(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、流体は、ポンプ、コンプレッサ、ブロワなどの圧送機械により、圧送されている。このため、流体の圧力は、常時、細かく変動している。したがって、全閉位置において、流体の圧力変動に応じて、バルブアセンブリの弁体は振動している。よって、全閉位置であるにもかかわらず、弁体が、一時的に流路を開いてしまうおそれがある。また、弁体が振動すると、弁体が隣接部材(例えば弁座など)と衝突を繰り返す、いわゆるチャタリングが発生するおそれがある。そこで、本発明は、全閉位置において、弁体が誤って流路を開きにくいバルブアセンブリを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1)上記課題を解決するため、本発明のバルブアセンブリは、流体が流れる流路の少なくとも一部を有するハウジングと、該ハウジングに収容され該流路を開閉可能な弁体と、該流路を閉じる方向である閉方向に、該弁体を付勢する閉方向付勢部と、該流路を開く方向である開方向に、該弁体を付勢する開方向付勢部と、を備えるバルブアセンブリであって、前記閉方向付勢部および前記開方向付勢部から前記弁体に付勢力が加わる領域を閉側領域、該閉側領域よりも開側に配置され該閉方向付勢部から該弁体に付勢力が加わる領域を開側領域、として、該弁体が前記流路を完全に閉じる全閉位置は該閉側領域に、該弁体が該流路を完全に開く全開位置は該開側領域に、各々設定されていることを特徴とする。
【0006】
閉側領域内の全閉位置においては、弁体は、閉方向付勢部および開方向付勢部により、開閉両方向に付勢されている。すなわち、閉方向付勢部のばね定数と、開方向付勢部のばね定数と、の合成のばね定数が、弁体に作用している。弁体の挙動は、当該合成のばね定数に依存している。このため、弁体は、開閉両方向に動きにくい。したがって、流体の圧力が、開弁圧未満の圧力領域で変動する場合であっても、弁体は変位しにくい(撓みにくい)。よって、本発明のバルブアセンブリによると、全閉位置において、弁体が誤って流路を開きにくい。
【0007】
一方、開側領域内の全開位置においては、弁体は、閉方向付勢部により、閉方向に付勢されている。すなわち、閉方向付勢部のばね定数が、弁体に作用している。弁体の挙動は、閉方向付勢部のばね定数に依存している。このため、弁体は、閉方向に動きやすい。すなわち、流体の圧力変動に対する弁体の応答性が高い。
【0008】
(2)上記(1)の構成において、前記閉側領域において、前記閉方向付勢部および前記開方向付勢部は、前記弁体に当接しており、前記開側領域において、該閉方向付勢部は該弁体に当接しており、該開方向付勢部は該弁体から離間している構成とする方がよい。本構成によると、閉側領域と開側領域との間で、簡単に、ばね定数を二段階に切り換えることができる。
【0009】
(3)上記(1)または(2)の構成において、前記開方向付勢部のばね定数は、前記閉方向付勢部のばね定数よりも、大きい構成とする方がよい。本構成によると、簡単に、閉側領域におけるばね定数(閉方向付勢部のばね定数と、開方向付勢部のばね定数と、の合成のばね定数)を、開側領域におけるばね定数(閉方向付勢部のばね定数)よりも、大きくすることができる。また、全開位置は、開側領域に設定されている。開側領域において、弁体の挙動は、閉方向付勢部のばね定数に依存している。このため、流体の圧力変動に対する弁体の応答性が高い。
【0010】
(4)上記(1)ないし(3)のいずれかの構成において、前記全閉位置と、前記弁体が前記流路を開き始める境界位置と、の間の振動吸収距離は、該全閉位置における該弁体の振動量よりも、大きい構成とする方がよい。
【0011】
本構成によると、振動吸収距離が、全閉位置における弁体の振動量よりも、大きい。このため、全閉位置において、流体の圧力変動に応じて弁体が振動しても、誤って流路を開きにくい。
【0012】
