(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6265721
(24)【登録日】2018年1月5日
(45)【発行日】2018年1月24日
(54)【発明の名称】鉛化合物薄膜の製造方法
(51)【国際特許分類】
C23C 14/24 20060101AFI20180115BHJP
C23C 14/08 20060101ALI20180115BHJP
H01L 21/316 20060101ALI20180115BHJP
H01L 41/316 20130101ALN20180115BHJP
【FI】
C23C14/24 B
C23C14/08 K
H01L21/316 X
!H01L41/316
【請求項の数】5
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-252805(P2013-252805)
(22)【出願日】2013年12月6日
(65)【公開番号】特開2015-110812(P2015-110812A)
(43)【公開日】2015年6月18日
【審査請求日】2016年11月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002303
【氏名又は名称】スタンレー電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091340
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 敬四郎
(74)【代理人】
【識別番号】100141302
【弁理士】
【氏名又は名称】鵜飼 伸一
(72)【発明者】
【氏名】森田 睦
【審査官】
今井 淳一
(56)【参考文献】
【文献】
特開2008−075168(JP,A)
【文献】
特開平03−219071(JP,A)
【文献】
特開2011−204776(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 14/24
C23C 14/08
H01L 21/316
H01L 41/316
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
チャンバと、該チャンバ内に配置され、鉛を含む複数種類の蒸発原料を具備する複数の蒸発源と、該チャンバ内であって該複数の蒸発源の上方に配置され、基板を保持することができる基板ホルダと、を備える蒸着装置を用いた鉛化合物薄膜の製造方法であって、
a)前記複数の蒸発源のうちの1つの蒸発源として、
電力供給されることにより発熱する部材により構成され、容器状の形状を有し、電力供給された際に側面部が底面部よりも高温になるルツボ、
前記ルツボに収容される鉛原料、
前記ルツボに収容される前記鉛原料に電子ビームを照射する電子銃、および、
前記ルツボに電力供給する電源、
を含む鉛蒸発源を準備する工程と、
b)前記基板ホルダに基板を配設する工程と、
c)前記鉛蒸発源のルツボに電力供給して該ルツボの側面部を底面部よりも高温に加熱しつつ、該鉛蒸発源の鉛原料に電子ビームを照射して該鉛原料を蒸発させるとともに、該鉛蒸発源を除く前記複数の蒸発源からも複数種類の蒸発原料を蒸発させて、前記基板表面に鉛化合物薄膜を蒸着する工程と、
を有する鉛化合物薄膜の製造方法。
【請求項2】
前記ルツボは、上面が開放された円筒形状を有し、側面部の厚みが底面部の厚みの半分以下であり、高さが15mm〜25mmであり、直径が30mm〜60mmである請求項1記載の鉛化合物薄膜の製造方法。
【請求項3】
前記ルツボは、さらに、側面部の外側に結合し、前記底面部の厚みよりも厚い一対の張り出し部を含み、
前記電源は、前記ルツボの一対の張り出し部に電気的に接続する請求項2記載の鉛化合物薄膜の製造方法。
【請求項4】
前記工程c)において、前記ルツボの側面部の温度は、前記鉛原料が溶融する温度よりも高い請求項1〜3いずれか1項記載の鉛化合物薄膜の製造方法。
【請求項5】
前記複数の蒸発源は、前記鉛蒸発源のほかに、ジルコニウム原料を備えるジルコニウム蒸発源およびチタン原料を備えるチタン蒸発源を含み、前記鉛化合物薄膜は、PZT膜である請求項1〜4いずれか1項記載の鉛化合物薄膜の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉛を含む化合物薄膜を物理蒸着法により製造する方法、および、その製造方法に用いるルツボに関する。
【背景技術】
【0002】
チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)やチタン酸ジルコン酸ランタン鉛(PLZT)等に代表される、鉛を含む多元系酸化物強誘電体は、優れた圧電性や焦電性、電気光学特性等を有し、様々な電子デバイスへ応用されている。このような多元系酸化物強誘電体は、真空蒸着法やイオンプレーティング法等の物理蒸着法を用いて、基板上に成膜することができる。たとえば、特許文献1,2には、圧力勾配型アーク放電プラズマガンで生成した高密度プラズマで、蒸発源から蒸発した各種ソースガスを活性化し、酸素雰囲気中で、基板上に多元系酸化物強誘電体からなる薄膜を蒸着する、アーク放電反応式イオンプレーティング法、が提案されている。
