(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1乃至
図13は、本実施の形態による包装硬貨処理装置およびこの包装硬貨処理装置を備えた硬貨処理機を示す図である。このうち、
図1は、本実施の形態による包装硬貨処理装置を備えた硬貨処理機の内部構造を示す断面図であり、
図2は、
図1に示す硬貨処理機の側面図であり、
図3は、
図1および
図2に示す硬貨処理機の平面図である。また、
図4は、
図1等に示す包装硬貨処理装置における包装硬貨の収納動作を(a)〜(f)の順に示す説明図であり、
図5は、
図1等に示す包装硬貨処理装置における包装硬貨の取出動作を(a)〜(c)の順に示す説明図である。また、
図6は、
図1等に示す包装硬貨処理装置における包装硬貨収納状態検知機構および包装硬貨カセット収容部の側面図であり、
図7は、
図6に示す包装硬貨収納状態検知機構および包装硬貨カセット収容部の斜視図であり、
図8は、
図6等に示す包装硬貨収納状態検知機構のみを抽出して示す斜視図である。また、
図9は、
図1等に示す包装硬貨処理装置に設けられた包装硬貨カセットに包装硬貨を収納したときの状態を示す側面図である。また、
図10A乃至
図10Dは、
図1等に示す包装硬貨処理装置における包装硬貨搬送部の構成の詳細を示す図であり、
図11および
図12は、それぞれ、
図1等に示す包装硬貨処理装置における包装硬貨搬送部の構成の他の例の詳細を示す図である。また、
図13は、
図1等に示す包装硬貨処理装置の制御系の構成を示す機能ブロック図である。
【0023】
まず、本実施の形態による包装硬貨処理装置14を備えた硬貨処理機11の構成について
図1乃至
図3を用いて説明する。
図1乃至
図3に示すように、硬貨処理機11は略直方体形状の筐体12を有しており、この筐体12内の左側領域にバラ状態の硬貨を処理するバラ硬貨処理装置13が配設されており、筐体12内の右側領域に包装硬貨(
図2や
図3等において参照符号Aで表示)を処理する包装硬貨処理装置14が配設されている。なお、包装硬貨とは、硬貨を金種別に例えば50枚ずつ重積し、その周面に包装紙を巻き付けるとともに重積方向の両端部の周縁に包装紙の縁をかしめて包装したものをいう。ただし、包装硬貨の両端面の中央部は包装紙で包装されない。さらに、日本国内において流通している500円、100円、50円、10円、5円、1円の6金種の包装硬貨においては、包装硬貨の長さと直径が等しいものはない。
【0024】
バラ硬貨処理装置13には、筐体12の上部側から順に、バラ状態の硬貨を受け入れて識別するとともに金種別に分類する入金処理部17、この入金処理部17で分類された硬貨を一時保留する金種別の一時保留部18、および一時保留部18に一時保留された硬貨の収納時に収納するとともに収納した硬貨を包装硬貨処理装置14等に繰出可能とする金種別の硬貨収納繰出部19がそれぞれ配設されており、これらの側部で筐体12の中央領域に硬貨収納繰出部19から繰り出されるバラ状態の硬貨を筐体12外へ出金するバラ硬貨出金部20が配設されている。
【0025】
また、包装硬貨処理装置14において、筐体12の下部領域には、所定枚数重積された硬貨を包装紙により包装して包装硬貨を形成し、この包装硬貨を前面側へ送り出す包装部23が配設されており、この包装部23の上部領域には、前面側から包装硬貨を受け入れおよび送り出し可能に収納する複数の包装硬貨カセット24が上下方向に並列に収容される包装硬貨カセット収容部25a、25bが左右方向に2列並設されている。
図2に示すように、これらの包装硬貨カセット収容部25a、25bの前面側(
図2における左側)に対向して、筐体12外に包装硬貨を出金する包装硬貨出金口26が配設されているとともに、この包装硬貨出金口26の下側に、包装硬貨を一括して収納する包装硬貨一括収納部27が配設されている。
【0026】
包装部23および包装硬貨カセット収容部25a、25bの前面側と、包装硬貨出金口26および包装硬貨一括収納部27との間には、2列の包装硬貨カセット収容部25a、25bに対応して2列の包装硬貨搬送部28a、28bが配設されている。また、これらの2列の包装硬貨搬送部28a、28bの上部側に、包装硬貨搬送部28a、28b間で互いに包装硬貨を受け渡し可能とする包装硬貨受渡部29が配設されている。これらの包装硬貨搬送部28a、28bおよび包装硬貨受渡部29では、包装硬貨の長手方向が筐体12の前面に平行でかつ水平方向に向く状態で包装硬貨を搬送する。ここで、右側の列の包装硬貨カセット収容部25aに対応する包装硬貨搬送部28aでは、包装部23、包装硬貨カセット収容部25aに収容された各包装硬貨カセット24、包装硬貨受渡部29、包装硬貨出金口26および包装硬貨一括収納部27の間で包装硬貨を搬送可能としている。また、左側の列の包装硬貨カセット収容部25bに対応する包装硬貨搬送部28bでは、包装硬貨カセット収容部25bに収容された各包装硬貨カセット24、包装硬貨受渡部29、包装硬貨出金口26および包装硬貨一括収納部27の間で包装硬貨を搬送可能としている。
【0027】
各包装硬貨搬送部28a、28bは、上下のローラ30によって回転可能に掛け回された無端状の一対の包装硬貨搬送ベルト31を有しており、これらの包装硬貨搬送ベルト31の周面には、包装硬貨を支持する複数の包装硬貨支持部32が突設されている。この包装硬貨搬送ベルト31は、ベルト駆動機構39(
図13参照)によって正転(
図2における反時計回りの方向)および逆転(
図2における時計回りの方向)可能となっている。
【0028】
図10A乃至
図10Dは、各包装硬貨搬送部28a、28bの構成の詳細を示す図である。このうち、
図10Aは、各包装硬貨搬送部28a、28bの構成の詳細を示す正面図であり、
図10Bは、
図10Aに示す各包装硬貨搬送部28a、28bにおいて可動タイプの幅規制ガイド板36が外側へ移動したときの構成を示す斜視図であり、
図10Cは、
図10Aに示す各包装硬貨搬送部28a、28bにおいて可動タイプの幅規制ガイド板36が内側へ移動したときの構成を示す斜視図であり、
図10Dは、
図10Aに示す各包装硬貨搬送部28a、28bを反対側から見たときの構成を示す斜視図である。なお、
図10Bおよび
図10Cでは、鉛直方向に沿って並ぶよう配設された複数の包装硬貨カセット24のうち1つの包装硬貨カセット24のみを参照用として示している。
【0029】
各包装硬貨搬送部28a、28b等は、包装硬貨処理装置14の前面扉体15(
図10B、
図10C参照)の裏側に配設されており、この前面扉体15を開くことによって、包装硬貨搬送部28a、28bが現れるとともに、包装硬貨カセット24に前側から包装硬貨を装填することができるようになっている。また、
図10Aに示すように、各包装硬貨搬送部28a、28bには、互いに離間して設けられた一対の幅規制ガイド板36が設けられており、包装硬貨支持部32により支持された包装硬貨はこれらの一対の幅規制ガイド板36の間で搬送されるようになっている。なお、一対の幅規制ガイド板36の間で包装硬貨が搬送される際に、当該包装硬貨の両端面は各幅規制ガイド板36に接触することはない。ここで、一対の幅規制ガイド板36の役割の一つは、各包装硬貨搬送部28a、28bの包装硬貨支持部32で支えられた包装硬貨を、後述のように各包装硬貨カセット24に受け渡すときに、各包装硬貨カセット24の側板部42(後述)上に当たることなく包装硬貨カセット24へ案内するために、包装硬貨の長手方向における位置を規制することであり、役割の他の一つは、後述するように、包装硬貨支持部32で支持されている包装硬貨の長手方向の長さを検知することである。