(5)上記(1)ないし(4)のいずれかの構成において、前記ハウジングは、管体に収容され、軸方向一端に配置される流入孔と、側周壁に配置される中間流出孔および中間流入孔と、軸方向他端に配置される流出孔と、を有する中空部と、該中間流出孔の軸方向一端側に配置され、該側周壁の外周面と該管体の内周面との間に配置される上流側スペーサ部と、該中間流入孔の軸方向他端側に配置され、該側周壁の外周面と該管体の内周面との間に配置される下流側スペーサ部と、を有し、前記流路には、上流側から下流側に向かって、該流入孔、該中間流出孔、該中間流入孔、該流出孔が連なっており、前記弁体は、該中間流出孔を開閉可能である構成とする方がよい。
【0013】
本構成によると、ハウジングが管体に収容されている。このため、管体の外部に、バルブアセンブリの設置スペースを確保する必要がない。また、本構成によると、管体内部のあらゆる場所に、バルブアセンブリを配置することができる。このため、バルブアセンブリの配置の自由度が高い。また、本構成によると、管体の内部にハウジングを配置することにより、簡単に、当該管体を流れる流体の流量を調整することができる。
【0014】
(6)上記(5)の構成において、前記中空部は、前記中間流出孔および前記中間流入孔を有する筒状のハウジング本体と、該ハウジング本体の軸方向一端の開口を封止し、前記流入孔を有する上流側キャップと、該ハウジング本体の軸方向他端の開口を封止し、前記流出孔を有する下流側キャップと、を有し、前記閉方向付勢部は、該ハウジング本体に収容され、前記弁体と該下流側キャップとの間に配置されており、前記開方向付勢部は、前記中空部に収容され、該弁体と該上流側キャップとの間に配置されている構成とする方がよい。
【0015】
本構成によると、弁体を挟んで軸方向両側に、開方向付勢部と、閉方向付勢部と、が配置されている。このため、弁体に対して、軸方向両側から、開閉両方向に付勢力を加えることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によると、全閉位置において、弁体が誤って流路を開きにくいバルブアセンブリを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明のバルブアセンブリの実施の形態について説明する。
【0019】
<バルブアセンブリの構成>
まず、本実施形態のバルブアセンブリの構成について説明する。
図1に、本実施形態のバルブアセンブリの斜視図を示す。
図2に、同バルブアセンブリの分解斜視図を示す。
図1、
図2に示すように、本実施形態のバルブアセンブリ1は、管体9の内部に配置されている。流体は、管体9の内部を、前側(上流側)から後側(下流側)に向かって、流動する。バルブアセンブリ1は、ハウジング2と、弁体3と、閉方向付勢部4と、開方向付勢部5と、を備えている。
【0020】
ハウジング2は、中空部20と、上流側スペーサ部21と、下流側スペーサ部22と、を備えている。中空部20は、ハウジング本体200と、上流側キャップ201と、下流側キャップ202と、を備えている。ハウジング本体200は、前後方向に延びる円筒状を呈している。ハウジング本体200の前後両端には、開口が配置されている。ハウジング本体200の側周壁には、複数の中間流出孔200aと、複数の中間流入孔200bと、が開設されている。中間流出孔200aは、中間流入孔200bの前側(上流側)に配置されている。
【0021】
上流側キャップ201は、円板状を呈している。上流側キャップ201は、ハウジング本体200の前端開口を封止している。上流側キャップ201には、流入孔201aが配置されている。流入孔201aは、上流側キャップ201を前後方向に貫通している。下流側キャップ202は、円板状を呈している。下流側キャップ202は、ハウジング本体200の後端開口を封止している。下流側キャップ202には、流出孔202aが配置されている。流出孔202aは、下流側キャップ202を前後方向に貫通している。
【0022】
上流側スペーサ部21は、リング状を呈している。上流側スペーサ部21は、ハウジング本体200の前端(軸方向一端)に配置されている。上流側スペーサ部21は、ハウジング本体200の外周面から径方向外側に延在している。上流側スペーサ部21の径方向外端は、管体9の内周面に、全周的に当接している。上流側スペーサ部21は、管体9の内部空間を、前側と後側とに遮断している。
【0023】
