特許第6265756号(P6265756)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6265756噴射口詰まり防止機構およびこの噴射口詰まり防止機構を備えたエアゾール式製品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6265756
(24)【登録日】2018年1月5日
(45)【発行日】2018年1月24日
(54)【発明の名称】噴射口詰まり防止機構およびこの噴射口詰まり防止機構を備えたエアゾール式製品
(51)【国際特許分類】
   B65D 83/34 20060101AFI20180115BHJP
   B05B 9/04 20060101ALI20180115BHJP
【FI】
   B65D83/34 100
   B05B9/04
【請求項の数】6
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2014-11721(P2014-11721)
(22)【出願日】2014年1月24日
(65)【公開番号】特開2015-137139(P2015-137139A)
(43)【公開日】2015年7月30日
【審査請求日】2017年1月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000144463
【氏名又は名称】株式会社三谷バルブ
(74)【代理人】
【識別番号】100097593
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 治幸
(72)【発明者】
【氏名】関 正晃
【審査官】 小川 悟史
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−020876(JP,A)
【文献】 特開平08−011958(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 83/34
B05B 9/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアゾール式製品の作動モード設定操作の際、噴射剤気相分の作用で、噴射口やその近くの通路部の残留内容物を外部空間域に放出する噴射口詰まり防止機構において、
前記噴射口に連通する内容物通路域、流出弁要素としてのステム孔部および流入弁要素としての下側外周面を備えたステムと、
作動モードのとき前記ステム孔部に通じる内部空間域、前記流入弁要素としての下側内周面および噴射剤気相弁要素としてのハウジング孔部を備えたハウジングと、
前記内部空間域に配設されてハウジング内周面に案内されながら前記ステムと連動し、前記ハウジング孔部への噴射剤気相弁要素として作動する可動弁部材と、を有し、
前記ステムは、
前記ステム孔部と前記下側外周面との間の外周面部分に形成されて、前記可動弁部材の当該ステムに対する移動範囲を設定し、かつ、当該ステムが静止モード位置のとき当該可動弁部材を当該移動範囲の下側位置に保持して、当該ステムが作動モード位置のとき当該可動弁部材を当該移動範囲の上側位置に保持する移動範囲設定部を備え、
前記ハウジングは、
前記ハウジング孔部の上方,下方それぞれに形成されて、前記可動弁部材をその最上位置と最下位置とにそれぞれ設定するストッパ部を備え、
前記可動弁部材は、
前記下側位置および前記上側位置に選択的に保持される被保持部を備え、
前記移動範囲設定部は、
前記被保持部が前記ステムに対し前記下側位置と前記上側位置との間で移動するとき、当該被保持部との相対的な弾性変形案内作用を示す環状テーパ面を備え、
前記ステムおよび前記可動弁部材が、
前記流入弁および前記流出弁それぞれの開状態ならびに前記噴射剤気相弁の閉状態に設定されている作動モードから、その逆の開閉状態の静止モードへ復帰するとき、
前記被保持部を前記上側位置に保持したかたちの当該可動弁部材および当該ステムは、
先ず、当該流入弁が閉じ、かつ、当該流出弁および当該噴射剤気相弁がともに開いた状態に変化して、容器本体内部の前記噴射剤気相分を前記噴射口へと流入させ、
続いて当該可動弁部材が前記ストッパ部にあたって停止し、その後、当該ステムのみがさらに静止モードへの復帰方向に移動して、当該被保持部が前記下側位置に保持された静止モードの状態に設定される、
ことを特徴とする噴射口詰まり防止機構。
【請求項2】
前記静止モードから前記作動モードへ移行するとき、
前記被保持部を前記下側位置に保持したかたちの当該可動弁部材および前記ステムは、
先ず、前記噴射剤気相弁が閉じて、容器本体内部の前記噴射剤気相分が前記ハウジング孔部から前記ステム孔部および前記噴射口へと流入するのを抑え、
続いて当該可動弁部材が前記ストッパ部にあたって停止し、その後、当該ステムのみがさらに作動モードへの移行方向に移動して、当該被保持部が前記上側位置に保持された作動モードの状態に設定される、
ことを特徴とする請求項1記載の噴射口詰まり防止機構。
