H) OCP顆粒有りのHyA600。星印(*)、矢印(→)、文字(B)及び文字(HyA)はそれぞれOCP顆粒、オステオカルシン陽性細胞、新たに形成された骨、及びHyAゲルを表す。(I,J,K,L)は、一次抗体を用いたOCP+群(E,F,G,H)に対応する、一次抗体を用いなかったOCP群。バーは25μm。
図9】OCP/HyA複合材料及び残存インプラントによる骨形成の組織形態学的分析。(A) 複合体、OCP及び対照の新たな骨の形成の面積率。(B) 残存インプラントの面積率。(C) HyA、OCP及び対照の新たな骨の形成の面積率 なお、本明細書の図表の出典はSuzuki K, at al. Acta Biomater. 2014 Jan;10(1):531-43. doi: 10.1016/j.actbio.2013.09.005. Epub 2013 Sep 12にある。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本明細書において、略語「HyA」は、ヒアルロン酸又はその塩を指し、組成物又は製剤で用いられている場合には通常、ヒアルロン酸の塩を指す。ヒアルロン酸の塩は、好ましくは医薬として許容される塩である。ヒアルロン酸の塩にはヒアルロン酸ナトリウム、ヒアルロン酸カリウム、ヒアルロン酸亜鉛、ヒアルロン酸カルシウム、ヒアルロン酸マグネシウム、及びアンモニウムなどが含まれるがこれらに限定されない。本発明の目的では、ヒアルロン酸ナトリウムが特に好ましい。
【0023】
本発明の骨再生材料は、第8リン酸カルシウム(octacalcium phosphate、(Ca82(PO46・5H2O)、以下OCP)と、ヒアルロン酸またはその塩(HyA)との複合体(以下、OCP/HyA材料と記載する場合がある)を含む。なお、「OCP/HyA複合体」、「OCP/HyA材料」、「OCPとHyAとの複合体」、「OCP及びHyAを含む混合物」、及び「OCP及びHyAを含有する組成物」は互換的に使用可能であるものとする。
【0024】
OCP/HyA材料は、ゲル状又はペースト状のHyAに、主成分としてのOCPの結晶を分散させた組成物である。OCPの結晶の凝集体からなる顆粒は予め市販の篩い分け手段により大きさを揃えてもよい。篩い分けられたOCP顆粒の直径(粒径)は特に限定されないが、通常400nm〜1,000μm、好ましくは300μm〜500μmである(K Miura et al., Applied Surface Science 2013; 282: 138-145及びY Murakami et al., Acta Biomaterialia 6 2010; 1542-1548参照)。
【0025】
OCPの結晶の製造方法は限定されないが、例えばOCPの結晶はSuzuki O et al., Tohoku J Exp Med 1991; 164:37-50、Honda Y et al, Journal of Biomedical Materials Research 2007; Part B; Volume 80B:281-289、特開2006-167445 及び特許3115642に記載に基づいて作製可能である。
【0026】
HyAは、公知の製造方法により製造してもよいし、市販のヒアルロン酸ナトリウムであってもよい。また、HyAは直鎖状であっても、少なくとも一部を化学的に架橋したものであってもよい。
【0027】
例えば、HyAの供給源として使用可能な市販のヒアルロン酸製剤の例として、Artz(登録商標)、Suvenyl(登録商標)及びSynvisc(登録商標)などが挙げられ、Artz(登録商標)は架橋処理しない直鎖状の平均分子量(重量平均分子量を指す、以下同様)500〜1200kDaのヒアルロン酸ナトリウムを1%含む製剤、Suvenyl(登録商標)は架橋処理しない平均分子量約1900kDaのヒアルロン酸ナトリウムを製剤2.5mL中に25mg含む製剤、Synvisc(登録商標)は製剤2mL中にヒアルロン酸ナトリウム架橋処理ポリマー14.4mg及びヒアルロン酸ナトリウム架橋処理ポリマービニルスルホン架橋体1.6mg(平均分子量6000 kDa)を含有する製剤である。
【0028】
