特許第6265884号(P6265884)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6265884
(24)【登録日】2018年1月5日
(45)【発行日】2018年1月24日
(54)【発明の名称】燃料インジェクタ
(51)【国際特許分類】
   F02M 47/02 20060101AFI20180115BHJP
   F02M 47/00 20060101ALI20180115BHJP
【FI】
   F02M47/02
   F02M47/00 B
   F02M47/00 E
【請求項の数】9
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-503040(P2014-503040)
(86)(22)【出願日】2012年2月22日
(65)【公表番号】特表2014-510233(P2014-510233A)
(43)【公表日】2014年4月24日
(86)【国際出願番号】EP2012052990
(87)【国際公開番号】WO2012136406
(87)【国際公開日】20121011
【審査請求日】2013年10月4日
【審判番号】不服2016-10312(P2016-10312/J1)
【審判請求日】2016年7月7日
(31)【優先権主張番号】102011006975.5
(32)【優先日】2011年4月7日
(33)【優先権主張国】DE
(31)【優先権主張番号】102011078947.2
(32)【優先日】2011年7月11日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】390023711
【氏名又は名称】ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ヴォルフガング シュテックライン
(72)【発明者】
【氏名】ベアント ベアクヘーネル
(72)【発明者】
【氏名】マルコ バイアー
(72)【発明者】
【氏名】チャンギ ワン
(72)【発明者】
【氏名】ホルガー ラップ
(72)【発明者】
【氏名】ヘルムート クラウス
【合議体】
【審判長】 冨岡 和人
【審判官】 金澤 俊郎
【審判官】 松下 聡
(56)【参考文献】
【文献】 独国特許出願公開第102009002895(DE,A1)
【文献】 特開2010−103315(JP,A)
【文献】 特開2008−215186(JP,A)
【文献】 特開2005−16984(JP,A)
【文献】 特開平8−184520(JP,A)
【文献】 特開平8−43432(JP,A)
【文献】 特開2002−339793(JP,A)
【文献】 特開2005−291091(JP,A)
【文献】 特開2010−190445(JP,A)
【文献】 特表2012−526227(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02M 47/00 - 47/02
F02M 51/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料噴射システムに用いられる燃料インジェクタであって、
該燃料インジェクタに設けられた高圧孔(1)内に往復運動可能に案内されたノズルニードル(2)であって、ノズルニードル(2)の往復運動によって、少なくとも1つの噴射開口(3)が開閉可能なノズルニードル(2)と、
圧電性の材料から成る少なくとも1つのセンサ素子(5)を備え、ノズルニードル(2)の開閉時の特徴的な圧力変化を検出する力/圧力センサ(4)と、
を含む燃料インジェクタにおいて、
力/圧力センサ(4)は、燃料インジェクタの低圧領域(6)に配置されていて、ノズルニードル(2)の開閉時に、制御室(7)内の制御室圧に比例した軸方向力(F)で、力分配プレート(17)を介して間接的に押圧可能であり、
力/圧力センサ(4)のセンサ素子(5)は、アース接続部(11)を形成するために、少なくとも1つの接触面(9)に形成された電極(10)を介して、燃料インジェクタのハウジング部材(12)に電気的に接続されており、
センサ素子(5)は、第1のアース接続部(11)を形成するために、接触面(9)全体に形成された電極(10)で力分配プレート(17)の一面全体に接触しており、
力分配プレート(17)は、力分配プレート(17)を取り囲むハウジング部材(12)に電気的に接続されており、
センサ素子(5)は、別の電極(10)とハウジング部材(12)との間の電気的な絶縁体(8)の領域に設けられたコンタクト(13)を介して信号線路(14)に接続されており、
前記コンタクト(13)は、前記ノズルニードル(2)を制御するために作動する電磁弁(16)に設けられた両コイルピンのうちの一方との電気的な接続のために使用されることを特徴とする、燃料噴射システムに用いられる燃料インジェクタ。