【請求項3】
前記ステムは、
前記移動範囲設定部の一部に、前記可動弁部材の上流側から下流側へと放出対象内容物や前記噴射剤気相分を通過させる通路部分が形成されたものである、
ことを特徴とする請求項1または2記載の噴射口詰まり防止機構。
【請求項4】
前記ハウジングは、
前記流入弁要素としての下側内周面,前記ハウジング孔部としての外側孔部、および前記可動弁部材を前記最下位置に設定するストッパ部としての環状起立部を備えたハウジング本体と、
前記可動弁部材が当接して案内される形で当該ハウジング本体の内側に取り付けられて、前記ハウジング孔部としての内側孔部、および当該可動弁部材を前記最上位置に設定するストッパ部としての環凸状部を備えた筒状部と、からなっている、
ことを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の噴射口詰まり防止機構。
【請求項5】
前記筒状部は、
前記環状起立部の外側の周方向凹状部に保持されている、
ことを特徴とする請求項記載の噴射口詰まり防止機構。
【請求項6】
請求項1乃至請求項のいずれかに記載の噴射口詰まり防止機構を備え、かつ、噴射剤および内容物を収容した、
ことを特徴とするエアゾール式製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアゾール式製品の内容物噴射用の作動モード設定操作を終了の際に、内容物噴射口やその近くの通路部などに残留する内容物を、容器本体内部の噴射剤気相分の作用で外部空間域へ流出させるようにした噴射口詰まり防止機構などに関する。
【0002】
特に、作動モード設定操作により開状態となる流出弁要素(ステム孔部)を持つステムが配されるハウジングに、ステムとの流入弁要素(ハウジング下側内周面)およびステムと連動する可動弁部材との噴射剤気相弁要素(ハウジング孔部)を設けたものである。
【0003】
そして、流入弁,流出弁および噴射剤気相弁それぞれの位置・形状関係を、
(11)静止モードでは、流入弁および流出弁が閉じて噴射剤気相弁が開き、
(12)静止モードから作動モードへの移行の際には、流入弁が閉じたまま、噴射剤気相弁が略閉じてから流出弁が開き、
(13)作動モードでは、噴射剤気相弁が閉じたまま、流出弁および流入弁の双方が開き、
(14)作動モードから静止モードへの復帰の際には、流入弁が閉じた状態で、噴射剤気相弁が開いてから流出弁が閉じる、
ように設定している。
【0004】
ここでポイントとなるのは、上記(12),(14)における噴射剤気相弁および流出弁の開閉変化の順序である。
【0005】
すなわち、静止モードから作動モードへの移行時には、噴射剤気相弁および流出弁がともに開状態となるタイミングを極力回避し、容器本体内部の噴射剤気相分が外部空間域へ漏洩しないようにしている。
【0006】
これとは逆に、作動モードから静止モードへの復帰時には、流入弁が閉じた状態で、噴射剤気相弁および流出弁がともに開状態となるタイミングを確保し、容器本体の噴射剤気相分が確実に内容物の噴射口へと送られるようにしている。
【0007】
この開閉変化の順序を担保するため、後述のように、流入弁要素としてのステム孔部と、噴射剤気相弁要素としての可動弁部材との図示上下方向の相対位置関係を、作動モードへの移行時および静止モードへの復帰時のそれぞれで切り替えている。
【0008】
すなわち、ステム孔部と可動弁部材との図示上下方向間隔を、静止モードと、作動モードへの移行前半段階では長く設定し(図1図2参照)、作動モードと、静止モードへの復帰前半段階では短く設定している(図4図5参照)。
【0009】
この噴射口詰まり防止機構の作動により、エアゾール式製品におけるアフタードローの発生を阻止する、または十分に減少させることができる。
【0010】
本明細書では、必要に応じて操作部の噴射口側を「先」,「前」と記し、それとは反対側を「後」と記す。すなわち図1図6の左側が「前」で、右側が「後」となる。
【0011】
また、内容物放出操作時のステムの移動方向を「縦方向」,「上下方向」とする。この縦方向における図示操作部の側を「上」と記し、同じ縦方向の図示チューブの側を「下」と記す。
【背景技術】
【0012】
本件出願人は、エアゾール式製品のアフタードロー対策として、作動モード設定操作を終了の際に、内容物噴射口などの残留内容物を、容器本体内部からの噴射剤気相分の作用で外部空間域へ流出させることを提案している(後述の特許文献1参照)。
【0013】
これは、作動モードのときに容器本体内部からの噴射剤気相分が収容される貯留空間域を別途用意し、作動モード設定操作終了にともなう操作部の静止モード位置への復帰動作により当該貯留空間域の噴射剤気相分が噴射口へいわば自動供給されるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2012−125695号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
