(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
故障の原因を特定するための複数の診断項目のそれぞれを、過去に各診断項目に要した診断時間及び過去に各診断項目により故障の原因が特定された原因特定回数と関連付けて記憶するとともに、前記複数の診断項目を実施する現在の診断順序を記憶する記憶部と、
前記原因特定回数に基づいて、診断順序候補を決定する診断順序候補決定部と、
前記現在の診断順序及び前記診断順序候補のそれぞれで、前記複数の診断項目を実施したときの最初の診断項目から特定の診断項目までの各診断項目の前記診断時間の総和を当該特定の診断項目の原因特定時間として算出する原因特定時間算出部と、
前記原因特定時間及び前記原因特定回数に基づいて、前記現在の診断順序を前記診断順序候補に置き換えるか否かを決定する診断順序決定部と、
前記現在の診断順序で前記複数の診断項目を並べた一覧を出力する出力部と、
を有することを特徴とする情報処理装置。
前記診断順序決定部は、前記診断順序候補で前記複数の診断項目を実施した場合の前記複数の診断項目のそれぞれの前記原因特定時間に当該診断項目の前記原因特定回数を乗じた値の総和が、前記現在の診断順序で前記複数の診断項目を実施した場合の前記複数の診断項目のそれぞれの前記原因特定時間に当該診断項目の前記原因特定回数を乗じた値の総和以下である場合、前記現在の診断順序を前記診断順序候補に置き換える、請求項1に記載の情報処理装置。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一側面に係る情報処理装置、診断順序決定方法及びコンピュータプログラムについて図を参照しつつ説明する。但し、本発明の技術的範囲はそれらの実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶ点に留意されたい。
【0013】
図1は、実施形態に係る診断システムを示す図である。診断システム1は、一つ又は複数の診断対象装置100と、一つ又は複数の端末装置200と、サーバ装置300とを有する。診断対象装置100及び端末装置200は、ネットワークスイッチとして機能するアクセスポイント400を介して無線通信により相互に接続する。アクセスポイント400は、イーサネット(登録商標)等の有線LAN(Local Area Network)により、イントラネット、インターネット等のネットワーク500とさらに接続され、端末装置200はサーバ装置300と通信可能に接続される。
【0014】
診断対象装置100は、故障が発生した場合に故障の原因等が診断される装置であり、例えばスキャナ装置等である。
【0015】
端末装置200は、診断対象装置100の各種設定及び動作制御を行うとともに、診断対象装置100に故障が発生した場合にはその原因等を診断するための装置であり、例えばタブレットPC(Personal Computer)、ノートPC等である。端末装置200は、アクセスポイント400を介して無線通信により診断対象装置100と接続される。なお、診断対象装置100の各種設定及び動作制御を行う端末装置と、診断対象装置100の故障の原因を診断するための端末装置は、別個に設けられてもよい。
【0016】
サーバ装置300は、情報処理装置の一例であり、診断対象装置100の診断を行うためのマニュアルデータを端末装置200に送信する。また、サーバ装置300は、端末装置200から診断結果を受信し、受信した診断結果に基づいて、マニュアルデータに含まれる各診断項目についての以降の診断における診断順序を決定する。
【0017】
図2は、端末装置200のハードウェア構成図である。
図2に示すように、端末装置200は、端末通信回路201と、端末入力装置202と、端末表示装置203と、端末記憶装置204と、端末CPU(Central Processing Unit)210を有する。以下、端末装置200の各部について詳細に説明する。
【0018】
端末通信回路201は、無線信号を送受信するアンテナと、所定の通信プロトコルに従って、無線通信回線を通じて信号の送受信を行うための無線通信インターフェース回路とを有する。端末通信回路201は、アクセスポイント400を介して診断対象装置100及びサーバ装置300と通信を行う。なお、端末通信回路201は、アクセスポイント400を介さずに、診断対象装置100と直接無線通信を行ってもよい。また、端末装置200は、診断対象装置100と、USB(Universal Serial Bus)等のシリアルバスに準じるインターフェース回路を介して電気的に有線接続して通信を行ってもよい。
【0019】