【0003】
このような物理蒸着法において、蒸発原料は、一般に電子ビームを用いて溶融・蒸発される。特許文献3には、蒸発原料を溶融・蒸発させる際に生じうるスプラッシュ(突沸)を抑制するために、ヒータ等により蒸発原料を均一に加熱しながら、当該蒸発原料に電子ビームを照射して、当該蒸発原料を溶融・蒸発させる方法が提案されている。蒸発原料の突沸は、当該蒸発原料に含有されるガス(空気等)が、加熱され融液化したPb原料から放出される際に生じるものと考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許4138196号公報
【特許文献2】特開2011−204776号公報
【特許文献3】特開平09−143694号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
蒸発原料が突沸すると融液化した当該蒸発原料が激しく飛散するため、成膜される薄膜に、当該蒸発原料の飛沫が付着して、当該蒸発原料からなる小塊(パーティクル)が形成されうる。このようなパーティクルは、薄膜の結晶性を劣化させる可能性があるため、薄膜におけるパーティクル数(ないしパーティクル密度)は極力低減させることが好ましい。
【0006】
また、本願発明者の検討によれば、PZT等の鉛化合物薄膜を蒸着する際に用いられる鉛原料は、特に突沸が生じやすいことがわかっている。
【0007】
本発明の目的は、良質な鉛化合物薄膜を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の1つの観点によれば、チャンバと、該チャンバ内に配置され、鉛を含む複数種類の蒸発原料を具備する複数の蒸発源と、該チャンバ内であって該複数の蒸発源の上方に配置され、基板を保持することができる基板ホルダと、を備える蒸着装置を用いた鉛化合物薄膜の製造方法であって、a)前記複数の蒸発源のうちの1つの蒸発源として、電力供給されることにより発熱する部材により構成され、容器状の形状を有し、電力供給された際に側面部が底面部よりも高温になるルツボ、前記ルツボに収容される鉛原料、前記ルツボに収容される前記鉛原料に電子ビームを照射する電子銃、および、前記ルツボに電力供給する電源、を含む鉛蒸発源を準備する工程と、b)前記基板ホルダに基板を配設する工程と、c)前記鉛蒸発源のルツボに電力供給して該ルツボの側面部を底面部よりも高温に加熱しつつ、該鉛蒸発源の鉛原料に電子ビームを照射して該鉛原料を蒸発させるとともに、該鉛蒸発源を除く前記複数の蒸発源からも複数種類の蒸発原料を蒸発させて、前記基板表面に鉛化合物薄膜を蒸着する工程と、を有する鉛化合物薄膜の製造方法、が提供される。
【発明の効果】
【0010】
鉛原料の突沸または飛散量が抑制され、良質な鉛化合物薄膜が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、アーク放電反応式イオンプレーティング装置の構成例を示す概略側面図である。
【
図2】
図2Aは、鉛蒸発源の構成例を示す概略側面図であり、
図2Bおよび
図2Cは、当該鉛蒸発源に用いられるルツボの構造を示す平面図および断面図である。
【
図3】
図3は、鉛化合物薄膜の製造方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、鉛化合物薄膜としてPZT膜を形成する方法について説明する。なお、鉛化合物薄膜は、PZT膜に限らず、PLZT膜などであってもよい。
【0013】
図1は、PZT膜を作製する際に用いるアーク放電反応性イオンプレーティング(ADRIP)装置100を示す概略側面図である。ADRIP装置100は、反応チャンバ(メインチャンバ)101に、主に、基板ホルダ104,各種蒸発源106〜108,ガス供給機構109,プラズマガン110およびサブチャンバ120等が取り付けられた構成である。
【0014】
反応チャンバ101には真空排気装置130に接続されおり、反応チャンバ101内を高真空(1x10
−4Pa以上の真空度、圧力としては1x10
−4Pa以下)に排気することが可能である。
【0015】
反応チャンバ101の上面を貫通して回転軸102が設けられており、背面に輻射加熱方式のヒータ103を備えた基板ホルダ104が接続されている。基板ホルダ104は、基板105を保持できる構成である。
【0016】
また、反応チャンバ101の上面を貫通して、反応ガス供給機構109が設けられており、反応ガス供給機構109から基板105表面に反応ガス、たとえば酸素(O
2)を供給することができる。
【0017】
反応チャンバ101の底部には、鉛(Pb)蒸発源106、ジルコニウム(Zr)蒸発源およびチタン(Ti)蒸発源108が備えられている。各種蒸発源106〜108は、それぞれPb,Zr,Ti原料がルツボに充填された構成を有している。各種蒸発原料は、たとえば電子ビーム照射により溶融・蒸発される。