この提案済みの噴射口詰まり防止機構は、エアゾール式製品の噴射口およびその近くの残留内容物を噴射剤気相分の作用で噴射口から外部空間域に積極的に流出させてしまうといった考えに基づくもので、所定のアフタードロー対策効果を奏している。
【0016】
本発明は、噴射剤気相分の貯留空間域を設けることに代えて、内容物放出操作終了の際にステムが静止モード位置に戻る段階で、ハウジングへの流入弁が閉じ、噴射剤気相弁およびステムからの流出弁がともに開状態となるタイミングを確保したものである。
【0017】
このタイミングの間、容器本体内部の噴射剤気相分は、ともに開状態の噴射剤気相弁と流出弁とを介してハウジングおよびステム経由で噴射口の方へと流出する。
【0018】
すなわち、容器本体の噴射剤気相分を通常のハウジングに直接取り込むための噴射剤気相弁(ハウジング孔部と可動弁部材)を設けて、静止モード復帰時の流出弁が閉じる前に、この噴射剤気相弁を開状態に設定するという新たな視点に立脚したものである。
【0019】
本発明はこれにより、エアゾール式製品のアフタードロー対策技術の豊富化を図り、アフタードロー発生の効率的な阻止化,減少化を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明は、以上の課題を次のようにして解決する。
(1)エアゾール式製品の作動モード設定操作の際、噴射剤気相分の作用で、噴射口(例えば後述の噴射口2a)やその近くの通路部の残留内容物を外部空間域に放出する噴射口詰まり防止機構において、
前記噴射口に連通する内容物通路域(例えば後述の内容物通路域1b)、流出弁要素としてのステム孔部(例えば後述のステム孔部1a)および流入弁要素としての下側外周面(例えば後述の小径円柱部1m,大径円柱部1n)を備えたステム(例えば後述のステム1)と、
作動モードのとき前記ステム孔部に通じる内部空間域、前記流入弁要素としての下側内周面(例えば後述の流入弁環状部3f)および噴射剤気相弁要素としてのハウジング孔部(例えば後述のハウジング本体孔部3a,ブッシュ孔部4a)を備えたハウジング(例えば後述のハウジング本体3,ブッシュ4)と、
前記内部空間域に配設されてハウジング内周面に案内されながら前記ステムと連動し、前記ハウジング孔部への噴射剤気相弁要素として作動する可動弁部材(例えば後述の可動弁部材5)と、を有し、
前記ステムは、
前記ステム孔部と前記下側外周面との間の外周面部分に形成されて、前記可動弁部材の当該ステムに対する移動範囲(例えば後述の上環状天面1eと外向き下環状段部1fとの間の縦方向範囲)を設定し、かつ、当該ステムが静止モード位置のとき当該可動弁部材を当該移動範囲の下側位置に保持して、当該ステムが作動モード位置のとき当該可動弁部材を当該移動範囲の上側位置に保持する移動範囲設定部(例えば後述の上環状天面1e,外向き下環状段部1f,上環状テーパ面1g,下環状テーパ面1h)を備え、
前記ハウジングは、
前記ハウジング孔部の上方,下方それぞれに形成されて、前記可動弁部材をその最上位置と最下位置とにそれぞれ設定するストッパ部(例えば後述の上縦リブ状部4b,環状起立部3c)を備え、
前記可動弁部材は、
前記下側位置および前記上側位置に選択的に保持される被保持部(例えば後述の内向き環状段部5c,環状傾斜面5d,下環状天面5e,垂下内周面部5f)を備え、
前記移動範囲設定部は、
前記被保持部が前記ステムに対し前記下側位置と前記上側位置との間で移動するとき、当該被保持部との相対的な弾性変形案内作用を示す環状テーパ面(例えば後述の上環状テーパ面1g,下環状テーパ面1h)を備え、
前記ステムおよび前記可動弁部材が、
前記流入弁および前記流出弁それぞれの開状態ならびに前記噴射剤気相弁の閉状態に設定されている作動モードから、その逆の開閉状態の静止モードへ復帰するとき、
前記被保持部を前記上側位置に保持したかたちの当該可動弁部材および当該ステムは、
先ず、当該流入弁が閉じ、かつ、当該流出弁および当該噴射剤気相弁がともに開いた状態に変化して、容器本体内部(例えば後述の収容空間域A)の前記噴射剤気相分を前記噴射口へと流入させ、
続いて当該可動弁部材が前記ストッパ部(例えば後述の上縦リブ状部4b)にあたって停止し、その後、当該ステムのみがさらに静止モードへの復帰方向に移動して、当該被保持部が前記下側位置に保持された静止モードの状態に設定される、
構成態様のものを用いる。
(2)上記(1)において、
前記静止モードから前記作動モードへ移行するとき、
前記被保持部を前記下側位置に保持したかたちの前記可動弁部材および前記ステムは、
先ず、前記噴射剤気相弁が閉じて、容器本体内部の前記噴射剤気相分が前記ハウジング孔部から前記ステム孔部および前記噴射口へと流入するのを抑え、
続いて当該可動弁部材が前記ストッパ部(例えば後述の環状起立部3c)にあたって停止し、その後、当該ステムのみがさらに作動モードへの移行方向に移動して、当該被保持部が前記上側位置に保持された作動モードの状態に設定される、
構成態様のものを用いる。
(3)上記(1),(2)において、