端末入力装置202は、例えば、マウス、キーボード等の入力デバイス及び入力デバイスから信号を取得するインターフェース回路を有し、ユーザの操作に応じた信号を端末CPU210に対して出力する。
【0020】
端末表示装置203は、液晶等から構成されるディスプレイ及びディスプレイに画像データ又は各種の情報を出力するインターフェース回路を有し、端末CPU210と接続されて、端末CPU210から出力された情報をディスプレイに表示する。なお、タッチパネルディスプレイを用いて、端末入力装置202と端末表示装置203を一体に構成してもよい。
【0021】
端末記憶装置204は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、又はフレキシブルディスク、光ディスク等の可搬用の記憶装置等を有する。また、端末記憶装置204には、端末装置200の各種処理に用いられるコンピュータプログラム、データベース、テーブル等が記憶される。コンピュータプログラムは、コンピュータ読み取り可能な可搬型記録媒体から、公知のセットアッププログラム等を用いて端末記憶装置204にインストールされてもよい。可搬型記録媒体は、例えばCD−ROM(Compact Disk Read Only Memory)、DVD−ROM(Digital Versatile Disk Read Only Memory)等とすることができる。
【0022】
端末CPU210は、端末通信回路201、端末入力装置202、端末表示装置203及び端末記憶装置204と接続され、これらの各部を制御する。端末CPU210は、端末通信回路201を介したデータ送受信制御、端末入力装置202の入力制御、端末表示装置203の表示制御、端末記憶装置204の制御等を行う。さらに、端末CPU210は、診断対象装置100の設定及び動作制御を行うとともに、診断対象装置100の故障の原因等を診断する。
【0023】
図3は、端末CPU210の概略構成を示す図である。
図3に示すように、端末CPU210は、マニュアル取得部211、診断処理部212及び診断結果送信部213等を有する。これらの各部は、プロセッサ上で動作するソフトウェアにより実装される機能モジュールである。なお、これらの各部は、それぞれ独立した集積回路、マイクロプロセッサ、ファームウェア等で構成されてもよい。
【0024】
図4は、サーバ装置300のハードウェア構成図である。
図2に示すように、サーバ装置300は、通信回路301と、入力装置302と、表示装置303と、記憶装置304と、CPU310を有する。以下、サーバ装置300の各部について詳細に説明する。
【0025】
通信回路301は、出力部の一例であり、イーサネット(登録商標)等の通信規格に従って、有線LAN等の有線通信ネットワークを通じて信号の送受信を行うための有線通信インターフェース回路を有する。通信回路301は、ネットワーク500を介して端末装置200と接続して各種の情報を送受信する。
【0026】
入力装置302は、例えば、マウス、キーボード等の入力デバイス及び入力デバイスから信号を取得するインターフェース回路を有し、ユーザの操作に応じた信号をCPU310に対して出力する。
【0027】
表示装置303は、液晶等から構成されるディスプレイ及びディスプレイに画像データ又は各種の情報を出力するインターフェース回路を有し、CPU310と接続されて、CPU310から出力された情報をディスプレイに表示する。
【0028】
記憶装置304は、記憶部の一例であり、RAM、ROM等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、又はフレキシブルディスク、光ディスク等の可搬用の記憶装置等を有する。また、記憶装置304には、サーバ装置300の各種処理に用いられるコンピュータプログラム、データベース、テーブル等が記憶される。コンピュータプログラムは、コンピュータ読み取り可能な可搬型記録媒体から、公知のセットアッププログラム等を用いて記憶装置304にインストールされてもよい。可搬型記録媒体は、例えばCD−ROM、DVD−ROM等とすることができる。
【0029】
また、記憶装置304には、各診断対象装置の診断に用いられるマニュアルデータを管理するマニュアル管理テーブルが記憶される。また、記憶装置304には、各マニュアルデータについて、診断対象装置100の故障の原因を特定するための複数の診断項目を管理する診断項目管理テーブルと、各診断項目の診断順序を管理する診断順序管理テーブルが記憶される。また、記憶装置304には、現在の診断項目の診断順序を変更するか否かを決定する処理で用いられる診断順序候補管理テーブルが記憶される。各テーブルの詳細については後述する。また、記憶装置304には、複数の端末装置からの診断結果受信数が記憶される。
