特許第6265792号(P6265792)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 新日鉄住金エンジニアリング株式会社の特許一覧 ▶ NSプラント設計株式会社の特許一覧

特許6265792酸素供給用パイプの測長装置及び酸素洗浄機
<>
  • 特許6265792-酸素供給用パイプの測長装置及び酸素洗浄機 図000003
  • 特許6265792-酸素供給用パイプの測長装置及び酸素洗浄機 図000004
  • 特許6265792-酸素供給用パイプの測長装置及び酸素洗浄機 図000005
  • 特許6265792-酸素供給用パイプの測長装置及び酸素洗浄機 図000006
  • 特許6265792-酸素供給用パイプの測長装置及び酸素洗浄機 図000007
  • 特許6265792-酸素供給用パイプの測長装置及び酸素洗浄機 図000008
  • 特許6265792-酸素供給用パイプの測長装置及び酸素洗浄機 図000009
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6265792
(24)【登録日】2018年1月5日
(45)【発行日】2018年1月24日
(54)【発明の名称】酸素供給用パイプの測長装置及び酸素洗浄機
(51)【国際特許分類】
   F27D 21/00 20060101AFI20180115BHJP
   F27D 25/00 20100101ALI20180115BHJP
   F27D 3/14 20060101ALI20180115BHJP
   F27D 3/15 20060101ALI20180115BHJP
   F27D 3/16 20060101ALI20180115BHJP
   F23J 1/00 20060101ALI20180115BHJP
   G01B 15/00 20060101ALI20180115BHJP
【FI】
   F27D21/00 A
   F27D25/00
   F27D3/14 Z
   F27D3/15 Z
   F27D3/16 Z
   F23J1/00 Z
   G01B15/00 C
【請求項の数】10
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-48062(P2014-48062)
(22)【出願日】2014年3月11日
(65)【公開番号】特開2015-172449(P2015-172449A)
(43)【公開日】2015年10月1日
【審査請求日】2016年11月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】306022513
【氏名又は名称】新日鉄住金エンジニアリング株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】390022873
【氏名又は名称】NSプラント設計株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100145012
【弁理士】
【氏名又は名称】石坂 泰紀
(74)【代理人】
【識別番号】100169063
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 洋平
(72)【発明者】
【氏名】陳 立
(72)【発明者】
【氏名】川口 秀喜
(72)【発明者】
【氏名】▲桑▼野 佳之
(72)【発明者】
【氏名】小池 純
(72)【発明者】
【氏名】小宮 史朗
(72)【発明者】
【氏名】津田 貢
【審査官】 市川 篤
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−061104(JP,A)
【文献】 特開2005−172772(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/002192(WO,A1)
【文献】 特開2012−137255(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F27D 21/00−21/04
F23J 1/00− 1/08
G01B 15/00−15/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸素洗浄機が有する酸素供給用パイプの長さを測定するための測長装置であって、
先端側において前記酸素供給用パイプと接続される内筒と、
前記内筒の基端側に設けられ、前記内筒に接続される前記酸素供給用パイプに向けてマイクロ波を発信する発信器と、