前記ステムは、
前記移動範囲設定部の一部に、前記可動弁部材の上流側から下流側へと放出対象内容物や前記噴射剤気相分を通過させる通路部分(例えば後述の縦溝状部1k)が形成された、
構成態様のものを用いる。
)上記(1),(2),(3)において、
前記ハウジングは、
前記流入弁要素としての下側内周面(例えば後述の流入弁環状部3f),前記ハウジング孔部としての外側孔部(例えば後述のハウジング本体孔部3a)、および前記可動弁部材を前記最下位置に設定するストッパ部としての環状起立部(例えば後述の環状起立部3c)を備えたハウジング本体(例えば後述のハウジング本体3)と、
前記可動弁部材を当接案内する形で当該ハウジング本体の内側に取り付けられて、前記ハウジング孔部としての内側孔部(例えば後述のブッシュ孔部4a)、および当該可動弁部材を前記最上位置に設定するストッパ部としての環凸状部(例えば後述の上縦リブ状部4b)を備えた筒状部(例えば後述のブッシュ4)と、からなる、
構成態様のものを用いる。
)上記()において、
前記筒状部は、
前記環状起立部の外側の周方向凹状部(例えば後述の周方向凹状部3b)に保持された、
構成態様のものを用いる。
【0021】
このような構成からなる噴射口詰まり防止機構および、当該噴射口詰まり防止機構を備えたエアゾール式製品を本発明の対象としている。
【発明の効果】
【0022】
本発明は以上の課題解決手段により、
(21)エアゾール式製品のアフタードロー対策に関する技術の豊富化を図り、
(22)アフタードロー発生防止の十全化を図る、
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】噴射口に対する内容物詰まり防止機構の静止モード、すなわちハウジングに対する流入弁および流出弁が閉じ、噴射剤気相弁が開き、かつ、噴射剤気相弁構成要素の可動弁部材がステムに対して下側位置に保持された状態を示す説明図である。
図2図1の操作部を押下げて作動モードに移行させる際の前半段階、すなわち噴射剤気相弁が閉じ、流出弁が少なくとも完全な開までには変化せず、流入弁が閉じ、可動弁部材が下側位置に保持されたままステムと下方に連動する状態を示す説明図である。
図3図2に続く作動モード移行への後半段階、すなわち噴射剤気相弁が閉じ、流出弁および流入弁が開き、可動弁部材がハウジングにあたって停止し、ステムのみがさらに下動している状態を示す説明図である。
図4図3に続く作動モード、すなわち図3の後半段階と同じく噴射剤気相弁が閉じ、流出弁および流入弁が開き、かつ、ステムも停止し、可動弁部材がステムに対して上側位置に保持された状態を示す説明図である。
図5】押下げ操作解除により、静止モードに復帰させる際の前半段階、すなわち流入弁が閉じて噴射剤気相弁および流出弁がともに開くタイミング(=容器本体内部の噴射剤気相分が噴射剤気相弁および流出弁を介して噴射口へいたる流れ経路Cを確保するタイミング)を設定し、可動弁部材が上側位置に保持されたままステムと上方に連動する状態を示す説明図である。
図6図5に続く静止モード移行への後半段階、すなわち噴射剤気相弁が開き、流出弁および流入弁が閉じ、可動弁部材がハウジングにあたって停止し、ステムのみがさらに上動している状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1図6を用いて本発明の実施形態を説明する。
【0025】
図1図6で用いるアルファベット付き参照番号の構成要素(例えばステム孔部1a)は原則として、当該参照番号の数字部分の構成要素(例えばステム1)の一部であることを示している。
【0026】
図1図6において、
Aは周知の容器本体内部における噴射剤気相分の収容空間域,
Bは内容物噴射状態の作動モードにおいて、容器本体の噴射内容物がハウジング内部から流出弁(ステム孔部)および噴射口などを経て外部空間域に放出されるときの内容物流れ経路(図4参照),
Cは作動モードから静止モードに復帰する際に、収容空間域Aの噴射剤気相分が、ともに開状態の噴射剤気相弁(ハウジング孔部)および流出弁(ステム孔部)を経て噴射口へと移動するときの噴射剤気相分流れ経路(図5参照),
Dは利用者の操作部への内容物放出操作に応じてステムがそれまでの静止モード位置から作動モード位置へシフトするときのステム移動方向(図2図3参照),
Eは内容物放出操作の解除により、ステムがそれまでの作動モード位置からコイルスプリングの弾性作用で上方の静止モード位置へ復帰するときのステム移動方向(図5図6参照),
をそれぞれ示している。
【0027】
また、
1は内容物噴射操作と連動した流出弁作用を呈し、かつ、内容物通過用の内部通路域を備えた鞘状のステム,
1aは当該ステムの上側周面部分に形成されて、後述のステムガスケット6との間で流出弁を構成するステム孔部,
1bはステム孔部1aおよび後述の噴射口2a(図3図4参照)のそれぞれと連通する内容物通路域、
1cはステム孔部1aの下方周面部に形成されて、図1の静止モードのとき後述のステムガスケット6の内端側下面部分と当接する外向き上環状段部,