【0030】
CPU310は、通信回路301、入力装置302、表示装置303及び記憶装置304と接続され、これらの各部を制御する。CPU310は、通信回路301を介したデータ送受信制御、入力装置302の入力制御、表示装置303の表示制御、記憶装置304の制御等を行う。さらに、CPU310は、複数の診断項目の診断順序を決定する。
【0031】
図5Aは、マニュアル管理テーブルのデータ構造の一例を示す図である。マニュアル管理テーブルには、複数のマニュアルデータ毎に、マニュアルID(Identification)、装置種別、装置版数及びエラーコード等が関連付けて記憶される。
【0032】
マニュアルIDは、マニュアルデータ毎に一意に定められた識別情報である。装置種別及び装置版数は、それぞれ各マニュアルデータを診断に使用する診断対象装置の種別(製品名、型格等)及び版数である。エラーコードは、各マニュアルデータを用いて診断を行うべき故障に対応する、診断対象装置で検出されるエラーの識別情報である。なお、各マニュアルデータは、診断対象装置毎に別個に設定してもよい。その場合、各マニュアルデータは、診断対象装置毎に一意に定められた装置IDとさらに関連付けて記憶される。
【0033】
図5Bは、診断項目管理テーブルのデータ構造の一例を示す図である。診断項目管理テーブルは、各マニュアルデータ毎に設定される。診断項目管理テーブルには、複数の診断項目毎に、項目ID、診断内容及び対処方法等が関連付けて記憶される。
【0034】
項目IDは、診断項目毎に一意に定められた識別情報である。診断内容は、ユーザに確認する内容を表し、ユーザが端末装置200を用いて診断対象装置100を診断する際に端末装置200に表示される。対処方法は、ユーザが実施すべき対処の内容を表し、その診断項目により故障の原因が特定された場合に端末装置200に表示される。
【0035】
図6は、診断順序管理テーブルのデータ構造の一例を示す図である。診断順序管理テーブルは、診断項目管理テーブルと同様に各マニュアル毎に設定される。診断順序管理テーブルには、複数の診断項目毎に、診断順番、項目ID、ユーザ情報、保守情報、原因特定回数補正値及び診断順番候補等が関連付けて記憶される。
【0036】
診断順番は、各診断項目を実施する順番であり、各診断項目を診断順番の順に並べた順序が、複数の診断項目を実施する現在の診断順序を表す。なお、診断順番の初期値は、その診断対象装置の過去の版数の装置のフィールドでの故障実績、又は出荷試験での評価結果等に基づいて、予め設定される。
【0037】
ユーザ情報は、各ユーザが、所有する端末装置200を用いて診断対象装置100を診断した診断結果に基づく情報である。ユーザ情報には、原因特定回数、診断時間、原因特定時間、装置状態、状態変更時間及び総診断時間等が含まれる。原因特定回数は、各診断項目により故障の原因が特定された回数である。診断時間は、過去に各診断項目に要した時間である。診断時間として、例えば故障の原因が特定されたときの診断時間の平均値が記憶される。原因特定時間は、各診断項目により原因を特定するために要する時間であり、診断時間に基づいて算出される。原因特定時間は、例えば各診断項目を実施するまでに実施される全ての診断項目の診断時間の累積時間である。装置状態は、各診断項目を実施する際の装置の状態であり、管理者により予め設定される。例えば診断対象装置100がスキャナ装置である場合、装置状態として、カバーが開いている状態又は閉じている状態が記憶される。状態変更時間は、装置状態の変更に要する時間である。総診断時間は、各診断項目により故障の原因が特定されたときの原因を特定するまでに要した時間の総和である。総診断時間の算出方法については後述する。
【0038】
保守情報は、全ての診断項目に対する、過去に各診断項目により診断対象装置100の保守者によって故障の原因が特定された比率であり、過去に各診断項目により診断対象装置100の保守者によって故障の原因が特定された回数に基づいて算出される。保守情報は、保守者が所有する情報処理装置から通信回路301を介して、又は、入力装置302を用いた保守者による入力に応じて、任意のタイミングで最新の情報に設定される。原因特定回数補正値は、保守情報を用いて原因特定回数を補正した値である。原因特定回数補正値の算出方法については後述する。診断順番候補は、ユーザ情報及び保守情報に基づいて決定される新たな診断順番の候補であり、各診断項目を診断順番候補の順に並べた順序が新たな診断順序の候補である診断順序候補を表す。
【0039】
図7は、CPU310の概略構成の例を示す図である。
