特許第6265742号(P6265742)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6265742クリック式ペン型アプリケータ装置およびその使用方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6265742
(24)【登録日】2018年1月5日
(45)【発行日】2018年1月24日
(54)【発明の名称】クリック式ペン型アプリケータ装置およびその使用方法
(51)【国際特許分類】
   A61M 35/00 20060101AFI20180115BHJP
   A61M 5/315 20060101ALI20180115BHJP
【FI】
   A61M35/00 Z
   A61M5/315 510
   A61M5/315 550X
【請求項の数】8
【全頁数】53
(21)【出願番号】特願2013-540040(P2013-540040)
(86)(22)【出願日】2011年11月18日
(65)【公表番号】特表2013-544154(P2013-544154A)
(43)【公表日】2013年12月12日
(86)【国際出願番号】US2011061327
(87)【国際公開番号】WO2012068432
(87)【国際公開日】20120524
【審査請求日】2014年11月17日
(31)【優先権主張番号】61/415,522
(32)【優先日】2010年11月19日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506161290
【氏名又は名称】バイエル・コンシューマー・ケア・アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Bayer Consumer Care AG
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【弁理士】
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【弁理士】
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100151448
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 孝博
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【弁理士】
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100203035
【弁理士】
【氏名又は名称】五味渕 琢也
(74)【代理人】
【識別番号】100185959
【弁理士】
【氏名又は名称】今藤 敏和
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【弁理士】
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】ジヨンソン,ロバート・シー
(72)【発明者】
【氏名】ワイトマン,ジエームズ・シー
(72)【発明者】
【氏名】フアーリー,マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ハイエツト,ジエフ
【審査官】 和田 将彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−000233(JP,A)
【文献】 特開平10−235273(JP,A)
【文献】 実開昭63−095514(JP,U)
【文献】 特表平11−514242(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0063766(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0072963(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 35/00
A61M 5/315
A45D 34/00
A46B 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
製剤を送出するための装置であって、
近位端および遠位端を有するとともに、製剤が配置された貯蔵部を定めているセンターバンドと、
前記センターバンドの遠位端に位置するアプリケータ部と、
前記センターバンドの近位端に位置し、ねじ無し長を備えるシャフト上に2組の雄ねじを有するピストン座を備える、クリック送出機構によって迅速なプライミングを行う多段アクチュエータ部と、
を備え、
ここで、前記シャフトは、ピストン座の遠位端においてプライミングねじ山部(第1組の雄ねじ)と、プライミングねじ山部の近位側に位置するねじ無し長と、ねじ無し長からシャフトの近位端へとシャフトの残りの全長に延びている投薬ねじ山部(第2組の雄ねじ)とを備え、更に、
前記多段アクチュエータ部は、
前記ピストン座の雄ねじに係合するように構成された雌ねじを有するらせんと、
前記ピストン座と前記らせんとの間に動作可能に係合したプライミングばねと、
前記ピストン座の遠位端に取り付けられたカップと、
前記カップと前記センターバンドの近位端との間のシールと、
前記ピストン座の前記シャフトに係合したギアと、
前記ギアと前記らせんとの間に配置されたクリックばねと、
前記ギアに係合したらせんスリーブおよび押しボタン、
を備え、
ピストン座のシャフトは、ギアと取り合うように構成されたキー付きの形状を備え、ギアの中央通路の一部分は、ピストン座のシャフトと取り合うように構成されたキー付きの形状を備えており、
らせんの近位端は、らせんスリーブと係合してらせんをらせんスリーブへと固定するように構成された少なくとも1つのスナップ要素を備え、
らせんスリーブの遠位端は、らせんの少なくとも1つのスナップ要素を受け入れることによってらせんをらせんスリーブへと固定するように構成された少なくとも1つのスナップ溝を備え、
ギアは、ギアの近位端に面しながら斜めの歯を備え、この斜めの歯は、らせんスリーブおよび押しボタンと係合するように構成され、
らせんスリーブは、らせんスリーブの遠位端に面しながら斜めの歯をさらに備え、この斜めの歯は、ギアの斜めの歯と係合するように構成され、押しボタンの遠位端は、押しボタンの遠位端に面しながら斜めの歯を備え、この斜めの歯は、ギアの斜めの歯と係合するように構成され
そして、
前記多段アクチュエータ部において、前記プライミングばねが、前記らせんの前記雌ねじが前記ピストン座の前記プライミングねじ山部に係合しなくなるときに前記ピストン座の前記ねじ無し長だけ伸び、
それにより前記投薬ねじ山部と前記雌ねじが係合し、その後、製剤がセンターバンドから送出される、
装置。
【請求項2】
前記ピストン座の前記2組の雄ねじが、同じピッチを有する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記2組の雄ねじのうちのプライミングねじ山部が、前記2組の雄ねじのうちの投薬ねじ山部よりも短い長さを有する、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記2組の雄ねじのうちの投薬ねじ山部のピッチが、送出の操作のたびに個別の1回分の量を送り出すように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記アプリケータ部が、
前記センターバンドの遠位端に取り付けられた通過台座と、
前記通過台座と前記センターバンドの遠位端との間のシールと、
前記通過台座の内側に位置する開口リデューサと、
前記通過台座の遠位端に取り付けられたノーズと、
前記センターバンドの遠位端に取り付けられたキャップと、
を備える、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記キャップが、前記アプリケータ部の前記ノーズおよび前記通過台座の少なくとも一方を封止するように構成された軸棒を備える、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記カップと前記センターバンドの近位端との間の前記シールが、Oリングであり、前記通過台座と前記センターバンドの遠位端との間の前記シールが、Oリングである、請求項5に記載の装置。
【請求項8】
前記製剤が、サリチル酸を含む、請求項1に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、先行の2010年11月19日付の米国仮特許出願第61/415,522号に基づき、この米国仮特許出願からの優先権の利益を主張し、この米国仮特許出願の全内容が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、クリック式ペン型アプリケータ装置およびクリック式ペン型アプリケータ装置を使用する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
既存のペン型アプリケータは、一般に、ペン型アプリケータから製剤を送出するためにねじり(ツイスト)の機能を利用する。これらのツイスト式ペン型アプリケータは、一般に、アプリケータの残りの部分に対してねじられ、あるいは回転させられることで、ツイスト式ペン型アプリケータ内に収容された製剤を前進させる回転部を備えている。しかしながら、そのようなツイスト式ペン型アプリケータは、回転部がおおむね自由に回転可能であるので、所定の量の製剤をもたらすことができない。したがって、ユーザが、個々の用途に合わせて送り出される製剤の適切な量を判断する必要がある。さらに、ツイスト式ペン型アプリケータは、密封の問題に悩まされる可能性がある。さらに、そのようなツイスト式ペン型アプリケータにおいては、一般に、ツイスト式ペン型アプリケータをプライミングして製剤をすぐに送り出せる状態にするために、回転部を何度も回転させる必要がある。