下流側スペーサ部22は、リング状を呈している。下流側スペーサ部22は、ハウジング本体200の後端(軸方向他端)に配置されている。下流側スペーサ部22は、ハウジング本体200の外周面から径方向外側に延在している。下流側スペーサ部22の径方向外端は、管体9の内周面に、全周的に当接している。下流側スペーサ部22は、管体9の内部空間を、前側と後側とに遮断している。
【0024】
上流側スペーサ部21の後面と、下流側スペーサ部22の前面と、ハウジング本体200の外周面と、管体9の内周面と、の間には、リング状の隙間Cが区画されている。中間流出孔200a、中間流入孔200bは、隙間Cに開口している。
【0025】
弁体3は、前後方向に延びる円柱状を呈している。弁体3は、ハウジング本体200の内部に配置されている。弁体3の外径と、ハウジング本体200の内径と、は略一致している。弁体3は、ハウジング本体200の内部を、前後方向(開閉方向)に往復動可能である。
【0026】
閉方向付勢部4は、コイルばねである。閉方向付勢部4は、ハウジング本体200の内部に配置されている。閉方向付勢部4は、下流側キャップ202の前面と、弁体3の後面と、の間に介在している。閉方向付勢部4は、弁体3を、前側(閉方向)に付勢している。
【0027】
開方向付勢部5は、コイルばねである。開方向付勢部5は、ハウジング本体200の内部に配置されている。開方向付勢部5は、上流側キャップ201の後面と、弁体3の前面と、の間に介在している。開方向付勢部5は、弁体3を、後側(開方向)に付勢している。
【0028】
<閉方向付勢部および開方向付勢部の特性>
次に、本実施形態のバルブアセンブリの閉方向付勢部および開方向付勢部の特性について説明する。
図3に、本実施形態のバルブアセンブリの閉方向付勢部および開方向付勢部の荷重−変位関係を示す。
図4に、同バルブアセンブリの動作模式図(前後方向(軸方向)断面図)を示す。
【0029】
なお、
図3の横軸(変位)において、左側は
図1、
図2の「前側」に、右側は
図1、
図2の「後側」に、各々対応している。
【0030】
また、閉方向付勢部4は、弁体3を、
図1、
図2の「前側」に付勢している。
図1、
図2の「後側」に閉方向付勢部4が縮むと、閉方向付勢部4が弁体3に加える付勢力は大きくなる。このため、
図3に示すように、閉方向付勢部4に関しては、
図1、
図2の「前側」から「後側」に向かう方向を、付勢力の正(+)方向と定義している。
【0031】
これに対して、開方向付勢部5は、弁体3を、
図1、
図2の「後側」に付勢している。
図1、
図2の「前側」に開方向付勢部5が縮むと、開方向付勢部5が弁体3に加える付勢力は大きくなる。このため、
図3に示すように、開方向付勢部5に関しては、閉方向付勢部4とは逆に、
図1、
図2の「後側」から「前側」に向かう方向を、付勢力の正(+)方向と定義している。
【0032】
図3に示すように、開方向付勢部5の前後方向のばね定数(荷重−変位直線の傾斜)k1は、閉方向付勢部4の前後方向のばね定数k2よりも、大きい。
図3に点線で示すように、荷重が加わっていない自由長状態において、開方向付勢部5の後端(先端)は、自由長位置D1に配置されている。これに対して、中立位置(流体から弁体3に圧力(荷重)が加わっていない状態であって、閉方向付勢部4からの付勢力と、開方向付勢部5からの付勢力と、が釣り合っている状態における、弁体3の位置)P0において、開方向付勢部5は、「自由長位置D1−中立位置P0」分だけ圧縮されている。中立位置P0において、開方向付勢部5は、当該圧縮量に応じて、弁体3を後側(開方向)に付勢している。
【0033】
同様に、
図3に点線で示すように、自由長状態において、閉方向付勢部4の前端(先端)は、自由長位置E1に配置されている。これに対して、中立位置P0において、閉方向付勢部4は、「自由長位置E1−中立位置P0」分だけ圧縮されている。中立位置P0において、閉方向付勢部4は、当該圧縮量に応じて、弁体3を前側(閉方向)に付勢している。なお、最大圧縮状態において、閉方向付勢部4の前端(先端)は、最大圧縮位置E2に配置されている。
【0034】