【請求項2】
力/圧力センサ(4)は、少なくとも2つのセンサ素子(5)を有している、請求項1記載の燃料インジェクタ。
【請求項3】
少なくとも2つのセンサ素子(5)は、同じ極性が付与された接触面が互いに向かい合って位置するように、互いに当て付けられている、請求項2記載の燃料インジェクタ。
【請求項4】
センサ素子(5)は多層に形成されている、請求項1から3までのいずれか1項記載の燃料インジェクタ。
【請求項5】
センサ素子(5)は、互いに逆向きに極性が付与された少なくとも1つの第1の層(5.1)と第2の層(5.2)とを有している、請求項4記載の燃料インジェクタ。
【請求項6】
信号線路(14)に接続するためのコンタクト(13)が、2つのセンサ素子(5)の接触領域にまたは2つの層(5.1,5.2)の接触領域に設けられている、請求項2から5までのいずれか1項記載の燃料インジェクタ。
【請求項7】
力/圧力センサ(4)は、前記電磁弁(16)に設けられた往復運動可能なアーマチュアピン(15)によって、力分配プレート(17)を介して間接的に、制御室(7)内の制御室圧に比例した軸方向力(F)で押圧可能である、請求項1から6までのいずれか1項記載の燃料インジェクタ。
【請求項8】
力分配プレート(17)に力/圧力センサ(4)に向かって予荷重エレメント(25)によって軸方向で予荷重が加えられている、請求項1から7までのいずれか1項記載の燃料インジェクタ。
【請求項9】
燃料噴射システムは、コモンレール型燃料噴射システムである、請求項1から8までのいずれか1項記載の燃料インジェクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念部の特徴を備えた、内燃機関の燃焼室内に燃料を噴射するための、燃料噴射システム、特にコモンレール型噴射システムに用いられる燃料インジェクタに関する。
【0002】
前述した燃料インジェクタは、高圧孔内に往復運動可能に案内されたノズルニードルを有している。このノズルニードルの往復運動によって、少なくとも1つの噴射開口が開閉可能となる。ノズルニードルの開放ストロークは、このノズルニードルを閉鎖方向に作用する力で押圧する制御圧が加えられた制御室の放圧により生じる。その際、噴射される燃料量は、噴射圧とノズルニードルの開放期間とに関連している。しかしながら、摩耗に基づき、燃料インジェクタの運転特性が寿命にわたって変化してしまうので、制御パラメータを適合させることが必要となる。
【0003】
背景技術
ドイツ連邦共和国特許出願公開第102007063103号明細書に基づき、内燃機関の噴射装置に設けられた噴射弁の運転特性を検知するための装置が公知である。この公知の装置は、噴射弁の閉鎖時点を検知するために、この噴射弁内に挿入可能であるピエゾフィルムセンサを有している。このピエゾフィルムセンサによって、好適には、弁座に対する弁ニードルの当接が検知される。こうして、予測した時点が、弁座に対する弁ニードルの当接の実際の時点に対応しているか否かを検出することができる。偏差が認められると、噴射装置に設けられた制御装置の制御パラメータが相応に適合されるようになっている。弁座に対する弁ニードルの当接は、特にピエゾフィルムセンサへの外的な力作用によって認められる。この外的な力作用は、圧電材料の変形と、これに伴って、圧電材料の電荷密度の変化とを引き起こし、これによって、圧電材料に配置された2つの電極の間に発生させられた電圧が信号として取出し可能となる。ピエゾフィルムセンサは、信号形成のために供給電圧を必要とせず、したがって、電荷増幅器なしでも信号を直接的に取り出すことができるので、信号の取出しのためには、アース線路および信号線路しか必要とならない。その後、信号は、好適には、ピエゾフィルムセンサに接続された評価ユニットに伝送される。
【0004】
前述した公知先行技術を起点として、本発明の課題は、簡単に形成されていて、廉価に製造可能である、ニードル閉鎖時点を検出するための力/圧力センサを備えた燃料インジェクタを提供することである。特に本発明の目的は、燃料インジェクタにおいて、力/圧力センサが少ない手間で電気的に接続されているようにすることである。
【0005】
この課題は、請求項1の特徴を備えた燃料インジェクタによって解決される。本発明の好適な改良態様は、従属請求項に記載されている。
【0006】
発明の開示