図7に示すようにCPU310は、マニュアル送信部311、診断結果受信部312、診断順序候補決定部313、原因特定時間算出部314及び診断順序決定部315等を有する。これらの各部は、プロセッサ上で動作するソフトウェアにより実装される機能モジュールである。なお、これらの各部は、それぞれ独立した集積回路、マイクロプロセッサ、ファームウェア等で構成されてもよい。
【0040】
図8は、診断システム1における診断シーケンスの例を示すシーケンス図である。以下、
図8に示したシーケンス図を参照しつつ、診断システム1の診断シーケンスの例を説明する。なお、以下に説明する各動作は、サーバ装置300において、予め記憶装置304に記憶されているプログラムに基づき主にCPU310によりサーバ装置300の各要素と協働して実行される。同様に、各動作は、端末装置200において、端末装置200の端末記憶装置204に記憶されているプログラムに基づき主に端末装置200の端末CPU210により端末装置200の各要素と協働して実行される。
【0041】
最初に、端末装置200のマニュアル取得部211は、端末入力装置202を用いたユーザの操作により診断対象装置の診断開始を受け付けた場合、診断対象装置選択画面を端末表示装置203に表示する(ステップS101)。
【0042】
図9は、診断対象装置選択画面の一例を示す。
図9に示すように、診断対象装置選択画面900には、現在、端末装置200と無線接続されている診断対象装置の一覧901と、診断する診断対象装置を選択するためのラジオボタン902と、マニュアルデータを取得するための送付ボタン903が表示される。
【0043】
なお、診断対象装置100は、故障が発生したとき、その旨を端末装置200に通知する。端末装置200は、端末通信回路201を介して診断対象装置100から故障が発生した旨を受信すると、その旨を端末表示装置203に表示する。ユーザは、その表示により診断対象装置100に故障が発生したことを即時に把握し、診断対象装置の診断開始を指示することができる。
【0044】
また、端末装置200は、診断対象装置の診断開始を受け付けたときに、診断を実行するための診断プログラムがインストールされていない場合、自動的にサーバ装置300から診断プログラムをダウンロードしてインストールしてもよい。これにより、端末装置200に診断プログラムがインストールされていなくても、ユーザがサーバ装置300からダンロードしてインストールする必要がなくなり、ユーザの利便性が向上する。
【0045】
次に、マニュアル取得部211は、端末入力装置202を用いてユーザによりラジオボタン902が選択され、送付ボタン903が押下されると、診断対象装置情報の取得要求を端末通信回路201を介して、選択された診断対象装置100に送信する。診断対象装置情報は、診断対象装置100の診断に用いられる、診断対象装置100に関する情報である。診断対象装置情報には、診断対象装置100の装置種別、装置版数、診断対象装置100で検出されたエラーのエラーコード等が含まれる。マニュアル取得部211は、診断対象装置情報の取得要求の応答として診断対象装置情報を端末通信回路201を介して、選択された診断対象装置100から取得する(ステップS102)。なお、診断対象装置情報は、診断対象装置100に故障が発生したときに、診断対象装置100により端末装置200に自動的に送信されてもよい。その場合、ステップS102の処理は省略される。
【0046】
次に、マニュアル取得部211は、診断対象装置情報を取得すると、マニュアルデータの抽出及び送信を要求するためのマニュアルデータ取得要求を端末通信回路201を介してサーバ装置300に送信する(ステップS103)。マニュアルデータ取得要求には、診断対象装置情報が含まれる。
【0047】
次に、サーバ装置300のマニュアル送信部311は、通信回路301を介して端末装置200からマニュアルデータ取得要求を受信すると、受信したマニュアルデータ取得要求に含まれる診断対象装置情報を抽出する。マニュアル送信部311は、診断対象装置情報に含まれる装置種別、装置版数及びエラーコードに基づいて、マニュアル管理データから、診断対象装置100の診断に使用するマニュアルデータのマニュアルIDを特定する。次に、マニュアル送信部311は、特定したマニュアルIDの診断内容及び対処方法を診断項目管理テーブルから抽出し、特定したマニュアルIDの診断順番を診断順序管理テーブルから抽出する。そして、マニュアル送信部311は、抽出した診断内容及び対処方法を診断順番の順に並べたマニュアルデータを作成する(ステップS104)。
【0048】
次に、マニュアル送信部311は、作成したマニュアルデータを通信回路301を介して端末装置200に送信する(ステップS105)。
【0049】