【0030】
また、
図10Aに示すように、一対の幅規制ガイド板36には複数の突起部37が互いに向き合うよう配設されている。ここで、一対の幅規制ガイド板36のうち、一方の幅規制ガイド板36(具体的には、
図10Aにおける右側の幅規制ガイド板36)はその位置が固定されているのに対し、他方の幅規制ガイド板36(具体的には、
図10Aにおける左側の幅規制ガイド板36)は
図10Aにおける左右方向に移動自在となっており、この他方の幅規制ガイド板36を移動させることにより、各包装硬貨搬送部28a、28bで搬送される包装硬貨の幅方向の位置を規制して、包装硬貨を包装硬貨カセット24に受け渡すときに、各包装硬貨カセット24の側板部42上に当たることなく包装硬貨カセット24へ案内するようになっている。
【0031】
また、包装硬貨支持部32で支持されている包装硬貨の長手方向の長さを検知するときは、包装硬貨搬送部28a、28bを停止させた状態で、他方の幅規制ガイド板36を移動させる。ここで、前述したように、包装硬貨の両端面の中央部は包装紙で包装されないが、この包装されない包装硬貨の両端面の中央部に各突起部37を接触させることにより、各包装硬貨搬送部28a、28bで搬送される包装硬貨の長手方向の長さを検知するようになっている。このように包装硬貨の両端面の中央部に各突起部37を接触させることにより、包装硬貨の両端面の周縁に巻かれた包装紙の影響を受けることなく当該包装硬貨の長手方向の長さを精度良く検知することができる。ここで、各突起部37の大きさによっては、突起部37が包装硬貨の両端面の中央部に当接するまでに包装硬貨の両端面の周縁に巻かれた包装硬貨に当接することもあるが、包装硬貨の幅方向(長手方向)の長さ測定に厳しい精度が要求されない場合は、包装硬貨の両端面の中央部に当接しなくても差し支えない。
【0032】
図10Aや
図10Dに示すように、各包装硬貨搬送部28a、28bには、一対の幅規制ガイド板36のうち可動タイプの幅規制ガイド板36(具体的には、
図10Aにおける左側の幅規制ガイド板36)を保持するための長方形形状の保持部材94が上下方向に沿って並ぶよう複数設けられている。ここで、各保持部材94の両端部には2つの軸94a、94bがそれぞれ設けられており、位置固定で設けられた固定部材95(
図10D参照)に対して保持部材94が軸94aを中心として回転するとともに、軸94bを中心として保持部材94は幅規制ガイド板36に対して回転するようになっている。このように、軸94aを中心として保持部材94が回転することにより、可動タイプの幅規制ガイド板36が
図10Aにおける左右方向に移動するようになっている。なお、前述したように、
図10Bは、可動タイプの幅規制ガイド板36が外側へ移動している状態であり、
図10Cは、可動タイプの幅規制ガイド板36が内側へ移動している状態である。これらの
図10Bおよび
図10Cでは、包装硬貨カセット24(一段しか図示していない)が、後述する受渡位置(出入位置)にある状態が示されている。
【0033】
また、可動タイプの幅規制ガイド板36にはバネで外側(
図10Aにおいて左方向)に付勢されたベアリング96が取り付けられている。また、固定部材95側には駆動用カム92が設けられており、この駆動用カム92にはカム駆動モータ91(
図13参照)が取り付けられている。ここで、ベアリング96はバネの付勢力により常時、駆動用カム92の外周面に当接している。そして、カム駆動モータ91が駆動用カム92を回転させると、この駆動用カム92の外周面により幅規制ガイド板36が押動されることによって当該幅規制ガイド板36は
図10Aにおける左右方向に移動するようになる。
【0034】
また、本実施の形態では、可動タイプの幅規制ガイド板36について
図10Aの左右方向における位置を検知するためのフォトインタラプタ93が駆動用カム92の近傍に配設されている。また、可動タイプの幅規制ガイド板36には検知板97が取り付けられており、この検知板97がフォトインタラプタ93を遮光したか否かに基づいて、
図10Aの左右方向における可動タイプの幅規制ガイド板36の位置が検知される。このことによって、一対の幅規制ガイド板36間の距離を測定することができるため、包装硬貨支持部32により支持されている包装硬貨の長手方向の長さ(すなわち、
図10Aにおける左右方向の長さ)を検知することができるようになる。より詳細には、
図10Aに示すように、各幅規制ガイド板36に設けられた突起部37で挟まれた状態で包装硬貨の長手方向の長さをフォトインタラプタ93により検知するため、包装硬貨の両端面の周縁に巻かれた包装紙の影響を受けることなく包装硬貨の長手方向の長さを精度良く検知することができるようになる。
【0035】
本実施の形態では、カム駆動モータ91、駆動用カム92およびフォトインタラプタ93等により、包装硬貨搬送部28a、28bにより搬送される包装硬貨の長手方向の長さを検知する包装硬貨長さ検知機構90が構成されるようになっている。
【0036】
なお、包装硬貨搬送部28a、28bにより搬送される包装硬貨の長手方向の長さを検知する包装硬貨長さ検知機構は
図10A乃至
図10Dに示すような構成のものに限定されることはない。包装硬貨の長手方向の長さを検知する包装硬貨長さ検知機構の他の構成例について
図11および
図12を用いて説明する。
【0037】
図11に示す包装硬貨長さ検知機構100では、包装硬貨支持部32により支持されている包装硬貨を長手方向両側から挟み込む一対の棒状の挟持部材102、104が設けられており、これらの挟持部材102、104はそれぞれ駆動用モータ106、108により
図11において左右方向に移動するよう駆動されるようになっている。ここで、棒状の挟持部材102、104は、包装硬貨の端面における包装紙で包装されない中央部を押動するようになっている。また、
図11に示すように、包装硬貨長さ検知機構100には、一対の挟持部材102、104間の距離を検知するための検知センサとしてフォトインタラプタ110が一方の挟持部材102に設けられている。このような包装硬貨長さ検知機構100によれば、棒状の挟持部材102、104が包装硬貨の端面における包装紙で包装されない中央部を押動するため、包装硬貨の両端面の周縁に巻かれた包装紙の影響を受けることなく包装硬貨の長手方向の長さを精度良く検知することができるようになる。
【0038】
また、
図12に示す包装硬貨長さ検知機構120でも、包装硬貨支持部32により支持されている包装硬貨を長手方向両側から挟み込む一対の棒状の挟持部材122、124が設けられており、これらの挟持部材122、124はそれぞれ駆動用モータ126、128により
図12において左右方向に移動するよう駆動されるようになっている。ここで、棒状の挟持部材122、124は、包装硬貨の端面における包装紙で包装されない中央部を押動するようになっている。また、