HyAの分子量は通常、平均分子量で約400kDa(40万)〜10000kDa(1000万)である。一実施形態では、HyAは平均分子量が約2500kDa以下の架橋処理しないヒアルロン酸ナトリウムであり、別の実施形態では、HyAは架橋処理したヒアルロン酸ナトリウムである。さらに別の実施形態では、HyAは平均分子量が約900kDa、約1900kDa、及び約6000kDaのいずれかのHyAである。
【0029】
OCPとHyAとの割合は特に限定されないが、通常、質量比で、HyAゲル又はペースト1mlに対してOCPが5mg〜5000mg、より好ましくは20mg〜1000mg、さらにより好ましくは50〜500mg、最も好ましくは約100mgである。HyA 1mlに対してOCPが5mg未満であると、得られる骨再生材料の骨再生能が劣り、5000mgを超えると、形状付与性が低下する。
【0030】
OCP/HyA材料におけるHyA濃度は特に限定されないが、通常0.1〜2mg/mlである。
【0031】
OCP/HyA材料の製造方法は特には限定されないが、例えば市販のHyA製剤などのHyAゲルにOCP結晶又はOCP結晶を篩分けした顆粒を加え、混合するだけで製造可能である。
【0032】
骨再生材料は、本発明の効果が阻害されない範囲内で、一般的に人工骨再生材料に含まれる成分を含んでいてもよい。このような成分としては、例えば、生体吸収性高分子(ポリ乳酸、ポリ乳酸−ポリエチレングリコール共重合体など)、生体吸収性リン酸カルシウム(β−TCPなど)、生体非吸収性材料(HAセラミックスなど)、及び添加剤(アミノ酸、リン酸水素ナトリウム水和物、リン酸二水素ナトリウム、又は塩化ナトリウムなど)が挙げられる。
【0033】
本発明の骨再生材料は、使用時はゲル状又はペースト状であるため、欠損形態にかかわらず適用部位の種々の形状及び/又はサイズに適合して充填できるので、複雑な欠損部又は損傷部であっても容易に治療でき、無機セラミックス材料であるOCPの操作性を向上させることが可能である。また、かかる液状の複合体は注射器でインジェクションすなわち注射が可能であるため、手術においてインプラント(移植物)の操作時間短縮が可能で、それゆえ侵襲性も低くできる。なお、本発明の骨再生材料は流動性があるため、適用部位以外の箇所への移動を防ぐため、医療用のプラスチック材料やシート等で適用部位の周囲を包囲してもよい。
【0034】
骨再生材料は、適用部位への適用に先立って、放射線滅菌、高圧蒸気滅菌、乾燥加熱処理などにより滅菌処理されてもよい。
【0035】
本発明の骨再生材料が適用される対象は、哺乳動物、例えば、マウス、ラット、モルモット、ウサギ、イヌ、ネコ、サル、ヒト等であり、好ましくはヒトに適用される。
かかる骨再生材料を移植することにより、対象動物における骨の再生が促進され、種々の骨の損傷又は骨関連疾患の治療に有効である。
【0036】
以下、本発明を更に詳しく説明するため実施例を挙げる。しかし、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0037】
実施例
1.材料及び方法
1.1.OCP及びOCP/HyA複合体
OCPは以前の記載(Suzuki O, et al., Tohoku J Exp Med 1991; 164:37-50)の通りにカルシウム溶液とリン酸塩溶液を混合することにより調製した。OCP結晶凝集物からなる顆粒を、OCP沈殿物を標準試験用篩いに通過させることにより調製した。300μmから500μmまでの範囲の直径の顆粒を使用した (図1A)。篩い分けたOCP顆粒を120℃で2時間、加熱滅菌した。3種類の医療グレードの高分子量ヒアルロン酸(HyA)であるHyA90(Artz(登録商標),MW=500-1200kDa)、HyA190(Suvenyl(登録商標),MW=1900kDa)及び化学的に架橋したHyA600(Synvisc(登録商標),MW=6000kDa))を、生化学工業株式会社、 (日本国東京)、中外製薬株式会社(日本国東京)及びGenzyme Biosurgery社(米国マサチューセッツ州Cambridge)からそれぞれ購入した。OCP顆粒(100mg)を1mlの各HyAゲルに加え、混合した(図1B)。
1.2.OCP/HyAゲルの特性化(キャラクタリゼーション)