中立位置P0と、開方向付勢部5の自由長位置D1と、の間には、閉側領域A1が設定されている。閉側領域A1においては、閉方向付勢部4および開方向付勢部5から、弁体3に、付勢力が加わっている。また、開方向付勢部5の前後方向のばね定数k1と、閉方向付勢部4の前後方向のばね定数k2と、を合成したばね定数Kが、弁体3に作用している。このため、閉側領域A1においては、荷重の変化に対して、弁体3が変位しにくい。
【0035】
全閉位置(流体の流路が完全に閉じている状態における、弁体3の位置)P1は、閉側領域A1に設定されている。また、境界位置(流体の流路が開き始める状態(あるいは閉じ終わる状態)における、弁体3の位置)P3も、閉側領域A1に設定されている。
【0036】
開方向付勢部5の自由長位置D1と、閉方向付勢部4の最大圧縮位置E2と、の間には、開側領域A2が設定されている。
図4に示すように、開方向付勢部5は、弁体3に固定されていない。このため、開方向付勢部5の後端(先端)は、自由長位置D1よりも後側まで伸張することはできない。したがって、開側領域A2においては、閉方向付勢部4だけから、弁体3に、付勢力が加わっている。また、閉方向付勢部4のばね定数k2だけが、弁体3に作用している。このため、開側領域A2においては、荷重の変化に対して、弁体3が変位しやすい。特に、弁体3は、前側(閉方向)に変位しやすい。全開位置(流体の流路が完全に開いている状態における、弁体3の位置)P2は、開側領域A2に設定されている。
【0037】
<バルブアセンブリの動き>
次に、本実施形態のバルブアセンブリの動きについて説明する。なお、以下の説明においては、説明の便宜上、バルブアセンブリ1を構成する各部材(弁体3など)に加わる重力の影響を省略する。
【0038】
図4に示すように、全閉位置P1においては、開方向付勢部5の付勢力F1と、閉方向付勢部4の付勢力F2と、が弁体3に加わっている。また、開方向付勢部5の前後方向のばね定数k1と、閉方向付勢部4の前後方向のばね定数k2と、を合成したばね定数Kが、弁体3に作用している(
図3参照)。このため、流体の圧力が変動(例えば脈動)しても、弁体3は振動しにくい。また、仮に、流体の圧力変動に伴って弁体3が振動する場合であっても、弁体3の振動量B2(振幅)に対して、全閉位置P1と境界位置P3との間には、振動吸収距離B1が確保されている。このため、弁体3が振動しても、弁体3が、境界位置P3を通過して、誤って流路Lを開いてしまうおそれが小さい。
【0039】
全閉位置P1において、流体からの圧力が所定の開弁圧以上になると、弁体3は、後側に移動する。弁体3が境界位置P3を通過すると、中間流出孔200aが開口し始める。弁体3が全開位置P2に到達すると、中間流出孔200aが完全に開口する。このため、流路L(管体9の内部空間における上流側キャップ201の上流側→流入孔201a→ハウジング本体200の内部空間における弁体3の上流側→中間流出孔200a→隙間C→中間流入孔200b→ハウジング本体200の内部空間における弁体3の下流側→流出孔202a→管体9の内部空間における下流側キャップ202の下流側)が完全に開かれる。流体は、流路Lを経由して、管体9の内部を、前側から後側に向かって、流動する。
【0040】
全開位置P2においては、閉方向付勢部4の付勢力F2だけが弁体3に加わっている。また、閉方向付勢部4の前方向のばね定数k2だけが、弁体3に作用している(
図3参照)。このため、流体の圧力が小さくなると、弁体3は前方向に移動しやすい。すなわち、流体の圧力変動に対する弁体3の応答性が高い。
【0041】
全開位置P2において、流体からの圧力が所定の開弁圧未満になると、弁体3は、前側に移動する。弁体3が境界位置P3を通過すると、中間流出孔200aが完全に閉口する。このため、流路Lが完全に閉じられる。その後、弁体3は、全閉位置P1に到達する。
【0042】
<作用効果>
次に、本実施形態のバルブアセンブリ1の作用効果について説明する。本実施形態のバルブアセンブリ1によると、
図4に示すように、閉側領域A1内の全閉位置P1においては、弁体3は、閉方向付勢部4および開方向付勢部5により、開閉両方向に付勢されている。すなわち、