図12に示すように、包装硬貨長さ検知機構120には、一対の挟持部材122、124間の距離を検知するための検知センサとしてロータリーエンコーダ130が一方の挟持部材122に設けられている。このような包装硬貨長さ検知機構120によれば、棒状の挟持部材122、124が包装硬貨の端面における包装紙で包装されない中央部を押動するため、包装硬貨の両端面の周縁に巻かれた包装紙の影響を受けることなく包装硬貨の長手方向の長さを精度良く検知することができるようになる。また、一対の挟持部材122、124間の距離を検知するための検知センサとしてロータリーエンコーダ130を用いることにより、フォトインタラプタ110を用いる場合と比較して包装硬貨の長手方向の長さを精度良く検知することができるようになり、例えば包装硬貨において巻かれている硬貨の枚数が不足している場合にもこのような包装硬貨の不良を検知することができるようになる。
【0039】
包装硬貨カセット収容部25a、25bに収容される各包装硬貨カセット24は、筐体12の前後方向に対応して長くなっており、包装硬貨の長手方向が筐体12の前面に平行でかつ水平方向に向く状態で複数の包装硬貨を前後方向に1列に配列して収納するようになっている。また、各包装硬貨カセット24は前方へ向けて下降傾斜しており収納した包装硬貨を前方に寄せて整列状態に収納するようになっている。そして、各包装硬貨カセット24は、それぞれカセット駆動機構38(
図13参照)によって、包装硬貨カセット24の前端部が包装硬貨搬送ベルト31の包装硬貨支持部32の移動領域よりも後方に退避した収納位置(待機位置)と、包装硬貨カセット24の前端部が包装硬貨搬送ベルト31の包装硬貨支持部32の移動領域に進入する前方の受渡位置(出入位置)との間で移動可能となっている。
【0040】
図2に示すように、各包装硬貨カセット収容部25a、25bと各包装硬貨搬送部28a、28bとの間にはストッパ体33が上下方向に移動可能となるよう配設されており、このストッパ体33には各包装硬貨カセット24毎に対応してストッパ部34が設けられている。そして、包装硬貨カセット24が後方の収納位置から前方の受渡位置に移動するときに、このストッパ体33が上昇してストッパ部34が最前列の包装硬貨に当接し、包装硬貨カセット24内の収納済の包装硬貨の前方への移動を規制することにより、包装硬貨カセット24の前端部に包装硬貨搬送部28a、28bから包装硬貨を受け入れ可能とする空間を形成するようになっている。
【0041】
包装硬貨カセット24に対する包装硬貨の収納動作および取出動作について
図4および
図5を用いて説明する。
【0042】
例えば一方の包装硬貨カセット収容部25aの包装硬貨カセット24に包装硬貨を収納する場合は、まず、
図4(a)に示すように、包装硬貨搬送部28aの包装硬貨搬送ベルト31を正転させ、包装硬貨支持部32に支持される包装硬貨を、当該包装硬貨が収納されるべき包装硬貨カセット24より上方に搬送して停止させる。
【0043】
次に、
図4(b)(c)に示すように、ストッパ体33を下方の退避位置から上方の係止位置に移動させた後、包装硬貨カセット24を後方の収納位置から前方の受渡位置に移動させる。これにより、ストッパ体33のストッパ部34が包装硬貨カセット24の先端側50の各溝部51(後述)に相対的に進入し、このストッパ体33のストッパ部34で包装硬貨カセット24の先端側50に収納されている包装硬貨を後方へ移動させ、包装硬貨カセット24の先端側50に包装硬貨を収納可能とする収納空間Sを形成する。
【0044】
そして、
図4(d)に示すように、包装硬貨搬送部28a、28bの包装硬貨搬送ベルト31を逆転させることにより包装硬貨を支持している包装硬貨支持部32を下降させ、この包装硬貨支持部32が包装硬貨カセット24の先端側50の各溝部51を介して包装硬貨カセット24の上方から下方へ通過する際に、包装硬貨支持部32で支持していた包装硬貨を包装硬貨カセット24の先端側50に形成された収納空間Sに受け渡して収納する。
【0045】
その後、
図4(e)(f)に示すように、ストッパ体33を包装硬貨カセット24内の係止位置から下方の退避位置に移動させた後、包装硬貨カセット24を前方の受渡位置から後方の収納位置に移動させる。ストッパ体33を退避位置に移動させることにより、ストッパ体33で係止されていた包装硬貨が包装硬貨カセット24の傾斜によって先端側50に移動して当該先端側50の収納空間Sに収納された包装硬貨に接触して止まる。
【0046】
また、例えば一方の包装硬貨カセット収容部25aの包装硬貨カセット24に収納されている包装硬貨を取り出す場合には、まず、
図5(a)に示すように、取り出されるべき包装硬貨を収納している包装硬貨カセット24を後方の収納位置から前方の受渡位置に移動させる。
【0047】
次に、
図5(b)に示すように、包装硬貨搬送部28aの包装硬貨搬送ベルト31を正転させて包装硬貨支持部32を上昇させ、前方の受渡位置に移動した包装硬貨カセット24の先端側50の各溝部51を介してこの包装硬貨支持部32が包装硬貨カセット24の下方から上方へ通過する際に、包装硬貨カセット24の先端側50の最先端に位置する1本の包装硬貨を上方へすくい上げて取り出す。同一の包装硬貨カセット24から複数の包装硬貨を続けて取り出す場合には、包装硬貨カセット24を前方の受渡位置にそのまま位置させ、この包装硬貨カセット24に対して続けて上昇してくる包装硬貨支持部32で包装硬貨を同様に取り出す。
【0048】
そして、
図5(c)に示すように、包装硬貨カセット24から必要数の包装硬貨を取り出したら、包装硬貨カセット24を前方の受渡位置から後方の収納位置に移動させる。
【0049】
このように、本実施の形態では、包装硬貨カセット24を傾斜方向に沿って前進または後退させ、包装硬貨カセット24の先端側50と包装硬貨搬送部28a、28bとの間で包装硬貨を直接受け渡すようになっている。
【0050】
次に、包装硬貨カセット収容部25a、25bの構成の詳細について
図6および
図7を用いて説明する。
図6は包装硬貨カセット収容部25aの側面図であり、
図7は包装硬貨カセット収容部25a、25bの斜視図である。
【0051】
包装硬貨カセット収容部25aに収容される包装硬貨カセット24は、例えば、上から1段目は500円用、2〜5段目は100円用、6段目は50円用とし、また、包装硬貨カセット収容部25bに収容される包装硬貨カセット24は、例えば、上から1〜3段目は10円用、4段目は5円用、5段目と6段目は1円用としている。
【0052】
図6、
図7および
図9に示すように、各包装硬貨カセット24は、1枚の金属板からプレス成形によって形成されており、複数本の包装硬貨を径方向1列に配列して載置する前後方向に長い底板部41を有しており、この底板部41の両側から側板部42がそれぞれ立ち上げ形成され、底板部41の前端から係止部43が立ち上げ形成され、底板部41の後端から後板部44が立ち上げ形成され、各側板部42から底板部41の上方に対向するように上板部45が折曲形成されている。これらの底板部41、側板部42、係止部43、後板部44および上板部45によって、複数本の包装硬貨を径方向1列に配列して載置する包装硬貨収納部46が形成されている。
【0053】
包装硬貨カセット24の前端上面には、両側の上板部45の前端部が切欠形成されて、それらの上板部45と係止部43との間に、包装硬貨搬送部28a、28bによって包装硬貨を出し入れする包装硬貨出入口47が形成されている。
【0054】