【0004】
クリック式ペン型アプリケータは、一般に、アプリケータの残りの部分に対して押され、あるいはクリックされることで、クリック式ペン型アプリケータ内に収容された製剤を前進させる操作部を備えている。さらに、そのようなクリック式ペン型アプリケータは、例えば蒸発する傾向にあるか又は時間につれて重量が減少する傾向にある製剤などのとりわけより良好な密封を必要とする製剤において、クリック式ペン型アプリケータをツイスト式ペン型アプリケータよりも望ましくないものにしてしまう可能性がある密封の問題を有することが以前から知られている。さらに、クリック式ペン型アプリケータにおいても、一般に、クリック式ペン型アプリケータをプライミングして製剤をすぐに送り出せる状態にするために、操作部を何度もクリックする必要がある。先行技術のクリックペン170が、図17および図18に示されている。
【0005】
このように、既存のペン型アプリケータは、密封が不適切であり、製剤の送出を制御することができず、アプリケータをプライミングしてすぐに使用できる状態にするために何回もの操作が必要であるという共通の問題を共有している。例えば、不適切な密封は、アプリケータの使用の間の単なる保管の際に、製剤が蒸発してしまうという結果につながりかねない。また、送出を制御することができないと、個々の用途においてユーザによる製剤の適用が過剰又は不足し、有害な又は効果のない結果となる可能性がある。
【0006】
さらに、プライミングに何回もの操作が必要であることで、アプリケータが実際には機能しているが未だ完全にはプライミングされていないときに、ユーザが、アプリケータが壊れており、機能しておらず、空であり、乾ききっており、あるいは使用不可能であると判断してしまう可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、蒸発および/または減量を少なくすべく製剤の封止を改善し、正確な適用のための製剤の所定の投与をもたらし、アプリケータをすぐに使用できるように準備するために製剤を迅速にプライミングするアプリケータが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の非限定的な一実施形態においては、製剤を送出するための装置は、近位端および遠位端を有するとともに、製剤が配置された貯蔵部を定めているセンターバンドと;前記センターバンドの遠位端に位置するアプリケータ部と;前記センターバンドの近位端に位置し、ねじ無し長を備えるシャフト上に2組の雄ねじを有するピストン座を備えるクリック送出機構によって迅速なプライミングを行う多段アクチュエータ部と;を備える。
【0009】
本発明の非限定的な別の実施形態においては、前記多段アクチュエータ部は、前記ピストン座の雄ねじに係合するように構成された雌ねじを有するらせんと、前記ピストン座と前記らせんとの間に動作可能に係合したプライミングばねとを備える。
【0010】
本発明の非限定的な別の実施形態においては、前記ピストン座の前記2組の雄ねじは、同じピッチを有する。
【0011】
本発明の非限定的な別の実施形態においては、前記2組の雄ねじのうちの第1組の雄ねじは、前記2組の雄ねじのうちの第2組の雄ねじよりも短い長さを有する。
【0012】
本発明の非限定的な別の実施形態においては、前記2組の雄ねじのうちの第2組の雄ねじのピッチは、送出の操作のたびに個別の1回分の量を送り出すように構成される。
【0013】
本発明の非限定的な別の実施形態においては、前記プライミングばねは、前記らせんの前記雌ねじが前記ピストン座の前記雄ねじに係合していないときに前記ピストン座の前記ねじ無し長だけ伸びるように構成される。
【0014】
本発明の非限定的な別の実施形態においては、前記多段アクチュエータ部は、前記ピストン座の遠位端に取り付けられたカップと、前記カップと前記センターバンドの近位端との間のシールと、前記ピストン座の前記シャフトに動作可能に係合したギアと、前記ギアと前記らせんとの間に動作可能に配置されたクリックばねと、前記ギアに動作可能に係合したらせんスリーブおよび押しボタンをさらに備え、前記押しボタンがロック要素を有する。
【0015】
本発明の非限定的な別の実施形態においては、前記アプリケータ部は、前記センターバンドの遠位端に取り付けられた通過台座と、前記通過台座と前記センターバンドの遠位端との間のシールと、前記通過台座の内側に位置する開口リデューサと、前記通過台座の遠位端に取り付けられたノーズと、前記センターバンドの遠位端に取り付けられたキャップとを備える。
【0016】
本発明の非限定的な別の実施形態においては、前記キャップは、前記アプリケータ部の前記ノーズおよび前記通過台座の少なくとも一方を封止するように構成された棒軸を備える。
【0017】
本発明の非限定的な別の実施形態においては、前記カップと前記センターバンドの近位端との間のシールは、Oリングであり、前記通過台座と前記センターバンドの遠位端との間のシールは、Oリングである。
【0018】
本発明の非限定的な別の実施形態においては、前記製剤はサリチル酸を含む。
【0019】
本発明のさらに非限定的な別の実施形態においては、クリック式ペン型送出装置を使用した製剤のプライミングおよび投薬の方法は、ねじ無し長を備えるシャフト上に2組の雄ねじを有するピストン座を備えるクリック式アプリケータを使用して、プライミング速度で製剤のプライミングを行うステップと、前記クリック式アプリケータを使用し、前記プライミング速度とは異なる投薬速度で製剤の投薬を行うステップとを含む。
【0020】
本発明の非限定的な別の実施形態においては、前記クリック式アプリケータは、片手を用いて操作される。
【0021】
本発明の非限定的な別の実施形態においては、前記クリック式アプリケータは、プライミングおよび投薬を防止するためのロック要素を備える。
【0022】
本発明の非限定的な別の実施形態においては、前記製剤はサリチル酸を含む。
【0023】
本発明の非限定的な別の実施形態においては、前記プライミングを行うステップは、少なくとも1つの細かい(fine)プライミング速度と、粗い(gross)プライミング速度とを含む。
【0024】
本発明の非限定的な別の実施形態においては、前記投薬を行うステップは、所定の1回分の量の製剤を送り出し、前記プライミングを行うステップが、所定のプライミング量の薬剤を送り出す。
【0025】
本発明のさらに非限定的な別の実施形態において、
近位端および遠位端を有するとともに、遠位端および近位端を有し、製剤が配置された貯蔵部を定めているセンターバンドと、前記センターバンドの遠位端に位置するアプリケータ部と、前記センターバンドの近位端に位置する多段アクチュエータ部とを備える装置を使用して製剤を送出する方法は、ねじ無し長を備えるシャフト上に2組の雄ねじを有するピストン座を備える前記多段アクチュエータ部のプライミング動作によって、前記装置をプライミングするステップであって、前記所定の1回分の量よりも多い量を変位させる粗いプライミング動作を含むステップと、その後の前記多段アクチュエータ部の送出動作によって前記アプリケータ部を介して所定の1回分の製剤を送出するステップと、前記所定の1回分を前記アプリケータ部を介して適用するステップとを含む。
【0026】
本発明の非限定的な別の実施形態においては、前記プライミングするステップは、前記粗いプライミング動作の量よりも少ない量を変位させる少なくとも1つの細かいプライミング動作を含む。
【0027】
本発明の非限定的な別の実施形態においては、前記プライミングするステップは、前記所定の1回分の量に等しい量を変位させる少なくとも1つの細かいプライミング動作を含む。
【0028】
本発明の他の特徴および態様が、以下の図面の簡単な説明、実施形態(ただし、本発明がこれらの実施形態に限られるわけではない)の詳細な説明、添付の特許請求の範囲、および添付の図面からさらに十分に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1A】本発明による、組み立てられた状態のクリック式ペン型アプリケータ装置の例示的な実施形態の概略の斜視図を示している。
図1B図1Aの例示的な実施形態の概略の側面図を示している。
図1C図1Aの例示的な実施形態について、図1Bに示した線A−Aに沿って得た概略の断面図を示している。
図1D図1Aの例示的な実施形態の概略の上面図を示している。
図1E図1Aの例示的な実施形態の概略の底面図を示している。
図1F】本発明による、組み立てられた状態のクリック式ペン型アプリケータ装置の別の例示的な実施形態の概略の斜視図を示している。
図1G図1Fの例示的な実施形態の概略の側面図を示している。
図1H図1Fの例示的な実施形態について、図1Gに示した線A−Aに沿って得た概略の断面図を示している。
図1I図1Fの例示的な実施形態の概略の上面図を示している。
図1J図1Fの例示的な実施形態の概略の底面図を示している。
図2A】本発明によるセンターバンドの例示的な実施形態の概略の斜視図を示している。
図2B図2Aの例示的な実施形態の概略の側面図を示している。
図2C図2Aの例示的な実施形態について、図2Bに示した線A−Aに沿って得た概略の断面図を示している。
図2D図2Aの例示的な実施形態の概略の上面図を示している。
図2E図2Aの例示的な実施形態の概略の底面図を示している。
図2F】本発明によるセンターバンドの別の例示的な実施形態の概略の斜視図を示している。
図2G図2Fの例示的な実施形態の概略の側面図を示している。
図2H図2Fの例示的な実施形態について、図2Gに示した線A−Aに沿って得た概略の断面図を示している。