本発明に係る燃料インジェクタは、この燃料インジェクタに設けられた高圧孔内に往復運動可能に案内されたノズルニードルと、圧電性の材料から成る少なくとも1つのセンサ素子を備えた力/圧力センサとを有しており、ノズルニードルの往復運動を介して、少なくとも1つの噴射開口が開閉可能であり、力/圧力センサによって、ノズルニードルの開閉時の特徴的な圧力変化が検出されるようになっている。本発明によれば、力/圧力センサが、燃料インジェクタの低圧領域に配置されていて、ノズルニードルの開閉時に、制御室内の制御室圧に比例した軸方向力Fで直接的にまたは間接的に押圧可能である。さらに、力/圧力センサのセンサ素子が、アース接続部を形成するために、少なくとも1つの接触面を介してまたは少なくとも1つの接触面に形成された電極を介して、燃料インジェクタのハウジング部材に直接的にまたは間接的に電気的に接続されている。
【0007】
力/圧力センサを低圧領域に配置することによって、センサにかかる負荷が減少させられる。なぜならば、センサが、高い圧力下にある燃料にさらされていないからである。より少ない負荷によって、燃料を導く領域に対するセンサアッセンブリのシーリングに課せられる要求も減少させられる。さらに提案された電気的な接続によって、アース接続部の形成が簡単になる。このアース接続部は、アース電位、好適には燃料インジェクタのハウジング部材またはハウジング部材に結合された構成部材へのセンサ素子の載着によって自動的に形成される。線路への合目的的なコンタクトおよび/または接続は不要となる。したがって、燃料インジェクタを通して線路を導くこともほとんど不要となる。力/圧力センサのセンサ素子が、燃料インジェクタのアース電位として働くハウジング部材に直接接触しているのではなく、ハウジング部材に結合された別の構成部材に接触しているならば、この別の構成部材は導電性の材料から成っている。接続は、センサ素子の接触面または接触面に形成された電極を介して行うことができる。この電極は接触面を、好適には完全に覆っている。電極は、たとえば被覆層として形成されていてよい。この場合には、電極がアース電位に対する本来の接触面を形成している。好適には、接触面もしくは接触面として働く電極が、センサ素子の、ノズルニードルに向けられた端面に形成されており、これによって、燃料インジェクタ内の深いところに線路を導くことが回避される。
【0008】
本発明の有利な態様によれば、センサ素子が、合目的的なコンタクトを介して信号線路に接続されていることが提案されている。合目的的なコンタクトは、好適には、センサ素子を周辺に対して電気的に絶縁する電気的な絶縁体の領域で行われている。この場合、燃料インジェクタ内に導かれる線路は、好適には、この1つの信号線路に制限されている。
【0009】
本発明の別の有利な態様によれば、力/圧力センサが、少なくとも2つのセンサ素子を有しており、これらのセンサ素子は、好適には、同じ極性が付与された接触面が互いに向かい合って位置するように、互いに当て付けられている。接触面は、やはり、この場合に互いに電気的に絶縁することが必要となる電極を有していてもよい。しかし、同じ極性が付与された接触面が互いに直接載置され合い、こうして融着されて、1つの電極が形成される場合には、電気的な絶縁体を省略することができる。第2のセンサ素子は、好適には第1のセンサ素子に相応に形成されていて、アース接続部を形成するために、ハウジング部材に向けられた接触面または接触面に形成された電極を有している。これによって、2つのセンサ素子を有する力/圧力センサを両側でアース接続することが可能となる。このアース接続によって、周辺に対するセンサ素子の手間のかかる電気的な絶縁が不要となる。さらに、2つのセンサ素子の相互接続は、センサの感度が高められるという利点を有している。
【0010】
本発明の択一的な態様によれば、センサ素子が多層に形成されていて、好適には互いに逆向きに極性が付与された少なくとも1つの第1の層と第2の層とを有している。これは、同じ極性が付与された接触面が、両層の接触領域において互いに向かい合って位置していることを意味している。多層の構成によって、力/圧力センサの製造が簡単になる。なぜならば、もはや個々のセンサ素子同士の接続が不要となるからである。さらに、センサ素子同士の間の電気的な絶縁が完全に省略される。
【0011】
さらに、1つよりも多くのセンサ素子および/または多層の1つのセンサ素子を備えた態様において、信号線路に接続するための合目的的なコンタクトが、2つのセンサ素子の接触領域でまたは2つの層の接触領域で行われていることが提案される。これによって、信号線路に対する案内距離を短縮することができる。
【0012】