図3に示すように、閉方向付勢部4のばね定数k2と、開方向付勢部5のばね定数k1と、の合成のばね定数Kが、弁体3に作用している。弁体3の挙動は、当該合成のばね定数Kに依存している。このため、弁体3は、開閉両方向に動きにくい。したがって、流体の圧力が、開弁圧未満の圧力領域で変動する場合であっても、弁体3は変位しにくい(撓みにくい)。よって、本実施形態のバルブアセンブリ1によると、全閉位置P1において、弁体3が誤って流路Lを開きにくい。
【0043】
一方、
図4に示すように、開側領域A2内の全開位置P2においては、弁体3は、閉方向付勢部4により、閉方向に付勢されている。すなわち、閉方向付勢部4のばね定数k2が、弁体3に作用している。弁体3の挙動は、閉方向付勢部4のばね定数k2に依存している。このため、弁体3は、閉方向に動きやすい。したがって、流体の圧力変動に対する弁体3の応答性が高い。
【0044】
また、
図4に示すように、閉側領域A1(全閉位置P1、境界位置P3)においては、閉方向付勢部4および開方向付勢部5は、弁体3に当接している。一方、開側領域A2(全開位置P2)においては、閉方向付勢部4は弁体3に当接しているものの、開方向付勢部5は弁体3から離間している。このため、本実施形態のバルブアセンブリ1によると、
図3に示すように、閉側領域A1(ばね定数K)と開側領域A2(ばね定数k2(<K))との間で、簡単に、ばね定数を二段階に切り換えることができる。
【0045】
また、
図3に示すように、開方向付勢部5のばね定数k1は、閉方向付勢部4のばね定数k2よりも、大きい。このため、本実施形態のバルブアセンブリ1によると、簡単に、閉側領域A1におけるばね定数Kを、開側領域A2におけるばね定数k2よりも、大きくすることができる。また、全開位置P2は、開側領域A2に設定されている。開側領域A2において、弁体3の挙動は、閉方向付勢部4のばね定数k2に依存している。このため、流体の圧力変動に対する弁体3の応答性が高い。
【0046】
また、
図4に示すように、全閉位置P1と境界位置P3との間の振動吸収距離B1は、全閉位置P1における弁体3の振動量B2よりも、大きい。このため、本実施形態のバルブアセンブリ1によると、全閉位置P1において、流体の圧力変動に応じて弁体3が振動しても、誤って流路Lを開きにくい。
【0047】
また、本実施形態のバルブアセンブリ1によると、
図1、
図2に示すように、ハウジング2つまりバルブアセンブリ1全体が、管体9に収容されている。このため、管体9の外部に、バルブアセンブリ1の設置スペースを確保する必要がない。したがって、本実施形態のバルブアセンブリ1は、省スペース性に優れている。
【0048】
また、本実施形態のバルブアセンブリ1は、管体9内部のあらゆる場所に配置することができる。このため、バルブアセンブリ1の配置の自由度が高い。また、本実施形態のバルブアセンブリ1によると、管体9の内部にハウジング2を配置することにより、簡単に、当該管体9を流れる流体の流量を調整することができる。
【0049】
また、本実施形態のバルブアセンブリ1によると、
図4に示すように、ハウジング本体200内部のうち、閉方向付勢部4および開方向付勢部5を収容している部分が、流路Lの一部を兼ねている。このため、ハウジング本体200の内部に、閉方向付勢部4および開方向付勢部5の収容部と、流路Lの一部と、を別々に設ける場合と比較して、ハウジング本体200を小型化することができる。また、
図2に示すように、閉方向付勢部4、開方向付勢部5は、共にコイルばねである。このため、ばね定数k1、k2、Kの設定が容易である。
【0050】
<その他>
以上、本発明のバルブアセンブリの実施の形態について説明した。しかしながら、実施の形態は上記形態に特に限定されるものではない。当業者が行いうる種々の変形的形態、改良的形態で実施することも可能である。
【0051】
図5に、その他のバルブアセンブリ(その1)の前後方向(軸方向)模式断面図を示す。なお、
図4と対応する部位については同じ符号で示す。
図5に示すように、ハウジング2の前端壁に流入孔201aを開設してもよい。また、ハウジング2の側周壁に流出孔202aを開設してもよい。そして、流入孔201aに、上流側管体9aを接続してもよい。また、流出孔202aに、下流側管体9bを接続してもよい。また、ハウジング2の内部空間において、前端壁と弁体3との間に、閉方向付勢部4および開方向付勢部5を配置してもよい。