前記内筒の基端側に設けられ、前記内筒に接続される前記酸素供給用パイプの先端において反射して戻ってくるマイクロ波を受信する受信器と、
前記内筒の少なくとも一部を覆うように設けられた外筒と、
前記外筒に設けられた酸素導入口と、
前記内筒における前記外筒で覆われた部分に設けられた複数の貫通孔と、
を備え、
前記酸素導入口から前記外筒内に導入された酸素が前記複数の貫通孔を介して前記内筒内へと供給されるように構成されている、測長装置。
【請求項2】
前記発信器は、前記内筒の基端側開口に挿入されるエミッタを有し、
前記内筒が円筒であり且つ前記内筒の外径をDmmとすると、前記複数の貫通孔は前記内筒の基端から5Dmmまでの範囲に設けられている、請求項1に記載の測長装置。
【請求項3】
前記複数の貫通孔は、マイクロ波の波長の半分以下の開孔径をそれぞれ有する、請求項1又は2に記載の測長装置。
【請求項4】
前記複数の貫通孔は、前記内筒の周方向に並んで設けられている、請求項1〜3のいずれか一項に記載の測長装置。
【請求項5】
前記複数の貫通孔は、前記内筒の延びる方向に並んで設けられている、請求項1〜4のいずれか一項に記載の測長装置。
【請求項6】
先端が溶融炉内に配置されるとともに洗浄処理時の当該炉内において先端側が消耗して経時的に短くなる酸素供給用パイプと、
前記酸素供給用パイプの基端側に設けられ、前記酸素供給用パイプの先端の開口に向けてマイクロ波を発信する発信器と、
前記酸素供給用パイプの基端側に設けられ、前記酸素供給用パイプの先端において反射して戻ってくるマイクロ波を受信する受信器と、
前記酸素供給用パイプの基端側の一部を覆うように設けられた外筒と、
前記外筒に設けられた酸素導入口と、
前記酸素供給用パイプにおける前記外筒で覆われた部分に設けられた複数の貫通孔と、
を備え、
前記酸素導入口から前記外筒内に導入された酸素が前記複数の貫通孔を介して前記酸素供給用パイプ内へと供給されるように構成されている、酸素洗浄機。
【請求項7】
前記発信器は、前記酸素供給用パイプの基端側開口に挿入されるエミッタを有し、
前記酸素供給用パイプの基端側が円筒であり且つ当該基端側の外径をDmmとすると、前記複数の貫通孔は前記酸素供給用パイプの基端から5Dmmまでの範囲に設けられている、請求項6に記載の酸素洗浄機。
【請求項8】
前記複数の貫通孔は、マイクロ波の波長の半分以下の開孔径を有する、請求項6又は7に記載の酸素洗浄機。
【請求項9】
前記複数の貫通孔は、前記酸素供給用パイプの周方向に並んで設けられている、請求項6〜8のいずれか一項に記載の酸素洗浄機。
【請求項10】
前記複数の貫通孔は、前記酸素供給用パイプの延びる方向に並んで設けられている、請求項6〜9のいずれか一項に記載の酸素洗浄機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶融炉を酸素洗浄する際に使用される酸素供給用パイプの測長装置及びかかる測長機能を有する酸素洗浄機に関する。
【背景技術】
【0002】
廃棄物溶融炉は都市ごみなどの廃棄物を処理するための溶融炉である。廃棄物溶融炉のメンテナンスの一つとして、酸素による洗浄処理がある。廃棄物溶融炉の出湯口から溶融スラグを排出させた後、炉内に溜まった残留物を排出するため、酸素供給用パイプを出湯口に挿入し、このパイプを通じて炉内に酸素を供給する。酸素供給用パイプの先端を前方又は後方に移動させながら酸素を炉内に供給することで、炉内の可燃物及び酸素供給用パイプ自身の燃焼熱によって残留物を流動化させ、これを炉外へと排出する。
【0003】
洗浄作業を効率的に行うには酸素供給用パイプの先端位置を常時的確に把握し、所望の位置に酸素を供給することが望ましい。しかし、酸素洗浄機が備える酸素供給用パイプ(鋼管)は、炉内において先端側が燃焼又は溶融によって消耗して経時的に短くなるため、その長さ、ひいてはその先端位置を把握することが困難である。酸素供給用パイプの径及び厚み並びに炉内の状況にもよるが、例えば、炉底部温度が1500℃を超えるような高温下にあっては、5〜10分の洗浄作業の間にパイプの長さが3〜5mも短くなる場合がある。
【0004】
洗浄作業中、作業者は酸素供給用パイプの先端位置を肉眼で確認することができない。このため、例えば、パイプがかなり短くなっていると作業者が予想したものの、その予想に反してパイプがさほど消耗しておらず、長さが維持されている場合もある。この場合、パイプを先方に押し出し過ぎるとパイプの先端が炉壁に衝突し、これによって炉壁が損傷するおそれがある。
【0005】