好適には、力/圧力センサが、ノズルニードルを制御するために作動する電磁弁に設けられた往復運動可能なアーマチュアピンを介して直接的に、または間接的に力分配プレートを介して、制御室内の制御室圧に比例した軸方向力Fで押圧可能である。アーマチュアピンはその下側の端面において、電磁弁の閉鎖時に制御室圧に相当する弁室圧で押圧されている。ノズルニードルが連結されており、これによって、このノズルニードルの往復運動がアーマチュアピンの往復運動に繋がる。このアーマチュアピンから力/圧力センサに加えられる軸方向力を十分に均質な面圧でセンサ素子に導入するために、力/圧力センサとアーマチュアピンとの間に、好適には力分配プレートが配置されている。こうして、該当期間中、力/圧力センサに力pst×π×d/4で予荷重が加えられる。ここで、pstは、制御室内の制御圧であり、dは、アーマチュアピンの直径である。制御圧はニードル閉鎖の時点で著しい最小値を有しているので、力/圧力センサにより送出される信号も大きな特徴を有することになる。
【0013】
1つの改良態様によれば、力/圧力センサに軸方向力Fを導入するために、力分配プレートに力/圧力センサに向かって予荷重エレメントによって軸方向で予荷重が加えられている。これによって、力分配プレートの望ましくない位置変化を阻止することができる。
【0014】
前述した単独の手段または任意に組み合わせた手段によって、燃料インジェクタへの力/圧力センサの電気的な接続を顕著に簡単にすることができる。したがって、ニードル閉鎖時点を検知するための装置を備えた燃料インジェクタが簡単にかつ廉価に製造可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1a】公知先行技術に基づき公知の燃料インジェクタの縦断面図である。
図1b図1aの燃料インジェクタの制御弁の縦断面図である。
図2】電磁弁として形成された制御弁の領域における本発明に係る燃料インジェクタの縦断面図である。
図3a】本発明における第1の力/圧力センサの縦断面図である。
図3b】本発明における第1の力/圧力センサのセンサ素子の縦断面図である。
図4a】本発明における第2の力/圧力センサの縦断面図である。
図4b】本発明における第2の力/圧力センサのセンサ素子の縦断面図である。
図4c図4aおよび図4bの実施の形態の変化形態の縦断面図である。
図5a】本発明における第3の力/圧力センサの縦断面図である。
図5b】本発明における第3の力/圧力センサのセンサ素子の縦断面図である。
【0016】
図面の詳細な説明
本発明の有利な実施の形態を以下に図面につき詳しく説明する。
【0017】
図1aおよび図1bに示した公知の燃料インジェクタは、ノズルボディ21に設けられた高圧孔1内に往復運動可能に案内されたノズルニードル2を有している。このノズルニードル2は、弁ピストン27を介した閉鎖力で押圧可能である。この弁ピストン27は、ノズルニードル2と反対の側の端部で弁ピース26内に収容されていて、この弁ピース26内に往復運動可能に案内されている。そして、この弁ピース26はインジェクタボディ22内に収容されている。弁ピース26の内部には、弁ピストン27によって制御室7が仕切られる。この制御室7内には、弁ピストン27とノズルニードル2とを閉鎖方向に作用する力で押圧する液圧が形成される。制御室7は、流入絞り28を介して燃料供給管路23に接続可能であり、そして、流出絞り29を介して低圧領域6に接続可能であり、これによって、電磁弁16の切換位置に応じて、液圧と弁ピストン運動とが可変となる。燃料供給管路23を介して供給される高い圧力下にある燃料が、高圧蓄圧器24から取り出される。その後、ノズルボディ21内に形成された高圧孔1を介して、燃料がノズルニードル2の開放時に少なくとも1つの噴射開口3に供給される。
【0018】
図1aに示した燃料インジェクタに設けられた、図1bに詳細に示した電磁弁16は、コイル20と協働する、つまり、相互作用する往復運動可能なアーマチュア19と、このアーマチュア19内に少なくとも部分的に収容されたアーマチュアピン15とを有している。このアーマチュアピン15の下側の端面は、弁室32内に形成された圧力で押圧される。この圧力は、電磁弁16の閉鎖状態で制御室7内の圧力に相当している。アーマチュアピン15の上側の端面は、燃料インジェクタのハウジング部材12に支持されている。(通電されていない)休止状態でアーマチュア19はその弁座34に圧縮ばね30によって押圧される。
【0019】
電磁弁16の領域を一部抜粋して図2に示した本発明に係る燃料インジェクタは、図1aおよび図1bに示した燃料インジェクタと異なり、低圧領域6に配置された、ニードル閉鎖時点を検知するための力/圧力センサ4を有している。さらに、アーマチュアピン15が、ハウジング部材12の代わりに、間接的に力分配プレート17を介して力/圧力センサ4に支持されている。電磁弁16の閉鎖に際して、制御室7内の圧力が変化すると、アーマチュアピン15ひいては力/圧力センサ4に作用する軸方向力Fが変化する。さらに、電磁弁16のソレノイドコア31を位置決めするための予荷重エレメント25が設けられている。
【0020】