図2I図2Fの例示的な実施形態の概略の上面図を示している。
図2J図2Fの例示的な実施形態の概略の底面図を示している。
図3A】本発明による通過台座の例示的な実施形態の概略の斜視図を示している。
図3B図3Aの例示的な実施形態の概略の側面図を示している。
図3C図3Aの例示的な実施形態について、図3Bに示した線A−Aに沿って得た概略の断面図を示している。
図3D図3Aの例示的な実施形態の概略の上面図を示している。
図3E図3Aの例示的な実施形態の概略の底面図を示している。
図3F】本発明による通過台座の別の例示的な実施形態の概略の斜視図を示している。
図3G図3Fの例示的な実施形態の概略の側面図を示している。
図3H図3Fの例示的な実施形態について、図3Gに示した線A−Aに沿って得た概略の断面図を示している。
図3I図3Fの例示的な実施形態の概略の上面図を示している。
図3J図3Fの例示的な実施形態の概略の底面図を示している。
図3K】本発明による通過台座のさらに別の例示的な実施形態の概略の側面図を示している。
図4A】本発明によるシール要素の例示的な実施形態の概略の斜視図を示している。
図4B図4Aの例示的な実施形態の概略の上面図を示している。
図4C図4Aの例示的な実施形態の概略の側面図を示している。
図5A】本発明による開口リデューサの例示的な実施形態の概略の斜視図を示している。
図5B図5Aの例示的な実施形態の概略の側面図を示している。
図5C図5Aの例示的な実施形態について、図5Bに示した線A−Aに沿って得た概略の断面図を示している。
図5D図5Aの例示的な実施形態の概略の上面図を示している。
図5E図5Aの例示的な実施形態の概略の底面図を示している。
図5F】本発明による開口リデューサの別の例示的な実施形態の概略の斜視図を示している。
図5G図5Fの例示的な実施形態の概略の側面図を示している。
図5H図5Fの例示的な実施形態について、図5Gに示した線A−Aに沿って得た概略の断面図を示している。
図5I図5Fの例示的な実施形態の概略の上面図を示している。
図5J図5Fの例示的な実施形態の概略の底面図を示している。
図6A】本発明によるノーズの例示的な実施形態の概略の斜視図を示している。
図6B図6Aの例示的な実施形態の概略の側面図を示している。
図6C図6Aの例示的な実施形態について、図6Bに示した線A−Aに沿って得た概略の断面図を示している。
図6D図6Aの例示的な実施形態の概略の上面図を示している。
図6E図6Aの例示的な実施形態の概略の底面図を示している。
図6F】本発明によるノーズの別の例示的な実施形態の概略の斜視図を示している。
図6G図6Fの例示的な実施形態の概略の側面図を示している。
図6H図6Fの例示的な実施形態について、図6Gに示した線A−Aに沿って得た概略の断面図を示している。
図6I図6Fの例示的な実施形態の概略の上面図を示している。
図6J図6Fの例示的な実施形態の概略の底面図を示している。
図6K】本発明によるノーズのさらに別の例示的な実施形態の概略の斜視図を示している。
図6L図6Kの例示的な実施形態の概略の側面図を示している。
図6M図6Kの例示的な実施形態について、図6Lに示した線A−Aに沿って得た概略の断面図を示している。
図6N図6Kの例示的な実施形態の概略の上面図を示している。
図6O図6Kの例示的な実施形態の概略の底面図を示している。
図6P】本発明によるノーズのさらに別の例示的な実施形態の概略の斜視図を示している。
図6Q図6Pの例示的な実施形態の概略の側面図を示している。
図6R図6Pの例示的な実施形態について、図6Qに示した線A−Aに沿って得た概略の断面図を示している。
図6S図6Pの例示的な実施形態の概略の上面図を示している。
図6T図6Pの例示的な実施形態の概略の底面図を示している。
図6U】本発明によるノーズのさらに別の例示的な実施形態の概略の斜視図を示している。
図6V図6Uの例示的な実施形態の概略の側面図を示している。
図6W図6Uの例示的な実施形態について、図6Vに示した線A−Aに沿って得た概略の断面図を示している。
図6X図6Uの例示的な実施形態の概略の上面図を示している。
図6Y図6Uの例示的な実施形態の概略の底面図を示している。
図7A】本発明によるキャップの例示的な実施形態の概略の斜視図を示している。
図7B図7Aの例示的な実施形態の概略の側面図を示している。
図7C図7Aの例示的な実施形態について、図7Bに示した線A−Aに沿って得た概略の断面図を示している。
図7D図7Aの例示的な実施形態の概略の上面図を示している。
図7E図7Aの例示的な実施形態の概略の底面図を示している。
図7F】本発明によるキャップの別の例示的な実施形態の概略の斜視図を示している。
図7G図7Fの例示的な実施形態の概略の側面図を示している。
図7H図7Fの例示的な実施形態について、図7Gに示した線A−Aに沿って得た概略の断面図を示している。
図7I図7Fの例示的な実施形態の概略の上面図を示している。
図7J図7Fの例示的な実施形態の概略の底面図を示している。
図8A】本発明によるピストン座の例示的な実施形態の概略の斜視図を示している。
図8B図8Aの例示的な実施形態の概略の側面図を示している。
図8C図8Aの例示的な実施形態について、図8Bに示した線A−Aに沿って得た概略の断面図を示している。
図8D図8Aの例示的な実施形態の概略の上面図を示している。
図8E図8Aの例示的な実施形態の概略の底面図を示している。
図9A】本発明によるカップの例示的な実施形態の概略の斜視図を示している。
図9B図9Aの例示的な実施形態の概略の側面図を示している。
図9C図9Aの例示的な実施形態について、図9Bに示した線A−Aに沿って得た概略の断面図を示している。
図9D図9Aの例示的な実施形態の概略の上面図を示している。
図9E図9Aの例示的な実施形態の概略の底面図を示している。
図10A】本発明によるらせんの例示的な実施形態の概略の斜視図を示している。
図10B図10Aの例示的な実施形態の概略の側面図を示している。
図10C図10Aの例示的な実施形態について、図10Bに示した線A−Aに沿って得た概略の断面図を示している。
図10D図10Aの例示的な実施形態の概略の上面図を示している。
図10E図10Aの例示的な実施形態の概略の底面図を示している。
図11A】本発明によるプライミングばねの例示的な実施形態の概略の斜視図を示している。
図11B図11Aの例示的な実施形態の概略の上面図を示している。
図11C図11Aの例示的な実施形態の概略の側面図を示している。
図12A】本発明によるギアの例示的な実施形態の概略の斜視図を示している。
図12B図12Aの例示的な実施形態の概略の側面図を示している。
図12C図12Aの例示的な実施形態について、図12Bに示した線A−Aに沿って得た概略の断面図を示している。
図12D図12Aの例示的な実施形態の概略の上面図を示している。
図12E図12Aの例示的な実施形態の概略の底面図を示している。
図13A】本発明によるクリックばねの例示的な実施形態の概略の斜視図を示している。
図13B図13Aの例示的な実施形態の概略の上面図を示している。
図13C図13Aの例示的な実施形態の概略の側面図を示している。
図14A】本発明によるらせんスリーブの例示的な実施形態の概略の斜視図を示している。
図14B図14Aの例示的な実施形態の概略の側面図を示している。
図14C図14Aの例示的な実施形態について、図14Bに示した線A−Aに沿って得た概略の断面図を示している。
図14D図14Aの例示的な実施形態の概略の上面図を示している。
図14E図14Aの例示的な実施形態の概略の底面図を示している。
図15A】本発明による押しボタンの例示的な実施形態の概略の斜視図を示している。
図15B図15Aの例示的な実施形態の概略の側面図を示している。
図15C図15Aの例示的な実施形態について、図15Bに示した線A−Aに沿って得た概略の断面図を示している。
図15D図15Aの例示的な実施形態の概略の上面図を示している。
図15E図15Aの例示的な実施形態の概略の底面図を示している。
図16】本発明によるクリック式ペン型アプリケータ装置の例示的な実施形態の概略の分解斜視図を示している。
図17A】先行技術のクリック式ペン型アプリケータ装置の概略の斜視図を示している。
図17B図17Aの先行技術のクリック式ペン型アプリケータ装置の概略の側面図を示している。
図17C図17Aの先行技術のクリック式ペン型アプリケータ装置について、図17Bに示した線A−Aに沿って得た概略の断面図を示している。
図17D図17Aの先行技術のクリック式ペン型アプリケータ装置の概略の上面図を示している。
図17E図17Aの先行技術のクリック式ペン型アプリケータ装置の概略の底面図を示している。
図18】先行技術のクリック式ペン型アプリケータ装置の概略の分解斜視図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1A図1Eは、本発明による組み立てられた状態のクリック式ペン型アプリケータ装置10の例示的な実施形態を示している。図1F図1Jは、本発明による組み立てられた状態のクリック式ペン型アプリケータ装置10’の別の例示的な実施形態を示している。例示的な実施形態の間で類似の特徴は、類似の参照番号で示されている。
【0031】