次に、端末装置200のマニュアル取得部211が、端末通信回路201を介してサーバ装置300からマニュアルデータを受信すると、端末CPU210は、診断対象装置100の診断処理を実行する(ステップS106)。端末CPU210は、診断処理において、受信したマニュアルデータを用いて、診断対象装置100の診断をユーザに実施させ、診断結果を取得する。診断処理の詳細については後述する。
【0050】
次に、診断結果送信部213は、診断処理において取得した診断結果を端末通信回路201を介してサーバ装置300に送信する(ステップS107)。
【0051】
次に、サーバ装置300の診断結果受信部312が、通信回路301を介して端末装置200から診断結果を受信すると、CPU310は、診断順序テーブル更新処理を実行し(ステップS108)、一連のステップを終了する。CPU310は、診断順序テーブル更新処理において、受信した診断結果に基づいて各診断項目の診断順序を更新する。したがって、サーバ装置300は、以降、端末装置200からマニュアルデータ取得要求を受信した場合、対応する診断内容及び対処方法を、更新された診断順序で並べたマニュアルデータを端末装置200に送信する。
【0052】
図10は、端末装置200による診断処理の動作の例を示すフローチャートである。
図10に示す動作のフローは、
図8に示すシーケンスのステップS106において実行される。
【0053】
最初に、診断処理部212は、サーバ装置300から受信したマニュアルデータから診断内容を抽出して端末表示装置203に表示する(ステップS201)。診断処理部212は、マニュアルデータ内に並べられた診断順番の順に診断内容を抽出して端末表示装置203に表示する。
【0054】
次に、診断処理部212は、診断内容に従って診断を実施したユーザによる実施結果の入力を端末入力装置202を用いて受け付ける(ステップS202)。実施結果には、その診断内容に係る診断により故障の原因が特定されたか否かを示す情報が含まれる。
【0055】
次に、診断処理部212は、実施結果の入力を受け付けると、診断内容を表示してから実施結果が入力されるまでの時間を、その診断内容に係る診断に要した時間として端末記憶装置204に記憶する(ステップS203)。
【0056】
次に、診断処理部212は、その診断内容に係る診断により故障の原因が特定されたか否かを判定する(ステップS204)。
【0057】
診断処理部212は、故障の原因が特定されなかった場合、マニュアルデータに含まれる全ての診断内容に係る診断が実施されたか否かを判定する(ステップS205)。診断処理部212は、全ての診断内容に係る診断がまだ実施されていない場合、処理をステップS201へ戻し、次の診断内容を抽出して端末表示装置203に表示する。一方、診断処理部212は、全ての診断内容に係る診断が実施された場合、このマニュアルデータでは故障の原因が特定されなかったと判定する。その場合、診断処理部212は、ユーザが故障について問合せを行うための問合せ先を端末表示装置203に表示し(ステップS206)、一連のステップを終了する。
【0058】
一方、ステップS204において、故障の原因が特定された場合、診断処理部212は、その診断内容に対応する対処方法をマニュアルデータから抽出して端末表示装置203に表示する(ステップS207)。
【0059】
次に、診断処理部212は、対処方法に従って対処を実施したユーザによる対処結果の入力を端末入力装置202を用いて受け付ける(ステップS208)。対処結果には、その対処方法に係る対処により故障が解消されたか否かを示す情報が含まれる。
【0060】
次に、診断処理部212は、対処結果の入力を受け付けると、その対処方法に係る対処により故障が解消されたか否かを判定する(ステップS209)。
【0061】
診断処理部212は、故障が解消されなかった場合、このマニュアルデータでは故障が解消されなかったと判定する。その場合、診断処理部212は、ユーザが故障について問合せを行うための問合せ先を端末表示装置203に表示し(ステップS206)、一連のステップを終了する。
【0062】
一方、診断処理部212は、故障が解消された場合、診断結果を診断結果送信部213に送信し(ステップS210)、一連のステップを終了する。診断結果には、診断対象装置100の装置種別、装置版数及びエラーコードと、診断を行った各診断項目の項目ID及び各診断項目に係る診断に要した時間と、故障の原因が特定された診断項目の項目IDとが含まれる。
【0063】
なお、ステップS210で、診断結果が診断結果送信部213に送信された場合、その診断結果は、