図5に示す全閉位置において、閉方向付勢部4は、弁体3を、前側から引っ張っている。すなわち、閉方向付勢部4は、弁体3に、前側(閉方向)の付勢力F2を加えている。これに対して、
図5に示す全閉位置において、開方向付勢部5は、弁体3を、前側から押圧している。すなわち、開方向付勢部5は、弁体3に、後側(開方向)の付勢力F1を加えている。
【0052】
本実施形態のバルブアセンブリ1のように、ハウジング2を上流側管体9a、下流側管体9bの外部に配置してもよい。また、弁体3の前後方向両側ではなく、片側だけに、閉方向付勢部4および開方向付勢部5を配置してもよい。また、閉方向付勢部4として、押圧タイプではなく、引張タイプのコイルばねを用いてもよい。
【0053】
図6に、その他のバルブアセンブリ(その2)の前後方向(軸方向)模式断面図を示す。なお、
図5と対応する部位については同じ符号で示す。
図6に示すように、ハウジング2の内部空間において、後端壁と弁体3との間に、閉方向付勢部4および開方向付勢部5を配置してもよい。
図6に示す全閉位置において、開方向付勢部5は、弁体3を、後側から引っ張っている。すなわち、開方向付勢部5は、弁体3に、後側(開方向)の付勢力F1を加えている。これに対して、
図6に示す全閉位置において、閉方向付勢部4は、弁体3を、後側から押圧している。すなわち、閉方向付勢部4は、弁体3に、前側(閉方向)の付勢力F2を加えている。
【0054】
本実施形態のバルブアセンブリ1によると、流路に、閉方向付勢部4および開方向付勢部5を配置する必要がない。このため、流体が流路を流れやすい。また、本実施形態のバルブアセンブリ1のように、ハウジング2を上流側管体9a、下流側管体9bの外部に配置してもよい。また、弁体3の前後方向両側ではなく、片側だけに、閉方向付勢部4および開方向付勢部5を配置してもよい。また、開方向付勢部5として、押圧タイプではなく、引張タイプのコイルばねを用いてもよい。また、
図3に示す開側領域A2において、閉方向付勢部4のみならず、開方向付勢部5が、弁体3に当接していてもよい。すなわち、
図3に示す全開位置P2において、自由長位置D1通過後の開方向付勢部5が、弁体3に当接していてもよい。
【0055】
また、
図3に示す開方向付勢部5のばね定数k1、閉方向付勢部4のばね定数k2の大小関係は特に限定しない。例えば、「ばね定数k1=ばね定数k2」、「ばね定数k1<ばね定数k2」であってもよい。この場合であっても、「閉側領域A1のばね定数K>開側領域A2のばね定数k2」の関係を確保することができる。
【0056】
また、
図4に示す境界位置P3と、閉側領域A1と開側領域A2との境界(
図3に示す自由長位置D1)と、を一致させてもよい。こうすると、流路Lを開く際、流路Lが開き始めるのと同時に、弁体3に作用するばね定数を、ばね定数Kからばね定数k2に切り換えることができる。また、閉側領域A1における全閉位置P1、境界位置P3の設定位置は特に限定しない。同様に、開側領域A2における全開位置P2の設定位置は特に限定しない。
【0057】
また、バルブアセンブリ1の配置方向は特に限定しない。
図1に示す前側が、後側、上側、下側、左側、右側などであってもよい。また、流体の種類は特に限定しない。例えば、液体(水、冷却液、オイルなど)、気体(空気、排気ガスなど)などであってもよい。また、流路Lの種類は特に限定しない。例えば、車両のオイル回路、冷却液回路などであってもよい。また、弁体3は、スプール弁、ポペット弁、バタフライ弁などであってもよい。弁体3をバタフライ弁とする場合、閉方向付勢部4により、バタフライ弁の弁軸を、閉方向(正転方向)に付勢すればよい。また、開方向付勢部5により、バタフライ弁の弁軸を、開方向(正転方向と反対の逆転方向)に付勢すればよい。また、閉方向付勢部4、開方向付勢部5は、皿ばね、板ばねなどであってもよい。また、閉方向付勢部4と開方向付勢部5とが、同じ種類のばねである必要はない。また、閉方向付勢部4、開方向付勢部5が、各々、複数のばねから構成されていてもよい。また、流体の圧送機械の種類は特に限定しない。ポンプ、コンプレッサ、ブロワなどであってもよい。