装置10、10’は、3つの部分を備えることができ、すなわち、遠位端に位置するアプリケータ部11と、中央の部分に位置する貯蔵部12と、近位端に位置する多段アクチュエータ部13とを備えることができる。アプリケータ部11は、通過台座30、30’、30’’、シール要素40、開口リデューサ50、50’、ノーズ60、60’、60’’、60’’’、60’’’’、およびキャップ70、70’を備えることができ、このアプリケータ部11は、センターバンド20、20’の遠位端に接続されるように構成される。貯蔵部12を、センターバンド20、20’の中央部によって定めることができる。多段アクチュエータ部13は、ピストン座80、カップ90、シール要素40、らせん100、プライミングばね110、ギア120、クリックばね130、らせんスリーブ140、および押しボタン150を備えることができ、多段アクチュエータ部13は、センターバンド20、20’の近位端に接続されるように構成される。図1A図1Eの例示的な実施形態において、キャップ70が、押し込みキャップでよい一方で、図1F図1Jの例示的な実施形態においては、キャップ70’が、ねじ込みキャップであってよい。さらに、装置10、10’のセンターバンド20、20’の遠位端の直径が、キャップ70、70’の近位端の直径に一致するように増加してもよい。
【0032】
図2A図2Eは、本発明による装置10の中央部に貯蔵部12を定めるセンターバンド20の例示的な実施形態を示している。図2F図2Jは、本発明による装置10’の中央部に貯蔵部12を定めるセンターバンド20’の別の例示的な実施形態を示している。アプリケータ部11が、センターバンド20、20’の遠位端21につながるように構成され、多段アクチュエータ部13が、センターバンド20、20’の近位端22につながるように構成される。例示的な実施形態の間で類似の特徴は、類似の参照番号で示されている。
【0033】
装置10、10’の貯蔵部12を定めるセンターバンド20、20’は、遠位端21および近位端22を備えることができる。センターバンド20、20’は、細長い筒、パイプ、胴、または、製剤を貯蔵および送出するように構成された貯蔵チャンバ26を中央部に定めている他の同様の形状であってよい。センターバンド20、20’の遠位端21は、アプリケータ部11の構成部品と取り合うように構成された内側の溝24を備えることができる。例えば、内側の溝24は、アプリケータ部11の通過台座30、30’、30’’と取り合うことができる。さらに、センターバンド20、20’の近位端22は、多段アクチュエータ部13の構成部品と取り合うように構成された内側の溝25を備えることができる。例えば、内側の溝25は、多段アクチュエータ部13のらせんスリーブ140と取り合うことができる。あるいは、センターバンド20、20’は、外側のリブ23、内側の溝24、および/または内側の溝25の代わりに、アプリケータ部11および多段アクチュエータ部13の各々への取り付けのためのねじ山を備えてもよい。
【0034】
図2A図2Eの例示的な実施形態においては、センターバンド20の遠位端21は、アプリケータ部11の構成部品と取り合うように構成された外側のリブ23を備えることができる。例えば、外側のリブ23は、押し込みキャップであるアプリケータ部11のキャップ70と取り合うことができる。図2F図2Jの例示的な実施形態においては、センターバンド20’の遠位端21が、通過台座30、30’、30’’に係合または螺合させることができるキャップ70、70’の近位端に当接するように構成された末広がりの外面27を備えることができる。
【0035】
センターバンド20、20’は、ポリプロピレン、ポリエチレンおよび他の適切な材料で製作することができる。好ましくは、センターバンド20、20’は、ポリプロピレンで製作される。さらに、材料を、装置10、10’の個々の用途および要件ならびに送出すべき個々の製剤にもとづいて選択することができる。さらに、センターバンド20、20’は、射出成形または他の適切なプロセスによって製造することができる。好ましくは、センターバンド20、20’は、射出成形によって製造される。
【0036】
図3A図3Eは、本発明による装置10のアプリケータ部11の通過台座30の例示的な実施形態を示している。図3F図3Jは、本発明による装置10’のアプリケータ部11の通過台座30’の別の例示的な実施形態を示している。図3Kは、本発明による通過台座30’’のさらに別の例示的な実施形態を示している。例示的な実施形態の間で類似の特徴は、類似の参照番号で示されている。
【0037】
装置10、10’のアプリケータ部11の通過台座30、30’、30’’は、遠位端31および近位端32を備えることができる。通過台座30、30’、30’’は、その全長にわたって中央通路33を備えることができ、この中央通路33は、センターバンド20、20’の貯蔵チャンバ26に連絡することができる。通過台座30、30’の遠位端31は、斜めの端面34を備えることができる。しかしながら、平坦、湾曲、丸み、凸状、凹状など、他の端面も可能であると考えられる。例えば、図3Kは、平坦な端面34を有する通過台座30’’を示している。通過台座30、30’、30’’の近位端32は、センターバンド20、20’の遠位端21と取り合うように構成された外側のリブ35を備えることができる。例えば、通過台座30、30’、30’’の外側のリブ35は、センターバンド20、20’の内側の溝24と取り合うことができる。
【0038】
あるいは、通過台座30、30’、30’’は、外側のリブ35の代わりに、センターバンド20、20’への取り付けのためのねじ山を備えてもよい。さらに、通過台座30、30’、30’’の近位端32は、アプリケータ部11のシール要素を受け入れるように構成された環状溝36を備えることができる。例えば、環状溝36は、アプリケータ部11の通過台座30、30’、30’’とセンターバンド20、20’の遠位端21との間の境界を封止することができるシール要素40を受け入れることができる。さらに、通過台座30、30’、30’’は、アプリケータ部11のノーズ60、60’、60’’、60’’’、60’’’’と取り合うように構成された環状フランジ37を備えることができる。あるいは、通過台座30、30’、30’’は、環状フランジ37の代わりに、アプリケータ部11のノーズ60、60’、60’’、60’’’、60’’’’への取り付けのためのねじ山を備えてもよい。
【0039】
図3F図3Jの例示的な実施形態においては、通過台座30’は、環状溝36と環状フランジ37との間に、ねじ込み式のキャップ70’と係合するように構成されたねじ山38をさらに備えることができる。
【0040】
通過台座30、30’、30’’は、ポリプロピレン、ポリエチレンおよび他の適切な材料で製作することができる。好ましくは、通過台座30、30’、30’’は、ポリプロピレンで製作される。さらに、材料を、装置10、10’の個々の用途および要件ならびに送出すべき個々の製剤にもとづいて選択することができる。さらに、通過台座30、30’、30’’は、射出成形または他の適切なプロセスによって製造することができる。
【0041】
好ましくは、通過台座30、30’、30’’は、射出成形によって製造される。
【0042】
図4A図4Cは、本発明による装置10、10’のアプリケータ部11のシール要素40の例示的な実施形態を示している。
【0043】
装置10、10’のアプリケータ部11のシール要素40は、通過台座30、30’、30’’の環状溝36に収まるような構成およびサイズを有する円形のOリングを備えることができる。シール要素40は、通過台座30、30’、30’’とセンターバンド20、20’との間の境界を封止することができる。
【0044】
シール要素40を、ゴム、熱可塑性ゴム、シリコーン、および他の適切な材料で製作することができる。好ましくは、シール要素40は、ゴムで製作される。さらに、材料を、装置10、10’の個々の用途および要件ならびに送出すべき個々の製剤にもとづいて選択することができる。さらに、シール要素40は、射出成形、圧縮成形または他の適切なプロセスによって製造することができる。好ましくは、シール要素40は、圧縮成形によって製造される。
【0045】
図5A図5Eは、本発明による装置10のアプリケータ部11の開口リデューサ50の例示的な実施形態を示している。図5F図5Jは、本発明による装置10’のアプリケータ部11の開口リデューサ50’の別の例示的な実施形態を示している。例示的な実施形態の間で類似の特徴は、類似の参照番号で示されている。
【0046】
装置10、10’のアプリケータ部11の開口リデューサ50、50’は、遠位端51および近位端52を備えることができる。開口リデューサ50、50’は、その全長にわたって中央通路53を備えることができ、この中央通路53は、通過台座30、30’、30’’の中央通路33およびセンターバンド20、20’の貯蔵チャンバ26に連絡することができる。開口リデューサ50、50’の外形は、通過台座30、30’、30’’の中央通路33に収まり、これにより通過台座30、30’、30’’の中央通路33の空間の少なくとも一部分を占めるように構成することができる。さらに、開口リデューサ50、50’は、開口リデューサ50、50’を通過台座30、30’、30’’の中央通路33内に固定するように構成された外側のリブ54を備えることができる。
【0047】
あるいは、開口リデューサ50、50’は、外側のリブ54の代わりに、通過台座30、30’、30’’への取り付けのためのねじ山を備えてもよい。さらに、別の実施形態においては、開口リデューサ50、50’および通過台座30、30’、30’’は、単一の一体の部品として製造することで、場合によっては、部品および組み立て工程の両方を削減することによってコストおよび時間の節約をもたらすことができる。
【0048】
図5F図5Jの例示的な実施形態においては、開口リデューサ50’を、ねじ込み式のキャップ70’をねじ山38にて受け入れるように構成された図3F図3Jの通過台座30’の中央通路33内に収まるように構成することができる。
【0049】