図9等に示すように、包装硬貨カセット24の両側の側板部42には、複数の第1の開口部48および第2の開口部49が底板部41と平行な前後方向である包装硬貨配列方向に沿って形成されている。複数の第1の開口部48は、孔有り金種の包装硬貨の50円および5円の双方が指定金種または異金種として包装硬貨カセット24に収納されていてもこれらの包装硬貨の孔部分が外部から見えるような大きさで包装硬貨の孔部分に対応して形成されているとともに、包装硬貨配列方向に沿って収納対象金種の直径に対応するピッチで等間隔毎に形成されている。また、複数の第2の開口部49は、第1の開口部48の上方で、収納対象金種の包装硬貨の端面の中央部より周縁側の弦部分に対応して形成されるとともに、包装硬貨配列方向に沿って収納対象金種の直径に対応するピッチで等間隔毎に形成されている。なお、第1の開口部48や第2の開口部49が形成されるピッチは、包装硬貨に巻回された包装紙の厚みを考慮して、例えば収納対象金種の硬貨の直径+約0.3mm程度に設定する。また、
図9には500円用の包装硬貨カセット24が示されているが、他の金種の包装硬貨カセット24も同様に形成されている。
【0055】
図7に示すように、係止部43から底板部41の前端にわたって、包装硬貨カセット24が収納位置から前方の受渡位置に移動した際にストッパ体33のストッパ部34および包装硬貨搬送部28a、28bの包装硬貨支持部32との干渉を避けるための一対の溝部51が形成されている。
【0056】
金種別の各包装硬貨カセット24は、包装硬貨の重積方向の長さに対応する両側の側板部42の対向間隔、および包装硬貨の直径に対応する底板部41と上板部45との対向間隔が該当金種の包装硬貨を収納可能とする寸法に設定されており、該当金種の包装硬貨より大きな寸法の包装硬貨は収納不可としている。言い換えると、上板部45は、所定の大きさの直径以下の包装硬貨のみが当該包装硬貨カセット24に収納されるよう規制を行う高さ規制部として機能するようになっている。より詳細には、
図9に示すように、包装硬貨カセット24の前端上面には、両側の上板部45の前端部が切欠形成されて、それらの上板部45と係止部43との間に、包装硬貨搬送部28a、28bによって包装硬貨を出し入れする包装硬貨出入口47が形成されているため、高さ規制部として機能する上板部45は、包装硬貨カセット24に収納されている複数の包装硬貨のうち包装硬貨搬送部28a、28bに最も近い側の包装硬貨以外の包装硬貨について、所定の大きさの直径以下の包装硬貨のみが包装硬貨カセット24に収納されるよう規制を行うようになる。ここで、両側の側板部42の対向間隔は、該当金種の包装硬貨の長手方向の長さよりも長く設定されているが、該当金種の幅方向の長さよりも幅方向の長さが大きい他の金種の包装硬貨は収納できない程度に設定されている。両側の側板部42の対向間隔を該当金種の包装硬貨の幅方向の長さよりも長くしているのは、包装硬貨搬送部28a、28bの包装硬貨支持部32で支持されている包装硬貨を、幅規制ガイド板36を介して各包装硬貨カセット24に受け渡すためである。
【0057】
また、
図6および
図7に示すように、包装硬貨カセット収容部25a、25bは、左右両側の側枠53を有しており、これらの両側の側枠53間に、各包装硬貨カセット24が前方へ向けて下降傾斜した状態に配置されているとともにカセット駆動機構38(
図13参照)によって前後方向に移動可能に配置されている。これらの両側の側枠53には、各包装硬貨カセット24の各開口部48、49の位置に対応して開口部54が形成されている。なお、500円用の包装硬貨カセット24に対応した開口部54は、包装硬貨カセット24の各開口部48、49毎に対応して分割形成され、一方、他の金種の包装硬貨カセット24に対応した開口部54は、包装硬貨カセット24の各開口部48、49に共通に一体形成されている。
【0058】
次に、
図6乃至
図8において、各包装硬貨カセット収容部25a、25bの各包装硬貨カセット24内の包装硬貨の直径の大きさや本数等の包装硬貨収納状態を検知する包装硬貨収納状態検知機構61を示す。この包装硬貨収納状態検知機構61は、各包装硬貨カセット収容部25a、25bの左右両側に配置される上下方向に細長い一対のセンサ基板62を有しており、これらの一対のセンサ基板62が各包装硬貨カセット24の包装硬貨配列方向である走査方向に沿って移動可能となっている。
【0059】
一対のセンサ基板62の内面には、各包装硬貨カセット24の位置に対応して、光センサとしての孔有無検知用の孔センサ63および直径測定用の径センサ64を一組としてそれぞれ取り付けられている。これらの各センサ63、64は、一方のセンサ基板62に取り付けられた例えば発光ダイオード等の発光器と、他方のセンサ基板62に取り付けられた例えば受光トランジスタ等の受光器とを有しており、これらの発光器と受光器とが互いに対向し、発光器から発したセンサ光を受光器で受光するようになっている。
【0060】
孔センサ63は、包装硬貨カセット収容部25a、25bの開口部54および包装硬貨カセット24の第1の開口部48を介して包装硬貨カセット24内の包装硬貨の端面の中央部に対応してセンサ光を投受光し、センサ基板62の移動により走査方向に沿って走査するようになっている。
【0061】
径センサ64は、包装硬貨カセット収容部25a、25bの開口部54および包装硬貨カセット24の第2の開口部49を介して包装硬貨カセット24内の包装硬貨の端面の中央部より周縁側の弦部分に対応してセンサ光を投受光し、センサ基板62の移動により走査方向に沿って走査するようになっている。
【0062】
また、
図8に示すように、一対のセンサ基板62は移動機構67によって支持され、この移動機構67により、各包装硬貨カセット24の包装硬貨配列方向に対応した走査方向に沿って移動するようになっている。センサ基板62は、最も前進した位置を前定位置(
図6において実線で示す位置)とし、最も後進した位置を後定位置(
図6において二点鎖線で示す位置)とし、これら前定位置と後定位置との間で往復移動するようになっている。このような移動機構67の構成の詳細について
図8を用いて以下に説明する。
【0063】
移動機構67は、各センサ基板62の上下部でかつ移動領域の前後部に対応してプーリ68がそれぞれ配設され、前後に対向するプーリ68間にベルト69がそれぞれ掛け回され、上下のベルト69にセンサ基板62の上下部がそれぞれ連結されている。左右に対向する後側のプーリ68は連動軸70によってそれぞれ一体に連結され、さらに、各連動軸70にプーリ71が固定されているとともにこの両プーリ71間にベルト72が掛け回され、全てのベルト69が同期して回転するように構成されている。
【0064】
下側の連動軸70にはプーリ73が固定され、このプーリ73と駆動手段としてのセンサ走査用駆動モータ74の駆動プーリ75との間にベルト76が張設されている。したがって、センサ走査用駆動モータ74の正逆転駆動によって、全てのベルト69が同期回転され、一対のセンサ基板62が対向状態を保ったまま一体的に走査方向に移動する。
【0065】
センサ走査用駆動モータ74の駆動軸には、その駆動軸の回転力の伝達により、一対のセンサ基板62の移動量すなわち各センサ63、64の移動量を測定する移動量測定手段としてのロータリーエンコーダ77が連結されている。
【0066】
次に、
図13に、包装硬貨処理装置14を制御する制御部200を示す。なお、
図13では、包装硬貨長さ検知機構として
図10Aに示すような構成の包装硬貨長さ検知機構90が用いられる態様について図示しているが、包装硬貨長さ検知機構として