室温で乾燥させた後のOCP/HyAゲル及びOCPを、XRDにより特性化した。XRDパターンは、30kV及び15mAの回折計(MiniFlex; 理学電機株式会社、日本国、東京)でCu KαX線を用いて3.0°から60.0°まで0.05°間隔でのステップ走査法により記録した。測定された2θ範囲は、4.7°でOCPの主要なピーク(100)を含んでいた。結晶相を識別するために、OCPに対しては26-1056A9、HyAに対しては9-432の粉末回折標準に関する合同委員会(JCPDS)の番号を使用した。臭化カリウムで希釈したサンプルに対し、複合体のFTIRスペクトルを4cm-1の分解能で4,000-400cm-1の範囲にわたりFTIR分光法により得た(FREEXACT-2、株式会社堀場製作所、日本国京都)。OCP及びOCP/HyAの形態を10kVの加速電圧で作動するJEOL分析走査電子顕微鏡JSM-6390LA(日本国東京)を使用して調べた。金のスパッタリングを観察前に行った。HyA溶液の粘度は電磁回転式粘度計(京都電子工業株式会社、日本国京都)を使用して測定した。
1.3 実験動物モデル
重量30-36gの8週齢の雄ICRマウス(日本エスエルシー株式会社、日本国静岡県浜松市)を使用した。実験動物の管理及び使用の原則及び国内法を遵守した。すべての手順は東北大学の動物実験委員会で承認されたものである。実験マウスを、ペントバルビタールナトリウム(50mg/kg)の腹腔内注射で麻酔し、エーテル吸入を補った。マウスが痛みを感じた場合には、手術中にエーテル吸入を施した。頭蓋冠の皮膚及び骨膜を注意深く除去し、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)製のリング(内径6mm、厚さ1mm)を医療用組織接着剤(アロンアルファA、第一三共株式会社、日本国東京)を用いて縫合を横切って頭蓋冠の中心に配置した。図1C及びDに示すように、頭蓋冠(1)にPTFEリング(2)を配置した後、OCP/HyA複合体(3)を14Gポリマーカテーテルを取り付けた注射器(4)を使用して注射した。次に、注射したOCP/HyA複合体(5)の流出を防ぐために、リング(2)を医療用組織接着剤を用いて直径8mm 、100μm厚のPTFEシート(6)で被覆した(図1D)。マウスは、3週目及び6週目(それぞれ6匹のマウス)に過剰量の麻酔薬(ペントバルビタールナトリウム、200mg/kg)を腹腔内に投与して安楽死させた。したがって、OCP顆粒、OCP/HyA複合材料、及びPTFE(未処理)群の各々の12匹のマウスを、組織形態学的検査のために準備した。
1.4.組織標本及び組織形態学的分析
頭蓋冠を切除し、4%パラホルムアルデヒドの0.1Mリン酸緩衝液(PBS)で4℃で一晩維持した。固定した試験片を10%EDTA の0.01M PBS(pH 7.4)で4℃で2週間脱灰した。その後、サンプルを段階的な一連のエタノールで脱水し、パラフィン包埋した。厚さ4μmの連続切片を冠状に切断し、光学顕微鏡観察のためにヘマトキシリン−エオシン(HE)及びアルシアンブルーで染色した。また、画像は顕微鏡写真機(ライカDFC300 FX、ライカマイクロシステムズ株式会社、日本国東京)を使用して取得した。HEで染色された切片の光学顕微鏡写真は組織形態学的測定に使用した。新たに形成された骨の面積率は、新たに形成された骨の面積を合計移植面積で割った値として計算した。同様に、欠損中の残存インプラントの割合は、残存インプラントの面積を合計面積で割った値として計算した。面積率は、Adobe Photoshop Elements 8及びImage J 1.45(NIH Image、米国メリーランド州Bethesda)を使用してコンピュータで定量した。
1.5. 酒石酸耐性酸性ホスファターゼ(TRAP)及びアルカリフォスファターゼ(ALP)による二重染色法
組織切片の酒石酸耐性酸性ホスファターゼ(TRAP)及びアルカリフォスファターゼ(ALP)を、TRAP/ALP二重染色キット(和光純薬工業株式会社、コード番号294-67001、日本国大阪)により評価した。切片を30分間TRAPバッファに浸漬し、蒸留水で洗浄した後、2-アミノ-2-メチルプロパン-1,3-ジオールで10分間浸漬し、次にALPバッファで30分間インキュベートした。対比染色はヘマトキシリンを用いて行った。
1.6. オステオカルシン