開口リデューサ50、50’は、ポリプロピレン、ポリエチレンおよび他の適切な材料で製作することができる。好ましくは、開口リデューサ50、50’は、ポリプロピレンで製作される。さらに、材料を、装置10、10’の個々の用途および要件ならびに送出すべき個々の製剤にもとづいて選択することができる。さらに、開口リデューサ50、50’は、射出成形または他の適切なプロセスによって製造することができる。
【0050】
好ましくは、開口リデューサ50、50’は、射出成形によって製造される。
【0051】
図6A図6Eは、本発明による装置10、10’のアプリケータ部11のノーズ60の例示的な実施形態を示している。図6F図6J図6K図6O図6P図6T、および図6U図6Yは、本発明による装置10、10’のアプリケータ部11のノーズ60’、60’’、60’’’、60’’’’の別の例示的な実施形態を示している。例示的な実施形態の間で類似の特徴は、類似の参照番号で示されている。
【0052】
装置10、10’のアプリケータ部11のノーズ60、60’、60’’、60’’’、60’’’’は、遠位端61および近位端62を備えることができる。ノーズ60、60’、60’’、60’’’、60’’’’は、その全長にわたる中央通路63を備えることができる。ノーズ60、60’、60’’、60’’’、60’’’’の近位端62を、中央通路63に通過台座30、30’、30’’を受け入れるように構成することができる。例えば、中央通路63は、通過台座30、30’、30’’の環状フランジ37と取り合うことによってノーズ60、60’、60’’、60’’’、60’’’’を通過台座30、30’、30’’へと固定するように構成された環状溝64を備えることができる。あるいは、ノーズ60、60’、60’’、60’’’、60’’’’は、環状溝64の代わりに、通過台座30、30’、30’’への取り付けのためのねじ山を備えてもよい。ノーズ60、60’、60’’、60’’’、60’’’’の遠位端61は、開口65を備えることができ、この開口65は、通過台座30、30’、30’’の中央通路33、開口リデューサ50、50’の中央通路53、およびセンターバンド20、20’の貯蔵チャンバ26に連絡することができる。開口65は、ユーザによる適用のために製剤を送出するためのサイズを有することができる。さらに、ノーズ60、60’、60’’、60’’’、60’’’’の遠位端61は、ユーザによる製剤の適用および/または拡散を容易にするためのブラシ66を備えることができる。
【0053】
図6A図6Eに示されるとおりのノーズ60は、ノーズ60の遠位端61に向かって先細りになる形状を備えている。ノーズ60について、他の形状も可能である。例えば、図6F図6J図6K図6O図6P図6T、および図6U図6Yが、装置10、10’のアプリケータ部11のノーズ60’、60’’、60’’’、60’’’’の別の例示的な実施形態を示しており、ノーズ60’、60’’、60’’’、60’’’’は、段差のある円柱形の形状、円柱形の形状、または先細りかつ段差のある円柱形の形状を備えることができる。さらに、他の形状も可能である。さらに、別の例示的な実施形態は、斜め、平坦、湾曲、丸み、凸状、凹状、その他のさまざまな端面、ブラシ66を有する端面またはブラシを持たない端面、および/または抗菌性の添加剤または物質を含む端面を備えることができ、別の例示的な実施形態は、上述のとおりのさまざまな形状の端面34を有する通過台座30、30’、30’’を受け入れるように構成することができる。さらに、別の実施形態においては、ノーズ60、60’、60’’、60’’’、60’’’’および通過台座30、30’、30’’(場合によっては開口リデューサ50、50’も)を、単一の一体の部品として製造することで、場合によっては部品および組み立て工程の両方を削減することによってコストおよび時間の節約をもたらすことができる。
【0054】
ノーズ60、60’、60’’、60’’’、60’’’’は、ポリエチレン、ゴム、熱可塑性ゴム、シリコーン、および他の適切な材料で製作することができる。好ましくは、ノーズ60、60’、60’’、60’’’、60’’’’は、ゴムで製作される。さらに、材料は、装置10、10’の個々の用途および要件ならびに送出すべき個々の製剤にもとづいて選択することができる。さらに、ノーズ60、60’、60’’、60’’’、60’’’’は、射出成形、圧縮成形、または他の適切なプロセスによって製造することができる。
【0055】
好ましくは、ノーズ60、60’、60’’、60’’’、60’’’’は、圧縮成形によって製造される。
【0056】
図7A図7Eは、本発明による装置10のアプリケータ部11のキャップ70の例示的な実施形態を示している。図7F図7Jは、本発明による装置10’のアプリケータ部11のキャップ70’の別の例示的な実施形態を示している。例示的な実施形態の間で類似の特徴は、類似の参照番号で示されている。
【0057】
装置10、10’のアプリケータ部11のキャップ70、70’は、遠位端71および近位端72を備えることができる。キャップ70、70’は、アプリケータ部11の通過台座30、30’、30’’およびノーズ60、60’、60’’、60’’’、60’’’’にぴったりと被さるようなサイズを有することができる。キャップ70、70’の遠位端71は、ノーズ60、60’、60’’、60’’’、60’’’’の開口65を封止するように構成された軸棒74を備えることができる。例えば、キャップ70、70’の軸棒74は、ノーズ60、60’、60’’、60’’’、60’’’’の開口65にぴったりと収まり、開口65へと短い距離だけ延びることによって、装置10、10’の非使用時に開口65を封止するサイズを有することができる。さらに、キャップ70、70’は、製品がすでに使用されたかどうかを示すためのいたずら防止の特徴(図示せず)をさらに備えることができる。さらに、キャップ70、70’は、例えばリブ、溝、くぼみ、把持パッドまたは把持面、ゴム引きの部位、ならびに他の同様の特徴など、キャップ70、70’の把持、引っ張り、押し、ねじり、または他の方法による操作を容易にするための特徴を外面に備えることができる。
【0058】
図7A図7Eの例示的な実施形態においては、キャップ70の近位端72は、装置10のセンターバンド20の遠位端21と取り合うように構成された内側の溝73を備えることができる。例えば、キャップ70の内側の溝73は、図2A図2Eのセンターバンド20の外側のリブ23と取り合うことによって非使用時にアプリケータ部11(特に、ノーズ60、60’、60’’、60’’’、60’’’’およびブラシ66)を保護することができる。図7F図7Jの例示的な実施形態においては、キャップ70’の近位端72は、内側の溝73の代わりに、図3F図3Jの通過台座30’のねじ山38と取り合うことによって非使用時にアプリケータ部11(特に、ノーズ60、60’、60’’、60’’’、60’’’’およびブラシ66)を保護するように構成されたねじ山75を備えることができる。
【0059】
キャップ70、70’は、ポリプロピレン、ポリエチレン、アクリロニトリルブタジエンスチレン、スチレンアクリロニトリル、および他の適切な材料で製作することができる。好ましくは、キャップ70、70’は、ポリプロピレンで製作される。さらに、材料は、装置10、10’の個々の用途および要件ならびに送出すべき個々の製剤にもとづいて選択することができる。さらに、キャップ70、70’は、射出成形または他の適切なプロセスによって製造することができる。好ましくは、キャップ70、70’は、射出成形によって製造される。
【0060】
図8A〜8Eは、本発明による装置10、10’の多段アクチュエータ部13のピストン座80の例示的な実施形態を示している。
【0061】
装置10、10’の多段アクチュエータ部13のピストン座80は、遠位端81および近位端82を備えることができる。ピストン座80は、少なくとも1つのねじ山84を有するシャフト83と、シャフト83の遠位端81に位置する支持部材85とを備えることができる。遠位端81の支持部材85は、送出すべき製剤に接触するカップを受け止めるように構成された外側のリブ86およびピストン座フランジ87を備えることができる。例えば、外側のリブ86およびピストン座フランジ87は、製剤を支持および前進させるカップ90と取り合うことができる。シャフト83は、ピストン座80の遠位端81において支持部材85に隣接して位置するプライミングねじ山部84aと、プライミングねじ山部84aの近位側に位置するねじ無し部88と、ねじ無し部88からシャフト83の近位端82へとシャフト83の実質的に残りの全長に延びている投薬ねじ山部84bとを備えることができる。プライミングねじ山部84aおよび投薬ねじ山部84bは、らせん100に係合するように構成することができる。プライミングねじ山部84aおよび投薬ねじ山部84bは、同じピッチを有することができる。あるいは、プライミングねじ山部84aのピッチは、投薬ねじ山部84bのピッチの倍数(例えば、2倍)であってよい。プライミングねじ山部84aのねじ山は、1回転だけであってよく、好ましくは4分の3回転または2分の1回転であってよい。ねじ無し部88の軸方向の長さは、貯蔵部12内の所定の体積を変位させるように寸法付けることができる。投薬ねじ山部84bのピッチは、多段アクチュエータ部13の動作のたびに所定の1回分または他の所定の量の製剤が送り出されるように寸法付けることができる。シャフト83は、ギア120と取り合うように構成されたキー付きの形状を備えることができる。例えば、シャフト83は、シャフト83の全長にわたって延びる少なくとも1つの平坦な表面89(好ましくは、正反対を向いた2つの平坦な表面89)を備えることができる。シャフト83のキー付きの形状の結果として、プライミングねじ山部84aおよび投薬ねじ山部84bのねじ山84は、シャフトの外周を巡って不連続であってもよい。すなわち、少なくとも1つの平坦な表面89は、実質的にねじ山を持たなくてよい。