図8のステップS107において診断結果送信部213によりサーバ装置300に送信される。一方、ステップS206で、診断処理部212が問合せ先を端末表示装置203に表示した場合、診断結果はサーバ装置300に送信されない。
【0064】
なお、診断結果は、故障が解消されたか否かに関わらず、又は、故障の原因が特定されたか否かに関わらず、サーバ装置300に送信されてもよい。その場合、診断結果には、故障の原因が特定されたか否かと、故障が解消されたか否かがさらに含まれる。
【0065】
図11は、サーバ装置300による更新処理の動作の例を示すフローチャートである。
図11に示す動作のフローは、
図8に示すシーケンスのステップS108において実行される。
【0066】
最初に、診断結果受信部312は、端末装置200から受信した診断結果から、故障の原因が特定された診断項目の項目IDを特定する。診断結果受信部312は、
図6に示した診断順序管理テーブルにおいて、特定した項目IDに対応する原因特定回数をインクリメントする(ステップS301)。
【0067】
さらに、診断結果受信部312は、受信した診断結果に診断に要した時間が含まれる診断項目について、過去の診断に要した時間の平均値を算出し、診断順序管理テーブルの診断時間を更新する。このように、診断結果受信部312は、診断時間として、故障の原因が特定されたときの診断時間の平均値を算出する。これにより、診断が適切に行われなかった可能性のある場合を除外して診断時間を算出することができ、診断時間の信頼性を向上させることが可能となる。なお、診断結果受信部312は、故障の原因が特定されたか否かに関わらず、過去の全ての診断に要した時間の平均値を診断時間として算出してもよい。
【0068】
次に、診断結果受信部312は、記憶装置304に記憶された診断結果受信数をインクリメントする(ステップS302)。
【0069】
次に、診断結果受信部312は、診断結果受信数が所定数(例えば1000)以上になったか否かを判定する(ステップS303)。
【0070】
診断結果受信数が所定数未満である場合、診断結果受信部312は、一連のステップを終了する。これにより、サーバ装置300は、診断順序を変更するか否かを頻繁に決定することがなくなり、処理負荷を低減することが可能となる。
【0071】
一方、診断結果受信数が所定数以上になった場合、診断順序候補決定部313は、各診断項目の保守情報を用いて各診断項目の原因特定回数を補正した原因特定回数補正値を算出する(ステップS304)。診断順序候補決定部313は、各診断項目の原因特定回数に各診断項目の保守情報に示される比率を乗じた値を原因特定回数補正値として算出する。
【0072】
次に、診断順序候補決定部313は、各診断項目の総診断時間を算出する(ステップS305)。
【0073】
なお、診断順序管理テーブルが新たに作成され、診断順番が設定されたときに、原因特定時間算出部314は、原因特定時間を算出し、診断順序管理テーブルに記憶する。原因特定時間算出部314は、現在の診断順序で、複数の診断項目を実施したときの最初の診断項目から特定の診断項目までの各診断項目の診断時間の総和を各診断項目の原因特定時間として算出する。同様に、診断順序管理テーブルが新たに作成され、診断順番が設定されたときに、診断順序候補決定部313は、状態変更時間を算出し、診断順序管理テーブルに記憶する。診断順序候補決定部313は、各診断項目の装置状態が直前の診断項目の装置状態と同一であるか否かを判定する。診断順序候補決定部313は、各診断項目の装置状態が直前の診断項目の装置状態と同一である場合、状態変更時間として0を設定する。一方、診断順序候補決定部313は、各診断項目の装置状態が直前の診断項目の装置状態と同一でない場合、状態変更時間として装置状態の変更に要する時間を設定する。
【0074】
診断順序候補決定部313は、現在の診断順序で複数の診断項目を実施した場合の各診断項目の原因特定時間に各診断項目の原因特定回数を乗じた値を各診断項目の各診断項目の総診断時間として算出する。さらに、診断順序候補決定部313は、各診断項目の状態変更時間に各診断項目の原因特定回数を乗じた値を、算出した各診断項目の総診断時間に加算する。
【0075】
次に、診断順序候補決定部313は、原因特定回数に基づいて算出された原因特定回数補正値に基づいて、診断順序候補を決定する(ステップS306)。診断順序候補決定部313は、原因特定回数補正値の多い順に各診断項目を並べた順番を各診断項目の診断順番候補として決定し、各診断項目を診断順番候補の順に並べた順序を診断順序候補として決定する。
【0076】
次に、診断順序候補決定部313は、各診断項目を診断順番候補の順に並べた診断順序候補管理テーブルを作成する(ステップS307)。
【0077】