図11や
図12に示すような構成の包装硬貨長さ検知機構100、120が用いられる場合でも制御部200は同様の制御を行うようになっている。
【0067】
図13に示すように、制御部200には、包装部23、包装硬貨カセット24を移動させるカセット駆動機構38、包装硬貨搬送部28a、28bの包装硬貨搬送ベルト31を移動させるベルト駆動機構39がそれぞれ接続されており、制御部200は包装部23、カセット駆動機構38、ベルト駆動機構39に指令信号を送ることによりこれらの各構成部材の制御を行うようになっている。また、
図13に示すように、制御部200には、包装硬貨収納状態検知機構61の孔センサ63、径センサ64、センサ走査用駆動モータ74、ロータリーエンコーダ77、各センサ63、64の前定位置および後定位置に対応するセンサ基板62の前進位置および後進位置を検知する前定位置検知センサ88および後定位置検知センサ89がそれぞれ接続されており、制御部200はセンサ走査用駆動モータ74に指令信号を送ることにより当該センサ走査用駆動モータ74を制御するようになっている。また、孔センサ63、径センサ64、ロータリーエンコーダ77、前定位置検知センサ88、後定位置検知センサ89による検知信号は制御部200に送られるようになっている。また、
図13に示すように、制御部200には、包装硬貨長さ検知機構90のカム駆動モータ91およびフォトインタラプタ93がそれぞれ接続されており、制御部200はカム駆動モータ91に指令信号を送ることにより当該カム駆動モータ91を制御するとともに、フォトインタラプタ93による検知信号が制御部200に送られるようになっている。
【0068】
また、
図13に示すように、制御部200には、包装硬貨収納状態検知機構61および包装硬貨長さ検知機構90による検知情報に基づいて、各包装硬貨カセット24に収納されている包装硬貨の金種を判定する包装硬貨金種判定手段202が設けられている。具体的には、包装硬貨金種判定手段202は、包装硬貨収納状態検知機構61の孔センサ63による検知情報に基づく包装硬貨の孔の有無、包装硬貨収納状態検知機構61の径センサ64による検知情報に基づく包装硬貨の直径の大きさ、および包装硬貨長さ検知機構90のフォトインタラプタ93による検知情報に基づく包装硬貨の長手方向の長さに基づいて、各包装硬貨カセット24に収納されている包装硬貨の金種を判定するようになっている。このような包装硬貨金種判定手段202による包装硬貨の金種の判定方法の詳細については後述する。
【0069】
次に、このような包装硬貨処理装置14による包装硬貨の自動精査処理の方法について説明する。ここで、自動精査処理とは、包装硬貨処理装置14における包装硬貨の在高を確認するために、各包装硬貨カセット24に収納されている包装硬貨の金種毎の本数を計数することをいう。このような包装硬貨の金種毎の本数の計数は、包装硬貨金種判定手段202による包装硬貨の金種の判定結果に基づいて行われる。
【0070】
具体的には、操作者が自動精査処理開始の指令を図示しない操作部により制御部200に与えると、制御部200はセンサ走査用駆動モータ74を駆動することによりセンサ基板62を前定位置と後定位置との間で往復移動させる。このことにより、各包装硬貨カセット24に収納されている包装硬貨について、孔センサ63により孔の有無が検知されるとともに径センサ64により直径の大きさが検知され、これらの検知情報が制御部200に送られる。
【0071】
センサ基板62に設けられた孔センサ63および径センサ64による走査が行われた後、制御部200はカセット駆動機構38およびベルト駆動機構39を制御することにより、包装硬貨カセット24に収納されている包装硬貨のうち先端側50の最先端に位置する1本の包装硬貨を当該包装硬貨カセット24から取り出して包装硬貨搬送部28a、28bにより搬送させる。具体的には、包装硬貨カセット24から取り出された包装硬貨を包装硬貨支持部32により支持させながら包装硬貨搬送ベルト31を
図2等における上下方向に移動させて、包装硬貨を包装硬貨長さ検知機構90の真横に位置させ、この位置で包装硬貨搬送部28a、28bを停止させる。そして、カム駆動モータ91が駆動用カム92を介して可動タイプの幅規制ガイド板36を駆動することにより、包装硬貨を一対の幅規制ガイド板36の突起部37の間に挟み込み、このときの可動タイプの幅規制ガイド板36の移動量をフォトインタラプタ93により検知する。このことにより、包装硬貨の長手方向の長さを検知することができる。この結果、包装硬貨カセット24に収納されている包装硬貨のうち先端側50の最先端に位置する1本の包装硬貨が、当該包装硬貨カセット24に収納すべき金種の包装硬貨か否かを判定することができる。
【0072】
このような包装硬貨長さ検知機構90による包装硬貨の長手方向の長さの検知動作は包装硬貨カセット24毎に行われてもよいし、後述のように特定金種の包装硬貨を収納する包装硬貨カセット24のみ行われてもよい。
【0073】
包装硬貨金種判定手段202は、包装硬貨収納状態検知機構61の孔センサ63による検知情報に基づく包装硬貨の孔の有無、包装硬貨収納状態検知機構61の径センサ64による検知情報に基づく包装硬貨の直径の大きさ、および包装硬貨長さ検知機構90のフォトインタラプタ93による検知情報に基づく包装硬貨の長手方向の長さに基づいて、各包装硬貨カセット24に収納されている包装硬貨の金種を判定する。そして、制御部200において、包装硬貨の金種の判定結果に基づいて各包装硬貨カセット24に収納されている包装硬貨の金種毎の本数の計数が行われる。
【0074】
従来技術の包装硬貨の自動精査処理では、各包装硬貨カセット24に収納されている包装硬貨に対して孔センサ63や径センサ64を走査させることにより各包装硬貨の直径の大きさや孔の有無を検知し、このような包装硬貨の直径の大きさや孔の有無の検知情報のみに基づいて(すなわち、包装硬貨の長手方向の大きさを検知することなく)各包装硬貨カセット24に収納されている包装硬貨の金種を判別するようになっていた。
【0075】
しかしながら、100円硬貨と10円硬貨とでは直径の差が小さいため、包装硬貨の精査において包装硬貨の直径の大きさや孔の有無を検知するだけでは100円の包装硬貨と10円の包装硬貨とを区別することが難しいという問題があった。同様に、50円硬貨と5円硬貨とでも直径の差が小さいため、包装硬貨の精査において包装硬貨の直径の大きさや孔の有無を検知するだけでは50円の包装硬貨と5円の包装硬貨とを区別することが難しいという問題があった。より詳細に説明すると、前述したように、包装硬貨カセット24の前端上面には、両側の上板部45の前端部が切欠形成されて、それらの上板部45と係止部43との間に、包装硬貨搬送部28a、28bによって包装硬貨を出し入れする包装硬貨出入口47が形成されている。そして、操作者が包装硬貨カセット24に包装硬貨を補充する際に、包装硬貨カセット24における先端側50の最先端に設けられた包装硬貨出入口47を介して包装硬貨を包装硬貨カセット24内に投入するが、この際に、10円の包装硬貨の直径が100円の包装硬貨の直径より大きくても、高さ規制をする上板部45が切欠されており、かつ10円の包装硬貨の長手方向の大きさは100円の包装硬貨の長手方向の大きさよりも小さいため、100円の包装硬貨に対応する包装硬貨カセット24の最先端の箇所に誤って10円の包装硬貨を投入してしまうおそれがある。同様に、5円の包装硬貨の直径が50円の包装硬貨の直径より大きくても、5円の包装硬貨の長手方向の大きさは50円の包装硬貨の長手方向の大きさよりも小さいため、50円の包装硬貨に対応する包装硬貨カセット24の最先端の箇所に誤って5円の包装硬貨を投入してしまうおそれがある。ここで、従来技術の包装硬貨の精査方法では、このような包装硬貨の誤投入を検知することが困難であった。