【0062】
ピストン座80は、ポリオキシメチレンおよび他の適切な材料で製作することができる。好ましくは、ピストン座80は、ポリオキシメチレンで製作される。さらに、材料は、装置10、10’の個々の用途および要件ならびに送出すべき個々の製剤にもとづいて選択することができる。さらに、ピストン座80は、射出成形または他の適切なプロセスによって製造することができる。好ましくは、ピストン座80は、射出成形によって製造される。
【0063】
図9A図9Eは、本発明による装置10、10’の多段アクチュエータ部13のカップ90の例示的な実施形態を示している。
【0064】
装置10、10’の多段アクチュエータ部13のカップ90は、遠位端91および近位端92を備えることができる。カップ90の遠位端91は、センターバンド20、20’の貯蔵チャンバ26に貯蔵された製剤を支持および前進させるように構成することができる。カップ90の近位端92は、ピストン座80と取り合うように構成された内側の溝93を備えることができる。例えば、カップ90の内側の溝93は、ピストン座80の外側のリブ86と取り合うことによって、カップ90をピストン座80の遠位端81へと固定することができる。さらに、カップ90は、多段アクチュエータ部13のシール要素を受け入れるように構成された環状溝94を備えることができる。例えば、環状溝94は、多段アクチュエータ部13のカップ90とセンターバンド20、20’の近位端22との間の境界を封止するような構成およびサイズのシール要素40を受け入れることができる。さらに、別の実施形態においては、カップ90およびピストン座80を、単一の一体の部品として製造することで、場合によっては、部品および組み立て工程の両方を削減することによってコストおよび時間の節約をもたらすことができる。
【0065】
カップ90は、ポリプロピレン、ポリエチレン、および他の適切な材料で製作することができる。好ましくは、カップ90は、ポリプロピレンで製作される。さらに、材料は、装置10、10’の個々の用途および要件ならびに送出すべき個々の製剤にもとづいて選択することができる。さらに、カップ90は、射出成形または他の適切なプロセスによって製造することができる。好ましくは、カップ90は、射出成形によって製造される。
【0066】
図10A図10Eは、本発明による装置10、10’の多段アクチュエータ部13のらせん100の例示的な実施形態を示している。
【0067】
装置10、10’の多段アクチュエータ部13のらせん100は、遠位端101および近位端102を備えることができる。らせん100は、その全長にわたって中央通路103を備えることができ、ピストン座80のシャフト83が、これを通って延びることができる。さらに、中央通路103の一部分は、ピストン座80のシャフト83のプライミングねじ山部84aおよび投薬ねじ山部84bに係合するように構成された雌ねじ104を備えることができる。らせん100の遠位端101は、ばね要素を受け入れるように構成された環状チャネル105を備えることができる。例えば、らせん100の環状チャネル105は、プライミングばね110の近位端を受け入れることができる。さらに、らせん100の近位端102は、やはりばね要素を受け入れるように構成された環状チャネル106を備えることができる。例えば、らせん100の環状チャネル106は、クリックばね130の遠位端を受け入れることができる。さらに、らせん100の近位端102は、らせんスリーブ140と係合してらせん100をらせんスリーブ140へと固定するように構成された少なくとも1つのスナップ要素107(好ましくは、正反対に配置された2つのスナップ要素107)を備えることができる。
【0068】
らせん100は、ポリオキシメチレンおよび他の適切な材料で製作することができる。好ましくは、らせん100は、ポリオキシメチレンで製作される。さらに、材料を、装置10、10’の個々の用途および要件ならびに送出すべき個々の製剤にもとづいて選択することができる。さらに、らせん100は、射出成形または他の適切なプロセスによって製造することができる。好ましくは、らせん100は、射出成形によって製造される。
【0069】
図11A図11Cは、本発明による装置10、10’の多段アクチュエータ部13のプライミングばね110の例示的な実施形態を示している。
【0070】
装置10、10’の多段アクチュエータ部13のプライミングばね110は、遠位端111および近位端112を備えることができる。プライミングばね110は、ピストン座80のシャフト83の或る長さ上に位置することができる。例えば、プライミングばね110は、実質的にシャフト83のねじ無し部88上に位置することができる。プライミングばね110の遠位端111が、ピストン座80のピストン座フランジ87の近位側表面に当接でき、プライミングばね110の近位端112を、らせん100の環状チャネル105に受け入れることができる。プライミングばね110を、ピストン座80が遠位方向に押され、らせん100が近位方向に押されるように、ピストン座80とらせん100との間に力を加えるように構成することができる。プライミングばね110のばね定数を、クリック機構によってピストン座80が回転させられるときに、らせん100の雌ねじ104がプライミングねじ山部84aから外れ、プライミングばね110によってピストン座80がシャフト83のねじ無し部88の或る長さ上に前進させられ、センターバンド20、20’の貯蔵チャンバ26内の所定の体積を変位させるよう、シャフト83のねじ無し部88の或る長さ上に伸びるように設定することができる。
【0071】
プライミングばね110は、鋼および他の適切な材料で製作することができる。好ましくは、プライミングばね110は、鋼で製作される。さらに、材料を、装置10、10’の個々の用途および要件ならびに送出すべき個々の製剤にもとづいて選択することができる。さらに、プライミングばね110は、コイリング(coiling)または他の適切なプロセスによって製造することができる。好ましくは、プライミングばね110は、コイリングによって製造される。
【0072】
図12A図12Eは、本発明による装置10、10’の多段アクチュエータ部13のギア120の例示的な実施形態を示している。
【0073】
装置10、10’の多段アクチュエータ部13のギア120は、遠位端121および近位端122を備えることができる。ギア120は、その全長にわたって中央通路123を備えることができ、それを通してピストン座80のシャフト83が、少なくとも部分的に延びることができる。さらに、中央通路123の一部分は、ピストン座80のシャフト83と取り合うように構成されたキー付きの形状を備えることができる。例えば、ギア120の中央通路123は、シャフト83と係合するように構成された少なくとも1つの平坦な表面124(好ましくは、正反対に位置する2つの平坦な表面124)を備えることができる。例えば、ギア120の少なくとも1つの平坦な表面124は、ピストン座80のシャフト83の少なくとも1つの平坦な表面89と係合することができる。さらに、ギア120は、ばね要素と係合するように構成されたフランジ125を備えることができる。例えば、ギア120のフランジ125は、クリックばね130の近位端と係合することができる。さらにギア120は、ギア120の近位端122に面しながら斜めの歯126を備えることができ、この斜めの歯126を、らせんスリーブ140および押しボタン150と係合するように構成することができる。
【0074】
ギア120は、ポリオキシメチレンおよび他の適切な材料で製作することができる。好ましくは、ギア120は、ポリオキシメチレンで製作される。さらに、材料を、装置10、10’の個々の用途および要件ならびに送出すべき個々の製剤にもとづいて選択することができる。さらに、ギア120を、射出成形または他の適切なプロセスによって製造することができる。好ましくは、ギア120は、射出成形によって製造される。
【0075】
図13A図13Cは、本発明による装置10、10’の多段アクチュエータ部13のクリックばね130の例示的な実施形態を示している。
【0076】
装置10、10’の多段アクチュエータ部13のクリックばね130は、遠位端131および近位端132を備えることができる。クリックばね130は、ピストン座80のシャフト83の或る長さ上、およびギア120の遠位端121上に位置することができる。クリックばね130の遠位端131は、らせん100の環状チャネル106に受け入れることができ、クリックばね130の近位端132は、ギア120のフランジ125の遠位側表面に当接することができる。クリックばね130を、らせん100が遠位方向に押され、ギア120が近位方向に押されるように、らせん100とギア120との間に力を加えるように構成することができる。クリックばね130のばね定数を、多段アクチュエータ部13の操作時に明確なフィードバックがもたらされるように設定することができる。
【0077】
クリックばね130は、鋼および他の適切な材料で製作することができる。好ましくは、クリックばね130は、鋼で製作される。さらに、材料を、装置10、10’の個々の用途および要件ならびに送出すべき個々の製剤にもとづいて選択することができる。さらに、クリックばね130を、コイリングまたは他の適切なプロセスによって製造することができる。好ましくは、クリックばね130は、コイリングによって製造される。
【0078】
図14A図14Eは、本発明による装置10、10’の多段アクチュエータ部13のらせんスリーブ140の例示的な実施形態を示している。
【0079】