特許文献1は、マイクロ波を利用してパイプ長さを測定するパイプ測長装置を備えた酸素洗浄装置を開示する。特許文献1に係る装置は、パイプの一端から他端(炉内のパイプ先端)に向けてマイクロ波を発信するとともに、パイプ先端において反射して戻ってくるマイクロ波を受信することによってパイプ先端までの長さを求めんとするものである(特許文献1段落[0010]参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−61104号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、特許文献1に記載の酸素洗浄装置は、図7(a)に示すように、パイプ25の途中に酸素供給口25fを有する。本発明者らは、パイプ25の途中に酸素入口25fがあると、これに起因してマイクロ波の強い反射波が発生することがあり、本来、測定すべきパイプ先端25bからの反射波を十分な強度で検出できない場合があることを見出した(図7(b)参照)。
【0008】
そこで、本発明は、溶融炉の酸素洗浄に伴って経時的に短くなる酸素供給用パイプの長さを十分的確に把握することが可能な測長装置及びかかる測長機能を有する酸素洗浄機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る測長装置は、酸素洗浄機が有する酸素供給用パイプの長さを測定するためのものであり、先端側において酸素供給用パイプと接続される内筒と、内筒の基端側に設けられ、内筒に接続される酸素供給用パイプに向けてマイクロ波を発信する発信器と、内筒の基端側に設けられ、内筒に接続される酸素供給用パイプの先端において反射して戻ってくるマイクロ波を受信する受信器と、内筒の少なくとも一部を覆うように設けられた外筒と、外筒に設けられた酸素導入口と、内筒における外筒で覆われた部分に設けられた複数の貫通孔とを備え、酸素導入口から外筒内に導入された酸素が複数の貫通孔を介して内筒内へと供給されるように構成されている。
【0010】
上記測長装置は、内筒と外筒とによって構成される二重管構造を有する。これにより、まず、酸素導入口を通じて外筒に酸素が導入され、その後、複数の貫通孔を通じて内筒に酸素が導入される。酸素は内筒に接続された酸素供給用パイプ内に導入され、このパイプの先端から溶融炉内に供給される。かかる構成を採用したことにより、酸素を内筒内に導入するための機構(複数の貫通孔及びこれを覆う外筒)におけるマイクロ波の反射又は散乱を十分に抑制でき、本来、測定すべき酸素供給用パイプの先端からの反射波を受信器において十分な強度で検出することができる。
【0011】
本発明は、測長機能を有する酸素洗浄機を提供する。すなわち、本発明に係る酸素洗浄機は、先端が溶融炉内に配置されるとともに洗浄処理時の当該炉内において先端側が消耗して経時的に短くなる酸素供給用パイプと、酸素供給用パイプの基端側に設けられ、パイプの先端の開口に向けてマイクロ波を発信する発信器と、酸素供給用パイプの基端側に設けられ、酸素供給用パイプの先端において反射して戻ってくるマイクロ波を受信する受信器と、酸素供給用パイプの基端側の一部を覆うように設けられた外筒と、外筒に設けられた酸素導入口と、酸素供給用パイプにおける外筒で覆われた部分に設けられた複数の貫通孔とを備え、酸素導入口から外筒内に導入された酸素が複数の貫通孔を介して酸素供給用パイプ内へと供給されるように構成されている。
【0012】
上記酸素洗浄機は、酸素供給用パイプの基端側と外筒とによって構成される二重管構造を有する。これにより、まず、酸素導入口を通じて外筒に酸素が導入され、その後、複数の貫通孔を通じて酸素供給用パイプに酸素が導入される。酸素は酸素供給用パイプの先端から廃棄物溶融炉内に供給される。かかる構成を採用したことにより、酸素を酸素供給用パイプに導入するための機構(複数の貫通孔及びこれを覆う外筒)におけるマイクロ波の反射又は散乱を十分に抑制でき、本来、測定すべき酸素供給用パイプの先端からの反射波を受信器において十分な強度で検出することができる。
【0013】
本発明において、発信器は内筒(上記酸素洗浄機にあっては酸素供給用パイプ)の基端側開口に挿入されるエミッタを有するものを採用することができる。内筒(上記酸素洗浄機にあっては酸素供給用パイプの基端側)が円筒であり且つその外径をDmmとした場合、複数の貫通孔は内筒(上記酸素洗浄機にあっては酸素供給用パイプ)の基端から5Dmmまでの範囲に設けられていることが好ましい。複数の貫通孔をなるべく基端側に設けることで、複数の貫通孔に起因するマイクロ波の反射又は散乱をより確実に抑制できる。
【0014】
複数の貫通孔は、マイクロ波の波長の半分以下の開孔径をそれぞれ有することが好ましい。かかる構成を採用することにより、マイクロ波が当該複数の貫通孔から外筒に漏えいするのを十分に抑制できる。なお、複数の貫通孔の形状は円形に限定されず、楕円形や矩形であってもよい。貫通孔の形状が円形ではない場合、開孔径は相当直径を意味する。貫通孔の相当直径Rは下記式(1)によって算出される値である。