1dは外向き上環状段部1cを含む形でその直下に続く環凸状部,
1eは環凸状部1dの下面とのいわば兼用部分からなり、後述の可動弁部材5の当該ステムに対しての最上位置(図4図5参照)を設定するための上環状天面(移動範囲設定部),
1fは上環状天面1eの下方周面部に形成され、後述の可動弁部材5の当該ステムに対しての最下位置(図1図2参照)を設定するための外向きの下環状段部(移動範囲設定部),
1gは上環状天面1eと外向き下環状段部1fとの間の上下方向中間周面部に形成されて、後述の可動弁部材5を当該上環状天面との当接状態に保持し、かつ、当該可動弁部材が当該ステムに対して上下方向に強制駆動されるときのガイド作用を呈する下方への上り緩勾配の上環状テーパ面(移動範囲設定部),
1hは上環状テーパ面1gの直下部分に連続形成されて、後述の可動弁部材5を外向き下環状段部1fとの当接状態に保持し、かつ、当該可動弁部材が当該ステムに対して上下方向に強制駆動されるときのガイド作用を呈する下方への下り急勾配の下環状テーパ面(移動範囲設定部),
1jは外向き下環状段部1fの下方周面部に環天井面態様で形成されて、後述のコイルスプリング7の上端側を保持する上環状受け部,
1kは環凸状部1dの自下側部分から上環状受け部1jまでの間の周面部にその周方向の飛び飛びに形成されて、図3の作動モードでは流入弁からの噴射対象内容物がBの流れで通過し、かつ、図4の作動モードから静止モードへの復帰途中では噴射剤気相弁からの噴射剤気相分がCの流れで通過する縦溝状部(噴射対象内容物および噴射剤気相分の通路部分),
1mは当該ステムの下端側に形成されて流入弁作用を呈する小径円柱部(流入弁要素としての下側外周面),
1nは小径円柱部1mの直下側に形成されて流入弁作用を呈する大径円柱部(流入弁要素としての下側外周面),
をそれぞれ示している。
【0028】
また、
2はステム1の下流側に取り付けられて、図1の静止モードから図3の作動モードへの内容物放出操作対象となる操作部,
2aは当該操作部の先端部分に形成された内容物放出用の噴射口(図3図4参照),
をそれぞれ示している。
【0029】
また、
3はステム1の下側部分を収容して、自内部空間域を容器本体からの噴射対象内容物が通過する筒状のハウジング本体(ハウジング),
3aは当該ハウジング本体の周面部分に形成されて、後述の可動弁部材5との間で噴射剤気相弁を構成するハウジング本体孔部(ハウジング孔部,外側孔部),
3bはハウジング本体孔部3aよりも下方のハウジング本体内周面部分に形成されて後述の可動弁部材5の下端側部分を係合保持する周方向凹状部,
3cは周方向凹状部3bの内側壁部分を兼ねて、後述の可動弁部材5の最下位置を画定する環状起立部(ストッパ部),
3dは当該ハウジング本体の内周面下端側部分に複数形成されて、それぞれに挟まれた形の上下方向空間域を内容物が通過する下縦リブ状部,
3eは下縦リブ状部3dの下端部分に内向きの段部態様で形成されて、後述のコイルスプリング7の下端側を保持する下環状受け部,
3fは下環状受け部3eよりも下方のハウジング本体内周面部分に形成されて、ステム1の小径円柱部1mおよび大径円柱部1nとの間で流入弁作用を呈する、下側内向きの流入弁環状部(流入弁要素としての下側内周面),
をそれぞれ示している。
【0030】
また、
4は自下端側部分が周方向凹状部3bに案内保持され、かつ、ハウジング本体3の上側内周面に嵌合した状態で当該ハウジング本体と一体化している筒状のブッシュ(ハウジング,筒状部),
4aは当該ブッシュがハウジング本体3に取り付けられた状態でハウジング本体孔部3aとの対向部分に位置するブッシュ孔部(ハウジング孔部,内側孔部),
4bは当該ブッシュの上端側内周面部分に複数形成されて、それぞれの下面部分で後述の可動弁部材5の最上位置を画定する上縦リブ状部(ストッパ部,環凸状部),
をそれぞれ示している。
【0031】
また、
5はステム1とブッシュ4との環状空間域に配設され、ハウジング本体孔部3aおよびブッシュ孔部4aと協働して容器本体内部の噴射剤気相分への弁作用を呈する上下動可能な可動弁部材,
5aはブッシュ4の内周面に密接してシール作用を呈し、当該可動弁部材の最上位置のとき、自上端部分が上縦リブ状部4bの下面部分などに当接して保持される上側の逆スカート状部,
5bは逆スカート状部5aと同じくブッシュ4の内周面に密接してシール作用を呈し、当該可動弁部材の最下位置のとき、自下端部分が環状起立部3cに係合保持される下側のスカート状部,
5cは可動弁部材の内周面に形成されて、図3の作動モード、およびそこから図4の静止モードへのいわば復帰前半段階のとき、ステム1の上環状天面1eに係合保持される内向き環状段部(被保持部),
5dは内向き環状段部5cの内端部分から下方への連続態様で形成されて、図1の静止モード、およびそこから図2の作動モードへのいわば移行前半段階のとき、ステム1の下環状テーパ面1hと当接する内方下り傾斜の環状傾斜面(被保持部),