装置10、10’の多段アクチュエータ部13のらせんスリーブ140は、遠位端141および近位端142を備えることができる。らせんスリーブ140は、その全長にわたり中央空洞143を備えることができ、この中央空洞143内に、ピストン座80のシャフト83、らせん100、ギア120、クリックばね130、および押しボタン150の各々の少なくとも一部分が位置することができる。らせんスリーブ140の近位端142は、センターバンド20、20’と係合するように構成された外側のリブ144を備えることができる。例えば、らせんスリーブ140の外側のリブ144は、センターバンド20、20’の内側の溝25と係合することができる。あるいは、らせんスリーブ140は、外側のリブ144の代わりに、センターバンド20、20’の近位端22への取り付けのためのねじ山を備えてもよい。らせんスリーブ140の遠位端141は、らせん100の少なくとも1つのスナップ要素107を受け入れることによってらせん100をらせんスリーブ140へと固定するように構成された少なくとも1つのスナップ溝145(好ましくは、正反対に位置する2つのスナップ溝145)を備えることができる。さらに、らせんスリーブ140は、らせんスリーブ140の遠位端141に面しながら斜めの歯146をさらに備えることができ、この斜めの歯146を、ギア120の斜めの歯126と係合するように構成することができる。さらに、らせんスリーブ140は、押しボタン150の少なくとも1つのロック要素を受け入れるように構成された少なくとも1つのロック溝147(好ましくは、正反対に位置する2つのロック溝147)を備えることができる。
【0080】
らせんスリーブ140を、アクリロニトリルブタジエンスチレン、スチレンアクリロニトリル、ポリオキシメチレン、および他の適切な材料で製作することができる。好ましくは、らせんスリーブ140は、アクリロニトリルブタジエンスチレンで製作される。さらに、材料を、装置10、10’の個々の用途および要件ならびに送出すべき個々の製剤にもとづいて選択することができる。さらに、らせんスリーブ140は、射出成形または他の適切なプロセスによって製造することができる。好ましくは、らせんスリーブ140は、射出成形によって製造される。
【0081】
図15A図15Eは、本発明による装置10、10’の多段アクチュエータ部13の押しボタン150の例示的な実施形態を示している。
【0082】
装置10、10’の多段アクチュエータ部13の押しボタン150は、遠位端151および近位端152を備えることができる。押しボタン150は、中央空洞153を備えることができ、この内部に、ピストン座80のシャフト83およびギア120が、少なくとも部分的に位置することができる。押しボタン150の遠位端151が、押しボタン150の遠位端151に面しながら斜めの歯154を備えることができ、この斜めの歯154を、ギア120の斜めの歯126と係合するように構成することができる。さらに、押しボタン150は、らせんスリーブ140の少なくとも1つのロック溝147と係合するように構成された少なくとも1つのロック要素155(好ましくは、正反対に位置する2つのロック要素155)を備えることができる。さらに、押しボタン150の近位端152は、装置10、10’の多段アクチュエータ部13の快適な操作を促進するように構成されてよく、例えばリブ、溝、くぼみ、把持パッドまたは把持面、ゴム引きの部位、ならびに他の同様の特徴など、キャップ70、70’の把持、引っ張り、押し、ねじり、または他の方法による操作を容易にするための特徴を、外面に備えることができる。
【0083】
押しボタン150は、アクリロニトリルブタジエンスチレン、スチレンアクリロニトリル、ポリオキシメチレン、および他の適切な材料で製作することができる。好ましくは、押しボタン150は、アクリロニトリルブタジエンスチレンで製作される。さらに、材料を、装置10、10’の個々の用途および要件ならびに送出すべき個々の製剤にもとづいて選択することができる。さらに、押しボタン150は、射出成形または他の適切なプロセスによって製造することができる。好ましくは、押しボタン150は、射出成形によって製造される。
【0084】
図16は、本発明によるクリック式ペン型アプリケータ装置10、10’の例示的な実施形態の分解図を示している。
【0085】
以上の説明において、或る構成部品の溝および別の構成部品のリブ/要素の個々の記載は、リブ/要素を溝の代わりに設けることができ、その逆も然りであるように、入れ換えることが可能であることを理解すべきである。さらに、装置10、10’の種々の構成部品の互いの係合を達成するために、リブおよび溝、スナップ要素および溝、ロック要素および溝、あるいはねじ山の他に、例えば他の機械的な係合の造作、圧入、締まりばめおよび接着剤など、別の接続機構を使用してもよいことを理解すべきである。
【0086】
組み立てられたクリック式ペン型アプリケータ装置10、10’は、センターバンド20、20’の貯蔵チャンバ26に貯蔵された製剤の蒸発および/または減量を防止するために実質的に気密であってよい。この点に関し、カップ90の環状溝94に位置するシール要素40、通過台座30、30’、30’’の環状溝36に位置するシール要素40、およびキャップ70、70’の軸棒74はすべて、貯蔵チャンバ26の製剤の気密な封止に貢献することができる。さらに、2つのシール要素40は、封止すべき部品および境界に応じて、同じサイズであっても異なるサイズであってもよい。さらに、装置10、10’は、キャップ70、70’とセンターバンド20、20’との間の境界を覆い、および/または封止するために、キャップ70、70’の外側を巡るテープをさらに備えることができる。さらに、センターバンド20、20’の貯蔵チャンバ26に貯蔵される製剤を、装置10、10’における製剤の気密な封止をさらに改善するために、袋、嚢、または同様の容器にて備えてもよい。
【0087】
装置10、10’は、手作業で組み立てることができ、この組み立てを、工具、治具、および他の適切な組み立て補助器具によって容易にすることができる。あるいは、装置10、10’のすべてまたは一部を、自動化されたシステムによって組み立てることができる。
【0088】
本発明によるクリック式ペン型アプリケータ装置10、10’を使用する方法は、製剤をプライミング速度でプライミングするステップと、製剤を投薬速度で投薬するステップとを含むことができる。本発明による多段アクチュエータ部13を有するクリック式ペン型アプリケータ装置10、10’は、クリック投薬機構を使用して迅速なプライミングを可能にすることができる。
【0089】
装置10、10’の初期の状態(例えば、購入された状態)において、装置10、10’のすべての構成部品が組み立てられる。貯蔵部12において、センターバンド20、20’の貯蔵チャンバ26を、製剤(例えば、いぼ取り製剤などのサリチル酸化合物)で実質的に満たすことができる。アプリケータ部11において、製剤の一部が開口リデューサ50、50’の近位端52に接触でき、さらには製剤の一部が開口リデューサ50、50’の中央通路53に存在できる。しかしながら、貯蔵チャンバ26に製剤を有する装置10、10’の初期の組み立て中のあふれおよび/またはこぼれを防止するために、初期の購入された状態において、製剤の遠位側の充てんレベルと開口リデューサ50、50’の近位端52との間に、空隙を存在させることができる。多段アクチュエータ部13において、ピストン座80およびカップ90は、装置10、10’の初期の購入された状態において、それぞれの最も近位側の位置にあってよい。すなわち、プライミングねじ山部84aがらせん100の雌ねじ104と係合することで、カップ90をカップ90の最も近位側の位置に位置させるとともに、ピストン座80とらせん100との間でプライミングばね110を圧縮することができる。
【0090】
さらに、装置10、10’の初期の購入された状態において、押しボタン150は、押しボタン150の少なくとも1つのロック要素155をらせんスリーブ140の少なくとも1つのロック溝147に受け入れることができるように押しボタン150が装置10、10’の長手軸を中心にして回転させられた押しボタン150のロック位置にあってもよい。装置10、10’を使用する前に、押しボタン150がロック位置にある場合、押しボタン150を、押しボタン150の少なくとも1つのロック要素155がもはやらせんスリーブ140の少なくとも1つのロック溝147に受け入れられないように、装置10、10’の長手軸を中心にして回転させることができる。
【0091】
製剤の投薬の前のプライミングのステップが、製剤が貯蔵部12および/またはアプリケータ部11に存在し得る空隙および/または空の空間を満たすことを可能にしよう。例えば、プライミングのステップ中、製剤は、貯蔵チャンバ26の遠位側の充てんレベルと開口リデューサ50、50’の近位端52との間に存在し得る空隙を満たすことができる。さらに、製剤は、開口リデューサ50、50’の中央通路53の空の空間ならびに通過台座30、30’、30’’の中央通路33の実質的にすべてを満たすことができる。さらに、製剤は、ノーズ60、60’、60’’、60’’’、60’’’’の開口65の空の空間を少なくとも部分的に満たすこともできる。このようにして、プライミングのステップにより、製剤をプライミングし、投薬のステップにおいてユーザがすぐに使用できるように準備することができる。
【0092】