【0076】
これに対し、本実施の形態では、上述したように、包装硬貨カセット24に収納されている包装硬貨のうち先端側50の最先端に位置する包装硬貨について、包装硬貨長さ検知機構90によりその長手方向の長さを検知するようになっている。このように、包装硬貨の長手方向の長さを検知した場合には、100円の包装硬貨と10円の包装硬貨とを区別したり、50円の包装硬貨と5円の包装硬貨とを区別したりすることができるようになるため、100円の包装硬貨に対応する包装硬貨カセット24の最先端の箇所に誤って10円の包装硬貨を投入してしまったり、50円の包装硬貨に対応する包装硬貨カセット24の最先端の箇所に誤って5円の包装硬貨を投入してしまったりしたときには、このような包装硬貨の誤投入を検知することができるようになる。
【0077】
また、本実施の形態では、各包装硬貨カセット24において先端側50の最先端に収納されている包装硬貨の長手方向の長さを包装硬貨長さ検知機構90により検知するにあたり、全ての包装硬貨カセット24について先端側50の最先端に収納されている包装硬貨の長手方向の長さを検知するのではなく、特定の金種に対応する包装硬貨カセット24についてのみ先端側50の最先端に収納されている包装硬貨の長手方向の長さを包装硬貨長さ検知機構90により検知するようになっていてもよい。具体的には、100円の包装硬貨および50円の包装硬貨に対応する包装硬貨カセット24についてのみ先端側50の最先端に収納されている包装硬貨の長手方向の長さを包装硬貨長さ検知機構90により検知し、他の金種に対応する包装硬貨カセット24に収納されている包装硬貨については包装硬貨収納状態検知機構61により孔の有無および直径の大きさを検知するものの包装硬貨長さ検知機構90により長手方向の長さを検知しないようになっていてもよい。この場合でも、100円の包装硬貨に対応する包装硬貨カセット24の最先端の箇所に誤って10円の包装硬貨を投入してしまったり、50円の包装硬貨に対応する包装硬貨カセット24の最先端の箇所に誤って5円の包装硬貨を投入してしまったりしたときには、このような包装硬貨の誤投入を検知することができるようになる。また、100円や50円以外の金種に対応する包装硬貨カセット24に収納されている包装硬貨については、このような包装硬貨の直径の大きさは他の金種の包装硬貨の直径の大きさとかなり異なるため、包装硬貨収納状態検知機構61により孔の有無および直径の大きさを検知するだけで包装硬貨長さ検知機構90により長手方向の長さを検知しなくても当該包装硬貨の金種を精度良く判別することができる。
【0078】
また、従来技術の硬貨処理機では、操作者が硬貨処理機11の前扉を開いて各包装硬貨カセット24に包装硬貨を補充するにあたり、前扉を開く度に各包装硬貨カセット24に収納された包装硬貨の自動精査処理が行われるようになっていた。しかしながら、このような場合には、操作者が硬貨処理機11の前扉を開閉した後に必ず包装硬貨の自動精査処理が行われるため待ち時間が発生してしまい、操作者にとってわずらわしいという問題があった。例えば、包装硬貨カセット24とは関係のない包装部23において操作者が包装紙のセットを行う場合でも、硬貨処理機11の前扉を開く必要があるため包装硬貨の自動精査処理が行われてしまう。
【0079】
これに対し、本実施の形態では、操作者が硬貨処理機11の前扉を開いても各包装硬貨カセット24に収納された包装硬貨の自動精査処理は行われないようになっている。代わりに、本実施の形態では、センサ基板62が前定位置にあることが前定位置検知センサ88により検知されている状態で操作者が各包装硬貨カセット24に包装硬貨を補充するために手を挿入して孔センサ63や径センサ64が遮光状態となったときに、上述した自動精査処理が行われるようになっている。すなわち、孔センサ63や径センサ64が、包装硬貨カセット24に収納されている包装硬貨以外のものにより遮光されたときに、包装硬貨カセット24内の包装硬貨に触った可能性があると判断して、上述した自動精査処理が行われるようになる。このことにより、操作者が硬貨処理機11の前扉を開閉しただけでは包装硬貨の自動精査処理は行われないため、操作者にとって無駄な待ち時間を解消することができる。
【0080】
以上のような構成からなる本実施の形態の包装硬貨処理装置14によれば、各包装硬貨カセット24から繰り出された包装硬貨を搬送するとともに各包装硬貨カセット24へ包装硬貨を送ることができる包装硬貨搬送部28a、28bを備えているともに、包装硬貨カセット24に収納されている包装硬貨の直径の大きさを検知するための包装硬貨直径検知手段として包装硬貨収納状態検知機構61が設けられており、また、包装硬貨カセット24に収納されている包装硬貨の長手方向の長さを検知するための包装硬貨長さ検知手段として包装硬貨長さ検知機構90が設けられている。このような包装硬貨処理装置14では、包装硬貨の精査を行う際に、包装硬貨カセット24に収納されている包装硬貨の直径の大きさのみならず長手方向の長さを検知することにより、従来技術のような包装硬貨カセット24に収納されている包装硬貨の直径の大きさや孔の有無のみによって包装硬貨の金種を判別する場合と比較して、包装硬貨カセット24に収納されている包装硬貨の金種をより確実に判別することができるようになる。
【0081】
また、本実施の形態による包装硬貨処理装置14においては、上述したように、包装硬貨長さ検知機構90は、包装硬貨カセット24から包装硬貨搬送部28a、28bに繰り出された後の包装硬貨の長手方向の長さを検知するようになっている。また、包装硬貨搬送部28a、28bには、当該包装硬貨搬送部28a、28bにより搬送される包装硬貨の長手方向における位置を規制する規制部として一対の幅規制ガイド板36が設けられており、包装硬貨長さ検知機構90のフォトインタラプタ93は一対の幅規制ガイド板36のうち一方の幅規制ガイド板36に配置されている。
【0082】
なお、
図11に示す包装硬貨長さ検知機構100や
図12に示す包装硬貨長さ検知機構120では、包装硬貨搬送部28a、28b上の包装硬貨を長手方向両側から挟み込む一対の挟持部材102、104や一対の挟持部材122、124が設けられており、一対の挟持部材102、104間の距離を検知するための検知センサとしてフォトインタラプタ110が設けられたり、一対の挟持部材122、124間の距離を検知するための検知センサとしてロータリーエンコーダ130が設けられたりしている。そして、包装硬貨長さ検知機構100、120は、一対の挟持部材102、104間の距離や一対の挟持部材122、124間の距離に基づいて包装硬貨の長さを検知するようになっている。この場合には、一対の挟持部材102、104や一対の挟持部材122、124は包装硬貨の端面における包装紙で包装されない中央部を押動するため、包装硬貨の両端面の周縁に巻かれた包装紙の影響を受けることなく包装硬貨の長手方向の長さを精度良く検知することができるようになる。
【0083】