5eは環状傾斜面5dの下方の可動弁部材内周面に形成されて、図1の静止モード、およびそこから図2の作動モードへのいわば移行前半段階のとき、ステム1の外向き下環状段部1fと係合保持される下環状天面(被保持部),
5fは環状傾斜面5dの下端部分と下環状天面5eの内端部分とのあいだに連続形成された垂下内周面部(被保持部)
をそれぞれ示している。
【0032】
また、
6はステム1の外周面に当接する形で配設されて、ステム孔部1aとの間で流出弁を構成するステムガスケット,
7はステム1の上環状受け部1jとハウジング本体3の下環状受け部3eとの間に配設され、当該ステムを上方向に付勢して静止モード位置に設定するためのコイルスプリング,
8はハウジング本体3を係合保持してその環状上端部分との間にステムガスケット6を挟持し、かつ、周知の容器本体(図示省略)の開口部に巻締め態様により取り付けられたマウンティングキャップ,
9はハウジング本体3の下端側筒状部に取り付けられた内容物通過用のチューブ,
をそれぞれ示している。
【0033】
ここで、ステム1,ハウジング本体3,ブッシュ4,可動弁部材5およびチューブ9はポリプロピレン,ポリエチレン,ポリアセタール,ナイロン,ポリブチレンテレフタレートなどからなるプラスチック製のものである。
【0034】
また、操作部2はプラスチック製,金属性のものであり、ステムガスケット6はゴム製のものであり、マウンティングキャップ8は金属性のものであり、コイルスプリング7は金属製,プラスチック製のものである。
【0035】
なお、図示の噴射口詰まり防止機構の場合、流入弁はステム1の小径円柱部1m,大径円柱部1nおよびハウジング本体3の流入弁環状部3fで構成される。また、流出弁はステム孔部1aおよびステムガスケット6で構成され、噴射剤気相弁はハウジング本体孔部3a,ブッシュ孔部4aおよび可動弁部材5で構成されている。
【0036】
図示の噴射口詰まり防止機構の基本的特徴は以下(31)〜(36)のとおりである。
【0037】
(31)図1の静止モードでは、
ステム1および可動弁部材5がそれぞれ最上位置にあり、
可動弁部材5の環状傾斜面5d,下環状天面5eの部分がステム1の下環状テーパ面1hおよび外向き下環状段部1fに係合し、
ハウジング本体3の内部空間域に対する流入弁および流出弁がともに閉じて、噴射剤気相弁が開いた状態に設定される。
【0038】
(32)図2の作動モードへの移行前半段階では、
ステム1および可動弁部材5が図1の保持状態のまま一体となって下動し、
この下動のとき、噴射剤気相弁が略閉じてから流出弁が開き始める。
流入弁は閉じたままである。
【0039】
(33)図3の作動モードへの移行後半段階では、
可動弁部材5がハウジング本体3の環状起立部3cの上端部分に当たって停止し、
この可動弁部材停止後も、ステム1は下環状テーパ面1hおよび上環状テーパ面1gが可動弁部材5の垂下内周面部5fに乗り上げる形で相対的に弾性変形しながら下動し、
噴射剤気相弁が閉じたまま流入弁も開き始め、容器本体の噴射対象内容物の外部空間域への放出動作が始まる。
【0040】
(34)図4の作動モードでは、
ステム1および可動弁部材5がそれぞれ最下位置にあり、
可動弁部材5の内向き環状段部5c,下環状天面5eの部分がステム1の上環状天面1eおよび上環状テーパ面1gに係合し、
噴射剤気相弁が閉じたまま、ハウジング本体3の内部空間域に対する流入弁および流出弁がともに開いた状態に設定され、
容器本体の噴射対象内容物がこの開状態の流入弁および流出弁を介して噴射口2aから外部空間域に放出される。
【0041】
(35)図5の静止モードへの復帰前半段階では、
ステム1および可動弁部材5が図4の保持状態のまま一体となって上動し、
この上動のとき、流入弁が閉じ、かつ、噴射剤気相弁および流出弁がともに開いた状態が確保され、
容器本体内の噴射剤気相分が、この開状態の噴射剤気相弁および流出弁を介して噴射口2aへと流れ、当該噴射口やその周辺での残留内容物を外部空間域に流出させる。
【0042】
(36)図6の静止モードへの復帰後半段階では、
可動弁部材5がブッシュ4の上縦リブ状部4bの下端部分に当たって停止し、
この可動弁部材停止後も、ステム1は上環状テーパ面1gが可動弁部材5の垂下内周面部5fなどに乗り上げる形で相対的に弾性変形しながら上動し、
最終的に、ステム1が図1の静止モードの位置関係状態へと復帰する
【0043】
このように、図1の静止モードと図4の作動モードではステム1に対する可動弁部材5の上下方向(ステム移動方向)の位置が異なっている。
【0044】
すなわち、可動弁部材5が、静止モードのときはステム1の外向き下環状段部1fに当接し、作動モードのときは当該下環状段部よりもステム孔部1aに近い上環状天面1eに当接している。
【0045】
換言すれば、ステム孔部1aと可動弁部材5との上下方向間隔を、静止モードでは長く、作動モードでは短くなるように設定している。
【0046】
また、静止モードにおいて、ステム孔部1aはステムガスケット6の上方位置に設定され、かつ、可動弁部材5はブッシュ孔部4aおよびハウジング本体孔部3aの上方位置に設定される。