脱パラフィン化後、内因性ペルオキシダーゼ活性を除去するために連続切片を3%(体積比)のH2O2でインキュベートし、10%正常ヤギ血清(ヒストファインブロッキング試薬、株式会社ニチレイバイオサイエンス、日本国東京)でブロッキングした。調製したスライドをオステオカルシンの一次抗体(タカラバイオ株式会社、コード番号M188 R21C-01A、希釈率1:400)で4℃で一晩インキュベートし、これを、アミノ酸ポリマーとペルオキシダーゼ及びヤギ抗ラットIgG(Simple Stain Mouse MAX PO(RAT)、コード番号414311F、Histofine(登録商標)免疫組織染色試薬、株式会社ニチレイバイオサイエンス、日本国東京)と組み合せせることにより調製されたポリマーと共にインキュベートした。シグナルを3,3'-ジアミノベンジジン四塩酸塩 (DAB、Sigma-Aldrich社)を使用して検出した。対比染色はヘマトキシリンを用いて行った。オステオカルシンの一次抗体を使用せずに、陰性対照染色についても調べた。
1.7統計分析
組織形態学的分析は、各動物から各時点で得られた3つの切片を使用して行った。それらは信頼できる再現性を示した。試験片間の統計的な差はTukey-Kramer多重比較分析により評価した。P<0.05の値は統計学的に有意であるとみなした。
2.結果
2.1 OCP/HyAゲル
図1A及びBはそれぞれ篩い分けしたOCP顆粒及びOCP/HyA90複合材料の画像を示す。イメージを示す。図2Aは乾燥後のOCP及びOCP/HyA複合体のX線回折(XRD)パターンを示す。合成OCPに関して観察された特徴的な2θ=4.9°の(100)反射及び2θ=33.6°の (700)反射を含むXRDのすべての反射は、OCP構造から予測される反射(Mathew M et al., J Crystallogr Spectrosc Res 1988;18:235-250)によく一致していた。特徴的な2θ=10.8°の(100)反射またはOCP由来の反射以外の反射は検出されず、合成OCPが単一のOCP結晶相から成ることが明らかとなった。図2Bは、乾燥後のOCP及びOCP/HyA複合材のフーリエ変換赤外分光法(FTIR)スペクトルを示す。OCPのFTIRスペクトルは以前に報告した(Fowler BO et al., Arch Oral Biol 1966;11:477-92.)のとよく一致していた。1,030-1,130cm-1付近のオルトリン酸伸縮吸着のv3 P-Oに由来する3つの異なる特徴的バンドと、560-600cm-1付近のv4 PO4の2つのシャープな吸収バンドが同定された。図2C及びDは乾燥後の合成OCP顆粒及びOCP/HyAの走査電子顕微鏡(SEM)写真を示す。顆粒は、OCP結晶凝集体から成る不規則な形態を示した。OCP結晶は、長さ数μmの板状の形態を示した。これらのデータは、HyAの追加がOCPの構造的特性に影響を及ぼさないことを実証した。電磁回転式粘度計を使用した粘度の測定は、HyAゲルの粘度がそれらの分子量(表1)に依存することを実証した。
【0038】
【表1】
【0039】
2.2.組織学的検査
図3は、移植後3週目及び6週目のOCP自体及びOCP/HyAゲルインプラントのヘマトキシリン-エオシン染色した頭蓋冠周囲の組織切片の写真であり、図4は同じく、その拡大写真である。以前の研究では、組織切片の調製中に脱灰化の結果として既に存在しないOCP結晶間の空間内にマトリクスタンパク質の蓄積が存在することにより、主として生じるへマトキシリンに親和性のあるタンパク質が鋳型となってOCP顆粒が認識可能であることが実証されていた。ほとんどのOCP顆粒は、すべての群で、新たに形成された骨で覆われる傾向があった。頭蓋冠表面からの新しい骨の形成はOCP群(図3A)で観察され、OCP群に制限された。しかしながら、OCPとHyAとの組み合わせ、特にOCPとHyA90又はHyA600との組み合わせは、OCPのみの群と比較して骨形成を増強した。HyAが分子量によっては比較的高い骨再生能を有することは予想外のことである。新たに形成された骨の内部で、骨髄組織も形成された。OCP/HyA600群では、残りのHyAゲルが明瞭に認識された。ホスト骨領域、界面領域、及び材料領域の拡大像が図3E,F,G,H,M,N,O及びPに示される。骨形成は、3週目の頭蓋冠(図3F)からの反応性骨形成に加えて、頭蓋冠(図3G及び図3H)とは無関係にOCP顆粒の周囲で直接認識された。骨形成は増加し、6週目でホスト頭蓋冠骨と統合されるようになった。(図3M図3P)。
【0040】
図5はOCP/HyA600移植群のアルシアンブルーで染色した切片の写真及び拡大写真であり、(A)及び(C)は移植後3週目、(B)及び(D)は移植後6週目である。OCP/HyA90及びOCP/HyA190では3週目でも残存HyAゲルは無いが(データ非図示)、HyA600は移植後3及び6週目とも部分的に吸収されずに残っていた。