また、本実施の形態の包装硬貨処理装置14においては、上述したように、各包装硬貨カセット24には、所定の大きさの直径以下の包装硬貨のみが当該包装硬貨カセット24に収納されるよう規制を行う高さ規制部として上板部45が設けられている。ここで、高さ規制部として機能する上板部45は、包装硬貨カセット24に収納されている複数の包装硬貨のうち包装硬貨搬送部28a、28bに最も近い側の包装硬貨以外の包装硬貨について、所定の大きさの直径以下の包装硬貨のみが包装硬貨カセット24に収納されるよう規制を行うようになっている。
【0084】
また、上述したように、金種別の各包装硬貨カセット24は、包装硬貨の重積方向の長さに対応する両側の側板部42の対向間隔が該当金種の包装硬貨を収納可能とする寸法に設定されており、該当金種の包装硬貨より大きな寸法の包装硬貨は収納不可としている。このように、各包装硬貨カセット24は、対応する金種の包装硬貨の長手方向の長さよりも大きな長さの包装硬貨が収納されないようその幅の大きさが規制されている。
【0085】
また、本実施の形態の包装硬貨処理装置14においては、上述したように、各包装硬貨カセット24に対応して配設された光センサとしての孔センサ63や径センサ64が、包装硬貨カセット24に収納されている包装硬貨以外のものにより遮光されたときに、自動精査処理が行われて包装硬貨長さ検知機構90により包装硬貨の長手方向の長さが検知されるようになっている。このことにより、従来技術の包装硬貨処理装置のように操作者が硬貨処理機の前扉を開閉しただけで包装硬貨の自動精査処理が必ず行われる場合と比較して、操作者にとっての無駄な待ち時間を解消することができる。
【0086】
また、本実施の形態の包装硬貨処理装置14においては、上述したように、包装硬貨長さ検知機構90は、予め設定された所定の金種(具体的には、100円の包装硬貨および50円の包装硬貨)を収納する包装硬貨カセット24に収納された包装硬貨のみの長手方向の長さを検知するようになっている。このことにより、全ての包装硬貨カセット24についてその先端部に収納された包装硬貨の長手方向の長さを検知する場合と比較して精査処理にかかる時間を短縮することができ、また、その場合でも操作者による包装硬貨カセット24に対する包装硬貨の誤投入を検知することができるようになる。
【0087】
なお、本実施の形態による包装硬貨処理装置14は、上述したような態様に限定されることはなく、様々な変更を加えることができる。
【0088】
上記の説明では、包装硬貨処理装置14において包装硬貨の自動精査処理を行う際に、各包装硬貨カセット24に収納されている包装硬貨のうち先端側50の最先端に位置する包装硬貨について、包装硬貨カセット24から包装硬貨搬送部28a、28bに投出して包装硬貨長さ検知機構90によりその長手方向の長さを検知するような態様について述べたが、本実施の形態の包装硬貨処理装置14はこのような態様に限定されることはない。変形例として、包装硬貨処理装置14において包装硬貨の自動精査処理を行う際に、各包装硬貨カセット24に収納されている全ての包装硬貨について、包装硬貨カセット24から包装硬貨搬送部28a、28bに投出して包装硬貨長さ検知機構90によりその長手方向の長さを検知するようになっていてもよい。例えば、包装硬貨カセット24において高さ規制部として機能する上板部45の設置を省略することができるが、この場合には包装硬貨カセット24において先端側50の最先端の位置以外にも異なる金種の包装硬貨が操作者により補充されてしまうおそれがある。このため、包装硬貨処理装置14において包装硬貨の自動精査処理を行う際に、各包装硬貨カセット24に収納されている全ての包装硬貨について包装硬貨長さ検知機構90によりその長手方向の長さを検知することにより、当該包装硬貨カセット24に収納されている包装硬貨の金種をより確実に判別して異金種の包装硬貨の誤装填を発見することができるようになる。
【0089】
また、包装硬貨カセット24に収納されている包装硬貨の長手方向の長さを検知するための包装硬貨長さ検知手段は、包装硬貨搬送部28a、28bに設けられた包装硬貨長さ検知機構90、100、120に限定されることはない。包装硬貨カセット24に収納されている包装硬貨の長手方向の長さを検知することができるものであれば、包装硬貨長さ検知手段を必ずしも包装硬貨搬送部28a、28bに設ける必要はなく、包装硬貨処理装置14内の他の箇所に包装硬貨長さ検知手段を設けてもよい。例えば、包装硬貨カセット24に包装硬貨を収納したままの状態でも検知することができる。すなわち、包装硬貨カセット24に包装硬貨を収納したまま、
図11や
図12の挟持部材102、104、122、124のような部材を用いることにより、包装硬貨の長手方向の長さを検知することができる。また、包装硬貨長さ検知手段の構成は
図10A乃至10Dや
図11、
図12に示すような構成のものに限定されることはなく、包装硬貨カセット24に収納されている包装硬貨の長手方向の長さを検知することができるものであれば
図10A乃至10Dや
図11、
図12に示すような構成とは別の構成としてもよい。
【0090】
また、本実施の形態の包装硬貨処理装置14では、包装硬貨カセット24に収納されている包装硬貨の包装紙が少しめくれている場合でも以下に示すような自動精査処理によりこのような包装紙のめくれによる影響を受けることなく包装硬貨カセット24に収納されている包装硬貨の直径の大きさを径センサ64により検知することができるようになっていてもよい。このような変形例に係る自動精査処理について
図14および
図15を用いて説明する。
【0091】
図14において参照符号Aに示すような包装硬貨で包装紙のめくれ(
図14において参照符号aで表示)が発生していた場合には、径センサ64により包装硬貨の直径を検知する際に、通常の包装硬貨では径センサ64の遮光幅の大きさはMであるのに対し包装紙のめくれが生じた包装硬貨では径センサ64の遮光幅の大きさがM+mとなり、この場合には径センサ64により検知される包装硬貨の直径が変わってしまい、誤った金種の包装硬貨が包装硬貨カセット24に収納されていると判断されてしまうおそれがある。これに対し、変形例に係る自動精査処理では、
図15(a)に示すように、包装硬貨カセット24に収納されている複数の包装硬貨のうち右側から数えて3番目の包装硬貨で包装紙のめくれ(
図15(a)において参照符号aで表示)が発生し、誤った金種の包装硬貨が包装硬貨カセット24に収納されていると判断されたときに(
図15(a)において「NG」で表示)、
図15(b)に示すように、包装硬貨カセット24に収納されている包装硬貨のうち正しい金種であると判別された包装硬貨(具体的には、包装硬貨カセット24の最先端に収納されている包装硬貨)を包装硬貨搬送部28a、28bの包装硬貨支持部32により包装硬貨カセット24から投出して包装硬貨一括収納部27に搬送する。なお、
図15において、径センサ64の走査ラインを参照符号64aで示している。このように、包装硬貨カセット24の最先端に収納されている包装硬貨を当該包装硬貨カセット24から投出すると、
図15(c)に示すように、包装硬貨カセット24に収納されている残りの包装硬貨が回転しながら包装硬貨カセット24の最先端側に移動する。このことにより、包装紙のめくれが生じている包装硬貨も回転することにより包装紙のめくれの位置が変わり、このような包装紙のめくれの部分が径センサ64の走査ライン64aから外れるようになるため、包装紙のめくれが生じた包装硬貨についても径センサ64の遮光幅の大きさがMとなり当該径センサ64によりその直径の大きさを正しく検知することができるようになる。