【0018】
反応チャンバ101の側面には、陽極、陰極、磁場発生コイル等を備えたプラズマガン110が設けられている。プラズマガン110は、Ar,He等の不活性ガス(放電ガス)を、アーク放電により電離・活性化する。そして、磁場発生コイルにより発生する磁場・放電ガスの圧力勾配によって、チャンバ101内であって基板105と各種蒸発源106〜108との間にプラズマ118を導出する。
【0019】
なお、反応チャンバ101の側面には、サブチャンバ120が設けられている。サブチャンバ120は、高真空に排気が可能であり、また、基板105の収容が可能である。高真空に排気可能なサブチャンバ120を具備していることにより、反応チャンバ101内を高真空に維持したまま、基板105を反応チャンパ101に出し入れすることができる。
【0020】
図2Aは、Pb蒸発源106の構成を示す概略断面図であり、
図2Bおよび
図2Cは、Pb蒸発源106に用いられるルツボ10を示す平面図および断面図である。なお、Zr蒸発源107およびTi蒸発源108は、Pb蒸発源106と同様の構成であってもよいが、とくにこれらの構成に制限されず、一般に知られた蒸発源の構成としてもよい。
【0021】
Pb蒸発源106は、
図2Aに示すように、主に、ルツボ10、電源端子20、電源30、断熱部材40を含む構成である。なお、ルツボ10内には、Pb原料13が充填される。
【0022】
ルツボ10は、
図2Bおよび
図2Cに示すように、底面部11a(
図2Bにおいてピッチが相対的に狭い斜線模様を付している)および側面部11b(
図2Bにおいてピッチが相対的に広い斜線模様を付している)から構成される円筒形状の容器部11と、容器部11の側面部11bから外側に張り出す一対の取手部(張り出し部)12と、を含む形状である。容器部11の高さHは15mm〜25mm程度であり、直径Lは30mm〜60mm程度である。また、底面部11aの厚みd1は、側面部11bの厚みd2みよりも厚く、取手部12の厚みd3よりも薄い(d2<d1<d3)。たとえば、側面部11bの厚みd2は底面部11aの厚みd1の1/2以下であり、取手部12の厚みd3は底面部11aの厚みd1の4/3以上である。なお、ルツボ10は、電力供給されることにより発熱する部材、たとえばカーボン(C)や炭化ケイ素(SiC)等により構成される。
【0023】
このような構成を有するルツボ10は、
図2Aに示すように、その容器部11の主要部分が断熱部材40によって取り囲まれるように配置される。また、ルツボ10は、その取手部12と電気的に接続する電源端子20を介して、電源30から電力供給される。ルツボ10の取手部12と電源端子20とは、ネジやバネ等、適当な手段を介して接続される。
【0024】
なお、ルツボ10の下面に配置され、ルツボ10の温度を検出する熱電対31、および、熱電対31が検出したルツボ10の温度に基づいて、電源30による供給電力(出力電圧等)を制御する制御装置32を設けてもかまわない。電源30,熱電対31および制御装置32は、ルツボ10の温度を一定の温度に保持することができるフィードバックシステムを構成する。
【0025】
ルツボ10に電力が供給されると、つまり一方の取手部12から容器部11(底面部11aおよび側面部11b)を通って他方の取手部12に電流が流れると、ルツボ10は発熱する。電力供給された際の底面部11a,側面部11bおよび取手部12の温度をそれぞれT1〜T3としたとき、底面部11a,側面部11bおよび取手部12の厚み関係(d2<d1<d3)、つまり抵抗率の関係から、それらの温度関係はT3<T1<T2になるものとする。ルツボ10の発熱により、ルツボ10に収容されるPb原料13を予備的に加熱することができる。なお、熱電対31および制御装置32等から構成されるフィードバックシステムを設けることにより、ルツボ10の温度を一定の温度にコントロールすることができる。
【0026】
Pb蒸発源106は、さらに、電子銃50を備える。電子銃50から出射される電子ビーム51は、電界により加速され、また、磁界により集束・偏向されて、ルツボ10内のPb原料13に照射される。電子銃50の電子出射方式は、熱電子放出型でも電界放射型であってもよい。電子ビーム51の照射により、Pb原料13を溶融・蒸発させることができる。
【0027】
図3は、PZT膜の成膜工程を示すフローチャートである。以下、
図1に示されるADRIP装置100の構成、および、
図2に示されるPb蒸発源106の構成を参照しながら、PZT膜の成膜工程について説明する。
【0028】
まず、基板105を基板ホルダ104に配設する前に、反応チャンバ101内を、たとえば1x10
−4Pa以上の高真空に排気する(工程S101)。このとき、基板105はサブチャンバ120内に収容されており、サブチャンバ120内も反応チャンバ101内と同程度の真空度に排気される。
【0029】
次に、基板105をサブチャンバ120から反応チャンバ101に移動し、反応チャンバ101内の基板ホルダ104に配設する(工程S102)。続けて、輻射加熱方式のヒータ103により基板105の温度が500℃になるように加熱する(工程S102)。