【数1】

式中、Sは貫通孔の開口面積(m)を示し、Lは貫通孔の縁の全長(m)を示す。なお、内筒(上記酸素洗浄機にあっては酸素供給用パイプ)の内面と外面との間で貫通孔の寸法が変化している場合には最も小さい値をLとする。
【0015】
複数の貫通孔は、内筒(上記酸素洗浄機にあっては酸素供給用パイプ)の周方向に並んで設けられていてもよく、あるいは、内筒(上記酸素洗浄機にあっては酸素供給用パイプ)の延びる方向に並んで設けられていてもよい。更に、複数の貫通孔は、内筒(上記酸素洗浄機にあっては酸素供給用パイプ)の周方向及びその延びる方向に並んで設けられていてもよい。かかる構成を採用することにより、酸素の流れをより均一化でき、圧力損失を十分に低減できる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、溶融炉の酸素洗浄に伴って経時的に短くなる酸素供給用パイプの長さを十分的確に把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明に係る測長装置の一実施形態を模式的に示す部分断面図である。
図2】(a)は図1に示す測長装置が装着された酸素洗浄機の一例を模式的に示す部分断面図であり、(b)は当該測長装置によるマイクロ波の反射波強度の測定結果を模式的に示すグラフである。
図3】内筒の構成を模式的に示す断面図である。
図4】(a)は内筒の基端部を拡大して示す断面図であり、(b)は内筒の長手方向に直交する方向の断面図である。
図5】外筒の構成を模式的に示す断面図である。
図6】本発明に係る酸素洗浄機の一実施形態を模式的に示す部分断面図である。
図7】(a)は測長装置を有する従来の酸素洗浄機の一例を模式的に示す部分断面図であり、(b)は当該測長装置によるマイクロ波の反射波強度の測定結果を模式的に示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について詳細に説明する。図1は本実施形態に係る測長装置を模式的に示す図である。図2の(a)は図1に示す測長装置10が装着された酸素洗浄機20を模式的に示す図であり、(b)は測長装置10によるマイクロ波の反射波強度の測定結果を模式的に示すグラフである。酸素洗浄機20は、廃棄物溶融炉50内に酸素を供給することによって廃棄物溶融炉50内を洗浄するためのものである。
【0019】
図1に示す測長装置10は、酸素洗浄機20が有する酸素供給用パイプ25(図2(a)参照)の長さを測定し、その先端25bの位置を把握するためのものである。測長装置10は、二重管を構成する内筒1及び外筒2と、内筒1の基端1a側に装着されたマイクロ波距離計5とを備える。マイクロ波距離計5は、内筒1を介して酸素供給用パイプ25に向けてマイクロ波を発信する発信機能(エミッタ5a)と、酸素供給用パイプ25の先端25bから反射して戻ってくるマイクロ波を受信する受信機能とを有する。マイクロ波距離計5の具体例としては、パルスレーダ式のマイクロ波距離計が挙げられる。
【0020】
内筒1は、上述のとおり、その基端1a側にマイクロ波距離計5が装着され、マイクロ波を発信するエミッタ5aが内筒1内に挿入されている。他方、内筒1の先端1b側に酸素供給用パイプ25が接続される。内筒1の先端1b側に設けられたフランジ1cと、外筒2の先端2b側のフランジ2dとをボルト6で固定することで、内筒1と外筒2の間を密閉できるようになっている(図2参照)。当該箇所の密閉に例えば耐圧パッキン8を使用すればよい。
【0021】
内筒1は、図3,4に示すように、基端1a側に複数の貫通孔1dを有する。これらの貫通孔1dは、内筒1の外面から内面にかけて貫通している。複数の貫通孔1dは、酸素を内筒1内に供給するためのものである。すなわち、外筒2が有する酸素導入口2eから外筒2内に導入された酸素は、複数の貫通孔1dを通じて内筒1内へと供給される。
【0022】
複数の貫通孔1dは、マイクロ波の波長の半分以下の開孔径をそれぞれ有することが好ましい。かかる構成を採用することにより、マイクロ波が複数の貫通孔1dから外筒2に漏れるのを十分に抑制できる。なお、複数の貫通孔1dの形状は円形に限定されず、楕円形や矩形であってもよい。貫通孔1dの形状が円形ではない場合、開孔径は上記式(1)で算出される相当直径Rを意味する。
【0023】
本実施形態においては、複数の貫通孔1dは内筒1の長手方向に並んで設けられ(図4(a)参照)且つ内筒1の周方向に並んで設けられている(図4(b)参照)。複数の貫通孔1dを規則的に配置することで、酸素の流れをより均一化でき、圧力損失を十分に低減できる。なお、本実施形態においては、内筒1に計24個の貫通孔1dを設けた場合を例示したが、貫通孔1dの数はこれに限定されるものではない。例えば、多数の貫通孔1dによって内筒1の基端1a側が網状となっていてもよい。