2.3 OCP/HyAインプラント周囲のTRAP陽性破骨用細胞及びALP陽性骨芽細胞の検出
図6及び7は、OCP及びOCP/HyA複合材の移植後の3週目(図6)及び6週目(図7)の頭蓋冠組織のTRAP及びALP染色を示す。TRAPはHyAの存在にかかわらず(図6E−H)OCP顆粒に緊密に関連して検出された。OCP/HyA90(図6F)及びOCP/HyA600(図6H及び7P)のTRAPはOCP/HyA190(図6G及び図7O)のTRAPよりも比較的高いように見える。対照 (PTFEリングのみ)のTRAPは、OCP/HyA複合体(図6A及び7I)のTRAPよりもはるかに低かった。ALPは、3週目のOCPの無いHyA90(図6B)及びHyA600(図6D)の頭蓋冠表面と、6週目のHyA190(図7K)及びHyA600(図7L)の頭蓋冠表面とで検出された。ALPも、3週目のOCP/HyA90(図6F)及び6週目のOCP/HyA90(図7N)でOCP顆粒の周囲で検出された。
2.4 骨形成の周囲のオステオカルシンの局在性
図8は、6週目のオステオカルシンの免疫染色を示す。移植されたOCPは、オステオカルシンに関して陽性に染色された。オステオカルシン陽性細胞は新しい骨の周囲で観察された。残りのHyA(HyA600(図8D)はオステオカルシンで染色されなかった。OCP顆粒も骨組織も、対照群では染色されなかった(図8I,J,K,及びL)。
2.5 組織形態学的検査
新しい骨の形成のパーセンテージに関する組織形態学的知見を図9A及び9Cに示す。3週目では、PTFEリング、OCP顆粒、HyA90、OCP/HyA90、HyA190、OCP/HyA190、HyA600及びOCP/HyA600における新たな骨の平均面積はそれぞれ3.9±4.2、5.6±4.3、13.6±6.2、17.1±12.5、0.9±0.7、9.9±8.0、15.5±9.2%、及び15.0±10.2%であった。PTFEリング群とHyA600及びOCP/HyA600群との間には有意差が見られた。移植後6週目では、PTFEリング、OCP顆粒、HyA90、OCP/HyA90、HyA190、OCP/HyA190、HyA600及びOCP/HyA600における新たな骨の平均面積はそれぞれ5.6±7.6、20.8±7.1、13.4±5.1、33.0±8.3、3.6±5.9、21.5±8.4、27.4±7.9、及び36.0±5.6%であった。有意差はPTFEリング群と、OCP/HyA90、OCP/HyA190、HyA600及びOCP/HyA600間とで観察された。また、OCP/HyA90及びOCP/HyA190の新たな骨の面積率はHyA90及びHyA190のそれよりもそれぞれ有意に高かった。OCP/HyA90及びOCP/HyA600群の新たに形成された骨のパーセンテージが、OCP顆粒群よりも有意に高かったことは注目に値する(図9A、6週目)。つまり、OCP/HyAはOCP単独あるいはHyA単独と比較して高い骨再生能を示す。残存インプラントのパーセンテージに関する組織形態学的知見を図9Bに示す。移植後3週目では、OCP顆粒、OCP/HyA90、OCP/HyA190及びOCP/HyA600群の残存インプラントの平均パーセンテージは、それぞれ21.7±16.3、20.8±10.4、14.9±5.2及び16.8±11.9%であった。OCP/HyA複合材の群間では、残存インプラントのパーセンテージの有意差は見られなかった。移植後6週目では、OCP顆粒、OCP/HyA90、OCP/HyA190及びOCP/HyA600群の残存インプラントの中間のパーセンテージは、それぞれ12.7±5.1、8.3±3.5、13.7±6.2及び14.4±6.8%であり、これはOCP/HyA複合材の群間で有意差はなかった。
HyA90及びHyA190は3週目でもHyAゲルが吸収されているのに対し、HyA600は吸収されていないのに骨伝導能を示すのは、HyA90はHyAの分解中に骨形成での刺激能に関与した可能性があるのに対し、架橋処理したHyA600の骨伝導能はマトリックスがOCP顆粒と新たな骨形成の足場として機能し、それぞれ骨伝導能のメカニズムが異なる可能性がある。
図1
図2
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図9