【0030】
基板105の温度が約500℃に達した後、プラズマガン118にArガスを1sccm〜100sccm、Heガスを5sccm〜300sccm導入し、プラズマガン110の陰極と陽極との間に直流電圧を印加してアーク放電プラズマ118を発生させる。そして、磁場発生コイルにより発生する磁場・放電ガスの圧力勾配によってチャンバ101内にプラズマ118を導入する(工程S103)。続けて、反応ガス供給機構109から酸素ガスを50sccm〜400sccm導入して高密度の酸素プラズマ及び酸素の活性種を生成する(工程S104)。
【0031】
その後、各種蒸発源106,107,108からそれぞれPb、Zr、Ti原料を蒸発させる(工程S105,工程S106)。特に、Pb原料蒸発工程S106においては、電源30によりルツボ10に電力供給して、少なくとも側面部11bを底面部11aよりも高温に加熱しつつ、Pb原料13に電子ビーム51を照射してPb原料13を蒸発させる(
図2参照)。このとき、熱電対31および制御装置32等から構成されるフィードバックシステムにより、ルツボ10の温度が一定の温度になるようにコントロールする。
【0032】
なお、各種蒸発原料の蒸発量は、Pbの蒸発量がZrおよびTiの蒸発量の合計に対して10倍までの範囲になるように、かつ、ZrおよびTiの蒸発量がほぼ同等になるように制御することが好ましい。各種蒸発原料の蒸発量は、各種原料に照射する電子ビームの強度を調整することにより制御することができ、また、水晶振動子式膜厚センサなどを用いることにより検出・監視することができる。
【0033】
蒸発源106,107,108から蒸発した各種原料蒸気は、プラズマ118を通過する際に活性化されて、基板105に到達する。反応ガス供給機構109から酸素ガスが導入されることによって、高密度の酸素プラズマ及び酸素の活性種が生成され、基板105近傍で各種原料蒸気と反応してPZT膜105aを形成する。これにより、基板ホルダ104に保持される基板105表面に、ペロブスカイト型結晶構造を有するPZT膜105aが成膜される。
【0034】
本願発明者の検討によれば、Pb原料は、Zr原料およびTi原料に比べて突沸が生じやすいことがわかっている。Pb原料13が突沸により飛散すると、Pb原料13の飛沫が基板105に付着してしまう。このような突沸は、Pb原料蒸発工程S106において、ルツボ10の側面が比較的低温の場合に、蒸発されたPb原料13の蒸気がルツボ10の側面で析出して固形物となり、この固形物がルツボ10内の材料に落ちることで発生することが一つの原因と考えられる。
【0035】
ルツボ10の側面部11bが高温、具体的にはPbが溶融する温度よりも高い温度である場合、ルツボ10の側面部11bで固形物が析出することを防止し、仮に析出が生じたとしても付着したPb固形物は、再溶融されて側面部11bから再蒸発するためルツボ内に落ち込むこと、如いては突沸を防止するものと考えられる。このため、ルツボ10の側面部11bに付着した後に基板105に付着するPb飛沫が低減するものと考えられる。また、このことによって、基板105に付着する総合的なPb飛沫量が低減し、成膜されるPZT膜105aのPbパーティクル密度も低減するものと考えられる。
【0036】
さらに、Pb原料蒸発工程S106では、ルツボ10の側面部11bのみならず底面部11aをも発熱させて、Pb原料13を全体的に加熱しつつ、Pb原料13に電子ビームを照射する。突沸の原因としてはPb原料13に溶け込んでいたガスによるものも考えられるが、これにより、Pb原料13の急激な温度変化ないし著しい温度分布が緩和され、Pb原料13の突沸が抑制される。Pb原料13の突沸が抑制されることにより、融液化したPb原料13の飛散量が低減し、PZT膜105aにおけるPbパーティクル密度はさらに低減するものと考えられる。なお、ルツボ10の取手部12は、これと接続する電源端子20の熱疲労・熱劣化を抑制する観点から、極力低い温度であることが好ましい。
【0037】
以上、本発明を実施するための形態について説明したが、本発明はこれらに制限されるものではない。たとえば、基板表面に形成する薄膜は、PZT膜に限らず、Pbを含む化合物薄膜であればよいであろう。また、薄膜の形成方法は、ADRIP法に限らず、真空蒸着法やイオンプレーティング法など、Pb原料を溶融・蒸発させて成膜する方法であればよいであろう。その他、種々の変更、改良、組み合わせ等が可能なことは当業者に自明であろう。
【符号の説明】
【0038】
10…ルツボ、11…容器部、11a…底面部、11b…側面部、12…取手部、13…鉛原料、20…電源端子、30…電源、40…断熱部材、50…電子銃、51…電子ビーム、100…ADRIP装置、101…反応チャンバ(メインチャンバ)、102…回転軸、103…ヒータ、104…基板ホルダ、105…基板、105a…薄膜(PZT膜)、106〜108…蒸発源、109…反応ガス供給機構、110…プラズマガン、118…プラズマ、120…サブチャンバ、130…真空排気装置。