【0047】
これらの設定態様により、
(41)図1の静止モードの操作部2が下方へ押圧操作されると、図2に示すように概略、先ず、流入弁および流出弁が略それまでと同じく閉じたまま、ブッシュ孔部4aおよびハウジング本体孔部3aが可動弁部材5でシャットオフされ、すなわち噴射剤気相弁が閉状態にシフトし、
(42)逆に利用者の押圧操作が解除されて図4の作動モードから図1の静止モードへ復帰するときには、図5に示すように概略、先ず、流入弁が閉状態にシフトして流出弁がそれまでと同じく開いたまま、噴射剤気相弁も開状態にシフトする、
ことになる。
【0048】
上記(41)の流出弁の開閉変化に対する噴射剤気相弁の優先的な閉状態シフトにより、容器本体の噴射剤気相分が不用意に噴射口2aから外部空間域に放出されるのを極力阻止している。
【0049】
また、上記(42)の流出弁の開閉変化に対する噴射剤気相弁の優先的な閉状態シフトにより、操作部2に対する内容物放出用の押圧操作が解除された直後の間、容器本体の噴射剤気相分が開状態の噴射剤気相弁および流出弁を介して噴射口へと送られる。
【0050】
この噴射口へと送られる噴射剤気相分の噴射作用により、当該噴射口およびその近くの残留内容物が外部空間域へと放出され、噴射口詰まりが格段に改善される。
【0051】
上述したように、ステム1は、コイルスプリング7の弾性力により上方に付勢されているので、内容物放出用の押圧操作にともない当該弾性力に抗しながら下動し、押圧操作の解除により上動する。
【0052】
ステム1は図1の静止モードのときその最上位置に設定される。
これは、ステム1の外向き下環状段部1fが、ハウジング本体3と嵌合状態のブッシュ4の上縦リブ状部4bに保持された可動弁部材5の下環状天面5eと係合しているからである。
【0053】
図1の噴射口詰まり防止機構の静止モードのとき、流入弁および流出弁はともに閉じ、噴射剤気相弁は開いている。このとき容器本体内容物は勿論外部空間域に放出されていない。
【0054】
図1に続く図2の作動モードへの移行前半段階のとき、流入弁は閉じたままで、流出弁は少し開き、噴射剤気相弁は略閉状態へとシフトしている。
【0055】
ここで噴射剤気相弁が閉状態へシフトするのは、可動弁部材5の逆スカート状部5aおよびスカート状部5bがブッシュ孔部4aを跨いだ状態でブッシュ内周面へのシール作用を呈するからである。このシール作用により、ブッシュ孔部4aおよびハウジング本体孔部3aがハウジング内部空間域からシャットオフされる。このときも容器本体内容物は外部空間域に放出されない。
【0056】
図2に続く図3の作動モードへの移行後半段階のとき、流入弁および流出弁はともに開状態へとシフトし、噴射剤気相弁は閉じたままである。このとき容器本体の内容物は流入弁および流出弁を介して外部空間域に放出され始める。
【0057】
ここで、流入弁が開状態へシフトするのは、ハウジング本体3の流入弁環状部3fの対向相手がそれまでの大径円柱部1nから小径円柱部1mへといわば交代したためである。
【0058】
また、流出弁が開状態にシフトするのは、ステム孔部1aがステムガスケット6の下方位置まで移動するからである。
【0059】
図3の内容物の放出経路は、「容器本体内部空間域−チューブ9−流入弁−ハウジング本体3の内部下方空間域−縦溝状部1k−ハウジング本体3・ブッシュ4の内部上方空間域−ステム孔部1a−内容物通路域1b−噴射口2a」となる。
【0060】
図3に続く図4の作動モードのとき、流入弁および流出弁はともに十分開き、噴射剤気相弁は閉じたままである。このとき容器本体の内容物は流入弁および流出弁を介して流れ経路Bで外部空間域に放出される。その経路自体は図3の場合と同じである。
【0061】
図4に続く図5の静止モードへの復帰前半段階のとき、流入弁は閉状態へシフトし、流出弁は開いたままで、噴射剤気相弁は開状態へとシフトする。
【0062】
ここで、流入弁が閉状態へシフトするのは、ハウジング本体3の流入弁環状部3fの対向相手がそれまでの小径円柱部1mから大径円柱部1nへと交代したためである。
【0063】
また、噴射剤気相弁が開状態へとシフトするのは、可動弁部材5の下側のスカート状部5bがブッシュ孔部4aの上方位置に移動したからである。
【0064】
この静止モードへの復帰前半段階のとき、容器本体中の収容空間域Aの噴射剤気相分が、ともに開状態の噴射剤気相弁および流出弁を介して「ハウジング内部空間域−ステム孔部1a−内容物通路域1b」の流れ経路Cにより噴射口2aへと供給される。
【0065】
この噴射口2aに流入した噴射剤気相弁の作用で、上述のように当該噴射口およびその近くの残留内容物が外部空間域へと放出される。
【0066】
図5に続く図6の静止モードへの復帰後半段階のとき、流入弁は閉じたままであり、流出弁は閉状態へとシフトし、噴射剤気相弁は開いたままである。すなわち、これら各弁の開閉状態は図1の静止モードのそれと同じである。このとき容器本体の内容物は勿論外部空間域に放出されない。