【0092】
また、
図15(a)において包装硬貨カセット24に収納されている包装硬貨のうち右から数えて2番目の包装硬貨についても包装紙のめくれが生じているがこの包装紙のめくれの部分が径センサ64の走査ライン64aから外れている。この場合、
図15(b)に示すように、包装硬貨カセット24の最先端に収納されている包装硬貨を当該包装硬貨カセット24から投出すると、包装硬貨が回転しながら移動することにより包装紙のめくれの位置が変わり、このような包装紙のめくれの部分が径センサ64の走査ライン64a上に位置する可能性がある。しかしながら、
図15(a)に示すような、包装硬貨カセット24の最先端に収納されている包装硬貨を当該包装硬貨カセット24から投出する前の状態ではこのような包装硬貨について直径の大きさが正しく検知されているため、このような検知情報を記憶しておくことにより、
図15(c)に示すような再度の自動精査処理で直径の大きさを正しく検知できない場合でも、正しい金種の包装硬貨が包装硬貨カセット24に収納されていると判断するようになっている。
【0093】
図15に示すような自動精査処理では、包装硬貨カセット24の最先端に収納されている包装硬貨は包装硬貨搬送部28a、28bの包装硬貨支持部32により包装硬貨カセット24から投出されて包装硬貨一括収納部27に搬送されるが、この包装硬貨はそのまま包装硬貨一括収納部27に収納されるようになる。この場合でも、包装硬貨処理装置14では、各包装硬貨カセット24に収納されている包装硬貨の金種毎の本数および包装硬貨一括収納部27に収納されている包装硬貨の金種毎の本数の合計が包装硬貨の在高として管理されているため問題はない。
【0094】
図15に示すような変形例に係る自動精査処理によれば、各包装硬貨カセット24に収納されている包装硬貨において包装紙のめくれが発生している場合でも、このような包装紙のめくれによる判別異常エラーが発生することなく各包装硬貨カセット24に収納されている包装硬貨の直径の大きさの検知のリトライが行われるため、判別異常エラーの解除を行う必要がなくなり操作者の負担を軽減することができるとともに自動精査処理にかかる時間を短縮することができるようになる。
【0095】
また、本実施の形態の包装硬貨処理装置14では、更に別の自動精査処理で各包装硬貨カセット24に収納されている包装硬貨の在高を管理するようになっていてもよい。更なる変形例に係る自動精査処理について
図16を用いて説明する。
【0096】
図16に示す自動精査処理では、包装硬貨カセット24に収納されている包装硬貨を全て包装硬貨搬送部28a、28bにより当該包装硬貨カセット24から投出し、包装硬貨搬送部28a、28bの包装硬貨搬送ベルト31で包装硬貨を一周させる間に包装硬貨の直径の大きさや長手方向の長さ等を検知し、検知が行われた包装硬貨を元の包装硬貨カセット24に戻すようになっている。ここで、このような動作は全ての包装硬貨カセット24について包装硬貨カセット24毎に順に行われるようになっている。
【0097】
具体的に説明すると、まず、
図16(a)(b)に示すように、包装硬貨カセット24に収納されている包装硬貨が1本ずつ連続して包装硬貨搬送部28a、28bにより当該包装硬貨カセット24から投出される。そして、包装硬貨支持部32により支持されながら包装硬貨搬送ベルト31により搬送される包装硬貨は、包装硬貨搬送部28a、28bに設けられた包装硬貨長さ検知機構90によりその長手方向の位置が規制されるとともに当該包装硬貨の長手方向の長さが検知される。また、
図16において包装硬貨長さ検知機構90が設置される位置には、包装硬貨支持部32により支持されながら包装硬貨搬送ベルト31により搬送される包装硬貨の直径の大きさを検知する径センサ(図示せず)や包装硬貨の孔の有無を検知する孔センサ(図示せず)、包装硬貨の材質を検知する磁気センサ等が配設されている。このようにして検知された包装硬貨の直径の大きさや孔の有無、長手方向の長さ等に基づいて、包装硬貨支持部32により支持されながら包装硬貨搬送ベルト31により搬送される包装硬貨の金種が判別される。
図16(b)に示すように、正常な金種であると判別された包装硬貨は1本ずつ包装硬貨カセット24に戻されるようになる。
【0098】
一方、包装硬貨支持部32により支持されながら包装硬貨搬送ベルト31により搬送される包装硬貨の金種が正常な金種ではないと判別された場合には、
図16(c)に示すようにこのような包装硬貨はリジェクト包装硬貨(
図16(c)において参照符号A´で表示)として包装硬貨搬送部28a、28bから包装硬貨出金口26に送られる。そして、正常な金種であると判別された包装硬貨が全て包装硬貨カセット24に戻された後、
図16(d)に示すように包装硬貨出金口26の扉26aが開くことにより、操作者は包装硬貨出金口26からリジェクト包装硬貨を取り出すことができるようになる。
【0099】
図16に示すような更なる変形例に係る自動精査処理によれば、正常な金種ではないと判別された包装硬貨は包装硬貨出金口26に送られるため、このような正常な金種ではないと判別された包装硬貨を操作者はすぐに認識することができるようになる。すなわち、各包装硬貨カセット24に収納されたままで包装硬貨の金種の判別を行う場合には、正常な金種ではない包装硬貨がどの包装硬貨カセット24における何番目の包装硬貨であるかという情報をモニタ等に表示させる必要があり、また操作者はこのような正常な金種ではない包装硬貨を包装硬貨カセット24から取り出す際に問題のある包装硬貨をすぐに認識することができなかったが、
図16に示すような自動精査処理では問題のある包装硬貨はリジェクト包装硬貨として包装硬貨出金口26に送られるため操作者は問題のある包装硬貨をすぐに認識することができるようになる。
【0100】
また、
図16に示すような更なる変形例に係る自動精査処理によれば、各包装硬貨カセット24に対応して孔センサ63や径センサ64を複数組設ける場合と比較して、包装硬貨搬送部28a、28bに配設されるセンサにより全ての包装硬貨カセット24に収納された包装硬貨の直径の大きさや孔の有無等を検知することができるため、自動精査処理を行うのに必要なセンサの数を減らすことができる。
【0101】
なお、
図16に示すような更なる変形例に係る自動精査処理では、一つの包装硬貨カセット24について包装硬貨搬送ベルト31が1周するのに約1分かかり、包装硬貨カセット24が例えば6段である場合には自動精査処理を行うのに約6分かかってしまい、各包装硬貨カセット24に収納されている包装硬貨について孔センサ63や径センサ64が設けられたセンサ基板62を移動させて自動精査処理を行う方法と比較して時間がかかってしまうという問題がある。しかしながら、包装硬貨処理装置14で自動精査処理を行う場合にはこの包装硬貨処理装置14に並設されたバラ硬貨処理装置13や紙幣処理装置(図示せず)でも同時にバラ硬貨や紙幣の精査処理が行われることが多く、このようなバラ硬貨処理装置13や紙幣処理装置におけるバラ硬貨や紙幣の精査処理では概して時間がかかるため、包装硬貨処理装置14において
図16に示すような自動精査処理を行うことにより時間がかかっても特に問題はない。