【0024】
複数の貫通孔1dは、内筒1の外筒2で覆われた部分に設けられており、好ましくは図1に示すとおり、なるべく基端1a側に設けられている。内筒1が円筒であり且つその外径をDmmとした場合、複数の貫通孔1dは内筒1の基端1aから5Dmmまでの範囲に設けられていることが好ましく、内筒1の基端1aから3Dmmまでの範囲に設けられていることがより好ましい。複数の貫通孔1dをなるべく基端1a側に設けることで、複数の貫通孔1dに起因するマイクロ波の反射又は散乱を抑制できる。
【0025】
内筒1の先端1bに酸素供給用パイプ25がジョイント部25aを介して接続される(図2(a)参照)。酸素供給用パイプ25としては、例えば口径値10A〜20Aの鋼管が使用される。なお、酸素供給用パイプ25内においてマイクロ波が適切に伝搬するには、酸素供給用パイプ25の口径とマイクロ波の周波数とを適切に選択すればよい。例えば、口径値10A(外径17.3mm、内径12.7mm)の鋼管を使用する場合、マイクロ波の周波数は9GHz〜18GHzに設定すればよく、口径値20A(外径27.2mm、内径21.6mm)の鋼管を使用する場合、マイクロ波の周波数は12GHz〜25GHzに設定すればよい。
【0026】
外筒2は、内筒1を覆うように設けられ、酸素導入口2eを有する。図5に示すとおり、外筒2は、基端2a側にフランジ2cを有し、フランジ2cと、フランジ5bとをボルト7で固定することで、外筒2の基端2a側にマイクロ波距離計5を装着できるようになっている。外筒2の先端2b側のフランジ2dは、上述のとおり、内筒1のフランジ1cとボルト締めされる。
【0027】
測長装置10は以下のようにして使用される。すなわち、酸素導入口2eを通じて外筒2に酸素を導入する。外筒2内に導入された酸素は、複数の貫通孔1dを通じて内筒1に供給され、その後、内筒1に接続された酸素供給用パイプ25を通じて廃棄物溶融炉50内に供給される。廃棄物溶融炉50内に酸素を供給すると廃棄物溶融炉50内の可燃物及び酸素供給用パイプ25の燃焼熱によって炉内が高温(例えば1500℃超)となり、流動化した残留物を炉外へと排出させることができる。
【0028】
測長装置10によれば、消耗して経時的に短くなる酸素供給用パイプ25の長さを適切に把握することができる。すなわち、酸素を内筒1内に導入するための機構(複数の貫通孔1d及び外筒2)におけるマイクロ波の反射又は散乱を十分に抑制でき、本来、測定すべき酸素供給用パイプ25の先端25bからの反射波をマイクロ波距離計5において十分な強度で検出することができる。なお、マイクロ波距離計5で測定されたデータ(反射波の強度)はコンピュータ(図示せず)に送られ、このデータに基づいて酸素供給用パイプ25の長さを求めることができ、これにより酸素供給用パイプ25の先端25bの位置を把握することができる。
【0029】
これに対し、例えば図7に示すように、酸素供給用パイプ25の途中に酸素入口25fを設けた場合、この酸素入口25fにおける反射波が高い強度で検出され、酸素供給用パイプ25の先端25bからの反射波の強度が不十分となり、酸素供給用パイプ25の長さを的確に測定できない可能性がある。
【0030】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態においては、マイクロ波の発信器と受信器との機能を兼ね備えるマイクロ波距離計5を採用する場合を例示したが、別々に構成された発信器と受信器とを内筒1の基端1a側に装着してもよい。
【0031】
更に、上記実施形態においては、内筒1の先端1b側に酸素供給用パイプ25を接続する場合を例示したが、図6に示すように、酸素供給用パイプ25の基端側が上記実施形態における内筒1と同様の構成となっていてもよい。図6に示す貫通孔25dは上記実施形態における貫通孔1dに相当する。外筒2の先端2b側に設けられたシール機構9は、外筒2の内面と酸素供給用パイプ25の外面との間を密閉するものである。
【符号の説明】
【0032】
1…内筒、1a…内筒の基端、1b…内筒の先端、1d…貫通孔、2…外筒、2a…外筒の基端、2b…外筒の先端、2e…酸素導入口、5…マイクロ波距離計(発信器及び受信器)、5a…エミッタ(発信器)、10…測長装置、20…酸素洗浄機、25…酸素供給用パイプ、25b…酸素供給用パイプの先端、25d…貫通孔、50…廃棄物溶融炉。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7