本発明に係る燃料インジェクタもしくは燃料インジェクタ内に配置された力/圧力センサ4の有利な実施の形態を示した図3a、図3b、図4a〜図4c、図5aおよび図5bから認めることができるように、力/圧力センサ4は、圧電性の材料から成る少なくとも1つのセンサ素子5を有している。このセンサ素子5は、第1のアース接続部11を形成するために、接触面9または接触面9に形成された電極10で力分配プレート17に接触している。そして、この力分配プレート17は、これを取り囲むハウジング部材12に電気的に接続されている(図3a、図4aおよび図5a参照)。さらに、ソレノイドコア31もしくはコイル20および圧縮ばね30を位置決めするための予荷重エレメント25が、本実施の形態では、力分配プレート17に軸方向で予荷重を加えるために使用される。しかしながら、予荷重エレメント25は、本発明に必ずしも必要な構成要素ではない。予荷重は、圧縮ばね30、ソレノイドコア31に対する予荷重エレメント25、図示していない付加的な予荷重エレメントまたはこれらを任意に組み合わせたものを介して加えることができる。択一的には、力分配プレート17に予荷重を加えることが省略されてもよい。
【0021】
図3aおよび図3bに示した実施の形態では、力/圧力センサ4が、単一のセンサ素子5しか有していない。単一のセンサ素子5の場合には、アース接続部11を形成するために、接触面9もしくは接触面9に形成された電極10が、力分配プレート17に直接接触している。これに対して、接触面9と反対の側に位置する接触面もしくは当該接触面に形成された電極10は、ハウジング部材12に対して接続を有してはならない。なぜならば、さもないと、センサ素子5が電気的に短絡してしまうからである。このことを回避するために、電極10とハウジング部材12との間に電気的な絶縁体8が設けられている。この電気的な絶縁体8の領域に設けられた合目的的なコンタクト13を介して、信号線路14への接続が行われている。この信号線路14以外、燃料インジェクタへの力/圧力センサ4の電気的な接続には、線路が必要とならない。これによって、電気的な接続が著しく簡単になる。電気的なコンタクト13は、電磁弁16に設けられた両コイルピンのうちの一方との接続のために使用されてもよく、これによって、力/圧力センサ4と制御装置(図示せず)との間の別個の接続が不要となる。したがって、全ての接続が燃料インジェクタ内部で行われる。
【0022】
図4aおよび図4bから、2つのセンサ素子5を有する力/圧力センサ4を備えた実施の形態を認めることができる。両センサ素子5は、同じ極性の接触面9もしくは接触面9に形成された同じ極性の電極10が互いに向かい合って位置するように、互いに接触し合っている。合目的的なコンタクト13は、互いに向き合わされた両電極10の間に配置された中間電極33の領域で行われている。両センサ素子5の分極18は、矢印によって図示してある(図4b参照)。
【0023】
製造の手間を減少させるために、1つの改良形態(図示せず)によれば、内側に位置する電極10の構成を省略することが提案される。その代わりに、両センサ素子5がその接触面9で中間電極33に載置される。この改良態様では、この中間電極33が、互いに向き合わされる両電極10の機能を一緒に引き受けている。
【0024】
択一的には、図4cに示したように、センサ素子5が多層に形成されていてもよい。このセンサ素子5では、図4bに示した実施の形態における第1のセンサ素子5および第2のセンサ素子5の代わりに、それぞれ第1の層5.1および第2の層5.2が使用されている。この実施の形態では、互いに向き合わされた両電極10が融着されて、センサ素子5に一体的に含まれた、中間に位置する1つの電極10が形成されている。合目的的なコンタクト13を介して、信号線路14への接続が行われている。
【0025】
図5aおよび図5bに示した実施の形態の力/圧力センサ4は、互いに逆方向に分極される2つの圧電性の層5.1,5.2から成る1つのセンサ素子5を有している。両層5.1,5.2の接触領域には、内側に位置する第1の電極が形成される。外側に位置する2つの別の電極は、力分配プレート17およびハウジング部材12の、接触面9に接触する表面にわたって形成され、これによって、センサ素子5の端面への電極10の別個の形成が省略可能となる。このためには、第1の層5.1の、外方に向けられた接触面9が、ハウジング部材12に直接接触していて、第2の層5.2の相応の接触面9が、力分配プレート17に直接接触している。したがって、センサ素子5を電気的に接続するための線路が不要となる。さらに、センサ素子5を信号線路14に接続するためには、合目的的なコンタクト13しか必要とならない。したがって、コンタクトと絶縁とに要する手間を最小限に抑えることができる。
図1a
図1b
図2
図3a
図3b
図4a
図4b
図4c
図5a
図5b