【0067】
ここで、流出弁が閉状態へとシフトするのは、ステム孔部1aがステムガスケット6の位置以上まで移動するからである。
【0068】
本発明が以上の実施形態に限定されないことは勿論であって、例えば、
(51)図示の操作部に代えて押下げ回動タイプの操作部を用いる
(52)ハウジング本体3とブッシュ4とを単一部材として作成する、
(53)可動弁部材5の上流側と下流側との間に形成された噴射対象内容物および噴射剤の通路部分(縦溝状部1k)を可動弁部材に形成する、
(54)図2の作動モードへの移行前半段階における流入弁と噴射剤気相弁との相対位置関係として、噴射剤気相弁が完全な閉状態へ移行しきっていない時点で流入弁がわずかに開くような状況も含める、
(55)図示の噴射口詰まり防止機構の各構成要素間の凹状部とそれに対応した凸状部との形状関係を凹凸逆にする、
ようにしてもよい。
【0069】
本発明が適用されるエアゾール式製品としては、洗浄剤,清掃剤,制汗剤,冷却剤,筋肉消炎剤,ヘアスタイリング剤,ヘアトリートメント剤,染毛剤,育毛剤,化粧品,シェービングフォーム,食品,液滴状のもの(ビタミンなど),医薬品,医薬部外品,塗料,園芸用剤,忌避剤(殺虫剤),クリーナー,消臭剤,洗濯のり,ウレタンフォーム,消火器,接着剤,潤滑剤などの各種用途のものがある。
【0070】
容器本体に収容される内容物としては、液状,クリーム状,ゲル状など種々の形態のものを用いる。内容物に配合される成分は例えば、粉状物,油成分,アルコール類,界面活性剤,高分子化合物,各用途に応じた有効成分,水などである。
【0071】
粉状物としては、金属塩類粉末,無機物粉末や樹脂粉末などを用いる。例えば、タルク,カオリン,アルミニウムヒドロキシクロライド(アルミ塩),アルギン酸カルシウム,金粉,銀粉,雲母,炭酸塩,硫酸バリウム,セルロース,これらの混合物などを用いる。
【0072】
油成分としては、シリコーン油,パーム油,ユーカリ油,ツバキ油,オリーブ油,ホホバ油,パラフィン油,ミリスチン酸,パルミチン酸,ステアリン酸,リノール酸,リノレン酸などを用いる。
【0073】
アルコール類としては、エタノールなどの1価の低級アルコール,ラウリルアルコールなどの1価の高級アルコール,エチレングリコール,グリセリン,1,3−ブチレングリコールなどの多価アルコールなどを用いる。
【0074】
界面活性剤としては、ラウリル硫酸ナトリウムなどのアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンオレイルエーテルなどの非イオン性界面活性剤、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタインなどの両性界面活性剤、塩化アルキルトリメチルアンモニウムなどのカチオン性界面活性剤などを用いる。
【0075】
高分子化合物としては、ヒドロキシエチルセルロース,メチルセルロース,ゼラチン,デンプン,カゼイン,キサンタンガム,カルボキシビニルポリマーなどを用いる。
【0076】
各用途に応じた有効成分としては、サリチル酸メチル,インドメタシンなどの消炎鎮痛剤、安息香酸ナトリウム,クレゾールなどの除菌剤、ピレスロイド,ジエチルトルアミドなどの害虫忌避剤、パラフェノールスルホン酸亜鉛などの制汗剤、カンフル,メントールなどの清涼剤、エフェドリン,アドレナリンなどの抗喘息薬、スクラロース,アスパルテームなどの甘味料、エポキシ樹脂,ウレタンなどの接着剤や塗料、パラフェニレンジアミン,アミノフェノールなどの染料,過酸化水素水などの酸化剤、リン酸二水素アンモニウム,炭酸水素ナトリウム・カリウムなどの消火剤などを用いる。
【0077】
さらに、上記内容物以外の、懸濁剤,紫外線吸収剤,乳化剤,保湿剤,酸化防止剤、金属イオン封鎖剤なども用いることができる。
【0078】
エアゾール式製品における内容物噴射用ガスとしては、炭酸ガス,窒素ガス,圧縮空気,酸素ガス,希ガス,これらの混合ガスなどの圧縮ガスや、液化石油ガス,ジメチルエーテル,フロロカーボンなどの液化ガスを用いる。
【符号の説明】
【0079】
1:鞘状のステム
1a:ステム孔部
1b:内容物通路域
1c:外向き上環状段部
1d:環凸状部
1e:上環状天面
1f:外向き下環状段部
1g:上環状テーパ面
1h:下環状テーパ面
1j:上環状受け部
1k:縦溝状部
1m:小径円柱部
1n:大径円柱部
【0080】
2:操作部
2a:噴射口(図3図4参照)
3:ハウジング本体
3a:ハウジング本体孔部
3b:周方向凹状部
3c:環状起立部
3d:下縦リブ状部
3e:下環状受け部
3f:流入弁環状部
【0081】
4:筒状のブッシュ
4a:ブッシュ孔部
4b:上縦リブ状部
5:可動弁部材
5a:逆スカート状部
5b:スカート状部
5c:内向き環状段部
5d:環状傾斜面
5e:下環状天面
5f:垂下内周面部
【0082】
6:ステムガスケット
7:コイルスプリング
8:マウンティングキャップ
9:チューブ
図1
図2
図3
図4
図5
図6