図12は、診断順序候補管理テーブルのデータ構造の一例を示す図である。診断順序候補管理テーブルには、複数の診断項目毎に、診断順番候補、項目ID、ユーザ情報及び時間差分等が関連付けて記憶される。診断順番候補、項目ID及びユーザ情報は、それぞれ診断順序管理テーブルの診断順番候補、項目ID及びユーザ情報と同様の情報である。時間差分は、各診断項目における、診断順序候補による総診断時間と現在の診断順序による総診断時間との差分である。
【0078】
次に、原因特定時間算出部314は、診断順序候補管理テーブルにおいて、診断順序候補で、複数の診断項目を実施したときの最初の診断項目から特定の診断項目までの各診断項目の診断時間の総和を各診断項目の原因特定時間として算出する(ステップS308)。
【0079】
次に、診断順序決定部315は、診断順序候補管理テーブルにおいて、各診断項目の状態変更時間を算出する(ステップS309)。
【0080】
次に、診断順序決定部315は、診断順序候補管理テーブルにおいて、各診断項目の総診断時間を算出する(ステップS310)。
【0081】
次に、診断順序決定部315は、各診断項目について、診断順序候補による総診断時間から現在の診断順序による総診断時間を減じた差分を時間差分として算出する。同様に、診断順序決定部315は、診断順序候補での総診断時間の総和から現在の診断順序での総診断時間の総和を減じた差分を時間差分総和として算出する(ステップS311)。
【0082】
次に、診断順序決定部315は、算出した時間差分総和が0以下であるか否かを判定する(ステップS312)。
【0083】
診断順序決定部315は、算出した時間差分総和が0以下である場合、即ち診断順序候補での総診断時間の総和が現在の診断順序での総診断時間の総和以下である場合、診断順序テーブルにおける各診断項目を診断順序候補の順に並べ替える。これにより、診断順序決定部315は、現在の診断順序を診断順序候補に置き換え(ステップS313)、一連のステップを終了する。
【0084】
一方、診断順序決定部315は、算出した時間差分総和が0より大きい場合、即ち診断順序候補での総診断時間の総和が現在の診断順序での総診断時間の総和より大きい場合、特に処理を行わず、一連のステップを終了する。
【0085】
このように、診断順序決定部315は、原因特定時間及び原因特定回数に基づいて、現在の診断順序を診断順序候補に置き換えるか否かを決定する。なお、前述したように、現在の診断順序で複数の診断項目に係る診断内容及び対処方法を並べた一覧は、以降、端末装置200からの要求に応じて、マニュアルデータとして通信回路301を介して端末装置200に出力される。
【0086】
なお、診断順序決定部315は、保守情報を用いて、現在の診断順序を診断順序候補に置き換えるか否かを決定してもよい。その場合、診断順序決定部315は、原因特定回数ではなく原因特定回数補正値を原因特定時間に乗じた値を総診断時間として算出する。また、診断順序候補決定部313は、保守情報を用いずに、原因特定回数の多い順に各診断項目を並べた順番を各診断項目の診断順番候補として決定してもよい。
【0087】
また、診断順序決定部315は、状態変更時間を用いずに、現在の診断順序を診断順序候補に置き換えるか否かを決定してもよい。その場合、診断順序候補決定部313は、算出した総診断時間に状態変更時間を加算しない。
【0088】
以上詳述したように、
図8に示したシーケンスに従って動作することによって、サーバ装置300は、原因特定時間及び原因特定回数に基づいて、診断順序を変更するか否かを決定することが可能となった。これにより、ユーザは、より短時間に故障の原因を特定可能な診断項目に係る診断と、より発生しやすい故障に対応した診断項目に係る診断を優先的に実施することができる。したがって、ユーザは、適切な順序で診断を実施し、診断対象装置で発生した故障の原因をより短期間に特定することが可能となり、ユーザの利便性を向上することが可能となった。
【0089】
以上、本発明の好適な実施形態について説明してきたが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。例えば、診断システム1は、サーバ装置300を有さず、端末装置200が診断順序を変更するか否かを決定してもよい。その場合、端末装置200の端末記憶装置204が、サーバ装置300の記憶装置304が記憶する各データを記憶し、端末装置200の端末CPU210が、サーバ装置300のCPU310が有する各部を有して、CPU310が実行する各機能を実行する。端末装置200は、他の端末装置による診断結果を受信し、自己の診断結果及び他の端末装置による診断結果に基づいて、診断順序を変更するか否かを決定する。