プライミングのステップを、多段アクチュエータ部13によってプライミング速度で実行することができる。装置10、10’を、初期の購入された状態から、多段アクチュエータ部13の押しボタン150を押し、すなわちクリック式ペン投薬機構を押すことによってプライミングすることができる。押しボタン150を押すたびに、ピストン座80およびカップ90が投薬クリックの速度で遠位方向に移動でき、結果として製剤が前方に進められ、或る投薬量によって貯蔵部12および/またはアプリケータ部11の空隙および/または空の体積の一部を満たすことができる。押しボタン150の第1の操作後に、ピストン座80のプライミングねじ山部84aが、らせん100の雌ねじ104から外れることができる。ピストン座80をらせん100から遠ざかるように遠位方向に押すプライミングばね110の力により、ピストン座80およびカップ90が、プライミングねじ山部84aと雌ねじ104との係合が外れた後に遠位方向に移動することができる。さらに、そのようなプライミングねじ山部84aの係合の外れの後で、ピストン座80が、らせん100の雌ねじ104が係合しないねじ無し部88を備えているがゆえに、プライミングばね110の力が、ピストン座80のねじ無し部88の長さに実質的に等しい距離だけピストン座80およびカップ90を前進させることができ、したがって同じクリック式ペン投薬機構を使用して製剤の迅速なプライミングを達成することができる。このように、プライミングねじ山部84aの係合が外れ、ピストン座80およびカップ90がプライミングばね110の力のもとでピストン座80のねじ無し長88を迅速に前進することで、貯蔵部12および/またはアプリケータ部11の空隙および/または空の空間の素早い充てんが促進される。
【0093】
したがって、本発明によるプライミング速度でのプライミングのステップは、装置10、10’をきわめて迅速かつ効率的にプライミングしてすぐにユーザが使用できる状態にすることを可能にする。通常であれば従来からの駆動の機構を用いて多数回(例えば、40〜70回またはそれ以上)の操作を必要とすると考えられる装置10、10’の空の空間を、第1のプライミング操作で埋めることができる。しかしながら、本発明によるプライミングのステップは、ユーザが単に既知の方法で、すなわち押しボタン150を押すことによって、多段アクチュエータ部13を操作するだけであるので、ユーザにとってきわめて分かりやすい。迅速なプライミングを達成するために、ユーザがいかなる追加または異なるステップまたは操作も行う必要がない。迅速なプライミングはまた、製剤の投薬が実際に始まるまでに多数回のプライミング操作が必要であることに起因して、ユーザが、送出装置が壊れており、機能しておらず、空であり、乾ききっており、あるいは他のかたちで使用不可能であると考えてしまう可能性をなくす。
【0094】
上述の説明は、プライミングねじ山部84aと雌ねじ104との係合の外れをもたらすプライミングのステップの第1の操作に言及しているが、この第1の操作は、プライミングねじ山部84aのねじ山の数およびクリック機構の回転の程度に応じて、係合が外れるまでに押しボタン150の2回以上の操作を含んでもよい。好ましくは、プライミングねじ山部84aと雌ねじ104との係合の外れを達成するために必要な押しボタン150の操作が、10回未満であってよく、好ましくはわずか1回または2回であってよい。そのような係合の外れを達成するために必要な操作の回数は、例えば1回転のねじ山(好ましくは、4分の3回転または2分の1回転のねじ山)など、プライミングねじ山部84aの長さに依存することができる。
【0095】
さらに、プライミング速度は、ピストン座80のねじ無し長88の寸法、プライミングばね110のばね定数、シール要素40の摩擦力、および/または製剤の粘性または他の特性に依存することができる。例えば、ピストン座80のねじ無し長88を、ピストン座80およびカップ90がピストン座80のねじ無し長88だけ遠位方向に前進したときに、貯蔵部12および/またはアプリケータ部11の空隙および/または空の体積を実質的に満たすことができるようなサイズにすることができる。さらに、プライミングばね110のばね定数を、カップ90とセンターバンド20、20’との間に係合したシール要素40の摩擦力ならびに製剤の粘性または他の特性を考慮して、ピストン座80およびカップ90を前進させるための充分な力をもたらすように設定することができる。
【0096】
プライミングねじ山部84aと雌ねじ104との係合が外れ、ピストン座80およびカップ90がピストン座80のねじ無し長88だけ前進した後で、ピストン座80の投薬ねじ山部84bが、押しボタン150のさらなる操作を受けて、らせん100の雌ねじ104に係合することができる。製剤をすぐに送り出すことができる状態になる前に装置10、10’のプライミングを完全に達成するために、プライミングのステップは、投薬ねじ山部84bが雌ねじ104に係合した後の押しボタン150の1回以上の操作を必要としてもよい(ただし、そのような追加の操作を必要とせずに装置10、10’が製剤をすぐに送り出せる状態になっていることが好ましくあり得る)。
【0097】
投薬のステップを、多段アクチュエータ部13によって投薬速度で実行することができる。製剤を、ピストン座80の投薬ねじ山部84bがらせん100の雌ねじ104に係合した後の押しボタン150の各々の操作によって投薬することができる。押しボタン150が押されるたびに、ピストン座80およびカップ90が遠位方向に移動して、所定の量の製剤をセンターバンド20、20’の貯蔵チャンバ26から開口リデューサ50、50’の中央通路53を通り、通過台座30、30’、30’’の中央通路33を通って前進させ、ノーズ60、60’、60’’、60’’’、60’’’’の開口65から送り出すことができる。
【0098】
投薬速度は、ピストン座80の投薬ねじ山部84bのピッチおよび対応するらせん100の雌ねじ104のピッチに依存することができる。例えば、投薬ねじ山部84bおよび雌ねじ104のピッチを、押しボタン150の1回の操作で所定の量の製剤がノーズ60、60’、60’’、60’’’、60’’’’から送り出されるように設定することができる。
【0099】
したがって、本発明による装置10、10’は、多段アクチュエータ部13によるクリック投薬機構を利用しつつ、購入後の迅速かつ信頼できる使用のための製剤の迅速なプライミングおよびその後の製剤の所定の投薬の両方を可能にする。したがって、装置10、10’が、装置10、10’を使用するための段階を複雑にすることなく、装置10、10’のプライミング速度を劇的に向上させると同時に、投薬速度の精密な制御をもたらす。
【0100】
ユーザが使用後に装置10、10’の保管を望む場合、装置10、10’を、製剤の蒸発および/または減量を防止すべく気密な様相で保管することができるとともに、製剤の不慮または不測の送出を防止すべくロックすることもできる。この点に関し、キャップ70、70’を、通過台座30、30’、30’’およびノーズ60、60’、60’’、60’’’、60’’’’を覆って配置し、センターバンド20、20’の遠位端21に係合させることができる。気密な保管のために、キャップ70、70’は、ノーズ60、60’、60’’、60’’’、60’’’’の開口65にぴったりと収まり、ノーズ60、60’、60’’、60’’’、60’’’’の開口65へと少なくとも途中まで延びるように構成され、通過台座30、30’、30’’の中央通路33へと少なくとも途中まで延びてよい軸棒74を備えることができる。さらに、キャップ70、70’は、ノーズ60、60’、60’’、60’’’、60’’’’およびブラシ66を損傷から保護することもできる。装置10、10’をロックするために、押しボタン150を、押しボタン150の少なくとも1つのロック要素155をらせんスリーブ140の少なくとも1つのロック溝147に受け入れることができるように、装置10、10’の長手軸を中心にして回転させることができる。したがって、本発明による装置10、10’を、最小限の蒸発、減量、および意図せぬ動作のリスクにて、安全かつ確実に保管することができる。
【0101】
以上の説明は、あくまでも本発明を限定するものではない本発明の実施形態を開示している。上記開示の例示的なクリック式ペン型アプリケータ装置およびその使用方法について、本発明の範囲に包含される変更が、当業者にとって容易に明らかであろう。
【0102】
したがって、本発明を、あくまでも本発明を限定するものではない上述の実施形態に関連して開示したが、他の実施形態も、以下の特許請求の範囲によって定められるとおりの本発明の思想および範囲に包含され得ることを理解すべきである。
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図1F
図1G
図1H
図1I
図1J
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
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図2J
図3A
図3B
図3C
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図3F
図3G
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図3I
図3J
図3K
図4A
図4B
図4C
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図5C
図5D
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図6A
図6B
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図7B
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図8A
図8B
図8C
図8D
図8E
図9A
図9B
図9C
図9D
図9E
図10A
図10B
図10C
図10D
図10E
図11A
図11B
図11C
図12A
図12B
図12C
図12D
図12E
図13A
図13B
図13C
図14A
図14B
図14C
図14D
図14E
図15A
図15B
図15C
図15D
図15E
図16
図17A
図17B
図17C
図17D
図17E
図18